JP2013253469A - 注水制御装置及び注水制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】注水制御装置20は、ケーソン1の傾斜角が閾値を越えた場合に、水位の分布の傾向を特定する。注水制御装置20は、特定された傾向に基づいて、傾斜角を小さくするために各々の区画に注水する水量、各々の区画に注水する時間の長さ、又は、各々の区画に注水する単位時間当たりの水量のうち、少なくとも1つのパラメータを決定する。注水制御装置20は、決定されたパラメータに従って各々の区画に注水を行うように注水ポンプ10を制御する。
【選択図】図4
Description
特許文献1、2には、ケーソンの各区画に水位センサを設置し、各水位センサによる計測値を監視し、ケーソンの姿勢に異常が発生した場合に注水又は排水によってケーソンの姿勢を制御する技術が記載されている。
そこで、本発明は、ケーソンの区画毎に注水制御を行うときに用いるパラメータを適切に決定することを目的とする。
また、各々の前記区画は、隔壁によって互いに区切られた隔室群を有し、前記隔壁は、各々の前記区画内の互いに隣り合う隔室間で水が流動する開口部を有し、前記決定手段は、目標水位がそれぞれ定められた各ステップにおいて、同一の区画内の隔室間の水位差が第1閾値以上になった場合には、当該水位差が前記第1閾値よりも小さい第2閾値以下になるまでは、当該区画に対する注水を停止せずに間欠的な注水又は単位時間当たりの注水量を少なくした注水を行うように、前記パラメータを決定するようにしてもよい。
図1は、側方から見たケーソン1の断面図である。図2は、図1のI−I線におけるケ
ーソン1の断面図である。図3は、図1のII−II線におけるケーソン1の断面図である。
ケーソン1は、防波堤などの水中構造物として使用されるコンクリート製又は鋼製の箱状の構造物である。このケーソン1は、矩形の底版2と、底版2の四辺から立ち上げられた側壁3とを有し、底版2と側壁3とで囲われた内部空間は、隔壁4によって複数の区画(この例では、6つの区画)に区切られている。さらに、各区画の内部空間は、隔壁5によって複数の隔室(この例では、1区画当たり4つの隔室)に区切られており、隔壁5の下端付近には、各区画内の互いに隣り合う隔室間で水の移動を可能にするための開口部6が設けられている。
・1区画当たりの隔室の数
・注水ポンプを設置する隔室の番号
・区画間水位差の閾値α1、α2
・傾斜角の閾値θ1、θ2
・注水ステップ数
・各注水ステップの目標水位
・区画間水位調整処理のON/OFF
・傾斜調整処理のON/OFF
区画間水位調整処理及び傾斜調整処理のON/OFFは、当該処理を実行するか否かを示す設定値であり、実行する場合にはONを、実行しない場合にはOFFを設定する。
作業員が上記の設定値を指定すると、制御部21は、指定された設定値を設定値の項目と対応付けて記憶部22に記憶する。
次に、制御部21は、制御開始命令が入力されたか否かを判定する(ステップS103)。制御開始命令とは、ステップS104以降の処理の実行を開始する命令であり、作業員が注水制御装置20の画面上で入力する命令である。制御開始命令が入力されるまで、制御部21は、ステップS103の判定を定期的に繰り返す。
次に、制御部21は、事前設定で区画間水位調整処理が選択されているか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、制御部21は、記憶部22の記憶内容を参照し、区画間水位調整処理がONになっているならば(ステップS105:YES)、ステップS106の処理に進み、OFFになっているならば(ステップS105:NO)、ステップS107の処理に進む。
次に、ステップS203では、制御部21が、記憶部22に記憶されている隔室番号と区画番号との対応関係に基づいて、α1以上の隔室間水位差がある隔室の組が同一区画内であるか否かを判定する。α1以上の隔室間水位差がある隔室の組が同一区画内である場合(ステップS203:YES)には、制御部21の処理はステップS205に進み、同一区画内でない場合(ステップS203:NO)には、制御部21の処理はステップS206に進む。
ステップS208では、制御部21は、注水制御を終了する。
ステップS209では、制御部21は、注水制御を終了した隔室に対応する隔室番号の組を記憶部22から消去する。
次に、制御部21は、受信したトリム角が閾値θ1以上か否かを判定する(ステップS302)。トリム角がθ1以上である場合(ステップS302:YES)には、ケーソン1の設置時に問題が発生する可能性が高いということになるから、トリム角を減少させるために、制御部21の処理はステップS303に進む。一方、トリム角がθ1未満である場合(ステップS302:NO)には、ケーソン1の設置時に問題が発生する可能性が高くないということになるから、制御部21はトリム角の傾斜調整処理を終了する。
次に、制御部21は、各区画の水位上昇速度を求める(ステップS307)。制御部21は、水位計12で定期的に計測される水位と計測の時間間隔とから水位上昇速度Vnを算出する。
Tmax=Lmax/Vmin
Tmax:注水時間、Lmax:区画間の最大水位差、Vmin:低水位側の水位上昇速度
次に、制御部21は、注水制御のパラメータとして、各区画への注水間欠間隔又は注水速度を算出する(ステップS310)。注水間欠間隔は、運転時間(注水する時間の長さ)と休止時間(注水を停止している時間の長さ)の比で表され、運転時間:休止時間=Ln/Lmax:1−Ln/Lmaxとなる。注水速度は、Vn×Ln/Lmaxとなる。
次に、制御部21は、傾斜計13によって計測されたケーソン1のトリム角を受信する(ステップS312)。
なお、ヒール角の調整処理の手順はトリム角の場合と同じであるから、ヒール角の調整処理の手順の説明は省略する。
ステップS110では、制御部21は、各注水ポンプ10を停止させる。
待機状態において、制御部21は、次のステップを開始する命令が入力されたか否かを定期的に判定し(ステップS113)、命令が入力されたならば(ステップS113:YES)、ステップS105の処理に戻る。
上記の実施形態を次のように変形してもよい。また、複数の変形例を組み合わせもよい。
(変形例1)
実施形態では、傾斜調整処理において、注水制御のパラメータとして、各区画への注水間欠間隔又は注水速度を算出し、算出した注水間欠間隔又は注水速度に基づいて注水制御を行う例を示したが、各区画の水位と注水目標値との水位差(ステップS306で算出した水位差)に基づいて各区画に注水する水量を算出し、この水量の水を各区画に注水するようにしてもよい。また、この水量と、各注水ポンプの注水能力とに基づいて、各区画に注水する時間の長さを算出し、この時間の長さだけ各区画に注水するようにしてもよい。
実施形態では、傾斜調整処理において、水位の分布に対応する一次回帰線によって水位の分布の傾向を特定する例を示したが、一次回帰線以外の近似曲線を用いてもよい。例えば、区画間の水位差が閾値を越えた場合には二次曲線を用い、閾値を下回ったならば一次回帰線を用いるようにしてもよい。この構成にすれば、一次回帰線だけを用いる場合と比べて、傾斜調整処理による水位の変化が緩やかになる。
実施形態では、一次回帰線F1を予め定められた角度だけ回転させて直線F2を求める例を示したが、一次回帰線を回転させる量は、距離で定められていてもよい。例えば、回転中心から予め定められた距離だけ離れた一次回帰線F1上の点を鉛直方向に予め定められた距離だけ移動させ、移動後の点と回転中心とを通る直線をF2としてもよい。
実施形態では、注水制御装置20が表示部24と入力部25を備えた例を示したが、例えば、タブレット型のコンピュータと注水制御装置20とを無線で接続し、作業員がタブレット型のコンピュータを操作するように構成されていてもよい。この構成によれば、例えば、作業員がケーソンの設置場所の近傍で注水の状況を目視で監視しながら注水制御の操作を行うといったように、作業の自由度が増える。
実施形態では、隔室毎に水位計が設けられた例を示したが、水位計は各区画に少なくとも1つ設けられていればよい。
本発明を上部斜面提の注水制御に適用してもよい。図15は、上部斜面提として構成されたケーソン1Aの断面図である。図16は、図15のIII−III線におけるケーソン1Aの断面図である。実施形態と同じ構成要素には、実施形態と同じ符号が付与されている。側壁3の1つは、上端から或る長さに渡る部分が内部空間側に倒れ込んだ斜面部7を有する。上部斜面提の場合、斜面部7の下端よりも上の部分においては、斜面部7側の区画は他の区画と比べて容積が小さいため、同じ水位まで注水しても斜面部7側の区画の水の量が他の区画よりも少なくなるから、この差を補うためのバラスト81、82、83が設置されている。図17乃至22は、上部斜面提のヒール角の調整処理の手順を示す図である。図17は、一次回帰線F1を示す図であり、図18は、ケーソン1の傾斜を修正する向きに一次回帰線F1を予め定められた量だけ変化させた直線F2を示す図であり、図19は、注水目標値に対応する直線F3を示す図であり、図20は、各区画の水位と注水目標値との水位差を示す図であり、図21は、区画間水位差が減少した様子を示す図であり、図22は、ケーソン1Aが水平に設置された状態を示す図である。上部斜面提のトリム角、ヒール角の調整処理の手順は実施形態と同じであるから、手順の詳細な説明は省略する。
実施形態では、トリム角の傾斜調整処理において、図3に示す6区画のうち、上段の3区画と下段の3区画とで別々に傾斜調整処理を実行する例を示したが、上段と下段の水位の平均値に基づいて上段と下段を一括して処理するようにしてもよい。また、実施形態は、ヒール角の傾斜調整処理において、図3に示す6区画のうち、左端の2区画と中央の2区画と右端の2区画とで別々に傾斜調整処理を実行する例を示したが、左端と中央と右端の平均値に基づいて左端と中央と右端を一括して処理するようにしてもよい。
Claims (5)
- 隔壁によって互いに区切られた区画群を有するケーソンへの注水を制御する注水制御装置であって、
水に浮かべられた前記ケーソンの傾斜角を取得する傾斜角取得手段と、
各々の前記区画の水位を取得する水位取得手段と、
前記傾斜角取得手段によって取得された傾斜角が閾値を越えた場合に、前記水位取得手段によって取得された水位の分布の傾向を特定する傾向特定手段と、
前記傾向特定手段によって特定された傾向に基づいて、前記傾斜角を小さくするために各々の前記区画に注水する水量、各々の前記区画に注水する時間の長さ、又は、各々の前記区画に注水する単位時間当たりの水量のうち、少なくとも1つのパラメータを決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定されたパラメータに従って各々の前記区画に注水を行うように注水ポンプを制御する注水制御手段と
を備える注水制御装置。 - 前記傾向特定手段は、前記区画群における各区画の水位の分布に対応する、2次元平面上の一次回帰線を特定し、
前記決定手段は、前記2次元平面上において、前記傾向特定手段によって特定された一次回帰線の低水位側を当該一次回帰線の高水位側に対して相対的に上昇させるように、当該一次回帰線を予め定められた量だけ回転させ、前記水位取得手段によって取得された水位が最大である区画の水面に対応する位置まで回転後の当該一次回帰線を平行移動させ、平行移動後の当該一次回帰線と前記水位取得手段によって取得された各々の前記区画の水位との差に基づいて、前記パラメータを決定する
請求項1に記載の注水制御装置。 - 各々の前記区画は、隔壁によって互いに区切られた隔室群を有し、
前記隔壁は、各々の前記区画内の互いに隣り合う隔室間で水が流動する開口部を有し、
前記決定手段は、目標水位がそれぞれ定められた各ステップにおいて、同一の区画内の隔室間の水位差が第1閾値以上になった場合には、当該水位差が前記第1閾値よりも小さい第2閾値以下になるまでは、当該区画に対する注水を停止せずに間欠的な注水又は単位時間当たりの注水量を少なくした注水を行うように、前記パラメータを決定する
請求項1又は2に記載の注水制御装置。 - 前記決定手段は、目標水位がそれぞれ定められた各ステップにおいて、互いに隣り合う2つの区画の水位差が前記第1閾値以上になった場合には、当該水位差が前記第2閾値以下になるまでは、当該2つの区画のうち高水位側の区画に対する注水を停止せずに間欠的な注水又は単位時間当たりの注水量を少なくした注水を行うように、前記パラメータを決定する
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の注水制御装置。 - 隔壁によって互いに区切られた区画群を有するケーソンへの注水を制御する注水制御方法であって、
水に浮かべられた前記ケーソンの傾斜角を取得する傾斜角取得ステップと、
各々の前記区画の水位を取得する水位取得ステップと、
前記傾斜角取得ステップにおいて取得された傾斜角が閾値を越えた場合に、前記水位取得ステップにおいて取得された水位の分布の傾向を特定する傾向特定ステップと、
前記傾向特定ステップにおいて特定された傾向に基づいて、前記傾斜角を小さくするために各々の前記区画に注水する水量、各々の前記区画に注水する時間の長さ、又は、各々の前記区画に注水する単位時間当たりの水量のうち、少なくとも1つのパラメータを決定する決定ステップと、
前記決定ステップにおいて決定されたパラメータに従って各々の前記区画に注水を行うように注水ポンプを制御する注水制御ステップと
を備える注水制御方法。
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