JP2013253273A - ニッケルの回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】硫酸ニッケル水溶液の精製プロセスにおいて、設備容量等を大きくすることなく効率的に、残渣に含まれることになるニッケルを低減させてニッケルの回収率を向上させることができるニッケル回収方法を提供する。
【解決手段】不純物としての鉄を含有する粗硫酸ニッケル水溶液に対し、空気を吹き込みながら中和剤を加えて所定のpH条件に制御することによって不純物としての鉄を酸化して中和し、鉄を水酸化第二鉄の残渣として固定除去する脱鉄工程S1と、脱鉄工程S1で得られた残渣をスラリーとし、そのスラリーに硫酸を添加して70〜110分間の攪拌時間で攪拌することによって、残渣中に含まれていた水酸化ニッケルを溶解させてニッケルを回収するニッケル回収工程S2とを有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ニッケルの回収方法に関し、より詳しくは、不純物としての鉄を含有する粗硫酸ニッケル水溶液中のニッケルの回収方法に関する。
ニッケルマットやニッケル水酸化物をニッケル原料として硫酸浸出して得られる粗硫酸ニッケル水溶液には、鉄、銅、砒素等の不純物元素が含まれている。粗硫酸ニッケル水溶液からこれらの不純物を除去する工程では、圧縮空気を吹き込んで酸化しながら、同時に中和剤を加える処理(以下、「酸化中和処理」という場合がある。)を行うことによって、不純物を沈殿させて除去している。
例えば、硫酸ニッケル水溶液の精製プロセスにおいては、図1の工程図に示されるように、粗硫酸ニッケル水溶液は、脱鉄第一工程と、溶媒抽出工程とを有する脱鉄浄液処理によって精製され、高純度な硫酸ニッケル水溶液となる。
溶媒抽出工程の前段に脱鉄第一工程を設けている理由として、不純物元素である鉄が溶媒抽出に際してクラッド発生の原因となり、また逆抽出の効率が悪くなり多量の強硫酸が必要となることが挙げられる。
この脱鉄第一工程では、粗硫酸ニッケル水溶液に対して圧縮空気を吹き込むことで水溶液中に含まれるFe2+をFe3+に酸化させ、中和剤(pH調整剤)として消石灰を添加して中和反応を行うことにより水酸化第二鉄を生成させて一次残渣として除去する。また、鉄以外のその他の不純物についても、同時に中和反応により水酸化物や硫酸塩として除去される。
脱鉄第一工程にて生成した一次残渣は、次の脱鉄第二工程において、水あるいは低Ni濃度の粗硫酸ニッケル水溶液によってレパルプされ、昇温後に70%硫酸が添加される。このとき、一次残渣中に共沈した一部の水酸化第一ニッケルが溶解されて粗硫酸ニッケル水溶液として回収されるが、溶解されずに残った水酸化第一ニッケルは、二次残渣に含まれるようになる。
脱鉄第二工程から得られる二次残渣は、系外へ払出されることから、二次残渣のニッケル品位が高いほどニッケル損失が増加することになる。また、二次残渣中に残留する水酸化第一ニッケル量が多いとスラリーの濾過性が非常に悪くなり、その結果として、二次残渣中の水分率が高くなることによって付着ニッケルの随伴によるニッケル損失の増加を招く。これまでの方法では、二次残渣中に残留するニッケル量は1wt%を超えている。
以上のように、脱鉄第二工程においては、一次残渣中に共沈した水酸化第一ニッケルをなるべく多く溶解してニッケル回収率を向上させ、さらに、二次残渣の濾過性を良好なものにすることによってニッケル回収率をより一層に向上させる方法が求められている。
例えば、その方法として、単純に、脱鉄第二工程の滞留時間(反応時間)を延長する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、反応槽の容量を大きくしなければならず、また所要時間が増大することで操業効率は著しく低下する。
また、ニッケルを含有する二次残渣の濾過性向上については、例えば特許文献1に、粗硫酸ニッケル水溶液中の不純物元素を除去する際に、酸化中和処理を2段階で行い、各段階において使用するpH調整剤の種類を変えることによって二次残渣の濾過性を向上させる方法が開示されている。しかしながら、この場合、pH調整剤の種類が増えることによって操業管理が煩雑となるため好ましくない。
また、例えば特許文献2には、粗塩化ニッケル水溶液に対してpH調整と塩素吹き込みを行うことによって得られる鉄澱物をレパルプし、得られたスラリーを特定の条件で攪拌することによってスラリーの濾過性を向上させる方法が開示されている。しかしながら、この方法は、粗硫酸ニッケル水溶液由来の残渣に対しては適用することができない。
特開2006−225217号公報 特開2010−43318号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、硫酸ニッケル水溶液の精製プロセスにおいて、設備容量等を大きくすることなく効率的に、残渣に含まれることになるニッケルを低減させてニッケルの回収率を向上させることができるニッケル回収方法を提供することにある。
本発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、硫酸ニッケル水溶液の精錬プロセスの脱鉄第二工程において、所定のpH条件の下、スラリーの滞留時間を所定の範囲に調整することによって、設備容量等を大きくすることなく、一次残渣中のニッケルの回収率を向上させることができることを見出した。
すなわち、本発明に係るニッケルの回収方法は、不純物としての鉄を含有する粗硫酸ニッケル水溶液中のニッケルの回収方法であって、上記粗硫酸ニッケル水溶液に対し、空気を吹き込みながら中和剤を加えて所定のpH条件に制御することによって上記不純物としての鉄を酸化して中和し、該鉄を水酸化第二鉄の残渣として固定除去する脱鉄工程と、上記脱鉄工程で得られた残渣をスラリーとし、該スラリーに硫酸を添加して70〜110分間の攪拌時間で攪拌することによって、該残渣中に含まれていた水酸化ニッケルを溶解させてニッケルを回収するニッケル回収工程とを有することを特徴とする。
ここで、上記ニッケル回収工程では、上記スラリーに硫酸を加えることによって該スラリーのpHを3.8〜4.2に調整することが好ましい。
また、上記ニッケル回収工程では、上記脱鉄工程で得られた残渣を、水又は当該ニッケル回収工程におけるニッケル回収後の粗硫酸ニッケル水溶液を繰り返し使用してスラリーとすることが好ましい。
また、上記ニッケル回収工程では、上記脱鉄工程で得られた残渣を、濃度200〜400g/Lのスラリーとすることが好ましい。
本発明によれば、設備容量等を大きくすることなく、最終的に得られる残渣中のニッケルロス量を低減して、ニッケルの回収率を向上させることができ、その工業的価値は極めて大きい。
粗硫酸ニッケル水溶液の精錬プロセスにおける脱鉄浄液処理の工程図である。 ニッケルの回収方法の工程図である。
以下、本発明に係るニッケルの回収方法の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更することができる。
本実施の形態に係るニッケルの回収方法は、例えば、粗硫酸ニッケル水溶液の精錬プロセスにおいて、粗硫酸ニッケル水溶液に含まれる不純物としての鉄を除去する脱鉄浄液処理に適用することができるニッケルの回収方法である。
図2は、本実施の形態に係るニッケルの回収方法の工程図である。このニッケルの回収方法は、例えば粗硫酸ニッケル水溶液の脱鉄浄液処理に適用されるものであって、不純物としての鉄を含有する粗硫酸ニッケル水溶液を酸化しながら中和する脱鉄工程S1と、脱鉄工程S1で得られた残渣(一次残渣)に含まれている水酸化ニッケルを溶解させ、鉄を除去するとともにニッケルを回収するニッケル回収工程S2とを有する。
<脱鉄工程>
脱鉄工程S1では、粗硫酸ニッケル水溶液を酸化しながら中和する酸化中和処理を行い、鉄等の不純物を含む一次残渣と脱鉄終液とを得る。
粗硫酸ニッケル水溶液は、例えばニッケル濃度100〜120g/L、鉄濃度0.4〜0.6g/Lの水溶液である。この粗硫酸ニッケル水溶液としては、例えばニッケル精錬工程において、ニッケル及びコバルトを含有する混合硫化物の塩素浸出液を浄液処理することによって得られたニッケル及びコバルトの水酸化物を原料とし、これを硫酸によって溶解することで得られた水溶液を用いることができる。また、この粗硫酸ニッケル水溶液は、不純物として、鉄のほか、アルミニウム、クロム、亜鉛、ヒ素、リン等を含有する。
脱鉄工程S1では、粗硫酸ニッケル水溶液に対して圧縮空気を吹き込むことによって、粗硫酸ニッケル水溶液中に含まれるFe2+をFe3+に酸化するとともに、中和剤(pH調整剤)としての消石灰や水酸化ナトリウム水溶液を添加して中和反応を生じさせてFe(OH)の沈殿物を生成させる。
より具体的に、例えばニッケル濃度100〜120g/L、鉄濃度0.4〜0.6g/Lの粗硫酸ニッケル水溶液に対して、反応温度50〜60℃の条件下で、圧縮空気を13〜20Nm/Hr吹き込みながら、pH5.0〜6.0になるように150〜250g/Lの消石灰スラリー液を添加する。これにより、水酸化第二鉄(Fe(OH))の沈殿と、その他の不純物成分の水酸化物あるいはカルシウム化合物が生成する。
脱鉄工程S1にて生成された水酸化第二鉄の沈殿やその他の不純物成分の沈殿物は、その後のフィルタープレス等による固液分離処理によって分離されて一次残渣となる。このとき、生成した一次残渣には硫酸ニッケル水溶液中のニッケルが共沈して含有されており、そのニッケル品位が約5〜12%となっている。
一方、脱鉄工程S1において、不純物からなる一次残渣が分離除去されて得られた脱鉄終液は、溶媒抽出処理が施されることによって精製され、不純物が除去された硫酸ニッケル水溶液となる。
<ニッケル回収工程>
ニッケル回収工程S2では、脱鉄工程S1で得られた一次残渣をスラリーとし、そのスラリーに対して硫酸を添加して攪拌することによって、鉄を除去するとともに、一次残渣中の水酸化ニッケルを溶解させてニッケルを回収する。
ニッケル回収工程S2では、先ず、脱鉄工程S1を経て得られた一次残渣を、水を用いてレパルプしてスラリーとする。または、ニッケル回収後の、例えば30〜50g/Lのニッケルを含む粗硫酸ニッケル水溶液、すなわちこのニッケル回収工程S2を経て不純物の鉄を除去した粗硫酸ニッケル水溶液を繰り返し用いてレパルプしてスラリーとしてもよい。
このようにして、一次残渣を水又は粗硫酸ニッケル水溶液を用いてレパルプすることによって、好ましくは200〜400g/Lの濃度のスラリーとする。スラリー濃度が200g/L未満では、一次残渣の処理効率が悪くなり、一方で、スラリー濃度が400g/Lを超えると、後述する硫酸添加によるニッケルの浸出率が低下する。
ニッケル回収工程S2では、次に、調整したスラリーを40〜60℃、より好ましくは45〜55℃に昇温する。スラリーの温度が40℃未満では、ニッケル回収工程S2を経て得られる二次残渣の濾過性が悪くなり、一方で、温度が60℃を超えると、操業の効率性が低下する。なお、スラリーの温度は、例えば加温設備を備えた反応容器を用いて所定温度に調整されるが、上述したレパルプ処理に際して、レパルプ水の温度を40〜60℃とすることによって調整してもよい。
そして、ニッケル回収工程S2では、そのスラリーに対して、例えば70%硫酸を添加して攪拌処理を施すことによって、一次残渣中に共沈した水酸化ニッケルを溶解してニッケルを浸出させ、硫酸ニッケル水溶液として回収する。
このとき、本実施の形態に係るニッケルの回収方法では、スラリーに硫酸を添加した後の攪拌時間を制御することが重要となる。具体的に、このニッケル回収工程S2では、スラリーに対して硫酸を添加して70〜110分の攪拌時間で攪拌する。
このように、攪拌時間を70〜110分としてスラリーを攪拌することによって、一次残渣中に含まれていた水酸化ニッケルを効率的に溶解させることができ、二次残渣として沈殿物となるニッケル量を低減させることができる。具体的には、二次残渣中のニッケル品位を1.0wt%以下とすることができる。これにより、効果的にニッケル回収ロスを減らすことができ、ニッケルの回収率を向上させることができる。
また、水酸化ニッケルを硫酸によって溶解させるに際しては、スラリーに添加する硫酸によって、そのスラリーのpHを所定の範囲に制御して攪拌処理を施すことがより好ましい。これにより、得られるスラリーの濾過性を向上させることができる。
具体的には、その硫酸の添加により、スラリーのpHを3.8〜4.2に調整することが好ましい。pHが3.8未満の場合には、スラリーの濾過速度が低下して濾過性が悪くなる。一方で、pHが4.2より大きい場合には、それ以上に濾過性の向上効果が得られないとともに、ニッケルの浸出率が悪くなる可能性がある。
ここで、スラリーの濾過速度が遅くなると、濾過装置に設置した濾布の劣化や脱水不良が生じて操作性が悪くなるとともに、スラリー中の付着ニッケル水量が増加してニッケル損失を招くことがある。すなわち、一次残渣から浸出したニッケルがスラリーに付着してニッケルの回収率を低下させてしまう。
このことから、上述のように硫酸の添加に基づいてスラリーのpHを上述した範囲に制御してスラリーの濾過性を向上させることによって、操作性を向上させて効率的な操業を可能にするとともに、ニッケルの損失を防ぎ、ニッケル回収ロスをより効果的に防止して回収率を向上させることができる。
ニッケル回収工程S2では、上述のようにして一次残渣に含まれるニッケルを浸出させると、残存した鉄等の不純物を含む残渣(二次残渣)をフィルタープレス等によって固液分離し、ニッケルを含有する水溶液を回収する。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るニッケルの回収方法は、不純物としての鉄を含有する粗硫酸ニッケル水溶液に対して酸化中和処理を施して得られた残渣をスラリーとして、そのスラリーに対して硫酸を添加しながら70〜110分間の攪拌処理を施す。また、より好ましくは、スラリーに対する硫酸の添加よって、スラリーのpHを3.8〜4.2に調整して攪拌処理を施す。
このような方法によれば、設備容量等を大きくする等の措置を講ずることなく、残渣中に含まれるニッケルの浸出率を高めてニッケル回収率を向上させることができる。また、このようにニッケルの浸出率が高まり、二次残渣に含まれることになるニッケル量が低減されるため、そのスラリーの濾過性が向上し、固液分離に際して浸出したニッケルがスラリーに付着してニッケル損失が発生することを防止することができる。
さらに、上述のようにスラリーに対する硫酸の添加よってスラリーのpHを3.8〜4.2に調整して攪拌処理を施すことによって、より一層に、そのスラリーの濾過性を向上させることができるので、高い操作性で以って処理できるとともに、スラリー中に溶出させたニッケルがスラリーに随伴することによるニッケル損失の発生を防ぐことができる。
以下に本発明についての実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
本実施例及び比較例において、一次残渣並びに二次残渣中のNi品位についてはXRF測定を行うことによって評価した。また、下記の実施例3〜6においては、真空ポンプ(到達圧力4×10Pa,排気量6L/min)と直径110mm目開き1μmの濾紙を用いて、100mLのスラリー液を真空濾過することで、スラリーの濾過性を評価した。
(実施例1)
硫酸ニッケルの精製プロセスにおいて、粗硫酸ニッケル水溶液に対して以下の処理を行った。すなわち、先ず、第1工程(脱鉄工程)として、ニッケル濃度110g/L、鉄濃度0.5g/Lの粗硫酸ニッケル水溶液に対して、反応温度55℃として、圧縮空気を16Nm/Hr吹き込みながら、pH5.3になるように190g/Lの消石灰スラリー液を中和剤(pH調整剤)として添加することによって酸化中和処理を行った。
その後、フィルタープレスにより固液分離し、水酸化第二鉄とその他の不純物成分の水酸化物又はカルシウム化合物からなる一次残渣を得た。分離された一次残渣のニッケル品位を測定したところ、8%のニッケルを含んでいた。
次に、第2工程(ニッケル回収工程)として、2m容量の槽を用いて、固液分離した一次残渣に粗硫酸ニッケル水溶液を添加して濃度200〜400g/Lのスラリーとし、スラリーの温度を45〜55℃に昇温した後、70%硫酸を添加することによってpHを4.0となるように調整し、槽内で70分間攪拌して滞留させた。
反応終了後、得られたスラリーを濾過し、水で洗浄した後の二次残渣中のニッケル品位及びそのスラリーの濾過性を測定した。
(実施例2)
一次残渣に粗硫酸ニッケル水溶液を添加したスラリーに70%硫酸を添加して、攪拌時間を90分間として攪拌して滞留させたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
(実施例3)
一次残渣に粗硫酸ニッケル水溶液を添加したスラリーに70%硫酸を添加することによってpHを3.8となるように調整したこと、及び攪拌時間を110分間として攪拌して滞留させたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
(実施例4)
一次残渣に粗硫酸ニッケル水溶液を添加したスラリーに70%硫酸を添加することによってpHを3.9となるように調整したこと、及び攪拌時間を110分間として攪拌して滞留させたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
(実施例5)
一次残渣に粗硫酸ニッケル水溶液を添加したスラリーに70%硫酸を添加することによってpHを4.2となるように調整したこと、及び攪拌時間を110分間として攪拌して滞留させたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
(比較例1)
一次残渣に粗硫酸ニッケル水溶液を添加したスラリーに70%硫酸を添加して、攪拌時間を20分間として攪拌して滞留させたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
(比較例2)
一次残渣に粗硫酸ニッケル水溶液を添加したスラリーに70%硫酸を添加して、攪拌時間を40分間として攪拌して滞留させたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
(比較例3)
一次残渣に粗硫酸ニッケル水溶液を添加したスラリーに70%硫酸を添加して、攪拌時間を60分間として攪拌して滞留させたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
下記表1に、上述した各実施例及び比較例における処理結果をまとめて示す。なお、表1中におけるニッケル(Ni)品位(%)の評価として、ニッケル品位が1.0%以下のものを『○』とし、ニッケル品位が1.0%より高いものを『×』とした。
Figure 2013253273
上記表1に示されるように、一次残渣を含んだスラリーに対する攪拌時間を70〜110分間とした実施例1〜6では、得られた二次残渣中のニッケル品位が1.0wt%以下となり、極めてニッケル品位の低い二次残渣を得ることができた。一方で、攪拌時間を70分未満とした比較例1〜3では、得られた二次残渣のニッケル品位が1.0wt%を超えていて、多くのニッケルが残留して回収ロスとなった。
この結果から、攪拌時間を70〜110分間としてスラリーを攪拌して反応させることによって、ニッケルをスラリー中に効果的に浸出させることができ、ニッケル回収率を向上させて残渣となるニッケル量を大幅に低減できることが分かった。
また、攪拌時間を110分間として一定とし、硫酸によって調整したスラリーのpHを、それぞれ3.8〜4.2と変化させた実施例3〜6に関して、pHが低いものほど二次残渣中のニッケル品位が低くなることが分かった。特に、pHを3.8とした実施例3では、ニッケル品位が0.4%となった。しかしながら、スラリーの濾過速度に関しては、実施例3では0.68m/(m・Hr)となり、他の実施例4〜6に比べて遅くなってしまった。
このことから、硫酸によってpH3.8〜4.2となるように調整した上で攪拌時間を70〜110分間として攪拌することがより好ましく、これによって、生成する二次残渣中のニッケル品位を低減させて高い回収率でニッケルを回収できるとともに、スラリーの濾過性を高めて効率的な操業を行うことができることが分かった。

Claims (4)

  1. 不純物としての鉄を含有する粗硫酸ニッケル水溶液中のニッケルの回収方法であって、
    上記粗硫酸ニッケル水溶液に対し、空気を吹き込みながら中和剤を加えて所定のpH条件に制御することによって上記不純物としての鉄を酸化して中和し、該鉄を水酸化第二鉄の残渣として固定除去する脱鉄工程と、
    上記脱鉄工程で得られた残渣をスラリーとし、該スラリーに硫酸を添加して70〜110分間の攪拌時間で攪拌することによって、該残渣中に含まれていた水酸化ニッケルを溶解させてニッケルを回収するニッケル回収工程と
    を有することを特徴とするニッケルの回収方法。
  2. 上記ニッケル回収工程では、上記スラリーに硫酸を加えることによって該スラリーのpHを3.8〜4.2に調整することを特徴とする請求項1に記載のニッケルの回収方法。
  3. 上記ニッケル回収工程では、上記脱鉄工程で得られた残渣を、水又は当該ニッケル回収工程におけるニッケル回収後の粗硫酸ニッケル水溶液を繰り返し使用してスラリーとすることを特徴とする請求項1又は2に記載のニッケルの回収方法。
  4. 上記ニッケル回収工程では、上記脱鉄工程で得られた残渣を、濃度200〜400g/Lのスラリーとすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のニッケルの回収方法。
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