JP2013253017A - ガラス基板の形状誘起面内応力温度補償 - Google Patents

ガラス基板の形状誘起面内応力温度補償 Download PDF

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Abstract

【課題】延伸プロセスによって作成されるガラスシートからサブピースに切り分けられる際にガラス基板が示す歪の大きさを低減出来るディスプレイ用ガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】ガラスが延伸されるにつれて、ガラスは硬化帯温度範囲(SZTR)31を通過し、平坦化されたときにガラスシート13に誘起される面内応力を補償するためにリボンに沿う少なくとも1つの縦方向位置にガラスリボン15を横断する温度分布を形成して温度補償することにより、サブピースに切り分けられた時の歪みを制御されたレベルとする。ガラスの粘度,ヤング率及び冷却速度で定義される硬化パラメータ(SZP)があり、延伸速度で延伸される時、当該SZTRは式:2.7≦SZP≦55.8を満足し、ガラスの歪点より高い温度範囲で操作される。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)のようなディスプレイデバイスに基板として用いられるガラスシートのような、ガラスシートの製造に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えばそのようなディスプレイの製造中、サブピースに切り分けられる際にガラス基板が示す歪の大きさを低減する方法に関する。
ディスプレイデバイスは様々な用途に用いられている。例えば、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT-LCD)が、少数の例を挙げれば、ノートブックコンピュータ、フラットパネルデスクトップモニタ、LCDテレビジョン並びにインターネット及び通信デバイスに用いられている。
TFT-LCDパネル及び有機発光ダイオード(OLED)パネルのような、多くのディスプレイデバイスは平ガラスシート(ガラス基板)上に直接つくられる。製造スループットを上げ、コストを低減するため、一般的なパネル製造プロセスでは単一基板上または基板のサブピース上に複数のパネルが同時に作成される。そのようなプロセスの様々な時点において、基板は切断線に沿ってサブピースに分割される(例えば、以下のV(B)節における「組立後切断」及び「切断後組立」の議論を見よ)。
そのような切断はガラス内の応力分布、特にガラスが真空平坦化されている場合に見られる面内応力分布を変化させる。さらに一層詳しくは、切断は切断線において応力を解放し、よって切断エッジにかかる牽引力が消失する。そのような応力解放の結果、一般に、ガラスサブピースの真空平坦化形状に、ディスプレイ製造業者によって「歪」と称される現象である、変化が生じる。形状変化の量は一般に極めて小さいが、最近のディスプレイに用いられるピクセル構造から見れば、切断で生じる歪はかなりの数の欠陥(不合格)ディスプレイをもたらすに十分に大きくなり得る。したがって、歪問題はディスプレイ製造業者にとってかなり重要であり、切断の結果として許容され得る歪に関する仕様は2μm以下にも小さくなり得る。
本発明は歪の制御、特に、ダウンドロープロセス、融合ダウンドロープロセス、アップドロープロセス、フロートプロセスまたは同様のプロセスのような、延伸プロセスによって作成されるガラスシートから切り分けられるサブピースにおける歪を制御する方法に向けられる。
本発明により、歪レベルの低減に肝要な役割を果たす、延伸プロセスによって作成されるガラスリボンに沿う温度範囲が識別された。ガラスが延伸されるにつれて、ガラスはこの臨界範囲を通過し、この範囲に関連付けられるリボン横断温度分布及び/またはリボン横断形状が、リボンから作成されるガラスシートから切り分けられるサブピースが示す歪の量の枢要な決定要素である。
この温度範囲は本明細書で「硬化帯温度範囲」またはSZTRと称され、いずれか特定のガラス組成及び延伸速度に対してこの範囲を決定できる方法が、以下のV(D)(3)節で論じられる。語句「硬化温度」はガラス−金属間封止に関してガラス作成技術において既に用いられている。エイチ・イー・ヘイギー(H. E. Hagy)及びエイチ・エヌ・リトランド(H. N. Ritland),「ガラス−金属間封止における粘性流(Viscous flow in glass-to-metal seals)」,Journal of the American Ceramic Society,第40巻,p.58〜62を見よ。また、ASTM F-144-80も見よ。これらの参考文献によって決定される硬化温度値はガラスの歪点より約25℃程度高い。一方、本発明の硬化帯温度範囲はそれよりかなり高い温度にある。この差の主な原因は延伸プロセスにおいてガラスリボンが受ける高冷却速度である。この高冷却速度により、ガラスは歪点より十分高い温度、例えば、LCD用途に一般に用いられるタイプのガラスに対して歪点よりほぼ75〜150℃高い温度で、「硬化」を受けさせられる。
上述の観点から、第1の態様にしたがえば、本発明は延伸速度を有する延伸プロセス(例えば融合ダウンドロープロセス)によって作成されるガラスリボン15から切り取られるガラスシート13から切り分けられるサブピースが示す歪を制御する方法を提供する。ガラスは延伸速度に対する硬化帯温度範囲(SZTR)を有し、ガラスリボンは中心線を有し、本方法は、
(a) リボンの中心線におけるガラスがSZTR内の温度を有する、リボンに沿う1つ以上の縦方向位置(例えば図1の領域31内位の位置)におけるリボンに対してリボン横断形状を決定する工程、及び
(b) リボンから切り取られるガラスシートの全数(例えば全数で連続50シート)が、全数内のそれぞれのシートについて、シートから切り分けられるサブピースについて2μmの最大歪を有するように、工程(a)において決定された1つ以上のリボン横断形状の内の少なくとも1つに基づいて、リボンに沿う1つ以上の縦方向位置(例えばSZTR内にあることが好ましい位置)におけるリボン横断温度分布を形成する工程、
を含み、全数のそれぞれのシートは0.25m以上の面積を有する。
第2の態様にしたがえば、本発明は、延伸速度を有する延伸プロセスによって作成されるガラスリボン15から切り取られるガラスシート13から切り分けられるサブピースが示す歪を制御する方法を提供する。ガラスは延伸速度に対する硬化帯温度範囲(SZTR)を有し、ガラスリボンは中心線を有し、本方法は、リボンから切り取られるガラスシートの全数(例えば全数で連続50シート)が、全数内のそれぞれのシートについて、シートから切り分けられるサブピースについて2μmの最大歪を有するように、リボンの中心線におけるガラスが実質的に無重力の条件下でのガラスシートについての代表的形状(例えば、延伸プロセスによってつくられた一連のガラスシートに対して実質的に無重力の条件下で測定及び/または計算される平均形状)に基づくSZTR内の温度を有するリボンに沿う1つ以上の縦方向位置における、リボン横断温度分布を形成する工程を含み、全数内のそれぞれのシートは0.25m以上の面積を有する。
第3の態様にしたがえば、本発明は、延伸速度を有する延伸プロセスによって作成されるガラスリボン15から切り取られるガラスシート13から切り分けられるサブピースが示す歪を制御する方法を提供する。リボンは中心線を有し、本方法は、
(i) ガラスについての延伸速度に対する硬化帯温度範囲(SZTR)を決定する工程、及び
(ii) リボンから切り取られるガラスシートの全数(例えば全数で連続50シート)が、全数内のそれぞれのシートについて、シートから切り分けられるサブピースについて2μmの最大歪を有するように、リボンの中心線におけるガラスが真空平坦化条件下でのガラスシートについての代表的な応力分布(例えば、延伸プロセスによって作成される一連のガラスシートに対して真空平坦化条件下で測定及び/または計算される平均応力分布)に基づくSZTR内の温度を有するリボンに沿う1つ以上の縦方向位置における、リボン横断温度分布を形成する工程を含み、全数内のそれぞれのシートは0.25m以上の面積を有する。
第4の態様にしたがえば、本発明は、延伸プロセスによって作成されるガラスリボン15から切り取られるガラスシート13から切り分けられるサブピースが示す歪を制御する方法であって、延伸プロセスが、
(a) 延伸プロセスによって作成されるガラスシート及び/またはサブピースについての一次元データまたは二次元データ(例えば、形状データ、応力データ、または等価なデータ)を得る工程、
(b) データを成分に分解する工程、成分は少なくとも第1の成分(例えば図17の空間成分69)及び第2の成分(例えば図17の空間成分71)を含み、
(i) 第1の成分は第1の空間周波数成分を有し、第2の成分は第2の空間周波数成分を有する、及び
(ii) 第1の空間周波数成分は第2の空間周波数成分より低い空間周波数に対応する、
及び
(c) 延伸プロセスに用いられる少なくとも1つのパラメータ(例えば、SZTRまたはリボンの長さに沿うどこか別の位置におけるリボン横断温度分布)の選択において第1の成分を用いる工程、
を含む、方法を提供する。
他の態様にしたがえば、本発明は、リボン横断形状へのリボン横断温度分布の効果のコンピュータモデルを用いる反復法を含む、制御されたレベルの歪を達成するリボン横断温度分布を決定するための反復法を提供する。
説明を容易にするため、本発明はガラスシートの作成に関して説明され、特許請求される。本明細書及び特許請求の範囲にわたって、語句「ガラス」がガラス材料及びガラス−セラミック材料のいずれも包含するとされることは当然である。
また語句「リボン横断温度分布」はガラスリボンの表面における温度分布を意味する。そのような温度分布は、高温計及び/または接触熱電対を用いるような、技術上既知の様々な技法によって測定することができる。
さらに、語句「面内形状変化」は、ガラスシートが平表面に対して平坦化された結果として示す形状の変化を指し、語句「歪」はサブピースがより大きなガラスシートから切り分けられるときに生じるサブピースの形状(特に、真空平坦化されたときの形状)の変化を指す。
定量的に、「シートから切り分けられるサブピースについての最大歪」は、シートを面積が等しい2つのサブピースに切り分ける前及び切り分けた後に真空平坦化条件下で実施される距離測定を用いて決定される。詳しくは、2つのサブピースのそれぞれについて、切分け前後の真空平坦化条件下での、対角線距離の変化を含む、サブピースの4つのコーナー点の内のいずれか2つの間の距離の最大変化が決定される。すなわち、切分け前のシートについて真空平坦化条件下で測定がなされ、次いで個々のサブピースについて同じく真空平坦化条件下で測定がなされる。したがって、これらの2つの最大値の内の最大値が「そのシートから切り分けられるサブピースについての最大歪」である。ディスプレイパネル製造業者の中には上述の定義とは若干異なる最大歪の定量的定義を現在用いている製造業者もある。しかし、上述の定義はそのような他の定義と相関し、上述の定義には全ての場合において容易に決定できるという利点がある。
本発明の様々な態様の上記要約に用いられる参照数字は読者の便宜のためでしかなく、本発明の範囲の限定は目的とされず、また本発明の範囲を限定すると解されるべきではない。より概括的には、上述の全般的説明及び以下の詳細な説明はいずれも、本発明の例示にすぎず、本発明の本質及び特徴の理解のための概要または枠組みの提供が目的とされていることは当然である。
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明に述べられ、当業者には、ある程度は、その説明から容易に明らかであろうし、本明細書に説明されるように本発明を実施することによって認められるであろう。添付図面は本発明のさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて本明細書の一部をなす。本明細書及び図面に開示される本発明の様々な特徴がいずれかのまたは全ての組合せで用いられ得ることは当然である。
図1は本発明の例示実施形態にしたがう融合ガラス作成装置の略図である。SZTR31の縦方向位置が本図に簡略に示される。 図2Aはリボン横断温度分布の形成に用いることができる、冷却バイヨネットの略図である。 図2Bはリボン横断温度分布の形成に用いることができる、冷却バイヨネットの略図である。 図2Cはリボン横断温度分布の形成に用いることができる冷却、バイヨネットの略図である。 図3は、ドーム高がδの、球形ガラスシートの図面である。 図4は平坦化されたときに図3のシートによって発現されるエッジ応力を示す図面である。 図5は図4のエッジ応力を補償するであろう温度プロファイルの計算に用いることができる座標系を示す図面である。 図6は図3の球形ガラスシートの幾何構造を示す図面である。 図7は図4の形状誘起エッジ応力を補償するために用いることができる温度プロファイルの図面である。 図8は図7の温度プロファイルによって生じる熱エッジ応力を示す図面である。 図9は図4の形状誘起エッジ応力をある程度補償するために用いることができる一次元温度プロファイルを示す図面である。 図10は図9の温度プロファイルによって生じる熱エッジ応力を示す図面である。 図11は図9の温度プロファイルを2倍して生じる熱エッジ応力を示す図面である。 図12は楕円形ガラスシートの図面である。 図13は平坦化されたときの図12のシートにともなう形状誘起エッジ応力を補償するために用いることができる温度プロファイル(スパン方向温度変化)の図面である。 図14Aは図12のシートが平坦化されたときに生じる形状誘起エッジ応力の図面である。 図14Bは図13の温度プロファイルによって生じる熱エッジ応力を示す図面である。 図15はF比が5の楕円形ガラスシートの平坦化にともなう形状誘起エッジ応力を補償するために用いることができる温度プロファイルの図面である。 図16はF比が10の楕円形ガラスシートの平坦化にともなう形状誘起エッジ応力を補償するために用いることができる温度プロファイルの図面である。 図17は、長スケール(長距離;低空間周波数)成分と短スケール(短距離;高空間周波数)成分へのエッジ応力分布の分解を示す。図17の縦軸は任意単位での応力であり、横軸はm単位でのガラスシートのエッジに沿う距離である。 図18はSZTRの上限及び下限の決定に用いられる温度分布を示す略図である。 図19は図18の線S及びMに対するアイソパイプのルートからの距離の関数としての温度を示す図面である。 図20はΔT影響域の広がりの関数としての残留応力を示すグラフである。 図21は図20を硬化帯パラメータ(SZP)のη軸に沿って見たグラフである。 図22は図20を硬化帯パラメータ(SZP)のη軸に沿って見たグラフである。
V(A):ディスプレイパネル作成に用いられるガラス基板内の応力
ディスプレイパネル、例えば液晶ディスプレイパネルの製造に用いられるガラス基板は薄いという共通の特徴を有する。例えば、基板厚は最大で1.1mm,より一般には約0.7mmであり、将来はさらに薄くなり得る。そのように薄いため、基板は座屈によって長距離面内応力を解放でき、完成状態及び製造中のいずれにおいてもそうすることができる。
V(B):完成基板の座屈及び歪におけるその役割
完成ガラス基板が無重力または実質的に無重力の環境(例えば、ガラスと同じ密度を有する液体内)におかれれば、基板は本質的に長距離面内応力を有していないであろう。むしろ、座屈により、基板は長距離面内応力が解放された形状をとるであろう。フラットパネルディスプレイ製造に用いるための代表的な基板について、座屈によって解放され得る長距離面内応力は約30mmより大きい空間周期を有する面内応力である。いくらかの短距離応力、例えば約10mm以下の面内距離にわたる応力は解放され得ないが、より長い面内距離にわたっては、座屈機構が面内応力を実質的に除去するようにはたらくであろう。
歪(以下を見よ)に関し、重要な面内応力は30mmより実質的に長い空間周期を有する面内応力であることに注意すべきである。特に、基板をサブピースに切り分ける際に歪を生じさせる面内応力は、基板の幅の約1/4より、例えば1m幅の基板に対しては250mmより長い周期をもつ応力である。そのような空間周期は30mmよりかなり長いから、これにともなう面内応力は基本的に座屈によって完全に解放される。
一般的な場合、平坦化された基板における面内応力は二次元分布を有することにも注意すべきである。そのような分布は空間成分に関して解析することができる。無重力または実質的に無重力の条件において、比較的低い空間周波数(比較的長い空間周期)を有する空間成分は座屈によって解放され得るが、比較的高い空間周波数(比較的短い空間周期)を有する空間成分は一般に解放され得ない。上で論じたように、フラットパネルディスプレイ用の代表的な基板について、座屈が面内応力の解放に有効な長空間周期と座屈が有効になり得ない短空間周期の間の遷移は一般に30mm以上の範囲にある。本明細書に用いられるように、「長距離面内応力」は、例えば30mm以上の範囲にある、長空間周期を有する空間成分である。
座屈の結果は、もちろん、非平坦基板形状の発生である。すなわち、例えば真空の印加(以下を見よ)によって、平坦化されたときに基板が長距離面内応力を示せば、そのような基板は無重力または実質的に無重力の環境におかれたときに非平坦形状を有するであろう。そのような環境から取り出されて平表面上に(ただし、その表面に対する積極的な平坦化はなされずに)おかれれば、重力の作用の結果として、いくらかの面内応力がガラス内に発現するであろう。また、同じく重力の作用により、形状も変化するであろう。すなわち、無重力または実質的に無重力の環境内の、座屈が生じた、実質的に無応力の完成基板は、重力の作用の結果として、平表面上では、座屈が生じた、有応力基板になるであろうが、座屈は無重力または実質的に無重力の状態における座屈と異なるであろう。
完成基板が平表面に対して、表面の背後からの真空の印加により表面に向けて引き付けられることによる(例えば真空プラテン上に引き付けられることによる)か、あるいは(例えば基板が2つの平プラテンに挟み込まれていれば)別の平表面によって平表面に押し付けられることによって積極的に平坦化されれば、座屈は除去されるであろうが、その代り、基板は長距離面内応力を示すであろう。そのような長距離面内応力は、続いて、長距離面内歪、すなわち基板の長距離面内変位を生じさせるであろう。本発明のいくつかの実施形態におけるように、(以下を見よ)無重力環境における形状が「展開可能」形状(エス・ティモシェンコ(S. Timoshenko)及びエス・ワイノウスキー−クリーゲル(S. Woinowsky-Krieger)著,「平板及び殻の理論(Theory of Plates and Shells)」,第2版,1959年,MacGraw-Hill Book Company,P.47,及びエル・ピー・アイゼンハート(L. P. Eisenhart)著,「テンソル計算の使用による微分幾何学入門(Introduction to Differential Geometry With Use of the Tensor Calculus)」,1947年,Princeton University Press,p.54を見よ)である場合を除き、面内変位は面内形状変化を生じさせるであろう。例えば、無重力または実質的に無重力の環境において直角を定めるであろう基板表面上の基準マークは、基板が平表面上に真空で引き付けられたときにはもはや直角を定めないであろう。
フラットパネルディスプレイの製造において、基板は、プロセス工程中(例えばフォトリソグラフィ工程中)に平プラテン上に真空で引き付けられ、また、例えばパネルへの組立中に2つの平プラテンの間に挟み込まれる。例えば液晶ディスプレイにおいては、一組のトランジスタアレイを載せている基板及び一組のフィルタアレイを載せている第2の基板が組立中に平プラテンの間に挟み込まれ、液晶材料がトランジスタアレイとフィルタアレイの間に封入される。そのような平坦化が行われる毎に、基板は面内形状変化を示すであろう。
平坦化時のそのような形状変化は、一般に、パネル製造プロセスを通して同じままであれば許容され得る。例えば、一組のトランジスタアレイ(例えば3×3行列の9アレイの組)が、基板が平坦化された状態にある間(例えば基板が真空プラテン上に引き付けられている間)に形成され、同じく平坦化された状態にある第2の基板上に、対応する一組のフィルタアレイが形成され、次いで第1の基板と第2の基板が一緒に平プラテンの間に挟み込まれ、接合されて一組のパネルが形成される場合、アレイ形成中及び組立中に同じ面内形状変化がおこるから、平坦化の結果としての基板の面内形状変化は一般に歩留を低下させない。すなわち、組立中に、トランジスタアレイとフィルタアレイはそれぞれが形成されたときにそれぞれが示した面内形状変化と同じ面内形状変化を示すであろうから、それぞれを互いに対して正確に位置合せすることができる。個々のパネルが組立品から切り分けられるときに、そのようなパネルのコンポーネントは切分け前に強固に接合されているから、トランジスタアレイとフィルタアレイの形状変化は基本的に同じであろう。
ディスプレイ製造業者は上述したタイプのプロセスを「組立後切断」と称し、このプロセスのため、平坦化の結果としての面内形状変化は現在、製造コストを実質的に高める要因とは見なされていない。
しかし、ディスプレイ製造業者は「切断後組立」として知られるプロセスも用いる。このプロセスにおいては、基板が平坦化されている間に基板上に一組のトランジスタアレイが形成される(例えば9トランジスタアレイが3×3行列で形成される)。その後、基板はサブピースに(例えば、それぞれが3トランジスタアレイを有する3つのコラムに)切り分けられる。同じ手法が続けてフィルタアレイに用いられる。すなわち、フィルタアレイが基板上に形成され、次いで基板がサブピースに切り分けられる。次いで、トランジスタアレイを載せているサブピース(例えば3トランジスタアレイのコラム)がフィルタアレイを載せているサブピース(例えば3フィルタアレイのコラム)と位置合せされ、次いでこれらのサブピースはプラテン間で平坦化されて接合される。最後に、組み立てられたサブピースから個々のパネルが切り分けられる。
この「切断後組立」プロセスは、欠陥製品が低減されるから、例えば無欠陥カラーフィルタと無欠陥トランジスタの位置合せを容易にするから、新しい製造ラインまたはプロセスが初めて商業生産に投入される場合に用いられることが多い。「切断後組立」がディスプレイ製造プロセスの寿命にわたって用いられる場合もあるが、多くの場合、欠陥レベルが下がってしまえば「組立後切断」プロセスへの切り換えが行われる。
「組立後切断」プロセスにおけるように、「切断後組立」プロセスで形成された組立後サブピースからの個々のパネルの切り分けは一般に、コンポーネントが互いに強固に接合された後に切分けが行われ、したがってトランジスタアレイとフィルタアレイの位置合せが維持されるから、形状変化問題を生じない。しかし、基板からのトランジスタサブピース及びフィルタサブピースの切分けは歪問題を引きおこす。
これは、切断線において応力が解放され、したがって、組立工程中にサブピースが平坦化されると、サブピースは一般に同じ面内応力を発生せず、したがってサブピースはもはや完全な基板の一部ではない結果として異なる形状変化を示すからである。そのような歪は、十分に大きければ、トランジスタアレイとフィルタアレイの間に許容できない位置合せずれを生じさせ得る。
そのような歪は、全てのサブピースが正確に同じ歪を示せば、そのような場合には、少なくとも理論的にはその歪をディスプレイ製造プロセスにおいて考慮することができるから、フラットパネルディスプレイの製造において深刻な問題にはならないであろう。しかし、サブピースは一般に同じ歪を示さない。サブピースが同じ基板から切り分けられる場合でさえも、無重力または実質的に無重力の環境において基板の異なる部分が異なる長距離座屈パターンを有していれば、基板が切断線に沿ってサブピースに切り分けられる際に、異なる切断線においては(異なる長距離座屈パターンに対応する)異なる長距離面内応力分布が解放され、よって無重力または実質的に無重力の環境における個々のサブピースの座屈パターンが異なり、したがってそのような個々のサブピースは異なる歪を示すであろうから、そうなる。
上記歪問題の解決策は、もちろん、直截的である−基板及び/または基板のサブピースが平坦化されたときに低レベルの長距離面内応力を示せば、基板及び/またはサブピースはそのような条件の下で低レベルの変形(変位)を示し、よって低レベルの歪を示す。課題は歪問題の根源の認識にはなく、むしろ、平坦化された基板及び/またはサブピースにおける低レベルの長距離面内応力を達成できる実用的な製造プロセスの開発にあった。本発明はそのような製造プロセスに向けられる。
V(C):リボン横断形状及びリボン横断温度分布
一般に、「切断後組立」プロセスにおいては単一基板から複数のサブピースが作成される。翻って、単一基板は一般に、個々の基板がそれから切り取られるガラスのリボンを作成する、ダウンドロー(例えば融合ダウンドロー)プロセス、アップドロープロセスまたはフロートプロセスのような、連続製造プロセスによって作成される。
そのような連続製造プロセスは、適する形成装置、例えばオーバーフロー型のダウンドロープロセス(以下のV(D)(2)節における図1の議論を見よ)の場合における「アイソパイプ」によってリボンに形成される溶融ガラスを作成するための原材料の溶融工程及び精製工程を含む。形成されると、リボンは冷却され、冷却はリボンを構成するガラスに、応力が迅速に解放される粘弾性材料から、引張応力を支持できるが圧縮応力には座屈で応答する傾向がある、薄い弾性材料への転移を受けさせる。
粘弾性材料から弾性材料への転移は複雑な現象であるが、第一近似として、転移はリボンの長さに沿う特定の区域(転移帯)でおこると考えることができる。転移帯はガラスがガラス転移温度範囲(GTTR)を通過するリボン部分にある。
そのようなリボンから切り取られる基板(及び/または基板から切り分けられるサブピース)が平坦化されたときに示すであろう面内応力に関しては、転移帯におけるリボンの、(1)リボンの横方向の形状(リボン横断形状)及び(2)リボンの横方向の温度分布(リボン横断温度分布)の2つの特性が重要である。第一近似に対し、転移帯において、リボンは応力が迅速に解放される粘弾性材料であるかまたは直前まで粘弾性材料であったから、リボンは実質的に無応力である。同様に、また同じく第一近似に対し、リボンにかかる機械的な力の効果は転移帯において二次的であり、よって主要な考察対象はリボン横断形状及びリボン横断温度分布である。
最も単純な場合(場合1)は転移帯におけるリボン横断形状が実質的に平坦であり、転移帯におけるリボン横断温度分布も実質的に平坦(すなわち実質的に一様)である場合である。転移帯においては実質的にガラスに応力はなく(上を見よ)、実質的に平坦な温度分布を室温まで冷却しても、少なくとも第一近似に対し、実質的にガラス内に面内応力は発生せず(冷却時にガラスの全部分が実質的に等しく収縮するであろう)、よって室温における形状は、同じく第一近似に対し、転移帯における形状と実質的に同じであろう。すなわち、形状は実質的に平坦であろう(室温において実質的に面内応力がないから、無重力条件下及びガラスが平表面で支持されるときの重力条件下のいずれにおいても実質的に平坦であろうことに注意されたい)。実質的に平坦な形状は、もちろん、平坦化に際して実質的に応力が発生しないことを意味し、これは、望まれるように、基板から切り分けられたサブピースに実質的に歪がないことを意味する。
実質的に平坦なリボン横断温度分布は、より一般的な一様リボン横断温度勾配の特別な例である(すなわち、傾きがゼロの一様リボン横断温度勾配である)。一様リボン横断温度勾配は、さらに、一様リボン横断熱歪勾配を生じる温度分布の一般的な場合の一例である。特に、一様リボン横断温度勾配は一定の熱膨張係数(CTE)に対して一様熱歪勾配を生じる温度分布である。しかし、転移帯において一般的であるように、CTEが一定でないと、一様リボン横断熱歪勾配を達成するには非一様なリボン横断温度勾配が必要である。例えば、ビー・エイ・ボイル(B. A, Boyle)及びジェイ・エイチ・ウィーナー(J. H. Wiener)著,「熱応力の理論(Theory of Thermal Stress)」,1960年,(米国ニューヨーク州ミネオラ(Mineora)),Dover Publications,p.272〜277を見よ。一般に、実質的に平坦なリボン横断形状と一様リボン横断熱歪勾配を生じる温度勾配の組合せは、第一近似に対し、室温で実質的に平坦な形状を生じさせる。平坦リボン横断温度分布はこの組合せの特別な例である。
次に最も単純な場合(場合2)は、転移帯におけるリボン横断温度分布は実質的に平坦であるが、転移帯におけるリボン横断形状は平坦ではない場合である。転移帯における非平坦形状は、ガラスの温度がより低く、したがってガラスが弾性を示す、転移帯を過ぎた領域において非平坦形状を有するシートから生じ得る。低温領域におけるそのような非平坦形状は、実際上、転移帯に戻され、粘弾性材料から弾性材料ヘの転移をガラスが受けるにつれて、転移帯においてガラスに与えられる。この転移の結果、与えられた形状がガラスに「凍結」される。
様々な要因がリボンの弾性部分に非平坦形状をとらせ得る。第1に、リボンの延伸にともなう力、例えば引張ロールによって与えられる力、及びリボンからの基板の切取りにともなう力を含む、様々な機械的力がリボンの弾性部分に作用する。そのような力は、リボン内の長期持続形状及び持続時間の短い形状(例えばリボンの一時的振動による形状)のいずれをも生じさせ得る。エル・ユクラインチク(L. Ulrainczyk)の名で2005年5月6日に出願され、共通に譲渡された、名称を「脆性材料における超音波誘起クラック伝搬(Ultrasonic Induced Crack Propagation in a Brittle Material)」とする、米国特許出願第11/124435号の明細書、ジェイ・コックス(J. Cox),エム・ジョセフ(M. Joseph)及びケイ・モーガン(K. Morgan)の名で2005年5月17日に出願され、共通に譲渡された、名称を「移動している脆性材料リボンから材料の一枚板を分離する方法及び装置(Method and Apparatus for Separating a Pane of Brittle Material From a Moving Ribbon of the Material)」とする、米国特許出願第11/131125号の明細書及び、ジェイ・エス・アボット3世(J. S. Abbot III)の名で2005年6月10日に出願され、共通に譲渡された、名称を「連続的に移動している脆性材料のリボンに沿う振動の伝搬または移動を減衰または低減するためのリボンとの選択的接触(Selective Contact with a Continuously Moving Ribbon of Brittle Material to Dampen or Reduce Propagation or Migration of Vibrations Along the Ribbon)」とする、米国特許出願第11/150747号の明細書には、リボンの弾性部分の形状、したがって転移帯におけるリボンの形状の決定に役割を果たし得る様々な機械系が論じられている。上記特許出願明細書の内容はそれぞれの全体が本明細書に参照として含まれる。
第2に、リボン横断温度分布は転移帯において実質的に平坦とすることができ、室温において平坦であろうが、その間で分布は非平坦となることができ、そのような非一様リボン横断温度分布はリボンに非平坦形状をとらせ得る面内応力を弾性リボン内に生じさせるであろう。系の全体構造に依存して、そのような非平坦形状は転移帯にフィードバックされてガラス内に凍結されることになり得る。
第3に、リボン下方の温度分布は、やはり転移帯にフィードバックされ得る形状をリボンにとらせ得る、局所張力域及び圧縮力域をリボン内に発生させ得る。実際、2004年9月29日に出願され、共通に譲渡された、名称を「低反り平坦ガラスの作成方法(Method of Fabricating Low-Warp Flat Glass)」とする、PCT特許出願国際公開第US2004/039820号のパンフレットに論じられているように、リボン下方の温度分布はカーテン反りの問題を扱うためにGTTRに張力域を意図的に形成するために有効に用いることができる。このパンフレットの内容はその全体が本明細書に参照として含まれる。また、シー・シェイ(C. Shay),アール・ノヴァク(R. Novak)及びジェイ・ブレビンス(J. Blevins)の名で2005年9月22日に出願され、共通に譲渡された、名称を「反りが低レベルの平坦ガラスの作成方法(Method of Fabricating Flat Glass with Low Levels of Warp)」とする、米国特許出願第11/233565号の明細書には、リボン横断温度分布の結果としてガラスリボンに現れる、圧縮力の下でリボンのエッジに生じ、したがって座屈させて(反らせて)、結果として生じるパターンが転移帯においてリボンに凍結されることになる、正弦波型反り(S字反り)の問題を扱う方法及び装置が論じられている。
非平坦形状の要因の考察において、転移帯におけるリボン形状はシート作成サイクルにかけて、すなわちリボンからの一枚のシートの切取りと次のシートの切取りの間で、変化する傾向があることに注意すべきである。そのような形状変化は、弾性リボンを通って転移帯に進行する座屈及び/または振動を生じさせる傾向があるシートの実切断を含む、様々な要因から生じる。シート作成サイクル中に時間とともに変化する弾性域における形状変化を誘起し得るその他の要因には、(1)リボンがシートの全長まで延びるにしたがう、長さの変化、したがってリボンの懸垂重量の変化によって生じるリボンの張力の変化、及び(2)延びていくリボンと相互作用し、したがって、転移帯における形状を含む、リボンの形状の時間にともなう変化を生じさせる、温度勾配がある。
要因が何であれ、転移帯における実質的に平坦なリボン横断温度分布と組み合された転移帯における非平坦形状は、リボンから切り取られた基板が室温において非平坦形状を有するであろうことを意味する。第一近似に対し、形状は転移帯におけるリボン横断形状に似るであろうが、実際には、転移帯の長さ全体にかけておこるリボンの冷却を含む、ガラス製造プロセスの複雑さにより、室温における形状は転移帯における形状と異なるであろう。室温での形状が展開可能な形状でなければ、基板は平坦化されたときに面内形状変化を示すであろう。同様に、基板から切り分けられたサブピースも、一般に、歪を示すであろう。
場合1におけるように、上記考察は、より一般的な、一様リボン横断熱歪勾配を生じさせる温度分布の場合にも適用でき、上に論じたように、平坦温度分布は一般的な場合の特別な例の1つでしかない。
次のさらに複雑な場合(場合3)では、リボンが転移帯において実質的に平坦なリボン横断形状を有するが、リボン横断温度分布は非平坦であり、また一様リボン横断熱歪勾配を生じさせる温度分布ではない。この場合、リボンが冷えるにつれて、リボンは薄いから座屈を生じさせるであろう、応力、したがって歪がリボンに発現するであろう。したがって、室温において、リボンから切り取られた基板は、転移帯において存在した実質的に平坦なリボン横断形状を有することはなく、非平坦形状を有するであろう。この非平坦形状は展開不能形状であると考えることができる。したがって、基板が平坦化されると、基板は面内応力を示し、その結果の、面内形状として現れるであろう、歪が変化する。同様に、基板から切り分けられたサブピースも、一般に、歪を示すであろう。
同様に、最後の、リボンが非平坦リボン横断形状及び、非平坦であり、また一様リボン横断熱歪勾配を生じさせる温度分布でもない、リボン横断温度分布のいずれをも有する、最も複雑な場合(場合4)では、室温において、リボンから切り取られた基板は、一般に、非平坦形状を有し、したがって、平坦化されると面内応力を示し、その結果の歪及び面内形状が変化するであろう。この場合も、基板から切り分けられたサブピースも、一般に、歪を示すであろう。室温における非平坦形状は、転移帯におけるリボン横断温度分布が室温における平坦温度分布になるにつれてガラス内に発生する熱応力により、転移帯における非平坦形状とは異なるであろう。すなわち、異なるリボン横断内位置は隣の位置より大きくまたは小さく収縮し、よって応力を生じさせ、この応力はガラスの形状を転移帯に存在した形状から変える座屈を生じさせるであろう。
要約すれば、ガラス基板を作成するための製造プロセスは、実質的に長距離応力がない状態(転移帯の状態)から別の実質的に長距離応力がない状態(室温における基板またはサブピースの状態)ヘの進行として見ることができ、室温における実質的に長距離応力のない状態は、座屈による長距離応力の解放を可能にする、ガラスの薄さの結果である。しかし、そのような座屈は、平坦化されたときに、基板が面内応力を発現し、したがって歪を示し、よって平坦化されたときに面内形状が変化するであろうことを意味する。同様に、基板から切り分けられたサブピースも、一般に、望ましくない歪を示すであろう。
本明細書の先のV(A)節,V(B)節及びV(C)節の議論は、基板から切り分けられたサブピースにおける歪の形成にかかわる機構の少なくともいくつかであると現在考えられる事柄を述べている。しかし、ガラス製造プロセスの複雑さのため、上記の機構のいくつかまたは全てが特定の製造プロセスでははたらかないことがあり、他の機構が重要な役割を果たすことがあり得る。しかし、上の議論は歪問題の理解を、またこの問題を扱う際に本発明が果たす役割の理解も、容易にすると考えられる。これらの議論を提示することで、出願人等は本発明の動作のいかなる特定の理論にも束縛されるつもりはない。特に、本明細書に添付される特許請求の範囲がそのように限定されるべきではない。
V(D):歪を制御するリボン横断温度分布とリボン横断形状の組合せ
上で論じたように、本発明の態様のいくつかにしたがえば、本発明は、(1)ガラスリボンが作成され、(2)サブピースに切り分けられたときに制御されたレベルの歪を示すガラスシート(ガラス基板)を作成するように、硬化帯温度範囲(SZTR)をガラスが通過するリボン領域においてリボン横断形状にリボン横断温度分布が整合される、連続ガラス製造プロセスに関する。詳しくは、サブピースの平坦化が2μmより小さいことが好ましい歪レベルを生じるように、リボン横断温度分布とリボン横断形状が整合される。
(1) 歪及び歪代用特性
ガラスシートのサブピースが低レベルの歪を示すか否かは、例えば真空平坦化条件下でサブピースの形状を調べることによって直接に決定することができる。しかし、多くの場合、1つ以上の歪代用特性を用いることがより簡便であろう。
例えば、無重力または実質的に無重力の環境におけるガラスシートまたはサブピースの三次元形状を歪代用特性として用いることができる。そのような三次元形状は、例えば、ビー・ストラインズ(B. Strines),エヌ・ヴェンカタラマン(N. Venkataraman),ジー・ゴーフォース(G. Goforth)、エム・マータフ(N. Murtagh)及びジェイ・ラップ(J. Lapp)の名で2005年7月27日に出願され、共通に譲渡された、名称を「物品の形状を測定するためのプロセス及び装置(Process and Apparatus for Measuring the Shape of an Article)」とする、米国特許出願第11/192381号の明細書の手順を用いて決定することができる。上記明細書の内容はその全体が本明細書に参照として含まれる。あるいは、例えば、平表面上におかれているが、真空でその表面に引き付けられてはいないときの、重力条件下のシートまたはサブピースの三次元形状を歪代用特性として用いることができるが、多くの場合、ガラスシートが薄いため、重力条件下の三次元形状は基本的に平坦であり、したがって正確に測定することは困難である。
一般的に言って、そのような測定された三次元形状の平面からの偏差が大きくなるほど、基板から切り分けられるサブピースが示す歪レベルは大きくなるであろう。シートの三次元形状を平面と比較するのではなく、真空平坦化時のシートの形状の変化を歪代用特性として用いることができる。すなわち、面内形状の変化を歪代用特性として用いることができる。望ましければ、重力条件下または無重力条件下での三次元形状の決定または面内形状の変化から歪の予測レベルの計算を行うことができるが、そのような計算は、一般に、本発明の実施に必要ではない。
ガラスシートまたはサブピース上の1つ以上の位置における応力測定値、例えば複屈折法を用いて得られる応力測定値を、歪代用特性として用いることもできる。そのような測定値は一般に、シートまたはサブピースが平表面上に真空で引き付けられている間に得られるであろうが、測定は真空が印加されていない場合にも行うことができる。測定は、シートまたはサブピースの二次元表面全体にわたって分散する位置で、あるいは限定された数の位置、例えば、シートまたはサブピースの1つ以上のエッジに沿う位置及び/またはあらかじめ定められた基準位置だけで、行うことができる。シートをサブピースに分割するために用いられるであろう切断線に沿うかまたはその近傍での応力測定値はサブピースが示すであろう歪の有効な代用特性になり得ることが多い。いくつかの場合には、シートまたはサブピース上の複数の位置で測定が行われる場合、歪代用特性としてはほとんど妥当であるようには思われない、高空間周波数をもつ成分を除去するためにデータをフィルタリングすることが有用であり得る(上記V(B)節における空間周波数の議論を見よ)。形状測定の場合と同様に、望ましければ、応力測定値から歪の予測レベルの計算を行うことができるが、そのような計算は本発明の実施に必要ではない。
一般的ガイドラインとして、0.25m以上の面積を有するガラスシートについて平面に真空で引き付けられたときにシートが示す最大エッジ応力レベルの絶対値が125ポンド/平方インチ(psi)(8.6×10Pa)以下(好ましくは100ポンド/平方インチ(6.9×10Pa)以下、最も好ましくは50ポンド/平方インチ(3.4×10Pa)以下)であれば、サブピースに切り分けられたときにシートは低レベルの歪(すなわち、サブピースについて2μmの最大歪)を示すであろう。一般に、シート寸法が増大するにつれて、同じレベルの歪を達成するためには最大エッジ応力レベルの絶対値を減少させることが必要になる。
(2) ガラスシート作成のための延伸プロセス
図1は、融合ダウンドロープロセスタイプのガラス延伸プロセスヘの本発明の代表的な適用を示す。本図に示されるように、一般的な融合装置は、溶融ガラス(図示せず)を空洞39内に受け取る、形成構造(アイソパイプ)37を備える。アイソパイプのルートが参照数字41で示され、ガラスのリボン15が、ルートを離れた後、エッジローラー27a,27bを通過する。アイソパイプ37のルート41はアイソパイプ37の両外縁からの溶融ガラスが合体する位置を指す。
エッジローラー27a,27bを通過した後、ガラスリボンはリボンをアイソパイプから引き離す引張ロール29に噛み込まれる。十分に冷えた後、個々のガラスシート13が、例えばリボンの幅にかけて罫書き線35を入れるための罫書きホイール及び移動アンビル(図示せず)を用いて、リボンから切り離される。
融合装置は技術上既知であり、例示実施形態の説明が曖昧にならないように、詳細は省略される。しかし、別のタイプのガラス製造装置(例えばフロート装置)を本発明とともに用い得ることに注意されたい。そのような装置はガラス製造の当業者の認識範囲内にある。
融合タイプまたは別のタイプのガラス製造装置においては、ガラスリボン15が装置を通って進むにつれて、ガラスは、物理的寸法におけるだけでなく、分子レベルにおいても、複雑な構造変化を受ける。例えばアイソパイプのルートにおける、柔軟なほぼ50mm厚の液体形態からほぼ0.5mm厚の硬質ガラスシートへの変化が、リボンが装置を通って移動している間のリボンの制御された冷却によって達成される。
実例として、例示実施形態のガラスは厚さがほぼ0.1〜2.0mm程度の平坦ガラスである。ガラスは、上で挙げたようなガラスディスプレイまたは薄いガラスシートが有益である別の用途に、用いることができる。代表例としてガラスはコーニング社(Corning Incorporated)の製品コード1737ガラスまたは製品コードEagle2000ガラスとすることができ、あるいは別の製造業者によって製造されたディスプレイ用途のためのガラスとすることができる。
(3) SZTR
本発明に関し、ガラス製造プロセスの肝要部分は、図1の代表的融合プロセスについて参照数字31で簡略に示される、ガラスのSZTRでおこる。フロートプロセスを含む全ての延伸プロセスがSZTRを有するが、形成装置とSZTRの間隔は図1に簡略に示される間隔とは異なり得る。同様に、融合プロセスは本図に簡略に示される位置とは異なる縦方向位置にSZTRを有し得る。
SZTRは、SZTR内及びSZTRの上下におけるガラスの挙動のため、歪に肝要な役割を果たす。SZTRの上方にある高温領域において、ガラスは基本的に液体のように振る舞い、印加応力への応答は歪速度であり、いかなる弾性応答も基本的に検出不能である。SZTRの下方にある低温領域において、ガラスは固体のように振る舞い、応力への応答は有限歪であり、いかなる粘性応答も基本的に検出不能である。
ガラスが高温から冷えてSZTRを通過するときに、ガラスは液体様挙動から固体様挙動への急激な転移を示すことはない。代りに、ガラスの粘度が徐々に高くなり、ガラスは粘性応答及び弾性応答のいずれもが検知可能な粘弾性領域を過ぎて、最終的に固体のように挙動する。この結果、熱応力/変形/歪計算に用いるための単一の凍結温度は存在しない。しかし、単一の硬化温度ヘの対照として、歪制御のための基礎としての温度範囲の使用が多くの利点を有することが判明する。すなわち、SZTR内のいずれの単一温度に対しても、一般に、その温度より高温で測定可能な弾性応答があり、その温度より低温で測定可能な弾性応答があるであろう。したがって、単一硬化温度を用いれば不正確な結果が生じ得るであろう。例えば、リボンに適用される冷却スケジュールがそのような単一硬化温度より低温であるが粘弾性を示す領域内での十分に長い保持時間を含んでいれば、単一硬化温度値を用いる計算及び/またはそのような単一温度に基づく歪制御は不正確になり得るであろう。さらに、歪制御に用いることができる温度範囲を有していれば、ガラス製造プロセスにおける、例えば所望のリボン横断温度分布を達成するための加熱装置及び/または冷却装置の配置に、より大きなフレキシビリティが可能になる。本発明にしたがえば、特定のガラス組成のいずれについても、(1)ガラス延伸速度、(2)ガラス冷却速度、さらに詳しくは、延伸速度に基づくガラス冷却速度の近似値、及び(3)室温におけるガラスのヤング率の知識と合せて、温度の関数としてのガラスの粘度の知識からSZTRを決定できることがわかった。
図18はSZTRの決定に用いられた解析に用いられたモデル系を示す。詳しくは、本図はアイソパイプのルートの下方のガラスリボンを示す。本図において参照数字1801は等温線を示す。解析において、リボンの最終厚に近いリボンの部分だけが考察される。すなわち、厚さ減少のほとんどがおこるルート下の狭い領域は解析に含まれない。リボンは平坦であり、一様速度で冷えると仮定される。リボンの解析される部分は実質的に一様な厚さを有するから、時間に関して一様な冷却速度はルート下の距離に関する一様な冷却速度を意味する。リボンは延伸プロセス中延び続けるから、ガラスのシート(基板)がリボンの下部で周期的に切り取られると仮定され、解析の達成目標はリボン横断温度分布の結果としてのそのようなシート内の残留応力の決定である。
上記仮定の下で、リボンのどこでもリボン横断温度変化がなければ、得られるガラスシートには残留歪が全くないであろう。SZTRの位置を決定するため、小さなリボン横断温度変化ΔTが幅方向の狭い区域(すなわちリボン横断方向の狭い区域)に導入される。図18において、この区域は等温輪郭線を用いて示される。この区域は延伸方向(すなわち主ガラス流に平行な方向)の広がりを有する。解析にしたがえば、この延伸方向の広がりは変化し、その結果の残留応力の変化がSZTRの決定に用いられる。詳しくは、延伸方向の広がりを変えることにより、リボン横断ΔTが弱い効果しかもたない外側の区域が決定される。SZTRは次いでこの区域の補区域である。すなわち、SZTRはリボン横断ΔTがガラスシートの残留応力にかなりの効果(少なくとも10%の効果)を有する領域である。
図19は、ルート下の距離の関数としてのリボンの温度を示す。本図において‘O’はルートを意味する。図18の線Sに沿う温度分布は一様冷却速度に対応する(図19の線1901)。図18の、リボン横断ΔTが与えられた領域を通過する、線Mに沿う(図19に参照数字1903で示される)温度は線Sに沿う温度と異なる。この差は図18に示されるBとEの間の区域に限定される。この差はBに始まり、CでΔT(与えられたリボン横断ΔT)まで増大し、CからDまで一定のままであり、次いでEで消失するまで低下する。BとCの間の距離及びDとEの間の距離は、リボン横断ΔTが非ゼロの時間にかけてゼロから全値に増加(または全値からゼロに低下)しなければならないから、非ゼロでなければならない。リボン横断ΔTが小さくなるほど、BとCの間の距離及びDとEの間の距離は小さくなることができる。SZTRの決定においては、小幅のリボン横断ΔTの考察しか必要ではなく、よって、BとCは相互に極めて近接し、DとEも同様である(ここで、「極めて近接」は距離がCとDの間の距離に比較して小さいことを意味する)。したがって、リボン横断ΔTが印加される領域の高温側境界はちょうどBまたはC、例えばCで表すことができる。同様に、この領域の低温側境界を表すためにDまたはE(例えばE)を用いることができる。
以下の議論において、語句「ΔT影響域」はリボンのリボン横断ΔTが与えられた領域を指すために用いられる。図18に示されるように、上記仮定にしたがえば、この区域は延伸方向にCとDの間にあり、幅方向に線Mの周りの小さな広がりを有する。また、図18の点Cにおける温度及び粘度はそれぞれT及びηと称され、点Dにおける温度及び粘度はそれぞれT及びηと称される。本解析において、ガラスの熱膨張係数(CTE)及びヤング率(E)は一定に(温度に独立に)とられる。温度にしたがって変化するCTE及び/またはヤング率を用いる効果の検証は、そのような変化による硬化帯温度範囲の変化の期待値は5%より小さい(データは提示せず)とし得ることを示した。モデルの総合確度は同程度であるから、すなわち、モデルはほぼ±5%で正確であると見なされるSZTR値を与えるから、特に粘性対温度曲線データへの従来のフィッティング、すなわちファルチャー(Fulcher)フィッティング(以下を見よ)を用いてSZTRを容易に計算することが可能になるから、上記仮定は十分正当であると見なされる。
ΔT影響域及びリボンの残余領域における正味の歪(すなわち、熱歪+弾性歪+粘性歪)はいかなる特定の垂直方向位置においても整合しなければならない。説明を容易にするため、語句「機械的歪」は[弾性歪+粘性歪]を指して用いられる。ΔT影響域と残余領域の間には熱歪不整合があるから、正味の歪を整合させるためには機械的歪が生じていなければならないであろう。ΔT影響域には、またリボンの残余領域にも、機械的歪があるであろう。しかし、ΔT影響域は幅方向では小さいから、リボンの残余領域における機械的歪は非常に小さく、正味の歪を整合させるに必要な機械的歪のほとんど全てはΔT影響域に生じるであろう。したがって、ΔT影響域の機械的歪εは(以降、式Aと称される):
Figure 2013253017
と書くことができる。
機械的歪εに対応する応力は粘弾性解析を用いて計算されなければならない(例えば、以降、「フィンドレイ等」と称される、ダブリュー・エヌ・フィンドレイ(W. N. Findley),ジェイ・エス・レイ(J. S. Lai)、ケイ・オナラン(K. Onaran)著,「非線形粘弾性材料のクリープ及び緩和(Creep and Relaxation of Viscoelastic Materials)」,1989年,Dover Publications, Inc.を見よ)。本解析に用いた材料モデルはマクスウエル(Maxwell)モデル(フィンドレイ等,p.53を見よ)である。すなわち、一軸張力の下で、機械的応力:
Figure 2013253017
は、応力σ,粘度η,ヤング率E,及び応力速度:
Figure 2013253017
に式B:
Figure 2013253017
として関係付けられる。
マクスウエルモデルは注目する主要な粘弾性の構成的挙動を表す。遅延弾性応答のような、マクスウエルモデルが考慮することができない挙動はSZTRの決定に副次的にしか関係しない。
上述したように、式Bで表される構成的挙動は一軸張力についてのものである。このモデル系におけるΔT影響域は幅方向で狭いから、ΔT影響域においては一軸張力が得られないであろう。むしろ、幅方向の歪はゼロと見なされるであろう。そのような条件下では、式Bの3η項は4ηで置き換えられるべきである。しかし、実際のガラス形成プロセスにおいて歪補償を行う場合、リボン横断温度における長スケール摂動が一般に適用されるであろうし、そのような場合、水平方向の歪は完全には束縛されないであろう。式Bに3ηが用いられるのはこの理由のためである。実際上、式Bで3ηまたは4ηを用いても、因子4/3は硬化帯において5℃に相当する粘度変化を構成するから、温度に関するSZTRの識別に特に変化は現れないことがわかった。すなわち、幅方向に関する束縛の大きさの不確定性は5℃に過ぎない硬化帯温度の不確定性を生じると考えられる。これは、SZTR決定のほぼ±5℃の総合確度(上を見よ)の範囲内である。
上述の式A及び式Bを用いれば、残留応力を次のように計算できる。初めに、、式Aに表されるように、ΔT・(対温度CTE勾配)の機械的歪がCにおいて急激に与えられるとする。したがって、Cにおいて、瞬時応答は完全に弾性的であり、式C:
Figure 2013253017
が得られる。
CからDにおいて、式Aで機械的歪は一定であるから、本モデル系において歪速度はゼロである。したがって、式Bは、CからDまで、歪速度が既知(ゼロ)であるから、応力速度を応力に関係付ける常微分方程式(ODE)である。初期条件は式Cである。このODEは標準手法を用いて解くことができる(例えば、定粘度の場合の解についてはフィンドレイ等を見よ)。本系においては、粘度が温度の(及び、特定の冷却速度が与えられれば、時間の)関数であるから、ODEはいくつかの時間段階において、それぞれの時間段階内でそれぞれについて一定の値を粘度に対して用いて、解かれた。この計算をDまで実行して、Dにおける応力(以降、σD−と称される)を得た。
Dにおいて、Cにおけると同様に、式Aによって、−ΔT・(対温度CTE勾配)の急激な機械的歪が印加される。したがって、Dにおける瞬時応答は、式D:
Figure 2013253017
である。
DからFでは、歪速度が再びゼロであり、よって、式Dを初期条件として用いて式Bを解けば、Fにおける応力が得られる。このFにおける最終応力が、与えられた温度摂動ΔTによる残留応力における変化Δσである。
C,Dがこれらの位置における温度に関して指定されれば、リボンのダウンドロー速度(「延伸速度」)が計算に明示的に入ることはなく、冷却速度だけが入る。しかし、リボンダウンドロー速度と冷却速度は関係している。したがって、リボンダウンドロー速度(V)(あるいは、さらに一般的には、アップドロープロセスまたは、フロートプロセスのような、水平プロセスの場合には延伸方向に沿う速度)から出発し、ガラスの軟化点(TSP)とアニール点(TAP)の間の延伸方向に沿う距離(L)がわかれば、冷却速度(CR)を下式:
Figure 2013253017
から決定できる。ここで、従来と同様、TSPはガラスの粘度が106.65Pa秒になる温度であり、TAPはガラスの粘度が1012Pa秒になる温度である。延伸速度から冷却速度を決定するために軟化点及びアニール点以外の別の温度を用いることができるが、本発明の目的のためにはこれらが好ましい温度であり、本発明の実施に用いられる。
Cが非常に高い位置(例えば、軟化点より高温の位置)にあり、Dが非常に低い位置(例えば、リボンの下底の、歪点より十分低温の位置)にあれば、与えられたリボン横断ΔTに対する残留応力の可能な最大の変化がおこるであろう。ここで考察しているCTE及びEが一定の場合について、ΔTによって生じる残留応力の可能な最大の変化は、式E:
Figure 2013253017
で与えられる。
次に示されるように、式EのΔσ最大及び式F:
Figure 2013253017
で表されるスケーリングパラメータを用いれば、ガラスの粘度ηの知識に基づいてガラスに対するSZTRを温度の関数として決定できる。このパラメータは、例えばフィンドレイ等のp.81〜85に論じられている緩和モジュラスに関係付けられる。このパラメータは以降、「硬化帯パラメータ」または簡単に「SZP」と称される。
図20は、式Eの可能な最大値Δσ最大によってスケーリングされた残留応力の変化Δσを、η及びηにおいて評価されたSZPの関数として示す。ここでη及びηはそれぞれ図18のC及びDにおける粘度である。CTEが一定である限り、残留応力の可能な最大変化によってスケーリングされた残留応力の変化はCTEに無関係であることに注意されたい。図20,21及び22の全てにおいて、‘CR’は冷却速度を表す。
図20は以下のことを示す。
(1)ηにおいて評価されたSZPが(非常に高いTに対応して)非常に小さく、ηにおいて評価されたSZPが(非常に低いTに対応して)非常に大きければ、Δσは可能な最大値をとり、よって印加されたリボン横断ΔTは可能な最大の効果を有する。
(2)Δσが可能な最大値をとる大きなプラトーがある。すなわち、ηにおいて評価されたSZPが非常に小さく、ηにおいて評価されたSZPが非常に大きければ、残留応力の変化をおこすために与えられたΔTの有効性にいかなる悪影響も与えずに、ηにおいて評価されるSZPを大きくし、ηにおいて評価されるSZPを小さくするための若干の余裕がある(すなわち、Tを低くし、Tを高くするための若干の余裕がある)。これは硬化帯概念の要諦であり、残留応力に所望の変化をおこさせるためにリボン全体にわたってリボン横断ΔTを与える必要はない。むしろ、狭い区域にかけて、その区域が適切に選ばれる限り、リボン横断ΔTを適用すれば十分である。
(3)ηにおいて評価されるSZP及びηにおいて評価されるSZPの最も有効な選択は、前面に最近のプラトーのコーナーがSZP(η)=SZP(η)線に最も近く、したがってリボン横断ΔTが与えられるべき区域が最も狭くなるから、そのコーナーの近傍である。
SZTRを定量化するためには、図20の矩形の平らな頂上をもつ隆起を2つの側面から、すなわちSZPのη軸及びη軸に平行な方向に沿う側面から見ると便利である。そのような方向に沿って見た図である図21及び22は、以下のことを示す。
(1)図21から、ηにおいて評価されたSZPが2.7より小さければ、ηにおいて評価されたSZPの値にかかわらず、残留応力の変化は可能な最大値の10%より小さい。ηにおいて評価されたSZPが3.9より小さければ、やはりηにおいて評価されたSZPの値にかかわらず、残留応力の変化は可能な最大値の20%より小さい。
(2)図22から、ηにおいて評価されたSZPが55.8より大きければ、ηにおいて評価されたSZPの値にかかわらず、残留応力の変化は可能な最大値の10%より小さい。ηにおいて評価されたSZPが24.5より大きければ、やはりηにおいて評価されたSZPの値にかかわらず、残留応力の変化は可能な最大値の20%より小さい。
(3)したがって、公称リボン温度(例えば、中心に沿って測定されたガラスの温度)が2.7〜55.8の範囲の外側のSZP値に対応する位置において適用されたリボン横断ΔTは10%より高い有効性を有することができない。これは、SZPが2.7〜55.8の範囲の外側にある位置においてリボン横断ΔTが適用されると、ηにおいて評価されたSZPが2.7より小さいかまたはηにおいて評価されたSZPが55.8より大きいからである。いずれの場合も、図21及び22に示されるように、有効性は10%より低い。
(4)同じ議論により、公称リボン温度が3.9〜24.5の範囲の外側のSZP値に対応する位置において適用されたリボン横断ΔTは20%より高い有効性を有することができない。
上述の観点から、本明細書に用いられるように、語句「硬化帯温度範囲」及びその略語‘SZTR’は上述した≧10%有効範囲に対応する特定のガラス及び延伸速度についての温度範囲を指す。詳しくは、SZTRは、関係式:
2.7≦SZP≦55.8
を満たすSZP値を与える粘度に対応する温度範囲である。このSZP範囲は、コーニング社の製品コード1737ガラス及びEagle2000 LCDガラスについて、ほぼ60℃の温度範囲に相当する。
同じように、語句「中心硬化温度範囲」及びその略語‘cSZTR’は上述した≧20%有効範囲に対応する特定のガラス及び延伸速度についての温度範囲を指す(すなわち、cSZTRは関係式:
3.8≦SZP≦24.5
を満たすSZP値を与える粘度に対応する温度範囲である)。温度に関していえば、このSZP範囲は、コーニング社の製品コード1737ガラス及びEagle2000 LCDガラスについて、ほぼ40℃の温度範囲に相当する。
さらに、語句「スィートスポット温度範囲」及びその略語‘ssSZTR’は、≧40%有効範囲に対応する特定のガラス及び延伸速度についての温度範囲を指す。SZTRおよびcSZTRに対する上述と同じ解析を用いれば、ssSZTRは、関係式:
6.9≦SZP≦11.8
を満たすSZP値を与える粘度に対応する温度範囲である。このSZP範囲はコーニング社の製品コード1737ガラス及びEagle2000 LCDガラスについてほぼ10℃の温度範囲に相当する。最後に、語句「最鋭敏硬化帯温度範囲」及びその略語‘msSZTR’は、上で決定されるような残留応力がリボン横断ΔTに最も鋭敏である、特定のガラス及び延伸速度についての温度範囲を指す。msSZTRは、関係式:
8.3≦SZP≦8.9
を満たすSZP値に対応する。このSZP範囲は、コーニング社の製品コード1737ガラス及びEagle2000 LCDガラスについて、ほぼ5℃以下の温度範囲に相当する。
SZTR,cSZTR,ssSZTR及びmsSZTRの決定に用いられるヤング率値は、ASTM C623-92(2000)を用いて決定される、ガラスの室温ヤング率であり、粘度対温度の式は、ASTM C1350M-96(2000)を用いて一組の温度におけるガラスの粘度を測定し、得られた値を次いで式G(ファルチャー方程式):
Figure 2013253017
にフィッティングしてA,B及びTに対する値を求めることによって得られる式である。ここでTの単位は℃である。
ファルチャーフィッティングに用いられる一組の温度はSZTR内の温度を含むことが好ましい。実際上、第1の組の温度に基づくファルチャーフィッティングを用いて試行SZTRを決定でき、必要であれば、温度を追加して粘度測定をさらに行い、測定結果を用いてファルチャー係数セットの修正版を決定し、その係数セットから最終SZTRを計算できる。必要であれば、この過程を必要に応じて反復して、STZRの温度範囲に適切なファルチャーフィッティングを得ることができる。
上で論じたように、SZTR,cSZTR,ssSZTR及びmsSZTRの決定に用いられる冷却速度(CR)は、リボンのダウンドロー速度(延伸速度)及びガラスの軟化点とアニール点の間の延伸方向に沿う距離から得られる。
(4) リボン横断形状の決定
本発明のいくつかの実施形態にしたがえば、SZTR内の1つ以上の縦方向位置においてリボン横断形状が決定され、次いで、リボンから得られるガラスシートが示す、サブピースに切り分けられる際の歪を制御するためにリボン横断温度分布が上記の1つ以上の縦方向位置(またはリボンの長さに沿う別の縦方向位置)においてリボンに適用される。
1つ以上の縦方向位置におけるリボン横断形状は、延伸されている間にリボンの形状を見ることによって直接に決定することができる。あるいは、1つ以上の縦方向位置におけるリボン横断形状は、ガラスリボンから得られる1つ以上のガラスシートについて測定された応力及び/または形状の測定値を、1つ以上の縦方向位置におけるリボン横断形状の決定に向けてそのような測定値から「逆行」してはたらくことができるコンピュータモデルプログラムと組み合せて、用いて決定することができる。さらに別形として、一群のリボン横断形状を仮定することができ、仮定されたリボン横断形状のそれぞれについて、リボンから切り取られたガラスシートについての応力分布及び/または形状を予測する(「前進」計算)ことができ、次いで、個々のシートについて得られた応力及び/または形状の測定値を最も正確に予測する群のリボン横断形状に基づいて特定のリボン横断形状を群から選択する(すなわち決定する)ことができる。望ましければ、これらの手法の組合せを用いることができる。補遺Aにそのようなコンピュータモデルに用いることができる代表的な方程式が述べられている。補遺Aで論じられるように、そのような方程式は、例えば市販のANSYSソフトウエアを用いて、解くことができる。
「逆行」計算及び/または「前進」計算のためのデータを生成するためにガラスシートになされ得る測定のタイプの例には、シートの無重力下または実質的無重力下の形状、シートの重力下の形状(例えば平テーブル上で測定される形状であるが、多くの場合、ほとんどの形状はガラスの重量の下で平坦化され、よって正確な形状決定は困難であると思われる)、真空平坦化時のエッジ応力値、真空平坦化時のシートの全表面にかけて分散する位置についての応力値、真空平坦化時の予想切断線における応力値及び/または予想切断線に近く、例えば切断線から数mm(例えば5mm)の、平行な線上の位置における応力値、及び/または局所切断、例えば予想切断線に沿う切断で生じる歪がある。「予想切断線」は、例えば、ディスプレイ製造業者がシートをサブピースに分割する際に用いると予想される線である。「逆行」計算及び「前進」計算は一般に、比較的滑らかなデータ、例えば高空間周波数成分を除去するためにフィルタリングされたデータに対して行儀がよい、すなわち、計算されたリボン横断形状及び/または計算された応力分布及び/または個々のシートについての形状が一意的または、可能な解が少数しかないという意味で、実質的に一意的であることに注意すべきである。
本発明にしたがえば、STRZ内の1つ以上の縦方向位置におけるリボン横断形状の「決定」はそのような形状の観察またはモデル化(以降、「受動決定」と称される)に限定されず、そのような形状の能動的な調節(または制御)(以降、「能動決定」と称される)を含む。例えば、上のV(C)節で参照した、共通に譲渡された米国特許出願の明細書に開示されている装置及び方法をSZTRにおいてリボン形状に意図的に影響を与えるために用いることができる。本発明にしたがう1つ以上の縦方向位置におけるリボン横断形状の「決定」には、上記のまたはその他の既知の、あるいはSTRZ内の1つ以上の縦方向位置におけるリボン横断形状を得るために当該技術で以降開発される、手法の使用が含まれる。「決定」にはSTRZ内の1つ以上の縦方向位置におけるリボン横断形状の観察、モデル化及び/または制御の組合せも含まれる。
(能動的または受動的な)リボン横断形状の決定において考慮され得る別の要因は、SZTR内の1つ以上の縦方向位置における形状の変化を含む、ガラスリボンからの次々に行われるガラスシートの切取りの間におこるリボンの形状の変化である。形状のそのような一時的変化は、延伸プロセスの作業中に見ることができ、及び/またはコンピュータモデルを用いて計算することができる。一時的な変化は、リボンから切り取られるガラスシートの歪の制御に特によく適する、1つ以上の縦方向位置における1つ以上のリボン横断温度分布を選択するために用いることができる。例えば、一時的形状変化は、特に高レベルの歪を生じさせるリボンに沿う1つ以上の縦方向位置における1つ以上の形状を識別するために用いることができ、次いで、そのようにして識別された元凶形状を特に処理するために1つ以上のリボン横断温度分布を選択することができる。
(5) リボン横断形状へのリボン横断温度分布の整合
リボン横断形状がSZTR内の1つ以上の縦方向位置において能動的及び/または受動的に決定さると、歪レベルが制御されたガラスシートを作成するために、SZTR内にあることが好ましい、少なくとも1つの位置においてリボン横断温度分布が意図的に適用される。一般的に言って、一般に適用されるであろう温度分布のタイプは上のV(C)節の場合1〜4に関して理解することができる。
すなわち、注目する縦方向位置におけるリボン横断形状が能動的及び/または受動的に実質的に平坦であると決定されれば、上のV(C)節の場合1にしたがい、その縦方向位置における(または、例えば近隣の縦方向位置における)リボン横断温度分布を、例えば実質的に一様なリボン横断熱歪勾配を生じさせるために調節することができ、例えば、定CTEの場合に、温度分布は、最も簡単な場合に実質的に平坦なリボン横断温度分布とすることができる、実質的に一様なリボン横断勾配を有することができる。
次のより複雑な場合−場合2−においては、縦方向位置におけるリボン横断形状が実質的に平坦ではないと決定され、問題は場合1に用いられるようなリボン横断温度分布を用い得るか否かになる。すなわち、問題は実質的に平坦な温度分布を用い得るか否か、より一般的には、実質的に一様なリボン横断熱歪勾配を生じさせる温度分布を非平坦リボン横断形状とともに用い得るか否かになる。
一般に、非平坦リボン横断形状に対し、場合1の温度分布では低歪ガラスシート、すなわちそのサブピースが低歪を示すガラスシートは得られないであろう。しかし、非平坦リボン横断形状が実質的に展開可能な形状、例えば円筒形であれば、場合1の温度分布が使用可能であり得る。したがって、縦方向位置におけるリボン横断形状が実質的に展開可能な形状であると(能動的及び/または受動的に)決定されれば、平坦になるように、より一般的には、実質的に一様なリボン横断熱歪勾配を生じさせる分布となるように、リボン横断温度分布を調節することができる。
場合3において、リボンは1つ以上の縦方向位置において実質的に平坦なリボン横断形状を有すると決定され、問題は非平坦なリボン横断温度分布を用い得るか否か、より一般的には、一様なリボン横断熱歪勾配を生じさせない温度分布を用い得るか否かになる。ここでも、回答は展開可能形状対展開不能形状を含むが、この場合、該当する形状はリボンの冷却後の形状である。
すなわち、室温への冷却による縦方向位置における温度分布の除去の結果、実質的に展開可能な形状が得られれば、そのような温度分布を用いることができる。しかし、冷却の結果、実質的に展開不能な形状が得られれば、そのような分布は許容できない高レベルの歪を生じさせると考えることができ、用いるべきではない。
縦方向位置におけるリボン横断形状が非平坦であると決定され、問題は、平坦ではなく、一様なリボン横断熱歪勾配を生じさせる温度分布でもない、適用リボン横断温度分布を用いるべきか否かである、最後の場合−場合4−は最も一般的な場合である。非平坦形状が展開不能形状(上の場合2と比較のこと)であるとすれば、そのような分布が用いられるべきであり、実際上、一般には必要であろう。用い得る特定のリボン横断温度分布は多様な手法で決定することができる。例えば、補遺Aで論じられるような、モデルリングソフトウエアを、縦方向位置における非平坦形状を相殺または実質的に相殺する熱応力を冷却時に生じさせるであろう、1つ以上の縦方向位置における温度分布を決定するために用いることができる。あるいは、非平坦形状に適切に整合する温度分布を決定するために、モデルリングを用いるかまたは用いずに、反復手順を用いることができる。
上の場合1〜4の議論が示すように、1つ以上の縦方向位置に対するリボン横断温度分布の選択においては、縦方向位置における形状が展開可能な形状であるかまたは展開不能な形状であるかを考慮する必要があり、得られるガラスシート(ガラス基板)の形状が展開可能な形状であるかまたは展開不能な形状であるかを考慮する必要もある。
歪に関しては、実質的に平坦なガラスシート及びその形状が実質的に展開可能な形状であるガラスシートのいずれからも、一般に、低レベルの歪を示すサブピースが作成されるであろう。2つの形状の間では、実質的に平坦なシートが好ましいことが多いであろう。しかし、いくつかの場合には、展開可能な形状をもつガラスシートの作成が望ましいことであり得る。
例えば、そのような形状はSZTR内のリボン横断形状の能動的決定を容易にし得る。例えば、特定の製造装置では、リボンから作成されるガラスシートの形状が平坦形状よりも展開可能形状になるSZTR内のリボン横断形状を生じさせるほうがより容易であり得る。平坦であるよりもむしろ展開可能形状を有するガラスシートのほうが、ディスプレイ製造業者へのそのようなシートの運送及び/またはそのような製造業者によるシートの取扱いも容易になり得る。
リボン横断形状に整合するようなリボン横断温度分布の選択においては、リボン横断形状を成分(以降、「形状成分」と称される)に分解し、次いで、少なくとも出発点として、個々の形状成分について適切であろう温度分布の総和であるリボン横断温度分布を使用することが、いくつかの場合には、有用であり得る。例えば、リボン横断形状を展開可能形状成分及び展開不能形状成分に分解することができ、いずれの場合にも、望ましければ、展開不能形状成分だけを補償する温度分布を用いることができる。
より一般的には、リボン横断形状が(展開可能形状成分の有無にかかわらず)複数の展開不能形状成分に分解し、次いで展開不能形状成分のそれぞれを補償する温度分布を全体リボン横断形状について適切な総合リボン横断温度分布を形成するために、例えば重み付けして、結合させることができる。望ましければ、リボン横断形状成分と補償温度分布の組合せのライブラリ(ルックアップテーブル)を用意して、1つ以上の縦方向位置において認められたリボン横断形状の変化を補償するために実時間で用いることができる。例えば、リボン横断形状は、様々な時点で(または連続的に)受動的に決定して形状成分に分解することができ、次いで、先に認められたいずれの形状成分の重み付けまたはいずれの新しい形状成分の追加においても認められるいずれの変化も補償するために、ライブラリを用いて、リボン横断温度分布を変えることができる。ライブラリ(ルックアップテーブル)は汎用ライブラリとすることができ、あるいは特定のリボン横断形状成分の補償における特定のリボン横断温度分布の効果に関する履歴情報に基づく、特定のガラス製造ラインに合せて構築されたライブラリとすることができる。リボンから切り取られたガラスシート及び/またはそのようなシートから切り分けられたサブピースに実施された測定に基づいてリボン横断温度分布が選択される場合にも、同様の手法を用いることができる。
代表例として、リボン横断形状F(x)、例えば平面からの形状の偏差はフーリエ成分に分解することができる。例えばF(x)は:
Figure 2013253017
と書くことができ、または複素形式で:
Figure 2013253017
と書くことができる。ここで、A,B及びCはフーリエ係数であり、‘w’はリボン横断幅、‘i’は−1の平方根である。次いでリボン横断温度分布を少なくとも低空間周波数に対応するA及びB(またはC)と関係付けることができる。次いでいずれか特定のリボン横断形状について決定されたA及びB(またはC)を、その特定のリボン横断形状を補償するであろう重み付けされたリボン横断温度分布の選択に用いることができる。
リボンから切り取られたガラスシート及び/またはそのようなシートから切り分けられたサブピースに実施された測定の場合、二次元デコンボリューションを用いることができる。例えば、測定値M(x,y)(例えば、応力、形状等)を二次元フーリエ成分に分解することができる。例えば、M(x,y)は:
Figure 2013253017
と書くことができ、または複素形式で:
Figure 2013253017
と書くことができる。ここで、Anm,Bnm,Cnm,Dnm及びEnmはフーリエ係数であり、‘w’はシートまたはサブピースの幅、‘h’はシートまたはサブピースの高さである。この場合も、いずれの特定の測定値に対して決定された係数も、所望の歪制御レベルが得られるであろう適切なリボン横断温度分布を決定するために用いることができる。
リボン横断形状のその形状成分への分解に加えて、高空間周波数を除去するためにリボン横断形状をフィルタリングすることもできる。上で論じたように、歪に重要な空間周波数は一般にガラスシートの幅の約1/4,例えば1m幅のシートに対して250mm,より長い空間周期をもつ空間周波数である。したがって、リボン横断温度分布の選択を容易にするためには、リボン横断形状データをフィルタリングしてそれほど有意ではない空間周波数を除去することが好ましい。形状成分への形状の分解が実施されることになる場合は、分解の前にそのような空間周波数フィルタリングが実施されることが好ましいが、望ましければ、分解の後でフィルタリングを実施することもできる。リボンから切り取られたガラスシート及び/またはそのようなガラスシートから切り分けられたサブピースについて実施された測定に基づいてリボン横断温度分布が選択される場合にもフィルタリングを用いることができる。この場合も、成分への測定値の分解の有無にかかわらずフィルタリングを実施することができ、分解が実施される場合、フィルタリングは分解に先立つことが好ましい。
望ましければ、例えば1つ以上の長距離成分(低空間周波数成分)及び1つ以上の短距離成分(高空間周波数成分)への分解を実施することによって、フィルタリングと空間分解を同時に実施することができる。後述の実施例3はこの手法にしたがう。
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は以下の工程を含む反復プロセスによって実施することができる。
(a) ガラスがSZTRを通過する、リボンの長さに沿う少なくとも1つの縦方向位置に対する目標温度値を含む一組の作業条件の下で、少なくとも1つのガラスシートを作成する工程、目標温度値はリボンの幅にかけて分布する位置(「リボン横断位置」)における値である、
(b) 一組の作業条件の下で作成された少なくとも1つのシートについて、
(i) シート及びまたはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースが平表面上に真空で引き付けられている間の、シート及び/またはサブピース上の複数の空間的に隔てられた位置における応力値(「応力値」)、
(ii) 無重力または実質的に無重力の条件下にあるシート及び/またはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースの平面からの偏差値(「平面からの無重力下偏差値」)、
(iii) 重力条件下にあるシート及び/またはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースの平面からの偏差値(「平面からの重力下偏差値」)、及び
(iv) シートについての面内形状変化値及び/またはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースについての歪値(「形状変化/歪値」)、
の内の1つ以上を測定する工程、
(c) 工程(b)で測定された値を1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準と比較する工程、
(d) ガラスがSZTRを通過する、リボンの長さに沿う少なくとも1つの縦方向位置におけるリボン横断位置に対する修正目標温度値を、
(i) 1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準との比較、及び
(ii) リボン横断温度分布をガラスリボン及び/またはそのリボンから切り取られたガラスシート内の予測された応力及び/または歪の変化に関係付けることができるコンピュータモデル(例えば補遺Aに論じられるタイプのコンピュータモデル)、
を用いて決定する工程、
(e) 工程(d)において決定された修正目標温度値を用いて少なくとも1つのガラスシートを作成する工程、
(f) 工程(e)において作成された少なくとも1つのシートについて、(i)応力値、(ii)平面からの無重力下偏差値、(iii)平面からの重力下偏差値及び(iv)形状変化/歪値の内の1つ以上を測定する工程、及び
(g) 工程(f)の測定値を1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準と比較する工程、
及び、必要であれば、リボンの長さ方向に沿う、同じ少なくとも1つの縦方向位置及び/または少なくとも1つの異なる縦方向位置を用いて工程(d)から(f)を、1回以上、反復する工程。工程(d)から(f)は、1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準を満たす測定値が得られる、少なくとも1つの縦方向位置及びその位置についての目標温度値が決定されるまで、反復されることが好ましい。
望ましければ、SZTR内の複数の縦方向位置において目標温度値を指定することができる。そのような場合、工程(d)において、修正目標値を複数の縦方向の内のただ1つまたは1つより多くの縦方向位置について決定することができる。例えば、縦方向位置の全てについて目標値を変えることができる。また、反復が進むにつれて、必要に応じて多少の縦方向位置を変えることもできる。例えば、目標温度値の総域がわかると、反復プロセスの開始時にいくつかの縦方向位置が重要であり、別の縦方向位置が微調のためにより重要であることがわかる。同様に、与えられた縦方向位置について、反復プロセスの初期にいくつかのリボン横断目標値位置を変えることができ、他の位置は後に変えて、いくつかはプロセスを通じて一定のままにしておくことができる。いずれか特定の反復において変えるべき位置は、当業者であれば、工程(d)のコンピュータモデルから得られる予測応力/歪値と組み合せて、本開示から容易に決定することができる。
平面からの無重力下偏差値は、例えばガラスの密度と実質的に同じ密度を有する液体内でシートを浮遊させることによって、測定することができる。共通に譲渡された、名称を「物品の形状を測定するためのプロセス及び装置」とする、上掲の米国特許出願第11/192381号の明細書を見よ。歪値は、例えば、切断前に真空条件下でガラスシートにマークをつけ、切断後に、同じく真空条件下で、どこにマークが移動するかを観察することによって、測定することができる。
別の好ましい実施形態において、本発明は、コンピュータモデルの使用を必ずしも必要としないが、望ましければ、そのようなモデルを用いることができる、反復プロセスによって実施することができる。そのような実施形態において、本発明の実施は以下の工程を含む。
(a) ガラスリボンの延伸速度に対する、ガラスについての硬化帯温度領域(SZTR)を決定する工程、
(b) ガラスがSZTRを通過する、リボンの長さに沿う少なくとも1つの縦方向位置についての目標温度値を含む一組の作業条件の下で少なくとも1つのガラスシートを作成する工程、目標温度値はリボンの幅にかけて分布する位置(「リボン横断位置」)における値である、
(c) 一組の作業条件の下で作成された少なくとも1つのシートについて、
(i) シート及びまたはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースが平表面上に真空で引き付けられている間の、シート及び/またはサブピース上の複数の空間的に隔てられた位置における応力値(「応力値」)、
(ii) 無重力または実質的に無重力の条件下にあるシート及び/またはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースの平面からの偏差値(「平面からの無重力下偏差値」)、
(iii)重力条件下にあるシート及び/またはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースの平面からの偏差値(「平面からの重力下偏差値」)、及び
(iv) シートについての面内形状変化値及び/またはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースについての歪値(「形状変化/歪値」)、
の内の1つ以上を測定する工程、
(d) 工程(c)で測定された値を1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準と比較する工程、
(e) ガラスがSZTRを通過する、リボンの長さに沿う少なくとも1つの縦方向位置におけるリボン横断位置に対する修正目標温度値を1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準との比較を用いて決定する工程、
(f) 工程(e)において決定された修正目標温度値を用いて少なくとも1つのガラスシートを作成する工程、
(g) 工程(f)において作成された少なくとも1つのシートについて、(i)応力値、(ii)平面からの無重力下偏差値、(iii)平面からの重力下偏差値及び(iv)形状変化/歪値の内の1つ以上を測定する工程、及び
(h) 工程(g)の測定値を1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準と比較する工程、
及び、必要であれば、リボンの長さ方向に沿う、同じ少なくとも1つの縦方向位置及び/または少なくとも1つの異なる縦方向位置を用いて工程(e)から(g)を、1回以上、反復する工程。工程(e)から(g)は、1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準を満たす測定値が得られる、少なくとも1つの縦方向位置及びその位置についての目標温度値が決定されるまで、反復されることが好ましい。
望ましければ上述した反復手法の組合せを用いることができる。単に一例として、例えばプロセス検証、プロセス初稼動及び/またはプロセス変更時に、コンピュータモデル手法を用いることができ、例えばより定常状態での稼動時には非コンピュータモデル手法が用いられる。
リボン横断温度分布は、補助無しの熱の輻射及び対流を用いて実現されるより低速/高速の速度での加熱/冷却を可能にするような様々な加熱/冷却デバイスを用いて達成することができる。ガラスシート製造の当業者の認識範囲内にある加熱/冷却デバイスを用いて所望のリボン横断温度プロファイルを実現することができる。
加熱に関し、リボンの幅にかけて複数の加熱素子を分散配置することができ、リボンの表面における所望の温度分布を達成するために個々の素子に供給される電力量を変えることができる。冷却に関し、水冷管(冷却バイヨネット)を用いて高温ガラスから熱を輻射によってバイヨネットの(水冷された)低温の金属表面上に移して取り除くことができる。従来のバイヨネットについての熱除去能はリボンの幅にかけてほとんど一様である。
図2Aは、水が流入口19を通ってバイヨネットに入り、バイヨネットの中心を流過して、熱を吸収する周縁に沿って戻ってから、流出口21を通ってでる、従来の冷却バイヨネット17を示す。図2Aにおいて、バイヨネットは一様な外径及び一様輻射吸収コーティング23を有するとして示される。
差冷却を達成するため、バイヨネットの表面を異なる輻射吸収コーティングで被覆することができ、及び/またはバイヨネットの外径をバイヨネットの長さに沿って大きくまたは小さくすることができる。詳しくは、外径の縮小(熱伝達面積の縮小)または表面輻射率の低下(表面で吸収される輻射の減少)あるいは外径縮小と輻射率低下の組合せにより、冷却の弱化を達成することができる。逆の条件、すなわち大径及び高輻射率により、冷却の強化を達成することができる。
断面積差を得るために直径の異なる2つの管を溶接し合わせることができ、所望の輻射熱伝達制御を得るために輻射率の異なるコーティングを選択することができる。望ましければ、冷却強化領域及び冷却弱化領域の寸法、直径及び輻射率を、冷却強化領域及び冷却弱化領域を合せた熱抜取りが標準冷却バイヨネットの熱除去能に整合するように、調節することができる。そのようにすれば、歪レベルを低減するために選択されたリボン横断冷却パターンが他のガラス属性に望ましくない硬化を有するであろう可能性を最小限に抑えることができる。同じ線に沿い、全般的に、局所化温度低下によるリボン横断温度分布の形成は、温度上昇によるそのような分布の形成よりも総合ガラス品質を低下させる可能性が低いと言える。
代表例として、図2Bは2つの輻射吸収コーティング23及び25,及び2つの直径を有する差冷却バイヨネットを示す。この構成によれば、5つの独立な冷却領域を達成することが可能である。図2Cは、7つの独立な冷却領域を達成することができる、2輻射率−3直径構成を示す。もちろん、実際上は、より多いかより少ない領域を必要に応じて用いることができる。
本発明の実施に用いることができる冷却バイヨネットのさらに詳しい議論は、米国特許出願公開第2006/0081009号明細書に見ることができ、この明細書の内容はその全体が本明細書に参照として含まれる。
いかなる態様でも本発明を限定する目的は無しに、以下の実施例によって本発明をさらに十分に説明する。
実施例1:球形シートを補償する温度分布
本実施例は球形シートの場合について本発明の原理を示す。要約すれば、本実施例及び実施例2でとられる手法は、選択された形状を平面上に真空で引き付けたときに発生する応力のモデルをつくり、次いで、そのように計算された値を用いて真空引付けで発生した応力分布を少なくともある程度相殺するであろう計算された熱応力分布を生じさせる温度分布を選択することである。
図3は、幅が1100mm,長さが1300mmであり、球形ドームの高さδが1mmの球形ガラスシートを示す。図4は、平面上に平坦化されたときの、シートの幅及び長さに沿う計算で得られたエッジ応力レベル(それぞれ、曲線43及び45)を示す。
図5及び6は球形シートの幾何構造を示し、湾曲シートが平坦化されたときにつくられる歪ε(r,θ)を精確に相殺するであろう熱歪を生じさせるであろう二次元温度分布T(x,y)の決定に用いることができる、座標系も示す。
シートの平坦化時に生じる歪ε(r,θ)は平坦化前後の周長の間の差によって式(1):
Figure 2013253017
で与えられる。ここで、添字‘f’は「平坦化前」を指し、添字‘d’は「平坦化後」を指す。
図6の幾何構造に関し、式(1)は次式:
Figure 2013253017
に書き換えることができ、したがって:
Figure 2013253017
と書くことができる。ここで:
Figure 2013253017
である。
この歪分布を相殺するであろう温度分布T(r,θ)は、式(2):
Figure 2013253017
で与えられる。ここで、CTEは、一般に温度の関数であるが本実施例の目的のためには定数であると仮定される、ガラスの熱膨張係数であり、T基準はCTEを定める際に用いられる基準温度である。
図5を用いれば、式(2)は、式(3):
Figure 2013253017
のように(x,y)座標系で与えられるT(x,y)に書き換えることができる。
図7は式(3)の温度分布のグラフであり、図8はこの温度分布にともなうシートのエッジに沿う計算された熱応力のグラフである(曲線47はシートの幅に沿い、曲線49はシートの長さに沿う)。図8の図4との比較は、形状誘起応力の熱応力分布による正確な相殺を示す。
図7の温度分布は、実際の実施には一般に困難であり得る二次元分布である。
図9〜11は、シートの全長に沿って(すなわち、図5のy=0からy=1300mmまで)適用される、シートの幅にわたる一次元温度分布を用いて実施された検討の結果を示す。これらの図に用いられた温度分布は、実際上容易に実施できる、リボン横断温度分布に対応する。
特に、図9は図7の、y=0における、リボン横断温度プロファイルを示し、図10はこの温度分布にともなって得られるシートのエッジに沿う計算された熱応力を示す(曲線51はシートの幅に沿い、曲線53はシートの長さに沿う)。本図の図4との比較は50%の相殺しか達成されていないことを示す。しかし、図11は一次元温度分布を単に2倍することにより、すなわち2・[図9のT(x)]を用いることにより、エッジ応力の相殺が達成されることを示す。
特に、図11の曲線55及び57は、シートの幅及び長さのそれぞれに沿う、2・T(x)温度分布にともなう計算された熱エッジ応力を示す。これらの曲線と図4の曲線との比較は、球形シートにともなう形状誘起エッジ応力を相殺することができる一次元温度分布の能力を実証する。
実施例2:楕円形シートを補償する温度分布
本実施例では実施例1の解析が楕円形シートに拡張される。
図12は、長さ方向のシートの曲率に対する幅方向の曲率の比(F)が2.0である、代表的な楕円形シートを示す。
図14Aは図12の楕円が平坦化されたときに発現するエッジ応力(曲線59はシートの幅に沿い、曲線61はシートの長さに沿う)を示し、図14Bはリボンの幅にかけて適用される図3の温度プロファイルによって生じる補償熱応力を示す。詳しくは、図14Bの曲線63及び65はそれぞれシートの幅及び長さに沿う補償熱応力を示す。図14Aと図14Bの比較からわかるように、図13の温度プロファイルにより形状誘起エッジ応力の相殺が達成される。
図15及び16はそれぞれF値が5及び10の楕円に対する補償温度プロファイルを示す。図12〜14のF=2の場合と同様に、図15及び16の温度プロファイルによって、それぞれの楕円の平坦化にともなう形状誘起エッジ応力の相殺が生じることがわかった(データは示さず)。図15及び16の相互の比較及び図13との比較によって、楕円のF値が大きくなるにつれて、与えられたδに対して相殺を達成するに必要なリボンにかかる温度差は小さくなることが明らかになる。
図15及び16の温度分布では、また図7,9及び13の温度分布でも、ガラスがリボンの幅にわたる一様なCTE挙動を有すると仮定されていることに注意すべきである。リボン横断温度差は小さいから、これは妥当な仮定である。したがって、実際に用いられるリボン横断温度分布は、一般に、実質的にこれらの図に示される温度分布とすることができる。
実施例3:成分への分解−エッジ応力分解
本実施例は、エッジ応力分布をどのようにして長スケール変動及び短スケール変動に分解できるかを示す。
図17は真空平坦化条件下でのガラスシートの一エッジに沿う、代表的な、厚平均化された、面内応力測定値(曲線67)を示す。本図はこの応力分布の長スケール成分(低空間周波数成分)と短スケール成分(高空間周波数成分)ヘの分解も示す。詳しくは、曲線69は、例えば曲線67への放物線フィッティングによって決定された、長スケール成分を示す。曲線71は、曲線67から曲線69を差し引くことによって決定された、短スケール成分を示す。あるいは、分解はフーリエ級数展開として行うことができる。
そのような分解は様々な態様で用いることができる。例えば、ガラスシートから切り分けられたサブピースが示す歪に関して、上で論じたように、短スケール(短距離)応力成分より大きな効果を通常有する長スケール(長距離)応力分布に基づいて、リボン横断温度分布を選択することができる。
図17はガラスシートの一エッジに沿う応力測定値についての分解を示すが、二次元応力分布、無重力または実質的に無重力の条件下で得られた形状測定値、そのような形状測定値から計算された応力分布、切断線に沿って、及び/または切断線近傍において、計算及び/または測定された応力分布、等にも分解を適用することができる。そのような場合の全てにおいて、長距離成分は一般に短距離成分より大きな役割を果たすであろうから、本発明にしたがえば、歪補償は、少なくとも第一段階においては、長距離成分に向けられることが好ましい。
実施例4:硬化帯温度範囲の決定
本実施例は、上のV(D)(3)節で論じた手法を用い、特定のガラス組成(コーニング社製品コードEagle2000ガラス)について、代表的な延伸速度に対する硬化帯温度範囲(SZTR)の決定を示す。このガラス及び延伸速度について、SZTRに加え、cSZTR,ssSZTR及びmsSZTRに対する値も決定される。
6.90×1010Paの室温ヤング率を、A=−30.8,B=64125.1,T=−323.6のファルチャー係数とともに解析に用いた。リボンについての延伸速度は10℃/秒の冷却速度に相当すると仮定した。
上で論じたように、SZTRの下限は55.8のSZP値を生じる温度(T)である。上に挙げたファルチャー係数並びに式F及び式Gを用いれば、
55.8=(η)・10/(6.90×1010)
ln(η)=−30.8+64125.1/(T+323.6)
が得られる。
これらの2つの式をηについて解けば、749℃の温度が得られる。SZTRの上限について同じ手順をとれば、806℃が得られる。したがって、Eagle2000ガラスについてのSZTRは749〜806℃である。
同様の態様で、このガラスについて以下の範囲:
cSZTR ――― 764〜799℃
ssSZTR ―― 778〜788℃,及び
msSZTR ―― 783〜784℃
を決定した。
上記SZTR(好ましくは上記cSZTR,さらに好ましくは上記ssSZTR,最も好ましくは上記msSZTR)内の1つ以上の位置にリボン横断温度分布を適用することにより、Eagle2000ガラスからなる基板から切り分けられたサブピースが示す歪が制御される。
発明の特徴
上記の観点から、限定無しに、本発明には以下の特徴があることがわかる。
1. 延伸速度を有する延伸プロセスで作成されるガラスリボンから切り取られるガラスシートから切り分けられるサブピースが示す歪を制御する方法において、ガラスが延伸速度に対する硬化帯温度範囲を有し、ガラスリボンが中心線を有し、方法は:
(a) リボンの中心線におけるガラスが硬化帯温度範囲内の温度を有する、リボンに沿う1つ以上の縦方向位置においてリボンについてのリボン横断形状を決定する工程、及び
(b) リボンから切り取られたガラスシートの全数が、その全数内の全てのシートについて、そのシートから切り分けられたサブピースについて2μmの最大歪を有するように、工程(a)において決定された1つ以上のリボン横断形状の内の少なくとも1つに基づいて、リボンに沿う1つ以上の縦方向位置におけるリボン横断温度分布を形成する工程、
を含み、その全数内のそれぞれのシートは0.25m以上の面積を有する。
2. 特徴1の方法において、工程(a)の1つ以上の縦方向位置の少なくとも1つが、リボンの中心線においてガラスがcSZTR内(好ましくはssSZTR内、さらに好ましくはmsSZTR内)の温度を有する位置である。
3. 特徴1の方法において、工程(b)の1つ以上の縦方向位置の少なくとも1つが、リボンの中心線においてガラスが硬化帯温度範囲内の温度を有する、リボンに沿う位置にある。
4. 特徴3の方法において、工程(b)の1つ以上の縦方向位置の少なくとも1つが、リボンの中心線においてガラスが硬化帯温度範囲内(好ましくはcSZTR内、さらに好ましくはssSZTR内、最も好ましくはmsSZTR内)の温度を有する、リボンに沿う位置にある。
5. 特徴1の方法において、工程(b)の1つ以上の縦方向位置の少なくとも1つが、工程(a)の1つ以上の縦方向位置の1つと同じである。
6. 特徴1の方法において、工程(a)において決定される1つ以上のリボン横断形状の少なくとも1つが複数の形状成分を有し、工程(b)において形成される1つ以上のリボン横断温度分布の少なくとも1つが少なくとも1つのリボン横断形状のその形状成分への分解に基づいて選択される。
7. 特徴6の方法において、
(i) 形状成分が少なくとも第1の形状成分及び第2の形状成分を有し、
(ii) 第1の形状成分が第1の空間周波数成分を含み、第2の形状成分が第2の空間周波数成分を含み、
(iii) 第1の空間周波数成分が第2の空間周波数成分より低い空間周波数に対応し、
(iv) 工程(b)において形成される1つ以上のリボン横断温度分布の少なくとも1つが第1の形状成分に基づく。
8. 特徴1の方法において、工程(a)において決定される1つ以上のリボン横断形状の少なくとも1つが展開可能形状成分及び展開不能形状成分を含み、工程(b)において形成される1つ以上のリボン横断温度分布の少なくとも1つが展開不能形状成分に基づく。
9. 特徴1の方法において、工程(a)において決定される1つ以上のリボン横断形状の少なくとも1つが少なくともいくつかの空間周波数を除去するためにフィルタリングされ、工程(b)において形成される1つ以上のリボン横断温度分布の少なくとも1つがフィルタリングされた形状に基づく。
10. 特徴9の方法において、リボンがリボン横断幅Wを有し、少なくともいくつかの4/Wより高い空間周波数がフィルタリングによって除去される。
11. 特徴1の方法において、工程(a)において決定される1つ以上のリボン横断形状の少なくとも1つがリボンから切り取られる1つ以上のガラスシートに実施される、応力、形状及びまたは面内形状変化の測定、及び/または1つ以上のガラスシートから切り分けられた1つ以上のサブピースに実施される歪測定に基づく。
12. 特徴1の方法において、
(i) 延伸プロセスが一連の実質的に同等なサイクルを有し、それぞれのサイクルがリボンからの1つのガラスシートの切取りから次のガラスシートの切取りにわたり、
(ii) それぞれのサイクル中、リボンの形状が時間の関数として変り、
(iii) 工程(a)において決定される1つ以上のリボン横断の形状の少なくとも1つが時間の関数として決定される。
13. 特徴1の方法において、延伸プロセスが融合ダウンドロープロセスである。
14. 特徴1の方法において、延伸プロセスがフロートプロセスである。
15. 特徴1の方法において、少なくとも1つのリボン横断温度分布が、その長さに沿って非一様な直径及び/または非一様な輻射率を有する、冷却バイヨネットを用いて形成される。
16. 延伸速度を有する延伸プロセスによって作成されるガラスリボンから切り取られるガラスシートから切り分けられるサブピースが示す歪を制御する方法において、ガラスが硬化帯温度範囲を有し、ガラスリボンが中心線を有し、方法が、リボンから切り取られたガラスシートの全数が、その全数内のそれぞれのシートについて、そのシートから切り分けられたサブピースについて2μmの最大歪を有するように、リボンの中心線におけるガラスが実質的に無重力の条件下のガラスシートについての代表的な形状に基づく硬化帯温度範囲内の温度を有する、リボンに沿う1つ以上の縦方向位置におけるリボン横断温度分布を形成する工程を含み、全数内のそれぞれのシートが0.25m以上の面積を有する。
17. 特徴16の方法において、1つ以上の縦方向位置の少なくとも1つが、リボンの中心線においてガラスがcSZTR内(好ましくはssSZTR内、さらに好ましくはmsSZTR内)の温度を有するリボンに沿う位置にある。
18. 特徴16の方法において、リボン横断温度分布の少なくとも1つが、その長さに沿って非一様な直径及び/または非一様な輻射率を有する、冷却バイヨネットを用いて形成される。
19. 延伸速度を有する延伸プロセスによって作成されるガラスリボンから切り取られるガラスシートから切り分けられるサブピースが示す歪を制御する方法において、ガラスリボンが中心線を有し、方法が、
(i) 延伸速度についてのガラスに対する硬化帯温度範囲を決定する工程、及び
(ii) リボンから切り取られたガラスシートの全数が、その全数内のそれぞれのシートについて、そのシートから切り分けられたサブピースについて2μmの最大歪を有するように、リボンの中心線においてガラスが真空平坦化条件下のガラスシートについての代表的な応力分布に基づく硬化帯温度範囲内の温度を有する、リボンに沿う1つ以上の縦方向位置におけるリボン横断温度分布を形成する工程を含み、全数内のそれぞれのシートが0.25m以上の面積を有する。
20. 特徴19の方法において、リボン横断温度分布の少なくとも1つが、その長さに沿って非一様な直径及び/または非一様な輻射率を有する、冷却バイヨネットを用いて形成される。
21. ガラスのリボンを作成するガラス製造プロセスを用いてガラスのシートを作成する方法において、ガラスが硬化帯温度範囲(‘SZTR’)を通過するように、リボンの長さに沿ってガラスが冷却され、方法が、
(a) ガラスがSZTRを通過する、リボンの長さに沿う少なくとも1つの縦方向位置に対する目標温度値を含む一組の作業条件の下でガラスの少なくとも1つのシートを作成する工程、ここで、目標温度値はリボンの幅にわたって分布する位置(「リボン横断位置」)における値である、
(b) 上記一組の作業条件の下で作成された少なくとも1つのシートについて、
(i) シート及び/またはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースが平表面上に真空で引き付けられている間の、シート及び/またはサブピース上の複数の空間的に隔てられた位置における応力値(「応力値」)、
(ii) 無重力または実質的に無重力の条件下にあるシート及び/またはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースの平面からの偏差値(「平面からの無重力下偏差値」)、
(iii) 重力条件下にあるシート及び/またはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースの平面からの偏差値(「平面からの重力下偏差値」)、及び
(iv) シートについての面内形状変化値及び/またはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースについての歪値(「形状変化/歪値」)、
の内の1つ以上を測定する工程、
(c) 工程(b)で測定された値を1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準と比較する工程、
(d) ガラスがSZTRを通過する、リボンの長さに沿う少なくとも1つの縦方向位置におけるリボン横断位置に対する修正目標温度値を、
(i) 1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準との比較、及び
(ii) リボン横断温度分布の変化をガラスリボン及び/またはそのリボンから切り取られたガラスシート内の予測された応力及び/または歪の変化に関係付けることができるコンピュータモデル、
を用いて決定する工程、
(e) 工程(d)において決定された修正目標温度値を用いてガラスの少なくとも1つのシートを作成する工程、
(f) 工程(e)において作成された少なくとも1つのシートについて、(i)応力値、(ii)平面からの無重力下偏差値、(iii)平面からの重力下偏差値及び(iv)形状変化/歪値の内の1つ以上を測定する工程、及び
(g) 工程(f)の測定値を1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準と比較する工程、
を含み、必要であれば、リボンの長さ方向に沿う同じ少なくとも1つの縦方向位置及び/または少なくとも1つの異なる縦方向位置を用いて工程(d)から(f)を、1回以上、反復する工程を含む。
22. 特徴21の方法において、工程(d)から(f)が、1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準を満たす測定値が得られる少なくとも1つの縦方向位置及びその位置における目標温度値が決定されるまで、反復される。
23. 特徴21の方法の方法において、少なくとも1つの縦方向位置が、ガラスがcSZTRを通過する(好ましくはssSZTRを通過する、さらに好ましくはmsSZTRを通過する)位置を含む。
24. 特徴21の方法において、測定された値が空間成分に分解され、そのように分解された値が目標温度値の決定に用いられる。
25. 特徴24の方法において、
(i) 空間成分が少なくとも第1の空間成分及び第2の空間成分を含み、
(ii) 第1の空間成分が第1の空間周波数成分を有し、第2の空間成分が第2の空間周波数成分を有し、
(iii) 第1の空間周波数成分が第2の空間周波数成分より低い空間周波数に対応し、
(iv) 第1の空間周波数成分が目標温度値の決定に用いられる。
26. 特徴21の方法において、測定された値が展開可能空間成分及び展開不能空間成分に基づいて分解され、展開不能空間成分に基づいて分解された値が目標温度値の決定に用いられる。
27. 特徴21の方法において、測定された値が少なくともいくつかの空間周波数を除去するためにフィルタリングされ、フィルタリングされた値が目標温度値の決定に用いられる。
28. 特徴27の方法において、リボンがリボン横断幅Wを有し、少なくともいくつかの4/Wより高い空間周波数がフィルタリングによって除去される。
29. 特徴21の方法において、測定された値が工程(a)及び/または工程(e)において作成されるシートの全数についての平均値である。
30. 特徴21の方法において、コンピュータモデルに以下の形の式:
Figure 2013253017
Figure 2013253017
Figure 2013253017
Figure 2013253017
またはこれらの式の非線形版が用いられる。ここで、
Figure 2013253017
は弾性歪、αは熱膨張係数、Tは熱歪がゼロである基礎温度からの温度差、σは応力、εijは総歪、Eはヤング率、νはポアソン比、x,y,zは直交座標である。
31. 特徴21の方法において、リボンが融合ダウンドロープロセスで作成される。
32. 特徴21の方法において、リボンがフロートプロセスで作成される。
33. ガラスのリボンを作成するガラス製造プロセスを用いてガラスのシートを作成する方法において、製造プロセスが延伸速度を有し、方法が、
(a) 延伸速度に対するガラスについての硬化帯温度領域(SZTR)を決定する工程、
(b) ガラスがSZTRを通過する(好ましくはcSZTRを通過する、さらに好ましくはssSZTRを通過する、最も好ましくはmsSZTRを通過する)、リボンの長さに沿う少なくとも1つの縦方向位置についての目標温度値を含む一組の作業条件の下でガラスの少なくとも1つのシートを作成する工程、ここで、目標温度値はリボンの幅にかけて分布する位置(「リボン横断位置」)における値である、
(c) 一組の作業条件の下で作成された少なくとも1つのシートについて、
(i) シート及び/またはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースが平表面上に真空で引き付けられている間の、シート及び/またはサブピース上の複数の空間的に隔てられた位置における応力値(「応力値」)、
(ii) 無重力または実質的に無重力の条件下にあるシート及び/またはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースの平面からの偏差値(「平面からの無重力下偏差値」)、
(iii)重力条件下にあるシート及び/またはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースの平面からの偏差値(「平面からの重力下偏差値」)、及び
(iv) シートについての面内形状変化値及び/またはそのシートから切り分けられた1つ以上のサブピースについての歪値(「形状変化/歪値」)、
の内の1つ以上を測定する工程、
(d) 工程(c)で測定された値を1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準と比較する工程、
(e) ガラスがSZTRを通過する(好ましくはcSZTRを通過する、さらに好ましくはssSZTRを通過する、最も好ましくはmsSZTRを通過する)、リボンの長さに沿う少なくとも1つの縦方向位置におけるリボン横断位置に対する修正目標温度値を1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準との比較を用いて決定する工程、
(f) 工程(e)において決定された修正目標温度値を用いてガラスの少なくとも1つのシートを作成する工程、
(g) 工程(f)において作成された少なくとも1つのシートについて、(i)応力値、(ii)平面からの無重力下偏差値、(iii)平面からの重力下偏差値及び(iv)形状変化/歪値の内の1つ以上を測定する工程、及び
(h) 工程(g)の測定値を1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準と比較する工程、
を含み、必要であれば、リボンの長さに沿う同じ少なくとも1つの縦方向位置及び/または少なくとも1つの異なる縦方向位置を用いて工程(e)から(g)を、1回以上、反復する工程、
を含む。
34. 特徴33の方法の方法において、工程(e)から(g)は、1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準を満たす測定値が得られる、少なくとも1つの縦方向位置及びその位置における目標温度値が決定されるまで、反復される。
35. 特徴33の方法において、測定された値が空間成分に分解され、そのように分解された値が目標温度値の決定に用いられる。
36. 特徴35の方法において、
(i) 空間成分が少なくとも第1の空間成分及び第2の空間成分を含み、
(ii) 第1の空間成分が第1の空間周波数成分を有し、第2の空間成分が第2の空間周波数成分を有し、
(iii) 第1の空間周波数成分が第2の空間周波数成分より低い空間周波数に対応し、
(iv) 第1の空間周波数成分が目標温度値の決定に用いられる。
37. 特徴33の方法において、測定された値が展開可能空間成分及び展開不能空間成分に基づいて分解され、展開不能空間成分に基づいて分解された値が目標温度値の決定に用いられる。
38. 特徴33の方法において、測定された値が少なくともいくつかの空間周波数を除去するためにフィルタリングされ、フィルタリングされた値が目標温度値の決定に用いられる。
39. 特徴38の方法において、リボンがリボン横断幅Wを有し、少なくともいくつかの4/Wより高い空間周波数がフィルタリングによって除去される。
40. 特徴33の方法において、測定された値が工程(b)及び/または工程(e)において作成されるシートの全数についての平均値である。
41. 特徴33の方法の方法において、リボンが融合ダウンドロープロセスで作成される。
42. 特徴33の方法において、リボンがフロートプロセスで作成される。
43. 延伸プロセスによって作成されるガラスリボンから切り取られるガラスシートから切り分けられるサブピースが示す歪を制御する方法において、方法が、
(a) プロセスによって作成されるガラスシート及び/またはサブピースについて一次元または二次元のデータを得る工程、
(b) データを成分に分解する工程、ここで、成分は少なくとも第1の成分及び第2の成分を含み、
(i) 第1の成分は第1の空間周波数成分を有し、第2の成分は第2の空間周波数成分を有し、
(ii) 第1の空間周波数成分は第2の空間周波数成分より低い空間周波数に対応する、
及び
(c) 延伸プロセスに用いられる少なくとも1つのプロセスパラメータの選択に第1の成分を用いる工程、
を含む。
44. 特徴43の方法において、データが形状データである。
45. 特徴43の方法において、データが応力データである。
46. 特徴43の方法において、少なくとも1つのプロセスパラメータがリボン横断温度分布である。
本発明の特定の実施形態を説明し、示したが、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに改変がなされ得ることは当然である。例えば、主として融合ダウンドロープロセスに関して本発明を上に論じたが、本発明は、同じくガラスリボンが形成されて冷却されながらSZTRを通過する、フロートプロセスにも等しく適用可能である。
本明細書の開示から当業者には本発明の範囲及び精神を逸脱しない様々なその他の改変が明白であろう。添付される特許請求の範囲は、本明細書に述べられる特定の実施形態も、そのような改変、変形及び等価物も、包含するとされる。
補遺A:熱応力についての方程式
シート内の応力及び歪は以下の数系の場の方程式を満たさなければならない。
適合条件
適合条件は、式(1):
Figure 2013253017
で表される。ここで、εは総合歪であり、添字は通常の態様における成分を指し、x,y,zは直交座標系である。例えば、アイ・エス・ソコルニコフ(I. S. Sokolnikoff)著,「弾性の数学理論(Mathematical Theory of Elasticity)」,1956年,(米国フロリダ州マレイバー(Malabar)),Robert E. Krieger Publishing Company,を見よ。適合条件は、変位場が連続であるべきことを表す。すなわち、適合条件は、弾性固体に穴がなく、同じ空間が弾性固体の1つより多くの領域によって占有されないことを表す。
弾性モデルにおいて、総合歪は弾性歪と熱歪の総和である。弾性歪:
Figure 2013253017
は、式(2):
Figure 2013253017
で表される。ここで、αは、ここでは等方にとられる、熱膨張係数であり、Tは熱歪がゼロである基礎温度からの温度差である。Tは空間位置の関数であり得ることに注意されたい。
構成則
構成則は、式(3):
Figure 2013253017
で表される。ここで、σは応力、Eはヤング率、νはポアソン比である。E及びνは温度の関数であり得る。この方程式系は、線形弾性にとられるが、望ましければ粘弾性とすることもできるであろう、材料の応力−歪挙動を表す。
平衡条件
平衡条件は、式(4):
Figure 2013253017
表される。熱誘起応力を見いだすため、上記の方程式系が、境界条件及び与えられた温度分布と組み合せられて、解かれる。境界条件は、例えば、無外力であるとしてシートを扱うことができる。あるいは、境界条件は、リボンの長さに沿う1つ以上の縦方向位置における外力、例えば外向き外力及び/またはねじり力の印加を含むことができる。
熱歪がそれ自体で適合条件を満たせば、総合歪は単に熱歪みとすることができ、応力は存在しないであろう。例えば、熱歪が一様であるか、あるいは一様な勾配を有していれば、熱歪はそれ自体で適合条件を満たし、よって応力は存在しないであろう。熱歪が適合条件を満たさなければ、総合歪が適合条件を満たすように、弾性(または粘弾性)歪が現れる。
本モデルはANSYS有限要素法ソフトウエアを用いて実施できる。上記の方程式系及びそれらを解くための手続はANSYSに組み込まれている。幾何構造、温度の関数としての材料特性(E,ν,α)及び温度分布はANSYSソフトウエアに指定する。
上記方程式系は、歪が無限小であり、弾性材料挙動が線形であり、変位が小さい、線形の場合に対する系である。しかし、注目するいくつかの場合において、幾何構造的非線形性があり得る。例えば、歪を無限小とすることができ、材料挙動を線形弾性とすることができるが、変位が非線形解析を必要とするに十分に大きいことがあり得る。
そのような非線形の場合、解かれるべき方程式系は上に与えられた線形方程式系より複雑であるが、エル・イー・マーヴィン(L. E. Marvin)著,「連続媒質の力学入門(Introduction to the Mechanics of a Continuous Medium)」,1969年,Prentice-Hall, Inc.、ティー・ベリチコ(T. Belytschko),ダブリュー・ケイ・リウ(W. K. Liu)及びビー・モラン(B. Moran)著,「連続体及び構造体のための非線形有限要素(Nonlinear Finite Elements for Continua and Structures)」,2000年,John Wiley & Sons, Ltd.、及び、ジー・ドーント(G. Dhont)著,「三次元熱機械応用のための有限要素法(The Finite Element Method for Three-Dimensional Thermomechanical Applications)」,2004年,John Wiley & Sons, Ltd.のような、多くの教本を利用できる。
さらに、ANSYS及びその他の多くの市販有限要素法ソフトウエアパッケージには、非線形方程式系及びそれを解くための手続が内蔵されている。例えば、ANSYSでは、非線形方程式系が解かれるべき系であることを指定するため、非線形挙動をサポートする要素(例えば、SHEll181要素)とともに、コマンド‘NLGEOM,ON’が用いられる。
13 ガラスシート(ガラス基板)
15 ガラスリボン
17 冷却バイヨネット
19 流入口
21 流出口
23 輻射吸収コーティング
25 (輻射吸収コーティング23とは異なる)輻射吸収コーティング
27a,b エッジローラー
29 引張ロール
31 SZTRに相当するリボン領域
35 罫書き線
37 アイソパイプ、すなわち融合ダウンドロープロセスに用いられる形成構造体
39 溶融ガラスを受け取るためのアイソパイプの空洞
41 アイソパイプのルート

Claims (2)

  1. 延伸速度を有する延伸プロセスによって作成されるガラスリボンから切り取られるガラスシートから切り分けられるサブピースが示す歪を制御する方法において、前記ガラスが硬化帯パラメータ(SZP)を有し、当該硬化帯パラメータが、
    式:(η・冷却速度・℃−1)/Eで定義されるものであって、Eが前記ガラスのヤング率、ηが温度の関数である前記ガラスの粘度を表し、冷却速度が、前記ガラスが延伸される際の、前記ガラスの軟化点及びアニール点に基づいて決定されるものであり、
    前記ガラスが、硬化帯温度範囲(SZTR)を有し、前記延伸速度で延伸されるときに、当該SZTRは、前記SZPが式:2.7≦SZP≦55.8を満足し、前記ガラスの歪点よりも高い温度の範囲であり、
    前記ガラスリボンが中心線を有し、
    前記方法が、前記リボンの前記中心線におけるガラスを、(a)実質的に無重力条件下での前記ガラスシートの代表的な形状、又は、(b)真空平坦条件下での前記ガラスシートの代表的な応力分布に基づく、前記SZTR内の温度とすることにより、前記リボンに沿う1つ以上の縦方向位置において、前記リボンの横断方向の温度分布を生成する工程を有してなり、
    前記リボンから切り取られたガラスシートの全数が、前記全数内のそれぞれのシートについて、前記シートから切り分けられたサブピースに対し2μmの最大歪を有し、前記全数内のそれぞれのシートが0.25m以上の面積を有するものであることを特徴とする方法。
  2. ガラスのリボンを作成するガラス製造プロセスを用いてガラスのシートを作成する方法において、前記製造プロセスが延伸速度を有し、
    前記ガラスが、硬化帯パラメータ(SZP)を有し、当該硬化帯パラメータが、
    式:(η・冷却速度・℃−1)/Eで定義されるものであって、Eが前記ガラスのヤング率、ηが温度の関数である前記ガラスの粘度を表し、冷却速度が、前記ガラスが延伸される際の、前記ガラスの軟化点及びアニール点に基づいて決定されるものであり、
    前記ガラスが、更に硬化帯温度領域(SZTR)を有し、当該SZTRが、前記延伸速度で延伸されたときに、前記SZPが、式:2.7≦SZP≦55.8を満足し、前記ガラスの歪点よりも高い温度範囲であり、
    前記方法が、
    (a) 前記ガラスが前記SZTRを通過する、前記リボンの長さに沿う少なくとも1つの縦方向位置についての目標温度値を含む一組の作業条件の下でガラスの少なくとも1つのシートを作成する工程であって、前記目標温度値は前記リボンの幅にかけて分布する位置(「リボン横断位置」)における値である工程、
    (b) 前記一組の作業条件の下で作成された前記少なくとも1つのシートについて、
    (i) 前記シート及び/または前記シートから切り分けられた1つ以上のサブピースが平表面上に真空で引き付けられている間の、前記シート及び/または前記サブピース上の複数の空間的に隔てられた位置における応力値(「応力値」)、
    (ii) 無重力または実質的に無重力の条件下にある前記シート及び/または前記シートから切り分けられた1つ以上のサブピースの平坦面からの偏差値(「平坦面からの無重力下偏差値」)、
    (iii)重力条件下にある前記シート及び/または前記シートから切り分けられた1つ以上のサブピースの平坦面からの偏差値(「平坦面からの重力下偏差値」)、及び
    (iv) 前記シートについての面内形状変化値及び/または前記シートから切り分けられた1つ以上のサブピースについての歪値(「形状変化/歪値」)、
    の内の1つ以上を測定する工程、
    (c) 工程(b)の前記測定値を1つ以上の歪規準及び/または1つ以上の歪代用特性規準と比較する工程、
    (d) 前記ガラスが前記SZTRを通過する、前記リボンの長さに沿う少なくとも1つの縦方向位置におけるリボン横断位置に対する修正目標温度値を、前記1つ以上の歪規準及び/または前記1つ以上の歪代用特性規準との前記比較を用いて決定する工程、
    (e) 工程(d)において決定された前記修正目標温度値を用いてガラスの少なくとも1つのシートを作成する工程、
    (f) 工程(e)において作成された前記少なくとも1つのシートについて、(i)応力値、(ii)平坦面からの無重力下偏差値、(iii)平坦面からの重力下偏差値及び(iv)形状変化/歪値の内の1つ以上を測定する工程、及び
    (g) 工程(f)の前記測定値を前記1つ以上の歪規準及び/または前記1つ以上の歪代用特性規準と比較する工程、
    を含み、
    必要であれば、前記リボンの長さに沿う前記少なくとも1つの縦方向位置と同じ縦方向位置及び/または少なくとも1つの異なる縦方向位置を用いて工程(d)から(f)を、1回以上、反復する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
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