JP2013250297A - 駆動機構およびレンズ移動機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】カメラモジュールの小型化および薄型化と駆動の静音化とを両立させた駆動機構およびレンズ移動機構を提供する。
【解決手段】レンズ移動機構は、固定体1と、固定体1に対して軸方向に移動する柱状の移動体2と、電気機械変換素子3Aにより駆動され、固定体1に対して移動体2を移動させる駆動部材3と、移動体2に固定され、移動体2と駆動部材3とを所定の押圧力で摩擦係合させる係合部材4とを備える。係合部材4は、押圧力を発生させる弾性部分4Aと、駆動部材3に接して移動体2の移動方向を規定するガイド部分4Bとを含む。ガイド部分4BはL字形状を有し、移動体2と駆動部材3との間に作用する押圧力は、弾性部分4Aの変形方向に対して斜めに交差する。理想的には、押圧力は、移動体2の重心軸に向かう方向に作用する。
【選択図】図1
【解決手段】レンズ移動機構は、固定体1と、固定体1に対して軸方向に移動する柱状の移動体2と、電気機械変換素子3Aにより駆動され、固定体1に対して移動体2を移動させる駆動部材3と、移動体2に固定され、移動体2と駆動部材3とを所定の押圧力で摩擦係合させる係合部材4とを備える。係合部材4は、押圧力を発生させる弾性部分4Aと、駆動部材3に接して移動体2の移動方向を規定するガイド部分4Bとを含む。ガイド部分4BはL字形状を有し、移動体2と駆動部材3との間に作用する押圧力は、弾性部分4Aの変形方向に対して斜めに交差する。理想的には、押圧力は、移動体2の重心軸に向かう方向に作用する。
【選択図】図1
Description
本発明は、駆動機構およびレンズ移動機構に関する。
携帯電話などに搭載可能なカメラモジュールの開発が従来から行なわれている。
たとえば特許文献1には、圧電素子の伸縮に応じて往復移動するロッドを備えたアクチュエーターを備えた駆動機構が記載されている。ここで、移動体には、ロッドを挟み込む押圧部材(板ばね部材)が設けられている。
たとえば特許文献1には、圧電素子の伸縮に応じて往復移動するロッドを備えたアクチュエーターを備えた駆動機構が記載されている。ここで、移動体には、ロッドを挟み込む押圧部材(板ばね部材)が設けられている。
特許文献2には、圧電素子と圧電素子に固定された磁石とからなる駆動体と、円筒形状部分を有するレンズホルダと、レンズホルダに支持された光学レンズとを備えたレンズモジュールが記載されている。
特許文献3には、圧電素子および駆動軸が連結した連結体と、駆動軸を該駆動軸の長手方向に沿って摺動可能な状態で保持する軸保持部を有する固定部材と、連結体が固定され、圧電素子の駆動に応じて変位する移動対象物とを備えた駆動装置が記載されている。ここで、軸保持部は、移動対象物の中心と駆動軸の中心とを結んだ直線と略平行方向に駆動軸を付勢する付勢手段を有する。
近年、スマートフォンの普及に伴ない、カメラ機能の高度化、カメラの小型化および薄型化への要求は益々高まってきている。また、動画撮影を行なう際の雑音低減のため、オートフォーカス機能において発生する駆動音低減の要求も高まってきている。
特許文献1に記載の構造では、押圧方向が、レンズユニットの中心から大きく離れているため、駆動時のレンズユニットの振動を抑えにくく、駆動音が大きくなる。
特許文献2に記載の構造では、駆動力の発生場所と駆動方向を規制する場所とが離れているため、駆動が不安定となる。この結果、駆動音が大きくなる。
特許文献3に記載の構造では、移動対象物、ガイド機構、駆動軸および押圧機構が直線上に配置され、押圧機構とガイド機構とが駆動軸を挟んで配置されているため、配置効率が悪く、小型化が阻害される。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、カメラモジュールの小型化および薄型化と駆動の静音化とを両立させた駆動機構およびレンズ移動機構を提供することである。
本発明に係る駆動装置は、固定体と、固定体に対して軸方向に移動する柱状の移動体と、電気機械変換素子により駆動され、固定体に対して移動体を移動させる駆動部材と、移動体に固定され、移動体と駆動部材とを所定の押圧力で摩擦係合させる係合部材とを備える。上記係合部材は、押圧力を発生させる弾性部分と、駆動部材に接して移動体の移動方向を規定するガイド部分とを含む。
1つの局面では、上記移動体と駆動部材との間に作用する押圧力は、弾性部分の変形方向に対して斜めに交差する。他の局面では、上記ガイド部分はL字形状を有する。なお、本明細書において「…方向に対して斜め方向」とは、対象の方向に対して垂直でない角度で交差することを意味する。
1つの実施態様では、上記駆動装置において、押圧力は、柱状の移動体の重心軸に向かう方向に作用する。ここで、移動体に対する係合部材の固定位置と、移動体と駆動部材との接点とが、移動体の重心軸を中心として周方向に90度以内の範囲に設けられていることが好ましい。
1つの実施態様では、上記駆動装置において、係合部材は、移動体に対する固定位置に対してガイド部分の反対側に、移動体および駆動部材に拘束されない自由端部分を有する。
1つの実施態様では、上記駆動装置において、ガイド部分は、2箇所以上の接触位置において駆動部材と接触する。
1つの実施態様では、上記駆動装置において、移動体は、1箇所の接触位置のみにおいて駆動部材と接触する。
1つの実施態様では、上記駆動装置において、固定体は矩形の平面形状を有し、弾性部分を矩形の一辺に沿って配置する。
1つの実施態様では、上記駆動装置において、駆動部材は、電気機械変換素子に対して移動体の軸方向に並ぶように配置され、駆動部材は、電気機械変換素子に対して径方向に突出する部分を有する。
本発明に係るレンズ移動機構は、上述した駆動装置と、駆動装置における移動体に搭載されたレンズとを備える。
本発明に係る駆動装置およびレンズ移動機構によれば、カメラモジュールの小型化および薄型化と駆動の静音化とを両立させることができる。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一または対応する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。また、以下に複数の実施の形態が存在する場合は、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の特徴部分を適宜組み合わせることは、当初から予定されている。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る「駆動装置」としてのレンズ移動機構の斜視図である。図1(a),(b)に示すように、レンズ移動機構は、固定体1と、固定体1に対して軸方向に移動する柱状の移動体2と、移動体2を光軸方向に駆動する駆動部材3と、移動体2と駆動部材3とを係合する係合部材4とを備える。
図1は、実施の形態1に係る「駆動装置」としてのレンズ移動機構の斜視図である。図1(a),(b)に示すように、レンズ移動機構は、固定体1と、固定体1に対して軸方向に移動する柱状の移動体2と、移動体2を光軸方向に駆動する駆動部材3と、移動体2と駆動部材3とを係合する係合部材4とを備える。
固定体1は、略矩形の平板形状を有している。固定体1には、駆動部材3の中心軸まわりの移動体2の回転を規制するストッパ1Aが設けられている。固定体1は、例えば薄板状のステンレスにプレス加工を施すことにより製造される。
移動体2は、柱状形状を有する。移動体2は、固定体1上に設けられている。移動体2には、被写体の像を撮像センサに結像するためのレンズ2Aが支持される。移動体2は、例えばステンレスに深絞り加工を施すことにより製造される。
移動体2は、固定体1に対して移動することができる。これにより、撮像センサに対してレンズを光軸方向に移動させることができる。
駆動部材3は、円柱形状を有し、移動体2と所定の摩擦力で摩擦係合する。駆動部材3は、電気機械変換素子3Aの上面に固定される。電気機械変換素子3Aの下面は、錘3Bの上面に固定される。錘3Bの下面は、固定体1に固定される。駆動部材3は、たとえばカーボンファイバによって形成される。
電気機械変換素子3Aは、レンズ2Aの光軸方向に伸縮する積層型圧電素子であり、互いに対向する側面を有する。互いに対向する側面のそれぞれには、電極が形成されている。電気機械変換素子3Aは、外部から入力された電気エネルギーを機械エネルギー(伸縮)に変換する。
実施の形態1に係るレンズ移動機構は、電気機械変換素子3Aの伸長時と収縮時の速度差を利用して、移動体2を移動させる。たとえば、電気機械変換素子3Aをゆっくりと光軸方向の一方向に伸長させることによって、駆動部材3と摩擦係合する移動体2も同じように移動する。一方、電気機械変換素子3Aを瞬時に光軸方向の逆方向に収縮させると、駆動部材3のみが下方に移動し、移動体2が伸長時の位置に取り残される。このように、電気機械変換素子3Aの伸長と収縮とを繰り返し行なうことで、移動体2を光軸方向に移動させることができる。電気機械変換素子3Aの伸縮を効率よく移動体2の移動量に変換するためには、錘3Bの質量が大きいことが好ましい。錘3Bとしては、たとえば比重の大きいタングステン合金が用られる。
係合部材4は、移動体2に対して押圧力を発生させる弾性部分4Aと、駆動部材3に接して移動体2の移動方向を規定するガイド部分4Bと、移動体2および駆動部材3に拘束されない自由端部分4Cとを備える。ガイド部分4Bは、固定体1の角部に設けられており、固定体1の1辺側から交差する他辺側にかけて連続して形成される。係合部材4は、弾性部分4Aの変形により発生する力を押圧力としてガイド部分4Bを介して駆動部材3に伝達する。駆動部材3に伝達された押圧力は、移動体2に伝達される。
上記押圧力のバラツキは、駆動性能のバラツキとなるため、弾性部分4Aのばね定数は小さい方が望ましい。係合部材4は、たとえば1枚の薄板状のステンレスから形成され、その一部が切り出され、切り出された部分と残りの部分とが、いずれも弾性部分4Aとされている。このようにすることで、弾性部分4Aを長くすることができる。弾性部分4Aの長さを長くすることで、弾性部分4Aのばね定数を小さくすることができる。係合部材4における上記切り出された部分は、図1中のA部において、移動体2とスポット溶接される。自由端部分4Cは、移動体2に対する固接位置(A部)に対してガイド部分4Bの反対側に位置する。
図2は、駆動部材3と移動体2との間の押圧力の向きの違いによる駆動音の抑制効果を説明する図である。図2(a)は、本実施の形態に係るレンズ移動機構の上面図であり、図2(b)は、比較例に係るレンズ移動機構の上面図である。
本実施の形態に係るレンズ移動機構においては、図2(a)に示すように、固定体1の略中央に移動体2が形成され、移動体2は駆動部材3と1点で接する。係合部材4は固定体1の1辺方向(X方向)とそれに交差する辺方向(Y方向)に連続してL字状に形成される。駆動部材3は、X方向に延材する係合部材4とY方向に延在する係合部材4とに接する。すなわち、駆動部材3は、2箇所において係合部材4と接する。
図2(b)に示す比較例に係るレンズ移動機構は、駆動部材3と係合するV字状係合部が移動体2に設けられている点、および、係合部材4における駆動部材3に接する部分が固定体1の1辺方向(X方向)にのみ形成されている点において、本実施の形態と構成が異なる。すなわち、平面視において、移動体2のV字状係合部の2点において駆動部材3は移動体2と接し、駆動部材3は、X方向に延在する係合部材4と1点において接する。
次に、図3を用いて、係合部材4から駆動部材3を介して移動体2に伝達される押圧力の方向を説明する。図3は、図2(a)に示す駆動部材3が移動体2および係合部材4と接触する部分を拡大した図である。
図3に示すように、駆動部材3は、平面視において、2点で係合部材4に接触しており、それぞれの接触部で係合部材4から押圧力を受ける。平面視において、駆動部材3は、1点で移動体2と接触しており、係合部材4から駆動部材3に作用する押圧力の合力が、移動体2に作用する。上記合力の向きが、駆動部材3が移動体2を押圧する方向になる。本実施の形態では、駆動部材3が移動体2を押圧する方向は、図3に示すように、係合部材4が駆動部材3を押圧する各々の方向(X軸方向およびY軸方向)と交差する斜め方向である。
上述のように、電気機械変換素子3Aの伸縮の速度差を用いて移動体2を移動させる場合、駆動時に発生する移動体2の振動が駆動音の原因の1つとなる。図2において、駆動部材3の中心からレンズ移動機構の重心に向かって移動体2がピッチングする振動(本明細書では、このピッチング方向の振動を「振動」と称する。)によって、駆動音が発生する。ピッチングを抑えるためには、駆動部材3を移動体2の重心に向かって押圧することが有効である。
本実施に係るレンズ機構では、図2(a)に示すように、係合部材4から駆動部材3に対する押圧力の合力の方向を移動体2の重心方向に向けることができるように、移動体2の重心と、駆動部材3の重心と、移動体2と駆動部材3との接触位置とが配置されている。そのため、係合部材4から駆動部材3へ作用する押圧力の合力によって、移動体2の振動を抑制することができる。
一方、図2(b)に示す比較例に係るレンズ移動機構では、平面視において駆動部材3は移動体2と2点で接触しているため、係合部材4から駆動部材3へ作用する押圧力は分力される。ここで、振動を抑制する力は移動体2の重心方向を向く方向の分力のみとなる。結果として、本実施の形態と比較して振動を抑止する効果が低くなる。
図2(b)に示す比較例に係るレンズ移動機構において、図2(a)に示す本実施の形態に係るレンズ移動機構と同等の振動抑制力(移動体2の振動を抑制する力)を実現するためには、係合部材4の押圧力を大きくする必要がある。しかし、係合部材4の押圧力を大きくすると、耐摩耗性や駆動速度の低下などが発生する。そのため、駆動特性を保ちつつ駆動音を抑える構成として、本実施の形態に係るレンズ移動機構は有利である。
なお、本発明において、係合部材4から駆動部材3へ作用する押圧力の合力の方向は、必ずしも重心に向かう方向に完全に一致するものでなくともよい。図2(a)において矢印で示す最も理想的な方向(重心に向かう方向)に対して、たとえば左右に22.5度程度ずつ(好ましくは左右に15度程度ずつ)ずれた方向に合力が向かう場合も、上記合力によって移動体2の振動を抑制する効果を十分に得ることが可能であるし、上記範囲外であっても、重心に近づく斜め方向に上記合力が向かうことによって、振動の抑制効果が高まることに変わりはない。
次に、図4,図5を用いて、レンズ移動機構の配置効率および駆動性能について説明する。
略正方形の固定体1に略円形の移動体2を固定する場合、図4(a)に示すように、固定体1の各辺の中点付近と略円形の移動体2との距離(図中矢印間)が短くなるように固定することで、配置効率が高まる。
さらに係合部材4を固定体1に配置する場合、図4(b)に示すように固定体1の1辺側に沿って配置することで配置効率を高めることができる。また、このように配置することで、係合部材4の長さを長くして、係合部材4のばね定数を小さくすることができるので、レンズ移動機構の駆動の安定性を高めることができる。
駆動部材3は、たとえば約180kHzの高周波にて駆動される。移動体2を樹脂で形成した場合、樹脂は高周波の影響を受け変形する場合がある。一方、ステンレス等の金属は高周波の影響を受けにくく、その変形量は樹脂よりも小さい。このため、係合部材4を金属で形成した場合には、樹脂で形成するよりも薄型化が可能であり、さらに配置効率を高めることができる。
図4(b)に示すように、係合部材4を固定体1の1辺側にのみ沿って配置した場合には、係合部材4の可動方向は、係合部材4が形成された固定体1の1辺に対して垂直方向となる。したがって、係合部材4が駆動部材3を押圧する押圧方向は、係合部材4が形成された固定体1の1辺に対して垂直方向となる。この場合、上述のとおり、移動体2の振動が大きくなりやすい。
図4(b)の例では、平面視において駆動部材3は移動体2と2点で接触しているため、係合部材4の駆動部材3に対する押圧方向と駆動部材3の移動体2に対する押圧方向とは同一方向となる。駆動部材3の移動体2に対する押圧力は、図4(b)に示すように、移動体2の重心から大きく離れた方向に向かうことになる。この結果、静音化の効果が十分に得られない。
図4(c)に示すように、係合部材4をL字状に形成し、係合部材4の駆動部材3に対する押圧力を移動体2の中心方向に向けることにより、駆動音の静音化を図ることができる。固定体1に対して移動体2および係合部材4を上述のように配置することで、レンズ移動機構の小型化と、レンズの大口径化と、レンズ移動機構の静音化とを両立させることが可能となる。
図5(a),(b)に示す係合部材4の配置例においては、いずれの場合も、係合部材4における弾性部分4Aは、移動体2に対する固接位置(A部)から自由端部分4Cに向かって延び、さらに、自由端部分4Cからガイド部分4Bに向かって伸びる。自由端部分4Cとガイド部分4Bとの間において、弾性部分4Aは、固定体1の外延に沿って直線状に形成される。
本実施の形態においては、係合部材4が固接位置(A部)からガイド部分4Bに直線状に延びるのではなく、上述のとおり、固接位置(A部)に対してガイド部分4Bの反対側に位置する自由端部分4Cを形成するように、係合部材4が形成されている。このようにすることで、係合部材4の弾性部分4Aの長さを長くしてばね定数を小さくすることができる。ばね定数を小さくすることで、押圧力のバラツキを抑制し、結果として、駆動性能のバラツキを抑制することが可能である。
なお、図5(a)に示す配置例では、弾性部分4Aの直線状部分は、固定体1の一辺に沿うように配置される。図5(b)に示す配置例では、弾性部分4Aの直線状部分は、固定体1の二辺に沿うように配置される。
図5(b)に示す配置例のように、弾性部分4Aの直線状部分を固定体1の二辺上に亘って配置することで、弾性部分4Aの長さをより長くすることが可能である。他方、図5(b)に示す配置例の場合は、移動体2に対する係合部材4の固接位置(A部)と、移動体2と駆動部材3との接点(B部)とが、大きく離れることになる。
この点、図5(a)に示す配置例では、上記A部とB部とが近接している。A部とB部とが近接することにより、弾性部分4Aが発生させる押圧力とその反力による移動体2の変形が抑制される。
図5(a),(b)に示すとおり、A部とB部とは、移動体2の重心軸を中心として周方向にθだけ離れた位置に設けられている。上記のように、移動体2の変形を抑制する観点からは、θは90度以下(より好ましくは、45度以下)であることが好ましい。
図6は、レンズ移動機構の低背化を説明する図である。図6(a)は、比較例に係るレンズ移動機構の断面図を示す。図6(b)は、本実施の形態に係るレンズ移動機構の断面図を示す。
図6(a)の比較例に係るレンズ移動機構では、径方向において駆動部材3の幅が電気機械変換素子3Aの幅よりも小さい。このような状態において、移動体2は、軸方向に対して電気機械変換素子3Aよりも上部側に配置されることになる。
一方、図6(b)に示すように、本実施の形態に係るレンズ移動機構では、径方向において駆動部材3の幅が電気機械変換素子3Aの幅よりも大きい。すなわち、駆動部材3は、電気機械変換素子3Aに対して径方向に突出する部分を有する。このような状態においては、移動体2と電気機械変換素子3Aとを軸方向においてオーバーラップさせることが可能となる。このように、本実施の形態では、図6(a)に示す比較例に係るレンズ機構に対して低背化することが可能である。
上述のとおり、本実施の形態に係るレンズ移動機構によれば、移動体2と駆動部材3との間に作用する押圧力が弾性部分4Aの変形方向に対して斜めに交差するため、上記押圧力は移動体2の重心に近い方向に向かう。したがって、移動体2の移動時の振動を小さくすることができ、移動機構の駆動の静音化をはかることができる。
また、移動体2と駆動部材3とを摩擦係合させる係合部材4に移動体2の移動方向を規定するガイド部分4Bを設けているため、駆動力の発生場所と駆動方向を規制する場所とが近接している。この結果、駆動が安定するとともに、モジュールの小型化および薄型化をはかることもできる。
このように、本実施の形態に係るレンズ移動機構によれば、カメラモジュールの小型化および薄型化と駆動の静音化とを両立させることができる。
上述した内容について要約すると、以下のようになる。すなわち、本実施の形態に係るレンズ移動機構は、固定体1と、固定体1に対して軸方向に移動する柱状の移動体2と、電気機械変換素子3Aにより駆動され、固定体1に対して移動体2を移動させる駆動部材3と、移動体2に固定され、移動体2と駆動部材3とを所定の押圧力で摩擦係合させる係合部材4とを備える。係合部材4は、押圧力を発生させる弾性部分4Aと、駆動部材3に接して移動体2の移動方向を規定するガイド部分4Bとを含む。ガイド部分4BはL字形状を有し、移動体2と駆動部材3との間に作用する押圧力は、弾性部分4Aの変形方向に対して斜めに交差する。理想的には、押圧力は、移動体2の重心軸に向かう方向に作用する。
なお、本実施の形態においては、「駆動装置」の一例として、移動体2にレンズ2Aを搭載したレンズ移動機構を開示したが、「駆動装置」は「レンズ移動機構」に限定されるものではなく、小型化、静音化のニーズがあれば、他の種の移動機構にも適用可能である。たとえば、移動体2がミラーを保持するミラー移動機構にも、同様の思想は適用可能である。
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2に係るレンズ移動機構の斜視図である。図7に示すように、本実施に係るレンズ移動機構は、移動体2と係合部材4の弾性部分4Aおよびガイド部分4Bとが一部材(1枚の薄板)から形成されている点で、実施の形態1に係るレンズ移動機構と構成が異なる。
図7は、実施の形態2に係るレンズ移動機構の斜視図である。図7に示すように、本実施に係るレンズ移動機構は、移動体2と係合部材4の弾性部分4Aおよびガイド部分4Bとが一部材(1枚の薄板)から形成されている点で、実施の形態1に係るレンズ移動機構と構成が異なる。
また、本実施の形態に係るレンズ移動機構は、薄板を切り出すのではなく、折り返すことで自由端部分4Cを形成している点においても、実施の形態1と異なる。
本実施の形態における移動体2および係合部材4は、たとえばステンレス薄板をプレス加工することにより形成される。
図7(b)に示すように、略円形状に形成された移動体2は、弾性部分4Aおよびガイド部分4Bと一体化されている。略円形状に形成された移動体2に対し、図7(a)に示すA部においてスポット溶接が施される。これにより、移動体2はレンズを保持可能となる。
上述の内容以外の事項については、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
(実施の形態3)
図8は、実施の形態3に係るレンズ移動機構の平面図である。本実施の形態に係るレンズ移動機構は、移動体2と駆動部材3との接触部分に関する変形例である。
図8は、実施の形態3に係るレンズ移動機構の平面図である。本実施の形態に係るレンズ移動機構は、移動体2と駆動部材3との接触部分に関する変形例である。
実施の形態1,2においては、移動体2と駆動部材3との接触態様は、曲面どうしの接触であったが、移動体2と駆動部材3との接触態様はこれに限定されない。
1つの例として、図8(a)に示すように、駆動部材3側が平面、移動体2側が曲面の接触態様であってもよい。
他の例として、図8(b)に示すように、駆動部材3側が曲面、移動体2側が平面の接触態様であってもよい。
上述の内容以外の事項については、実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 固定体、1A ストッパ、2 移動体、2A レンズ、3 駆動部材、3A 電気機械変換素子、3B 錘、4 係合部材、4A 弾性部分、4B ガイド部分、4C 自由端部分。
Claims (10)
- 固定体と、
前記固定体に対して軸方向に移動する柱状の移動体と、
電気機械変換素子により駆動され、前記固定体に対して前記移動体を移動させる駆動部材と、
前記移動体に固定され、前記移動体と前記駆動部材とを所定の押圧力で摩擦係合させる係合部材とを備え、
前記係合部材は、前記押圧力を発生させる弾性部分と、前記駆動部材に接して前記移動体の移動方向を規定するガイド部分とを含み、
前記移動体と前記駆動部材との間に作用する前記押圧力は、前記弾性部分の変形方向に対して斜めに交差する、駆動装置。 - 固定体と、
前記固定体に対して軸方向に移動する柱状の移動体と、
電気機械変換素子により駆動され、前記固定体に対して前記移動体を移動させる駆動部材と、
前記移動体に固定され、前記移動体と前記駆動部材とを所定の押圧力で摩擦係合させる係合部材とを備え、
前記係合部材は、前記押圧力を発生させる弾性部分と、前記駆動部材に接して前記移動体の移動方向を規定するガイド部分とを含み、
前記ガイド部分はL字形状を有する、駆動装置。 - 前記押圧力は、柱状の前記移動体の重心軸に向かう方向に作用する、請求項1または請求項2に記載の駆動装置。
- 前記移動体に対する前記係合部材の固定位置と、前記移動体と前記駆動部材との接点とが、前記移動体の重心軸を中心として周方向に90度以内の範囲に設けられている、請求項3に記載の駆動装置。
- 前記係合部材は、前記移動体に対する固定位置に対して前記ガイド部分の反対側に、前記移動体および前記駆動部材に拘束されない自由端部分を有する、請求項1から請求項4のいずれかに記載の駆動装置。
- 前記ガイド部分は、2箇所以上の接触位置において前記駆動部材と接触する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の駆動装置。
- 前記移動体は、1箇所の接触位置のみにおいて前記駆動部材と接触する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の駆動装置。
- 前記固定体は矩形の平面形状を有し、
前記弾性部分を前記矩形の一辺に沿って配置する、請求項1から請求項7のいずれかに記載の駆動装置。 - 前記駆動部材は、前記電気機械変換素子に対して前記移動体の軸方向に並ぶように配置され、
前記駆動部材は、前記電気機械変換素子に対して径方向に突出する部分を有する、請求項1から請求項8のいずれかに記載の駆動装置。 - 請求項1から請求項9のいずれかに記載の駆動装置と、
前記駆動装置における前記移動体に搭載されたレンズとを備えた、レンズ移動機構。
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