本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[1]第1実施形態
図1〜図6を参照して、第1実施形態に係るレンズ駆動装置1の構成について説明する。レンズ駆動装置1は、レール100と、レンズホルダユニット200と、これらを収容するハウジング(図示せず)を備える。
レール100は、直方体形状を呈しており、後述するレンズの光軸方向OAに沿って略平行に延びている。レール100は、その両端がハウジングに対して固定されている。レール100は、その延在方向(光軸方向OA)と直交する第1の方向Xにおいて対向する一対の主面100a,100bを有する(図3参照)。レール100は、例えば、セラミクス、超硬合金、又は金属で構成される。セラミクスとしては、ジルコニア等が用いられる。超硬合金としては、炭化タングステン(WC)等が用いられる。金属としては、ステンレス鋼等が用いられる。
主面100aは、後述する突出部212の主面212bと対向しており、主面100aには、レール100の延在方向(光軸方向OA)に沿って延びる2つの溝101,102が形成されている(図3参照)。溝101,102は、レール100の延在方向(光軸方向OA)及び第1の方向Xにそれぞれ直交する第2の方向Yにおいて隣り合っている。すなわち、溝101,102は、略平行に延びている。溝101,102は、第1の方向(主面100a,100bの対向方向)から見て、奥に向かうにつれて幅狭となるV字形状を呈する。そのため、溝101に係合する後述のボール部材221は溝101と2点で接触し、溝102に係合する後述のボール部材222は溝102と2点で接触する。
レンズホルダユニット200は、レンズホルダ210と、ボールユニット220と、圧電アクチュエータユニット230と、保持部材240とを有する。
レンズホルダ210は、筒状の胴部211と、突出部212とを有する。胴部211の内周面及び外周面は、断面真円形状を呈する。胴部21の内側には、レンズを収納したレンズバレル(図示せず)が取り付けられる。レンズバレルが取り付けられることにより、レンズホルダ210はレンズを保持する。レンズホルダ210に保持されたレンズは、ハウジングに形成された開口を通じて露出する。レンズホルダ210は、例えばカーボンファイバを含む液晶ポリマー又はナイロンによって形成される。
突出部212は、直方体形状を呈し、胴部211と一体的に形成されている。突出部212は、胴部211の外周面から外方に向けて、第2の方向Yに沿って突出している。突出部212が突出する第2の方向Yは、第1実施形態において、胴部211の径方向に一致する。突出部212は、第1の方向X(レール100の延在方向及び突出部212の突出方向にそれぞれ直交する方向)において対向する一対の主面212a,212bを有する。
突出部212はレール100の延在方向(光軸方向OA)に沿って延びている。そのため、主面212a,212bはレール100の延在方向(光軸方向OA)に沿って延びている。主面212bは、レール100の主面100aと対向しており、主面212bには、突出部212の延在方向(光軸方向OA)に沿って延びる2つの溝213,214が形成されている。
溝213,214は、第2の方向Y(突出部212の突出方向)において隣り合っている。すなわち、溝213,214は、略平行に延びている。溝213,214は、第1の方向(主面212a,212bの対向方向)から見て、奥に向かうにつれて幅狭となるV字形状を呈する。そのため、溝213に係合する後述のボール部材221は溝213と2点で接触し、溝214に係合する後述のボール部材222は溝214と2点で接触する。レンズ駆動装置1の組み立て状態において、突出部212は、溝213と溝101とが対向すると共に溝214と溝102とが対向するように、レール100に対して位置決めされる。
ボールユニット220は、複数(第1実施形態では2つ)のボール部材221と、複数(第1実施形態では2つ)のボール部材222と、ボール保持部材223とを有する。2つのボール部材221は、球状を呈し、共に溝101,213に係合し、レール100の延在方向(光軸方向OA)に沿って並んでいる。2つのボール部材222は、球状を呈し、共に溝102,214に係合し、レール100の延在方向(光軸方向OA)に沿って並んでいる。これにより、突出部212がレール100の延在方向(光軸方向OA)に対して傾くことなく、突出部212(レンズホルダ210)をレール100の延在方向(光軸方向OA)に沿って移動させることができる。すなわち、突出部212は、ボールユニット220を介して、レール100に対して摺動する。ボール部材221,222は、いずれも同程度の直径を有し、例えば、ステンレス鋼又はセラミクスで構成される。セラミクスとしては、ジルコニア等が用いられる。
ボール保持部材223は、矩形状を呈する平板部材である。ボール保持部材223には、2つのボール部材221に対応する一対の保持孔223aと、2つのボール部材222に対応する一対の保持孔223bとが形成されている。保持孔223aは、正方形状を呈し、ボール部材221の直径よりも若干大きい。そのため、保持孔223aは、ボール部材221を回転可能に保持する。保持孔223bは、正方形状を呈し、ボール部材222の直径よりも若干大きい。そのため、保持孔223bは、ボール部材222を回転可能に保持する。保持部材42は、例えば、ステンレス鋼又は樹脂で構成される。樹脂としては、ナイロン等が用いられる。
圧電アクチュエータユニット230は、圧電アクチュエータ250と、背面部材260とを有する。圧電アクチュエータ250は、第1実施形態において、直方体形状を呈する素子251と、フレキシブルプリント基板270とで構成されており、レール100の主面100bに近接配置される。
図4に示されるように、圧電アクチュエータ250は、一対の対向する主面250a,250bを有する。素子251は、いわゆる積層型圧電素子である。素子251の長さは、例えば2.5mm程度に設定される。素子251の厚さは、例えば0.5mm程度に設定される。素子251の幅は、例えば1.8mm程度に設定される。素子251は、図4(b)に示されるように、印加された電圧値に応じて伸縮する複数(第1実施形態では4つ)の活性部A1〜A4をその内部に有する。
活性部A1は、第1の内部電極と、グランド内部電極と、これらの電極に挟まれた圧電体層とを含む(いずれも図示せず)。活性部A2は、第2の内部電極と、グランド内部電極と、これらの電極に挟まれた圧電体層とを含む(いずれも図示せず)。活性部A3は、第3の内部電極と、グランド内部電極と、これらの電極に挟まれた圧電体層とを含む(いずれも図示せず)。活性部A4は、第4の内部電極と、グランド内部電極と、これらの電極に挟まれた圧電体層とを含む(いずれも図示せず)。
活性部A1,A2は、主面250a,250bの対向方向と直交する方向に沿って配列されている。活性部A3,A4は、主面250a,250bの対向方向と直交する方向に沿って配列されている。活性部A1,A3は、主面250a,250bの対向方向に沿って隣り合うように配列されている。活性部A2,A4は、主面250a,250bの対向方向に沿って隣り合うように配列されている。
素子251における主面250a側には、活性部A1,A2(活性部A3,A4)の配列方向(以下、「配列方向」という。)に沿って、複数(第1実施形態では2つ)の摩擦部252a,252bが配置されている。主面250a,250bの対向方向から見たときに、主面250bには、伸縮が最小となる位置(ノードポイント)に対応して、外部電極253と、一対の突起254a,254bとが形成されている。
各摩擦部252a,252bは、半円柱形状を呈し、配列方向(レンズの光軸方向OA)において離間して配置されている。各摩擦部252a,252bは、第2の方向Y(配列方向に直交すると共に主面251a,251bの対向方向に直交する方向)に沿って延びる。素子251の非駆動時において、摩擦部252a,252bは、レール100の主面100bに当接する。摩擦部252a,252bの高さは、例えばそれぞれ50μm程度に設定される。摩擦部252a,252bの表面は、圧電アクチュエータ250の主面250aの一部を構成する。すなわち、第1実施形態において、主面250aは、素子251の表面及び摩擦部252a,252bの表面の組み合わせにより構成された凹凸面となる。
素子251は、駆動時において、素子251の長手方向(配列方向)に振動する縦振動モード(第1の振動モード)と、素子251の厚さ方向(主面251aと主面251bとの対向方向)への曲げ振動モード(第2の振動モード)との、2つの共振モードを有する。素子251は、縦振動モードと、曲げ振動モードとの重ね合わせによって振動する。
具体的には、第1及び第4の内部電極と第2及び第3の内部電極とに位相を90度ずらした電圧をそれぞれ印加して素子251を駆動させると、摩擦部252a,252bにそれぞれ位相が180度ずれた楕円運動が生ずる。この楕円運動の結果、交互にレール100の主面100bとの間に摩擦力が作用して、素子251がレール100の延在方向(光軸方向OA)に沿って移動する。
活性部A1,A4が伸張し、活性部A2,A3が収縮させると、第2の方向Yから見て、素子251がS字形状に屈曲する。これに伴い、摩擦部252aがレール100の主面100bから離間すると共に、摩擦部252bがレール100の主面100bに接触する。その結果、摩擦部252bとレール100の主面100bとの間に摩擦力が生ずる。レール100はハウジングに固定された状態であるので、素子251は、生じた摩擦力に対する反力を受けて、レール100の延在方向(光軸方向OA)に沿って移動する。
活性部A2,A3が伸張し、活性部A1,A4が収縮させると、第2の方向Yから見て、素子251がS字形状に屈曲する。これに伴い、摩擦部252bがレール100の主面100bから離間すると共に、摩擦部252aがレール100の主面100bに接触する。その結果、摩擦部252aとレール100の主面100bとの間に摩擦力が生ずる。レール100はハウジングに固定された状態であるので、素子251は、生じた摩擦力に対する反力を受けて、レール100の延在方向(光軸方向OA)で且つ摩擦部252bによる移動方向とは反対方向に沿って移動する。
図4(b)に示された例では、素子251は、3つのノードポイントN1〜N3を有している。ノードポイントN1は、活性部A1,A3の境界部分の位置で、且つ、素子251の長手方向(活性部A1〜A4の配列方向)における素子251の長さをLとした場合に素子251の端部からL/6程度内側となる位置に、存在している。ノードポイントN2は、活性部A2,A4の境界部分の位置で、且つ、素子251の端部からL/6程度内側となる位置に、存在している。ノードポイントN3は、素子251の長手方向及び厚さ方向における中央部分の位置に、存在している。そのため、ノードポイントN3は、ノードポイントN1とノードポイントN2との間に位置している。ノードポイントN1,N2は、素子251の長手方向には変位するが、素子251の厚さ方向における変位が最小となる点である。ノードポイントN3は、素子251の長手方向及び厚さ方向の双方における変位が最小となる点である。
外部電極253は、素子251における主面250b側に複数(第1実施形態において3つ)位置しており、それぞれ矩形状を呈する。各外部電極253は、第2の方向Y(活性部A1〜A4の配列方向に直交すると共に主面250a,250bの対向方向に直交する方向)に沿って延びており、第2の方向Yにおいて互いに離間しながら直列に並んでいる。外部電極253のうち一つは、第1及び第4の内部電極と電気的に接続される。外部電極253のうち一つは、第2及び第3の内部電極と電気的に接続される。外部電極253のうち一つは、各グランド内部電極に電気的に接続される。外部電極253は、主面250a,250bとの対向方向から見たときに、ノードポイントN3と重なる。外部電極253の厚みは、例えば2μm程度に設定される。
突起254a,254bは共に、半円柱形状を呈し、主面250bの外方に向けて突出している。突起254a,254bは共に、第2の方向Y(活性部A1〜A4の配列方向に直交すると共に主面250a,250bの対向方向に直交する方向)に沿って延びている。突起254a,254bは、各外部電極253を間に置くように、素子251における主面250b側に位置している。突起254a,254bの表面は、圧電アクチュエータ250の主面250bの一部を構成する。
突起254aは、主面250a,250bの対向方向から見たときに、ノードポイントN1と重なる。突起254bは、主面250a,250bの対向方向から見たときに、ノードポイントN2と重なる。突起254a,254bは共に、ある程度の硬さと滑らかな表面を有することが好ましく、例えばシリコーン樹脂を材料として用いて印刷法で形成することができる。突起254a,254bの製法として印刷法を用いると、高さのばらつきを小さくすることができる。突起254a,254bの高さは、第1実施形態では外部電極253の高さよりも高く設定されており、例えばそれぞれ30μm程度に設定される。
図1〜図3に戻って、フレキシブルプリント基板270は、フィルム状の絶縁体と、絶縁体上に配置された配線部とを有する。配線部は、各外部電極253にはんだ付け等により電気的に接続される配線を含む。
フレキシブルプリント基板270の一端部271は、素子251に実装されている。フレキシブルプリント基板270の他端部272は、電源に電気的に接続されている。
フレキシブルプリント基板270の一端部271における、素子251が実装される側の面の裏面は、第1実施形態において、圧電アクチュエータ250の主面250bの一部を構成する。すなわち、第1実施形態において、主面250bは、素子251の表面と、突起254a,254bの表面と、フレキシブルプリント基板270の一端部271における当該裏面との組み合わせにより構成された凹凸面となる。
フレキシブルプリント基板270の一端部271における当該裏面には、背面部材260が配置されている。すなわち、背面部材260は、主面250b側に位置している。背面部材260は、金属やセラミックスなどの変形し難い材料を用いて構成されると好ましい。背面部材260が金属で構成される場合には、エッチング等で背面部材260が所定形状に成形される。背面部材260がセラミックスで構成される場合には、ダイサーを用いた加工等で背面部材260が所定形状に成形される。
図5及び図6に示されるように、背面部材260は、主面250b側に向けて突出する突部261〜263を有する。すなわち、背面部材260は、矩形状を呈する平板部264の一方の面264aから突部261〜263が突出した構造である。平板部264の厚さは、例えば170μm程度に設定される。突部261,262の高さは、例えばそれぞれ130μm程度に設定される。突部263の高さは、例えば60μm程度に設定される。そのため、第1実施形態において、突部261,262の高さは、突部263の高さよりも高い。
突部261〜263は、いずれも直方体形状を呈し、第2の方向Yに沿って延びている。突部261,262は、レール100の延在方向(レンズの光軸方向OA)において一方の面264aの両端側にそれぞれ位置し、突部263は、突部261と突部262との間に位置している。
図5に示されるように、突部261は、突起254aの頂点と接している。突部261は、第1の方向X(主面250a,250bの対向方向)から見たときに、ノードポイントN1と重なる。突部261は、接着等で突起254aに拘束されていない。突部261は、突起254aの表面を滑るように、レール100の延在方向(光軸方向OA)に移動することができる。つまり、突部261は、主面250bに対して摺動可能である。
突部262は、突起254bの頂点と接している。突部262は、第1の方向X(主面250a,250bの対向方向)から見たときに、ノードポイントN2と重なる。突部262は、接着等で突起254bに拘束されていない。突部262は、突起254bの表面を滑るように、レール100の延在方向(光軸方向OA)に移動することができる。つまり、突部262は、主面250bに対して摺動可能である。従って、突部261,262と主面250bとの間には、主面250bに沿った突部261,262の移動を妨げる抗力がほとんど発生していない。
突部263は、第1の方向X(主面250a,250bの対向方向)から見たときに、外部電極253及びノードポイントN3と重なる。突部263は、フレキシブルプリント基板270の一端部における裏面と、シリコーン樹脂等の接着剤265で接着されている。突部263は、フレキシブルプリント基板270及び外部電極253を介して、主面250bに拘束される。従って、突部263と主面250bとの間には、主面250bに沿った突部263の移動を妨げる抗力が発生している。すなわち、突部261,262と主面250bとの間で発生する抗力は、突部263と主面250bとの間で発生する抗力よりも低い。そのため、突部261,262は、突部263よりも、主面250bとの間で移動しやすくなっている。
保持部材240は、突出部212及びボールユニット220と圧電アクチュエータユニット230とでレール100を挟むように、突出部212、ボールユニット220及び圧電アクチュエータユニット230を保持する。具体的には、保持部材240は、突出部212、ボールユニット220、レール100及び圧電アクチュエータユニット230を取り囲む複数の平板部材241〜248で構成される(図3参照)。
平板部材241は、突出部212の主面212aと対向し且つ当接する。平板部材241は、突出部212の主面212aよりも若干大きく設定され、レール100の延在方向(光軸方向OA)に沿って延びている。平板部材241のレール100の延在方向(光軸方向OA)における一端部には、平板部材242が一体的に設けられている。平板部材241のレール100の延在方向(光軸方向OA)における他端部には、平板部材243が一体的に設けられている。
平板部材242,243は共に、突出部212の主面212a側から主面212b側に向けて、第1の方向X(平板部材241の延在方向に対して直交する方向)に沿って延びている。レール100の延在方向(光軸方向OA)から見て、平板部材242,243は、突出部212及びボール保持部材223を覆っている(図2参照)。突出部212及びボール保持部材223は、平板部材242,243により、レール100の延在方向(光軸方向OA)における移動が制限される。
平板部材241のうち突出部212の突出方向における端部には、平板部材244〜246が一体的に設けられている。平板部材244〜246はいずれも、突出部212の主面212a側から主面212b側に向けて、第1の方向X(平板部材241の延在方向に対して直交する方向)に沿って延びている。平板部材244は、平板部材242寄りに位置する。平板部材245は、平板部材243寄りに位置する。平板部材246は、平板部材244と平板部材245との間に位置する。
平板部材244と平板部材246とは、平板部材241側において一体である一方、平板部材241と離れる側において別体である。つまり、平板部材244と平板部材246とは、平板部材241と離れる側において離間し、独立して変形する。平板部材245と平板部材246とは、平板部材241側において一体である一方、平板部材241と離れる側において別体である。つまり、平板部材245と平板部材246とは、平板部材241と離れる側において離間し、独立して変形する。平板部材246は、平板部材244,245よりも第1の方向Xにおいて長い。平板部材246には、その中央近傍に開口部246aが形成されている。フレキシブルプリント基板270は、この開口部246aを通じて通過可能である。
平板部材244,245のうち平板部材241と離れる側におけるそれぞれの端部には、U字形状を呈する平板部材247の各端部が一体的に設けられている。平板部材247は、レンズホルダ210の胴部211側に向けて、第2の方向Yに沿って延びている。平板部材247は、第1の方向Xにおいて平板部材241と対向する。
平板部材247と平板部材242,243とは、所定距離離間している。この距離は、レール100の延在方向(光軸方向OA)から見て、レール100の厚さ(主面100aと主面100bとの距離)よりも大きい。レール100は、平板部材247と平板部材242,243との間に挿通されている(図1及び図2参照)。そのため、保持部材240(レンズホルダユニット200)は、レール100とは独立して動作する。
U字形状を呈する平板部材247の中空部分は、素子251の外形よりも若干大きく設定される。平板部材244,245が所定の長さに設定されることで、平板部材247は、その内側縁部が素子251を囲むように配置される。具体的には、平板部材247は、レール100の延在方向(光軸方向OA)から見て、素子251の厚さ方向における略中央部分に位置している(図2参照)。素子251は、平板部材247のうち第2の方向Yに沿って延びる一対の内側縁によって、レール100の延在方向(光軸方向OA)における移動が制限される。素子251は、平板部材247のうちレール100の延在方向(光軸方向OA)に沿って延びる内側縁部と平板部材246とにより第2の方向Yにおける移動が制限される。
平板部材246のうち平板部材241と離れる側における端部には、平板部材248の端部が一体的に設けられている。平板部材248は、レンズホルダ210の胴部211側に向けて、第2の方向Yに沿って延びている。平板部材248は、第1の方向Xにおいて平板部材281と対向する。平板部材248は、その先端部に、レール100の延在方向(光軸方向OA)から見てV字形状を呈する鉤部248aを有する。
鉤部248aは、その先端が平板部材241に向けて突出しており、背面部材260の他方の面264bに対向し且つ当接する。鉤部248aと平板部材241との距離は、レンズ駆動装置1の組み立て状態おける突出部212の主面212aと背面部材260の他方の面264bとの距離よりも若干小さい。レンズ駆動装置1の組み立て状態において、鉤部248aを有する平板部材248が平板部材241と離れる側に押され、その反力が、圧電アクチュエータユニット230をレール100に向けて押しつける付勢力となる。平板部材248は、板ばねとして機能する。
突出部212は平板部材241に当接しており第1の方向Xで且つ平板部材241に向かう方向における移動が規制されているので、平板部材248からの付勢力が圧電アクチュエータユニット230に与えられる結果、圧電アクチュエータユニット230と突出部212及びボールユニット220とでレール100が挟まれる。第1実施形態では、平板部材248により生ずる付勢力の方向(第1の方向X)に沿って、平板部材248、背面部材260、フレキシブルプリント基板270の一端部271、素子251、レール100、ボールユニット220、突出部212及び平板部材241がこの順に並んでいる。
以上のような第1実施形態に係るレンズ駆動装置1においては、保持部材240が、突出部212及び圧電アクチュエータ250を保持すると共に、圧電アクチュエータ250の駆動により生じた力を突出部212に伝える。圧電アクチュエータ250は、レールに駆動力を与え、その反力を受けてレール100の延在方向に沿って移動する。圧電アクチュエータ250(素子251)が駆動してレール100の延在方向に沿って移動すると、保持部材240を介して、突出部212がレール100の延在方向に沿って移動する。これにより、レンズホルダユニット200がレール100の延在方向に沿って移動する。このように、第1実施形態に係るレンズ駆動装置1では、従来のSIDMと異なり圧電アクチュエータ250及びレンズホルダ210が共にレール100に対して移動する。つまり、レンズホルダ210を移動させるために、従来のSIDMではシャフトを伸縮する必要があったが、第1実施形態に係るレンズ駆動装置1ではそのような必要がなく、レール100を例えばハウジングに固定することができる。レール100が固定されると、レール100の撓みが極めて抑制されるので、レール100の長さを長く設定できる。その結果、従来よりも大きなストローク長をもってレンズを移動させることができる。
第1実施形態に係るレンズ駆動装置1では、レンズホルダ210、圧電アクチュエータ250及び保持部材240で構成されるレンズホルダユニット200がレール100の延在方向に沿って移動する。このように、圧電アクチュエータ250がレンズホルダ210及び保持部材240と共に移動するので、圧電アクチュエータ250がレール100に与える駆動力が変化し難い。その結果、レンズホルダユニット200が安定してレール100に沿って移動する。
第1実施形態に係るレンズ駆動装置1においては、主面250a,250bの対向方向から見たときに、背面部材260の突部261〜263が、ノードポイントN1〜N3にそれぞれ対応する位置で圧電アクチュエータ250の主面250bに押し当てられる。突部261,262と主面250bとの間に発生する抗力は、突部263と主面250bとの間に発生する抗力よりも低い。ノードポイントN1,N2では主面250a,250bの対向方向における変位が最小であることと、突部261,262と主面250bとの間に発生する抗力がより低くなっていることとにより、レール100の延在方向(主面250a,250bの対向方向に直交する方向)に圧電アクチュエータ250が振動しても、当該振動が突部261,262によって阻害され難い。ノードポイントN3では対向方向における変位が最小であり且つ主面250a,250bの対向方向に直交する方向における変位が最小であるので、突部263と主面250bとの間に発生する抗力がより高くなっていても、圧電アクチュエータ250の振動が突部263によって阻害され難い。3つの突部261〜263が主面250bに押し当てられているので、摩擦部252a,252bがレール100に均一に接触する。その結果、圧電アクチュエータ250からレール100へ駆動力をより効率よく伝達できると共に、圧電アクチュエータ250を高精度に駆動できる。
第1実施形態に係るレンズ駆動装置1においては、圧電アクチュエータ250は、突部263と主面250bとの間に位置すると共に素子251に電気的に接続されるフレキシブルプリント基板270を有している。フレキシブルプリント基板270は可撓性を有するので、素子251が振動してもフレキシブルプリント基板270はその振動に追従して動く。そのため、フレキシブルプリント基板270と素子251とを容易に電気的に接続でき、素子251とフレキシブルプリント基板270との電気的接続が良好に保たれる。
第1実施形態に係るレンズ駆動装置1においては、突部263は、主面350bの一部を構成するフレキシブルプリント基板270に押し当てられている。フレキシブルプリント基板270は可撓性を有し、素子251の振動に対して緩衝作用を発揮する。そのため、突部263と主面250bとの間に発生する抗力がより高くなっていても、素子251の振動がより一層阻害され難い。
第1実施形態に係るレンズ駆動装置1においては、突部261,262が、主面250bに対して摺動可能である。そのため、主面250a,250bの対向方向に直交する方向(レール100の延在方向)に素子251が振動しても、当該振動が突部261,262によって阻害されることがほとんどない。
第1実施形態に係るレンズ駆動装置1においては、圧電アクチュエータ250は、主面250bから外方に向けて突出する突起254a,254bを有し、突部261は突起254aに接すると共に、突部262は突起254bに接する。そして、突起254aのうち突部261に向かう表面は主面250bの一部を構成し、突起254bのうち突部262に向かう表面は主面250bの一部を構成する。そのため、突起254a,254bを所望の高さに設定することで、突起254a,254bにそれぞれ接する突部261,262から圧電アクチュエータ250に与えられる荷重のバランスが調整される。そのため、摩擦部252a,252bをレール100に対してより一層均一に接触させることができる。
第1実施形態に係るレンズ駆動装置1においては、ボールユニット220は、レール100に形成された溝101及び突出部212に形成された溝213に係合する2つのボール部材221と、レール100に形成された溝102及び突出部212に形成された溝214に係合する2つのボール部材222とを有する。そのため、突出部212がレール100に沿って移動する際に、ボール部材221,222の存在により、突出部212とレール100との間に生じる摩擦力が極めて小さくなる。従って、圧電アクチュエータ250の駆動力を、レンズホルダユニット200を移動させるためのエネルギーに、効率よく変換できる。
第1実施形態に係るレンズ駆動装置1においては、保持部材240は、突出部212と圧電アクチュエータ250とでレール100を挟むように付勢力を与える平板部材248を有する。そのため、圧電アクチュエータ250の駆動力を確実にレール100に対して付与できる。
[2]第2実施形態
続いて、図7〜図9を参照して、第2実施形態に係るレンズ駆動装置2の構成について説明する。第2実施形態に係るレンズ駆動装置2は、レンズホルダユニット200が付勢部材290をさらに備える点と、保持部材280の構成の点とで、第1実施形態に係るレンズ駆動装置1と相違する。以下では、第1実施形態に係るレンズ駆動装置1との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
付勢部材290は、第2実施形態において、弾性変形する矩形状の弾性板であり、対向する一対の主面290a,290bを有する(図9参照)。主面290aは、背面部材260の面264bと当接する。これらの面は、接着剤等によって接着されていてもよいし、単に接触しているだけでもよい。
付勢部材290は、シリコーンゴムなどの樹脂で構成された種々の弾性材料を用いて構成することが好ましい。付勢部材290としてこのような弾性材料を用いると、素子251により励起される振動を吸収してノイズを抑制できると共に、レンズ駆動装置2に加わった衝撃を吸収して素子251のクラック発生を抑制できる。
保持部材280は、突出部212及びボールユニット220と圧電アクチュエータユニット230とでレール100を挟むように、突出部212、ボールユニット220、圧電アクチュエータユニット230及び付勢部材290を保持する。保持部材280は、突出部212、ボールユニット220、レール100、圧電アクチュエータユニット230及び付勢部材290を取り囲む複数の平板部材281〜288で構成される(図9参照)。
平板部材281は、突出部212の主面212aと対向し且つ当接する。平板部材281は、突出部212の主面212aよりも若干大きく設定され、レール100の延在方向(光軸方向OA)に沿って延びている。平板部材281のレール100の延在方向(光軸方向OA)における一端部には、平板部材282が一体的に設けられている。平板部材281のレール100の延在方向(光軸方向OA)における他端部には、平板部材283が一体的に設けられている。
平板部材282,283は共に、突出部212の主面212a側から主面212b側に向けて、第1の方向X(平板部材281の延在方向に対して直交する方向)に沿って延びている。レール100の延在方向(光軸方向OA)から見て、平板部材282,283は、突出部212及びボール保持部材223を覆っている(図8参照)。そのため、突出部212及びボール保持部材223は、平板部材282,283により、レール100の延在方向(光軸方向OA)における移動が制限される。
平板部材281のうち突出部212の突出方向における端部には、平板部材284が一体的に設けられている。平板部材284は、突出部212の主面212a側から主面212b側に向けて、第1の方向X(平板部材281の延在方向に対して直交する方向)に沿って延びている。平板部材284は、第1の方向Xにおける中央部分でクランク状に折れ曲がっている。平板部材284には、平板部材281から離れる側の領域に開口部284aが形成されている。フレキシブルプリント基板270は、この開口部284aを通じて通過可能である。
平板部材284のうち平板部材281と離れる側における端部には、平板部材285が一体的に設けられている。平板部材285は、レンズホルダ210の胴部211側に向けて、第2の方向Yに沿って延びている。平板部材285は、第1の方向Xにおいて平板部材281と対向する。
平板部材285は、付勢部材290の主面290bに対向し且つ当接する。平板部材285と平板部材281との距離は、レンズ駆動装置2の組み立て状態おける突出部212の主面212aと付勢部材290の主面290bとの距離よりも若干小さい。そのため、レンズ駆動装置2の組み立て状態において、付勢部材290がその厚さ方向(第1の方向X)において圧縮され、その反力が、圧電アクチュエータユニット230をレール100に向けて押しつける付勢力となる。
平板部材285のレール100の延在方向(光軸方向OA)における一端部には、平板部材286が一体的に設けられている。平板部材285のレール100の延在方向(光軸方向OA)における他端部には、平板部材287が一体的に設けられている。
平板部材286,287は共に、突出部212の主面212b側から主面212a側に向けて、第1の方向X(平板部材241の延在方向に対して直交する方向)に沿って延びている。レール100の延在方向(光軸方向OA)から見て、平板部材242,243は、圧電アクチュエータユニット230(素子251、背面部材260)及び付勢部材290を覆っている(図8参照)。そのため、圧電アクチュエータユニット230及び付勢部材290は、平板部材286,287により、レール100の延在方向(光軸方向OA)における移動が制限される。
平板部材286と平板部材282とは、所定距離離間している。平板部材287と平板部材283とは、所定距離離間している。これらの距離は、レール100の延在方向(光軸方向OA)から見て、レール100の厚さ(主面100aと主面100bとの距離)よりも大きい。レール100は、平板部材286と平板部材282との間、及び平板部材287と平板部材283との間に挿通されている(図7及び図8参照)。そのため、保持部材280(レンズホルダユニット200)は、レール100とは独立して動作する。
平板部材285のうち胴部211に近づく側における端部には、平板部材288が一体的に設けられている。平板部材288のうち第1の方向に沿って延びる端部は、平板部材286,287と一体化されている。平板部材288は、突出部212の主面212b側から主面212a側に向けて、第1の方向Xに沿って延びている。平板部材288は、第2の方向Yにおいて平板部材284と対向する。そのため、平板部材286と平板部材287との間に位置する圧電アクチュエータユニット230及び付勢部材290は、平板部材284,288により、レール100の延在方向(光軸方向OA)における移動が制限される。第2実施形態では、付勢部材290により生ずる付勢力の方向(第1の方向X)に沿って、平板部材285、付勢部材290、背面部材260、フレキシブルプリント基板270の一端部271、素子251、レール100、ボールユニット220、突出部212及び平板部材281がこの順に並んでいる。
以上のような第2実施形態に係るレンズ駆動装置2においては、第1実施形態に係るレンズ駆動装置1と同様の作用効果を奏する。
[3]他の実施形態
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、突出部212の主面212bに2つの溝213,214が形成されていたが、これらの溝213,214に代えて、4つの各ボール部材221,222をそれぞれ保持する4つの凹部を突出部212の主面212bに形成してもよい。
凹部は、例えば、開口が矩形であり且つ内方に向かうにつれて先細りとなる四角錐状に形成することができる。この場合、凹部は4つの平面で構成され、ボール部材は各平面と点接触する。凹部は、四角錐状に代えて、四角錐台状、三角錐状、又は三角錐台状であってもよい。
ボールユニット220に代えて、ローラを複数用いてもよい。この場合、各ローラは、主面212bに設けられる。各ローラの軸は、第2の方向Y(主面212b内において、レール100の延在方向に直交する方向)に沿って延びる。レール100に形成される溝101,102は、各ローラと係合可能となるように、各ローラの外周面に対応する形状とされる。ローラの外周面は、円柱状や、中央部が膨らむ樽状又は中央部が窪む鼓状などの種々の異形状を採用することができる。
第1実施形態において、第2実施形態体における付勢部材290を背面部材260の面264b側に取り付けてもよいし、当該付勢部材290を突出部212の主面212a側に取り付けてもよい。第2実施形態において、付勢部材290を突出部212の主面212a側に取り付けてもよい。
図10に示されるように、一つのレール100に、2つ以上のレンズホルダユニット200を取り付けてもよい。図10では、第2実施形態におけるレンズホルダユニット200がレール100に取り付けられている様子が示されているが、第1実施形態におけるレンズホルダユニット200をレール100に取り付けてもよい。従来のSIDMでは、複数のレンズを独立して移動させるために複数の圧電アクチュエータ及び複数のシャフトを必要とし、しかも、複数のレンズを移動させようとするとシャフトの長さを長くせざるを得なかった。しかしながら、図10に示される実施形態の場合、一つのレール100で複数のレンズを移動させることができので、簡易な構成で、複数のレンズを精度よく移動させることができる。
上述した本実施形態とは異なる構造の背面部材260を用いてもよい。具体的には、背面部材260の突部263は、第1の方向Xに沿って延びておらず、平板部264の面264aの中央近傍から突出する突起体であってもよい。図11には、当該突起体が円柱状である場合の一例を示している。この場合、突部263がフレキシブルプリント基板270に接着される面積が大幅に減るので、主面250bに対する突部263の拘束力を小さくすることができる。そのため、素子251の振動がより阻害され難くなる。
素子251の電気的接続をフレキシブルプリント基板270で行わなくてもよい。この場合、背面部材260の突部263は、素子251に直接接することになる。さらに、圧電アクチュエータ250は、突起254a,254bを有していなくてもよい。この場合、背面部材260の突部261,262は、素子251に直接接することになる。すなわち、突部261〜263が、主面251a,251bの対向方向から見たときにノードポイントN1〜N3にそれぞれ対応する位置で主面250bに押し当てられるとは、突部261〜263が、素子251に直接押し当てられている場合も、突起254a,254b及びフレキシブルプリント基板270に押し当てられている場合も含まれる。
第1実施形態では板ばねとして機能する平板部材248を用い、第2実施形態では付勢部材290(弾性板)を用いて、これらの付勢力により、圧電アクチュエータユニット230をレール100に向けて押しつけたが、コイルなどこれらに代わる他の付勢部材を用いてもよい。
本実施形態では、突部261,262は、突起254a,254bと接しているだけで接着されていなかったが、突部261,262が突起254a,254bにそれぞれ接着等で取り付けられていてもよい。圧電アクチュエータ250が突起254a,254bを有していない実施形態では、突部261,272が主面250bに接着等で取り付けられていてもよい。ただし、これらの場合も、突部261,262と主面250bとの間で発生する抗力は、突部263と主面250bとの間で発生する抗力よりも低くなるように設定される。そのため、突部261,262は、突部263よりも、主面251bとの間で移動しやすくなっている。