JP2013250135A - 検出装置および検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リアルタイムに、生物由来の粒子を高感度で精度良く検出することのできる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置では、捕集前の捕集部材に所定波長の光を照射し、その表面からの信号強度V0を測定し(S1)、その後、捕集部材で空気中の粒子を捕集する(S2)。捕集後の捕集部材を加熱し(S4)、加熱後の捕集部材に所定波長の光を照射してその表面からの信号強度V2を測定する(S5)。そして、捕集前の信号強度V0と加熱後の信号強度V2との差分△Vに基づいて、捕集部材で捕集された生物由来の粒子を検出する(S6)。
【選択図】図10

Description

この発明は検出装置および検出方法に関し、特に、空気中の生物由来の粒子を検出する検出装置および検出方法に関する。
従来、空気中の微生物の検出においては、落下菌法、衝突法、スリット法、多孔板法、遠心衝突法、インピンジャ法、およびフィルタ法などの方法で空気中の微生物を採取した後、培養し、出現するコロニーの計数を行なう。しかしながら、この方法では、培養に2日から3日が必要であり、リアルタイムでの検出は難しい。そこで、近年、特表2008−508527号公報(特許文献1)、特表2009−501907号公報(特許文献2)、および特表2010−513847号公報(特許文献3)のように、空気中の微生物に紫外光を照射して、微生物からの蛍光発光を検出して個数を計測する装置が提案されている。
これら文献で提案されているような従来装置では、浮遊粒子が生物由来のものかどうかを判定する手段として、紫外線の照射により蛍光を発光するかどうかを判断する手法が採用されている。
特表2008−508527号公報 特表2009−501907号公報 特表2010−513847号公報
上記特許文献1〜3に開示されている方法では、生物由来の粒子からの蛍光信号をノイズ成分から分離する必要がある。その方法として予めしきい値を設定し、当該しきい値よりも大きいピーク値を持つ信号を生物由来の粒子からの蛍光信号として抽出する方法が挙げられる。
しかしながら、生物由来の粒子からの蛍光は微少であるため、上記しきい値を小さく設定する必要がある。そのため、生物由来の粒子からの蛍光をノイズ成分から分離することが難しくなり、検出精度が低下するという問題があった。
生物由来の粒子を検出するための検出装置は、バイオテロ対策や薬剤工場などに応用することが考えられる。このとき、空気中の生物由来の粒子が所定の濃度を超えた場合に警報を出すなどの応用が考えられるが、上記特許文献1〜3に開示されている方法を利用すると上述のように生物由来の粒子からの蛍光量を表わす信号値が小さく、感度が低いことから、誤動作が生ずる場合があるという問題があった。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、リアルタイムに、生物由来の粒子を高感度で精度良く検出することのできる検出装置および検出方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、検出装置は、捕集部材と、捕集部材表面を受光範囲に含むよう設けられた受光素子と、受光素子での受光量に基づいて捕集部材で捕集された生物由来の粒子を検出するための検出部とを備える。検出部は、所定波長の光が照射された下での、捕集部材で捕集する前の受光素子による受光量と、捕集後に捕集部材が加熱された後の受光素子による受光量との差分に基づいて、捕集部材で捕集された生物由来の粒子を検出する。
好ましくは、検出装置は、外部空気を当該検出装置内に導入するための導入機構と、導入機構の動作を制御するための第1の制御部とをさらに備える。捕集部材は、導入機構によって導入される外部空気の流路上に設置される。検出部は、所定波長の光が照射された下での、導入機構が動作する前の受光素子による受光量と、導入機構が所定時間動作した後に捕集部材が加熱された後の受光素子による受光量との差分に基づいて生物由来の粒子を検出する。
好ましくは、検出部は、予め記憶している、生物由来の粒子の種類に応じた粒子量と受光素子での受光量との関係を用いて、受光量の差分を特定の種類の生物由来の粒子量に換算する。
好ましくは、検出装置は、捕集部材で捕集された粒子を加熱するための加熱部と、加熱部での加熱を制御するための第2の制御部とをさらに備える。検出部は、所定波長の光が照射された下での、捕集する前であって加熱部が動作する前の受光素子による受光量と、捕集の後に加熱部が捕集部材を所定の加熱条件で加熱した後の受光素子による受光量との差分に基づいて生物由来の粒子を検出する。
好ましくは、検出装置は捕集部材表面を清掃するための清掃機構をさらに備え、検出部は、所定波長の光が照射された下での、清掃機構によって捕集部材表面が清掃された後であって、捕集部材で捕集する前の受光素子による受光量と、捕集後に捕集部材が加熱された後の受光素子による受光量との差分に基づいて、捕集部材で捕集された生物由来の粒子を検出する。
本発明の他の局面に従うと、検出方法は生物由来の粒子を検出する方法であって、捕集前の捕集部材に所定波長の光を照射し、捕集部材表面を受光範囲に含むよう設けられた受光素子での受光量V1を検出するステップと、捕集部材で空気中の粒子を捕集するステップと、捕集するステップの後の捕集部材を加熱するステップと、加熱するステップの後の捕集部材に所定波長の光を照射し、受光素子での受光量V2を検出するステップと、捕集前の受光素子での受光量V1と、加熱するステップの後の受光素子での受光量V2との差分に基づいて、捕集部材で捕集された生物由来の粒子を検出するステップとを備える。
好ましくは、検出方法は捕集前の捕集部材を清掃するステップをさらに備え、受光量V1を検出するステップは、清掃するステップにて清掃された捕集部材に所定波長の光を照射して受光量V1を検出する。
この発明によると、生物由来の粒子を、高感度で、より精度良く検出することができる。
実施の形態にかかる検出装置の概略を表わした図である。 検出装置に含まれる捕集ユニットの構成を表わす概略図である。 大腸菌を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱前後の蛍光スペクトルの測定結果である。 大腸菌を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱前後の蛍光顕微鏡写真である。 バチルス菌を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱前後の蛍光スペクトルの測定結果である。 バチルス菌を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱前後の蛍光顕微鏡写真である。 アオカビ菌を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱前後の蛍光スペクトルの測定結果である。 アオカビ菌を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱前後の蛍光顕微鏡写真である。 スギ花粉を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱前後の蛍光顕微鏡写真である。 検出装置での検出方法を表した図である。 検出装置を利用した検出動作の流れを表わした図である。 検出結果の一例を表わした図である。 検出結果の他の例を表わした図である。 検出装置での検出方法を説明するための図である。 検出装置の機能構成の具体例を示すブロック図である。 検出装置を用いて発明者らが行なった検出工程の概略を表わした図である。 検出装置を用いて発明者らが行なった検出動作での、検出結果を表わした図である。 検出装置を用いて発明者らが行なった検出動作での、検出結果を表わした図である。 検出装置を用いて発明者らが行なった検出動作での、検出結果を表わした図である。 検出装置を用いて測定された、アオカビの噴霧濃度と信号値[mV]との関係を示した図である。 検出装置での検出方法の他の例を表した図である。 検出装置での検出方法の他の例を表した図である。 検出装置での検出方法の他の例を表した図である。
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
図1は、本実施の形態にかかる検出装置100の概略を表わした図である。
図1を参照して、検出装置100は、一例として、一方端に導入孔10、他方端に空気導入機構としてのファン50が配された排出孔11を備えた、内空状の筒状筐体5Aを有し、その内部に、捕集機構として針状の放電電極1および捕集治具12が配備されている。導入孔10にはフィルタ(プレフィルタ)が設けられてもよい。
放電電極1は高圧電源2の正極に電気的に接続される。捕集治具12と高圧電源2の負極またはグランドに電気的に接続される。
ファン50の図示しない駆動機構は測定部40によって制御され、その回転が制御される。ファン50が回転することによって、図中の点線矢印で表わされたように、導入孔10から外部空気が筒状筐体5A内に導入され、排出孔11から筒状筐体5A外に排気される。好ましくは、ファン50で導入する空気の流速は0.1L(リットル)/minから50m3/minである。
空気導入機構としては、たとえば、検出装置100外に設置されたポンプおよびその駆動機構などであってよい。またたとえば、検出装置100内に組み込まれた熱ヒータやマイクロポンプ、マイクロファン、およびその駆動機構などであってもよい。また、当該検出装置100が空気清浄機や空気調和機などに組み込まれるものである場合、ファン50は、空気清浄機等の空気清浄装置部分の空気導入機構と共通とする構成であってもよい。
図1の例では、筒状筐体5A内のその高さ方向を遮る位置に略中央に孔を有する絞り板が設けられ、放電電極1は、その孔をくぐるように設置されている。これにより、導入孔10から導入された空気の流路は絞り板の孔の径に狭められ、絞り板を通過する際に放電電極1にて電荷される。そして、その狭められた流路のまま捕集治具12に到達するため、捕集治具12上のある程度狭い範囲に浮遊粒子が吸着することになる。
捕集治具12は、導電性の透明の皮膜を有する、ガラス板などからなる支持基板である。支持基板は、ガラス板には限定されず、その他、セラミック、タングステン等の金属等であってもよい。また、支持基板表面に形成される皮膜は、透明に限定されない。他の例として、支持基板は、DCL(ダイヤモンドライクカーボン)や金属皮膜をセラミック等の絶縁材料またはシリコン等の金属基板の上に形成して構成されてもよい。また、支持基板がシリコン等の金属材料の場合は、その表面に皮膜を形成する必要もない。
捕集治具12の皮膜側は高圧電源2の負極に電気的に接続される。これにより、放電電極1と捕集治具12との間に電位差が発生し、これらの間に図1では上向きの電界が構成される。
ファン50の駆動によって導入孔10から導入された空気中の浮遊粒子は、放電電極1付近にて負に帯電される。負に帯電した粒子は静電気力で捕集治具12の方向に移動して導電性の皮膜に吸着されることで、捕集治具12上に捕集される。ここで、放電電極1として針状電極を用いることによって、帯電した粒子を捕集治具12の放電電極1に対面する、(後述する)発光素子の照射領域15に対応したきわめて狭い範囲に吸着させることができる。これにより、後述する検出工程において、吸着された微生物を効率的に検出することができる。
さらに、検出機構として、光源である発光素子6と受光素子9とが配される。発光素子6は好適には半導体レーザが用いられ、レーザ光を照射する。またはLED(Light Emitting Diode)素子を含むものであってもよい。波長は、浮遊微粒子の生物由来の微粒子を励起して蛍光を発させるものであれば、紫外または可視いずれの領域の波長でもよい。好ましくは、300nmから450nmである。受光素子9は、従来用いられている、フォトダイオード、イメージセンサ、光電子増倍管などが用いられる。好適にはフォトダイオードが用いられる。
発光素子6の発光は捕集治具12の表面に照射され、捕集治具12上に照射領域を形成する。照射領域の形状に限定はなく、円形、楕円形、四角形などであってよい。照射領域は特定のサイズに限定されないが、好ましくは、円の直径または楕円の長軸方向の長さまたは四角形の1辺の長さが約0.05mmから50mmである。
なお、図1において発光素子6と受光素子9とは筒状筐体5Aの外部に配されている例が示されている。これは、図の概略化のためにそのように表わされているだけであって、発光素子6と受光素子9とは筒状筐体5Aの内部に配置されていてよい。
または、図1に表わされた構成のまま、つまり、発光素子6と受光素子9とが筒状筐体5Aの外部に配された構成としてもよい。
この構成の場合、図1に表わされたように、筒状筐体5Aの外部にある発光素子6から筒状筐体5A内の捕集治具12の表面まで照射光を導入するためのガイド6Aが設けられる。または、筒状筐体5Aの壁面の、少なくとも発光素子6から捕集治具12の表面までの間に存在する部分が照射光の透過率の高い素材で形成されていてもよい。
同様に、筒状筐体5A内の捕集治具12の表面からの光を筒状筐体5Aの外部にある受光素子9まで導出させるためのガイド9Aが設けられる。または、筒状筐体5Aの壁面の、少なくとも捕集治具12の表面から受光素子9までの間に存在する部分が光の透過率の高い素材で形成されていてもよい。これにより、受光素子9の受光範囲には、捕集治具12の表面の少なくとも一部が含まれることになる。すなわち、受光素子9は、捕集治具12の表面からの発光を含む光を受光するものである。
受光素子9は信号処理部30に接続され、受光量に比例した電流信号を信号処理部30に対して出力する。信号処理部30は測定部40に接続されて、電流信号を処理した結果を測定部40に対して出力する。従って、導入された空気中に浮遊し、捕集治具12表面に発光素子6から光が照射されたときに受光素子9において受光される光量が、信号処理部30において検出される。
受光素子9によって受光される光は、捕集治具12表面がきれいな(粒子の付着のきわめて少ない)状態では発光素子6から発光された光による迷光である。迷光は、通常ノイズとして低減されるべきものである。この場合、受光素子9によって受光される光には発光素子6から発光された光が装置内で反射することで受光素子9で受光される光や捕集治具12の成分からの微少蛍光などが含まれる。捕集治具12表面に粒子が付着している(捕集されている)場合には、受光素子9によって受光される光には該粒子または粒子間からの散乱光、該粒子からの蛍光、上記迷光などが含まれる。
捕集治具12の放電電極1より遠い側には加熱機構としてのヒータ91が配され、捕集治具12とヒータ91とを含んだユニットが捕集ユニット12Aを構成している。ヒータ91は測定部40に電気的に接続され、測定部40によって加熱量(加熱時間、加熱温度等)が制御される。
図2(A)および図2(B)は捕集ユニット12Aの構成を表わす概略図であって、図2(A)は捕集ユニット12Aの放電電極1側から見た平面図、図2(B)は断面図を表わしている。
図2(A)を参照して、捕集治具12は断熱材上に配置されて、両端が捕集板押さえ板電極で放電電極1側から断熱材に向かう方向に押さえられている。
図2(B)を参照して、捕集治具12の放電電極1の反対側には、間に断熱材を挟まずにヒータ91が配され、ヒータ91の周囲が断熱材で覆われている。
断熱材としては、好適にはガラスエポキシ樹脂が用いられる。このように構成することによって、セラミックヒータであるヒータ91が約2分で200℃に到達したときに断熱材を介してヒータ91に接続される部分(図示せず)の温度が30℃以下であったことを発明者らが確認している。
ヒータ91としては、好適にはセラミックヒータが用いられる。ヒータ91は、捕集治具12上に捕集された空気中の浮遊粒子を加熱し得る位置であって、発光素子6、受光素子9等のセンサ機器から何かによって隔てられる位置に配備される。好ましくは、図1に表わされたように、捕集治具12の放電電極1から遠い側の面に配備される。
なお、上述した構成は一例であって、検出装置100の構成はこの構成のみに限定されるものではない。他の構成の例としては、空気中の粒子を捕集治具表面に捕集するエリアと蛍光を検出するエリアとを分離した構成としてもよい。この場合、捕集治具は、2つのエリアの間を行き来する構成に設計される。
<検出原理>
検出装置100を用いて空気中の粒子から生物由来の粒子を検出する原理については、本願発明者らの出願による国際公開2011/104770号に開示されている方法を用いる。すなわち、当該公報において、捕集治具表面に捕集した生物由来の粒子に対して加熱処理を施すことで、生物由来の粒子からの蛍光強度が増加することが見出されたことが開示されている。
その測定結果を引用すると、図3は、生物由来の粒子として、大腸菌を200℃にて5分間加熱処理したときの、加熱処理前(曲線71)および加熱処理後(曲線72)の蛍光スペクトルの測定結果である。図3に表わされた測定結果より、加熱処理を施すことによって大腸菌からの蛍光強度が大幅に増加していることが分かった。また、図4(A)に示された加熱処理前の蛍光顕微鏡写真と、図4(B)に示された加熱処理後の蛍光顕微鏡写真との比較によっても、加熱処理を施すことによって大腸菌からの蛍光強度が大幅に増加していることが明らかとなっている。
同様に、図5は、生物由来の粒子として、バチルス菌を200℃にて5分間加熱処理したときの加熱処理前(曲線73)および加熱処理後(曲線74)の蛍光スペクトルの測定結果であり、図6(A)が加熱処理前、図6(B)が加熱処理後の蛍光顕微鏡写真である。また、図7は、生物由来の粒子として、アオカビ菌を200℃にて5分間加熱処理したときの加熱処理前(曲線75)および加熱処理後(曲線76)の蛍光スペクトルの測定結果であり、図8(A)が加熱処理前、図8(B)が加熱処理後の蛍光顕微鏡写真である。また、生物由来の粒子として、スギ花粉を200℃にて5分間加熱処理したときの、図9(A)が加熱処理前、図9(B)が加熱処理後の蛍光顕微鏡写真である。これらに示されるように、他の生物由来の粒子でも大腸菌と同様に加熱処理によって蛍光強度が大幅に増加することが分かった。
このように、国際公開2011/104770号に開示されている方法を用いると、従来に比べ生物由来粒子からの蛍光強度が大きくなり、検出感度が向上することが分かる。
国際公開2011/104770号に開示された検出装置は、この現象を利用して空気中の粒子を捕集してその加熱前後の蛍光量の変化量と、予め記憶している生物由来の粒子量と蛍光量の変化量との間の対応関係とを比較して、検出装置に導入された空気中の生物由来の粒子量を検出するものである。
<課題の説明>
本願発明者らは、図1に示される検出装置100を用いて国際公開2011/104770号に開示された方法に基づく図11に表わされた検出動作を行ない、検出結果を得た。
検出装置100では、装置内に導入された外気に含まれる粒子が針状の放電電極1付近にて負に帯電され、放電電極1と捕集治具12との間に構成された電界によって捕集治具12に捕集される。
捕集治具12上に捕集された粒子は、発光素子6からのレーザ光等により蛍光を発する。蛍光は受光素子9によって検出される。
検出装置100を用い、図11の検出動作を行なった。すなわち、図11を参照して、捕集前の捕集治具12表面からの光を含む受光素子9での受光量を測定する(#1)。この受光量を表わす信号値(Vm)をV0とする。ここでの信号値V0には、ノイズとしての迷光による信号が主に含まれる。
次に、放電電極1および捕集治具12に印加してファン50を駆動させる捕集動作を15分間行なう(#2)。その後、捕集後の捕集治具12にレーザーを照射した時の捕集治具12表面からの光を含む受光素子9での受光量を測定する(#3)。捕集後の受光量を表わす信号値(Vm)をV1とする。ここでの信号値V1には、生物由来の粒子からの蛍光と迷光とによる信号が主に含まれる。
その後、ヒータ91を駆動させて捕集治具12を200℃で2分間加熱する(#4)。そして、捕集治具12を冷却した後、加熱後の捕集治具12にレーザーを照射した時の捕集治具12表面からの光を含む受光素子9での受光量を測定する(#5)。加熱後の受光量を表わす信号値(Vm)をV2とする。ここでの信号値V2には、生物由来の粒子からの蛍光と迷光と加熱により増加した生物由来の粒子の蛍光増加量とによる信号が主に含まれる。
そして、加熱による信号強度の増加分△V(=V2−V1)を、検出装置100での検出値として算出する(#6)。信号強度の増加分△Vは、加熱による生物由来の粒子からの蛍光の増加量を表わしており、この信号値から生物由来の粒子の検出が可能となる。
上記動作によって得られる信号値V0,V1,V2は、概ね、図12に示されたようになった。すなわち、加熱前の信号値V1よりも加熱後の信号値V2の方が大きくなるという結果が得られた。
これは、上述した検証結果から得られた検出原理に従って、空気中の粒子のうちの微生物等の生物由来の粒子が加熱によって蛍光強度が増加するためであると考察される。
しかしながら、測定環境によっては図13に表わされた検出結果も得られた。すなわち、図13を参照して、捕集後の信号値V1が大きく、ある程度の微生物が捕集されていると考えられるにも関わらず、加熱後の信号値V2との差が小さいか同程度であるという結果が得られた。この場合、信号値に基づいて正確に生物由来の粒子の検出ができているかどうか疑わしいという課題が生じた。また、測定環境によっては、信号値V1が信号値V2よりも大きくなる場合もあった。
上述の検出原理より、初期の迷光を主たる成分とした信号値V0に対して捕集後の信号値V1が増加するのは、この迷光成分に加えて、捕集された生物由来の粒子からの蛍光だけでなく、その他捕集物の散乱などによる信号値の増加と考えられる。図14に示すように、捕集後の信号値V1は、迷光主たる成分とした信号値V0に生物由来の粒子からの蛍光、および生物由来ではない粒子からの蛍光、散乱光等が加わったものである。加熱後の信号値V2は、捕集後の信号値V1に加熱によって増加した生物由来の粒子からの蛍光が加わったものになるので信号値V1よりも大きくなるはずであるが、図13に示すように、信号値V2が信号値V1と同程度か、小さいという結果になっている。
捕集後の信号値からある程度の微生物の捕集が期待されるにも関わらず、加熱後の信号値V2と加熱前の信号値V1との信号差が小さくなる要因として、加熱によって発生した捕集治具12表面の空気の熱対流や捕集した粒子の昇華等によって、捕集された生物に由来しない粒子の一部が消失することが考えられた。すなわち、加熱により信号値を上昇させていた散乱光等を生じさせる生物由来ではない粒子が消失したため、信号値が減少し、生物由来の粒子からの蛍光と加熱により蛍光強度が増加した生物由来の粒子からの蛍光とによる、生物由来の粒子に関係した信号値になったと考えられる。また、上記仮説では、信号値V2と信号値V1との関係は、測定環境中の生物由来粒子と埃との量的な関係に依存することから、測定環境により上記関係が変わることが説明できる。
そこで、本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、上記検出原理を利用してより精度よく生物由来の粒子を検出する検出装置および検出方法を提供することを目的とする。
<検出動作概要>
本実施の形態にかかる検出装置100では、上述の検出原理を利用しての検出動作を行なうにあたって、信号値として、加熱後の受光素子9での信号強度と捕集前の信号強度との差を計算して表示する。また、この信号値と標準微生物濃度との検量線から、標準微生物換算の微生物量を表示する。
<機能構成>
図15は、上述の検出動作を行なうための検出装置100の機能構成を示すブロック図である。
図15では、信号処理部30の機能が主に電気回路であるハードウェア構成で実現される例が示されている。しかしながら、これら機能のうちの少なくとも一部は、信号処理部30が図示しないCPU(Central Processing Unit)を備え、該CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される、ソフトウェア構成であってもよい。また、測定部40の構成がソフトウェア構成である例が示されている。しかしながら、これら機能のうちの少なくとも一部は、電気回路などのハードウェア構成で実現されてもよい。
図15を参照して、信号処理部30は、受光素子9に接続される電流−電圧変換回路34と、電流−電圧変換回路34に接続される増幅回路35とを含む。
測定部40は、制御部41、記憶部42、およびクロック発生部43を含む。さらに、測定部40は、ファン50、およびヒータ91を駆動させるための駆動部48を含む。
測定部40の制御部41は発光素子6および受光素子9と電気的に接続され、後述するクロック発生部43からのクロック信号に基づいて予め規定されたタイミングでそれらのON/OFFを制御する。
受光素子9は捕集治具12表面の少なくとも一部を含んだ検出範囲からの光を受光し、その受光量に応じた信号を信号処理部30に対して出力する。該信号は、電流−電圧変換回路34に入力される。
電流−電圧変換回路34は、受光素子9からの信号のピーク電流値Hを検出し、電圧値Ehに変換する。電圧値Ehは増幅回路35で予め設定した増幅率に増幅され、測定部40に対して出力される。
測定部40の制御部41は信号処理部30から電圧値Ehの入力を受け付けて、順次、記憶部42に記憶させる。
クロック発生部43はクロック信号を発生させ、制御部41に対して出力する。制御部41は、クロック信号に基づいて、予め規定され基づいたタイミングでファン50を回転させるための制御信号を駆動部48に対して出力して、ファン50による空気の導入を制御する。
また、制御部41は、クロック信号に基づいて予め規定されタイミングでヒータ91のON/OFFを制御する。
制御部41は計算部411を含み、計算部411において、記憶部42に記憶された電圧値Ehを用いて、導入された空気中の生物由来の粒子量が算出される。
<検出動作>
図10は、検出装置100での検出動作の概要を表わした図である。
図10を参照して、始めに、捕集前の捕集治具12に発光素子6から光を照射し、その時の受光素子9で検出される受光量を測定して、捕集前の信号値V0を得る(S1)。信号値V0は、主に発光素子6からの光によって生じた迷光による信号を主に含む。
次に、放電電極1および捕集治具12に印加してファン50を駆動させる捕集動作を規定時間、行なう(S2)。ここでは、一例として15分が挙げられる。なお、この捕集動作の後、参考値として捕集治具12に発光素子6から光を照射し、その時の受光素子9での受光量に対応した信号値V1を得てもよい(S3)。この時、信号量V1は、迷光に、捕集された生物由来の粒子からの蛍光だけでなく、その他捕集物の散乱などによる光が加わった信号値である。
検出装置100での検出動作では、ヒータ91を駆動させて捕集治具12を所定の条件で加熱する(S4)。そして、捕集治具12を冷却した後、上記加熱後の捕集前の捕集治具12を検出対象とした受光素子9での受光量を表わす信号値V2を得る(S5)。
ここで、信号値を上昇させていた、散乱光等を生じさせる生物由来ではない粒子が加熱により消失するという仮説が正しいとすると、信号値V2は、迷光に、生物由来の粒子に関係する、生物由来の粒子からの蛍光と加熱による生物由来粒子からの蛍光増加分とを加えたものになる。
その後、加熱による信号強度の増加分△Vを表わす加熱後の信号値と捕集前の信号値との差分(=V2−V0)を、検出装置100での検出値として算出する(S6)。信号強度の増加分△Vは、上記から生物由来の粒子に関係する、生物由来の粒子からの蛍光と加熱による生物由来粒子からの蛍光増加分とであり、この信号量から生物由来粒子の検出が可能であることが分かる。
<仮説の検証>
発明者らは、図14に示した、「信号値を上昇させていた、散乱光等を生じさせる生物由来ではない粒子が加熱により消失したため、信号値が減少し、生物由来の粒子からの蛍光と加熱により蛍光強度が増加した生物由来の粒子からの蛍光とによる、生物由来の粒子に関係した信号値になった」という仮説の検証を、検出装置100を用いて図16に示す工程に従って行なった。
検証は次のような工程でなされる。すなわち、図16を参照して、捕集前に捕集治具12からの信号強度V0を測定し(P1)、その後15分間、導入された空気中の粒子を捕集した後(P2)、捕集治具12表面の粒子数と信号強度とを測定する(P3)。続いて200℃で5秒および10秒の各時間、第1の加熱を行ない(P4)、捕集治具12を冷却した後に捕集治具12で捕集された粒子数および信号強度を測定する(P5)。その後、200℃で1分間、第2の加熱を行ない(P6)、同様にして粒子数と信号強度とを測定する(P7)。
図17、18は、上記検出動作の各工程での測定結果を表わす図であり、図17は第1の加熱の条件を200℃で5秒とした場合の測定結果、図18は第2の加熱の条件を200℃で10秒とした場合の測定結果を表わしている。図17および図18においては、各工程での測定結果として、最初に捕集治具12で捕集された粒子数N0を1として、N0に対する第1の加熱後の粒子数N1の比率(N1/N0)、およびN0に対する第2の加熱後の粒子数N2の比率(N2/N0)で表わされるそれぞれの加熱後での粒子の残存率が示されている。
図17、18に示されたそれぞれの加熱条件での第1の加熱後の残存率(N1/N0)より、仮説のように、第1の加熱の時間に関わらず第1の加熱によって捕集治具12上の粒子数が初期の個数から減少することが分かる。
また、図18の結果より、第1の加熱で10秒間加熱すれば、その後の第2の加熱でも個数が変化しないことから、図10の検出工程において、加熱を200℃で10秒以上行なえば、捕集治具12上の粒子の大部分が消失していることが分かった。
さらに図17、18には、上述の粒子の残存率に併せて、捕集後の信号値V1、第1の加熱後の信号値V2’および第2の加熱後の信号値V2が示されている。図17、18に示されたそれぞれの加熱条件での第1の加熱後信号値V2’より、第1の加熱の時間に関わらず第1の加熱によって信号値が減少することが分かる。このことから、信号値の減少は、図14に示したような粒子の消失が原因であると考えられ、上記の仮説が裏付けられた。
従って、図10に示した工程に従って200℃で10秒以上加熱することで信号値V2が得らる。この時、生物由来粒子以外の粒子または、粒子間による散乱光は、加熱による粒子の消失でなくなっているので、捕集前の信号値V0から信号値V2の増加分△Vにより、生物由来の粒子からの蛍光および加熱したことによる蛍光量の増大という、生物由来の粒子に関係した信号が検出されていることが分かる。
従来、捕集板上に付着した生物由来の粒子以外の粒子による散乱光の入光を抑えて検出精度を向上させる仕組みとして、光学フィルタを設ける構成が一般的になされている。しかしながら、本検出装置100では、上述のように、好適には300nmから450nmの波長のレーザ光(いわゆるブルーレーザ光)が用いられ、このレーザ光中にはグリーンの成分が微量含まれていることが知られている。そこで、従来の検出装置のようにフィルタのみを用いると捕集板上の粒子による散乱光中のグリーン成分がフィルタを透過して入光するため、検出結果に影響を及ぼすことになる。すなわち、フィルタのみでは捕集板上の粒子による散乱光の影響を完全に除去することが難しい。
これに対して、本実施の形態にかかる検出装置100では、図10に示すように、センサ出力として、加熱後の信号強度V2と捕集板からの信号強度V0との差を用いる。すなわち、加熱を行なうことで、捕集された粒子のうち、飛散または昇華等して消失する生物由来でない粒子を消失させる構成であるため、この粒子の散乱光の影響を除去することができる。これにより、より検出精度を向上させることができる。
なお、捕集捕集治具12の表面がきれいな(粒子のきわめて少ない)状態ではセンサの迷光等が小さくなるため、生物由来の粒子が多い環境下での測定であれば、信号値V2を生物由来の粒子の加熱に起因した信号値として用いることもできる。
しかしながら、通常は、検出装置に捕集治具12表面を清掃するための機構が設けられ、捕集治具12表面を清掃しつつ繰返し測定を行なう方法が採用される。そのため、捕集治具12表面に清掃しきれなかった生物由来の粒子が残り、その残存粒子による信号が信号値V2に上乗せされることがある。このような場合には、捕集前の信号値V0から信号値V2までの増加分△Vを生物由来の粒子の加熱に起因した信号値として用いることが好ましい。この差を算出することで、上記残存粒子による信号分を相殺することができるためである。
また、検出装置を断続的に使用する場合がある。この時、保管環境によっては、測定前の捕集治具12表面に静電気等の影響により埃が多く付着している場合が想定される。この場合は、捕集前の捕集治具12表面に付着している埃からの散乱光が、迷光に加わって検出される。そのため、図10に示したセンサ出力として、信号値V2と信号値V0との差を取った場合、信号値V0に捕集前に捕集治具12表面に付着している埃からの散乱光が含まれるため、その分、信号値が小さくなる。
そのような問題を解決するためには、図21〜図23に示す工程で測定すればよい。なお、この動作の前提として、検出装置100には、ブラシ等および該ブラシ等を駆動させるための機構である、捕集治具12表面を清掃(クリーニング)するための機構が備えられているものとする。
図21を参照して、第1回目の測定において、まず、所定の波長の光を発光素子6から捕集治具12に照射した時に受光素子9で受光される信号量V01を測定する(P11)。ここで、信号値V01は、捕集前の捕集治具12表面に付着している埃からの散乱光が、迷光に加わった信号値になる。
次に、放電電極1および捕集治具12に印加してファン50を駆動させる捕集動作を規定時間、行なう(P21)。ここでの所定時間は、一例として15分が挙げられる。そして、捕集動作の後に所定の波長の光を発光素子6から捕集治具12に照射した時の、受光素子9で受光される信号量V11が測定される(P31)。
検出装置100での検出動作では、ヒータ91を駆動させて捕集治具12を所定の条件で加熱する(P41)。そして、捕集治具12を冷却した後、捕集治具12からの信号値V21を得る(P51)。
その後、捕集治具12表面をブラシ等を用いてクリーニングして(P71)、第2回目の測定に入る。図22を参照して、第2回目の測定でも第1回目の測定と同様に、所定の波長の光を発光素子6から捕集治具12に照射した時に受光素子9で受光される信号量V02を測定する(P12)。
その後、第1回目の生物由来の粒子に関係する信号増加分△Vとして、加熱後の信号値V21と第2回目の捕集前の信号値V02との差分(=V21−V02)を、検出装置100での検出値として算出する(P61)。
以降、同様の測定および算出を繰り返す。すなわち、図22を参照して、P12で信号量V02が測定されると、捕集動作が規定時間行なわれ(P22)、捕集後の受光素子9で受光される信号量V12が測定される(P32)。
その後、ヒータ91によって捕集治具12が加熱する(P42)、冷却後の捕集治具12からの信号値V22を得る(P52)。
その後、捕集治具12表面をブラシ等を用いてクリーニングして(P72)、第3回目の測定に入る。図23を参照して、第3回目の測定でも第1回目、第2回目の測定と同様に、所定の波長の光を発光素子6から捕集治具12に照射した時に受光素子9で受光される信号量V03を測定する(P13)。
その後、第2回目の生物由来の粒子に関係する信号増加分△Vとして、加熱後の信号値V22と第3回目の捕集前の信号値V03との差分(=V22−V03)を、検出装置100での検出値として算出する(P62)。
次に、捕集動作が規定時間行なわれ(P23)、捕集後の受光素子9で受光される信号量V12が測定される(P33)。
その後、ヒータ91によって捕集治具12が加熱する(P43)、冷却後の捕集治具12からの信号値V22を得る(P53)。
その後、捕集治具12表面をブラシ等を用いてクリーニングして(P73)、第4回目の測定に入る。以降、図示しないものの、第4回目の測定でもP31,P32,P33と同様にして受光素子9で受光される信号量V04を測定し、第3回目の生物由来の粒子に関係する信号増加分△Vとして、加熱後の信号値V23と第4回目の捕集前の信号値V04との差分(=V23−V04)を、検出装置100での検出値として算出する。以降、同様に繰り返される。
上記信号増加分△Vを得るために用いる信号値V02,V03,V04は、それぞれ、今回の測定終了後にクリーニング機構を用いて治具12表面に清掃した後の、捕集前の信号値である。そのため、これら信号値には捕集治具12表面に付着した粒子による散乱光が含まれない。すなわち、信号値V02,V03,V04は、いずれも迷光を主たる成分とした、迷光信号である。
信号値V21,V22,V23が生物由来の粒子に関係した信号に迷光信号を加えたものであり、信号値V02,V03,V04が迷光信号であるので、加熱後の信号値V21,V22,V23と、クリーニング後の捕集前の信号値V02,V03,V04とそれぞれの差分△Vは、迷光信号が相殺された生物由来の粒子に関係した信号になり、この信号から生物由来の粒子が正確に検出できる。
なお、図21〜図23の例では、今回測定で得られた加熱後の信号値と次回測定で得られたクリーニング後の捕集前の信号値との差分△Vを用いるものとしている。これにより、連続測定を行なう前にクリーニング動作を不要とすることができる。
しかしながら、他の例として、今回測定の捕集前にクリーニング動作を実行し、つまり、図21のP11の前に捕集治具12表面をクリーニング機構にてクリーニングし、今回測定で得られた加熱後の信号値V21とクリーニング後の今回測定のP11で得られた信号値V01との差分を算出してもよい。
なお、測定環境によっては、埃の中に蛍光を発光するものも含まれるが、特定の測定環境で継続して測定する場合は、蛍光を発する埃の量も測定機会ごとにほぼ一定になっていると考えられる。このような場合は、従来の培養法による微生物量と検出装置の信号値からの微生物量との違いを予め求めておいて、その差分を考慮して測定を行なえばよい。
<加熱温度について>
なお、上述の説明では加熱温度を200℃としているが、200℃に限定されない。たとえば、他の温度として150℃であってもよいことを本願発明者らは検証している。
図19は、図16に示す工程で第1の加熱を150℃で2分間、第2の加熱を200℃で2分間行なったときの、捕集治具表面の粒子数の変化を示したものである。図19においては、最初に捕集治具12で捕集された粒子数N0を1として、N0に対する第1の加熱後の粒子数N1の比率(N1/N0)、およびN0に対する第2の加熱後の粒子数N2の比率(N2/N0)で表わされるそれぞれの加熱後での粒子の残存率が示されている。
図19に示された結果より、第1の加熱として150℃で2分間加熱すると、その後第2の加熱で200℃で加熱しても粒子数は変化しないことが分かる。すなわち、信号値に影響を与える捕集治具12表面の生物由来ではない粒子は、150℃の加熱条件であってもすべて消失していることが分かる。
このことから、図10の工程で加熱条件として150℃から200℃の温度範囲で加熱すれば良いことが分かった。加熱時間は、各設定温度および測定環境で決定されるべきものであるが、好ましくは30秒から10分とする。
<標準微生物への換算>
図10の信号値の差分△Vと生物由来の粒子量との対応関係は、粒子の種類(たとえば菌種)によって異なる可能性がある。そこで、好ましくは、いずれかの生物由来の粒子を標準微生物と規定して、増大量△Vと該標準微生物量との対応関係を用いて検出結果を標準微生物量の検出結果へと換算する。標準微生物での加熱後の信号値V2と捕集前の信号値V0との差分△Vは、標準微生物量C(個/m3)へ換算するための係数βを用いて、
C=β△V=β(V2−V0) …式(1)
によって得られる。これにより、様々な環境における生物由来の粒子量が、標準微生物を基準として換算された粒子量として算出される。その結果、様々な環境を比較することが可能となり、環境管理が容易となる。なお、式(1)は、一次式でもよい。その場合、切片は検出限界濃度を示している。
また、図21〜図23で表わされた方法で測定する場合は、上記△Vを今回測定で得られる信号値(信号値V2)と次回測定で得られる信号値(信号値V02)との差分で置き換えればよい。
発明者らは、標準微生物量Cへ換算するための係数βを特定するため、検出装置100を用いて次の要領で蛍光量を測定した。すなわち、1m3のチャンバー内で検出装置100を用いて、まず、チャンバー内をヘパフィルターにてクリーンにした後、アオカビを空気中に飛散させ検出装置100で静電捕集して図10に示す工程に従って測定した。
図20は、そのようにして蛍光強度を測定したときの、アオカビの噴霧濃度と信号値[mV]との関係を示した図である。図20の横軸(x軸)は信号値[mV]、縦軸(y軸)はパーティクルカウンタにより求めたアオカビの濃度である。
図20より、アオカビの噴霧濃度(万個/m3)と信号値[mV]との実測値の近似線がy=0.254xで得られており、これから、アオカビを標準微生物とした場合の係数βは、β=0,254万個/m3/mVで得られる。
標準微生物とする生物由来の粒子の種類ごとに上記測定を行なうことで、標準微生物とする生物由来の粒子の種類ごとに係数βが得られる。測定部40の記憶部42に、予め標準微生物ごとの係数βを記憶させておくことで、計算部411は、指定された微生物を標準微生物として測定された蛍光強度の差分を換算することができる。そして、換算された差分を用いて粒子量を算出することで、標準微生物とした場合の粒子量を検出することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 放電電極、2 高圧電源、5A 筒状筐体、6 発光素子、6A,9A ガイド、9 受光素子、10 導入孔、11 排出孔、12 捕集治具、12A 捕集ユニット、15 照射領域、30 信号処理部、34 電圧変換回路、35 増幅回路、40 測定部、41 制御部、42 記憶部、43 クロック発生部、48 駆動部、50 ファン、91 ヒータ、100 検出装置、411 計算部、N0,N1,N2 粒子数、V0,V1,V2,V2’ 信号値。

Claims (7)

  1. 捕集部材と、
    前記捕集部材表面を受光範囲に含むよう設けられた受光素子と、
    前記受光素子での受光量に基づいて前記捕集部材で捕集された生物由来の粒子を検出するための検出部とを備え、
    前記検出部は、所定波長の光が照射された下での、前記捕集部材で捕集する前の前記受光素子による受光量と、捕集後に前記捕集部材が加熱された後の前記受光素子による受光量との差分に基づいて、前記捕集部材で捕集された生物由来の粒子を検出する、検出装置。
  2. 外部空気を当該検出装置内に導入するための導入機構と、
    前記導入機構の動作を制御するための第1の制御部とをさらに備え、
    前記捕集部材は、前記導入機構によって導入される外部空気の流路上に設置され、
    前記検出部は、前記所定波長の光が照射された下での、前記導入機構が動作する前の前記受光素子による受光量と、前記導入機構が所定時間動作した後に前記捕集部材が加熱された後の前記受光素子による受光量との差分に基づいて前記生物由来の粒子を検出する、請求項1に記載の検出装置。
  3. 前記検出部は、予め記憶している、生物由来の粒子の種類に応じた粒子量と前記受光素子での受光量との関係を用いて、前記受光量の差分を特定の種類の生物由来の粒子量に換算する、請求項1または2に記載の検出装置。
  4. 前記捕集部材で捕集された粒子を加熱するための加熱部と、
    前記加熱部での加熱を制御するための第2の制御部とをさらに備え、
    前記検出部は、所定波長の光が照射された下での、捕集する前であって前記加熱部が動作する前の前記受光素子による受光量と、捕集の後に前記加熱部が前記捕集部材を所定の加熱条件で加熱した後の前記受光素子による受光量との差分に基づいて前記生物由来の粒子を検出する、請求項1〜3のいずれかに記載の検出装置。
  5. 前記捕集部材表面を清掃するための清掃機構をさらに備え、
    前記検出部は、所定波長の光が照射された下での、前記清掃機構によって前記捕集部材表面が清掃された後であって、前記捕集部材で捕集する前の前記受光素子による受光量と、捕集後に前記捕集部材が加熱された後の前記受光素子による受光量との差分に基づいて、前記捕集部材で捕集された生物由来の粒子を検出する、請求項1〜4のいずれかに記載の検出装置。
  6. 生物由来の粒子を検出する方法であって、
    捕集前の捕集部材に所定波長の光を照射し、前記捕集部材表面を受光範囲に含むよう設けられた受光素子での受光量V1を検出するステップと、
    前記捕集部材で空気中の粒子を捕集するステップと、
    前記捕集するステップの後の前記捕集部材を加熱するステップと、
    前記加熱するステップの後の前記捕集部材に前記所定波長の光を照射し、前記受光素子での受光量V2を検出するステップと、
    前記捕集前の前記受光素子での受光量V1と、前記加熱するステップの後の前記受光素子での受光量V2との差分に基づいて、前記捕集部材で捕集された生物由来の粒子を検出するステップとを備える、検出方法。
  7. 前記捕集前の前記捕集部材を清掃するステップをさらに備え、
    前記受光量V1を検出するステップは、前記清掃するステップにて清掃された前記捕集部材に前記所定波長の光を照射して前記受光量V1を検出する、請求項6に記載の検出方法。
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