JP2013249388A - 樹脂シートおよびプレススルーパック包装体 - Google Patents

樹脂シートおよびプレススルーパック包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、塩素、フッ素等のハロゲン系材料を含まず、安価で水蒸気バリア性の高いプレススルーパック包装体を提供し得る樹脂シート及び成形後の水蒸気バリア性が高いプレススルーパック包装体を提供することにある。
【解決手段】本発明の樹脂シートは、プレススルーパック包装体における底材に用いる樹脂シートであって、前記樹脂シートは高密度ポリエチレン樹脂(A)および板状フィラー(B)を含む樹脂組成物で構成されることを特徴とする。また、本発明のプレススルーパック包装体は、本発明の樹脂シートを用いて作製されるプレススルーパック包装体である。
【選択図】図1

Description

本発明は樹脂シートおよびプレススルーパック包装体に関するものである。
従来、医薬品、食品等の包装にはプラスチックシートを成形して作成したポケットに内容物を収納し、粘着剤を塗布したアルミ箔を蓋材として熱シールして包装するいわゆるプレススルーパック(以下PTP)包装体が用いられてきた。プラスチックシートとしては透明性、成形性、剛性、およびコストの面などから主としてポリ塩化ビニル樹脂が用いられてきた。しかし内容物が吸湿性のものである場合、ポリ塩化ビニル樹脂では防湿性に劣るため、ポリ塩化ビニル樹脂シートに防湿性の優れたポリ塩化ビニリデン樹脂をコーティングして用いて対応してきたが、これらは高価なものとなりコスト面で問題であった。
また近年、環境問題よりポリ塩化ビニル樹脂及びポリ塩化ビニリデン樹脂が焼却処理の際の含塩素ガスの発生などから敬遠されている。一方、最近の成形機の改良に伴い以前は成形が難しかったポリプロピレンシートが防湿性、低コスト性及び易処理性に注目されて種々の用途で使用されるようになってきており、PTP包装用としても用いられるようになった。近年では、水分に敏感な薬剤や新薬開発速度を促進させるため信頼性に優れる水蒸気バリア性の高いシートが求められおり、その場合ポリプロピレン樹脂に石油樹脂を添加することによって水蒸気バリア性を向上させる方法が実施されてきた(例えば特許文献1)。
一方、ポリオレフィン樹脂の中でも水蒸気バリア性が高いとされる高密度ポリエチレン樹脂や環状オレフィン樹脂を用いる方法も実施されてきた(例えば特許文献2)。
特開昭59−143613号公報 特公平6−84063
しかし、ポリプロピレン樹脂に石油樹脂を添加する方法では、成形後の透明性、成形性は良好であるもののポリ塩化ビニル樹脂シートにポリ塩化ビニリデン樹脂をコーティングした積層シートに比較し、水蒸気バリア性が不十分であった。また、高密度ポリエチレン樹脂や環状オレフィン樹脂を用いた場合には、水蒸気バリア性が向上されるもののポリ塩化ビニリデン樹脂をコーティングして得られる積層シートと同等レベルであり、さらに高バリア性樹脂であるポリクロロトリフルオロエチレンをラミネートした積層シートに比較すると水蒸気バリア性は不十分であるため安価で更にバリア性の高い包装シートが求められていた。
本発明の目的は、塩素、フッ素等のハロゲン系材料を含まず、安価で水蒸気バリア性の高いプレススルーパック包装体を提供し得る樹脂シート及び成形後の水蒸気バリア性が高いプレススルーパック包装体を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(17)の本発明により達成される。
(1)プレススルーパック包装体における底材に用いる樹脂シートであって、前記樹脂シートは高密度ポリエチレン樹脂(A)および板状フィラー(B)を含む樹脂組成物で構成されることを特徴とする樹脂シート。
(2)前記板状フィラー(B)のアスペクト比が、5以上2000以下である(1)に記載の樹脂シート。
(3)前記板状フィラー(B)の平均粒子径が、0.1μm以上50μm以下である(1)または(2)に記載の樹脂シート。
(4)前記板状フィラー(B)が、無機材料を含む(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂シート。
(5)前記板状フィラー(B)が、タルク、マイカ、クレー、モンモリロナイト、シリカからなる群のいずれか一つ以上を含む(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂シート。
(6)前記板状フィラー(B)が、樹脂シートの長手方向と平行の方向に配列されている(1)〜(5)のいずれかに記載の樹脂シート。
(7)前記板状フィラー(B)が、前記樹脂組成物において、10重量%以上50重量%含まれる(1)〜(6)のいずれかに記載の樹脂シート。
(8)さらに、非晶性ポリオレフィン樹脂(C)を含む(1)〜(7)のいずれかに記載の樹脂シート。
(9)前記非晶性ポリオレフィン樹脂(C)が、環状ポリオレフィンを含む(8)に記載の樹脂シート。
(10)前記環状ポリオレフィンが環状オレフィンとオレフィンとの共重合体を含む(9)に記載の樹脂シート。
(11)前記共重合体が、ノルボルネン、ノルボルネンの誘導体、ジシクロペンタジエンとエチレンとの付加反応物、およびジシクロペンタジエンの誘導体とエチレンとの付加反応物の群に含まれる1種以上の環状オレフィンと、オレフィンとの共重合体を含む(10)に記載の樹脂シート。
(12)前記オレフィンが、エチレン、プロピレン、およびブタジエンの群に含まれる1種以上のオレフィンを含む(10)または(11)に記載の樹脂シート。
(13)前記非晶性ポリオレフィン樹脂(C)がノルボルネンとエチレンの共重合体を含む(8)〜(12)のいずれかに記載の樹脂シート。
(14)さらに、石油樹脂(D)を含む(1)〜(13)のいずれかに記載の樹脂シート。
(15)前記石油樹脂(D)が水素添加ジシクロペンタジエン系石油樹脂である(14)に記載の樹脂シート。
(16)前記石油樹脂(D)の数平均分子量が300〜2000である(14)または(15)に記載の樹脂シート。
(17)前記樹脂シートの全光線透過率が、70%以上である(1)〜(16)のいずれかに記載の樹脂シート。
(18)(1)〜(17)のいずれかに記載の樹脂シートを用いて作製されるプレススルーパック包装体。
本発明の樹脂シートは、塩素、フッ素等のハロゲン系材料を含まず、安価で水蒸気バリア性が高く、プレススルーパック包装体への成形性も優れたものとなる。また本発明のプレススルーパック包装体は水蒸気バリア性、に優れたものである。
本発明の包装用シートの一例を示す概略断面図である。 本発明のPTP包装体の一例を示す概略図である。 本発明の実施例の評価に用いる薬品包装体の概略斜視図である。 本発明の実施例の評価に用いる薬品包装体の概略斜視図である。 本発明の実施例の評価に用いる薬品包装体の概略断面図である。
本発明について、以下図面を用いて、実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明の樹脂シートは、プレススルーパック包装体における底材に用いる樹脂シートであって、前記樹脂シートは高密度ポリエチレン樹脂(A)および板状フィラー(B)を含む樹脂組成物で構成されることを特徴とする。
本発明の樹脂シートは、前記のような構成を含むことで、塩素、フッ素等のハロゲン系材料を含まずに、安価で水蒸気バリア性が高いプレススルーパック包装体用の樹脂シートを提供することができる。つまり、こういうことである。本発明は、高密度ポリエチレンを含むことで、高い水蒸気バリア性を得ることができる。さらにフィラーを含むことで、樹脂シートを透過する水蒸気が、フィラーにより透過を阻害されて、樹脂シートを透過する水蒸気がより少なくなる。さらに、フィラーが板状であることにより、他の形状のフィラーと比較して、扁平な面を広く有するために、水蒸気ブロック性が高くなる。このようにして、前記樹脂シートは、高い水蒸気バリア性を実現した。
また、一般的に高密度ポリエチレン樹脂は、成形性が低下するとの傾向があるが、高密度ポリエチレン以外の成分を含むことで、成形性の低下を抑え、前記樹脂シートは、優れた成形性を実現することができた。
また、本発明のプレススルーパック包装体は、前記樹脂シートを用いて作製される。
本発明のプレススルーパック包装体は、前記のような構成を含むことで、塩素、フッ素等のハロゲン系材料を含まずに、安価で水蒸気バリア性が高いプレススルーパック包装体用を提供することができる。
以下図面を用いて、詳細に説明する。
本発明の樹脂シートは図1に示すように少なくとも単層シートであり、プレススルーパック包装体における底材に用いる樹脂シートであって、少なくとも高密度ポリエチレン樹脂(A)および板状フィラー(B)を含む樹脂組成物で構成されることを特徴とする。
本発明に用いられる高密度ポリエチレン樹脂(A)は、特に限定されないが、密度は0.945g/cm3以上、0.970g/cm3以下が好ましい。密度を前記範囲内とすることで、高い水蒸気バリア性や透明性を得ることができる。
また高密度ポリエチレン樹脂(A)は、メルトフローレート(以下MFRという)が0.2g/10分以上、8g/10分以下であることが好ましい。MFRを前記範囲内とすることで、フィルムの透明性や剛性を損なうことなく、また溶融押出性に優れ、ダイス押出面の「メヤニ」の発生も抑制することができる。
高密度ポリエチレン樹脂(A)の製造方法としては、特に限定されるものではなく、公知の触媒を用いる公知の重合方法が挙げられる。例えば、エチレンを、炭素数3〜18のα−オレフィンの存在下又は不存在下、遷移金属を含む化合物を触媒として重合することによって得られ、重合反応は30℃以上、300℃以下の重合温度で、常圧〜3000kg/cm2の重合圧力下で行われる。重合方法としては、溶媒溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法、気相重合法等が挙げられる。
高密度ポリエチレンの含有量は、前記樹脂組成物において、20重量%以上、70重量%以下含まれることが好ましく、30重量%以上、50重量%以下含まれることがより好ましい。前記下限値以上であることにより、包装体の水蒸気バリア性がより向上し、前記上限値以下であることにより、樹脂シートの成形性が向上する。
本発明で用いられる板状フィラー(B)は、特に限定されないが、アスペクト比が、5以上2000以下であるものが好ましく、10以上1000以下であるものがより好ましい。前記下限値以上であることにより、フィラーの扁平な面が十分に広くなり、より水蒸気バリア性の優れた包装体を提供することができる。また、前記上限値以下であることにより、樹脂シート内における前記板状フィラー(B)の分散性が向上する。
また、前記板状フィラー(B)の平均粒子径は、特に限定されないが、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上30μm以下がより好ましい。前記下限値以上であることで、より水蒸気バリア性の優れた包装体を提供することができ、前記上限値以下であることで、包装体の透明性を向上させることができる。
また、前記板状フィラー(B)の素材は、特に限定されないが、有機材料、無機材料を用いることができるが、無機材料が好ましい。無機材料を含むことで、耐熱性、寸法安定性等の樹脂シートの物性が向上する効果を得ることができる。有機材料としては、木粉、パルプ、粉砕布及び熱硬化性樹脂硬化物粉などが挙げられ、無機材料としては、タルク、マイカ、クレー、モンモリロナイト、シリカ等が挙げられ、これらを複数併用してもよい。中でも、タルクを含むことが好ましく、タルクを含むことで、樹脂シートとの相溶性が良いため分散性が向上し、水蒸気バリア性が向上する効果を得ることができる。
前記板状フィラーは、樹脂シートの長手方向と平行の方向に配列されていることが好ましい。樹脂シートの長手方向と平行の方向に配列していることにより、包装体としたときに、樹脂シートの長手方向と垂直の方向で透過してくる水蒸気について、水蒸気が樹脂シートを透過することを効果的に防ぎ、より水蒸気バリア性が向上する。
前記板状フィラー(B)の含有量は、前記樹脂組成物において、10重量%以上、50重量%以下含まれることが好ましく、20重量%以上、40重量%以下含まれることがより好ましい。前記下限値以上であることにより、包装体の水蒸気バリア性がより向上し、前記上限値以下であることにより、包装体の透明性、成形性が向上する。
本発明の樹脂シート中の高密度ポリエチレン樹脂(A)と板状フィラー(B)との重量配合比(A/B)は20/50以上、70/10以下であることが好ましい。前記樹脂層中の重量配合比を前記下限値以上とすることによりシートの成形性を向上させる効果を得ることができ、前記上限値以下とすることにより高いレベルの水蒸気バリア性を付与させることができる。
前記樹脂シートは、さらに、非晶性ポリオレフィン樹脂(C)を含んでも良い。非晶性ポリオレフィン樹脂(C)を含むことで、樹脂シートの成形性、および包装体の透明性が向上する。
前記非晶性ポリオレフィン樹脂(C)は、結晶性の低いポリオレフィンを含む樹脂であれば特に限定されないが、環状ポリオレフィンを含むものが好ましい。前記環状ポリオレフィンは、特に限定されないが、環状オレフィンモノマーの開環メタセシス重合体およびその水素添加物からなる環状オレフィンポリマーや環状オレフィンとオレフィンとの共重合体や、環状オレフィンモノマーとα―オレフィンとの共重合体からなる環状オレフィンコポリマーを含むことができる。包装容器への成形性の観点から環状オレフィンとオレフィンとの共重合体を含むものがより好ましい。環状オレフィンとオレフィンとの共重合体を形成する環状オレフィンモノマーの比率は50wt%以上80wt%以下のものが好ましく、より好ましくは60wt%以上70wt%以下である。環状オレフィンモノマーの比率を上記範囲内とすることで樹脂組成物中の高密度ポリエチレンとの軟化温度のバランスがとれ成形後の容器の寸法ばらつきが抑えられる。
前記環状オレフィンとオレフィンとの共重合体は、ノルボルネン、ノルボルネンの誘導体、ジシクロペンタジエンとエチレンとの付加反応物、およびジシクロペンタジエンの誘導体とエチレンとの付加反応物からなる群から選択される1種以上の環状オレフィンと、オレフィンとの共重合体を含むことができる。
前記オレフィンは、エチレン、プロピレン、およびブタジエンからなる群から選択される1種以上のオレフィンを含むことができる。
また、前記非晶性ポリオレフィン樹脂(C)は、シクロペンタジエンまたはその誘導体とノルボルネンまたはその誘導体との付加反応物と、エチレン、ブタジエン又はスチレン誘導体から選ばれた1種以上の不飽和単量体との共重合体、またはその水素添加物を含むことができる。
さらに前記非晶性ポリオレフィン樹脂(C)は、ジシクロペンタジエンまたはその誘導体とエチレンとの付加反応物とエチレン、ブタジエン又はスチレン誘導体から選ばれた1種以上の不飽和単量体との共重合、またはその水素添加物とすることもできる。
前記非晶性ポリオレフィン樹脂(C)はガラス転移温度が140℃以下とするのが好ましく、より好ましくは100℃以下である。ガラス転移温度を前記温度以下にすることにより、樹脂組成物中の高密度ポリエチレンの軟化温度と同等以下にすることができ、成形後の容器の寸法ばらつきが抑えられ成形後のバリア性が高い容器を提供する樹脂組成物となる。
前記非晶性ポリオレフィン樹脂(C)は、MFRが0.2g/10分以上12g/10分以下であることが好ましい。MFRを前記範囲内とすることで溶融押出性に優れ、高密度ポリエチレン樹脂(A)と溶融粘度を調整することにより相溶性が良くなる。
前記非晶性ポリオレフィンは、前記樹脂組成物において、5重量%以上、70重量%以下含まれることが好ましく、10重量%以上、50重量%以下含まれることがより好ましい。前記下限値以上であることにより、包装体の透明性がより向上し、前記上限値以下であることにより、包装体の耐油性が向上する。
また、前記樹脂シートは、石油樹脂(D)を含んでも良い。石油樹脂(D)を含むことで、水蒸気バリア性がより向上する。石油樹脂(D)としては、脂肪族系、芳香族炭化水素樹脂系、脂環族飽和炭化水素樹脂系、共重合系等が使用可能であるが、透明性と臭気の観点から脂肪族系炭化水素樹脂が好ましく、ジシクロペンタジエンを熱重合したのちに水添反応を施して得られる水素添加ジシクロペンタジエン系石油樹脂がより好ましい。前記水素添加ジシクロペンタジエン系の石油樹脂の水素化率は70%以上が好ましく、より好ましくは90%以上である。水素化率の割合が高くなることで石油樹脂の極性が小さくなり、高密度ポリエチレン樹脂(A)との相溶性が改良される。
また、石油樹脂(D)の軟化点(環球法、JIS K2548に準ずる)は、70℃以上150℃以下とするのが好ましく、より好ましくは90℃以上140℃以下である。軟化点を70℃以上にすることにより、高密度ポリエチレン(A)に対する接着性能および耐熱性のバランスが良好となる。軟化点を150℃以下とすることで、樹脂の製造が容易になり、製造コストの面でも有利になるため好ましい。
石油樹脂(D)の数平均分子量は、300以上2000以下とするのが好ましく、より好ましくは500以上1500以下である。数平均分子量を前記の下限値以上とすることにより、樹脂組成物の凝集力等の接着性能が良好となり、水蒸気バリア性も向上する。数平均分子量を前記の上限値以下とすることで、樹脂組成物の各成分との相溶性が良好となるとともに、樹脂の製造が容易になり、製造コストの面でも有利になるため好ましい。なお、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値による。
(シートの製造方法)
本発明の包装用シートの製造方法としては、例えば、原料をあらかじめブレンドし、押出機により溶融混練後、T型ダイスによりシート状に製膜する方法など公知の製膜方法が挙げられる。なお原料のブレンド方法としては、特に限定されるものではなく、公知のブレンド方法が挙げられる。公知のブレンド方法としては、例えば、高密度ポリエチレン樹脂(A)および板状フィラー(B)を含む樹脂組成物をドライブレンドする方法、メルトブレンドする方法等が挙げられる。ドライブレンドする方法には、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等の各種ブレンダーを用いることができ、またメルトブレンドする方法には、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等の各種ミキサーを用いることができる。
本発明の樹脂シートには、本発明の目的、効果を損なわない範囲において、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、加工性改良剤、抗ブロッキング剤等の添加剤を添加することができる。酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、商品名:IRGANOX1010)やn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、商品名:IRGANOX1076)等のフェノール系安定剤、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトやトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のホファイト系安定剤等が挙げられる。
滑剤としては、例えば、エルカ酸アミド、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル等が挙げられ、帯電防止剤としては、例えば、炭素数8以上22以下の脂肪酸のグリセリンエステル、ソルビタン酸エステル、ポリエチレングリコールエステル等が挙げられ、加工性改良剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩等が挙げられ、抗ブロッキング剤としては、例えば、シリカ、珪藻土、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
上記の種々の添加剤は、高密度ポリエチレン樹脂(A)と、板状フィラー(B)と、を予めブレンドして得られる樹脂混合物に添加して用いても良く、高密度ポリエチレン樹脂(A)、板状フィラー(B)または必要に応じて添加する非晶性ポリオレフィン樹脂(C)や、石油樹脂(D)のそれぞれに添加して用いても良く、または、添加剤をマスターバッチとして用いても良い。
前記樹脂シートは、特に限定されないが、50μm以上、1000μm以下が好ましく、200μm以上、500μm以下が好ましい。前記下限値以上であることにより、十分な水蒸気バリア性を得ることができ、前記上限値以下であることにより、十分な成形性を得ることができる。
前記樹脂シートは、特に限定されないが、全光線透過率が、70%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましい。前記下限値以上であることにより、十分な透明性を得ることができ、包装体としたときに、内部の視認性が十分となる。
(本発明の包装用シートの使用方法)
本発明の包装シートの使用例としてPTP包装体の底材が挙げられる。PTP包装体とは、図2に示すように、例えば医薬品包装分野の場合、錠剤、カプセル剤等の固形剤の包装用として、本発明の包装用シートをポケット形状に成形して底材3、その中に固形の薬剤4を充填し、例えばアルミ箔からなる蓋材2で密封した包装体である。水分による劣化がある薬剤の場合、包装用シートには高いレベルの水蒸気バリア性が求められている。この点において、本発明の包装用シートは水蒸気バリア性が良好のため、PTP包装体の底材3として好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
高密度ポリエチレン樹脂(A)20重量部、板状フィラー(B)50重量部、非晶性ポリオレフィン樹脂(C)25重量部、石油樹脂(D)5重量部をドライブレンドにて配合し、2軸押出機で溶融混練しTダイキャスト法にてシーティングし、厚み0.3mmの樹脂シートを得た。
なお実施例および比較例に用いた各原料は以下のとおりである。
高密度ポリエチレン樹脂(A):旭化成株式会社製
サンテックHD−B161
密度 0.966g/cm
板状フィラー(B):日本タルク株式会社製
ミクロエースL−1
平均粒子径:5.0μm
アスペクト比:12〜17(SEMによる実測値)
非晶性ポリオレフィン樹脂(C):ポリプラスチック株式会社製
環状オレフィンコポリマー
TOPAS8007F−04
石油樹脂(D):荒川化学工業株式会社製
水素添加ジシクロペンタジエン系石油樹脂
アルコンP−125
(実施例2)
高密度ポリエチレン樹脂(A)40重量部、板状フィラー(B)50重量部、非晶性ポリオレフィン樹脂(C)5重量部、石油樹脂(D)5重量部とした以外は実施例1と同様にして樹脂シートを得た。
(実施例3)
高密度ポリエチレン樹脂(A)40重量部、板状フィラー(B)10重量部、非晶性ポリオレフィン樹脂(C)45重量部、石油樹脂(D)5重量部とした以外は実施例1と同様にして樹脂シートを得た。
(実施例4)
高密度ポリエチレン樹脂(A)70重量部、板状フィラー(B)10重量部、非晶性ポリオレフィン樹脂(C)10重量部、石油樹脂(D)10重量部とした以外は実施例1と同様にして樹脂シートを得た。
(実施例5)
高密度ポリエチレン樹脂(A)20重量部、板状フィラー(B)10重量部、非晶性ポリオレフィン樹脂(C)70重量部とした以外は実施例1と同様にして樹脂シートを得た。
(比較例1)
高密度ポリエチレン樹脂(A)70重量部、非晶性ポリオレフィン樹脂(C)20重量部、石油樹脂(D)10重量部をドライブレンドにて配合し、2軸押出機で溶融混練しTダイキャスト法にてシーティングし、厚み0.3mmの樹脂シートを得た。
(比較例2)
板状フィラー(B)50重量部、非晶性ポリオレフィン樹脂(C)40重量部、石油樹脂(D)10重量部をドライブレンドにて配合し、2軸押出機で溶融混練しTダイキャスト法にてシーティングし、厚み0.3mmの樹脂シートを得た。
(水蒸気バリア性の評価)
得られた樹脂シートの水蒸気バリア性を、JIS Z 0208:40℃/90%RHに準拠し測定した。結果を表1に示す。
(成形性の評価)
CKD社のプラグアシスト圧空成形機(FBP−M2)で図3、図4、図5に示すように2号カプセル型に成形したサンプル中央部の周囲(破線100上)の9点(101〜109)の厚みをダイアルゲージにて測定した。測定結果を以下のように分類し、AおよびBを合格とした。結果を表1に示す。
A:9点の最薄厚みが55μm以上
B:9点の最薄厚みが45μm以上55μm未満
C:9点の最薄厚みが45μm未満
(PTP包装体成形後の水蒸気バリア性の評価)
実施例1〜9および比較例1〜2で得られた樹脂シートを、PTP成形機(FBP−M2、CKD社製)により凹部を成型し、そこに吸湿剤(錠剤型合成ゼオライト、東海化学工業所社製)を充填し、アルミ箔を接着してPTP包装体を作製した。まず、PTP包装体の重量を測定してから、その後40℃/90%RHの恒温恒湿槽に投入し、吸湿剤の水分吸収によるPTP包装体の重量変化を経時で測定し、成形後の樹脂シートの水蒸気バリア性を測定した。結果を表1に示す。成形品の最薄厚みがAのものが良好な結果であった。
(成形温度幅の評価)
得られた樹脂シートをCKD社のプラグアシスト圧空成形機(FBP−M2)で成形する際に型追従性が良く、熱板へのとられや白濁箇所がない温度範囲を測定した。結果を表1に示す。いずれの実施例においても比較例と比較して、広い前記の成形温度幅を有していた。
(透明性の評価)
得られた包装用シートを日本電色工業株式会社製のヘイズメータ(NDH2000)で全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2013249388
表1から明らかなように、実施例に係る樹脂シートは、比較例に係る樹脂シートに比べて水蒸気バリア性に優れ、成形性にも優れていた。また、実施例に係る樹脂シートにより、水蒸気バリア性に優れたプレススルーパック包装体を提供することができた。
1・・・薬品包装用シート
2・・・蓋材
3・・・底材
4・・・薬剤
21・・・包装体
22・・・2号カプセル型(斜視図)
23・・・2号カプセル型(斜視図)
24・・・2号カプセル型(断面図)
100・・PTP包装体サンプル中央部
101〜109・・・厚み測定箇所

Claims (18)

  1. プレススルーパック包装体における底材に用いる樹脂シートであって、
    前記樹脂シートは高密度ポリエチレン樹脂(A)および板状フィラー(B)を含む樹脂組成物で構成されることを特徴とする樹脂シート。
  2. 前記板状フィラー(B)のアスペクト比が、5以上2000以下である請求項1に記載の樹脂シート。
  3. 前記板状フィラー(B)の平均粒子径が、0.1μm以上50μm以下である請求項1または2に記載の樹脂シート。
  4. 前記板状フィラー(B)が、無機材料を含む請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂シート。
  5. 前記板状フィラー(B)が、タルク、マイカ、クレー、モンモリロナイト、シリカからなる群のいずれか一つ以上を含む請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂シート。
  6. 前記板状フィラー(B)が、樹脂シートの長手方向と平行の方向に配列されている請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂シート。
  7. 前記板状フィラー(B)が、前記樹脂組成物において、10重量%以上50重量%含まれる請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂シート。
  8. さらに、非晶性ポリオレフィン樹脂(C)を含む請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂シート。
  9. 前記非晶性ポリオレフィン樹脂(C)が、環状ポリオレフィンを含む請求項8に記載の樹脂シート。
  10. 前記環状ポリオレフィンが環状オレフィンとオレフィンとの共重合体を含む請求項9に記載の樹脂シート。
  11. 前記共重合体が、ノルボルネン、ノルボルネンの誘導体、ジシクロペンタジエンとエチレンとの付加反応物、およびジシクロペンタジエンの誘導体とエチレンとの付加反応物の群に含まれる1種以上の環状オレフィンと、オレフィンとの共重合体を含む請求項10に記載の樹脂シート。
  12. 前記オレフィンが、エチレン、プロピレン、およびブタジエンの群に含まれる1種以上のオレフィンを含む請求項10または11に記載の樹脂シート。
  13. 前記非晶性ポリオレフィン樹脂(C)がノルボルネンとエチレンの共重合体を含む請求項8〜12のいずれかに記載の樹脂シート。
  14. さらに、石油樹脂(D)を含む請求項1〜13のいずれかに記載の樹脂シート。
  15. 前記石油樹脂(D)が水素添加ジシクロペンタジエン系石油樹脂である請求項14に記載の樹脂シート。
  16. 前記石油樹脂(D)の数平均分子量が300〜2000である請求項14または15に記載の樹脂シート。
  17. 前記樹脂シートの全光線透過率が、70%以上である請求項1〜16のいずれかに記載の樹脂シート。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載の樹脂シートを用いて作製されるプレススルーパック包装体。
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