JP2013247006A - 固体酸化物形燃料電池および該燃料電池のカソード形成用材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
本発明によって、一般式:(La1−xSrx)(CoyFe1−y)O3−δで示されるペロブスカイト型の酸化物粒子と、一般式:(La1−xSrx)(TiyFe1−y)O3−δで示されるペロブスカイト型の酸化物粒子と、がメカノケミカル処理により複合化された複合粒子を主体とする、固体酸化物形燃料電池のカソード形成用材料が提供される。ただし、上記一般式において、xは0.1≦x≦0.5を満たす実数であり、yは0.1≦y≦0.5を満たす実数であり、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。
【選択図】図11
Description
かかるSOFC(単セル)は、典型的には酸素イオン伝導体(例えば酸素イオン伝導性のセラミック体)から成る緻密な固体電解質の一方の面に多孔質構造のカソード(空気極)が形成され、他方の面に多孔質構造のアノード(燃料極)が形成された構成である。使用時にはカソードが形成された側の固体電解質の表面には酸素(O2)含有ガス(典型的には空気)が、アノードが形成された側の固体電解質の表面には燃料ガス(典型的には水素(H2))がそれぞれ供給される。該ガスが供給されたSOFCに電流を印加すると、先ずカソードにおいて酸素が酸化され、酸素イオンとなる。そして、該酸素イオンが(固体電解質を介して)アノードに到達し、燃料ガスと反応して電子を放出することによって発電が行われる。
かかる問題に対処するための従来技術として、例えば特許文献1には、アノードの構造(気孔率)を制御することで該アノードにおける反応効率を向上させ、SOFCの発電性能を高め得ることが開示されている。また、特許文献2には、アノードを構成する材料(粒子)の平均粒径を制御することで該アノードにおける反応効率を向上させ、SOFCの発電性能を高め得ることが開示されている。
上記態様の粒子は、還元膨張の少ないLSTFをコア部とするため、温度やガス雰囲気等の環境変化に伴う膨張・収縮がより一層抑制されている。また、LSCFを表面近く(被覆部)に配置することで酸素含有ガスとの接触面積を広く確保することができ、より高い触媒性能を発揮し得る。このため、本願発明の効果をより発揮することができる。
上記の質量比率を満たす材料は、より一層優れた電極性能を発揮し得る。したがって、本発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
カソード形成用材料の熱膨張係数を上記範囲とすることで、他のSOFC構成材料(例えば、固体電解質や発電システムを構成する部材)との熱膨張係数(熱膨張率)の差異を小さく抑えることができる。また、該材料の還元膨張率を1%以下とすることで、酸素分圧の低い還元雰囲気下(例えば水素ガスが1質量%以上の雰囲気下)においても還元膨張を低く抑えることができる。したがって、上記カソード形成用材料は温度や雰囲気等の環境変化に伴う膨張や収縮が少なく、長期的な信頼性や耐久性に優れたものであり得る。
ここで開示される材料は、SOFCのカソード(電極)を形成するために用いられる。かかる際には、該材料を1種以上の溶媒に分散(もしくは溶解)させペースト状に調製したものを用いることで、均質なカソードを安定して効率よく作製することができる。
上記カソードを備えたSOFCは、高い発電性能(例えば、動作温度700℃における最大電力密度が0.4W/cm2以上)を発揮し得る。また、ここで開示されるカソードは環境変化に伴う膨張や収縮(例えば、熱膨張や還元膨張)が抑制されているため、かかるカソードを備えたSOFCは信頼性や耐久性に優れ、長期に渡り安定して使用することができる。すなわち、ここで開示されるSOFCは、発電性能と耐久性とを高いレベルで両立し得る。
ここで開示されるカソードは他のSOFC構成材料(例えば、固体電解質や発電システムを構成する部材)と熱膨張係数が近いため、温度変化等に伴う不具合(例えば、カソードにおけるクラックの発生)が生じ難い。また、還元膨張率も小さく抑えられているため、還元雰囲気下においても不具合(例えば、カソードの反り返り)が生じ難い。このため、かかるSOFCでは該電極の厚みが比較的厚い場合でも、優れた発電性能を長期間にわたり安定的に発揮することができる。
一般的に、カソード形成用材料としてLSCFを用いる場合には、該カソードと固体電解質(典型的には、ジルコニア系酸化物)との反応を抑止するため、これらの間に反応抑止層を形成する必要がある。しかし、ここで開示されるカソードはLSTFを含むため、かかる反応性が低減されたものであり得る。このため、固体電解質上に直接形成することができ、効率的である。また、SOFCの構造が簡素化されることで、好ましくは該SOFCの内部抵抗をも低減し得る。このため、ここで開示されるSOFCは発電性能と生産性とを高いレベルで両立することができる。
かかる製造方法によれば、高い電極性能と優れた耐久性とを有するカソード形成用材料を好適に製造することができる。
上記範囲を満たすようにメカノケミカル処理を行うことで、より一層電子伝導性や酸素イオン伝導性に優れたカソード形成用材料を得ることができる。したがって、本発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
上記質量比でLSCFとLSTFとを混合することで、高い電極性能と耐久性とをより高いレベルで両立することができる。
なお、複合粒子となっているか否かは、例えば一般的な走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)−エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)の手法を用いて確認することができる。より具体的には、後述する実施例に示す通り、SEM観察により得られる観察画像とEDX分析により得られる各元素の分布状態を基に判断することができる。
また、上記一般式における「y」は、ペロブスカイト型酸化物における「Fe元素」と「Co元素(LSCFの場合)もしくはTi元素(LSTFの場合)」との組成比を定める値である。このyは、0.1≦y≦0.5の範囲内であればいずれの実数をとってもよい。
なお、上述のとおりδ値(すなわち、酸素原子数)はペロブスカイト型酸化物を構成する他の元素等の条件により変化し得るものであるため、正確に表示することは困難である。したがって、便宜上δを省略して記載する場合もあり得る。即ち、上記一般式中の(3−δ)は、本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではない。
複合粒子全体に占める上記形態の粒子の割合は、例えば10%以上(典型的には30%以上、例えば50%以上、好ましくは70%以上)であることが好ましく、実質的に100%であることがより好ましい。
なお、熱膨張係数は、例えば示差膨張方式を用いた熱機械分析装置(Thermo Mechanical Analysis:TMA)により、室温(25℃)〜500℃以上(例えば、500℃、600℃、700℃、800℃、1000℃)の温度範囲にて測定した値(線膨張)の算術平均値を採用することができる。具体的な測定条件は、後述する実施例に述べる。
なお、本明細書において「還元雰囲気」とは酸素分圧が低い状態、例えば、水素、一酸化炭素、一酸化窒素等の還元性を有するガスが、0.1質量%以上(典型的には1%以上、例えば4%以上)含まれる雰囲気をいう。また、本明細書において「還元膨張率(%)」は、5質量%の還元性ガスを含む窒素雰囲気下における熱膨張率をEred(%)とし、空気雰囲気下における熱膨張率をEair(%)としたとき、下記の式(3)によって与えられる値を示す。
[{(1+Ered/100)−(1+Eair/100)}/(1+Eair/100)]×100 (3)
カソード形成用材料に占める任意の添加成分の割合は、特に限定されないが、例えば20質量%以下(典型的には0.1質量%〜20質量%、1質量%〜10質量%)とすることが好ましい。
ペースト全体に占める溶媒の割合は、特に限定されないが、例えば5質量%〜35質量%(好ましくは、10質量%〜30質量%)とすることができる。
以下、順に説明する。
ここで開示される製造方法では、先ずLSCFとLSTFとを用意する。これらは、購入したものを用いてもよく、また例えば原料物質から従来公知の手法を用いて作製することもできる。
ここで用意する該酸化物の性状は特に限定されないが、例えばLSCFの平均粒径は2μm未満(典型的には0.001μm〜2μm、例えば0.01μm〜1μm、好ましくは0.01μm〜0.5μm、より好ましくは0.01μm〜0.2μm)とすることができる。また、LSTFの平均粒径は0.1μm〜20μm(好ましくは0.5μm〜10μm、より好ましくは1μm〜3μm)とすることできる。後述する複合化工程の前に、あらかじめ酸化物の粒径を上記範囲内に調製しておくことで、メカノケミカル処理後の複合粒子の形態を好適に調節することができ、本願の効果をより高いレベルで発揮し得る。なお、かかる粒径の調製は、従来公知の粉砕処理や、篩いがけ、分級等によって行うことができる。
ここで開示される製造方法では、次に、所定の配合比で量りとったLSCFとLSTFを(必要に応じてそれ以外の添加物とともに)適当な混合機に投入し、メカノケミカル処理を行う。これによりLSCFとLSTFとを複合化し、複合粒子を得ることができる。なお、メカノケミカル処理には、従来用いられる粉砕・混合装置のうち一種または二種以上を特に限定なく用いることができる。例えば、ジェットミル、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー、ディスパー等の非媒体型の粉砕混合機(粉砕媒体が不要なもの)や、ボールミル、ビーズミル等の媒体型粉砕混合機(粉砕媒体を必要とするもの)を適宜用いることができ、非媒体型の粉砕混合機を用いることが好ましい。非媒体型の粉砕混合機を用いることで上記複合化処理を好適に行うことができ、且つ媒体との接触によるコンタミネーション(異物混入)を低減し得る。より好ましくは、乾式の非媒体型粉砕混合機を用いる。乾式混合することにより、必要以上に粒子が解砕されることを抑制し得る。また、原料物質たるLSCFとLSTFおよび/または目的物たる複合粒子の意図しない変質や変化等を防止することができる。かかる粉砕機の粉砕処理条件(例えば、粉砕強度や粉砕時間)を適宜調節することで、所望の形態(粒径、形状)の複合粒子を得ることができる。
より具体的には、例えばホソカワミクロン株式会社製の「NOB−MINI」を用いてメカノケミカル処理を行う場合、出力:0.1kW〜5kW(典型的には0.5kW〜3kW、例えば1kW〜3kW)で1分間〜30分間(典型的には3分間〜20分間、例えば5分間〜15分間)とすることで、該処理後の面積を10%以上(典型的には10%〜40%、好ましくは15%〜30%)低減することができ、所望の複合化粒子を好適に得ることができる。
そして、上記複合粒子を用いて、カソード形成用材料を調製する。該材料の形態は、上述したような粉末状、ペースト状、固体状等であり得、例えば該材料と上述した任意の添加成分(例えばバインダや分散剤)とを1種以上の溶媒(例えばターピネオール)中で混合したペースト状の組成物であることが好ましい。ペーストの調製には、ボールミル、ミキサー、ディスパー、ニーダ等の従来公知の種々の攪拌・混合装置を適宜用いることができる。また、使用し得る溶媒の種類や混合比等は既に上述したものと同一であり得る。例えば、上記粉末状の複合粒子とその他の添加剤とを50rpm〜300rpmの攪拌速度で、0.5時間〜1時間混練することによって、粉末状の複合粒子が好適に分散したペースト状のカソード形成用材料を得ることができる。
以下、SOFCの構成要素について順に説明する。
具体的な製造方法を、図2を用いて詳細に説明する。
ここで「アノード−固体電解質積層体」とは、アノードと固体電解質とが積層した状態を示すものであり、該アノード−固体電解質積層体を用意する方法について特に制限はない。したがって、SOFCの製造方法において従来公知のアノードおよび固体電解質の作製方法を用いることができる。
例えば、図2(a)に示すように、まず、支持基材(支持体)として多孔質構造のアノード10を形成する。ここでは、8族〜10族の金属元素の材料(例えばニッケル材料)と安定化ジルコニア(例えばYSZ)とを混合し、サーメット材料を調製する。次に、上記サーメット材料と、バインダ(例えばメタクリル酸エステル系ポリマー)と、分散剤(例えばソルビタントリオレエート)と、造孔材(例えばカーボン)とを、溶媒(例えばキシレン)に分散させて、ペースト状のアノード形成用材料を調製する。そして、調製したアノード形成用材料を適当な成形方法(例えばシート成形)で成形し、成形体を焼成することによってシート状のアノード10を形成することができる。上記成形体の焼成は、例えば1200℃〜1500℃の温度で1時間〜5時間加熱することにより行うことができる。なお、アノード形成用材料の焼成は、後述の固体電解質用材料の焼成と同時に行ってもよい。
次に、図2(c)に示すように、アノード−固体電解質積層体110の固体電解質20側の表面に上述のカソード形成用材料を付与する。この際、均質な電極を安定して作製するために、構成材料を1種以上の溶媒に分散(もしくは溶解)させ、調製したものを好ましく用いることができる。そして任意の手法(例えば塗布)を用いて、該ペースト状の複合粒子を固体電解質20上に付与する。塗布方法としては、ドクターブレード法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法等を用いることができる。そして、カソード形成用材料が付与された積層体を焼成する。焼成方法は特に限定されないが、例えば、700℃〜900℃(好ましくは750℃〜850℃)の温度で焼成することができる。これによりカソード30が形成され、アノード10と固体電解質20とカソード30とが積層されたSOFC50を得ることができる。
<比較例1>
平均粒径0.2μmのLSCF酸化物(ここでは、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3−δを用いた。)粒子と、平均粒径1.0μmのLSTF酸化物(ここでは、La0.6Sr0.4Ti0.3Fe0.7O3−δを用いた。)粒子とを、LSCF:LSTF=70:30の質量比率で秤量し乳鉢を用いて混合分散することで、カソード形成用材料(比較例1)を得た。
上記比較例1において、乳鉢混合に替えてホソカワミクロン株式会社製の「NOB−MINI」を用い0.5kWの条件で10分間メカノケミカル処理(乾式混合)を行うことで、カソード形成用材料(実施例1)を得た。
上記メカノケミカル処理を1.0kWの条件で10分間行ったこと以外は実施例1と同様に、カソード形成用材料(実施例2)を得た。
上記メカノケミカル処理を3.0kWの条件で10分間行ったこと以外は実施例1と同様に、カソード形成用材料(実施例3)を得た。
上記メカノケミカル処理を3.0kWの条件で20分間行ったこと以外は実施例1と同様に、カソード形成用材料(実施例4)を得た。
LSCF酸化物のみを用いた場合(すなわちLSTF酸化物を用いなかった場合)を、カソード形成用材料(比較例2)とした。
LSTF酸化物に換えてGDCを用い、且つLSCF酸化物とGDCとの質量比率がLSCF:GDC=50:50となるよう乾式混合したこと以外は比較例1と同様に、カソード形成用材料(比較例3)を得た。
上記LSCF酸化物とGDCとの質量比率がLSCF:GDC=40:60となるよう乾式混合したこと以外は比較例3と同様に、カソード形成用材料(比較例4)を得た。
上記粒子の条件を表1に纏める。
得られたカソード形成用材料の比表面積を下記条件で測定した。作製に用いた材料および乾式混合の条件と共に、結果を表1に示す。なお、表1においてメカノケミカル処理条件の欄の「−」は、メカノケミカル処理を行わなかったことを示している。
測定装置;日本ベル株式会社製、自動比表面積/細孔分布測定装置「BELSORP(商標)−18PLUS」
測定方法;定容量式吸着法
吸着ガス;窒素
解析方法;BET1点法
また、上記得られたカソード形成用材料の性状を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。代表的な結果として、比較例1および実施例2の観察結果をそれぞれ図3および図8に示す。図3は比較例1に係る粒子、すなわちメカノケミカル処理を施していない混合粒子のSEM観察写真である。図8は実施例2に係る粒子、すなわちメカノケミカル処理を施した複合粒子のSEM観察写真である。また、かかる制限視野内においてエネルギー分散型X線分光分析(EDX)を行い、コバルト(Co)とチタン(Ti)の分布状態をマッピングした。得られた結果を、図4(比較例1におけるCo(Kα)の分布)、図5(比較例1におけるTi(Kα)の分布)、図9(実施例2におけるCo(Kα)の分布)、図10(実施例2におけるTi(Kα)の分布)にそれぞれ示す。
そこで、上記観察された粒子の種類を明らかにすべく、図6(S1〜S6)および図11(S7〜S11)に示した地点において、EDXの手法を用いてそれぞれ定性分析を行った。結果を図7(比較例1)および図12(実施例2)のチャートに示す。また表2に各元素の定量分析結果を示す。
図7および表2の結果より、比較例1ではLSTFとLSCFとがそれぞれ独立した状態で混在していることが示された。一方、図11および表2の結果より、実施例2では0.5μm〜1μm程度のLSTF粒子をコアとし、該コア部の表面にサブミクロンオーダーのLSCFが多数付着(物理的に結合)した被覆部が形成された構造となっていることが示された。
さらに、上記得られた8種類のカソード形成用材料について、下記条件で熱機械分析(Thermo Mechanical Analysis:TMA)を行い、熱膨張係数および還元膨張率を測定した。表3の該当欄に、測定温度域における算術平均値を示す。
測定装置;株式会社リガク製、型式「CN8098F1」
測定方法;示差膨張方式
測定温度範囲;室温(25℃)〜1000℃、昇温速度;5℃/分
測定雰囲気;大気中(熱膨張係数測定時)、水素4%+窒素96%の雰囲気中(還元膨張率測定時)
上記8種類のカソード形成用の複合粒子を用いて、以下の手順でSOFCを構築した。
具体的には、先ず平均粒径1μmのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)粉末と、平均粒径3μmの酸化ニッケル(NiO)粉末とをYSZ:NiO=40:60の質量比率で混ぜ合わせ、さらに造孔材としてのカーボンを添加し混合粉末を得た。該混合粉末と、バインダ(メタクリル酸エステル系ポリマー)と、分散剤(ソルビタントリオレエート)とを、溶媒(キシレン)中で混練することにより、ペースト状のアノード形成用材料を調製した。該アノード形成用材料をドクターブレード法によってシート成形し、φ20mm、厚み1mm程度のアノード成形体を作製した。
次に、平均粒径1μmのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)粉末と、バインダ(メタクリル酸エステル系ポリマー)と、分散剤(ソルビタントリオレエート)とを、溶媒(キシレン)中で混練することにより、ペースト状の固体電解質用材料を調製した。上記アノード成形体上に該固体電解質用材料をスクリーン印刷し、φ20mm、厚み10μmの固体電解質を形成した。そして、上記積層した2層からなる成形体を乾燥させた後に、1400℃の温度で3時間焼成することにより、アノード−固体電解質積層体を得た。
上記作製したSOFCについて、温度500℃〜800℃で動作させ、発電特性評価を行った。「発電性能」の代表値として、温度700℃における最大電力密度(W/cm2)の値を表3の該当欄に示す。
また、上記発電試験後のSOFCを解体し、アノードの表面(成形体の表面)を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、電極表面の状態を確認した。すると、熱膨張係数が15×10−6/Kよりも高かった比較例2および3では、カソード電極表面にクラックの発生が認められた。したがって、本例においては、熱膨張係数を15×10−6/K以下とするのが好ましい。
20 固体電解質
30 カソード(空気極)
40 接合部材
50 SOFC
60 ガス管
110 アノード−固体電解質積層体
Claims (11)
- 固体酸化物形燃料電池のカソード形成用材料であって;
以下の一般式(1):
(La1−xSrx)(CoyFe1−y)O3−δ (1)
(ただし、xは0.1≦x≦0.5を満たす実数であり、yは0.1≦y≦0.5を満たす実数であり、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。)
で示されるペロブスカイト型の酸化物粒子と、
以下の一般式(2):
(La1−xSrx)(TiyFe1−y)O3−δ (2)
(ただし、xは0.1≦x≦0.5を満たす実数であり、yは0.1≦y≦0.5を満たす実数であり、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。)
で示されるペロブスカイト型の酸化物粒子と、
が、メカノケミカル処理により複合化された複合粒子を主体とする、固体酸化物形燃料電池のカソード形成用材料。 - 前記複合粒子は、前記一般式(2)で示される酸化物からなるコア部と、該コア部表面の少なくとも一部に形成されている前記一般式(1)で示される酸化物からなる被覆部と、から構成される、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池のカソード形成用材料。
- 前記複合粒子は、前記一般式(1)で示される酸化物と、前記一般式(2)で示される酸化物との質量比率が、(1):(2)=80:20〜30:70である、請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池のカソード形成用材料。
- 前記複合粒子は、熱機械分析により測定される熱膨張係数が13×10−6/K以上15×10−6/K以下であり、還元膨張率が1%以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池のカソード形成用材料。
- 前記複合粒子が少なくとも1種の溶媒に分散または溶解され、ペースト状に調製されてなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池のカソード形成用材料。
- アノードと固体電解質とカソードとを備えた固体酸化物形燃料電池であって、
前記カソードは、請求項1から5のいずれか一項に記載の複合粒子を主体として形成されている、固体酸化物形燃料電池。 - 前記カソードと前記固体電解質と前記アノードとが層状に積層され形成されており、
該積層構造における前記カソードの厚みが10μm以上100μm以下である、請求項6に記載の固体酸化物形燃料電池。 - 前記カソードは、前記固体電解質上に反応抑止層を設けることなく直接的に形成されている、請求項7に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 固体酸化物形燃料電池のカソード形成用材料の製造方法であって;
以下の一般式(1):
(La1−xSrx)(CoyFe1−y)O3−δ (1)
(ただし、xは0.1≦x≦0.5を満たす実数であり、yは0.1≦y≦0.5を満たす実数であり、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。)
で示されるペロブスカイト型の酸化物粒子と、
以下の一般式(2):
(La1−xSrx)(TiyFe1−y)O3−δ (2)
(ただし、xは0.1≦x≦0.5を満たす実数であり、yは0.1≦y≦0.5を満たす実数であり、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。)
で示されるペロブスカイト型の酸化物粒子と、
を用意すること、
前記一般式(1)で示される酸化物と前記一般式(2)で示される酸化物とをメカノケミカル処理によって複合化し、複合粒子を得ること、
前記複合粒子を用いて、カソード形成用材料を調製すること、
を包含する、固体酸化物形燃料電池のカソード形成用材料の製造方法。 - 前記メカノケミカル処理は、窒素吸着法により測定される該処理の後の比表面積B(m2/g)と該処理前の比表面積A(m2/g)との関係が、10≦(A−B)/A≦40となるように行う、請求項9に記載の製造方法。
- 前記酸化物粒子の用意は、前記一般式(1)で示される酸化物と、前記一般式(2)で示される酸化物との質量比率が、(1):(2)=80:20〜30:70となるよう用意する、請求項9または10に記載の製造方法。
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