JP2013246314A - 屋外ディスプレイ用フィルム、フィルム付き前面板、および屋外用ディスプレイ - Google Patents

屋外ディスプレイ用フィルム、フィルム付き前面板、および屋外用ディスプレイ Download PDF

Info

Publication number
JP2013246314A
JP2013246314A JP2012119935A JP2012119935A JP2013246314A JP 2013246314 A JP2013246314 A JP 2013246314A JP 2012119935 A JP2012119935 A JP 2012119935A JP 2012119935 A JP2012119935 A JP 2012119935A JP 2013246314 A JP2013246314 A JP 2013246314A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
layer
outdoor display
outdoor
display
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2012119935A
Other languages
English (en)
Inventor
Michihisa Tomita
倫央 富田
Katsumi Suzuki
克巳 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2012119935A priority Critical patent/JP2013246314A/ja
Publication of JP2013246314A publication Critical patent/JP2013246314A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】屋外で使用されるディスプレイを長寿命化できるとともに、自身の生産性、安定性、耐久性、光学特性等も良好な屋外ディスプレイ用フィルムを提供する。
【解決手段】屋外ディスプレイ用フィルム1は、ポリエステルフィルム2と、ポリエステルフィルム2上に形成された日射反射積層膜4を有し、日射反射積層膜4が、酸化物層と金属層とが交互に計(2n+1)層[nは2以上の整数]積層された多層構造体であり、金属層が、銀または銀合金を主成分として含有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、屋外で使用されるディスプレイに貼り合わされて使用される屋外ディスプレイ用フィルム、ならびにこれを用いたフィルム付き前面板および屋外用ディスプレイに関する。
近年、フラットパネルディスプレイ等のディスプレイの薄型化および大型化に伴って、屋外でのディスプレイの使用が検討されている。このような屋外で使用されるディスプレイとしては、例えば、交通機関における行先表示、店舗の店頭における広告、その他の情報表示を行うものが挙げられる。しかしながら、屋外でディスプレイを使用した場合、ディスプレイに近赤外部から赤外部にかけての光線(熱線)が入射して、ディスプレイの温度が上昇し、該ディスプレイの寿命が短くなるおそれがある。また、ディスプレイは衝撃により破損しやすく、特に屋外で使用した場合に破損するおそれが高く、破損した場合には周囲に破片が飛散しやすい。
ここで、建物の窓、あるいは乗物の窓の屋外から屋内への熱線の侵入を抑え、またガラスの破損防止として熱線遮蔽機能が付与された飛散防止フィルムが知られる。このような熱線遮蔽機能が付与された飛散防止フィルムは、ガラスが破損した場合に破片が飛散するのを防ぐと同時に、可視光線を透過させ、また熱線を遮蔽させることから、建物や車両等の窓ガラスに貼着し、入射する太陽エネルギーを遮断して冷房効果を向上させるために用いられる。
熱線遮蔽フィルムとしては、例えば、透明フィルムの表面に、Al、Ag、Au等の金属薄膜をスパッタリングや蒸着により形成してなるもの、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、インジウム含有酸化スズ(ITO)などの金属酸化物を含有してなるもの(例えば、特許文献1参照)、薄膜を多層積層したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平8−281860号公報 特開2001−310407号公報
しかしながら、上述した熱線遮蔽フィルムによっては、熱線遮蔽フィルムが太陽光を吸収しディスプレイの温度が上昇し、ディスプレイとしての視認性に問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、視認性に優れ熱線遮蔽効果を長時間維持することができる熱線遮蔽フィルムを提供することを目的とする。
本発明の屋外ディスプレイ用フィルムは、ポリエステルフィルムの一方の主面に日射反射積層膜を有するものであって、この日射反射積層膜が、酸化物層と金属層とが交互に計(2n+1)層[nは2以上の整数]積層された多層構造体であり、金属層が、銀または銀合金を主成分として含有することを特徴としている。
本発明のフィルム付き前面板は、屋外用ディスプレイにおけるディスプレイ本体の前面に配置される前面板にフィルムが貼着されてなるフィルム付き前面板であって、前記フィルムが上記した本発明の屋外ディスプレイ用フィルムであることを特徴とする。
本発明の屋外用ディスプレイは、上記した本発明のフィルム付き前面板を有することを特徴とする。
本発明の屋外ディスプレイ用フィルムによれば、特定の日射反射積層膜を有することで、屋外用ディスプレイを長寿命化できる。また、本発明のフィルム付き前面板および屋外用ディスプレイによれば、本発明の屋外ディスプレイ用フィルムを有することで、屋外用ディスプレイを長寿命化できる。
屋外ディスプレイ用フィルムの一実施形態を示す断面図。 屋外用ディスプレイの一実施形態を模式的に示す断面図。 屋外用ディスプレイの第1の変形例を模式的に示す断面図。 屋外用ディスプレイの第2の変形例を模式的に示す断面図。 屋外用ディスプレイの第3の変形例を模式的に示す断面図。 屋外用ディスプレイの第4の変形例を模式的に示す断面図。 屋外用ディスプレイの第5の変形例を模式的に示す断面図。
以下、屋外ディスプレイ用フィルムの実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、屋外ディスプレイ用フィルムの一実施形態を示す断面図である。
屋外ディスプレイ用フィルム1は、例えば、ポリエステルフィルム2の一方の主面にハードコート層3を有し、他方の主面に日射反射積層膜4を有する。なお、屋外ディスプレイ用フィルム1には、図示するように、日射反射積層膜4上にさらに保護層5や粘着層6が設けられていてもよい。
ポリエステルフィルム2は、屋外ディスプレイ用フィルム1における基材となるものである。ポリエステルフィルム2は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメタクリレート等からなるものである。
これらのなかでもポリエチレンテレフタレートフィルムのように延伸法で作製されるものは比較的に高強度であり、製造時や加工時における折れなどの欠陥の発生を抑制できることから好ましい。ポリエステルフィルム2の厚さは必ずしも限定されないが、5〜200μmが好ましい。厚さを5μm以上とすることで、ポリエステルフィルム2の製造時や加工時における折れなどの欠陥の発生を抑制することができるために好ましい。また、200μm以下とすることで、屋外ディスプレイ用フィルム1の全体の厚さを抑制することができるために好ましい。ポリエステルフィルム2の厚さは、30〜150μmが好ましく、40〜110μmがより好ましい。
ハードコート層3は、ポリエステルフィルム2に比べて高い硬度を有するものであり、屋外ディスプレイ用フィルム1のガラス貼付時にポリエステルフィルム2の表面に細かな擦り傷が発生することを抑制し、またポリエステルフィルム2の収縮を抑制するために設けられる。
ハードコート層3の硬度は、鉛筆硬度でH以上が好ましく、H〜3Hがより好ましい。鉛筆硬度をH以上とすることで、ポリエステルフィルム2における擦り傷等を効果的に抑制できる。一方、鉛筆硬度は2H程度もあれば擦り傷等を十分に抑制でき、またハードコート層3が硬くなりすぎるためにクラック等が発生することも抑制できる。なお、本発明におけるハードコート層3の鉛筆硬度は、ポリエステルフィルム2上に形成したハードコート層3について、JISK5400(1990)に準じて荷重100gで測定されるものである。
ハードコート層3の厚さは、0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。ハードコート層3の厚さを0.5μm以上とすることで、ポリエステルフィルム2における擦り傷、収縮等を効果的に抑制できる。一方、ハードコート層3の厚さは20μm程度もあればポリエステルフィルム2における擦り傷、収縮等を十分に抑制でき、またハードコート層3が硬くなりすぎるためにクラック等が発生することも抑制できる。
このようなハードコート層3は、例えば樹脂自身の作用あるいは硬化剤等によって架橋硬化する硬化性樹脂からなるものである。具体的には、ウレタン系樹脂、アミノプラスト系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等の単独硬化型の熱・紫外線・電子線硬化性樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の硬化剤によって硬化する熱硬化性樹脂等が挙げられる。これらの中でも、良好なハードコート層3を簡便に形成できることから、アクリル系樹脂が好適なものとして挙げられる。
日射反射積層膜4は、近赤外部から赤外部にかけての光線(熱線)を反射させるために設けられており、例えばn=2の場合はポリエステルフィルム2側から順に、第1の亜鉛酸化物層41、第1の銀合金層42、第2の亜鉛酸化物層43、第2の銀合金層44、第3の亜鉛酸化物層45が積層されてなる。日射反射積層膜における「日射反射」とは、JIS A5759に準じて測定される日射反射率が20%以上であり、日射吸収率が日射反射率よりも低いことを意味する。
第1、第2、第3の亜鉛酸化物層41、43、45(以下、これらをまとめて単に亜鉛酸化物層という場合がある)は、いずれも亜鉛および亜鉛以外の金属元素の酸化物からなる。このような酸化物としては、亜鉛単独の酸化物(酸化亜鉛)と、亜鉛および亜鉛以外の金属元素の複合酸化物とを含むものが挙げられる。このような酸化物は、さらに亜鉛以外の金属元素単独の酸化物を含んでいてもよい。
また、この酸化物は、酸化物を構成する亜鉛と亜鉛以外の金属元素とにおいて亜鉛が主たる酸化物構成元素となる。具体的には、亜鉛と亜鉛以外の金属元素との合計量において好ましくは亜鉛が50原子%以上、より好ましくは75原子%以上、さらに好ましくは85%以上である。そして、亜鉛以外の金属元素の含有量は、亜鉛と亜鉛以外の金属元素との合計量において好ましくは、50原子%以下、より好ましくは25原子%以下、さらに好ましくは15原子%以下である。
このような亜鉛酸化物層によれば、例えば、その結晶性等により銀合金層との相性が良好となるために、銀合金層の安定性、耐久性を良好とすることができる。なお、第1、第2、第3の亜鉛酸化物層41、43、45は、互いに異なる組成を有することができるが、通常は同一の組成を有することが好ましい。
一方、第1、第2の銀合金層42、44(以下、これらをまとめて単に銀合金層という場合がある)は、いずれもパラジウムおよび金から選ばれる少なくとも1種の金属を含有する銀合金からなるものである。このような銀合金層によれば、パラジウムおよび金から選ばれる少なくとも1種の金属を含有することで、良好な安定性、耐久性を得ることができる。なお、第1、第2の銀合金層42、44についても、互いに異なる組成を有することができるが、通常は同一の組成を有するものとされる。
このような亜鉛酸化物層と銀合金層とからなる日射反射積層膜4によれば、銀合金層自体の安定性、耐久性が良好であることに加えて、亜鉛酸化物層と銀合金層との相性が良好であるために、銀合金層の安定性、耐久性をさらに良好とすることができる。このため、従来の日射反射積層膜のように安定性、耐久性を良好とするために一対のポリエステルフィルムで挟持する必要がなく、生産性を良好としつつ、安定性、耐久性の良好なものとすることができる。
また、日射反射積層膜4を銀合金層を2〜4層有するものとすることで、良好な光学特性、例えば可視光線透過率と日射反射率とのバランスのとれたものとできる。すなわち、亜鉛酸化物層と銀合金層との3層構造、すなわち銀合金層を1層有するものの場合、必ずしも可視光線透過率と日射反射率とのバランスのとれたものを得ることができない。また、銀合金層を5層以上有するものについても、必ずしも可視光線透過率と日射反射率とのバランスのとれたものを得ることができず、また生産性にも優れない。
亜鉛酸化物層と銀合金層との5,7,9層構造の日射反射積層膜4を有するものによれば、例えばガラス板に貼着した場合、JIS A5759に準じて測定される可視光線透過率を65%以上、可視光線反射率を10%以下、日射反射率を25%以上、遮蔽係数を0.7未満とすることができ、バランスのとれた光学特性とすることができる。
亜鉛酸化物層は、屈折率が1.7〜2.3であることが好ましく、1.8〜2.2であることがより好ましく、1.9〜2.1であることがさらに好ましい。このような屈折率とすることにより、銀合金層との干渉効果で可視光線透過率、日射反射率共に高くすることができる。なお、屈折率は、波長555nmにおける屈折率を意味する。
亜鉛酸化物層における亜鉛以外の金属元素としては、例えば、スズ、アルミニウム、クロム、チタン、マグネシウム、ガリウムが好適なものとして挙げられ、これらは1種のみまたは2種以上を用いることができる。これらの中でも、特にアルミニウム、チタン、またはガリウムを用いることで、例えば銀合金層との相性を良好とすることができ、また内部応力を効果的に低減して銀合金層との密着性を高めることができ、結果として安定性、耐久性を良好とすることができる。
亜鉛以外の金属元素がアルミニウムまたはガリウムの場合、酸化物中におけるアルミニウム元素またはガリウム元素の含有量は、亜鉛元素とアルミニウム元素またはガリウム元素との合計量中、1〜15原子%が好ましい。アルミニウム元素またはガリウム元素の含有量を1原子%以上とすることで、例えば亜鉛酸化物層の内部応力を効果的に低減し、銀合金層との密着性を高めて安定性、耐久性を良好とすることができる。一方、10原子%以下とすることで、例えばその結晶性を保って銀合金層との相性を維持し、結果として耐湿性等を良好とすることができる。アルミニウム元素またはガリウム元素の含有量は、亜鉛元素とアルミニウム元素またはガリウム元素との合計量中、1.5〜10原子%が好ましく、1.5〜8.0原子%がより好ましい。
一方、亜鉛以外の元素がチタンの場合、チタン元素の含有量は、亜鉛元素とチタン元素との合計量中、2〜20原子%が好ましい。チタン元素の含有量を2原子%以上とすることで、例えば亜鉛酸化物層の内部応力を効果的に低減し、銀合金層との密着性を高めて安定性、耐久性を良好とすることができる。一方、20原子%以下とすることで、例えばその結晶性を保って銀合金層との相性を維持し、結果として耐湿性等を良好とすることができる。チタン元素の含有量は、亜鉛元素とチタン元素との合計量中、3〜15原子%が好ましい。
なお、本発明の屋外ディスプレイ用フィルムの亜鉛酸化物層をチタン酸化物層やインジウム酸化物層等としたものについても、屋外で使用されるディスプレイを長寿命化する効果が認められる。しかし、屋外ディスプレイ用フィルムの生産性、安定性、耐久性、光学特性等を良好にする観点からは、本発明の屋外ディスプレイ用フィルムのような特定の亜鉛酸化物層とすることが好ましい。
例えばn=2の場合は第1、第3の亜鉛酸化物層41、45の膜厚(幾何学的膜厚、以下同様)はそれぞれ25〜45nmが好ましく、第2の亜鉛酸化物層43の膜厚は40〜90nmが好ましい。第1、第3の亜鉛酸化物層41は30〜45nmがより好ましく、第2の亜鉛酸化物層43の膜厚は50〜90nmがより好ましい。
第1、第2の銀合金層42、44は、いずれもパラジウムおよび金から選ばれる少なくとも1種の金属を含有する銀合金からなるものである。パラジウムおよび金の合計した含有量は、銀、パラジウム、および金の合計量中、0.2〜3質量%が好ましく、0.2〜1.5質量%がより好ましい。パラジウム、金の含有量をこのような範囲内とすることで、例えば銀の拡散を抑制し、これにより耐湿性を高くすることができ、また銀合金層の比抵抗を10μΩcm以下にすることができる。
銀合金層の厚みは、いずれも5〜25nmが好ましく、5〜20nmがより好ましく、5〜15nmがさらに好ましい。
このような日射反射積層膜4は表面抵抗値が4Ω/sq以下であることが好ましい。このような表面抵抗値を有するものによれば、電磁波遮蔽効果が良好となり、電磁波シールドフィルムとして電子機器の誤動作を効果的に抑制することができる。
保護層5は、粘着層6との密着性を向上させるために設けられるものであり、日射反射積層膜4を水分等から保護する役割も果たしている。保護層5は必要に応じて日射反射積層膜4上に設けられるものであり、スズ、インジウム、チタン、ケイ素、ガリウム等の金属の酸化物もしくは窒化物の層、または水素化炭素を主成分として含む層等が挙げられる。保護層5としては、特に、インジウム、スズ、およびガリウムの酸化物層、または水素化炭素を主成分として含む層が好ましい。
保護層5の膜厚は、2〜30nmが好ましく、3〜20nmがより好ましく、3〜10nmがさらに好ましい。保護層5の膜厚を2nm以上とすることで、粘着層6との密着性を向上させ、日射反射積層膜4を水分等から効果的に保護することができる。また、保護層5の膜厚を30nm以下とすることで、日射反射積層膜4を水分等から効果的に保護しつつ、屋外ディスプレイ用フィルム1の全体の厚みも抑制することができる。
粘着層6は、屋外ディスプレイ用フィルム1を屋外用ディスプレイに貼着するために利用されるものであり、必要に応じて設けられるものである。粘着層6としては、粘着剤のみからなるもの、または粘着剤中に紫外線吸収剤が含有されたものが挙げられる。これらの中でも紫外線吸収剤を含有するものは、屋外ディスプレイ用フィルム1を屋外用ディスプレイに貼着したときに、屋外用ディスプレイへの紫外線の影響を低減できるために好ましい。例えば、屋外用ディスプレイの前面部分には紫外線によって劣化しやすい色素を含有する光学層が配置される場合があるが、紫外線吸収剤を含有する粘着層6によれば、その位置関係によっても異なるが色素を含有する光学層の紫外線による劣化を抑制できる。
紫外線吸収剤としては、例えばトリアジン系紫外線吸収剤が好適に用いられる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤も知られているが、これらの紫外線吸収剤は、粘着剤の架橋を不足させ、保持力を低下させたり、黄変させたりするおそれがある。このため、紫外線吸収剤としては、トリアジン系紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ブタジエン系粘着剤が挙げられ、これらの中でもアクリル系粘着剤が好適に用いられる。アクリル系粘着剤は、アクリル系単量体単位を主成分として含む重合体であって、アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、(無水)フマル酸、クロトン酸、これらのアルキルエステルが挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の総称として使用している。
このような粘着層6、特に紫外線吸収剤を含有する粘着層6を有するものによれば、例えば屋外用ディスプレイにおける前面板等のガラス板に貼着した場合、JIS A5759に準じて測定される紫外線透過率を1%以下とすることができ、屋外用ディスプレイへの紫外線の影響を低減できるために好ましい。
図2は、フィルム付き前面板、およびこれを用いた屋外用ディスプレイの一実施形態を模式的に示す断面図である。フィルム付き前面板10は、例えば、主として表示を行うディスプレイ本体20の前面に配置される前面板11のディスプレイ本体20側の主面に、屋外ディスプレイ用フィルム1が自身の粘着層6によって貼着されて構成されている。屋外ディスプレイ用フィルム1は、例えば、ポリエステルフィルム2におけるディスプレイ本体20側の主面にハードコート層3が設けられ、前面板11側の主面に順に、日射反射積層膜4、保護層5、および粘着層6が設けられている。
図示しないが、フィルム付き前面板10の少なくとも一方の主面、例えば、前面板10におけるディスプレイ本体20側とは反対側の主面、フィルム付き前面板10におけるディスプレイ本体20側の最表面に配置されるハードコート層3等のディスプレイ本体20側の表面には、反射防止のために反射防止フィルムを設けてもよい。反射防止フィルムとしては、低屈折率の樹脂フィルムが挙げられ、良好な反射防止機能が得られることからフッ素樹脂系のフィルムが好ましい。このようなフィルムとしては、例えば、旭硝子社製のARCTOP(商品名)、日油社製のリアルック(商品名)が挙げられる。
ARCTOP(商品名)は、自己修復性と飛散防止特性とを有するポリウレタン系軟質樹脂フィルムの片面に、非結晶性の含フッ素重合体からなる低屈折率の反射防上層を形成して反射防止処理を施したものである。ポリウレタン系軟質樹脂フィルム中には近赤外線吸収剤を混入しておき、近赤外線遮蔽効果を持たせてもよい。反射防止層は、その反射防止層自身について、可視域での反射率が最低となる波長が500〜600nm、特に530〜590nmであることが好ましい。
図示しないが、前面板10におけるディスプレイ本体20側とは反対側の主面には、反射防止フィルムを設ける代わりに、該主面に直接に反射防止処理を施してもよい。反射防止処理としては、例えば、シリカ膜中にポーラスな構造を持たせて屈折率を低下させたポーラスシリカ膜等の低屈折率膜を形成する方法や該主面に酸化チタン/酸化ケイ素膜を真空成膜で形成する方法が挙げられる。
屋外用ディスプレイ30は、例えば、ディスプレイ本体20の前面にこのようなフィルム付き前面板10が配置されて構成されている。このような屋外用ディスプレイ30によれば、ディスプレイ本体20の前面に日射反射積層膜4を有することから、入射する太陽エネルギーを遮断してディスプレイ本体20の温度上昇を抑制でき、長寿命化を図ることできる。また、屋外ディスプレイ用フィルム1は、電磁波遮蔽効果を有することから、電磁波シールドフィルムとして電子機器の誤動作を抑制し、電波の漏洩も防止することができる。さらに、前面板が破損したときの飛散を抑制して、安全性を向上できる。
また、このような屋外用ディスプレイ30によれば、屋外ディスプレイ用フィルム1の生産性、安定性、耐久性、光学特性等が良好なことから、生産性、安定性、耐久性、光学特性等も良好となる。なお、屋外用ディスプレイ30は、必ずしもディスプレイ本体20の前面にフィルム付き前面板10が設けられたものである必要はなく、例えばディスプレイ本体20に屋外ディスプレイ用フィルム1が直接貼着されたものであってもよい。
以上、本発明の屋外ディスプレイ用フィルム1の一実施形態について説明したが、本発明の屋外ディスプレイ用フィルム1、特に日射反射積層膜4は、必ずしも上記したものに限られない。日射反射積層膜4としては、少なくとも、酸化物層と金属層とが交互に計(2n+1)層[nは2以上の整数]積層された多層構造体であって、該金属層が銀または銀合金を主成分として含有するものであればよい。
このような日射反射積層膜4としては、酸化物層と金属層とを合計した層数が、3層、5層、7層、9層、11層、13層等の多層構造体が挙げられる。これらの中でも、高い近赤外線遮蔽能が得られる観点からは、5層以上、すなわち、5層、7層、9層、11層、13層等とすることが好ましい。
酸化物層としては、例えば、ビスマス、ジルコニウム、アルミニウム、チタン、スズ、インジウム、および亜鉛から選ばれる1種以上の金属の酸化物を主成分とするものが挙げられる。好ましくは、チタン、スズ、インジウム、および亜鉛からなる選ばれる1種以上の金属の酸化物を主成分とするものである。
特に、吸収が小さく、屈折率が2前後であることから、亜鉛の酸化物を主成分とするものが好ましい。また、屈折率か大きく、好ましい色調を少ない層数で得られることから、チタンの酸化物を主成分とするものも好ましい。なお、各酸化物層は、複数の酸化物層から構成されていてもよい。例えば、亜鉛の酸化物を主成分とする酸化物層と、スズの酸化物を主成分とする酸化物層とから構成されていてもよい。
亜鉛の酸化物を主成分とする酸化物層は、亜鉛以外の金属元素を含有する酸化物層が好ましい。亜鉛以外の金属元素としては、例えば、スズ、アルミニウム、クロム、チタン、マグネシウム、ガリウムが挙げられ、これらの中でも、アルミニウム、チタン、またはガリウムが好ましい。亜鉛以外の金属元素の含有割合は、亜鉛以外の金属元素の合量と亜鉛との総量に対して1〜15原子%が好ましい。
金属層は2〜6層設けられていることが好ましく、パラジウムまたは金を含有する銀合金からなるものが好ましい。金属層の合計膜厚は、例えば、得られる屋外ディスプレイ用フィルム1の抵抗値の目標を2.5Ω/□とした場合、25〜40nmが好ましく、25〜35nmがより好ましく、抵抗値の目標を1.5Ω/□とした場合、35〜50nmが好ましく、35〜45nmがより好ましい。このような合計膜厚を金属層数で適宜配分する。なお、金属層の数が多くなると各金属層の比抵抗が上がるので、抵抗を下げるため結果として合計膜厚は大きくなる傾向にある。
例えば、酸化物層と金属層とが交互に7層積層される場合、ポリエステルフィルム2側からの酸化物層と金属層とを含めた順序で、2層目の金属層、4層目の金属層、6層目の金属層における4層目の金属層の膜厚が、2層目の金属層の膜厚よりも大きくかつ6層目の金属層の膜厚よりも大きいことが好ましい。このような構成とすることで、表面の色調を赤みが抑制された好ましい色調にできる。
酸化物層の膜厚は、ポリエステルフィルム2に最も近い酸化物層および最も基体から遠い酸化物層が20〜60nmであることが好ましく、25〜50nmがより好ましく、25〜45nmが特に好ましく、30〜45nmがとりわけ好ましい。それ以外の酸化物層が25〜120nmであることが好ましく、30〜100nmがより好ましく、40〜90nmが特に好ましく、50〜90nmがとりわけ好ましい。
酸化物層と金属層との全合計膜厚は、例えば、金属層数が2の場合は、140〜200nmが好ましく、150〜190nmがより好ましく、金属層数が3の場合は、180〜330nmが好ましく、190〜300nmがより好ましく、金属層数が4の場合は、220〜420nmが好ましく、230〜370nmがより好ましい。
図3〜7は、屋外用ディスプレイ30の変形例を模式的に示す断面図であり、特に屋外ディスプレイ用フィルム1の変形例を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、屋外ディスプレイ用フィルム1は、例えば、ポリエステルフィルム2の前面板11側の主面に順に、ハードコート層3、日射反射積層膜4、保護層5、および粘着層6が設けられたものでもよい。
また、図4、5に示すように、屋外ディスプレイ用フィルム1は、必ずしもハードコート層3を有しなくてもよい。すなわち、図4に示すように、ポリエステルフィルム2の前面板11側の主面に順に、日射反射積層膜4、保護層5、および粘着層6が設けられたものでもよい。また、図5に示すように、ポリエステルフィルム2のディスプレイ本体20側の主面に順に日射反射積層膜4および保護層5が設けられ、前面板11側の主面に粘着層6が設けられたものでもよい。
さらに、図6、7に示すように、屋外ディスプレイ用フィルム1は、ポリエステルフィルム2に対する各層の位置関係が反対となるように配置されていてもよい。すなわち、図6に示すように、ポリエステルフィルム2のディスプレイ本体20側の主面に順に、ハードコート層3、日射反射積層膜4、および保護層5が設けられ、前面板11側の主面に粘着層6が設けられたものでもよい。また、図7に示すように、ポリエステルフィルム2のディスプレイ本体20側の主面に順に日射反射積層膜4および保護層5が設けられ、前面板11側の主面に順にハードコート層3および粘着層6が設けられたものでもよい。
なお、上記した屋外ディスプレイ用フィルム1は、いずれも保護層5を有するものとしたが、保護層5は必ずしも必須構成ではなく、必要に応じて省略できる。また、フィルム付き前面板11には、必要に応じて、反射防止フィルムを設けてもよいし、反射防止処理を施してもよい。さらに、フィルム付き前面板11は、いずれも前面板11に屋外ディスプレイ用フィルム1のみが設けられたものを示したが、必要に応じて、かつ本発明の趣旨に反しない限度において、他の光学フィルタ等を設けることもできる。
屋外用ディスプレイ30は、画像の表示が可能なものであれば特に制限されず、例えば、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ等が好適なものとして挙げられる。
前面板11は、可視光を透過できる材料からなるものであればよく、例えば、ガラス板(風冷強化ガラス板、化学強化ガラス板等の強化ガラス板を含む。)、ポリエチレンテレフタレート板、ポリブチレンテレフタレート板等のポリエステル系樹脂板、トリアセチルセルロース板等のセルロース系樹脂板、アクリル系樹脂板、またはポリカーボネート系樹脂板が挙げられる。前面板11としては、十分な剛性を有すること、熱に対して変形がほとんどないこと、質感等の外観に優れること等の理由から、ガラス板が好適に用いられる。
前面板11の厚さは、0.1〜20mmが好ましく、0.7〜5.0mmがより好ましい。前面板11の厚さを上記範囲とすることで、強度を確保し、製造工程における損傷等を抑制でき、重量の増加も抑制できる。
フィルム付き前面板10は、例えばJIS A5759に準じて測定される可視光線透過率が65%以上、可視光線反射率が10%以下、日射反射率が25%以上、遮蔽係数が0.7未満であることが好ましい。可視光線透過率は、70%以上がより好ましく、72%以上が特に好ましい。日射反射率は30%以上が好ましく、32%以上が特に好ましい。このような可視光線透過率、日射反射率等を有するものとすることで、例えば、画像の視認性と、太陽エネルギーの遮断による温度上昇の抑制とを両立できる。このような可視光線透過率、日射反射率は、主として、屋外ディスプレイ用フィルム1における日射反射積層膜4を亜鉛酸化物層と銀合金層とからなるものとし、かつその積層数を5層、すなわち銀合金層を2層とすることで達成できる。
また、フィルム付き前面板10は、例えばJIS A5759に準じて測定される紫外線透過率が1%以下であることが好ましい。このような紫外線透過率とすることで、屋外用ディスプレイ30への紫外線の影響を効果的に低減できる。なお、このような紫外線透過率についても、上記したように屋外ディスプレイ用フィルム1に紫外線吸収剤を含有する粘着層6を設けることにより達成することができる。
次に、屋外ディスプレイ用フィルム1の製造方法について説明する。
屋外ディスプレイ用フィルム1は、例えば、ポリエステルフィルム2の一方の主面に熱硬化性樹脂等を塗布および硬化させてハードコート層3を形成するとともに、他方の主面にスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学的気相成長法等により日射反射積層膜4を形成し、必要に応じて日射反射積層膜4上に保護層5、粘着層6を形成することにより製造できる。
日射反射積層膜4の形成は、品質、特性の安定性が良好であることから、特にスパッタ法により行うことが好ましい。スパッタ法としては、DCスパッタ法、ACスパッタ法、高周波スパッタ法等が挙げられる。スパッタ法による日射反射積層膜4の形成は、例えば以下のようにして行うことができる。
まず、酸素ガスを混合したアルゴンガスを導入しながら、ポリエステルフィルム2の表面に亜鉛およびチタンの酸化物からなる混合ターゲットを用いてDCスパッタを行い、第1の亜鉛酸化物層41を形成する。また、アルゴンガスを導入しながら、銀合金ターゲットを用いてDCスパッタを行い、第1の銀合金層42を形成する。このような操作を繰り返して行い、第1の銀合金層42上に、第2の亜鉛酸化物層43、第2の銀合金層44、第3の亜鉛酸化物層45を順に形成することで日射反射積層膜4を形成することができる。
亜鉛酸化物層、銀合金層の各層の厚みは、DCスパッタを行う際の電力密度とスパッタ時間とにより調整することができる。また、上記した混合ターゲットは、各金属単独の酸化物の高純度(通常99.9%)粉末を混合し、冷間静水圧プレス等を用いて成形し焼結することにより製造できる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。なお、実施例における膜厚は光学特性あるいはスパッタ成膜レートとスパッタ時間とから求めた値であり、実際に測定した膜厚ではない。実施例における各特性は、以下のよう測定した。例1〜3、5〜9が実施例、例4、10〜13が比較例である。
(可視光線透過率(Tv)、可視光線反射率(Rv)、日射透過率(Te)、日射反射率(Re)の測定)
屋外ディスプレイ用フィルムを50mm×50mmのサイズに切断し、その粘着層を介して50mm×50mm、厚さ3mmのソーダライムガラス板に気泡の入らないように均一に貼り付けてフィルム付きガラスを作製した。このフィルム付きガラスについて、JIS A5759に準拠して島津製作所社製のUV−3150分光光度計により測定した。光源はガラス側より入射させた。
(遮蔽係数の測定)
屋外ディスプレイ用フィルムを50mm×50mmのサイズに切断し、その粘着層を介して50mm×50mm、厚さ3mmのソーダライムガラス板に気泡の入らないように均一に貼り付けてフィルム付きガラスを作製した。このフィルム付きガラスについて、JIS R3106に準拠して日本分光株式会社製のFT/IR−420フーリエ変換赤外分光光度計により垂直放射率を測定し、JIS A5759に準拠して計算により求めた。
[例1]
ロールコータを用いて以下のようにして日射反射積層膜が(2n+1)層[n=2]の屋外ディスプレイ用フィルムを作製した。
まず、ハードコート層が形成されたPETフィルム(PETフィルムの厚さ:100μm)のハードコート層が形成されていない表面(日射反射積層膜の形成面)の洗浄を目的としてイオンビームによる乾式洗浄を行った。この乾式洗浄は、アルゴンガスに約30%の酸素を混合した混合ガスを導入しながら100Wの電力を投入し、イオンビームソースによりイオン化されたアルゴンイオンおよび酸素イオンを照射して行った。
次いで、上記形成面に、酸化亜鉛および酸化チタンを混合し焼成して得たターゲット(酸化亜鉛:酸化チタン=90:10(質量比))を用いてアルゴンガスに10体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.1Paの圧力で、ACマグネトロンスパッタを行い、電力密度とスパッタ時間を調整して厚さ40nmの亜鉛およびチタンの酸化物層(第1の亜鉛酸化物層、組成略称:TZO)を形成した。
第1の亜鉛酸化物層上に、パラジウムを1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いてアルゴンガスを導入しながら、0.3Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅5μsecのDCマグネトロンスパッタを行い、電力密度とスパッタ時間とを調整して厚さ10nmの金属層(第1の銀合金層)を形成した。
第1の銀合金層上に、酸化亜鉛および酸化チタンを混合し焼成して得たターゲット(酸化亜鉛:酸化チタン=90:10(質量比))を用いてアルゴンガスに10体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.1Paの圧力で、ACマグネトロンスパッタを行い、電力密度とスパッタ時間を調整して厚さ40nmの亜鉛およびチタンの酸化物層(第2の亜鉛酸化物層、組成略称:TZO)を形成した。
第2の亜鉛酸化物層上に、パラジウムを1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いてアルゴンガスを導入しながら、0.3Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅5μsecのDCマグネトロンスパッタを行い、電力密度とスパッタ時間とを調整して厚さ10nmの金属層(第2の銀合金層)を形成した。
第2の銀合金層上に、酸化亜鉛および酸化チタンを混合し焼成して得たターゲット(酸化亜鉛:酸化チタン=90:10(質量比))を用いてアルゴンガスに10体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.1Paの圧力で、ACマグネトロンスパッタを行い、電力密度とスパッタ時間を調整して厚さ40nmの亜鉛およびチタンの酸化物層(第3の亜鉛酸化物層、組成略称:TZO)を形成した。
さらに、この日射反射積層膜(第3の亜鉛酸化物層)上に、ガリウム、インジウム、およびスズの酸化物ターゲット(AGCセラミックス社製、商品名:GITターゲット)を用いてアルゴンガスに7体積%の酸素ガスを混合した混合ガスを導入しながら、0.1Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅1μsecのDCマグネトロンスパッタを行い、電力密度とスパッタ時間を調整して厚さ5nmの保護層(屈折率2.08)を形成した。さらに、保護層上に紫外線吸収剤を含む粘着フィルム(リンテック社製、商品名:PU−V)を貼り合わせて粘着層とし、屋外ディスプレイ用フィルムとした。
[例2]
金属層を形成する際に、パラジウムを1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いる代わりに、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いた以外は例1と同様に屋外ディスプレイ用フィルムを作製した。
[例3]
酸化物層を形成する際に、亜鉛および酸化チタンを混合し焼成して得たターゲットの代わりに、酸化亜鉛および酸化アルミニウムを混合し焼成して得たターゲット(酸化亜鉛:酸化アルミニウム=97:3(質量比))を用いて亜鉛およびアルミニウムの酸化物層(亜鉛酸化物層、組成略称:AZO)を形成した以外は例1と同様に屋外ディスプレイ用フィルムを作製した。
[例4]
日射反射積層膜を(2n+1)層[n=1]とし、酸化物層の厚さを45nm、金属層の厚さを9nmとした以外は例2と同様に屋外ディスプレイ用フィルムを作製した。
[例5]
日射反射積層膜を(2n+1)層[n=3]とし、第1と第3の金属層の厚さを10nm、第2の金属層の厚さを12nmとした以外は例1と同様に屋外ディスプレイ用フィルムを作製した。なお、各酸化物層の厚さは40nmとした。
[例6]
金属層を形成する際に、パラジウムを1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いる代わりに、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いた以外は例5と同様に屋外ディスプレイ用フィルムを作製した。
[例7]
日射反射積層膜を(2n+1)層[n=4]とし、第1および第4の金属層の厚さを9nm、第2および第3の金属層の厚さを12nmとした以外は例1と同様に屋外ディスプレイ用フィルムを作製した。なお、各酸化物層の厚さは40nmとした。
[例8]
金属層を形成する際に、パラジウムを1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いる代わりに、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いた以外は例7と同様に屋外ディスプレイ用フィルムを作製した。
[例9]
日射反射積層膜を(2n+1)層[n=6]とし、酸化物層および金属層の厚さを表1に示す膜厚にした以外は例1と同様に屋外ディスプレイ用フィルムを作製した。なお、各酸化物層の厚さは33nmとした。
[例10]
酸化物層を形成せず、金属層を形成する際に、パラジウムを1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いる代わりに、純銀ターゲットを用いて厚さ15nmの金属層を1層のみ形成した以外は例1と同様に屋外ディスプレイ用フィルムを作製した。
[例11]
金属層を形成せず、酸化物層を形成する際に、亜鉛および酸化チタンを混合し焼成して得たターゲットの代わりに、酸化インジウムおよび酸化スズを混合し焼成して得たターゲット(酸化インジウム:酸化スズ=90:10(質量比))を用いてインジウムおよびスズの酸化物層(組成略称:ITO)を1層のみ形成した以外は例1と同様にして屋外ディスプレイ用フィルムを作製した。
[例12]
メチルエチルケトンに分散した濃度40%のATO分散液(御国色素製)の500質量部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート固形分100%(日本化薬社製)の100質量部とダロキュアー1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)の4重量部に溶剤メチルエチルケトン/プロピレングリコールモノメチルエーテル=1/1の100質量部を加えて撹拌し、熱線遮蔽ハードコート液とした。両面易接着性二軸延伸PETフィルム(PETフィルムの厚さ:50μm、東レ社製「ルミラーQT−79」)の表面に上記熱線遮蔽ハードコート液を乾燥膜厚が2μmとなるように塗布し、乾燥した後、高圧水銀灯により紫外線を照射して硬化膜が形成された屋外ディスプレイ用フィルムを作製した。
[例13]
n=1とし、亜鉛および酸化チタンを混合し焼成して得たターゲットの代わりに、チタンの酸化物ターゲット(AGCセラミックス社製、商品名:TXOターゲット)を用いて第1の酸化物層として厚さ15nmの酸化チタン層(組成略称:TiO2)を形成し、第1の酸化チタン層上に、銀ターゲットを用いて厚さ12nmの金属層を形成し、金属層の上に第2の酸化物層として厚さ25nmの酸化チタン層を形成した。
このようにして得られた屋外ディスプレイ用フィルムについて、上記方法により測定を行った。表1に結果をそれぞれ示す。
Figure 2013246314
表1から明らかなように、本発明の屋外ディスプレイ用フィルムは、いずれも光学特性に優れることが認められる。このような屋外ディスプレイ用フィルムによれば、屋外で使用されるディスプレイを長寿命化できる。特に、例1〜3、5〜8のフィルムは、可視光線透過率(Tv)が65%以上、可視光線反射率が10%以下、日射反射率(Re)が25%以上、遮蔽係数が0.7未満となることが認められた。
1…屋外ディスプレイ用フィルム
2…ポリエステルフィルム
3…ハードコート層
4…日射反射積層膜
41…第1の亜鉛酸化物層
42…第1の銀合金層
43…第2の亜鉛酸化物層
44…第2の銀合金層
45…第3の亜鉛酸化物層
5…保護層
6…粘着層
10…フィルム付き前面板
11…前面板
20…ディスプレイ本体
30…屋外用ディスプレイ

Claims (10)

  1. ポリエステルフィルムの一方の主面に日射反射積層膜を有する屋外ディスプレイ用フィルムであって、
    前記日射反射積層膜は、酸化物層と金属層とが交互に計(2n+1)層[nは2以上の整数]積層された多層構造体であり、前記金属層が、銀または銀合金を主成分として含有することを特徴とする屋外ディスプレイ用フィルム。
  2. 前記屋外ディスプレイ用フィルムは、JIS A5759に準じて測定される可視光線透過率が65%以上、可視光線反射率が10%以下、日射反射率が25%以上、遮蔽係数が0.7未満であることを特徴とする請求項1記載の屋外ディスプレイ用フィルム。
  3. 前記金属層が2〜4層設けられている請求項1または2に記の屋外ディスプレイ用フィルム。
  4. 前記酸化物層が酸化亜鉛を主成分とし、1種以上の亜鉛以外の金属元素を含有する酸化物層である請求項1乃至3のいずれか1項記載の屋外ディスプレイ用フィルム。
  5. 前記亜鉛以外の金属元素が、アルミニウム、チタン、またはガリウムであることを特徴とする請求項4項記載の屋外ディスプレイ用フィルム。
  6. 前記金属層が、パラジウムまたは金を含有する銀合金であることを特徴とする請求項1 乃至5のいずれか1項記載の屋外ディスプレイ用フィルム。
  7. 前記屋外ディスプレイ用フィルムは、ハードコート層をさらに有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の屋外ディスプレイ用フィルム。
  8. 前記屋外ディスプレイ用フィルムは、紫外線吸収剤を含有する粘着層をさらに有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の屋外ディスプレイ用フィルム。
  9. 屋外用ディスプレイにおけるディスプレイ本体の前面に配置される前面板にフィルムが貼着されてなるフィルム付き前面板であって、
    前記フィルムが請求項1乃至8のいずれか1項記載の屋外ディスプレイ用フィルムであることを特徴とするフィルム付き前面板。
  10. 請求項9記載のフィルム付き前面板を有することを特徴とする屋外用ディスプレイ。
JP2012119935A 2012-05-25 2012-05-25 屋外ディスプレイ用フィルム、フィルム付き前面板、および屋外用ディスプレイ Withdrawn JP2013246314A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012119935A JP2013246314A (ja) 2012-05-25 2012-05-25 屋外ディスプレイ用フィルム、フィルム付き前面板、および屋外用ディスプレイ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012119935A JP2013246314A (ja) 2012-05-25 2012-05-25 屋外ディスプレイ用フィルム、フィルム付き前面板、および屋外用ディスプレイ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013246314A true JP2013246314A (ja) 2013-12-09

Family

ID=49846120

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012119935A Withdrawn JP2013246314A (ja) 2012-05-25 2012-05-25 屋外ディスプレイ用フィルム、フィルム付き前面板、および屋外用ディスプレイ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013246314A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021094808A (ja) * 2019-12-18 2021-06-24 日本板硝子株式会社 カバーガラス

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002251144A (ja) * 2000-02-01 2002-09-06 Mitsui Chemicals Inc ディスプレイ用フィルタ、表示装置およびその製造方法
JP2005116646A (ja) * 2003-10-03 2005-04-28 Mitsui Chemicals Inc 透明電磁波遮蔽フィルム
JP2006186309A (ja) * 2004-11-30 2006-07-13 Asahi Glass Co Ltd 導電性積層体、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよびプラズマディスプレイ用保護板
JP2006189867A (ja) * 2005-01-04 2006-07-20 Samsung Corning Co Ltd ディスプレイ装置用フィルター及びこれを含んだディスプレイ装置
JP2012037634A (ja) * 2010-08-05 2012-02-23 Asahi Glass Co Ltd 日射調整フィルムおよびこれを用いたフィルム付きガラス

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002251144A (ja) * 2000-02-01 2002-09-06 Mitsui Chemicals Inc ディスプレイ用フィルタ、表示装置およびその製造方法
JP2005116646A (ja) * 2003-10-03 2005-04-28 Mitsui Chemicals Inc 透明電磁波遮蔽フィルム
JP2006186309A (ja) * 2004-11-30 2006-07-13 Asahi Glass Co Ltd 導電性積層体、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよびプラズマディスプレイ用保護板
JP2006189867A (ja) * 2005-01-04 2006-07-20 Samsung Corning Co Ltd ディスプレイ装置用フィルター及びこれを含んだディスプレイ装置
JP2012037634A (ja) * 2010-08-05 2012-02-23 Asahi Glass Co Ltd 日射調整フィルムおよびこれを用いたフィルム付きガラス

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021094808A (ja) * 2019-12-18 2021-06-24 日本板硝子株式会社 カバーガラス

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4802568B2 (ja) 反射防止積層体、光学機能性フィルタ、光学表示装置および光学物品
JP2012037634A (ja) 日射調整フィルムおよびこれを用いたフィルム付きガラス
JP5585143B2 (ja) 透明導電性積層体およびその製造方法ならびにタッチパネル
JP5549216B2 (ja) 透明導電性積層体およびその製造方法ならびにタッチパネル
WO2009131206A1 (ja) 低反射ガラスおよびディスプレイ用保護板
TW200304434A (en) Impact resistance film for flat display panel and flat display panel
US20140300979A1 (en) Half mirror front plate
JPWO2007013269A1 (ja) 反射膜用積層体
JP2000098131A (ja) プラズマディスプレイパネル用フィルター
JP4893097B2 (ja) 導電性積層体およびプラズマディスプレイ用保護板
JPWO2006088108A1 (ja) 導電性積層体、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよびプラズマディスプレイ用保護板
JP2006186309A (ja) 導電性積層体、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよびプラズマディスプレイ用保護板
US20220244429A1 (en) Optical laminate and article
JP2008036864A (ja) 積層体、及び該積層体を用いた合わせガラス並びに板ガラス
JP2008311565A (ja) ディスプレイ用複合フィルタ
CN101458351B (zh) 用于显示设备的滤光器
JP2011138135A (ja) 透明導電膜及びそれを含むディスプレイフィルタ
JP2007206146A (ja) 反射防止フィルムとその製造方法、およびその反射防止フィルムを備えたディスプレイ
WO2011001983A1 (ja) 導電性積層体およびプラズマディスプレイ用保護板
JP2002323860A (ja) ディスプレイ用光学フィルタならびにこれを用いた表示装置およびディスプレイ用保護板
JP2005014540A (ja) 透明導電性フィルム及びそれを用いた光学フィルター
JP2013246314A (ja) 屋外ディスプレイ用フィルム、フィルム付き前面板、および屋外用ディスプレイ
TW202306757A (zh) 光學積層體及圖像顯示裝置
WO2006057416A1 (ja) 光学フィルター
JP2000147245A (ja) 光学フィルター

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151117

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20151211