JP2013245700A - 二輪車の前輪懸架装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アウタパイプ4の内周面に摩擦リング14を固定し、摩擦リング14をインナパイプ5の外周面に接触させる。アウタパイプ4とインナパイプ5の相対位置が乗員搭載状態で基準ストローク範囲にあるときに、摩擦リング14が位置されるインナパイプ5上の領域に窪み部22を形成する。アウタパイプ4とインナパイプ5の相対位置が基準ストローク範囲にあるときには、摩擦リング14がインナパイプ5に対して非接触状態、若しくは微小接触状態となり、基準ストローク範囲からずれると摩擦リング14がインナパイプ5に対して正常に摩擦接触する。
【選択図】図3
Description
特許文献1に記載の前輪懸架装置は、ステアリングステムの下端に、左右一対のフロントフォークがボトムブリッジを介して連結され、両フロントフォークの下端に前輪が回転可能に支持されている。左右のフロントフォークは、ボトムブリッジ側に結合されるアウタパイプと、前輪の車軸に連結されるインナパイプと、を備え、アウタパイプとインナパイプの間に、両パイプの伸縮作動に伴う衝撃を吸収するためのスプリングが内蔵されている。そして、アウタパイプとインナパイプの間の摺動部は、両パイプの伸縮作動時に所定の減衰力が生じるように摩擦抵抗が設定されている。
請求項1に係る発明は、車体と前輪のいずれか一方に支持されるアウタパイプ(4)と、このアウタパイプ(4)に進退自在に嵌入されるとともに、車体と前輪のいずれか他方に支持されるインナパイプ(5)と、を備え、前記アウタパイプ(4)と前記インナパイプ(5)の伸縮作動に伴う衝撃を両パイプ(4,5)間の摩擦抵抗によって減衰する二輪車の前輪懸架装置であって、前記アウタパイプ(4)と前記インナパイプ(5)のうちの一方のパイプ部材(4)に、前記アウタパイプ(4)と前記インナパイプ(5)のうちの他方のパイプ部材(5)の周面に摩擦接触する摩擦部材(14)が設けられ、前記他方のパイプ部材(5)の周面のうちの、乗員搭乗状態で前記アウタパイプ(4)と前記インナパイプ(5)の相対位置が基準ストローク範囲にあるときに前記摩擦部材(14)が位置される長手方向領域には、長手方向前後の領域よりも摩擦抵抗の小さい低摩擦部(22)が設けられていることを特徴とするものである。
この発明の場合、一方のパイプ部材と他方のパイプ部材が基準ストローク範囲にあるときには、一方のパイプ部材側の摩擦部材は、他方のパイプ部材上の低摩擦部と対向する位置に配置されている。この状態から両パイプ部材に伸縮方向の外力が作用すると、両パイプ部材はスムーズに伸縮作動を開始する。また、両パイプ部材の伸縮作動が開始して、一方のパイプ部材側の摩擦部材が他方のパイプ部材上の低摩擦部から外れた位置まで変位すると、摩擦部材が振動衝撃の減衰に寄与する大きな動摩擦力を生じるようになる。
この場合、摩擦部材が低摩擦部と対向する位置にあるときには、摩擦部材は他方のパイプ部材の周面に対して非接触、若しくは、微小接触の状態に維持される。
この場合、摩擦部材が低摩擦部と対向する位置にあるときには、摩擦部材と他方のパイプ部材の周面との接触面積が小さくなる。
この場合、摩擦部材が低摩擦部と対向する位置にあるときには、摩擦部材は他方のパイプ部材の周面の低摩擦処理された領域に接触する。
この場合、両パイプ部材が縮み方向に相対作動するときの発生減衰力は両パイプ部材が伸び方向に相対作動するときの発生減衰力よりも小さくなる。
最初に、図1〜図6に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、自動二輪車の前輪懸架装置100を前輪Wf回りの車体の一部とともに示す部分断面側面図であり、図2は、前輪懸架装置100の正面図である。
これらの図に示すように、車体フレームの図示しないヘッドパイプに回動自在に保持されるステアリングステム1の下端には、ボトムブリッジ2が取り付けられ、ボトムブリッジ2に左右一対のフロントフォーク3,3が取り付けられている。各フロントフォーク3は、上端部がボトムブリッジ2に固定されるアウタパイプ4と、アウタパイプ4に進退自在に嵌入されるインナパイプ5とを備えている。左右のフロントフォーク3のインナパイプ5の下端には、車幅方向に水平に延出する車軸6が取り付けられ、その車軸6に前輪Wfが回転自在に支持されている。
図3,図4に示すように、アウタパイプ4は全域が円筒状に形成され、一端部(上端部)がボトムブリッジ2内に溶接固定され、他端部(下端部)側にインナパイプ5が嵌入されている。この実施形態の場合、アウタパイプ4の一端部はボトムブリッジ2の上壁2aによって閉塞されている。
インナパイプ5は他端部側を除くほぼ全域が円筒状に形成され、アウタパイプ4内に挿入される一端部側が蓋部材7によって閉塞されている。また、インナパイプ5の他端部側は扁平に潰され、その潰された部分に車軸6を固定するための車軸固定部5aが設けられている。
なお、図3,図4中の符号40は、アウタパイプ4の他端部と、アウタパイプ4から突出するインナパイプ5部分の周域を覆う蛇腹状のダストブーツである。
また、アウタパイプ4の底部を成すボトムブリッジ2の上壁2aと、インナパイプ5の一端側の第1ガイド筒8との間には、アウタパイプ4とインナパイプ5が縮み方向に相対作動したときに、そのときの縮み方向の荷重を受け止めて縮み方向の衝撃を吸収するバウンドスプリング10が介装されている。また、アウタパイプ4内のボトムブリッジ2の上壁2aとインナパイプ5の一端部(蓋部材7)との間には、ゴム弾性体から成るダンパブロック11が内装されている。このダンパブロック11は、アウタパイプ4とインナパイプ5が縮み方向に設定量以上相対作動したときに、上壁2aとインナパイプ5によって押し潰され、それによって衝撃を吸収する。
摩擦リング14は、全体が略円筒状に形成され、第2ガイド筒9の端面と、孔あき円板状のバックアップリング17に挟み込まれた状態において、インナパイプ5の内周面に固定されている。
したがって、この前輪懸架装置100を採用することにより、自動二輪車の乗り心地を向上させることができる。
この実施形態の前輪懸架装置は、基本的な構成は第1の実施形態とほぼ同様であるが、アウタパイプ4側に取り付ける摩擦リング114の構造と、摩擦リング114の保持部の構造が第1の実施形態のものと異なっている。したがって、以下では第1の実施形態と異なる部分についてのみ詳述し、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略するものとする。
これらの図に示すように摩擦リング114は、内周面が充分な軸長を有する厚肉円筒状のゴム弾性部体のブロックによって構成されている。この摩擦リング114は、第1の実施形態と同様に、第2ガイド筒9の端面と、孔あき円板状のバックアップリング17とに挟み込まれた状態において、スナップリング21によってアウタパイプ4の拡径部18内に固定されている。
一方、バックアップリング17の内周縁部には、肉抜き部30のような摩擦リング114に対する変形許容部は設けられていない。
この第3の実施形態の前輪懸架装置は、インナパイプ5上に形成する低摩擦部の構成が第1,第2の実施形態のものと異なっている。その他の構成は第1の実施形態や第2の実施形態と同様とされいる。
第1,第2の実施形態ではインナパイプ5の外周面に環状の窪み部22が形成されているが、この第3の実施形態においては、インナパイプ5の外周面に、複数の窪み部122が円周方向に沿って間欠的に形成されている。つまり、この実施形態の場合、窪み部122は、インナパイプ5の円周方向の全域ではなく一部にのみ形成され、隣接する窪み部122間に凸部35が残存している。
例えば、上記の実施形態においては、インナパイプの外周面に窪み部を形成して、その部分を低摩擦部としているが、インナパイプの外周面の一部に低摩擦処理を施すことによって低摩擦部を構成するようにしても良い。
また、上記の各実施形態においては、アウタパイプ側に摩擦リング(摩擦部材)を設け、インナパイプの外周面に窪み部を設けるようにしているが、逆に、インナパイプ側に摩擦リング(摩擦部材)を設け、アウタパイプの内周面に窪み部を設けることも可能である。ただし、上記の各実施形態のようにアウタパイプ側に摩擦リング(摩擦部材)を設け、インナパイプの外周面に窪み部を設けた場合には、インナパイプをアウタパイプの内側に組み付ける前に、インナパイプの外周面に窪み部を容易に形成することができる。
5…インナパイプ(他方のパイプ部材)
14,114…摩擦リング(摩擦部材)
17…バックアップリング(保持部材)
22,122…窪み部(低摩擦部)
30…肉抜き部(変形許容部)
100…前輪懸架装置
109…第2ガイド筒(保持部材)
Claims (9)
- 車体と前輪のいずれか一方に支持されるアウタパイプ(4)と、
このアウタパイプ(4)に進退自在に嵌入されるとともに、車体と前輪のいずれか他方に支持されるインナパイプ(5)と、を備え、
前記アウタパイプ(4)と前記インナパイプ(5)の伸縮作動に伴う衝撃を両パイプ(4,5)間の摩擦抵抗によって減衰する二輪車の前輪懸架装置であって、
前記アウタパイプ(4)と前記インナパイプ(5)のうちの一方のパイプ部材(4)に、前記アウタパイプ(4)と前記インナパイプ(5)のうちの他方のパイプ部材(5)の周面に摩擦接触する摩擦部材(14)が設けられ、
前記他方のパイプ部材(5)の周面のうちの、乗員搭乗状態で前記アウタパイプ(4)と前記インナパイプ(5)の相対位置が基準ストローク範囲にあるときに前記摩擦部材(14)が位置される長手方向領域には、長手方向前後の領域よりも摩擦抵抗の小さい低摩擦部(22)が設けられていることを特徴とする二輪車の前輪懸架装置。 - 前記低摩擦部(22)は、前記他方のパイプ部材(5)の周面が一方のパイプ部材(4)に対して環状に窪んで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の二輪車の前輪懸架装置。
- 前記低摩擦部は、前記他方のパイプ部材(5)の周面の円周方向の一部に窪み部(122)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の二輪車の前輪懸架装置。
- 前記低摩擦部は、前記他方のパイプ部材(5)の周面の表面に低摩擦処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の二輪車の前輪懸架装置。
- 前記摩擦部材(14)は、前記一方のパイプ部材(4)と前記他方のパイプ部材(5)が縮み方向に相対作動するときに発生する摩擦力が、前記一方のパイプ部材(4)と前記他方のパイプ部材(5)が伸び方向に相対作動するときに発生する摩擦力よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の二輪車の前輪懸架装置。
- 前記摩擦部材(14)は、撓み変形可能な弾性部材によって形成され、
前記摩擦部材(14)は、前記一方のパイプ部材(4)と前記他方のパイプ部材(5)が縮み方向に相対作動するときの弾性反力が、前記一方のパイプ部材(4)と前記他方のパイプ部材(5)が伸び方向に相対作動するときの弾性反力よりも小さくなることを特徴とする請求項5に記載の二輪車の前輪懸架装置。 - 前記摩擦部材(14)は、前記一方のパイプ部材(4)と前記他方のパイプ部材(5)が伸び方向に相対作動するときよりも、前記一方のパイプ部材(4)と前記他方のパイプ部材(5)が縮み方向に相対作動するときの方が撓み変形し易い形状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の二輪車の前輪懸架装置。
- 前記摩擦部材(114)を前記一方のパイプ部材側(4)で保持する保持部材(109,17)を備え、
この保持部材(109,17)には、前記一方のパイプ部材(4)と前記他方のパイプ部材(5)が伸び方向に相対作動するときよりも、前記一方のパイプ部材(4)と前記他方のパイプ部材(5)が縮み方向に相対作動するときに、前記摩擦部材(114)が撓み変形し易くなるように、変形許容部(30)が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の二輪車の前輪懸架装置。 - 前記一方のパイプ部材は前記アウタパイプ(4)であり、前記他方のパイプ部材は前記インナパイプ(5)であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の二輪車の前輪懸架装置。
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