JP2013245420A - 合成皮革 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生布にポリウレタン樹脂からなる表皮層が積層されてなり、前記生布が、メタ系アラミド繊維を含む紡績糸を編んだものであることを特徴とする。このとき、前記生布が、前記紡績糸を両面編みしたものであることが好ましい。
【選択図】なし
Description
このような航空機用内装材は、飛行機の大きさ(床面積)や使用部位によって定められた耐燃焼性(難燃性)の厳格な規格をクリアする必要がある。
しかし、この提案の合成皮革では、床面積が144sq.ft.以上の航空機用内装材に要求される難燃性を得ることは困難であった。
ところが、メタ系アラミド繊維のフィラメント・ヤーン(filament yarn)は、糸質が硬いので、これを生布として用いた合成皮革では、風合いがペーパーライクなもの(合成皮革を折り曲げた際に骨ばるようなシワが入ってしまうもの)になりやすい。しかも、この合成皮革を、シート(seat)の表皮材として使用すると、タテ・ヨコ方向の伸びバランスが悪いので椅子張り性に劣る、座面や背裏面に要求されるソフトな風合いやボリューム感に劣る、などの問題が生じていた。
(1)生布にポリウレタン樹脂からなる表皮層が積層されてなり、前記生布が、メタ系アラミド繊維を含む紡績糸を編んだものであることを特徴とする合成皮革。
(2)前記生布が、前記紡績糸を両面編みしたものであることを特徴とする前記(1)に記載の合成皮革。
(3)前記生布の目付量が、100〜400g/m2であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の合成皮革。
これに対し、フィラメント・ヤーン(filament yarn)は、フィラメント(長繊維)を数十本撚り合せて、1本の糸にしたものとする。
したがって、椅子張り性が非常に良好であって、しかも、高度な難燃性により、床面積が144sq.ft.以上の航空機用内装材としても好適に使用できる。
メタ系アラミド繊維としては、例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド(MPIA)やその共重合体などを使用することができる。
このようなメタ系アラミド繊維を含む紡績糸として、メタ系アラミド繊維に、本発明の所望の効果(難燃性や伸びバランスなど)に支障とならない範囲内で、他の短繊維を混紡させたものを使用してもよい。他の短繊維としては、例えばポリエステル、ナイロン、アクリル、モダアクリル(アクリル成分(アクリロニトリル)の含有量が一般的なアクリル繊維より低い(35〜85%))、ウレタン等の合成繊維、ジアセテート、トリアセテート等の半合成繊維、レーヨン等の再生繊維が挙げられる。中でも、モダアクリルとの混紡糸が、軽量化、難燃性や染色性の向上の点で好ましい。
本発明では、これら他の短繊維の製造時または製造後に難燃性を付与したものを用いてもよい。
本発明の合成皮革では、JIS K6722に準拠して測定された伸び率が、タテ方向において70〜100%、ヨコ方向において70〜130%であることが好ましい。
伸び性がありすぎても、縫製時や椅子張り作業時、あるいは椅子張り後において、シート保型性で問題が生じてしまうので、タテ・ヨコ方向にバランスの良い伸び性が必要とされるからである。
メタ系アラミド繊維を含む紡績糸を織ったもの(織物)では、ほつれやすいうえ、前記伸び率が、タテ・ヨコ方向において20〜40%程度しか得られない。また、当該織物を生布として用いた合成皮革では、ソフトな風合いやボリューム感が得られにくい。
20番手より太い糸になると、伸びが抑制されて好ましくない。40番手より細い糸では、引張強度、引裂強度、風合い、ボリューム感に劣る傾向にある。
両面編みすることで、片面編みに比べ、生布の両面がより平滑となり、ポリウレタン樹脂との馴染み性もよくなるので、合成皮革としたときに、風合いがペーパーライクになることを防止でき、ドレープ性(平地に広げ置いた際に、あるいは垂れ下がった状態時に自然にできるたるみやしなやかさ)やボリューム感のある製品に仕上がる。
なお、生布の平滑性が不十分だと、ポリウレタン樹脂との馴染み性が悪く、良品質の合成皮革が得られないばかりか、一見良品質の合成皮革が得られたとしても、該皮革を伸ばした際(例えば、椅子張りした後など)に、表皮層の表面平滑性が低下し、椅子仕上がり感(外観)が損なわれるうえ、表面の摩耗強度にも劣り、床面積144sq.ft.以上の航空機用内装材として使用し難くなる。
このような生布を用いることで、合成皮革全体としては、400g/m2以下とすることができるので、一般的な航空機シート用本皮(790〜1000g/m2)に比べて、飛躍的な軽量化が実現できる。
本発明では、このように編まれた生布に、難燃性を付与することもできる。難燃性を付与する方法としては、例えば1)生布の染色と同時に難燃剤を吸着させる浴中難燃方法や、2)生布を染色した後、難燃剤を希釈した水溶液にディッピングして難燃剤を付着させる方法や、3)生布に難燃剤含有塗料をコーティングする方法などが挙げられる。
さらに、表皮層としての物性を損ねない範囲であれば、このようなポリウレタン樹脂に、天然ゴム、クロロプレン、SBR、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル等の高分子重合体を添加・併用してもよい。
難燃剤としては、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、ジチオカルバミン酸ナトリウム、アンチモンなどが挙げられ、このような難燃剤は、後述の接着層に配合してもよい。
表皮層への塗布量は、乾燥後の厚みが40〜120μm程度(乾燥後の重量でおよそ5〜100g/m2程度)とすればよい。
なお、両面編みの生布を用いた場合には、生布の両面が平滑ゆえ、接着作業性に優れることも本発明の特徴の一つである。
更に、本発明の合成皮革は、JIS K6772に準拠して測定された引張強度が、100N/3cm以上であることが好ましい。
引裂強度が15N未満であったり、引張強度が100N/3cm未満だと、シート製造時に破損する場合がある。
〔表皮層〕
先ず、1液タイプの無黄変ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC(株)製 商品名“クリスボンNY335FT”:固形分20重量%)100重量部に対し、溶剤としてジメチルホルムアミドとメチルエチルケトンを20重量部ずつと、黒顔料(DIC(株)製 商品名“ダイラックL−1770”)20重量部とを、添加した後、混合撹拌し、離型紙(大日本印刷(株)製 商品名“DE−73”)の凹凸紋面に、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布した。その後、100℃のオーブンで2分間乾燥し、表皮層を得た。
次いで、得られた表皮層上に、下記の接着剤を乾燥後の厚みが60μmとなるように塗布し、これを、100℃のオーブンで2分間乾燥した。
なお、接着剤としては、無黄変ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC(株)製 商品名“クリスボンTA205FT”)100重量部に対し、溶剤としてジメチルホルムアミドとメチルエチルケトンを20重量部ずつと、架橋剤としてTDIのトリメチロールプロパン付加生成物(日本ポリウレタン工業(株)製 商品名“コロネートL”)12重量部、触媒としてアミン系(DIC(株)製 商品名“アクセルHM”)5重量部、臭素系難燃剤((株)鈴裕化学製 商品名“FCP−1590”)10重量部、それぞれ添加したものを混合撹拌して使用した。
上記乾燥後の接着層上に、生布として、メタ系アラミド繊維からなる紡績糸(番手30)を、目付量が240g/m2(厚み:0.95mm)となるようにモックロディ編み(両面編み)した編みものを積層し、貼り合せた。
その後、50℃で48時間、合成樹脂の反応を進めた後、離型紙を剥離して、実施例1の合成皮革を得た。
生布として、メタ系アラミド繊維からなる紡績糸(番手30)を、目付量が300g/m2(厚み:0.95mm)となるようにモックロディ編み(両面編み)した編み物を使用した以外は、実施例1と同じ方法にて合成皮革を得た。
生布として、メタ系アラミド繊維からなる紡績糸(番手30)を、目付量が100g/m2(厚み:0.95mm)となるようにモックロディ編み(両面編み)した編み物を使用した以外は、実施例1と同じ方法にて合成皮革を得た。
生布として、メタ系アラミド繊維からなる紡績糸(番手30)を、目付量が240g/m2(厚み:0.95mm)となるように鹿の子編み(片面編み)した編み物を使用した以外は、実施例1と同じ方法にて合成皮革を得た。
生布として、メタ系アラミド繊維とモダアクリル繊維((株)カネカ製 商品名“カネカロン”)とを混紡させた紡績糸(番手30)を、目付量が240g/m2(厚み:0.95mm)となるようにモックロディ編み(両面編み)した編み物を使用した以外は、実施例1と同じ方法にて合成皮革を得た。
生布として、ポリエステル繊維からなる紡績糸(番手30)を、目付量が240g/m2(厚み:0.95mm)となるようにモックロディ編み(両面編み)した編み物を使用した以外は、実施例1と同じ方法にて合成皮革を得た。
生布として、メタ系アラミド繊維からなる長繊維を紡糸したフィラメント・ヤーン(30デニール)を、目付量が240g/m2(厚み:0.95mm)となるようにモックロディ編み(両面編み)した編み物を使用した以外は、実施例1と同じ方法にて合成皮革を得た。
生布として、メタ系アラミド繊維からなる紡績糸(番手30)を、目付量が240g/m2(厚み:0.95mm)となるように織った織り物を使用した以外は、実施例1と同じ方法にて合成皮革を得た。
表1中の数値は、目付量以外、重量部を表す。
火炎時間が15秒以下かつ燃焼長さが15.2cm(6inch)未満のものを「○」、火炎時間が15秒を超えるあるいは燃焼長さが15.2cm(6inch)以上のものを「×」とした。
(4)ボリューム感:ボリューム感(親指と人指し指とで挟持して表皮層側と生布側から押した時の弾力感)があるものを「○」、ボリューム感(親指と人差し指とで挟時して表皮層側と生布側から押した時の弾力感)がないものを「△」とした。
(5)面の平滑性:上記伸びバランス測定時に、表皮層の表面に生布の凹凸が全く現れないものを「○」、表皮層の表面に生布の凹凸が現れてしまったものを「△」とした。
Claims (3)
- 生布にポリウレタン樹脂からなる表皮層が積層されてなり、前記生布が、メタ系アラミド繊維を含む紡績糸を編んだものであることを特徴とする合成皮革。
- 前記生布が、前記紡績糸を両面編みしたものであることを特徴とする請求項1に記載の合成皮革。
- 前記生布の目付量が、100〜400g/m2であることを特徴とする請求項1または2に記載の合成皮革。
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