JP2013245413A - 耐久性を有する経編ネット地及びそれを用いた土木用袋材 - Google Patents
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【解決手段】本発明は、穴目を有する地組織部1と、該地組織部1に編み込まれる、パイルを有するパイル組織部2とで一体に形成される経編ネット地Kであって、パイルが前記経編ネット地Kの表裏のいずれか一方に形成されていると共に地組織部面に対して方向性を持って傾斜している耐久性を有する経編ネット地K。
【選択図】図6
Description
土木用袋材としては、古くは竹材や鉄線で形成された蛇篭が用いられてきた。
これらの蛇篭は比較的形状が堅固であり、それなりの利点は有するものの蛇篭同士の馴染みや敷設面への馴染みに劣り、護岸性能が充分なものとは言えなかった。
この経編ネット地は、比較的丈夫で、穴目の大きさや形状も自在に変えることができる利点を有している。
石等の中詰め材を充填する際や、中詰め材を充填して持ち上げて敷設する際、更には敷設後等、その重量や衝撃に耐え得る引張強度が求められる。
併せて、中詰め材に用いられる割り栗石やコンクリート破砕片等から受ける切れや擦れに耐え得る耐久性が求められる。
これらの強度要求の課題に対しては、強度のある糸種を用いたり、太い糸を用いて対処するのが主流であったが、この対処法には限度があった。
つまり、敷設した後、従来の蛇篭同様、生物等も入りやすく環境に馴染みの良いものにするためには良好な通水性が求められる。
これは土木用袋材を敷設した後、一定期間を経て除去する場合があるが、この時、敷設した箇所に小さな中詰め材が残留物として放置されれば環境の悪化を招くからである。
この抜け落ちを防止することについては、経編ネット地の穴目を小さくして対応することは可能であるが、そうすると目詰まりを起こして通水性の低下を招く。
このように、相反した要求が同時に求められるのである。
例えば、特許文献1ではラッシェル機やダブルラッシェル機により編成される特殊な組織構造を有する高強度の経編ネット地を土木用袋体や落石防止用ネット用として提案している。
この土木用蛇篭の内部には不織布が積層され、切れや擦れなどの破損を防止していると共に粒径の小さな中詰め材の流出を防いでいる。
この耐摩耗性シートを用いた袋体と中詰め材とで海洋保全構造体が構成され、漂砂や波に対するパイル群による基地の保護機能が紹介されている。
例えば、特許文献1では、組織構造による引張強度の向上を目的としていて、組織構造的な対策を施し引張強度を上げることについては相当の効果を得ている。
しかし、割り栗石やコンクリート破砕片、落石等の鋭利なエッジによる切れや擦れ等に対する耐久性についての提案とは言えない面がある。
この目詰まりは、土木用袋材内部への通水を妨げて、土木用袋材内に生物が入ることを妨げ、環境に馴染みの良いものとは言い難い。
該耐摩耗性シートを用いた袋体と中詰め材とで海洋保全構造体が構成され、漂砂の捕捉や波浪の制御に効果があり、生物環境にも適している。
しかし、この耐摩耗性シートは、漂砂や波浪などの比較的穏やかな作用に対して効果を得ることが主流となっていて、中詰め材である割り栗石やコンクリート破砕片等の鋭いエッジに対し、その耐久性の向上を図っているとは言い難い面がある。
すなわち、本発明の目的は、割り栗石やコンクリート破砕片等から受ける切れや擦れ等に対する耐久性を有し、目詰まりが起きず、通水性があり、しかも小さな中詰め材等の抜け落ちを防止できる経編ネット地と、これを用いた土木用袋材とを提供することを目的とする。
ここで、パイルが経編ネット地の表裏の両方に形成されていると、このような効果が更に倍増することとなる。
しかも、経編ネット地が圧を受けた場合には、表裏のパイルが絡み合うことによって、引っ張り強度も大きく増加する。
また、パイルが、30dtex〜3000dtexの合成繊維モノフィラメントを数本合わせて合糸とした場合には、上記の強さと復元力を維持すると共に、パイル密度が適度に上がり、中詰め材に含まれる小さな粒径の割り栗石等の抜け落ちの防止により効果がある。
そして、パイルが緩衝材となって、中詰め材等による切れや擦れに対し高い耐久性を発揮する。また、適宜寸法の穴目を有しているので、目詰まりがなく良好な通水性が維持され、内部への生物等の出入りが可能となり、生物環境に良い利点がある。
更に、パイルが重なり合って小さな中詰め材の抜け落ちを防止でき、土木用袋材の敷設時や撤去後の環境悪化をもたらさない利点がある。
本実施の形態における経編ネット地Kは、図1の概要説明図(一部省略)に示すピンバー付きラッシェル機M(9ゲージ)によって編成される。
ピンバーPBには、パイル形成のためのピンPが配列されていて、このピンPに編成糸Y1を掛けてループパイルLPを形成する。
ここで、9ゲージとは、1インチ間に存在する編針Nの本数を言う。
理解を容易にするために、図3に、地組織部1のみの組織図を示す。
この地組織部1に、鎖編組織のパイル組織部2が編み込まれていて経編ネット地Kが形成されている。
パイル組織部2は、オサL1(0−1/1−0)で形成される開き目の鎖編組織Cである。
図1の概要説明図に示すように、編成時にピンバーPBのピンPにオサL1により編成糸Y1を掛ける。
ピンPに掛けた部分は、図4の実体説明図に示すように鎖編組織CのシンカーループSであり、このシンカーループSを引き出すことによりループパイルLPが形成される。
そして、ループパイルLPは、図4の実体説明図並びに図7の側面模式図に示すように、シンカーループSが引き出されて形成される編成原理上、引き出されたループパイルLPは、編成糸Y1が有する弾性により直線状に戻ろうとする復元力が働き、その結果、下方に方向性を持って傾斜した状態となる。
図6の模式図(一部省略)に示すように、ループパイルLP同士が互いに重なり合い、穴目Hを覆うことで、中詰め材G1に含まれる小さな粒径の中詰め材G1が外部に落下、流出することを防ぐことができる。
これに対して、本発明の経編ネット地Kでは、ループパイルLPの密度は高くないが、ループパイルLPが最初から傾斜しているのでループパイルLPをかき分けて損傷要因物が経編ネット地Kの面に到達する危険性は極めて少なくなる。
モノフィラメント糸とすることで、高い弾性と1本1本の強度が得られる。
編成糸Y1として、ポリエステルモノフィラメント糸(560dtex)を複数本合わせた合糸を採用することも可能である。
落石防止用ネットに使用した際においても小さな落石を受け止める効果が得られる。
また、これを防獣用ネットとして使用した場合は、対象となる動物が噛んだり踏み込んだ際に充分な強度を発揮することに加えてループパイルLPが絡みつき、防獣用ネットへの嫌悪感が増し、更なる防獣効果が得られる利点がある。
本実施の形態(図示しない)では、経編ネット地Kを第1の実施の形態で示したものと同様に形成し、ループパイルLPの先端をカットしてカットパイルを得る。
カットについては、上記説明したと同様のピンバー付きラッシェル機Mで編成する際、ピンPの根本に切断刃を設けて、ピンPに掛けられたシンカーループSを編成過程でその先端をカットする。
小さな粒径の中詰め材G1の抜け落ちについては、ループパイルLPの方が掛かりやすく、効果がある。両者の選択は、使用目的や環境によって使い分けることができる。
本実施の形態における経編ネット地Kは、図7の側面模式図に示すように、経編ネット地Kの表F、裏Bの両面にループパイルLP1、LPが形成されている。
ここに言う編地の表F、裏Bについては、表Fとはテクニカルフェース側を指し、裏Bとはテクニカルバック側を言う。
よって、第1の実施の形態ではループパイルLPは、経編ネット地Kの裏B側に形成されていることとなる。
よって、表F側に出るループパイルLP1もピンPに掛けて形成することとなり、表F側に出るべきループパイルLP1は、裏B側のループパイルLPと同様、編成時において、一端、経編ネット地Kの裏B側に形成される。
本編成については、公知技術であるので図示をしない。
本実施の形態では、以上のように表F、裏Bの両面にループパイルLP1、LPを有する経編ネット地Kを得ている。
特に、これを土木用袋材Gとして用いた場合は、内側の中詰め材G1のみならず、外側からの漂流物や土木用袋材同士の摩擦、衝撃にも強い特性を有することとなる。
経編ネット地Kの表裏にパイルを形成することについては、裏のみ、表のみ、表裏両面の選択が自在であり、使用目的や使用環境に応じた選択が可能である。
本実施の形態では、経編ネット地Kを用いて形成された土木用袋材Gについて、図8(一部省略、一部に断面図、一部の拡大図)に示すようにその敷設等を含めて説明する。
本実施の形態で用いる経編ネット地Kは、第1の実施の形態で示したものと同様のものを使用し、編地の裏B側にループパイルLPが形成されている経編ネット地Kを内側して土木用袋材Gを形成している。
土木用袋材Gは中詰めG材1を充填した後、敷設箇所に配列敷設される。
また、敷設後は、穴目Hの存在により、目詰まりがなく良好な通水性が維持されて良い生物環境を提供する。
更に、ループパイルLPが重なり合って小さな中詰め材G1の抜け落ちを防止でき、土木用袋材の敷設時や撤去後に小さな中詰め材が散乱して環境悪化をもたらすことがない。
パイル組織部2の組織についても鎖編組織Cによるパイル形成に限らず、他の組織を採用することも当然可能である。
更に、経編ネット地Kの両面にパイルを有する場合、両方、或いはそのいずれか一方を選択的にカットすることも当然可能である。
また、経編ネット地Kを使用目的に応じて2枚合わせとして用いること等も可能である。
更に、合糸について、異素材同士や異なる太さのもの同士であっても当然良い。
例えば土木用袋材、落石防止用ネット、防獣用経編ネット等に使用される他、土壌改質や法面の補強材等の土木用資材、防風用ネット等の農業用資材、魚介類や海苔などの養殖用ネット、更には浄化用フィルター等の水処理資材等、極めて多方面に利用可能である。
11・・・穴目
12・・・地編部
13・・・挿入組織部
2・・パイル組織部
A・・・引く方向を示す矢印交
B・・・編地の裏
C・・・鎖編組織
F・・・編地の表
G・・・土木用袋材
G1・・・中詰め材
H・・・菱形の穴目
J・・・抜き糸
K・・・経編ネット地
L1〜L5・・・オサ
LP・・・裏側に出るループパイル
LP1・・・表側に出るループパイル
M・・・ピンバー付きラッシェル機
N・・・編針
P・・・ピン
PB・・・ピンバー
R・・・右
L・・・左
Y、Y1〜Y5・・・編成糸
S・・・シンカーループ
Claims (8)
- 穴目を有する地組織部と、該地組織部に編み込まれる、パイルを有するパイル組織部とで一体に形成される経編ネット地であって、パイルが前記経編ネット地の表裏のいずれか一方に形成されていると共に地組織部面に対して方向性を持って傾斜していることを特徴とする耐久性を有する経編ネット地。
- パイル組織部が鎖編組織で形成され、該鎖編組織のシンカーループがループパイルを形成していることを特徴とする請求項1記載の耐久性を有する経編ネット地。
- 鎖編組織が開き目であり、ループパイルが鎖編組織の1コース毎に左右交互の位置に形成されていることを特徴とする請求項2記載の耐久性を有する経編ネット地。
- パイルがループパイルをカットしたカットパイルであることを特徴とする請求項1記載の耐久性を有する経編ネット地。
- パイルが、30dtex〜3000dtexの合成繊維モノフィラメントで形成されていることを特徴とする請求項1記載の耐久性を有する経編ネット地。
- パイルが、30dtex〜3000dtexの合成繊維モノフィラメントを2本〜10本を合わせた合糸で形成されていることを特徴とする請求項1記載の耐久性を有する経編ネット地。
- パイルが前記経編ネット地の表裏の両方に形成されていることを特徴とする請求項1記載の耐久性を有する経編ネット地。
- 穴目を有する地組織部と、該地組織部に編み込まれるパイルを有するパイル組織部とで一体に形成され、パイルが表裏、又はそのいずれか一方に形成されていると共に地組織部面に対して方向性を持って傾斜している経編ネット地を袋状に形成し、中に中詰め材を充填可能にしたことを特徴とする土木用袋材。
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