JP2013244673A - 成形体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 難燃性を有し、表面抵抗率が低く、持続的に安定した制電性を有するポリエステルからなる成形体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 第一領域と前記第一領域を被覆して配置されている第二領域とを有する成形体であって、前記第一領域はポリエステルと、カーボンナノチューブを含有しており、前記第二領域はカーボンナノチューブと、イミダゾリウム型イオン液体と、アンモニウム型イオン液体とを含有しており、且つイミダゾリウム型イオン液体の含有量は、イミダゾリウム型イオン液体とアンモニウム型イオン液体の合計に対して1重量%以上99重量%以下である成形体およびその製造方法。前記成形体は、繊維、布またはフィルムである。
【選択図】 図1

Description

本発明は成形体およびその製造方法に関し、特に難燃性および制電性に優れた成形体およびその製造方法に関するものである。
近年、精密な電気・電子制御部品を備えた各種機器の分野において、静電気障害の問題が発生する各パーツ、シートおよびフィルム等に、制電性樹脂成形品が使用されている。また、静電気障害の問題が発生する分野で作業する環境下では、制電性が付与された高密度織物からなる作業服が使用されている。その中で、比較的耐熱性に富み、環境負荷が少なく、さらに耐久性に優れたポリエステルを使用した制電性樹脂からなる成形品は、今後需要が増大するものと考えられる。
ポリエステルを使用した高いレベルの制電性樹脂成形品には、表面抵抗率(Ω/□)が低く、さらに帯びた電気が半分になる半減期(s)が短い特性が要求されている。
さらに、難燃性であることも要求されている。特に、半減期が短い特性を有するためには、制電性樹脂成形品表面に均一な導電パスが存在することが必須である。従来、ポリエステルに制電性を付与するために、カーボンブラックなどの導電性フィラーを含有した成形体が知られている。しかしながら、これら成形体は、比較的多くの導電性フィラーを含有させる必要であるため、ポリエステルの機械的特性が著しく低下し、さらに成形体表面の導電パスが不均一なため、高いレベルの制電性を付与することが困難という問題があった。
これら従来の制電性を付与したポリエステル成形体の問題を解決するために、特許文献1には、繰り返し単位の90モル%以上がエチレンテレフタレートからなるポリエステル重縮合体と、脂環式炭化水素基を有するモノマー成分を含有するポリエステル重縮合体と、カチオンとしてイミダゾリウムイオンを含有するイオン液体とを含有する制電性樹脂成組成物が提案され、ブリードアウトによる被着体への汚染が低減されることが開示されている。
また、従来の制電性を付与したポリエステル成形体の問題を解決するために、特許文献2には、アルキレンオキシド単位を構成成分として含有するポリエステル共重合体にイオン液体を含有した制電性樹脂組成物が提案され、表面抵抗率が低く、安定した持続型制電性を示すことが開示されている。
また、特許文献3には、繊維表層に導電性高分子が付着し導電性が付与された繊維からなる織編物が提案されている。
特開2009−280710号公報 特開2010−196007号公報 特開2007−113132号公報
しかしながら、従来のポリエステル成形体は、後述する理由により、持続的に高いレベルの制電性と難燃性という要求を同時に満たすことが期待できなかった。
特許文献1に記載されている制電性ポリエステル成形体は、イオン液体を含有することで難燃性は向上しているが、イオン液体の導電率は大きくなく、そのためポリエステル中への含有率が50%のフィルムにおいても、表面抵抗率として10Ω/□から10Ω/□を得ることは困難である。
特許文献2に記載されている制電性ポリエステル成形体は、イオン液体の含有量が少なく、そのため表面抵抗率として10Ω/□から10Ω/□を得ることは困難である。また、樹脂中に含有されているイオン液体が樹脂成形体表面にしみ出てくる、いわゆるブリードアウト現象を起こす可能性があり、持続的に安定した制電特性を保持することが困難である。
特許文献3に記載されている導電性が付与された繊維からなる織編物は、織物の表面抵抗率としては、10Ω/□以上1012Ω/□以下であり、特許文献3中にも記載されているようにポリエステル系繊維について、10Ω/□以下を得ることは困難である。
そこで、本発明は、難燃性を有し、表面抵抗率が低く、持続的に安定した制電性を有するポリエステルからなる成形体およびその製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決する成形体は、第一領域と前記第一領域を被覆して配置されている第二領域とを有する成形体であって、前記第一領域はポリエステルと、カーボンナノチューブを含有しており、前記第二領域はカーボンナノチューブと、下記一般式(1)で示される化合物と、下記一般式(2)で示される化合物を含有しており、且つ前記第二領域における一般式(1)で示される化合物の含有量は、一般式(1)で示される化合物と一般式(2)で示される化合物の合計に対して1重量%以上99重量%以下であることを特徴とする。
Figure 2013244673
(式中、R1とR3はどちらか一方が末端にヒドロキシル基を有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、もう一方が水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。X−はアニオンを表す。)
Figure 2013244673
(式中、R6乃至R9は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。ただし、前記R6乃至R9のうちの1つは末端にヒドロキシル基を有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。X−はアニオンを表す。)
また、上記の課題を解決する成形体の製造方法は、ポリエステルとカーボンナノチューブを含有するペレットを押出成形して第一領域を形成する工程と、前記第一領域の表面に形成されたポリエステルからなるスキン層を除去する工程と、さらに前記第一領域表層に存在するポリエステルを除去した第一領域に、上記一般式(1)で示される化合物と上記一般式(2)で示される化合物を含有し、一般式(1)で示される化合物の含有量は1重量%以上99重量%以下である溶液を含浸させて、前記第一領域を被覆した第二領域を形成する工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、難燃性を有し、表面抵抗率が低く、持続的に安定した制電性を有するポリエステルからなる成形体およびその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態である導電性繊維の断面の模式図である。 本発明の一実施形態である導電性フィルムの断面の模式図である。 本発明に係る導電性繊維および導電性フィルム断面に存在するカーボンナノチューブの分散状態の模式図である。 本発明に係る導電性繊維の断面に存在するカーボンナノチューブの分散状態の模式図である。 本発明に係る導電性フィルムの断面に存在するカーボンナノチューブの分散状態の模式図である。
本発明に係る成形体は、第一領域と前記第一領域を被覆して配置されている第二領域とを有する成形体であって、前記第一領域はポリエステルと、カーボンナノチューブを含有しており、前記第二領域はカーボンナノチューブと、下記一般式(1)で示される化合物と、下記一般式(2)で示される化合物を含有しており、且つ前記第二領域における一般式(1)で示される化合物の含有量は、一般式(1)で示される化合物と一般式(2)で示される化合物の合計に対して1重量%以上99重量%以下であることを特徴とする。
Figure 2013244673
Figure 2013244673
一般式(1)において、R1とR3はどちらか一方が末端にヒドロキシル基を有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、もう一方が水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。
また、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。X−はアニオンを表す。炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、具体的には、エチル基、メチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。
一般式(2)において、R6乃至R9は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。ただし、前記R6乃至R9のうちの1つは末端にヒドロキシル基を有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。X−はアニオンを表す。
本発明における一般式(1)で示される化合物および一般式(2)で示される化合物は、いずれもイオン液体である。具体的には、一般式(1)で示される化合物はイミダゾリウム型イオン液体、一般式(2)で示される化合物はアンモニウム型イオン液体である。
本発明に係る成形体は、カーボンナノチューブとイミダゾリウム型とアンモニウム型の2種類のイオン液体からなる第二領域を表層部に有している。そのため、難燃性を有するとともに、表面抵抗率として10Ω/□から10Ω/□が実現可能となる。
また、前記2種類のイオン液体が、一般式(1)に示される構造を有するイオン液体と一般式(2)に示される構造を有するイオン液体であることにより、カーボンナノチューブ表面に該イオン液体が化学結合により保持される。そのため、ブリードアウト現象が実質的に生じず、持続的に安定した制電特性を保持することが可能となる。
本発明においては、一般式(1)で示される化合物および一般式(2)で示される化合物を混合することで、一般式(1)および一般式(2)中に有するヒドロキシル基が、カーボンナノチューブの表面に存在するカルボキシル基やヒドロキシル基と結合する。そのため、イオン液体は、カーボンナノチューブに保持され、成形体内に安定に存在することができる。その結果、本実施形態に係る成形体は、導電性、難燃性が高く、表面抵抗率が10Ω/□から10Ω/□という低い値を示し、さらにブリードアウト現象が抑制された安定な成形体となる。
ところで、一般式(1)で示される化合物のみ、または一般式(2)で示される化合物のみでは、カーボンナノチューブに保持されない。カーボンナノチューブへの保持は、一般式(1)で示される化合物と一般式(2)で示される化合物を混合することで可能となる。この要因の詳細は不明であるが、2種類の化合物であるイオン液体の何らかの相互作用が、カーボンナノチューブへの保持を可能にしていると考えられる。
第二領域における一般式(1)で示される化合物と一般式(2)で示される化合物の混合重量比は、一般式(1)で示される化合物の含有量が、一般式(1)で示される化合物と一般式(2)で示される化合物の合計に対して1重量%以上99重量%以下であることが好ましい。さらに、イオン液体であるこれら化合物のカーボンナノチューブへの持続的に保持するためには、一般式(1)で示される化合物は1重量%以上10重量%以下かつ一般式(2)で示される化合物は99重量%以下90重量%以上の範囲、または一般式(1)で示される化合物は82重量%以上99重量%以下かつ一般式(2)で示される化合物は18重量%以下1重量%以上が好適である。
本実施形態に係る成形体を図面により説明する。
本発明の成形体は、例えば繊維、布またはフィルムであることが好ましい。
図1は、本発明に係る成形体の一実施形態を示す導電性繊維の断面を模式的に示す図である。図1(a)は、第一領域(コア部)と第二領域(表層部)の二層構造からなる導電性繊維の断面を示し、図1(b)は、基材(コア部)と第一領域(中間層)および第二領域(表層部)の三層構造からなる導電性繊維の断面を示す。
図1(a)において、第一領域11は、ポリエステル110中でカーボンナノチューブ112が絡み合ってなる構成を有する。カーボンナノチューブは、他のカーボンナノチューブと3次元的に絡み合っている。そして、第一領域11は、カーボンナノチューブ112とイオン液体111で構成される第二領域12によって被覆されている。さらに、前記第二領域内で、イオン液体111は、カーボンナノチューブ112の表面に化学な結合により固着されている。
図1(b)において、13はポリエステルのみからなる基材である。そして、基材13は、ポリエステル110中でカーボンナノチューブ112が絡み合ってなる構成を有する第一領域14によって被覆されている。さらに、第一領域14は、カーボンナノチューブ112と、一般式(1)で示される化合物と一般式(2)で示される化合物の混合物であるイオン液体111で構成される表層部の第二領域15によって被覆されている。さらに、前記第二領域15の表層部内で、イオン液体111は、カーボンナノチューブ112の表面に化学な結合により固着されている。
図2は、本発明に係る成形体の一実施形態を示す導電性フィルムの断面を模式的に示している。
図2(a)は、第一領域(コア部)と第二領域(表層部)の二層構造からなる導電性フィルムの断面を示し、図2(b)は、基材(コア部)と第一領域(中間層)および第二領域(表層部)の三層構造からなる導電性フィルムの断面を示す。
図2(a)において、11はポリエステル110中でカーボンナノチューブ112が絡み合ってなる構成を有する第一領域である。カーボンナノチューブは、他のカーボンナノチューブと3次元的に絡み合っている。そして、第一領域11は、カーボンナノチューブ112とイオン液体111で構成される上下の第二領域12によって挟まれている。さらに、前記第二領域内で、イオン液体111は、カーボンナノチューブ112の表面に化学な結合により固着されている。
図2(b)において、13はポリエステルのみからなる基材である。そして、基材13は、ポリエステル110中でカーボンナノチューブ112が絡み合ってなる構成を有する上下の第一領域14によって挟まれている。さらに、第一領域14は、カーボンナノチューブ112とイオン液体111で構成される上下の第二領域15によって挟まれている。さらに、前記第二領域内で、イオン液体111は、カーボンナノチューブ112の表面に化学な結合により固着されている。
一般式(1)および一般式(2)において、アニオン成分であるXとしては、フルオロ基を有する、例えばCFSOまたは(CFSONが好ましい。さらに、この中でも(CFSONが好適である。
イオン液体は、イオンのみで構成される塩の一種で、室温近傍で液体であるため、常温溶融塩とも呼ばれている。液体状態であっても、イオン間に相互作用が働いているため、蒸気圧が殆どなく、不揮発性、難燃性、さらに導電性を有する液体である。
図1(a)および図2(a)で示す第一領域(コア部)および第二領域(表層部)、さらに図1(b)および図2(b)で示す第一領域(中間層)および第二領域(表層部)の構成成分であるカーボンナノチューブは、長さLが5μm以下1μm以上、直径Dに対する長さLの比であるアスペクト比L/Dが400以下150以上であることが好ましい。
カーボンナノチューブの長さLを5μm以下、アスペクト比L/Dが400以下とすることによって、溶融紡糸法によって未延伸繊維を製造後、熱延伸処理により導電性繊維を製造した際に、カーボンナノチューブが繊維の紡糸方向に配向することが抑制される。
また、カーボンナノチューブの長さLを5μm以下、アスペクト比L/Dが400以下とすることによって、図1(a)および図1(b)でそれぞれ示す第一領域および第二領域のカーボンナノチューブをより良く絡み合わせることができる。
カーボンナノチューブの長さLを5μm以下、アスペクト比L/Dを400以下とすることによって、例えば溶融押出成形法または射出成形法によって未延伸フィルムを製造後、延伸処理により導電性フィルムを製造した際に、カーボンナノチューブがフィルムの延伸方向に配向することが抑制される。
その結果、第一領域および第二領域に存在するカーボンナノチューブをより良く絡み合わせることができる。
第一領域および第二領域のカーボンナノチューブは、互いに3次元的に絡み合っていることが好ましい。
カーボンナノチューブは、導電性を付与するためのものであり、その形状は特に限定されない。例えば、単一のグラフェンからなる円筒状のチューブである単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、2つ以上の径の異なるグラフェンからなる円筒状のチューブが重なった多層カーボンナノチューブ(MWCNT)等が挙げられる。
第一領域はポリエステルと、カーボンナノチューブを含有しており、第一領域におけるカーボンナノチューブの含有量は2重量%以上10重量%以下、好ましくは3重量%以上6重量%以下が好ましい。
本発明に係る成形体は、基材を有している。基材の構成成分は、特に限定されないが、ポリエステル等の高分子や、金属、プラスチック等のものが挙げられる。中でも表面をアルカリ処理により、溶解できるものが好ましい。基材は第一領域により被覆されて配置している。
基材は、単独で存在してもよいし、基材中にカーボンナノチューブが混在してもよい。
図1(a)および図2(a)で示す第一領域、さらに図1(b)及び図2(b)で示す基材および第一領域の構成成分として挙げられるポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートやポリブチレンナフタレートが挙げられる。また、2種以上のポリエチレン樹脂からなる混合樹脂であってもよい。
次に、本発明に係る成形体の製造方法について説明する。
本発明に係る成形体の製造方法は、ポリエステルとカーボンナノチューブを含有するペレットを押出成形して第一領域を形成する工程と、前記第一領域の表面に形成されたポリエステルからなるスキン層を除去する工程と、さらに前記第一領域表層に存在するポリエステルを除去した第一領域に、下記一般式(1)で示される化合物と下記一般式(2)で示される化合物を含有し、一般式(1)で示される化合物の含有量は1重量%以上99重量%以下である溶液を含浸させて、前記第一領域を被覆した第二領域を形成する工程とを有することを特徴とする。
本発明に係る成形体の一実施形態である導電性繊維は、溶融紡糸法を用いることにより製造することができる。
図1(a)に示す二層構造の導電性繊維は、溶融紡糸の際に、カーボンナノチューブが均一に分散されたポリエステルのペレットを用意し、丸形状孔を多数有する単一成分用溶融紡糸ノズルを用いて製造される。
一方、図1(b)に示す三層構造の導電性繊維は、溶融紡糸の際に、ポリエステルのペレットとカーボンナノチューブが均一に分散されたポリエステルのペレットを用意し、芯鞘型複合紡糸ノズルを用いて製造される。
その際に、基材はポリエステルであり、第一領域にカーボンナノチューブが均一に分散されたポリエステルになるように、製造される。
溶融紡糸法により図1(a)または(b)に示す導電性繊維を製造する際に、
複数の丸形孔の口金を有する溶融紡糸ノズルの口金内面を、カーボンナノチューブが均一に分散された溶融状態のポリエステルが流れ、口金先端部の丸形の紡糸口から押し出される。
カーボンナノチューブが均一に分散された溶融状態のポリエステルが、溶融紡糸ノズルの口金内面を流れる際に、溶融状態の樹脂の先端部においては、口金断面の中心から周囲の口金内面へ噴出するように流動する。
これはファウンテン流動と呼ばれている。この際、口金内面に接した溶融状態の樹脂は、口金内面で急冷されたスキン層を形成する。このスキン層中には、カーボンナノチューブは含有されず、ポリエステルのみで形成される。
溶融状態で溶融紡糸ノズルから押し出された表面にスキン層を有する導電性繊維は、冷却され、含水系あるいは非含水系の処理剤を付着せしめた後、好ましくは、100m/min以上10000m/min以下、特に好ましくは300m/min以上2000m/min以下の巻き取り速度で巻き取られる。
ここで、溶融紡糸ノズルから押し出された繊維は、1本のモノフィラメントよりも、複数の繊維の束からなるマルチフィラメントが好ましく、その繊維一束の本数は、20から200本が好ましい。
溶融紡糸法で作製した未延伸の導電性繊維を加熱型延伸装置により、加熱しながら延伸することにより、配向結晶化した導電性繊維を得ることができる。
加熱延伸処理した導電性繊維表面には、溶融ノズルを用いて製造された導電性繊維を例にとると、図3(a)に示すようにスキン層16が存在する。そのため、この状態の導電性繊維を使用した導電性繊維構造体の表面抵抗率は、10Ω以下にすることは困難である。
このスキン層を除去し、さらにスキン層の内部に存在する、ポリエステル中にカーボンナノチューブが絡み合ってなる層のポリエステルのみを選択的に除去するために、酸素プラズマ処理またはアルカリ処理が好適に用いられる。
酸素プラズマ処理は、真空容器内に酸素ガスを導入して減圧状態に保持し、真空容器と真空容器内に設置した多孔金属円筒電極の間に酸素プラズマを誘起し、この多孔金属円筒電極内に設置した導電性繊維または導電性フィルムの表面を処理するものである。
この多孔金属円筒電極内に導電性繊維または導電性フィルムを設置することにより、プラズマ中のイオンや電子を制御することで、酸素原子ラジカルにより、導電性繊維または導電性フィルム表面のスキン層を除去することが可能となる。
プラズマ生成条件は、装置構成及び処理物の大きさにより、好適に選択されるが、高周波電力としては、30W以上500W以下が好ましい。また、酸素ガス流量は30sccm以上200sccm以下が好ましい。
酸素プラズマ処理時間については、2分以上60分以下が好ましい。2分未満であると、酸素プラズマ処理が不十分である。また60を越えると酸素プラズマは、効果が低いと考えられる。なぜならば、温度上昇のため、処理効果が低減することが分かっているからである。
アルカリ処理は、50℃以上100℃以下に保持された、1重量%以上6重量%以下の水酸化ナトリウム溶液または水酸化カリウム溶液中に、数10分から数100分保持することが好適である。特に好ましくは、温度60℃以上70℃以下、3重量%以上5重量%以下の水酸化ナトリウム溶液に100分以上300分以下の範囲内である。
酸素プラズマ処理またはアルカリ処理時間を制御することにより、単一成分用溶融紡糸ノズルで製造される導電性繊維、芯鞘型複合溶融紡糸ノズルで製造される導電性繊維は、3次元的に絡み合っている複数のカーボンナノチューブからなる第二領域(表層部)を有する導電性繊維を得ることができる。
次に、このカーボンナノチューブからなる第二領域(表層部)を有する導電性繊維表面に、一般式(1)で示されるイミダゾリウム型イオン液体と一般式(2)で示されるアンモニウム型イオン液体を混合したイオン液体を含浸させることにより、図1に示すように、本発明に係る成形体の一実施形態である導電性繊維を得ることができる。
イオン液体を導電性繊維表面に含浸させる際に、混合イオン液体を0.1%以上5%以下に純水で希釈し、その希釈水中に導電性繊維を浸けるか、または導電性繊維表面に希釈水を滴下する方法が好適に用いられる。
制電性繊維構造体の表面抵抗率は、酸素プラズマ処理またはアルカリ処理時間の制御と、酸素プラズマ処理またはアルカリ処理後の混合イオン液体の含浸量の制御により、10Ω/□から10Ω/□に制御することが可能である。また、混合イオン液体が含浸されていることにより、難燃性が付与される。
本発明に係る成形体の一実施形態である制電性成形体を構成する導電性フィルムは、溶融押出成形法を用いることにより製造することができる。
図2(a)に示す二層構造の導電性フィルムは、カーボンナノチューブが均一に分散されたポリエステルのペレットを用意し、ペレットをシリンダー内で加熱し、スクリューで加圧した溶融状態の樹脂をTダイと呼ばれる直線状のリップを持つ金型から連続的に押し出し、冷却することで製造される。
一方、図2(b)に示す三層構造の導電性フィルムは、溶融押出成形法の一つである共押出成形法を用いることにより製造することができる。
この際、ポリエステルのペレットとカーボンナノチューブが均一に分散されたポリエステルのペレットを用意し、コア部がポリエステル、上下表層部にカーボンナノチューブが均一に分散されたポリエステルになるように、3つの押出機で別々に溶融状態にし、前記3つの押出機から供給された溶融状態の樹脂をTダイのリップ部の直前で接触させ三層構造とし、リップ部から連続的に押し出し、冷却することで製造される。
溶融押出成形法により図2(a)または(b)に示す導電性フィルムを製造する際に、Tダイの内面を、カーボンナノチューブが均一に分散された溶融状態のポリエステルが流れ、リップ先端部から押し出される。
カーボンナノチューブが均一に分散された溶融状態のポリエステルが、Tダイ内面を流れる際に、溶融状態の樹脂の先端部においては、リップ断面の中心から周囲の口金内面へ噴出するように、いわゆるファウンテン流動をする。
この際、リップ内面に接した溶融状態の樹脂は、リップ内面で急冷されたスキン層を形成する。このスキン層中には、カーボンナノチューブは含有されず、ポリエステルのみで形成される。
溶融押出成形法で作製した未延伸の導電性フィルムを加熱型二軸延伸装置により、加熱しながらフィルムの縦方向および横方向に延伸することにより、配向結晶化した導電性フィルムを得ることができる。
加熱延伸処理した導電性フィルム表面には、溶融押出成形法により製造された導電性フィルムを例にとると、図3(b)に示すように前スキン層16が存在する。
そのため、この状態の導電性フィルムの表面抵抗率は、10Ω/□以下にすることは困難である。このスキン層を除去し、さらにスキン層の内部に存在する、ポリエステル中でカーボンナノチューブが絡み合ってなる構成を有する層中のポリエステルのみを選択的に除去するために、酸素プラズマ処理またはアルカリ処理が好適に用いられる。
酸素プラズマ処理またはアルカリ処理時間を制御することにより、溶融押出成形法で製造される単層の導電性フィルムについては、図5(a)に示すように、また共押出成形法で製造される3層の導電性フィルムについては、図5(b)に示すように、3次元的に絡み合っている複数のカーボンナノチューブからなる第二領域(表層部)を有する導電性フィルムを得ることができる。
次に、カーボンナノチューブからなる第二領域(表層部)を有する導電性フィルム表面に、一般式(1)で示されるイミダゾリウム型イオン液体と一般式(2)で示されるアンモニウム型イオン液体を混合したイオン液体を含浸させることにより、図2に示すように、本発明に係る成形体の一実施形態である制電性成形体を構成する導電性フィルムを得ることができる。
このイオン液体を導電性フィルム表面に含浸させる際に、イオン液体を0.1%以上5%以下に純水で希釈し、その希釈水中に導電性フィルムを浸けるか、または導電性フィルム表面に希釈水を滴下する方法が好適に用いられる。
制電性成形体の表面抵抗率は、酸素プラズマ処理またはアルカリ処理時間の制御と、酸素プラズマ処理またはアルカリ処理後の混合イオン液体の含浸量の制御により、10Ω/□から10Ω/□に制御することが可能である。
また、混合イオン液体が含浸されていることにより、難燃性が付与される。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
固有粘度(以下IV値と略す)が0.8で、直径3mm、長さ5mmのポリエチレンテレフタレート樹脂のペレットを凍結粉砕後、分級により粒径150μm以下の微粉末を作製した。次に、粒径150μm以下のポリエチレンテレフタレート微粉末と、長さが5μm以下で平均長さ3μm、アスペクト比が400以下で平均アスペクト比が200のカーボンナノチューブを、カーボンナノチューブが4重量%になるようにドライブレンドした後、二軸エクストルーダーで混練・溶融することで、カーボンナノチューブが均一に分散されたポリエチレンテレフタレート樹脂コンパウンドのペレット(以下ペレットAと略す)を作製した。
次に、カーボンナノチューブが均一に分散されたペレットAを、140℃で、4時間乾燥させた。
次に、前記ペレットAを二軸エクストルーダーに導入し、紡糸温度290℃にて、口径0.3mm、孔数が36個の丸形孔の口金を有する溶融紡糸ノズルから、前記カーボンナノチューブが均一に分散されたポリエチレンテレフタレート樹脂のペレットの溶融物を吐出させて紡糸した。
得られた紡出糸条は、冷却長1mの冷却装置を用いて、冷却風によって冷却・固化させ、油剤(実効成分10重量%濃度)を付着させると共に、1000m/分で巻き取って、繊維径38μmの未延伸マルチフィラメント糸を作製した。得られたマルチフィラメント糸を、温度150℃で、延伸倍率2倍になるように熱延伸して、36本の、繊維径27μmの導電性繊維からなるマルチフィラメント糸を作製した。
次に、前記繊維径27μmの導電性繊維からなるマルチフィラメント糸を用いて、経および緯に格子状の間隔配列で挿入してなる高密度織物を作製した。
次に、前記高密織物をアルカリ処理した。アルカリ処理は、濃度3重量%、温度65℃の水酸化ナトリウム水溶液中に、高密度織物を浸漬し、緩やかに撹拌しながら240分保持することで行った。処理後、十分に水で洗浄した後、70℃で90分間乾燥処理を行った。
次に、一般式(1)で示される化合物のイミダゾリウム型のイオン液体で、R1にヒドロキシル基を有し、下記構造式で示される1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下イオン液体Aと略す)を用意した。
Figure 2013244673
次に、一般式(2)で示される化合物のアンモニウム型のイオン液体で、R6にヒドロキシル基を有し、下記構造式で示されるコリンビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下イオン液体Bと略す)を用意した。
Figure 2013244673
次に、イオン液体Aとイオン液体Bの重量比が、A:B=95:5になるように混合イオン液体を作製し、さらにこの混合イオン液体の希釈液を作製した。
希釈は、純水に対して1重量%の混合イオン液体を混合・撹拌で行った。
次に、前記希釈液中に、アルカリ処理・乾燥後の高密度織物を5分間浸漬し、その後70℃で90分間乾燥処理を行った。
混合イオン液体を含浸・乾燥後の高密度織物の表面抵抗率は、2×10Ω/□であった。
また、混合イオン液体を含浸させた高密度織物を水中42kHzの超音波処理を10分間行い、超音波処理前後で織物表面と、イオン液体を含浸する前の織物表面のSEM観察、および炭素、酸素、イオウおよびフッ素の元素マップ像を測定した。
混合イオン液体を含浸する前のSEM観察で、織物を構成する導電性繊維表面から3次元的に絡まり合ったカーボンナノチューブが観察された。また、その表面の元素マップ像から、炭素および酸素が繊維表面全面から測定された。
次に、混合イオン液体を含浸し超音波処理前のSEM観察で、織物を構成する導電性繊維表面から、3次元的に絡まり合ったカーボンナノチューブ表面にイオン液体が存在することを確認した。
さらに、元素マップ像から、炭素、酸素、硫黄およびフッ素が繊維表面全面から測定された。硫黄およびフッ素は、カーボンナノチューブ表面には存在せず、イオン液体を構成する元素であることから考えて、イオン液体であると考えられる。すなわち、イオン液体が導電性繊維全面に存在することを確認した。
次に、超音波処理後のSEM観察で、超音波処理前と同様に、織物を構成する導電性繊維表面から、3次元的に絡まり合ったカーボンナノチューブ表面に前記イオン液体が存在することを確認した。
さらに、元素マップ像から、炭素、酸素、硫黄およびフッ素が繊維表面全面から測定された。このことから、イオン液体は、カーボンナノチューブ表面に存在し、さらカーボンナノチューブ表面に化学的な結合で固着していることが推察される。
次に、高密度織物について、イオン液体を含浸前後の難燃性評価を行った。難燃性評価は、材料が燃焼を持続するのに必要な最低酸素濃度(容量%)で定義される酸素指数を測定する酸素指数燃焼法試験法にて行った。
測定の結果、混合イオン液体を含浸する前で酸素指数は19.0であり、また混合イオン液体を含浸した後で酸素指数は22.7であった。すなわち、イオン液体を含浸することによって、難燃性が向上する結果が得られた。
次に、高密度織物について、連続通電に伴う表面抵抗率の変化を測定した。通電開始から30分間は、表面抵抗率は低下した。しかし、通電30分以上では、表面抵抗率はほぼ6×10Ω/□を維持し、通電時間24時間経過後も表面抵抗率の増加は確認されなかった。
[実施例2から14、比較例1から2]
実施例1において、イオン液体Aとイオン液体Bの混合比を変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、混合イオン液体を含浸した高密度織物を作製した。
次に、混合イオン液体を含浸した高密度織物を実施例1と同様に、水中で超音波処理を行った。超音波処理後、織物を構成する導電性繊維表面のSEM観察および元素マップ測定を行い、イオン液体が存在する評価を行った。
その結果を、表1に示す。表中の○は超音波処理後、導電性繊維表面に混合イオン液体が存在することを示し、×は超音波処理後、導電性繊維表面に混合イオン液体が存在しないことを示す。
表1から、混合イオン液体中のイオン液体Aの含有量が、1重量%以上99重量%以下である場合に、超音波処理後も混合イオン液体がカーボンナノチューブに保持されていることが明らかとなった。
Figure 2013244673
[実施例15]
実施例1において、カーボンナノチューブを5重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様な方法で、ペレットBを作製した。
次に、IV値が0.95のポリエチレンテレフタレートのペレット(以下ペレットCと略す)と前記ペレットBを、140℃で、4時間乾燥させた。
乾燥後直ちに、ペレットCを芯部に、前記ペレットBを鞘部になるように、二つの二軸エクストルーダーに別々に導入し、紡糸温度290℃にて、口径0.3mm、孔数が36個の丸形孔の口金を有する芯鞘型複合ノズルから、芯部と鞘部の面積比が5:5になるように、前記ペレットCおよびペレットBの溶融物を吐出させて紡糸した。得られた芯鞘構造の紡出糸条は、実施例1と同様に1000m/分で巻き取って、繊維径32μmの未延伸マルチフィラメント糸を作製した。溶融紡糸時の紡糸性およびその後の1000m/分での巻き取り時の延伸性は良好であった。
次に、得られた未延伸マルチフィラメント糸を、温度150℃で、延伸倍率3.5倍になるように熱延伸して、36本の、繊維径18μmの導電性繊維からなるマルチフィラメント糸を作製した。
次に、実施例1と同様な方法で、前記18μmの導電性繊維からなるマルチフィラメント糸を用いて、経および緯に格子状の間隔配列で挿入してなる高密度織物を作製した。
次に、実施例1と同様な方法で、混合イオン液体を含浸した高密度織物を作製した。
混合イオン液体を含浸させた高密度織物の表面抵抗率は、4×10Ω/□であった。
次に、混合イオン液体を含浸した高密度織物を実施例1と同様に、水中で超音波処理を行い、処理前後で織物を構成する導電性繊維表面のSEM観察および元素マップ測定を行った。その結果、超音波処理後も混合イオン液体がカーボンナノチューブに保持されていることが明らかとなった。
[実施例16]
実施例1において、カーボンナノチューブの含有量が3.0重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様な方法で、カーボンナノチューブが均一に分散されたポリエチレンテレフタレート樹脂コンパウンドのペレット(以下ペレットDと略す)を作製した。
次に、前記ペレットDを、140℃で、4時間乾燥させた。
次に、前記のペレットDを、Tダイを備え280から290℃の温度に加熱した単軸押出機に供給し溶融した後、未延伸フィルムを作製した。
次に、該未延伸フィルムを150℃で2倍に縦方向に延伸処理を行い、さらに150℃で3倍に横方向に延伸処理を行い、厚さ500μmの延伸フィルムを作製した。
次に、実施例1と同様な方法で、前期延伸フィルムのアルカリ処理を行った。
次に、実施例1と同様な方法で、混合イオン液体の希釈液を作製した。
次に、実施例1と同様な方法で、前期アルカリ処理・乾燥後の延伸フィルムを5分間浸漬し、乾燥処理を行った。
混合イオン液体を含浸・乾燥後の延伸フィルムの表面抵抗率は、4×10Ω/□であった。
[実施例17]
実施例1において、カーボンナノチューブの含有量が6重量%に変更したこと以外は、実施例1と同様な方法で、カーボンナノチューブが均一に分散されたポリエチレンテレフタレート樹脂コンパウンドのペレット(以下ペレットEと略す)を作製した。
次に、実施例15に記載のペレットCと前記ペレットEを、140℃で、4時間乾燥させた。
次に、前記のペレットCおよびペレットEを、Tダイを備え280から290℃の温度に加熱した単軸押出機にそれぞれ供給し溶融した後、Tダイ内部でE/C/Eの3層で積層して、未延伸フィルムを作製した。
次に、該未延伸積層フィルムを150℃で3倍に縦方向に延伸処理を行い、さらに150℃で4倍に横方向に延伸処理を行い、厚さ300μmの延伸積層フィルムを作製した。延伸積層フィルムを構成するE/C/E各層の膜厚は、100μm/100μm/100μmであった。
次に、実施例15と同様な方法で、混合イオン液体を含浸した延伸フィルムを作製した。
混合イオン液体を含浸・乾燥後の延伸フィルムの表面抵抗率は、8×10Ω/□であった。
次に、延伸フィルムについて、連続通電に伴う表面抵抗率の変化を測定した。通電開始から40分間は、表面抵抗率は低下した。しかし、通電40分以上では、表面抵抗率はほぼ3×10Ω/□を維持し、通電時間24時間経過後も表面抵抗率の増加は確認されなかった。
本発明のポリエステルからなる成形体は、難燃性を有し、表面抵抗率が低く、安定した制電性を有するので、産業用電気機器の静電気対策部品に利用することができる。
11 二層構造成形体の第一領域
12 二層構造成形体の第二領域
13 三層構造成形体の基材
14 三層構造成形体の第一領域
15 三層構造成形体の第二領域
16 スキン層
110 基材
111 イオン液体
112 カーボンナノチューブ

Claims (9)

  1. 第一領域と前記第一領域を被覆して配置されている第二領域とを有する成形体であって、前記第一領域はポリエステルと、カーボンナノチューブを含有しており、前記第二領域はカーボンナノチューブと、下記一般式(1)で示される化合物と、下記一般式(2)で示される化合物を含有しており、且つ前記第二領域における一般式(1)で示される化合物の含有量は、一般式(1)で示される化合物と一般式(2)で示される化合物の合計に対して1重量%以上99重量%以下であることを特徴とする成形体。
    Figure 2013244673

    (式中、R1とR3はどちらか一方が末端にヒドロキシル基を有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、もう一方が水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。X−はアニオンを表す。)
    Figure 2013244673

    (式中、R6乃至R9は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。ただし、前記R6乃至R9のうちの1つは末端にヒドロキシル基を有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。X−はアニオンを表す。)
  2. 前記アニオンは、(CFSONであることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  3. 前記成形体は、基材をさらに有し、前記基材は前記第一領域により被覆されて配置していることを特徴とする請求項1または2に記載の成形体。
  4. 前記カーボンナノチューブは、他の前記カーボンナノチューブと3次元的に絡み合っていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の成形体。
  5. 表面抵抗率が10Ω/□から10Ω/□であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の成形体。
  6. 前記成形体は、繊維、布またはフィルムであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の成形体。
  7. ポリエステルとカーボンナノチューブを含有するペレットを押出成形して第一領域を形成する工程と、前記第一領域の表面に形成されたポリエステルからなるスキン層を除去する工程と、さらに前記第一領域表層に存在するポリエステルを除去した第一領域に、下記一般式(1)で示される化合物と下記一般式(2)で示される化合物を含有し、一般式(1)で示される化合物の含有量は1重量%以上99重量%以下である溶液を含浸させて、前記第一領域を被覆した第二領域を形成する工程とを有することを特徴とする成形体の製造方法。
    Figure 2013244673

    (式中、R1とR3はどちらか一方が末端にヒドロキシル基を有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、もう一方が水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。X−はアニオンを表す。)
    Figure 2013244673

    (式中、R6乃至R9は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。ただし、前記R6乃至R9のうちの1つは末端にヒドロキシル基を有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。X−はアニオンを表す。)
  8. 前記第一領域を形成する工程において、基材のペレットを同時に押出成形して、前記基材を前記第一領域により被覆することを特徴とする請求項7に記載の成形体の製造方法。
  9. 前記成形体は、繊維、布またはフィルムであることを特徴とする請求項7または8に記載の成形体の製造方法。
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