JP2013242963A - ピックアップレンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】少なくとも3種類の光ディスクに実用可能なピックアップレンズを提供する。
【解決手段】ピックアップレンズの1面には複数の輪帯が存在し、輪帯が形成された面を、光軸を含む第1領域、第1領域の外側に隣接する同心円状の第2領域、第2領域の外側に隣接する同心円状の第3領域に分けたとき、第1領域に相当する範囲の波長λ1、λ2、λ3のレーザビームは、各々、基板厚さt1、t2、t3の情報記録媒体に集光し、第2領域に相当する範囲の波長λ1、λ2のレーザビームは、各々、基板厚さt1、t2の情報記録媒体に集光する一方で、第2領域に相当する範囲の波長λ3のレーザビームは、基板厚さt3の情報記録媒体に集光せず、第3領域に相当する範囲の波長λ1のレーザビームは基板厚さt1の情報記録媒体に集光する一方で、第3領域に相当する範囲の波長λ2、λ3のレーザビームは、各々、基板厚さt2、t3の情報記録媒体に集光しない。
【選択図】図1
【解決手段】ピックアップレンズの1面には複数の輪帯が存在し、輪帯が形成された面を、光軸を含む第1領域、第1領域の外側に隣接する同心円状の第2領域、第2領域の外側に隣接する同心円状の第3領域に分けたとき、第1領域に相当する範囲の波長λ1、λ2、λ3のレーザビームは、各々、基板厚さt1、t2、t3の情報記録媒体に集光し、第2領域に相当する範囲の波長λ1、λ2のレーザビームは、各々、基板厚さt1、t2の情報記録媒体に集光する一方で、第2領域に相当する範囲の波長λ3のレーザビームは、基板厚さt3の情報記録媒体に集光せず、第3領域に相当する範囲の波長λ1のレーザビームは基板厚さt1の情報記録媒体に集光する一方で、第3領域に相当する範囲の波長λ2、λ3のレーザビームは、各々、基板厚さt2、t3の情報記録媒体に集光しない。
【選択図】図1
Description
本発明は、ピックアップレンズに関する。
従来より、CDやDVDなど、数種の光ディスクを1つの装置で記録或いは再生することが可能な互換型光ディスク装置が提案されている。
このような互換型光ディスク装置では、CDやDVDなど(以下、これらをまとめて光ディスクという)のそれぞれに記憶された情報信号を記録或いは再生するために、光源からのレーザビームをそれぞれの光ディスクの情報記録面に透明基板を介して集光させる必要がある。しかしながら、(i)CDの記録或いは再生時に用いられるレーザビームの波長とDVDの記録或いは再生時に用いられるレーザビームの波長とは異なり、(ii)CDの透明基板の厚さは1.2mmであるのに対してDVDの透明基板の厚さは0.6mmでり、透明基板の厚さも異なる。従って、従来よりレーザビームを光ディスクの情報記録面に透明基板を介して集光させるために用いられていた光ピックアップレンズを、そのまま互換型光ディスク装置においてCDとDVDで共用したのでは、前記(i)及び(ii)を起因として発生する収差により、CDとDVDでそれぞれ用いられるレーザビームをそれぞれの光ディスクの情報記録面に回折限界近くまで集光させることができない。
このような互換型光ディスク装置では、CDやDVDなど(以下、これらをまとめて光ディスクという)のそれぞれに記憶された情報信号を記録或いは再生するために、光源からのレーザビームをそれぞれの光ディスクの情報記録面に透明基板を介して集光させる必要がある。しかしながら、(i)CDの記録或いは再生時に用いられるレーザビームの波長とDVDの記録或いは再生時に用いられるレーザビームの波長とは異なり、(ii)CDの透明基板の厚さは1.2mmであるのに対してDVDの透明基板の厚さは0.6mmでり、透明基板の厚さも異なる。従って、従来よりレーザビームを光ディスクの情報記録面に透明基板を介して集光させるために用いられていた光ピックアップレンズを、そのまま互換型光ディスク装置においてCDとDVDで共用したのでは、前記(i)及び(ii)を起因として発生する収差により、CDとDVDでそれぞれ用いられるレーザビームをそれぞれの光ディスクの情報記録面に回折限界近くまで集光させることができない。
また、近年、超高密度記録対応の光ディスク(ブルーレイ、HD−DVD)対応の光ディスク装置が提案されている。そして、CDやDVDの記録或いは再生だけではなく、超高密度記録対応の光ディスクの記録或いは再生もできる互換型光ディスク装置の開発が期待される。従来の互換型光ディスク装置では、2種類の光源波長と2種類の厚さが異なる透明基板に対応すれば良かったが、開発が期待されている互換型光ディスク装置では、最大3種類の光源波長と最大3種類の厚さが異なる透明基板に対応する必要がある。
最大3種類の光源波長と最大3種類の厚さが異なる透明基板に対応するために、光ピックアップ装置に、光ディスクの種類毎に収差が発生しないような複数の光ピックアップレンズを設け、使用する光ディスクの種類に応じて光ピックアップレンズを交換することが考えられる。また、光ディスクの種類毎に光ピックアップ装置を設け、使用する光ディスクの種類に応じて光ピックアップ装置を交換することも考えられる。しかしながら、コストの低減や装置の小型化のためには、光ピックアップレンズとして、いずれの光ディスクに対しても共通のレンズを用いることが望ましい。
複数種類の光ディスクに対応可能な光ピックアップレンズの例が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された光ピックアップレンズは、複数段の輪帯状凹部や凸部を形成することによりDVD再生時の再生特性をほとんど犠牲にすることなく、CD再生時の収差を抑制でき、1つの集光レンズでDVDとCDの2種類の光ディスクに対応できる。特許文献1に開示された光ピックアップレンズでは、当該輪帯状凹部或いは凸部の深さ又は高さ(以下、単に段差量)hは、輪帯状凹部或いは凸部がない部分と輪帯状凹部或いは凸部の部分との光路長差がDVD用の波長の略整数倍になるように設定されている。すなわち、当該輪帯状凹部或いは凸部の単位段差量hは、h≒m×λ1/(n1−1)で表される。ここに、mは自然数、λ1はDVD用の光源波長、n1は光ピックアップレンズの屈折率である。
上述の特許文献1に開示された光ピックアップレンズは、複数種類の光ディスクの記録或いは再生できるので、光ディスク毎に光ピックアップレンズや光ピックアップ装置を交換するための装置が不要となり、コストの面や構成の簡略化の点で有利となる。
しかしながら、当該特許文献1に実施例として具体的に開示された光ピックアップレンズは、2つの問題点を有する。第1に、特許文献1にかかる光ピックアップレンズでは、DVDとCDについて波面収差が小さくなるように光ピックアップレンズ表面に複数段の輪帯状凹部や凸部が設けられ、DVDについては十分に波面収差が小さいものとなっているが、CDについては必ずしも実用的に十分な波面収差低減効果が得られるものではない。
第2に、特許文献1では、DVDとCDについてのみ考慮されており、近年提案されている超高密度記録対応の光ディスク(ブルーレイ、HD−DVD)は考慮されていない。開発が期待されている互換型光ディスク装置では、DVDやCDの記録或いは再生だけではなく、超高密度記録対応の光ディスク(ブルーレイ、HD−DVD)の記録或いは再生もできることは、先にも述べたとおり今後の重要な課題である。
本発明の目的は、少なくとも3種類の光ディスクに対して実用可能なピックアップレンズを提供することにある。より詳細には、本発明の目的は、例えば、DVDとCDともに実用可能であり、かつブルーレイ、HD−DVDといった超高密度記録対応の光ディスクにも対応できるピックアップレンズを提供することにある。
本発明に係るピックアップレンズは、波長が異なる3つのレーザビームを用い、波長λ1のレーザビームでt1の情報記録媒体に記録再生し、波長λ2のレーザビームで基板厚さt2の情報記録媒体に記録再生し、波長λ3のレーザビームで基板厚さt3の情報記録媒体に記録再生するためのピックアップレンズであって、前記ピックアップレンズの少なくとも1面には、同心円状かつ階段状の非球面形状が個別に設定された複数の輪帯が存在し、前記輪帯が形成された面を、光軸を含む第1領域と、前記第1領域の外側に隣接する同心円状の第2領域と、前記第2領域の外側に隣接する同心円状の第3領域に分けた場合に、前記第1領域には2以上の輪帯が存在し、前記第1領域に相当する範囲の波長λ1、λ2、λ3のレーザビームは、各々、基板厚さt1、t2、t3の情報記録媒体に集光し、前記第2領域には2以上の輪帯が存在し、前記第2領域に相当する範囲の波長λ1、λ2のレーザビームは、各々、基板厚さt1、t2の情報記録媒体に集光する一方で、前記第2領域に相当する範囲の波長λ3のレーザビームは、基板厚さt3の情報記録媒体に集光せず、前記第3領域には2以上の輪帯が存在し、前記第3領域に相当する範囲の波長λ1のレーザビームは基板厚さt1の情報記録媒体に集光する一方で、前記第3領域に相当する範囲の波長λ2、λ3のレーザビームは、各々、基板厚さt2、t3の情報記録媒体に集光しない。
本発明によれば、一つのピックアップレンズでも使用波長が異なる複数種の光ディスク夫々に対して実用可能なピックアップレンズを提供することができる。
発明の実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光ピックアップ装置の一例を示したものである。当該光ピックアップ装置は、HD−DVD用の光源100、DVD用の光源101、CD用の光源102を備えている。光源100は波長λ1=405nmのレーザビームを、光源101は波長λ2=655nmのレーザビームを、光源102は波長λ3=790nmのレーザビームをそれぞれ出射する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光ピックアップ装置の一例を示したものである。当該光ピックアップ装置は、HD−DVD用の光源100、DVD用の光源101、CD用の光源102を備えている。光源100は波長λ1=405nmのレーザビームを、光源101は波長λ2=655nmのレーザビームを、光源102は波長λ3=790nmのレーザビームをそれぞれ出射する。
光源100と光源101のそれぞれから出射されたレーザビームの光路上にビームスプリッタ107が設けられている。ビームスプリッタ107は、光源100から出射されたレーザビームを通過させ、かつ光源101から出射されたレーザビームを反射させ、それぞれ光ディスク側に導く。
ビームスプリッタ107より出射したレーザビームと、光源102から出射したレーザビームの光路上にビームスプリッタ108が設けられている。ビームスプリッタ108は、ビームスプリッタ107から出射されたレーザビームを通過させ、かつ光源102から出射されたレーザビームを反射させ、それぞれ光ディスク側に導く。
ビームスプリッタ108より出射したレーザビームの光路上にコリメータレンズ103が設けられている。それぞれの光源101、102、103から出射されたレーザビームは、コリメータレンズ103に入射する段階では、それぞれ発散光である。コリメータレンズ103は、光源100から出射されたレーザビームと、光源101から出射されたレーザビームを発散光から略平行光に変換する。また、コリメータレンズ103は、光源102から出射されたレーザビームの発散角が狭くなるように変換し、出力する。但し、光源102から出射されたレーザビームは、コリメータレンズ103によって発散角の変換を受けた後も、発散光の状態を維持している。
コリメータレンズ103を通過したレーザビームの光路上に制限開口105が設けられている。制限開口105は、光ピックアップレンズ104の実効開口数を決定する素子である。具体的には、光ディスク106がHD−DVDである場合は、光ピックアップレンズ104の実効開口数が約0.65となるように制限開口105が動作する。また、光ディスク106がDVDである場合は、光ピックアップレンズ104の実効開口数が約0.60となるように制限開口105が動作する。さらに、光ディスク106がCDである場合は、光ピックアップレンズ104の実効開口数が約0.47となるように制限開口105が動作する。制限開口105としては、例えば特開平9−54977号公報記載の波長選択フィルタを用いることができる。
制限開口105を通過したレーザビームの光路上に光ピックアップレンズ104が設けられている。光ピックアップレンズ104は、入射された光を光ディスク106の情報記録面に回折限界近くまで集光させる機能を有する。光ピックアップレンズ104は、さらに、光ディスク106の情報記録面で反射されたレーザビームを検出系(図示せず)に導く機能も有する。当該光ピックアップレンズ104については、後に詳述する。
フォーカスサーボ時、及びトラッキングサーボ時には、光ピックアップレンズ104と制限開口105とが一体となって図示されないアクチュエータにより動作する。
なお、本実施の形態では、HD−DVD用、DVD用、CD用の光ディスク106の透明基板はポリカーボネイトとし、HD−DVD用、DVD用、CD用の光ディスク106の透明基板厚は、それぞれ0.6mm、0.6mm、1.2mmとした。図1において光ディスク106aがHD−DVD用、DVD用の光ディスクであり、光ディスク106bがCD用の光ディスクである。
次に、各光源100、101、102から出射されたレーザビームが光ディスク106の情報記録面で反射され検出系に検出されるまでの挙動について説明する。
光源100から出射されたレーザビームはビームスプリッタ107及びビームスプリッタ108を透過してコリメータレンズ103に入射する。光源101から出射されたレーザビームはビームスプリッタ107において反射され、ビームスプリッタ108を通過してコリメータレンズ103に入射する。光源102から出射されたレーザビームはビームスプリッタ108において反射されコリメータレンズ103に入射する。
コリメータレンズ103は、光源100から出射されたレーザビームと、光源101から出射されたレーザビームを発散光から略平行光に変換する。また、コリメータレンズ103は、光源102から出射されたレーザビームの発散角が狭くなるように変換し、出力する。
コリメータレンズ103を通過したレーザビームは制限開口105によってその実行開口数が制限される。制限開口105を通過したレーザビームは、光ピックアップレンズ104に入射する。光ピックアップレンズ104は、入射されたレーザビームを光ディスク106の情報記録面に回折限界近くまで集光させる。光ディスク106の情報記録面で反射されたレーザビームは、光ピックアップレンズ104を介して検出系(図示せず)に入射し、検出される。検出系(図示せず)は、当該レーザビームを検出し、光電変換することによって、フォーカスサーボ信号、トラックサーボ信号、再生信号などを生成する。
次に、本発明の実施の形態1にかかる光ピックアップ装置において用いられる光ピックアップレンズ104について詳細に説明する。
光ピックアップレンズ104は、上述のようにレーザビームを光ディスク106の情報記録面に集光させる役割を果たす素子である。図2に、当該光ピックアップレンズ104の正面図及び側面図を示す。本発明の実施の形態1にかかる光ピックアップレンズ104は、図2に示されるように、その片面は不連続な非球面形状を有する。すなわち、レーザビームの入射面には、位相差を生させる複数の輪帯状凹部又は凸部が、互いに隣接する輪帯状凹部又は凸部に対して予め定められた段差量hを有しながら同心円状に形成されている。ここで、当該輪帯状凹部又は凸部を構成する各非球面は、その形状がHD−DVD用の波長λ1とDVD用の波長λ2の波面収差を小さくするように最適化されている。
この場合、輪帯状凹部或いは凸部の単位段差hは、h≒m×λ1/(n1−1)で表される。なお、mは自然数、λ1はHD−DVD用の光源波長、n1は集光レンズの屈折率である。
本発明の実施の形態1にかかる光ピックアップレンズでは、特に、輪帯状凹部或いは凸部に上記単位段差hに基づく段差を与えた後、各輪帯を構成する非球面の形状を最適化し、HD−DVD用の波長λ1とDVD用の波長λ2の波面収差を共に小さくするようにしている。
ここで、特許文献1に記載された光ピックアップレンズにおいて発生する波面収差について比較例として説明する。図3は、当該特許文献1に記載されたデータに基づき光ピックアップレンズを設計した場合における、情報記録面上に生じる波面収差を計算した結果を示す。図3において、横軸は光ピックアップレンズの規格化半径であり、"0"が光ピックアップレンズの中心軸を表し、"1"が光ピックアップレンズの端を表す。同じく縦軸は波面収差を示す。光ピックアップレンズの輪帯構造はその中心軸(光軸)に対して同心円状になるようにその形状が定められるので、実際の波面収差分布は、図3の分布をそのグラフの縦軸を中心として回転させたものに相当する。図3中の破線がHD−DVD用の波長λ1を有するレーザビームに対する波面収差を示し、実線がDVD用の波長λ2を有するレーザビームに対する波面収差を示す。
図3のグラフによれば、HD−DVD用の波長λ1における波面収差ははぼ0であるが、DVD用の波長λ2における波面収差は約60mλrmsであることが読み取れる。これは、レーザビームを回折限界近くまで絞り込むことのできる限界の波面収差値であるマレシャルの評価基準値70mλrmsを下回ってはいる。しかし、レンズの製造時におけるレンズ面の偏芯の発生や、光ヘッドへの組み込み時における取り付け誤差によるレンズチルトの発生に基づき、製造段階での波面収差の発生が妨げられないことも考えれば、約60mλrmsという波面収差の値は必ずしも実用的に十分な値ではない。
特許文献1に開示された光ピックアップレンズでは、波面収差の計算結果からすると、DVDとCDで用いられる光源波長について波面収差を低減するように設計されていると推測される。これに対して、本発明の実施の形態1にかかる光ピックアップレンズでは、ブルーレイ、HD−DVDといった超高密度記録対応の光ディスクにも対応することを念頭において、まずHD−DVDとDVDで用いられる光源波長について波面収差を低減するように光ピックアップレンズを設計したものである。なお、理解が容易になるように、光線追跡により光ピックアップレンズの瞳面での波面収差に換算してある。
図4に本発明の実施の形態1にかかる光ピックアップレンズにおけるHD−DVDとDVDの波面収差を示す。この光ピックアップレンズにおいては、同心円状の輪帯構造は光ピックアップレンズのレーザビーム入射面側に形成され、先に述べたh≒m×λ1/(n1−1)であらわされる輪帯状凹部或いは凸部の単位段差hは、m=2で得られる値とした。また、図5に輪帯端位置とその輪帯深さに関するデータも示す。図5中の輪帯端位置とは、各輪帯の端が光ピックアップレンズの規格化半径に対してどこに位置するかを示す(図2参照)。また、図5中の段差とは、各輪帯のレンズのレーザビーム入射面中心位置を基準として各輪帯が光軸方向へどれだけの段差量を有しているかを示し、上記hの倍数で表される。段差が正のときはレンズ厚が厚くなる方向へ輪帯が形成され、段差が負のときはレンズ厚が薄くなる方向へ輪帯が形成される。
本発明の実施の形態1にかかる光ピックアップレンズでは、図6に示すフローチャートに従って設計する。最初に、段差量hを決定し、輪帯状凹部或いは凸部に段差量hを与える(S101)。このステップS101では、一方の波長のみでなく、両方の波長λ1、λ2、波長λ1のレーザビームに対するレンズの屈折率n1、波長λ2のレーザビームに対するレンズの屈折率n2、変数を因子とする算出式を予め用意しておく。そして、変数を所定の範囲内で定めて当該算出式に基づいて段差量を決定する。
次に、各輪帯を構成する非球面の形状を最適化し、HD−DVD用の波長λ1とDVD用の波長λ2の波面収差を共に小さくするようにする(S102)。
具体的には、例えば、同一出願人の特開2003−270528号(米国特許6,678,096号)に開示されているように、同心円状の輪帯構造を透過するλ1のレーザビームによって生じる波面収差とλ2のレーザビームによって生じる波面収差のうち、最大の波面収差をWmax、最小の波面収差をWminとしたとき、1≦Wmax/Wmin<1.8で基板厚さt1の光ディスクと基板厚さt2の光ディスクに対してそれぞれλ1のレーザビームとλ2のレーザビームが集光することが好ましい。好ましい範囲は、1≦Wmax/Wmin<1.6であり、さらに好ましい範囲は1≦Wmax/Wmin<1.4である。また、前記同心円状の輪帯構造を透過するλ1のレーザビームによって生じるRMS波面収差とλ2のレーザビームによって生じるRMS波面収差がいずれも0.040λ以下であることが望ましい。好ましい範囲は0.035λ以下である。若しくは、前記同心円状の輪帯構造を透過するλ1のレーザビームとλ2のレーザビームは、それぞれ基板厚さt1の光ディスクと基板厚さt2の光ディスクに対して、RMS波面収差が{(W1 2+W2 2)/2}1/2≦0.028(但し、λ1のレーザビームに対する波面収差W1、λ2のレーザビームに対する波面収差W2とする)となるように集光させることが好ましい。このRMS波面収差は、0.026であることが好ましく、さらに0.025や0.023であることがさらに好ましい。
図4に示される計算結果によれば、HD−DVD用の波長λ1における波面収差のrms値は約34mλrms、DVD用の波長λ2における波面収差のrms値は約35mλrmsであった。図4に示されるように、波長λ1に対する波面収差のグラフと波長λ2に対する波面収差のグラフは波面収差値0の軸を中心にほぼ線対称になっていることがわかる。即ち、波長λ1に対する波面収差と波長λ2に対する波面収差とはその絶対値が略等しく、かつ正負の符号が逆になるように設計されている。いずれの光ディスクに関しても、製造時に発生する波面収差を考慮しても光ディスクの情報記録面に回折限界近くまでレーザビームを集光することができる。
このように、段差量hを決定し、輪帯状凹部或いは凸部に決定した段差量hを与えた後、各輪帯を構成する非球面の形状を最適化する本発明にかかる光ピックアップレンズでは、2つの光ディスクで用いられる2つの波長で、各々波面収差を実用的に十分小さいレベルまで低減することができる。これは、前記特許文献1において開示された光ピックアップレンズでは得られなかった効果である。
以上により1つの光ピックアップレンズでHD−DVDとDVDの記録再生が可能となった。次に、HD−DVDとDVDだけではなくCDの記録再生をも1つの光ピックアップレンズで可能とするための手法について説明する。
図7は、上記手法によりHD−DVD用の波長λ1とDVD用の波長λ2の波面収差を共に小さくするように設計された光ピックアップレンズ104に対して、CDのレーザビームを平行光束にコリメートして入射させた場合の波面収差をあらわす。図6中の破線がHD−DVD用の波長λ1における波面収差を示し、実線がDVD用の波長λ2における波面収差を示す。また、太い実線がCD用の波長λ3における波面収差を示す。CDについての波面収差はなんら補償されていないため、CD用の波長λ3における波面収差は約261mλrmsと大きい。なお、CDの開口数は0.47とし、この場合の規格化半径は約0.72となる。
これに対して図8はCDについては有限系とした場合の波面収差を示す。有限系とは、CD用の波長λ3のレーザビームを平行光束にコリメートし光ピックアップレンズへ入射(以下、無限系という。)するのではなく、発散光として入射させ、その入射光の発散度合い、すなわち幾何光学的にいう光ピックアップレンズにとっての物像間距離を変えることにより球面収差が変化する性質を利用して、図7に示されるようなCDにおける波面収差を補正するものである。
図8におけるCD用の波長λ3における波面収差は約27mλrmsであり、光ピックアップレンズ製造時に発生する波面収差を考慮しても光ディスクの情報記録面に回折限界近くまでレーザビームを集光することができる。なお、かかる場合の物体間距離は約49.8mmであった。
このように、本発明の実施の形態1にかかる光ピックアップ装置は、HD−DVD用の波長λ1とDVD用の波長λ2の波面収差を共に小さくするように設計された光ピックアップレンズ104に対して、HD−DVD用の波長λ1とDVD用の波長λ2のレーザビームは無限系で入射させ、CD用の波長λ3のレーザビームは所定の有限系にて入射させているので、1つの光ピックアップレンズ104でHD−DVD、DVD及びCDの互換を確保できる。
但し、HD−DVD用の波長λ1とDVD用の波長λ2の波面収差を共に小さくするように光ピックアップレンズ104に構築する同心円状の輪帯構造を設計するに際しては、CD用の波長λ3のレーザビームが、その輪帯構造によって位相差を付加されにくいような同心円状の輪帯構造とすることが望ましい。具体的には、輪帯構造によってCD光源の光に付加される位相差(収差)が極力CD波長の整数倍に近いほどよい。
図9は、先に述べたh≒m×λ1/(n1−1)で表される単位段差hにおいて、m=3とした場合におけるHD−DVD用の波長λ1とDVD用の波長λ2とCD用のレーザビームλ3の波面収差を計算した結果である。HD−DVD用の波長λ1とDVD用の波長λ2の波面収差は、m=2として得られた図8に示される波面収差とほぼ同等の結果が得られるのに対して、CD用の波長λ3のレーザビームでは、有限系を採用しても波面収差を十分に低減することはできない。CD用の波長λ3のレーザビームにおける波面収差に複数箇所の大きな不連続点が現れているが、その半径位置に輪帯の段差が形成されており、輪帯の段差によってCD用の波長λ3のレーザビームに大きな位相差が付加されてしまっているからである。このCD用の波長λ3のレーザビームにおいて生じる輪帯の段差に起因した波面収差は、有限系を採用しても十分に低減することは困難である。一方、図8で示したCD用の波長λ3のレーザビームの波面収差においても、図9に示したものと同様に複数箇所の不連続点が現れているが、いずれも0.1λ以下であり小さい。これは、CD用の波長λ3のレーザビームに大きな位相差が付加されにくい単位段差hとなっているからである。
CD用の波長λ3のレーザビームに大きな位相差が付加されにくい単位段差hは、本実施の形態では例えばm=2の場合に得られるが、これは、単位段差hがh≒m×λ1/(n1−1)で規定され、λ1の値とn1の値で決定されるものであるから、全ての場合においてm=2が最適であるとは限らない。本実施の形態では、λ1=405nmとし、レンズ材料としてはプラスチック系の材料を用いたため、n1=1.52であった。なお、m=2の場合とまったく同様にして、m=8、m=10の場合等でも、HD−DVD用の波長λ1とDVD用の波長λ2の波面収差を共に小さくしながら、CD用の波長λ3のレーザビームに大きな位相差が付加されにくい効果が得られる。また、CD用の波長λ3のレーザビームに大きな位相差が付加されにくい段差量は、CDにおける実用的な波面収差を得る観点から、CD用の波長λ3のレーザビームの波面収差における各不連続点の位相差が概ね0.15λ以下となるように選択することが望ましく、さらに、0.10λ以下となるように選択することが好ましい。ただし、局所的に0.15λを超えても波面収差全体として与える効果は小さいから、この点にも留意して段差量を選択すべきである。
図15〜図17は、上記最適化の結果得られた、図1中に示した光ピックアップレンズ104とディスク106のレンズデータであり、図15はHD−DVD、図16はDVD、図17はCDの場合に相当する。光ピックアップレンズ104の材質はプラスチック相当とし、ディスク109の透明基板はポリカーボネイト(PC)とした。これら材質の波長ごとの屈折率は、図15〜図17に示したとおりである。また、「AIR」とは面と面との間が空気で満たされていることを意味する。
図18〜図20は、光ピックアップレンズ104の非球面形状を数式で表現したものである。一般的に、図22に表した座標系において、レンズの非球面の形状は、いわゆるサグzの表現で下記(1)式のように表される。なお、c=1/Rである。
この(1)式のパラメータを用いて、光ピックアップレンズ104の物体側の面を表記すると、図18,図19で示したようになる。すなわち、図2に示したように光ピックアップレンズ104の物体側の面は不連続な非球面形状を有するので、その不連続な非球面形状を構成する領域ごとにその非球面形状が表記される。連続な非球面形状からなる像側の面は図20で表される。図18〜図20中の「領域の範囲」とは各領域において(1)式で表される非球面形状が有効なレンズ半径(単位はmm)を表す。また、図18〜図20中の「B」は光軸上のサグ量(単位はmm)を表す。なお、図18〜図20で表される各パラメータの値はHD−DVDとDVDの記録あるいは再生時の波面収差を極力小さく抑えるように決定された結果である。
図18,図19に示すように、光ピックアップレンズ104の物体側の面は9個の輪帯状の領域からなり、光軸を含む領域からレンズ外側方向へ数えて7番目までの領域は、HD−DVDとDVDの記録再生時において共に使用する領域であることから、以下、HD−DVD/DVD共通使用領域と呼ぶことにする。同じく8番目及び9番目の領域は、HD−DVDの記録再生時のみにおいて用いられ、DVDの記録再生時には用いられない領域であるため、HD−DVD専用使用領域と呼ぶことにする。
図21には、図18〜図20に示した各非球面部において、第1区間の概略の光路長を基準とした時にHD−DVD/DVD共通使用領域とHD−DVD専用使用領域に相当する第2〜9区間の概略光路長が、それぞれ概略で波長λの何倍ずれているかが示されている。
図21よりわかるように、第2〜9区間が波長405nmのHD−DVDに対しては2mλの差、波長655nmのDVD及び波長790nmのCDに対してはmλの差(mは整数)となっている。これは、短い方の波長λ1が380〜430nmの間に、長い方の波長λ2が波長630〜680nmの間にあり、λ3が波長790nm付近にあるので、上記した概略光路長の差の関係を満足しやすいためである。
発明の実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2にかかる光ピックアップ装置の構成例を示したものである。当該光ピックアップ装置の基本的な構成は、図1に示される発明の実施の形態1にかかる光ピックアップ装置と同じであり、特徴的な構成要素である光ピックアップレンズ104も同じものを用いることができる。発明の実施の形態1では、CD用の波長λ3のレーザビームを所定の有限系にて光ピックアップレンズ104に対して入射させることにより、CD用のレーザビームに対する波面収差を低減したのに対して、本発明の実施の形態2では、CD用の光源102と偏光ビームスプリッタ108の光路中に位相補償素子110を挿入することにより、CD用のレーザビームに対する波面収差を低減した。
図10は、本発明の実施の形態2にかかる光ピックアップ装置の構成例を示したものである。当該光ピックアップ装置の基本的な構成は、図1に示される発明の実施の形態1にかかる光ピックアップ装置と同じであり、特徴的な構成要素である光ピックアップレンズ104も同じものを用いることができる。発明の実施の形態1では、CD用の波長λ3のレーザビームを所定の有限系にて光ピックアップレンズ104に対して入射させることにより、CD用のレーザビームに対する波面収差を低減したのに対して、本発明の実施の形態2では、CD用の光源102と偏光ビームスプリッタ108の光路中に位相補償素子110を挿入することにより、CD用のレーザビームに対する波面収差を低減した。
本発明の実施の形態2では、全ての光源100、101、102のレーザビームが、コリメータレンズ103によって略平行光に変換されて、光ピックアップレンズ104に対して入射する。このままでは、CD用のレーザビームに対する波面収差は図7に示したように大きくなってしまうことは発明の実施の形態1において述べたとおりである。
そこで、本発明の実施の形態2ではCDに有限系を用いない代わりに、CD用の光源102と偏光ビームスプリッタ108の光路中に位相補償素子110を挿入し、CD用のレーザビームに対する波面収差を低減した。以下、位相補償素子110について説明する。
CDも無限系を採用した場合の波面収差の計算結果を図11に示す。図11に示されるように、この場合の波面収差は、最大で0.5λ以上ある。このような波面収差を低減するための位相補償素子110の例を図12に示した。図12の上側に当該位相補償素子110の正面図を、同図の下側に当該位相補償素子110の側面図をそれぞれ示す。図12に示されるように、位相補償素子110は複数の同心円状の位相補正要素からなり、各位相補正要素ではそれぞれレーザビームに与える位相差量が異なる。同心円状の位相補正要素を位相補償素子110の中心のほうからp1、p2、・・・、pnとし、その各外延をb1、b2、・・・、bnとすると、本実施の形態2では、各位相補正要素で与える位相差を、p1=0λ、p2=−0.12λ、p3=−0.24λ、p4=−0.36λ、p5=−0.48λ、p6=−0.36λ、p7=−0.24λ、p8=−0.12λ、p9=0λとした場合、各位相補正要素の外延は、光ピックアップレンズのHD−DVD或いはDVDにおける最大の有効径から逆算される位相補償素子110挿入位置における最大の有効径で規格化した値として、b1=0.204、b2=0.262、b3=0.363、b4=0.507、b5=0.549、b6=0.601、b7=0.651、b8=0.674、b9=1となる(図11、図13参照)。
図14は、CDの記録或いは再生時に光ピックアップレンズ104により低減しきれない図11の実線で示した波面収差成分を位相補償素子110を用いて低減した場合の波面収差の計算結果を示す。補償後の波面収差は約40mλrmsであり、大幅に改善されているのがわかる。今回、各位相補正要素で与える位相差を、−0.12λの倍数としたが、例えば−0.10λの倍数とすれば、さらに波面収差のrms値を低減することが可能である。ただし、位相補償素子110をさらに多くの各位相補正要素で構成しなければならない。さらには、今回、各位相補正要素で与える位相差を、ある値の倍数としたが、必ずしも各位相補正要素で与える位相差をある値の倍数にしなければならないわけではない。例えば、各位相補正要素の外延b1、b2、・・・、bnを光ピックアップレンズ104の不連続点a1、a2、・・・、am(図2参照)と極力一致しないように設定する方法もある。かかる場合、位相補償素子110と、光ピックアップレンズ104との位置ずれに対しても許容度が増す点で有利である。
また、位相補償素子110は、例えば光透過特性に優れた平面板に同心円状の輪帯構造を設けることによって実現できる。例えば本実施の形態2ならば、互いに隣接する輪帯同士で概ね−0.2λ以内の位相差、より好ましくは−0.12λの位相差が発生するような単位段差となるように輪体構造を設計すればよい。
なお、図10中の光ピックアップレンズ104とディスク106のレンズデータは、図15〜図17、及び図18〜図20に示したものと同じである。
発明の実施の形態3.
上記実施の形態1と実施の形態2は超高密度記録対応の光ディスクとしてHD−DVDを考慮したものであるが、ブルーレイを考えた場合でも、同様に設計することにより実現することができる。本実施の形態3はブルーレイを考慮したものである。
上記実施の形態1と実施の形態2は超高密度記録対応の光ディスクとしてHD−DVDを考慮したものであるが、ブルーレイを考えた場合でも、同様に設計することにより実現することができる。本実施の形態3はブルーレイを考慮したものである。
図23は、上記最適化の結果得られた、図1中に示した光ピックアップレンズ104とディスク106のレンズデータであり、図23(a)はブルーレイ、図23(b)はDVD、図23(c)はCDの場合に相当する。光ピックアップレンズ104の材質はガラス相当とし、ディスク109の透明基板はポリカーボネイト(PC)とした。これら材質の波長ごとの屈折率は、図23(a)〜(c)に示したとおりである。また、「AIR」とは面と面との間が空気で満たされていることを意味する。
図24〜図29は、光ピックアップレンズ104の非球面形状を数式で表現したものである。一般的に、図22に表した座標系において、レンズの非球面の形状は、いわゆるサグzの表現で上記(1)式のように表される。なお、c=1/Rである。
(1)式のパラメータを用いて、光ピックアップレンズ104の物体側の面を表記すると、図24〜図29で示したようになる。すなわち、図2に示したように光ピックアップレンズ104の物体側の面は不連続な非球面形状を有するので、その不連続な非球面形状を構成する領域ごとにその非球面形状が表記される。連続な非球面形状からなる像側の面は図30で表される。図24〜図30中の「hの範囲」とは各領域において(1)式で表される非球面形状が有効なレンズ半径(単位はmm)を表す。また、図24〜図30中の「B」は光軸上のサグ量(単位はmm)を表す。なお、図24〜図30で表される各パラメータの値はブルーレイとDVDの記録あるいは再生時の波面収差を極力小さく抑えるように決定された結果である。
図24〜図29に示すように、光ピックアップレンズ104の物体側の面は31個の輪帯状の領域からなり、光軸を含む領域からレンズ外側方向へ数えて29番目までの領域は、ブルーレイとDVDの記録再生時において共に使用する領域であることから、以下、ブルーレイ/DVD共通使用領域と呼ぶことにする。同じく30番目及び31番目の領域は、ブルーレイの記録再生時のみにおいて用いられ、DVDの記録再生時には用いられない領域であるため、ブルーレイ専用使用領域と呼ぶことにする。
図31には、図24〜図29に示した各非球面部において、第1区間の概略の光路長を基準とした時にブルーレイ/DVD共通使用領域とブルーレイ専用使用領域に相当する第2〜31区間の概略光路長が、それぞれ概略で波長λの何倍ずれているかが示されている。
図31よりわかるように、第2〜29区間が波長405nmのブルーレイに対しては2mλの差、波長655nmのDVD及び波長790nmのCDに対してはmλの差(mは整数)となっている。これは、短い方の波長λ1が380〜430nmの間に、長い方の波長λ2が波長630〜680nmの間にあり、λ3が波長790nm付近にあるので、上記した概略光路長の差の関係を満足しやすいためである。また、図32にブルーレイ、DVD及びCDの波面収差図を示す。
100・・・HD−DVD用の光源
101・・・DVD用の光源
102・・・CD用の光源
103・・・コリメータレンズ
104・・・光ピックアップレンズ
105・・・制限開口
106・・・光ディスク
107・・・ビームスプリッタ
108・・・ビームスプリッタ
110・・・位相補償素子
101・・・DVD用の光源
102・・・CD用の光源
103・・・コリメータレンズ
104・・・光ピックアップレンズ
105・・・制限開口
106・・・光ディスク
107・・・ビームスプリッタ
108・・・ビームスプリッタ
110・・・位相補償素子
Claims (1)
- 波長が異なる3つのレーザビームを用い、無限遠からの波長λ1のブルーレイレーザビームで基板厚さt1の情報記録媒体に開口数NA1で集光し、無限遠からの波長λ2のDVDレーザビームで基板厚さt2の情報記録媒体に開口数NA2で集光し、波長λ3のCDレーザビームで基板厚さt3の情報記録媒体に開口数NA3で集光するためのブルーレイ、DVD、CD用のピックアップレンズであって、
前記ピックアップレンズは単一素材の単玉からなり、
前記ピックアップレンズの少なくとも1面には、同心円状の複数の輪帯が存在し、前記輪帯が形成された面を、光軸を含む同心円状の第1領域と、前記第1領域の外側に隣接する同心円状の第2領域と、前記第2領域の外側に隣接する同心円状の第3領域に分けた場合に、
前記第1領域には2以上の輪帯が存在し、前記第1領域に相当する範囲の波長λ1、λ2、λ3のレーザビームは、各々、基板厚さt1、t2、t3の情報記録媒体に集光し、
前記第2領域には2以上の輪帯が存在し、前記第2領域に相当する範囲の波長λ1、λ2のレーザビームは、各々、基板厚さt1、t2の情報記録媒体に集光する一方で、前記第2領域に相当する範囲の波長λ3のレーザビームは、基板厚さt3の情報記録媒体に集光せず、
前記第3領域に相当する範囲の波長λ1のレーザビームは基板厚さt1の情報記録媒体に集光する一方で、前記第3領域に相当する範囲の波長λ2、λ3のレーザビームは、各々、基板厚さt2、t3の情報記録媒体に集光せず、
波長λ1のレーザビームで基板厚さt1の情報記録媒体に集光する際に生じる波面収差と、波長λ2のレーザビームで基板厚さt2の情報記録媒体に集光する際に生じる波面収差とは、光軸を含む第1区間において、正負の符号が逆であり、
波長λ1のレーザビームによって生じる波面収差と波長λ2のレーザビームによって生じる波面収差との比が1.8より小さい状態で、それぞれ、基板厚さt1の情報記録媒体と基板厚さt2の情報記録媒体に対してそれぞれ波長λ1のレーザビームと波長λ2のレーザビームが集光することを特徴とするピックアップレンズ。
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