JP2013242294A - 電流センサ、ホルダ部材及び電流センサ製造方法 - Google Patents

電流センサ、ホルダ部材及び電流センサ製造方法 Download PDF

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孝幸 大熊
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Abstract

【課題】製造の作業性を向上することができる電流センサ、ホルダ部材及び電流センサ製造方法を提供する。
【解決手段】コアホルダ13には、紙面の左右2列に複数の部品組付部16が設けられている。各部品組付部16には、コア7を取り付けるコア収納部17と、バスバー8a,8bを取り付けるバスバー挿込孔18とが設けられている。コア7及びバスバー8a,8bをコアホルダ13に組み付け、このコアホルダ13をインサート成形することにより、電流センサ(センサ本体部)を製造する。
【選択図】図3

Description

本発明は、電流値を検出する電流センサ、ホルダ部材及び電流センサ製造方法に関する。
従来、種々の機器や装置に電流センサが使用されている。電流センサは、一箇所にギャップを有する環状のコアの内部にバスバーが挿通され、バスバーに流れる電流によりコアに発生する磁界をセンサ素子で検出することにより、電流を検出するセンサの一種である。この種の電流センサとして、コア及びバスバーの組を複数有する構造が考案されている(特許文献1等参照)。
特開2011−209158号公報
ところで、電流センサは、コア及びバスバーを樹脂によりインサート成形することで、ハウジングが樹脂からなるユニット化された1部品として製造される。しかし、コア及びバスバーの組を複数有する電流センサの場合、センサの組み立てに際しては、多数のコア及びバスバーを、それぞれ個別に金型にセットする必要が生じ、作業性がよくないという問題があった。
本発明の目的は、製造の作業性を向上することができる電流センサ、ホルダ部材及び電流センサ製造方法を提供することにある。
前記問題点を解決するために、本発明では、一箇所にギャップを有するコアの中央にバスバーを通し、当該バスバーに流れる電流に応じて変化する前記コアの磁束を、前記ギャップに配設されたセンサ素子で検知することにより、前記電流を検出する電流センサにおいて、前記コア及び前記バスバーを取り付け可能なホルダ部材と、前記コア及び前記バスバーが取り付けられた前記ホルダ部材を周囲から覆い、前記コア及び前記バスバーを前記ホルダ部材に一体化する固定部とを備えたことを要旨とする。
本発明の構成によれば、コア及びバスバーをホルダ部材に組み付けて一体とした後、これらを一体化形成するので、成形時に取り扱う部品点数が少なく済む。よって、電流センサの製造にかかる作業性をよくすることが可能となる。
本発明では、前記コア及び前記バスバーの組からなる電流検知部を複数備え、前記固定部は、前記コア及び前記バスバーを前記ホルダ部材に取り付けた後、これらをインサート成形することにより形成された樹脂部であることを要旨とする。この構成によれば、複数の電流検知部を有する電流センサとしたので、1つの電流センサで複数箇所の電流を検出することが可能となる。また、電流センサをインサート成形により製造する場合、インサート成形時に発生する応力がコアにかかろうとするが、これをホルダ部材により緩和することが可能となる。よって、コアの磁気劣化を生じ難くすることも可能となる。
本発明では、前記ホルダ部材には、前記コア及び前記バスバーを取り付け可能な部品組付部が複数設けられ、当該部品組付部には、前記コアを収納するコア収納部と、前記バスバーを挿し込むバスバー挿込孔とが設けられていることを要旨とする。この構成によれば、コア及びバスバーには、各々決められた取り付け先があるので、コア及びバスバーを簡単にホルダ部材にセットすることが可能となる。
本発明では、前記コア収納部には、当該コア収納部に収納された前記コアを、収納状態で係止する係止部が設けられている。この構成によれば、コア収納部に収納したコアをコア収納部から脱落し難くすることが可能となる。
本発明では、前記ホルダ部材には、前記バスバー挿込孔に取り付けた前記バスバーを位置決め状態で支持するバスバー支持突起が設けられていることを要旨とする。この構成によれば、バスバー挿込孔に取り付けたバスバーの位置決めが可能となるので、例えばバスバーの正規位置への位置合わせや、バスバーのコアとの接触防止などの効果が得られる。
本発明では、前記ホルダ部材には、インサート成形時に金型に当接することにより、ホルダ形状を保持する曲げ防止突起が設けられていることを要旨とする。この構成によれば、インサート成形時にホルダ部材が曲がってしまうことが防止される。
本発明では、複数の前記電流検知部は、2列に配列されるとともに、一方列の電流検知部が他方列の電流検知部の隣同士間に配置されるように、一方列及び他方列の各電流検知部が互い違いに配列されていることを要旨とする。この構成によれば、電流センサの電流検知部の配列方向における長さが短く済むので、同方向の部品サイズの小型化に寄与する。
本発明では、前記コアを収納するコア収納部の開口には、当該コアを外部から覆う封止材が設けられていることを要旨とする。この構成によれば、ホルダ部材の周囲に固定部を例えばインサート成形等により、この成形時にかかる圧力を封止材で支えて、コアに至り難くすることが可能となる。よって、コアの磁気特性劣化を低く抑えることが可能となる。
本発明では、前記封止材は、柔軟性のあるポッティング材であることを要旨とする。この構成によれば、ポッティング材は柔軟性があって圧力の吸収性がよいので、成形時に発生する応力のコア側への伝わり難さの確保に効果が高い。
本発明では、一箇所にギャップを有するコアの中央にバスバーを通し、当該バスバーに流れる電流に応じて変化する前記コアの磁束を、前記ギャップに配設されたセンサ素子で検知することにより、前記電流を検出する電流センサの基材として使用されるホルダ部材であって、ホルダ本体には、前記コア及び前記バスバーを取り付け可能な部品組付部が設けられ、当該部品組付部には、前記コアを収納するコア収納部と、前記バスバーを挿し込むバスバー挿込孔とが設けられていることを要旨とする。
本発明では、一箇所にギャップを有するコアの中央にバスバーを通し、当該バスバーに流れる電流に応じて変化する前記コアの磁束を、前記ギャップに配設されたセンサ素子で検知することにより、前記電流を検出する電流センサを製造するための電流センサ製造方法において、コア収納部及びバスバー挿込孔を有するホルダ部材に前記コア及び前記バスバーを取り付ける部品取付ステップと、前記コア及び前記バスバーが取り付けられた前記ホルダ部材を、一体に成形する一体成形ステップとを備えたことを要旨とする。
本発明によれば、電流センサにおいて製造の作業性を向上することができる。
第1実施形態の電流センサの斜視図。 電流センサの断面図。 電流センサの製造の概要を示す説明図。 コアホルダを斜め上から見た斜視図。 コアホルダを斜め下から見た斜視図。 コアホルダを左列側から見た側面図。 コアホルダを右列側から見た側面図。 コアをコアホルダに組み付ける作業を示す説明図。 バスバーをコアホルダに組み付ける作業を示す説明図。 インサート成形の模式図。 インサート成形時のコアホルダの曲がりを抑える説明図。 沿面距離の説明図。 第2実施形態の電流センサを示し、(a)は電流センサの斜視図、(b)は(a)のII−II線断面図。 コアホルダの外観を示す図であり、(a)は斜め上方から見た斜視図、(b)は斜め下方から見た斜視図。 (a)〜(d)は電流センサの製造工程図。 ポッティング有無に対するヒステリシス幅の変化を表すグラフ。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した電流センサ、ホルダ部材及び電流センサ製造方法の第1実施形態を図1〜図12に従って説明する。
図1に示すように、電流センサ1には、電流センサ1の本体部分をなすセンサ本体部2が設けられている。センサ本体部2の外枠は、略直方体形状の樹脂製のハウジング3により形成されている。ハウジング3の頂部(紙面上部)には、開口部4が形成され、この開口部4が板状の蓋部5により閉じられる。蓋部5は、例えば溶着や接着等により開口部4に取り付け固定される。
図1及び図2に示すように、センサ本体部2には、センサ本体部2において電流変化を検出する電流検知部6が複数(本例は7つ)設けられている。複数の電流検知部6は、平面視において2列に配置されるとともに、一方の列の隣り合う電流検知部6間に、他方の列の電流検知部6が位置するように左右が互い違いに配置されている。本例の場合、図1の紙面左側の列(第1列)に電流検知部6が4つ配設され、同図の紙面右側の列(第2列)に電流検知部6が3つ配設されている。
図2に示すように、各電流検知部6には、略英文字C状のコア7と、電流が流れる経路となる略板状のバスバー8とが設けられている。電流検知部6の頂部(紙面上部)には、コア7のギャップ9と対応する位置に、所定の空間領域からなるギャップ10が形成されている。
コア7は、無方向性の電磁鋼鈑(積層コア)が使用されている。コア7は、中央の開口孔11にバスバー8が挿通され、バスバー8に流れる電流によって、バスバー8周りに環状の磁路が形成される。積層コアは、安価であり、寸法精度も高精度で製造することができる部品である。
バスバー8は、センサ本体部2の長さ方向(図2のY軸方向)に等間隔に配置された平板状の複数(6つ)の第1バスバー8aと、途中で折れ曲がって6つの第1バスバー8aを横断して延びる第2バスバー8bとがある。第1バスバー8aは、図2の紙面右端から6つの電流検知部6に、互いに平行状態をとるように取り付けられている。また、第2バスバー8bは、図2の紙面左端の電流検知部6に取り付けられている。具体的に述べると、第2バスバー8bは、一端部8cが紙面左端の電流検知部6に通され、中間部8dが6つの第1バスバー8aの下側においてセンサ本体部2の長さ方向に延び、他端部8eが第1バスバー8aと同じ高さで延びる形状をとっている。
蓋部5の裏面には、電流検知部6ごとにセンサ素子12が複数取り付けられている。センサ素子12は、例えばホール素子や磁気抵抗素子が使用される。センサ素子12は、電流検知部6のギャップ10、つまりコア7のギャップ9の内部に入り込んだ取り付け状態をとる。バスバー8に流れる電流が変化すると、コア7に形成される磁界が変化する。電流センサ1は、ギャップ10に発生する磁界をセンサ素子12で検出することにより、バスバー8に流れる電流を検出する。
図3に示すように、センサ本体部2は、コア7及びバスバー8を、センサ本体部2の基材であるコアホルダ13にセットし、部品セット後のコアホルダ13を、樹脂によりインサート成形することで形成されている。このため、図2に示すように、センサ本体部2のハウジング3は、コア7及びバスバー8をセット可能なコアホルダ13と、インサート成形時に充填される樹脂形成部分であって、コア7及びバスバー8をコアホルダ13に固定する樹脂部14とで形成される。なお、コアホルダ13がホルダ部材に相当し、樹脂部14が固定部に相当する。
図3〜図7に示すように、コアホルダ13のホルダ本体15には、コア7及びバスバー8の組み付け先として、複数(7つ)の部品組付部16が設けられている。本例の場合、紙面左側の列(第1列)に部品組付部16が4つ配置され、紙面右側の列(第2列)に部品組付部16が3つ配置されている。また、第1列及び第2列の一方の列において隣り合う部品組付部16間に、他方の列の部品組付部16が位置するように、部品組付部16が左右において互い違いに配置されている。
コアホルダ13は、インサート成形で使用する樹脂と同材料が使用されている。これは、コアホルダ13とインサート成形樹脂との密着性を確保するためである。樹脂材料としては、例えばPPS(poly phenylene sulfide)等の耐熱性の高い材料が使用される。
部品組付部16には、部品組付部16の頂部に形成された前述のギャップ10と、略英大文字C状の穴が開くコア収納部17と、コア収納部17の中央位置に配設された略スリット状のバスバー挿込孔18とが設けられている。ギャップ10及びバスバー挿込孔18は、一続きの切り込み孔として形成されている。ギャップ10の開口幅(図4のY軸方向の開口長さL1)は、配設されるセンサ素子12に応じた幅に形成されている。バスバー挿込孔18の開口幅(図4のY軸方向の開口長さL2)は、挿し込まれるバスバー8の厚みに応じた幅に形成されている。バスバー挿込孔18は、ギャップ10よりも開口幅が所定量広く形成されている。
ギャップ10及びバスバー挿込孔18からなる一続きの孔は、第1列及び第2列の一方が、他方の列の隣同士の部品組付部16間の隙間19と繋がるように形成されている。このため、隙間19は、バスバー8を挿し込むことが可能な孔となる。
部品組付部16の底部には、コア収納部17に嵌め込まれたコア7の脱落を防止する係止爪20が突設されている。係止爪20は、スナップフィット形状に形成されている。係止爪20は、コア7のC形状の中心位置(コア7の基端位置)に1箇所設けられている。なお、係止爪20が係止部に相当する。
図3〜図6に示すように、紙面右端の部品組付部16には、開口周縁の一部に、第2バスバー8bを支持するバスバー支持突起21が突設されている。また、バスバー挿込孔18の孔底部にも、第2バスバー8bを支持するバスバー支持突起22が突設されている。バスバー支持突起22は、第2バスバー8bの移動を防止するとともに、インサート成形時に樹脂が流れ込んだ際、第2バスバー8bがコア7と接触することを防ぐ役目を有する。バスバー支持突起22は、全てのバスバー挿込孔18に形成されてもよいし、選択的に形成されてもよい。また、コア収納部17の開口縁の一部にも、第2バスバー8bを支持する複数のバスバー支持突起25が突設されている。
コアホルダ13の側壁の複数箇所には、インサート成形時にコアホルダ13の曲がりを防止する曲げ防止突起23が複数設けられている。曲げ防止突起23は、インサート成形時、金型24(図10や図11参照)に当接することにより、コアホルダ13がインサート成形時に曲がってしまうことを防止する。曲げ防止突起23は、コアホルダ13の正面及び背面の両面に複数形成され、例えばコア収納部17の開口周縁や隣同士の係止爪20の間などに配設されている。
次に、本例の電流センサ1の製造工程を、図2,図8〜図11を用いて説明する。
図8に示すように、コアホルダ13及びコア7を用意し、各コア7をコアホルダ13の各コア収納部17に嵌め込んで取り付ける(部品取付ステップ)。このとき、コア収納部17に嵌め込まれたコア7は、スナップフィット形状の係止爪20に引っ掛かることにより、コア収納部17からの脱落が防止される。
図9に示すように、コア7がセットされたコアホルダ13の各バスバー挿込孔18に、バスバー8をそれぞれ取り付ける(部品取付ステップ)。バスバー8は、ギャップ10から挿し込むことにより、バスバー挿込孔18に取り付けられる。このとき第2バスバー8bは、コアホルダ13の側壁面に形成されたバスバー支持突起21,22により位置決め支持される。また、平板状の6本の第1バスバー8a、及び1本の第2バスバー8bの全てが、バスバー挿込孔18及び隙間19に挿し込み保持される。
図10に示すように、コア7及びバスバー8がセットされたコアホルダ13を、金型24にセットして、センサ本体部2をインサート成形する(一体成形ステップ)。本例の場合、コア7及びバスバー8をコアホルダ13にセットしてから金型24にセットする。よって、金型24には部品を1つセットするだけで済むので、インサート成形時の作業性が向上すると言える。また、成形サイクルの短縮化にも効果が高くなる。
インサート成形時、樹脂は、コアホルダ13の外面、コア収納部17の内部、バスバー挿込孔18の内部などに流れ込む。樹脂が流入した際、バスバー支持突起22が第2バスバー8bを位置決め状態で支持することにより、第2バスバー8bがコア7に接触してしまうことが防止される。インサート成形時、図11に示すように、コアホルダ13の側面の曲げ防止突起23が金型24の内壁面24aに当接することにより、コアホルダ13の曲げが抑制される。樹脂充填が終わり、冷却が済むと、センサ本体部2が完成する。
インサート成形時、インサート成形樹脂からの圧力がコア7にかかり、この圧力によりコア7に応力がかかろうとする。この応力には、インサート成形時に発生する力と、インサート成形樹脂が冷える際の収縮によって生じる力とがある。しかし、本例の場合、この圧力がコアホルダ13に遮られて、コア7に至り難くなるので、特性劣化の要因の1つである「コア7にかかる応力」が低く抑えられる。ところで、コア7に過度の応力がかかると、電磁鋼鈑が歪む可能性があり、これが磁気特性の劣化に繋がる。本例は、コアホルダ13を使用してセンサ本体部2を製造することにより、コア7に過度の応力がかからなくなるので、コア7の磁気特性劣化も低く抑えられると言える。
そして、図2に示すように、センサ本体部2及び蓋部5を用意し、センサ本体部2の開口部4を、裏面に複数のセンサ素子12が配設された蓋部5により閉じる。これにより、各センサ素子12がギャップ10に収納された取り付け状態をとり、電流センサ1が完成する。
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)コア7及びバスバー8をコアホルダ13に組み付け、このコアホルダ13をインサート成形することにより、電流センサ1(センサ本体部2)を製造する。よって、金型24には、コア7及びバスバー8が組み付いたコアホルダ13を組み付けるだけで済むので、電流センサ1の製造にかかる作業性を向上することができる。また、成形サイクルの短縮にも効果が高くなる。
(2)インサート成形時にインサート成形樹脂から付与される圧力によりコア7に応力がかかろうとするが、この力はコアホルダ13に遮られて、コア7には至り難くなる。よって、コア7に過度の応力がかかり難くなるので、コア7ひいては電流センサ1の磁気特性劣化を低く抑えることができる。
(3)コア7を積層コアした場合、積層コアは安価であるので、電流センサ1のコストを低く抑えることができる。また、積層コアには、寸法を高精度で製造できる利点があるので、積層コアを使用すれば、インサート成形時にコア7の位置決めが容易となる。よって、このことも、電流センサ1の製造にかかる作業性向上に寄与する。
(4)インサート成形で使用する樹脂とコアホルダ13とを同素材としたので、これらの間の密着性を確保することができる。よって、これがハウジング3の強度向上に寄与する。
(5)電流検知部6を2列に配置するとともに、一方列の電流検知部6が他方列の隣同士の電流検知部6間に配置されるように、左右列で互い違いに配置する。よって、電流センサ1の長さ方向におけるサイズが小さく済む。また、同じ列の隣同士の電流検知部6間の隙間19を、バスバー8を通す孔やセンサ素子12を配置する箇所としても利用することができる。
(6)コア収納部17に収納したコア7に引っ掛かる係止爪20をコア収納部17の開口縁に設けたので、コア収納部17に取り付けたコア7を、コア収納部17から脱落し難くすることができる。また、係止爪20をC形状のコア7の中心位置に1箇所のみ設けるので、センサ素子12の配置の邪魔にならず、少ない個数でコア7をコア収納部17に係止することができる。
(7)第2バスバー8bをコアホルダ13の側壁面で支持するバスバー支持突起21,22,25をコアホルダ13に設けたので、第2バスバー8bを正規位置に位置決めして取り付けることができる。
(8)コアホルダ13の側面複数位置に曲げ防止突起23を設けたので、インサート成形時におけるコアホルダ13の曲がりを防止することができる。
(9)この種の電流センサ1では、品質の確保のために、コア7及びバスバー8間の沿面距離を所定量確保したいニーズがある。沿面距離とは、図12に示すように、コア7の露出面からバスバー8に至るまでのハウジング3の樹脂部分の距離である。本例の場合、インサート成形後、コア7はハウジング3によって完全に隠れ、バスバー8のみがハウジング3の外部に露出する。よって、沿面距離を確保することができ、ニーズを満足することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図13〜図16に従って説明する。本例は、第1実施形態の電流センサ1の製造過程の一部を変更した実施例であり、他の基本的な構成は同じである。よって、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。なお、本例の電流センサ1は、コア7及びバスバー8が3組のセンサを例に挙げて説明する。
図13(a)は電流センサ1の斜視図であり、図13(b)は図13(a)のII−II線断面図である。図13(b)に示すように、コアホルダ13においてコア収納部17の開口は、柔軟性のあるポッティング材31によって封止されている。ポッティング材31は、電流センサ1のインサート成形時、応力がコア7に至らないようにする壁の役目を有する。ポッティング材31は、例えばシリコンやウレタン等の材質が使用されている。コア収納部17の開口周縁は、コア7よりも高く突出形成される。これは、コア収納部17の開口にポッティング材31を埋める空間が必要となるからである。
図14(a),(b)に示すように、コアホルダ13の下部の座部32は、第1実施形態とは異なり、隙間のない板面に形成されている。これは、コア収納部17の開口にポッティング材31を埋める際、コアホルダ13の座部32に隙間があると、注入したポッティング材31が流出してしまうため、これに対応するためである。本例のコアホルダ13は、係止爪20、バスバー支持突起21及び曲げ防止突起23を省略した形状をとる。
さて、電流センサ1を製造するには、まず図15(a),(b)示すように、コアホルダ13にコア7及びバスバー8を組み付ける。このとき、コア収納部17において開口部付近には、ポッティング材31を流し込むための隙間33ができる。続いて、図15(c)に示すように、コア収納部17の隙間33にポッティング材31を流し込み、硬化させる。そして、図15(d)に示すように、コアホルダ13の外周に樹脂をインサート成形して、センサ本体部2を製造する。
図16に、ポッティング材31の有無に対するヒステリシス幅の変化を表したグラフを示す。なお、同図においては、ポッティング材31がないサンプルをE1,E2の2つ用意し、ポッティング材31を設けたサンプルをE3とする。同図からも分かるように、ポッティング材31を設けた方が、成型前後でヒステリシス幅の変動が少なく抑えられる。よって、これはインサート成形時にコア7にかかる応力を少なく抑えることができたと言え、コア7の磁気特性劣化の防止に効果が高いことが分かる。
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(5),(9)に加え、以下の効果を得ることができる。
(10)コアホルダ13に取り付けたコア7をポッティング材31によってコーティングするので、コアホルダ13をインサート成形する際に生じ得る射出圧、保圧、収縮応力といった外部応力をコア7に至り難くすることができる。よってコア7の磁気特性変動を低く抑えることができる。
(11)コア7に過度の応力がかからないようにするために、コアホルダ13を強度の高い高価な材料に変更せずに済むので、例えば部品コスト抑制等に効果が高い。
(12)コア収納部17の開口を埋める部材としてポッティング材31を用いたので、柔軟性のある応力吸収性の高い部材によって、インサート成形時に発生する応力を吸収することができる。よって、インサート成形時に発生する応力のコア7側への伝わり防止に効果が高い。
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・各実施形態において、まずはコア7のみをコアホルダ13に取り付け、このコアホルダ13を金型24にセットし、このセット状態のコアホルダ13にバスバー8を取り付けてから、インサート成形を実施してもよい。この場合でも、製造の作業性はよいと言える。
・第1実施形態において、係止爪20は、スナップフィット形状に限定されず、コア収納部17に取り付けられたコア7に引っ掛かることが可能であれば、他の形状に変更可能である。
・各実施形態において、バスバー8及びバスバー挿込孔18(隙間19でも可)の一方に突起、他方に係止溝を設けておき、取付時においてこれらを係止させることにより、バスバー8の位置決めを確保してもよい。
・各実施形態において、バスバー挿込孔18は、ギャップ10よりも開口幅が狭くてもよい。
・各実施形態において、電流センサ1は、電流検知部6が一列に配設された形状でもよい。
・各実施形態において、電流センサ1は、電流検知部6を1つのみ有する構造でもよい。
・各実施形態において、電流検知部6は、一列及び二列が混ざった形状でもよい。また、列方向に並ぶ電流検知部6の間隔は等間隔でなくてもよい。
・各実施形態において、コアホルダ13とインサート成形樹脂とは、異なる素材でもよい。
・各実施形態において、一体成形時に使用する製法は、インサート成形(射出成形)に限らず、他の工法を採用可能である。
・各実施形態において、固定部は、樹脂部14に限定されず、センサ特性を満足できれば、樹脂以外の素材に変更してもよい。
・各実施形態において、コア7の形状は、全て同一形状に限らず、少なくとも1つが異なる形状をとってもよい。
・各実施形態において、コア7は、積層コアに限定されず、例えば巻きコアなど、他の種類に変更可能である。
・各実施形態において、コア7やバスバー8の形状は、実施形態に記載したものに限定されず、他の形状に適宜変更可能である。
・各実施形態において、センサ素子は、磁気センサであれば、種々のセンサが採用可能である。
・各実施形態において、ホルダ部材は、コア7及びバスバー8のうち、少なくとも一方を取り付け可能な部材であればよい。
・第2実施形態において、封止材は、ポッティング材31に限らず、例えば薄い樹脂のシートなど、コア収納部17の開口を封止できるものであれば、種々の部材が使用可能である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項1〜9のいずれかにおいて、前記コアは、積層コアである。この構成によれば、積層コアは安価であるので、電流センサのコスト抑制に効果が高くなる。
(ロ)請求項1〜9,前記技術的思想(イ)のいずれかにおいて、前記ホルダ部材と、前記インサート成形時に使用する樹脂とは、同一の樹脂材料が使用されている。この構成によれば、ホルダ部材及び固定部間の密着性が高くなるので、電流センサのハウジングの強度を確保することが可能となる。
(ハ)請求項1〜9,前記技術的思想(イ),(ロ)のいずれかにおいて、前記ホルダ部材には、前記センサ素子及び前記バスバーの両方を収納可能な収納孔が形成されている。この構成によれば、センサ素子を収納する孔を、バスバーをコア中央に通すときの孔としても使用することが可能となる。
(二)請求項3〜9,前記技術的思想(イ)〜(ハ)のいずれかにおいて、前記部品組付部は、複数設けられるとともに2列に配列され、一方列の部品組付部が他方列の部品組付部の隣同士間に配置されるように、一方列及び他方列が互い違いに配列されている。この構成によれば、ホルダ部材の小型化に寄与する。
(ホ)前記技術的思想(二)において、前記ホルダ部材には、同一列に並ぶ前記部品組付部同士間に隙間が形成され、当該隙間が前記バスバーを挿し込む孔となっている。この構成によれば、隣同士に位置する部品組付部同士の間の隙間を、バスバーを通すための孔として使用することが可能となる。
1…電流センサ、6…電流検知部、7…コア、8(8a,8b)…バスバー、9…ギャップ、12…センサ素子、13…ホルダ部材としてのコアホルダ、14…固定部としての樹脂部、15…ホルダ本体、16…部品組付部、17…コア収納部、18…バスバー挿込孔、20…係止部としての係止爪、21,22,25…バスバー支持突起、23…曲げ防止突起、24…金型、31…封止材としてのポッティング材。

Claims (11)

  1. 一箇所にギャップを有するコアの中央にバスバーを通し、当該バスバーに流れる電流に応じて変化する前記コアの磁束を、前記ギャップに配設されたセンサ素子で検知することにより、前記電流を検出する電流センサにおいて、
    前記コア及び前記バスバーを取り付け可能なホルダ部材と、
    前記コア及び前記バスバーが取り付けられた前記ホルダ部材を周囲から覆い、前記コア及び前記バスバーを前記ホルダ部材に一体化する固定部と
    を備えたことを特徴とする電流センサ。
  2. 前記コア及び前記バスバーの組からなる電流検知部を複数備え、
    前記固定部は、前記コア及び前記バスバーを前記ホルダ部材に取り付けた後、これらをインサート成形することにより形成された樹脂部である
    ことを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
  3. 前記ホルダ部材には、前記コア及び前記バスバーを取り付け可能な部品組付部が複数設けられ、当該部品組付部には、前記コアを収納するコア収納部と、前記バスバーを挿し込むバスバー挿込孔とが設けられている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電流センサ。
  4. 前記コア収納部には、当該コア収納部に収納された前記コアを、収納状態で係止する係止部が設けられている
    ことを特徴とする請求項3に記載の電流センサ。
  5. 前記ホルダ部材には、前記バスバー挿込孔に取り付けた前記バスバーを位置決め状態で支持するバスバー支持突起が設けられている
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の電流センサ。
  6. 前記ホルダ部材には、インサート成形時に金型に当接することにより、ホルダ形状を保持する曲げ防止突起が設けられている
    ことを特徴とする請求項3〜5のうちいずれか一項に記載の電流センサ。
  7. 複数の前記電流検知部は、2列に配列されるとともに、一方列の電流検知部が他方列の電流検知部の隣同士間に配置されるように、一方列及び他方列の各電流検知部が互い違いに配列されている
    ことを特徴とする請求項2〜6のうちいずれか一項に記載の電流センサ。
  8. 前記コアを収納するコア収納部の開口には、当該コアを外部から覆う封止材が設けられている
    ことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の電流センサ。
  9. 前記封止材は、柔軟性のあるポッティング材である
    ことを特徴とする請求項8に記載の電流センサ。
  10. 一箇所にギャップを有するコアの中央にバスバーを通し、当該バスバーに流れる電流に応じて変化する前記コアの磁束を、前記ギャップに配設されたセンサ素子で検知することにより、前記電流を検出する電流センサの基材として使用されるホルダ部材であって、
    ホルダ本体には、前記コア及び前記バスバーを取り付け可能な部品組付部が設けられ、当該部品組付部には、前記コアを収納するコア収納部と、前記バスバーを挿し込むバスバー挿込孔とが設けられている
    ことを特徴とするホルダ部材。
  11. 一箇所にギャップを有するコアの中央にバスバーを通し、当該バスバーに流れる電流に応じて変化する前記コアの磁束を、前記ギャップに配設されたセンサ素子で検知することにより、前記電流を検出する電流センサを製造するための電流センサ製造方法において、
    コア収納部及びバスバー挿込孔を有するホルダ部材に前記コア及び前記バスバーを取り付ける部品取付ステップと、
    前記コア及び前記バスバーが取り付けられた前記ホルダ部材を、一体に成形する一体成形ステップと
    を備えたことを特徴とする電流センサ製造方法。
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