JP2013240404A - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】一部の剛性を小さくしたクラウン部を備えるゴルフクラブヘッドで打撃したボールの初速を向上させること。
【解決手段】クラウン部30は、縁部分100及び縁部分100よりも厚さが小さい薄手部分200を有する。薄手部分200は、第1薄手部分300及び第2薄手部分400を有する。第1薄手部分300は、薄手部分200のうちの領域C1、C2、C3、C6、C7及びC9に含まれている部分である。第2薄手部分400は、薄手部分200のうちの領域C4、C5及びC8に含まれている部分である。領域C0は、縁部分100の内面101のトウ側、ヒール側、前側及び後ろ側の端部と接し、対向する辺がトウ・ヒール方向及び前後方向にそれぞれ沿った四角形を外周とする領域である。9つの領域C1〜C9は、領域C0をトウ・ヒール方向に等間隔に3分割し、前後方向に等間隔に3分割して得られる領域である。
【選択図】図4

Description

本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
特許文献1には、ゴルフクラブヘッドにおいて、繊維強化樹脂で形成されているクラウン部の一部に高弾性繊維を用いることで、打球音を金属ヘッドのように甲高くする技術について記載されている。
特開2004−89268号公報
ところで、クラウン部には、打球時に変形して元に戻るときの力がフェース部を介してボールに伝わって、ボールの初速を向上させる効果がある。例えば、クラウン部の厚さが薄いほど、打球時の変形が大きくなり、この効果も大きくなる。ただし、クラウン部の厚さが薄すぎると、過剰な振動が発生してエネルギーが消費されてしまい、かえってボールに伝えられる力が小さくなる。そこで、クラウン部の一部だけを薄くすることで、クラウン部の変形による力が適度にボールに伝わるようにすることが考えられる。特許文献1の技術では、クラウン部の様々な領域を薄くしたゴルフクラブヘッドが提案されているが、あくまで打球音を良好にするためのものであり、どの領域を薄くするとボールの初速が向上するかという点は考慮されていない。
そこで、本発明は、一部の剛性を小さくしたクラウン部を備えるゴルフクラブヘッドで打撃したボールの初速を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、前側にフェース部を備え、当該フェース部の後ろ側にクラウン部及びソール部を備える中空のゴルフクラブヘッドにおいて、前記クラウン部は、トウ・ヒール方向及び前後方向の中央にあってトウ・ヒール方向に第1の幅を有し、前後方向に第2の幅を有する中央領域よりも前側にある前側領域に、当該前側領域よりもトウ側及びヒール側にある領域に比べて剛性が低い第1の低剛性部を有することを特徴とするゴルフクラブヘッドを提供する。
本発明においては、前記クラウン部は、前記中央領域に、当該中央領域よりもヒール側及び後ろ側にある領域に比べて剛性が低い第2の低剛性部を有し、当該中央領域よりもトウ側にあるトウ側領域に、当該トウ側領域よりも前側及び後ろ側にある領域に比べて剛性が低い第3の低剛性部を有していてもよい。
本発明においては、前記低剛性部は、当該低剛性部以外の部分に比べて厚さを小さくした薄手部分を有していてもよい。
本発明においては、前記薄手部分には、リブが設けられていてもよい。
本発明においては、前記ゴルフクラブヘッドの外面には、前記薄手部分と当該薄手部分以外の部分との段差が形成されていてもよい。
本発明によれば、一部の剛性を小さくしたクラウン部を備えるゴルフクラブヘッドで打撃したボールの初速を向上させることができる。
実施形態におけるゴルフクラブの外観を示す図である。 ゴルフクラブヘッドの外観を示す図である。 ゴルフクラブヘッドの断面を示す図である。 クラウン部の内面を示す図である。 クラウン部の断面を示す図である。 各工程におけるクラウン部の外観の例を示す図である。 打球時に変形したゴルフクラブヘッドの形の一例を示す図である。 クラウン部の厚さとボールの飛距離との関係の一例を示す図である。 第2薄手部分の有無によるボールの初速の違いを説明するための図である。 ボールの飛距離を示す図である。 ボールのフックスピン量を示す図である。 ゴルフクラブヘッドの主音周波数での振動の大きさを示す図である。 変形例におけるクラウン部の例を示す図である。 変形例におけるクラウン部の例を示す図である。 変形例におけるクラウン部の例を示す図である。 変形例におけるリブの形の例を示す図である。 変形例におけるクラウン部の断面の例を示す図である。
[実施形態]
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態におけるゴルフクラブ1の外観を示す図である。ゴルフクラブ1は、ゴルフクラブヘッド10、シャフト11及びグリップ12を備える。シャフト11の一方の端部にはゴルフクラブヘッド10が取り付けられ、他方の端部にはグリップ12が取り付けられている。ゴルフクラブヘッド10は、チタンを材料に形成されており、フェース部20を有している。図1(a)では、フェース部20を正面に見たゴルフクラブ1が示されている。ゴルフクラブヘッド10のうちシャフト11に取り付けられているほうをヒール側といい、その反対側をトウ側という。また、トウ側からヒール側に向かう方向(図中の矢印A1で示す方向)をトウ・ヒール方向という。図1(b)では、トウ側から見たゴルフクラブ1が示されている。ゴルフクラブヘッド10のうちフェース部20が位置するほうを前側といい、その反対側を後ろ側という。また、前側から後ろ側に向かう方向(図中の矢印A2で示す方向)を前後方向という。
図2は、ゴルフクラブヘッド10の外観を示す図である。ゴルフクラブヘッド10は、フェース部20、クラウン部30、ソール部40及びホーゼル部50とを有する。図2では、前側(フェース部20側)から見たゴルフクラブヘッド10が示されている。フェース部20は、ゴルフクラブヘッド10のうち、ボールと衝突してボールにゴルフクラブ1の運動エネルギーを伝達する部分である。フェース部20は、フェース面21を有する。フェース面21は、フェース部20のうちのゴルフクラブヘッド10の外側に露出している面であり、衝突したボールが接触する面である。
フェース部20は、ゴルフクラブ1を使用者が構えたときに空を向く側がクラウン部30と接続されており、地面を向く側がソール部40と接続されている。ゴルフクラブヘッド10においては、クラウン部30が位置する側をクラウン側といい、ソール部40が位置する側をソール側という。また、クラウン側からソール側に向かう方向(図中の矢印A3で示す方向)をクラウン・ソール方向という。ホーゼル部50は、ゴルフクラブヘッド10のうち、シャフトが取り付けられる部分である。クラウン部30は、ホーゼル部50と接続されている。
図3は、ゴルフクラブヘッド10の断面を示す図である。図3では、図2の矢視III-IIIにおける断面が示されている。フェース部20、クラウン部30及びソール部40は、ゴルフクラブヘッド10の内部に中空空間B1を形成している。ソール部40は、厚さが概ね一定となっている。クラウン部30は、縁部分100及び薄手部分200とを有している。縁部分100は、クラウン部30の端に位置して縁を形成している部分である。ここでいう端とは、クラウン部30においてフェース部20及びソール部40と接続されている部分のことである。縁部分100は、ソール部40と同じ厚さになっている。薄手部分200は、縁部分100に比べて厚さが小さい部分である。薄手部分200は、それぞれ厚さが異なる第1薄手部分300及び第2薄手部分400を有している。第2薄手部分400は、第1薄手部分300に比べても厚さが小さくなっている。つまり、クラウン部30においては、縁部分100、第1薄手部分300、第2薄手部分400の順番に厚さが小さくなっていく。縁部分100、第1薄手部分300及び第2薄手部分400は、中空空間B1側に内面101、301及び401をそれぞれ有する。内面301及び401には、リブが設けられているが、図を見やすくするため図3では図示していない。
図4は、中空空間B1側から見たクラウン部30を示す図である。図4では、クラウン部30を分割する9つの領域C1〜C9と、これらの領域を合わせた全体の領域C0とが二点鎖線で示されている。領域C0は、縁部分100の内面101のトウ側、ヒール側、前側及び後ろ側の端部と接し、対向する辺がトウ・ヒール方向及び前後方向にそれぞれ沿った四角形を外周とする領域である。9つの領域C1〜C9は、領域C0をトウ・ヒール方向に等間隔に3分割し、前後方向に等間隔に3分割して得られる領域である。領域C1、C2及びC3は、領域C0を前後方向に3分割したときの後ろ側の領域を、更にトウ・ヒール方向に3分割したときのトウ側、中央及びヒール側に位置する領域である。領域C4、C5及びC6は、領域C0を前後方向に3分割したときの中央の領域を、更にトウ・ヒール方向に3分割したときのトウ側、中央及びヒール側に位置する領域である。領域C7、C8及びC9は、領域C0を前後方向に3分割したときの前側の領域を、更にトウ・ヒール方向に3分割したときのトウ側、中央及びヒール側に位置する領域である。
縁部分100は、クラウン部30の端に沿って設けられている。薄手部分200は、縁部分100に周囲を囲まれている。薄手部分200のうち、領域C1、C2、C3、C6、C7及びC9に含まれている部分には、第1薄手部分300が設けられている。また、薄手部分200のうち、領域C4、C5及びC8に含まれている部分には、第2薄手部分400が設けられている。図4では、第2薄手部分400を分かりやすく示すため、第2薄手部分400と他の部分との境界を他の線よりも太い実線で示している。このように、第2薄手部分400は、9つの領域の中で他の8つの領域の中央にある中央領域(領域C5のこと)と、その中央領域よりも前側にある前側領域(領域C8のこと)と、中央領域よりもトウ側にあるトウ側領域(領域C4のこと)とに位置している。
第2薄手部分400のうち、前側領域に位置する部分(以下「前側領域部410」という。)は、前側領域(領域C8)よりもトウ側及びヒール側にある領域(それぞれ領域C7及びC9)に比べて厚さが小さくなっている。クラウン部30は、上記のとおりチタンを材料にして形成されており、厚さが小さいほど剛性が小さくなる。つまり、前側領域部410は、前側領域よりもトウ側及びヒール側にある領域に比べて剛性が低い低剛性部(第1の低剛性部)となっている。また、第2薄手部分400のうち、中央領域に位置する部分(以下「中央領域部420」という。)は、中央領域(領域C5)よりもヒール側及び後ろ側にある領域(それぞれ領域C6及びC2)に比べて厚さが小さい、すなわち剛性が低い低剛性部(第2の低剛性部)となっている。また、第2薄手部分400のうち、トウ側領域に位置する部分(以下「トウ側領域部430」という。)は、トウ側領域(領域C4)よりも前側及び後ろ側にある領域(それぞれ領域C7及びC1)に比べて厚さが小さい、すなわち剛性が低い低剛性部(第3の低剛性部)となっている。このように、各低剛性部(前側領域部410、中央領域部420及びトウ側領域部430)は、いずれも、低剛性部以外の部分に比べて厚さが小さくなっている(すなわち剛性が低くなっている)。
薄手部分200は、複数のリブ500が設けられている。複数のリブ500には、トウ・ヒール方向に延伸するものと、それらのリブに対して60度前後(例えば55度以上65度以下)の角度をなす2つの方向のいずれかに延伸するものとがある。これらのリブ500は、前側に位置するほど隣のリブとの間隔が小さくなっている。縁部分100、第1薄手部分300、第2薄手部分400及びリブ500の厚さについて、図5を参照して説明する。
図5は、クラウン部30の断面を示す図である。図5(a)、(b)及び(c)では、図4の矢視Va-Va、Vb-Vb及びVc-Vcにおけるクラウン部30の断面がそれぞれ示されている。図5では、クラウン部30の特徴を分かりやすくするため、端面だけをそれぞれ示している。図5(a)では、領域C7、C8及びC9におけるクラウン部30の端面が示されている。クラウン部30のうち領域C7及びC9に含まれている部分には、縁部分100及び第1薄手部分300が設けられている。同様に、領域C8には、第2薄手部分400が設けられている。縁部分100、第1薄手部分300及び第2薄手部分400は、厚さがそれぞれL100、L300及びL400である。前述したとおり、これらの厚さの大小関係はL100>L300>L400となっている。本実施形態においては、L100、L300及びL400は、それぞれ0.75mm、0.55mm及び0.35mmである。
リブ500のうち、第1薄手部分300が有しているものを第1リブ530といい、第2薄手部分400が有しているものを第2リブ540という。第1リブ530は、第1薄手部分300の内面301からの高さがL530である。第2リブ540は、第2薄手部分400の内面401からの高さがL540である。これらのリブの高さの大小関係は、L530>L540となっている。本実施形態においては、L530及びL540は、それぞれ0.15mm及び0.10mmである。また、第1薄手部分300において第1リブ530が設けられている部分の厚さ(L300+L530)は、縁部分100の厚さL100より小さくなっている。
図5(b)では、領域C4、C5及びC6におけるクラウン部30の端面が示されている。クラウン部30のうち領域C4に含まれている部分には、縁部分100及び第2薄手部分400が設けられており、同様に領域C5には、第2薄手部分400が設けられている。つまり、第2薄手部分400は、領域C4から領域C5にかけて設けられている。また、同様に領域C6には、縁部分100及び第1薄手部分300が設けられている。図5(c)では、領域C1、C2及びC3におけるクラウン部30の端面が示されている。クラウン部30のうち領域C1及びC3に含まれている部分には、縁部分100及び第1薄手部分300が設けられている。同様に領域C2には、第1薄手部分300が設けられている。つまり、第1薄手部分300は、領域C1からC3にかけて設けられている。
以上がゴルフクラブヘッド10の構成である。ゴルフクラブヘッド10は、次のような工程を経て製造される。これらの工程における作業は、コンピュータ等で制御された機械により自動的に実施されることもあるが、以下では、作業者が機械を操作して各作業を実施するものとして説明する。また、以下では、クラウン部30が形成される工程を中心に説明する。
図6は、クラウン部30が形成される各工程におけるクラウン部の外観の例を示す図である。図6では、いずれもクラウン部の窪んでいる側の面、すなわちゴルフクラブヘッド10を構成したときに中空空間B1に面する面が示されている。図6を含む以下の図では、このような面を説明の便宜上いずれも「内面」という。まず、作業者は、第1工程において、鍛造によりチタンを加工して、図6(a)に示すクラウン部30xを形成する。クラウン部30xは、全体の厚さが図5(a)に示す縁部分100と同様にL100となっている。
次に、作業者は、第2工程において、クラウン部30xの内面31xの一部にケミカルミーリングを実施して、その部分の厚さ(L100)を、図5(a)に示す第1リブ530が設けられている部分と同じ(L300+L530)になるまで小さくする。これにより、図6(b)に示すクラウン部30yが形成される。クラウン部30yは、ケミカルミーリングが実施された薄手部分200yと実施されなかった縁部分100とを有する。縁部分100は、ケミカルミーリングが実施されていないため、図5(a)に示すものと同様に厚さL100となっている。
続いて、作業者は、第3工程において、薄手部分200yの一部に対して、厚さがL300となるまでケミカルミーリングを実施する。このときケミカルミーリングが実施されなかった部分は、高さL530のリブ500zとなる。図6(c)では、第3工程においてリブ500zが設けられた薄手部分200zを有するクラウン部30zが示されている。そして、作業者は、第4工程において、薄手部分200zのうち、図4に示す領域C4、C5及びC8に含まれている部分に対して、ケミカルミーリングを実施して、この部分の厚さを全体的に小さくする。これにより、図6(d)に示すように、第1薄手部分300及び第2薄手部分400を有するクラウン部30が形成される。つまり、図6(d)に示されている第2薄手部分400は、第4工程でケミカルミーリングが実施された部分である。最後に、作業者は、第5工程において、クラウン部30と、別途形成されたフェース部20、ソール部40及びホーゼル部50とを溶接してそれぞれを接合する。このようにして、ゴルフクラブヘッド10が組み立てられる。
ゴルフクラブヘッド10は、ボールを打撃すると、ボールから受ける衝撃により変形する。
図7は、打球時に変形したゴルフクラブヘッド10の形の一例を示す図である。図7では、図3に示すゴルフクラブヘッド10の外周の形が二点鎖線で示され、その外周において第1薄手部分300及び第2薄手部分400に対応する部分が示されている。また、図7では、変形後の外周の形が実線で示されている。ゴルフクラブヘッド10にボールが衝突すると、フェース部20は、ボールが衝突した部分を中空空間B1側に窪ませながら、全体としても後ろ側に移動する。クラウン部30及びソール部40は、後ろ側に移動してきたフェース部20から加えられる力により、外部の空間側に反るように変形する。
ソール部40は、上記のとおりクラウン部30の縁部分100と厚さが共通している。一方、クラウン部30は、縁部分100よりも厚さが小さい第1薄手部分300及び第2薄手部分400が設けられている。ソール部40は、クラウン部同様チタンを材料にして形成されている。このため、クラウン部30は、ソール部40に比べて打球時の変形量が大きい。その結果、フェース部20は、ソール側に比べてクラウン側のほうが後ろ側に大きく移動する。フェース部20、クラウン部30及びソール部40がこのように変形することで、変形前よりもロフト角が大きくなって打ち出し角が大きくなるという効果と、打ち出されたボールのバックスピン量が減少するという効果が生じる。クラウン部30がソール部40に比べて大きく変形するほど、これらの効果の度合いが大きくなる。また、クラウン部30は、打球時に変形して元の形に戻るときの力(以下「反発力」という。)がフェース部20を介してボールに伝わって、ボールの初速を向上させる効果を生じさせる。この反発力は、クラウン部の厚さを小さくするほど大きくなる。
ただし、クラウン部の厚さを小さくしすぎると、剛性が小さくなりすぎて、クラウン部に過剰な振動が発生してしまう。すると、この振動にエネルギーが消費されてしまい、反発力が小さくなって初速も小さくなる。
図8は、クラウン部の厚さとボールの飛距離との関係の一例を示す図である。図8では、縦軸をボールの飛距離、横軸をクラウン部の厚さとしたグラフが示されている。ここでいうクラウン部の厚さとは、クラウン部30でいえば薄手部分200の厚さのことであり、この例ではその厚さが均一になっているクラウン部が用いられている。また、ここでいう飛距離は、キャリー(ボールが落下するまでに飛行する距離)とラン(ボールが落下した後に転がる距離)の両方を含めたものである。この例では、クラウン部の厚さが0.50mm以上0.60mm以下のときに飛距離が最大となり(このときの厚さを「最適厚さ」という。)、それよりも厚さが大きくなっても小さくなっても、飛距離が減少していっている。これはつまり、厚さが最適厚さとなっているクラウン部では、他の厚さである場合に比べて、上記の反発力の向上と、過剰な振動の抑制とが、ボールの初速を向上させるためにより適したバランスになっていることを表している。また、クラウン部の厚さが0.20mm以下になると、飛距離が減少する度合いが急激に大きくなっている。この例における飛距離は、ボールの初速と概ね比例している。つまり、ボールの初速も、クラウン部の厚さが最適厚さのときに最大となり(このときの初速を「最大初速」という。)、そこから厚さが変化するに従って減少している。
本実施形態におけるゴルフクラブヘッド10のクラウン部30では、上述したとおり、縁部分100、第1薄手部分300及び第2薄手部分400の厚さ(リブを加えない厚さ)がそれぞれ0.75mm、0.55mm及び0.35mmである。0.35mmは、前述したように過剰な振動の影響で最大初速よりも初速が小さくなるときの厚さである。ただし、クラウン部30では、第2薄手部分400の周りに、より厚さが大きい第1薄手部分300が設けられている。このため、第2薄手部分400では、図8の例で示されている厚さが0.35mmのクラウン部に比べて、第2薄手部分400における過剰な振動が抑制されている。つまり、クラウン部30では、図8に示す最適厚さとなっている第1薄手部分300よりもさらに厚さが小さい第2薄手部分400によって反発力が向上されている一方、厚さが小さくなることにより発生する過剰な振動が抑制されていることになる。クラウン部30では、反発力を向上させる度合いが、過剰な振動を抑制する度合いよりも大きくなるように、第2薄手部分400が設けられている。これについて、図9を参照して説明する。
図9は、第2薄手部分を設ける位置とボールの初速との関係の一例を示す図である。ここでいう第2薄手部分とは、クラウン部において縁部分よりも厚さが小さい薄手部分のうち、更に厚さが小さい部分のことであり、第2薄手部分400はその一例である。また、この薄手部分のうち第2薄手部分を除く部分が第1薄手部分である。図9の例では、ヘッドスピードが43.5m/s(メートル毎秒)で、フェース面21のセンターでボールが打撃されたときのボールの初速が縦軸に示されている。また、横軸には、第1及び第2薄手部分の形を表す「C4」、「C5」、「C8」、「C5、8」、「C4、5、8」及び「厚さ均一」という名称が示されている。これらのうち「C」を含む名称は、薄手部分のうち、第2薄手部分が設けられている領域を示している。
例えば、「C4」であれば、薄手部分のうち、図4に示す領域C4に含まれている場所に第2薄手部分が設けられたクラウン部が用いられていることを表している。つまり、本実施形態のクラウン部30は、「C4、5、8」という名称で表されていることになる。また、「厚さ均一」という名称は、薄手部分の厚さを均一にしたクラウン部、すなわち、第1薄手部分のみを有するクラウン部を用いる場合を表している。この「厚さ均一」では、薄手部分の厚さを均一にしたクラウン部の中でも飛距離が最大となるような厚さに形成されたクラウン部が用いられている。
図9の例では、第2薄手部分を設けない「厚さ均一」の場合に比べて、第2薄手部分を設けた全ての場合において、ボールの初速が大きくなっている。その中でも特に、「C5、8」及び「C4、5、8」の場合にボールの初速が大きく、「C4、5、8」の場合には、ボールの初速が最大となっている。このように、本実施形態によれば、一部の厚さを小さくしたクラウン部を備えるゴルフクラブヘッドにおいて、第2薄手部分を設けないもの、つまり第1薄手部分のみを有するものに比べて、ボールの初速を向上させることができる。更に、本実施形態におけるゴルフクラブヘッド10は、第2薄手部分を設けた他のゴルフクラブヘッドに比べても、ボールの初速をより向上させることができる。
図10は、図9と同様の場合におけるボールの飛距離を示す図である。図10では、縦軸がボールの飛距離を示している。ここでいう飛距離は、キャリーとランの両方を含めたものである。ボールの飛距離には、ボールの初速だけではなく、ボールの打ち出し角やバックスピン量が影響する。そのため、図9に示す初速とは異なる結果になっているが、図10においても、「厚さ均一」の場合に比べて、第2薄手部分を設けた全ての場合において飛距離が大きくなっている。このように、本実施形態によれば、一部の厚さを小さくしたクラウン部を備えるゴルフクラブヘッドにおいて、第2薄手部分を設けないものに比べて、ボールの飛距離を向上させることができる。
図11は、図9と同様の場合におけるボールのフックスピン量を示す図である。図11では、縦軸がボールのフックスピン量を示している。図11では、図4に示す領域C8に含まれている場所に第2薄手部分を設けたクラウン部が用いられた場合(「C8」、「C5、8」及び「C4、5、8」の場合)に、第2薄手部分を設けない「厚さ均一」の場合に比べて、フックスピン量が大きくなっている。従って、本実施形態(「C4、5、8」の場合)によれば、第2薄手部分を設けない場合に比べて、フックスピン量を大きくしてボールがフックする度合いを大きくすることができる。
また、ゴルフクラブヘッド10においては、第2薄手部分400が第2リブ540を有している。第2薄手部分400は、縁部分100及び第1薄手部分300に比べて厚さが小さいため、これらの部分に比べて剛性が小さくなっているとともに、強度も小さくなっている。ここにおいて強度とは、引張強さや降伏強さなど、材料が変形して元の形に戻らなくなる(つまり破損する)までに耐えられる力の大きさのことをいう。衝突したボールから受ける衝撃力がゴルフクラブヘッドの全体に伝わると、ゴルフクラブヘッドの中で強度が小さい部分は破損することがある。クラウン部30においては、最も厚さが小さい第2薄手部分400が最も破損しやすい部分であるが、上記のとおり第2リブ540を有していることで、リブを有しない場合に比べて強度が向上して破損しにくくなっている。
ゴルフクラブヘッド10は、打球時にボールから受ける衝撃力によって振動し、音を発生させる。このとき発生する音の中で最も振幅(音量)が大きい音の周波数を主音周波数(例えば4000〜4100Hz程度の周波数)という。
図12は、打球時のゴルフクラブヘッド10の主音周波数での振動の大きさ(振幅)を示す図である。図12では、クラウン側から見たゴルフクラブヘッド10が示されている。また、図12では、図4に示す9つの領域を示す二点鎖線を重ねて示している。主音周波数での振動は、クラウン部のうち領域C8に含まれている部分において、最も大きくなっている。ゴルフクラブヘッド10では、この部分に第2薄手部分400が設けられている。
1mm前後の厚さのチタンで形成されているゴルフクラブヘッドでは、厚さが小さい部分ほど振幅が大きくなり、発生する音が大きくなる。ゴルフクラブヘッド10では、上記のとおり主音周波数での振動が最も大きくなる部分に、最も厚さが小さい第2薄手部分400が設けられているため、この部分に第2薄手部分400を設けない場合に比べて主音周波数の音が大きくなる。主音周波数の音が大きくなるほど、他の周波数の音が目立たなくなり、澄んだ音が発生するようになる。このように、本実施形態によれば、領域C8に第2薄手部分を設けない場合に比べて、打球時により澄んだ音(まとまった音感のある音)を発生させることができる。
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、上述した実施形態及び以下に示す各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
(変形例1)
縁部分100、第1薄手部分300及び第2薄手部分400の厚さL100、L300及びL400は、上述した実施形態とは異なっていてもよい。例えば、L100は、実施形態では0.75mmであったが、0.6mm以上0.9mm以下であれば他の値であってもよい。また、L300は、0.55mmであったが、0.3mm以上0.8mm以下であれば他の値であってもよく、L400は、0.35mmであったが、0.1mm以上0.6mm以下であれば他の値であってもよい。ただし、いずれの場合も、L100>L300>L400という大小関係となるようにする。
また、第1リブ530及び第2リブ540が設けられている部分の厚さ(L300+L530及びL400+L540)も、実施形態とは異なっていてもよい。例えば、L300+L530は、実施形態では0.70mmであったが、0.4mm以上0.9mm以下であればよく、L400+L540は、実施形態では0.45mmであったが、0.2mm以上0.7mm以下であればよい。ただし、これらの厚さはいずれもL100以下となるようにする。また、いずれの場合も、第1薄手部分及び第2薄手部分がリブを有するような厚さにする(つまりL400=L400+L540となるような厚さにはしない。)。なお、L300+L530がL100と等しくなる場合は、図6に示す工程のうち、第2工程(クラウン部30xの内面31xの一部にケミカルミーリングを実施)は不要となる。
上記のとおり、第2薄手部分の厚さを、図8に示す最適厚さ(0.50mm以上0.60mm以下)以下(0.1mm以上0.6mm以下)とすることで、第2薄手部分の厚さを小さくした場合に反発力が向上するという効果を得ることができる。また、第2薄手部分の厚さに応じて、第2薄手部分における過剰な振動を抑制する厚さの第1薄手部分を設けることで、反発力を向上させる度合いを、過剰な振動を抑制する度合いよりも大きくすることができる。これにより、第2薄手部分を設けない場合に比べて、ボールの初速を向上させることができる。
(変形例2)
第2薄手部分は、上述した実施形態では、図4に示す前側領域部410、中央領域部420及びトウ側領域部430を有していたが、これには限らない。
図13は、本変形例におけるクラウン部の例を示す図である。図13(a)及び(b)では、内面側から見たクラウン部30a及び30bが示されている。また、図13では、図を見やすくするためにリブの図示を省略しており、且つ、実施形態における第2薄手部分400を比較のため二点鎖線で示している。クラウン部30aは、第2薄手部分400aを有する。第2薄手部分400aは、図4における前側領域部410及び中央領域部420を含むように設けられている。このようなクラウン部30aを用いた場合のボールの初速、飛距離及びフックスピン量が、図9、図10及び図11において「C5、8」の名称で示されている。これらの図に示されるように、クラウン部30aを用いた場合も、実施形態と同様に、第2薄手部分を設けないクラウン部を用いる場合に比べて、ボールの初速、飛距離及びフックスピン量を向上させることができる。また、クラウン部30aを用いた場合、ボールの初速については、第2薄手部分を設けた他のゴルフクラブヘッドの中でも、実施形態のゴルフクラブヘッド10に次ぐ大きさとすることができる。更に、クラウン部30aを用いた場合、ボールの飛距離については、第2薄手部分を設けた他のゴルフクラブヘッドの中でも、最大とすることができる。
クラウン部30bは、第2薄手部分400bを有する。第2薄手部分400bは、図4における前側領域部410のみを含むように設けられている。クラウン部30bを用いた場合については、図9等で「C8」の名称で示されている。クラウン部30bを用いた場合も、図9等に示されているとおり、第2薄手部分を設けないクラウン部を用いる場合に比べて、ボールの初速、飛距離及びフックスピン量を向上させることができる。また、クラウン部30bを用いた場合、特に、フックスピン量については、第2薄手部分を設けた他のゴルフクラブヘッドの中でも、実施形態のゴルフクラブヘッド10に次ぐ大きさとすることができる。
以上のとおり、第2薄手部分は、少なくとも前側領域部410を含んで設けられているとよい。
(変形例3)
第2薄手部分は、上述した実施形態では、図4に示す前側領域部410及び中央領域部420と、中央領域部420及びトウ側領域部430とが、互いに切れ目無く続いていた(連続していた)が、連続せずに離れていてもよい。
図14は、本変形例におけるクラウン部の例を示す図である。図14(a)及び(b)では、内面側から見たクラウン部30c及び30dが示されている。また、図14では、図を見やすくするためにリブの図示を省略している。また、図14(b)では、実施形態の第2薄手部分400を比較のために示している。クラウン部30cは第2薄手部分400cを有する。第2薄手部分400cは、前側領域部410c、中央領域部420c及びトウ側領域部430cを有する。前側領域部410c、中央領域部420c及びトウ側領域部430cは、図4に示す前側領域部410、中央領域部420及びトウ側領域部430にそれぞれ含まれている領域部である。また、前側領域部410c、中央領域部420c及びトウ側領域部430cは、互いに連続しておらず、間に第1薄手部分が形成されている。
クラウン部30dは第2薄手部分400dを有する。第2薄手部分400dは、前側領域部410d、中央領域部420d及びトウ側領域部430dを有する。前側領域部410d、中央領域部420d及びトウ側領域部430dは、図4に示す前側領域部410、中央領域部420及びトウ側領域部430にそれぞれ含まれている領域部である。また、前側領域部410d、中央領域部420d及びトウ側領域部430dは、互いに連続しておらず、且つ、第2薄手部分400の外周とも接していない。つまり、これらの領域部は、領域C8、C5、C4に含まれている薄手部分の全体ではなく一部に設けられている。
第2薄手部分400c及び400dは、実施形態の第2薄手部分400よりも例えば中空空間B1に面する面の面積が小さい。このため、クラウン部30c及び30dを用いた場合、実施形態に比べると、第2薄手部分を第1薄手部分よりも薄くしたことによって反発力が向上する度合いが小さくなり、第2薄手部分の過剰な振動が抑制される度合いが大きくなる。この場合、例えば、実施形態に比べて第2薄手部分の厚さをより小さくすることで、反発力を向上させるようにしてもよい。いずれにしても、第2薄手部分400c及び400dを小さくしすぎなければ(例えば、隣り合う第2薄手部分同士の距離が10mm以内となるようにすれば)、第2薄手部分を設けない場合に比べてボールの初速を向上させることができる。このように、第2薄手部分は、図4において前側領域部410、中央領域部420及びトウ側領域部430が形成されている各領域に設けられていればよい。
(変形例4)
図4に示す領域C0は、上述した実施形態では、縁部分100の内面101のトウ側、ヒール側、前側及び後ろ側の端部と接する四角形を外周とする領域であったが、これには限らない。例えば、領域C0は、薄手部分200のトウ側、ヒール側、前側及び後ろ側の端部と接する四角形を外周とする領域であってもよい。この領域は、領域C0よりも小さくなるため、変形例3と同様に、第2薄手部分が図4に示すものに比べて小さくなる。この場合、同じく変形例3と同様に、実施形態に比べて第2薄手部分の厚さをより小さくすることで、反発力を向上させるようにしてもよく、いずれにしても、第2薄手部分を小さくしすぎなければ(例えば、第2薄手部分の外周と各領域の外周との距離が5mm以内となるようにすれば)、第2薄手部分を設けない場合に比べてボールの初速を向上させることができる。
なお、領域C0は、クラウン部30自体のトウ側、ヒール側、前側及び後ろ側の端部と接する四角形を外周とする領域であってもよい。この場合は、実施形態に比べて第2薄手部分が大きくなるため、上述した反発力の向上と振動の影響の抑制とが反対の関係になるが、第2薄手部分を設けない場合に比べれば、ボールの初速を向上させることができるという点では実施形態と同じである。
(変形例5)
図4に示す領域C1〜C9は、上述した実施形態では、領域C0をトウ・ヒール方向に等間隔に3分割し、前後方向に等間隔に3分割して得られる領域であったが、これには限らない。例えば、図4に示すようにトウ・ヒール方向及び前後方向にそれぞれ等間隔に3分割した各領域の境界を、これらの方向に所定の長さ(例えば±5mmずつ)ずらした境界としてもよい。
図15は、本変形例におけるクラウン部の例を示す図である。図15(a)及び(b)では、内面側から見たクラウン部30m及び30nが示されている。また、図15では、図を見やすくするためにリブの図示を省略しており、且つ、実施形態における領域C1〜C9及び第2薄手部分400を比較のために示している。クラウン部30mは第2薄手部分400mを有する。図15(a)の例では、実施形態における各領域の境界を、領域C0の中央に向かう方向に長さL1ずつずらしたものを境界としている。これにより、領域C5のトウ・ヒール方向の幅がL2からそれよりも小さいL3に変化し、前後方向の幅がL4からそれよりも小さいL5に変化している。このため、第2薄手部分400mは、変形例3等と同様に、実施形態の第2薄手部分400に比べて小さくなっている。従って、この場合も、実施形態に比べて第2薄手部分の厚さをより小さくすることで、反発力を向上させるようにしてもよい。
クラウン部30nは第2薄手部分400nを有する。図15(b)の例では、実施形態における各領域の境界を、領域C0の中央から離れる方向に長さL6ずつずらしたものを境界としている。これにより、領域C5のトウ・ヒール方向の幅がL2からそれよりも大きいL7に変化し、前後方向の幅がL4からそれよりも大きいL8に変化している。このため、第2薄手部分400nは、実施形態の第2薄手部分400に比べて大きくなっている。この場合、実施形態に比べると、第2薄手部分を第1薄手部分よりも薄くしたことによって反発力が向上する度合いが大きくなり、第2薄手部分の過剰な振動が抑制される度合いが小さくなる。従って、例えば、実施形態に比べて第1薄手部分または第2薄手部分の厚さをより大きくすることで、第2薄手部分の過剰な振動が抑制される度合いを大きくするようにしてもよい。本変形例では、実施形態の第2薄手部分400と比べて、各領域の境界に沿った第2薄手部分の辺が最大でも±5mmずつずれるだけであり、第2薄手部分を設けない場合に比べれば、ボールの初速を向上させることができるという点では実施形態と同じである。
なお、図15の例では、各領域の境界をいずれも同じ長さだけずらしたが、ずらす長さをそれぞれ異ならせてもよいし、ずらす方向(中央に向かう方向及び離れる方向)を混在させてもよい。要するに、クラウン部は、トウ・ヒール方向及び前後方向の中央にあってトウ・ヒール方向に第1の幅(L2、L3及びL7がその例)を有し、前後方向に第2の幅(L4、L5及びL8がその例)を有する中央領域(領域C5がその一例)に、図4等に示す中央領域部420を有していればよい。また、クラウン部は、中央領域の前側にある前側領域(領域C8がその一例)に、前側領域部410を有し、中央領域のトウ側にあるトウ側領域(領域C4がその一例)に、トウ側領域部430を有していればよい。
(変形例6)
クラウン部には、上述した実施形態では、上述した低剛性部(低剛性部以外の部分に比べて剛性が低くなっている部分)として、第1薄手部分300よりも厚さが小さい第2薄手部分400が設けられていたが、これには限らない。例えば、クラウン部には、第2薄手部分に代えて、実施形態で用いられた材料(チタン)よりも剛性が低いもの(例えばカーボン)で形成された低剛性部(以下「低剛性材料部分」という。)が設けられていてもよい。この場合、第1薄手部分と同じ厚さで低剛性部を形成しても、材料の違いにより、低剛性部(つまり低剛性材料部分)のほうが第1薄手部分に比べて剛性が低くなる。これにより、第2薄手部分を設けたときと同様に、第1薄手部分のみを設ける場合に比べて、ボールの初速、飛距離及びフックスピン量を向上させることができる。
なお、クラウン部には、前述した低剛性材料部分の全体または一部の厚さを更に小さくしたものが設けられていてもよい。このように厚さを小さくした低剛性材料部分(以下「薄手低剛性材料部分」という。)は、第1薄手部分よりも剛性が小さい低剛性部であり、且つ、自身(低剛性部)以外の部分(例えば第1薄手部分)に比べて厚さを小さくした薄手部分を有するものになる。つまり、薄手低剛性材料部分は、材料及び厚さの両方を第1薄手部分と異ならせた低剛性部となる。このように、クラウン部には、材料及び厚さの両方または一方を第1薄手部分と異ならせた低剛性部が設けられているとよい。また、第1、第2及び第3の低剛性部は、実施形態における第2薄手部分のようにチタンを薄手にした低剛性部と、例えばカーボンで形成された第1薄手部と同じ厚さの低剛性部(前述した低剛性材料部分)と、例えばカーボンで形成された部分の全体または一部の厚さを更に薄くした低剛性部(薄手低剛性材料部分)とのうちのいずれか2つまたは3つを組み合わせとしてもよい。その際、第1、第2及び第3の低剛性部のうちの少なくとも1つに、第2薄手部分のように薄手にした低剛性部または薄手低剛性材料部分が設けられるようにすることで、低剛性部は、自身(低剛性部)以外の部分に比べて厚さを小さくした薄手部分を有するものとなる。
(変形例7)
クラウン部の薄手部分が有するリブの形は、図4に示すものに限らない。
図16は、本変形例におけるリブの形の例を示す図である。図16(a)、(b)及び(c)では、クラウン部30e、30f及び30gの内面側がそれぞれ示されている。図16では、図を見やすくするため、第1薄手部分及び第2薄手部分の境界を図示していない。クラウン部30e、30f及び30gは、それぞれリブ500e、500f及び500gを有している。リブ500eは、図4に示すリブ500のうちの、トウ・ヒール方向に延伸するリブ以外のものである。リブ500fは、前後方向に延伸するリブである。リブ500gは、トウ・ヒール方向に延伸するリブである。これらの例では、いずれも、薄手部分の内面に、複数のリブが所定の間隔で並んで設けられている。これによって、各薄手部分は、リブを有しない場合に比べて強度が向上している。要するに、薄手部分は、縁部分に比べて厚さが小さい分、強度も小さくなっているので、内面にリブを設けておくことで、リブを設けない場合に比べて強度が向上するようになっていればよい。つまり、薄手部分には、様々な形のリブが設けられていてもよい。
(変形例8)
上述した実施形態では、第2薄手部分とそれ以外の部分(縁部分または第1薄手部分)との段差やリブなどによる起伏が、クラウン部の内面(ゴルフクラブヘッドの中空空間側を向いた面)に形成されていたが、これらの起伏がクラウン部の外面(ゴルフクラブヘッドの外部の空間側を向いた面)に形成されていてもよい。
図17は、本変形例におけるクラウン部の断面の例を示す図である。図17では、図を見やすくするため、クラウン部の端面のみを示している。図17(a)、(b)及び(c)では、クラウン部30h、30j及び30kの端面がそれぞれ示されている。クラウン部30hは、縁部分100、第1薄手部分300h及び第2薄手部分400hを有する。クラウン部30hの内面には、第2薄手部分400hとそれ以外の部分との段差による起伏が形成されている。一方、クラウン部30hの外面には、リブ500hによる起伏が形成されている。
クラウン部30jは、縁部分100、第1薄手部分300j及び第2薄手部分400jを有する。クラウン部30jの外面には、リブ500jが設けられている。クラウン部30jの外面には、第2薄手部分400j及びそれ以外の部分の段差と、リブ500jとの両方による起伏が形成されている。クラウン部30kは、縁部分100、第1薄手部分300k及び第2薄手部分400kを有する。クラウン部30kの内面には、リブ500kが設けられている。クラウン部30kの内面には、リブ500kによる起伏が形成されている一方、外面には、第2薄手部分400kとそれ以外の部分との段差による起伏が形成されている。図17に示すクラウン部を用いる場合であっても、実施形態と同様に、反発力の向上及び過剰な振動の抑制が実現され、第2薄手部分を設けない場合に比べて、ボールの初速を向上させることができる。また、薄手部分にリブを設けることによって、リブを設けない場合に比べて薄手部分の強度が向上する。
また、これらの例では、いずれも、クラウン部の外面に上記の段差やリブによる起伏が現れることになる。クラウン部の外面は、使用者がゴルフクラブ1を構えたときに、ボールとともに使用者が目にする部分である。一方、変形例7で述べたとおり、薄手部分には様々な形のリブが設けられてもよいので、例えば、クラウン部の外面に設けられたリブによって使用者に見せたい模様や図形、文字などを描くことも可能である。つまり、前述した起伏が模様や図形、文字などを描くように第1薄手部分、第2薄手部分及びリブを設けることで、例えば他の場所にそれらを描く場合に比べて、描かれたものをプレイ中の使用者に容易に認識させることができる。
(変形例9)
クラウン部には、上述した実施形態では、ケミカルミーリングによって薄手部分が形成されたが、他の方法で形成されてもよい。他の方法とは、例えば、研磨材を用いるサンドブラストなどである。また、上述した実施形態では、鍛造によりチタンを加工して、図6(a)に示すクラウン部30xをまずは形成したが、例えば、鋳造により最初から図4や図6(d)に示すような薄手部分を有するクラウン部を形成してもよい。要するに、図4等に示す形に形成されるのであれば、どのような方法でクラウン部が加工されてもよい。
1…ゴルフクラブ、10…ゴルフクラブヘッド、11…シャフト、12…グリップ、20…フェース部、21…フェース面、30…クラウン部、40…ソール部、50…ホーゼル部、100…縁部分、200…薄手部分、300…第1薄手部分、400…第2薄手部分、101、301、401…内面、500…リブ、530…第1リブ、540…第2リブ

Claims (5)

  1. 前側にフェース部を備え、当該フェース部の後ろ側にクラウン部及びソール部を備える中空のゴルフクラブヘッドにおいて、
    前記クラウン部は、トウ・ヒール方向及び前後方向の中央にあってトウ・ヒール方向に第1の幅を有し、前後方向に第2の幅を有する中央領域よりも前側にある前側領域に、当該前側領域よりもトウ側及びヒール側にある領域に比べて剛性が低い第1の低剛性部を有する
    ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
  2. 前記クラウン部は、前記中央領域に、当該中央領域よりもヒール側及び後ろ側にある領域に比べて剛性が低い第2の低剛性部を有し、当該中央領域よりもトウ側にあるトウ側領域に、当該トウ側領域よりも前側及び後ろ側にある領域に比べて剛性が低い第3の低剛性部を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
  3. 前記低剛性部は、当該低剛性部以外の部分に比べて厚さを小さくした薄手部分を有する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のゴルフクラブヘッド。
  4. 前記薄手部分には、リブが設けられている
    ことを特徴とする請求項3に記載のゴルフクラブヘッド。
  5. 前記ゴルフクラブヘッドの外面には、前記薄手部分と当該薄手部分以外の部分との段差が形成されている
    ことを特徴とする請求項3または4に記載のゴルフクラブヘッド。
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