JP2013238509A - てこ式プローブ用の基準器、てこ式プローブの位置情報および姿勢情報を取得する方法 - Google Patents

てこ式プローブ用の基準器、てこ式プローブの位置情報および姿勢情報を取得する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】三次元測定機のプローブヘッドに取り付けられたてこ式プローブのスタイラス先端部の位置情報、およびスタイラスの姿勢情報を高い精度で取得するために必要な基準器を提供すること。
【解決手段】基準器は、てこ式プローブのスタイラス先端により表面を走査される少なくとも1つの平坦面と、平坦面上に形成された凹凸形状によって特定される3つの線分A〜Cと、3つの線分の相対的な位置情報の基準となる少なくとも1つの基準位置と、を備える。2つの線分A,Bは互いに平行であり、他の1つの線分Cは平行では無い。3つの線分に対して、てこ式プローブの走査線m1を定める際に、走査線m1がそれぞれ異なる位置で3つの線分と交わるように、3つの線分A〜Cが平坦面に対して配置されている。基準位置に対する3つの線分A〜Cの相対的な位置情報が既知である。
【選択図】 図6

Description

本発明は、三次元測定機(CMM)のプローブヘッドに、てこ式プローブを取り付けて、てこ式プローブによる被測定物の表面粗さ、表面うねりなどの表面性状の測定を可能とする、てこ式プローブ搭載型の三次元測定機に関する。特に、てこ式プローブをプローブヘッドに取り付けた際に、てこ式プローブのスタイラス先端部の位置情報、およびスタイラスの姿勢情報を三次元測定機の信号処理手段に認識させるために、これらの情報を高い精度で取得する方法に関する。
三次元測定機は、三軸方向にプローブを移動させる範囲が大きく、形状の大きい被測定物の表面の位置座標を測定する場合に適している。三次元測定機に使用されるプローブは、被測定物の表面の位置座標をタッチトリガー式で検出する位置検出プローブ(例えば、(株)ミツトヨ製 タッチトリガープローブ TP7M)が一般的である。
一方で、位置検出プローブには被測定物の表面粗さを測定する機能がないため、表面粗さを測定する場合には、粗さ計(例えば、(株)ミツトヨ製 サーフテスト SV−2100)などを用いて測定する必要があった。
しかしながら、近年、三次元測定機のプローブヘッドに表面粗さ測定用のプローブ(粗さプローブと呼ぶ。)を取り付けて、三次元測定機の一連の測定の中で粗さプローブによる測定を実行したいという使用者の要求が大きくなってきた。
粗さプローブは、スタイラスをてこ式で支持するスタイラスホルダを有し、また、このスタイラスホルダを走査方向に進退移動させるプローブ本体部を有する。スタイラスホルダを進退させることで、スタイラス先端部が被測定物の表面を走査できるようになっている。また、プローブ本体部には、三次元測定機のプローブヘッドへの接続部が設けられている。そして、粗さプローブによる測定は、ステップ1で、三次元測定機の三軸移動手段で粗さプローブを走査開始位置に位置決めし、ステップ2で、粗さプローブの自己走査機能で被測定物の表面粗さを測定する。
プローブの校正の必要性
通常、プローブヘッドのプローブを交換した際には、交換後のプローブの先端位置の情報を何らかの方法で三次元測定機の信号処理手段に認識させる必要がある。プローブヘッドの接続位置からプローブの先端位置までの長さや、プローブ先端部の曲率半径などは、プローブの種類ごとに異なる場合があり、また、プローブヘッドへの取り付け誤差も生じるためである。
このため、従来の三次元測定機では、交換前後の各プローブでマスターボールなどの共通形状をそれぞれ測定し、交換前のプローブの先端位置を基準にして、交換後のプローブの先端位置の座標情報を信号処理手段に認識させるという方法が取られていた。交換前後の各プローブが共通形状を測定できるため、この方法が有効だった。
また、従来の粗さ計についても、てこ式で支持されたスタイラスの円弧運動によるずれ量を正確に見積もる方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、スタイラス先端部のZ1方向のずれ量、および、同一の形状についての対称性誤差を校正する方法が説明されている。
特開2004−286457号公報
しかし、三次元測定機のプローブヘッドに取り付けられた粗さプローブについて、その先端位置の情報を三次元測定機の信号処理手段に認識させる場合には、交換前後のプローブを用いて共通形状を測定するという従来方法を採用することは困難である。何故なら、粗さプローブは、位置検出プローブよりも微細な凹凸形状を検出するために特化されたプローブであり、スタイラス先端部の傾動変位(Z1)の検出範囲が最大でも1mm程度と、位置検出プローブのZ1方向の検出範囲よりも極端に狭いからである。また、粗さプローブが自己走査できる走査長さ(X1)も、位置検出プローブのX1方向の検出範囲に比べて極端に狭いからである。つまり、粗さプローブではマスターボールのような大きな寸法を有する共通形状を測定することが困難である。
さらに、粗さプローブはてこ式のスタイラス支持構造を有するので、信号処理手段に認識させる情報としては、スタイラス先端位置の座標情報だけでは不十分であり、スタイラスの姿勢についての情報も必要である。なお、信号処理手段にこれらの情報を認識させることが、特許文献1に示される校正方法を利用するための前提となっている。
すなわち、本発明の目的は、三次元測定機のプローブヘッドに自己走査型のてこ式プローブを取り付けて、てこ式プローブにより被測定物の表面性状を測定する場合に、てこ式プローブのスタイラス先端部の位置情報、およびスタイラスの姿勢情報を高い精度で取得できる方法を提供することである。また、そのために必要となる基準器を提供することである。
三次元測定機のプローブヘッドに取り付けられた「てこ式プローブ」の位置情報や姿勢情報を取得する際に、前述のようにマスターボールなどの共通形状を測定する従来方法を適用できず、光学干渉計などの特殊な測定装置を用いてこれらの情報を取得しなければならなかった。そうすると、てこ式プローブによる測定前に他の測定装置による測定工程が加わり、返って測定作業が複雑になってしまう。三次元測定機のインライン測定として、てこ式プローブを用いた測定を行なうメリットが半減してしまう。
このような状況下、発明者は驚くべきことに非常にシンプルな形状の基準器を開発し、この基準器に対して三次元測定機自体の測定機能だけで、必要な位置情報および姿勢情報を短時間で精度よく取得できる方法を見出し、本発明を完成させた。
<てこ式プローブ用の基準器>
すなわち、本発明に係るてこ式プローブ用の基準器は、各種プローブを被測定物に対して三軸方向に相対的に移動させるプローブ移動装置に取り付けられた自己走査型のてこ式プローブのための基準器であって、てこ式プローブの位置情報および姿勢情報を取得するための基準器である。
この基準器は、前記てこ式プローブのスタイラス先端により表面を走査される少なくとも1つの平坦面と、前記平坦面上に形成された凹凸形状によって特定される3つの線分と、前記3つの線分の相対的な位置情報の基準となる少なくとも1つの基準位置と、を備える。
そして、前記3つの線分のうちの2つの線分は互いに平行であり、他の1つの線分は前記平行な2つの線分に対して平行で無い。また、前記3つの線分に対して前記てこ式プローブの走査線を定める際に、前記走査線がそれぞれ異なる位置で前記3つの線分と交わるように、前記3つの線分が平坦面に対して配置されている。そして、前記基準位置に対する前記3つの線分の相対的な位置情報が既知であることを特徴とする。
ここで、本発明に係るてこ式プローブの移動用として使用するプローブ移動装置について、その一例を図1を用いて説明する。プローブ移動装置2は、各種プローブを取り付け可能なプローブヘッド4と、前記プローブヘッドを被測定物Wに対して三軸方向に相対的に移動させる三軸移動手段5と、前記三軸移動手段による前記プローブヘッドの移動量を各軸方向について検出するプローブ移動検出手段(不図示)とを備える。そして、前記てこ式プローブ1の代わりに被測定物の位置座標を検出する位置検出プローブを使うことによって3次元位置座標の測定装置を構成するようになっているとよい。
また、本発明に係る自己走査型のてこ式プローブについて、その一例を図2を用いて説明する。てこ式プローブ1は、被測定物Wに接触する先端部12Aを有するスタイラス12と、前記スタイラスをてこ状に回転支持するスタイラスホルダ14と、前記スタイラスホルダを進退移動させてスタイラス先端に被測定物の表面を走査させるプローブ本体部16と、前記スタイラスの先端部の傾動変位、および、スタイラスホルダの進退移動による先端部の走査変位をそれぞれ検出するスタイラス変位検出部20,22とを有するとよい。
本発明に係るてこ式プローブ用の基準器の具体的な形状については以下の構成を備えることが好ましい。
まず、前記線分を特定する凹凸形状は、前記平坦面の表面に形成された線状の溝部、線状の突部もしくは線状の段差部またはこれらの組合せを有することが好ましい。
また、前記線分を特定する凹凸形状は、直交断面が円弧形または楕円弧形であり、前記平坦面から最も凹んだ位置または最も突き出た位置によって前記線分を特定することが好ましい。
線状の溝部とは、例えば、図3(B)のような円弧形の直交断面を有する線状の溝部でもよい。3つの線分のすべてを同じ円弧形の断面としてもよいし、V字溝など他の断面形状を有する線状の溝部との組合せでもよい。同図で説明すると、線状の溝部の場合、平坦面から最も凹んだ点P1の位置によって、線分Aを容易に特定することができる。また、溝部の内側面の形状によって、線分Aを特定することで、線分の特定に用いる部分を外傷などから保護し易く、基準器の取り扱いも容易になる。
線状の突部や線状の段差部であっても容易に線分を特定できるので、線状の溝部の代わりに用いることができる。例えば、三角形の直交断面を有する線状の突部であれば、平坦面から最も突き出た位置によって、線分を容易に特定できる。また、この線状の突部の2つの斜面を精度よく形成して、2つの斜面の交線によって線分を特定してもよい。この場合、特定される線分は仮想の交線であっても構わない。
また、線状の段差部の場合、例えば、平坦面に少しだけ低いレベルの第2平坦面と、2つの平坦面を結ぶ傾斜面とが形成されていればよい。線分は、傾斜面といずれかの平坦面の交線部分によって容易に特定できる。
なお、本発明に係る基準器において、前記基準位置は、前記基準器の表面に形成された複数の平坦面の形状によって特定されることが好ましい。
図3(A)に例示するように、立方体状の基準器40の場合であれば、複数の平坦面(イ〜ハ)の形状によって基準位置を容易に特定することができる。この例では、基準位置は現実の表面上の点であるが、頂点がR加工されている場合のように、複数の平坦面の形状によって特定される位置が表面上には存在しない仮想位置を基準位置として用いても構わない。
<てこ式プローブの位置情報および姿勢情報を取得する方法>
上述した基準器を用いて、本発明に係るてこ式プローブのスタイラス先端の位置情報およびスタイラスの姿勢情報を取得する方法は、基準器特定工程、第1走査工程、第2走査工程、位置情報取得工程、および走査方向情報取得工程を備える。
まず、基準器特定工程は、被測定物の位置座標を検出する位置検出プローブを使って基準器の基準位置および基準器の姿勢を特定する。一例である図4(A)に基づいて説明すると、基準位置P0が立方体形状の基準器40の1つの頂点である場合、位置検出プローブ11を使って3つの平面(平坦面イ、端面ロおよびハ)を測定し、これらの平面情報から基準位置P0を特定する。3平面が互いに垂直に交わることが既知であれば、側方の2つの端面ロ、ハの位置および向きを検出し、平坦面イについては高さ位置だけを検出すれば、基準位置の位置座標と基準器の姿勢を特定することができる。これらの位置座標情報および姿勢情報は、三次元測定装置に認識される。
第1走査工程は、図4(B)の一例のように、てこ式プローブを使って基準器40の平坦面イの表面を走査線m1に沿って走査する。走査線m1は、それぞれ異なる位置で3つの線分と交わるラインであるから、図5(B)の例に示す凹凸形状情報が検出される。この凹凸形状情報に基づいて、走査線m1上の3つの交点(A〜C)が特定される。このうち線分Cとの交点をPαで示す。
第2走査工程では、プローブ移動装置がてこ式プローブを平坦面イに対して走査方向を一定に維持したまま平行移動させる。その後、図4(C)に示すように、てこ式プローブを使って走査線m1に平行な第2の走査線m2に沿って平坦面の表面を走査する。
位置情報取得工程は、図6(A)に基づいて説明すると、第1走査工程で得られた形状情報に基づいて、平行な2つの線分A,Bで区切られた走査線m1の区間長さLを読み取る。また、走査線m1と平行でない線分Cとの交点Pαから、前記区間のいずれか一方の端点までの長さ(L1またはL2)を読み取り、これら2つの長さ情報から交点Pαを特定する。そして、既知である基準位置P0に対する交点Pαの相対的な位置情報を、交点Pαにおけるスタイラス先端の位置情報として取得し、三次元測定装置に認識させることができる。
交点Pαの位置の特定について数式を用いて説明する。まず、2つの線分A,Bは平行であるから2線分A,Bの距離Hは一定である。そして、線分Aから線分Bまでの走査線m1の区間長さLと距離Hとは次式の関係にある。
H=L・sin(θT)、
すなわち θT=sin−1(H/L) ・・・(1)
ここで、θTは、線分Aに対する走査線m1の傾き角度である。
従って、上式(1)を満たす角度θTと、区間長さLを交点Pαで分割した長さ(L1またはL2)とに基づいて、交点Pαの位置を特定することができる。分割による2つの長さ(L1,L2)の比率や、区間長さLに対する分割長さ(L1またはL2)の比率などを使えば、交点Pαを容易に特定できる。そして、交点Pαの位置が特定されれば、基準位置P0に対する交点Pαの相対的な位置情報が既知であるので、交点Pαにおけるてこ式プローブの先端部の正確な位置座標を取得することができる。
さらに、走査方向情報取得工程は、図6(B)に基づいて説明すると、第1走査工程での長さ(L1またはL2)の読み取りと同様に、第2走査工程で得られた形状情報に基づいて、第2の走査線m2と平行でない線分Cとの交点Pβを特定する。この交点Pβから平行な2つの線分A,Bで区切られた第2の走査線m2の区間におけるいずれか一方の端点までの長さ(L3またはL4)を読み取る。そして、第2走査工程での平行移動量d1と、交点から端点までの長さ情報の変化量(L1からL3への変化量、またはL2からL4への変化量)に基づいて、交点Pαにおける走査線m1の方向を特定してスタイラスの走査方向情報として取得する。
交点Pαにおける走査線m1の方向の特定について詳しく説明する。まず、この走査方向情報取得工程が必要となる理由は、前段の位置情報取得工程まで完了した時点では、てこ式プローブの走査方向を1つに特定できないからである。上式(1)を満たす角度θTは複数個ある。このことは、区間長さLを与えることができる走査線が図6(A)に示すm1とm1’のように2つ存在することより、明らかである。
本発明では、区間長さLの分割長さ(L1またはL2)が、第2走査工程での平行移動の前後で、その移動方向および移動量d1に対してどの程度増加または減少するかを評価する。そして、この分割長さの変化量に基づいて、傾き角度θTを1つに特定することができる。図6(B)に示すように、第1の走査線m1に沿った走査の後、走査方向を一定に維持しながらてこ式プローブを移動量d1だけ正の方向に平行移動させる。走査線がm1の位置からX2軸の正側へ平行移動する場合を正の方向への平行移動と呼ぶ。同図(B)の例では、移動前の分割長さ(例えばL1)に対して、移動後の分割長さ(L3)は増加する。ここで、移動量d1に対する分割長さの変化量(L1からL3への変化量)を正確に検出すれば、移動前の走査線がm1’では無くてm1であることを確定することができる。このようにして、交点Pαにおける走査線m1の方向を特定し、例えば、線分Aに対する走査線m1の傾き角度θTをスタイラスの走査方向情報として取得することができる。そして、スタイラスの走査方向情報を三次元測定装置に認識させることができる。
本発明に係るてこ式プローブの姿勢情報を取得する方法については、図7(A),(B)に示す一例のように、以下の特徴がある。まず、3つの線分A〜Cのうちの少なくとも1つの線分Aを特定する凹凸形状が、円弧形または楕円弧形の直交断面を有すること、および、平坦面から最も凹んだ位置または最も突き出た位置によって線分Aを特定することの要件を満たせば、以下の方法により、走査方向から見たスタイラスのローリング誤差情報θRを正確に取得することができる。同図(A),(B)では、凹凸形状が円弧形の直交断面を有し、平坦面から最も凹んだ位置により線分Aを特定する。また、スタイラスが走査方向を軸にして僅かに回転した状態で、てこ式プローブがプローブヘッドに取り付けられることにより生じる誤差をここではローリング誤差と呼ぶ。
すなわち、少なくとも1つの線分Aに対して斜め方向に走査して取得される断面形状情報に基づいて、走査方向X1における線分Aの位置P2を特定し、また、断面形状について走査方向の中心位置P3から前記特定された位置P2までの「ずれ量およびずれ方向」を読み取る。これらのずれ量およびずれ方向に基づいて走査方向から見たスタイラスのローリング誤差情報θRを取得することを特徴とする。
上記の方法によれば、てこ式プローブの取り付け誤差のうち、走査方向から見たスタイラスの取り付け角度の誤差を、スタイラスのローリング誤差情報θRとして、正確に取得することができる。ローリング誤差情報θRは、図8(B)に示すスタイラス12の姿勢を基準にすると、同図(A)または(C)に示すスタイラスの姿勢は、走査方向から見たローリング誤差θRを含んでいる。便宜上、同図(A)に示す誤差を正の誤差、同図(C)に示す誤差を負の誤差と呼ぶ。同図(B)のようにローリング誤差θRが、仮にゼロであれば、円弧形断面の溝部に対して斜め方向の走査で得られる凹凸形状は、図9(B)のように歪みのない楕円形状となる。そして平坦面から最も凹んだ位置P2は、ちょうど走査方向の中心位置になる。
しかし、図8(A)のように正のローリング誤差θRを含んでいる場合、同様の走査で得られる凹凸形状は、図7(B)のように歪んだ楕円形状となる。平坦面から最も凹んだ位置P2は、中心位置P3から走査方向(正の「ずれ方向」と呼ぶ)にずれる。そして、位置P3から位置P2までの「ずれ量」からスタイラスのローリング誤差θRが一義的に決まる。
ローリング誤差θRとずれ方向との関係は以下のようになる。線分Aに対する走査方向X1の傾き角度θTが90度より大きい場合、ローリング誤差θRが正であれば、ずれ方向も正になり、ローリング誤差θRが負であれば、ずれ方向も負になる。一方、傾き角度θTが90度未満である場合は、ローリング誤差θRが正であれば、ずれ方向は負になり、ローリング誤差θRが負であれば、ずれ方向は正になる。
このように、スタイラスの走査方向からみたローリング誤差θRを取得することができ、前述スタイラスの走査方向情報と共に、スタイラスの姿勢情報の一つとして信号処理手段に認識させることができる。
以上の構成によれば、三次元測定機のプローブヘッドに自己走査型のてこ式プローブを取り付けて、このてこ式プローブにより被測定物の表面性状を測定しようとする場合に、てこ式プローブのスタイラス先端部の位置情報、およびスタイラスの姿勢情報を高い精度で取得することができる。そして、三次元測定機にこれらの情報を認識させることで、てこ式プローブによる被測定物の表面性状を高い精度で測定することができる。
本発明に係るてこ式プローブ搭載型の三次元測定機の全体構成図である。 前記てこ式プローブをプローブヘッドに搭載する方法の説明図である。 (A)は、本発明に係る基準器の外形図であり、(B)は基準器に形成された線分の直交断面図である。 本発明に係る方法について、(A)は基準器特定工程を説明し、(B)は第1走査工程を説明し、(C)は第2走査工程を説明するための図である。 (A)は、前記第1走査工程の詳しい説明図であり、(B)は、走査線に沿った平坦面の縦断面図と検出される凹凸形状を示す図である。 本発明に係る方法について、(A)は位置情報取得工程を説明し、(B)は走査方向情報取得工程を説明するための図である。 (A)は、円弧形の断面を有する溝部を斜め方向に走査する方法を説明するための図であり、(B)は走査によって検出される凹凸形状を示す図である。 本発明に係る方法について、てこ式プローブのスタイラスのローリング誤差を説明するための図である。 図7においてスタイラスのローリング誤差の無い場合の走査状態と、検出される凹凸形状を示す図である。 基準器の変形例を示す図である。 基準器の他の変形例を示す図である。
本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
<プローブ移動装置の構成>
図1の装置は、粗さプローブ1を被測定物Wに対して三軸方向に相対的に移動させるプローブ移動装置2であり、ここでは粗さプローブ搭載型の三次元測定機とも呼ぶ。
プローブ移動装置2は、被測定物Wなどを載置する載置台3と、各種プローブを着脱自在に取り付け可能なプローブヘッド4と、プローブヘッドを被測定物Wに対して三軸方向(X2,Y2,Z2)に相対的に移動させる三軸移動手段5と、三軸移動手段によるプローブヘッドの移動量を各軸方向について検出するプローブ移動検出手段6(不図示)と、プローブヘッドに取り付けた各種プローブの出力信号およびプローブ移動検出手段の出力信号を処理して測定結果を算出する信号処理手段7とを備える。なお、三軸移動手段は、Y2方向へ移動自在に構成された門型のY軸スライダ8、このY軸スライダの梁部分に沿ってX2方向へ移動自在に構成されたX軸スライダ9、このX軸スライダに設けられてZ2方向へ移動自在に構成されたZ軸スライダ10を有する。各スライダは図示しないスライド駆動手段をそれぞれ備えている。
各種プローブには、てこ式の粗さプローブ1だけでなく、位置検出プローブ11も含む。位置検出プローブ11は、例えばタッチトリガー式で被測定物の表面の位置座標を検出するものがある。位置検出プローブ11をプローブヘッド4に取り付ければ、上記のプローブ移動装置2は三次元測定装置(CMM)を構成する。
図1には省略したが、載置台3には各種プローブ用の交換ラックが設けられ、プローブ移動装置2はプローブヘッド4のプローブの自動交換を実行できる。例えば、交換ラックの方へプローブヘッド4を移動させて、空のラックに粗さプローブ1を収納し、別のラックから位置検出プローブ11を取り出せるようにしてもよい。別の構成として、交換ラックの代わりに、複数のプローブを取り付け可能な、いわゆるレボルバー式のプローブヘッドを用いてもよい。これにより、測定内容に応じて必要なプローブに切り換えることができる。
<粗さプローブの構成>
次に、本発明の自己走査型のてこ式プローブの一例である粗さプローブ1を、図2に基づいて説明する。
粗さプローブ1は、被測定物に接触する先端部12Aを有するスタイラス12と、スタイラスをてこ状に回転支持するスタイラスホルダ14と、スタイラスホルダを進退移動させるプローブ本体部16と、プローブヘッドへの接続部18と、スタイラスの先端部の傾動変位を検出する傾動変位検出部20と、スタイラスホルダの進退変位を検出する走査変位検出部22と、を有する。
プローブ本体部16がスタイラスホルダ14を進退移動させて、スタイラスの先端部に被測定物の表面を走査させる機能を備えているので、粗さプローブを特に「自己走査型の粗さプローブ」と呼ぶ。走査中、スタイラスの先端部12Aは、被測定物の表面凹凸に従ってZ1方向に変位する。このZ1方向の変位は、スタイラス12がその支軸12Bを中心に傾くことによって生じる先端部12Aの傾動変位である。
このような粗さプローブ1を保持するプローブヘッド4の構成について説明する。プローブヘッド4は、各種プローブを着脱自在に保持するプローブ保持部24、プローブ保持部をθ2軸を中心に回転支持するヘッド本体部26、およびヘッド本体部をθ1軸を中心に回転支持するヘッド支持部28を有する。θ1軸は、Z軸スライダ10の移動軸Z1と平行であり、θ1軸とθ2軸とは互いに直交関係にある。2つの角度(θ1,θ2)を調整することにより、被測定物の走査対象面の向きに対してプローブの姿勢(スタイラスの先端部12Aの向き)を最適化することができる。
粗さプローブ1を搭載したプローブ移動装置2を用いて被測定物Wの表面性状を測定する方法を説明する。プローブヘッド4に粗さプローブ1を取り付けた後、まず、プローブヘッドの2つの角度(θ1,θ2)を変えてプローブ1の姿勢を調整する。次に、三軸移動手段5によりプローブ1を、そのスタイラスの先端部12Aの位置が走査開始位置に合うように、位置決めする。その後、スタイラスホルダ14を走査方向X1にスライド移動させて、粗さプローブ1の自己走査機能を実行する。走査変位検出部22からのX1方向の変位情報と、傾動変位検出部20からのZ1方向の変位情報とが信号処理手段7に送られて、信号処理手段7によって被測定物Wの表面粗さや表面うねりなどの表面性状情報が算出される。
<基準器の構成>
次に、本発明に係る基準器について、図3に基づいて説明する。基準器40は、前述の粗さプローブ1のスタイラス先端部12Aの位置情報、および、スタイラス自体の姿勢情報を取得するためのものである。
基準器40は、略立方体の形状であり、粗さプローブ1により走査される平坦面イを上方にして載置台3に置かれる。平坦面イに対して垂直な4つの側面のうちの2つを端面ロと端面ハとする。そして、略立方体形状の頂点のうちで3つの面(イ〜ハ)の交点位置にある頂点を、基準位置P0とする。
このように基準位置P0は、互いに直交する3つの面(イ〜ハ)で特定されるので、位置検出プローブ11で3つの面を測定することにより、基準位置P0の座標情報を高い精度で取得することができる。なお、実際には頂点を厳密に加工することが困難である場合が多いので、基準位置P0を3つの面(イ〜ハ)によって特定される交点に設定しても構わない。その他、基準器の表面に形成された突部や凹部など、表面形状によって特定され得る位置を基準位置として用いてもよい。
平坦面イには、3つの線分A〜Cを特定する凹凸形状が形成されている。本実施形態では図3(B)に示す円弧形の直交断面を有する直線状の溝部が、凹凸形状に相当する。つまり、凹凸形状は3本の直線状の溝部によって構成されており、例えば線分Aは溝部において平坦面イから最も凹んだ位置P1によって特定される。
なお、直交断面は楕円弧形であってもよいし、凹凸形状には溝部の変わりに直線状の突部や、直線状の段差部、またはこれらを組合せた形状を用いてもよい。凹凸形状に直線状の突部を用いる場合には、各線分は平坦面から最も突き出た位置によって特定される。
3つの線分A〜Cのうちの2つの線分A,Bは互いに平行であり、他の1つの線分Cは平行な2つの線分A,Bに対して平行で無い。また、3つの線分A〜Cに対して粗さプローブ1の走査線m1を定める際、図4(B)に示すように、走査線m1がそれぞれ異なる位置で3つの線分A〜Cと交わるように各線分を平坦面イに配置した。なお、平行でない1つの線分Cは、平行な2つの線分A,Bに挟まれた位置に配置されている。線分A〜Cの配置に関する変形例として、線分Bに対して線分A側とは反対側に線分Cを配置してもよい。しかし、本実施形態の配置の方が3つの線分の配置面積が小さくなり、基準器をコンパクトに形成することができる。
本発明において特徴的なことの1つは、基準位置P0に対する3つの線分A〜Cの相対的な位置情報が所定の精度で予め取得済みであることである。すなわち、三次元測定機が基準器40の位置と姿勢を認識さえできれば、3つの線分の位置情報については既知の相対的な位置関係に基づいて即座に特定できる。このような相対的な位置情報は、いつでも基準器の使用者が使用できる状態であることが好ましい。ここで、基準位置P0に対する各線分の相対的な位置関係について、各線分の加工精度は、粗さプローブ搭載型の三次元測定機に必要とされる測定精度のレベル以上であることが必要である。
<粗さプローブの位置情報および姿勢情報を取得する方法>
以上説明した構成の基準器40を使って、粗さプローブ1のスタイラス先端部12Aの位置情報等の取得方法について図面に基づいて説明する。この方法は、基準器特定工程、第1走査工程、第2走査工程、位置情報取得工程、および走査方向情報取得工程を備える。
I.基準器特定工程
図4(A)に示すように、位置検出プローブ11を使って基準器40の基準位置P0および基準器の姿勢を特定する。この場合、基準位置P0は立方体形状の1つの頂点であるから、この頂点を特定する3つの平面(平坦面イ、端面ロおよび端面ハ)をそれぞれ位置検出プローブで検出し、これら3つの平面の交点を基準位置P0として信号処理手段7に認識させればよい。なお、1つの面上の異なる3つの点を位置検出プローブ11で検出することによって、その面の位置と向きを特定することができる。
3つの平面が互いに垂直に交わることが既知であれば、側方の2つの端面ロ,ハの位置と向きを検出し、上側の平坦面イについては高さ位置を検出することにより、基準位置P0の位置座標および基準器の姿勢をスムーズに検出できる。
II.第1走査工程
プローブヘッド4のプローブを位置検出プローブ11から粗さプローブ1に変更する。そして、図4(B)に示す走査線m1に沿って、粗さプローブ1がスタイラス12を移動させることにより、平坦面イの表面の走査が実行される。粗さプローブ1を使った走査の様子を図5(A)に示す。ここで、走査線m1は、3つの線分とそれぞれ異なる点で交わるラインであるから、この走査線m1に沿った走査により検出される凹凸形状情報は図5(B)に示す形状情報となり、走査線m1と交差する3つの交点A〜Cを特定することができる。
III.第2走査工程
三軸移動手段5が粗さプローブ1を平行移動させる。平行移動は、平坦面イに対して走査方向を一定に維持した状態で実行される。その後、図4(C)に示す第2の走査線m2に沿って平坦面イの表面を走査する。ここで、第2の走査線m2は、第1走査工程における走査線m1に平行であり、走査線と同様に3つの線分とそれぞれ異なる点で交わるラインである。従って、検出される凹凸形状情報から第2の走査線m2と交差する3つの交点A’〜C’を特定することができる。
IV.位置情報取得工程
図6(A)を用いて説明すると、第1走査工程で得られた形状情報(図5(B)参照)に基づいて、平行な2つの線分A,Bで区切られた走査線m1の区間長さLを読み取る。また、走査線m1と線分Cとの交点Pαから、区間のいずれか一方の端点までの長さ(L1またはL2)を読み取る。2つの線分A,Bは平行であるから、線分間の距離Hは一定である。区間長さLと距離Hとは次式の関係にある。
H=L・sin(θT)、
すなわち θT=sin−1(H/L) ・・・(2)
ここで、θTは、線分Aに対する走査線m1の傾き角度である。
上記の式を満たす角度θT、および、区間長さLを交点Pαで分割した長さ(L1またはL2)の各情報に基づいて、交点Pαの位置を特定することができる。例えば、交点Pαによる分割長さ(L1およびL2)の比率や、区間長さLに対する分割長さ(L1またはL2)の比率などを使って、交点Pαの位置を容易に特定することができる。
交点Pαの位置を特定できれば、基準位置P0に対する交点Pαの相対的な位置情報が既知であるので、その相対的な位置情報を交点Pαにおけるスタイラス先端の位置情報として取得し、信号処理手段7に送ることができる。
信号処理手段7では、基準器特定工程で取得された基準位置P0の位置情報および基準器40の姿勢情報と、この位置情報取得工程で取得された基準位置P0に対する交点Pαの相対的な位置情報とに基づいて、交点Pαにおける粗さプローブ1の先端位置の正確な位置情報を認識することができる。
V.走査方向情報取得工程
図6(B)を用いて説明すると、第1走査工程での長さ(L1またはL2)の読み取りと同様に、第2走査工程で得られた形状情報に基づいて、第2の走査線m2と線分Cとの交点Pβから平行な2つの線分A,Bで区切られた第2の走査線m2の区間におけるいずれか一方の端点までの長さ(L3またはL4)を読み取る。そして、第2走査工程での平行移動量d1と、交点から端点までの長さ情報の変化量(L1からL3への変化量、またはL2からL4への変化量)に基づいて、交点Pαにおける走査線m1の方向を特定して、スタイラスの走査方向情報として取得する。
交点Pαにおける走査線m1の方向の特定について詳しく説明する。まず、この走査方向情報取得工程が必要となる理由は、前段の位置情報取得工程まで完了した時点では、粗さプローブ1の走査方向X1を1つに特定できないからである。上式(2)を満たす角度θTは複数個ある。このことは、区間長さLを与えることができる走査線が図6(A)に示すm1とm1’のように2つ存在することより、明らかである。
そのため、区間長さLの分割長さ(L1またはL2)が、第2走査工程での平行移動の前後で、その移動方向および移動量d1に対してどの程度増加または減少するかを評価できれば、傾斜角度θTを1つに特定することができる。図6(B)に示すように、第1の走査線m1に沿った走査の後、走査方向を一定に維持しながら粗さプローブ1を移動量d1だけ正の方向に平行移動させる。走査線がm1の位置からX2軸の正側へ平行移動する場合を正の方向への平行移動と呼ぶ。同図(B)の例では、移動前の分割長さ(例えばL1)に対して、移動後の分割長さ(L3)は増加する。ここで、移動量d1に対する分割長さの変化量(L1からL3への変化量)を正確に検出すれば、移動前の走査線がm1’では無くてm1であることを確定することができる。このようにして、交点Pαにおける走査線m1の方向を特定し、例えば、線分Aに対する走査線m1の傾き角度θTをスタイラスの走査方向情報として取得することができる。そして、スタイラスの走査方向情報を信号処理手段7に認識させることができる。
<粗さプローブのスタイラスのローリング誤差を取得する方法>
走査方向からみたスタイラスのローリング誤差θRを取得する方法について説明する。図7(A),(B)に示すように、例えば、線分Aを特定する凹凸形状が円弧形の直交断面を有し、平坦面から最も凹んだ位置によって線分Aが特定されていれば、走査方向から見たスタイラスのローリング誤差θRを正確に取得することができる。このローリング誤差θRは、スタイラス12が走査方向X1を軸にして僅かに回転した状態で、粗さプローブ1がプローブヘッド4に取り付けられる場合に生じる誤差である。
ローリング誤差情報θRは、図8(B)に示すスタイラス12の姿勢を基準にすると、同図(A)または(C)に示すスタイラスの姿勢は、走査方向から見たローリング誤差θRを含んでいる。便宜上、同図(A)に示す誤差を正の誤差、同図(C)に示す誤差を負の誤差と呼ぶ。同図(B)のようにローリング誤差θRが、仮にゼロであれば、円弧形断面の溝部に対して斜め方向の走査で得られる凹凸形状は、図9(B)のように歪みのない楕円形状となる。平坦面から最も凹んだ位置P2は、ちょうど走査方向の中心位置になる。
しかし、図8(A)のように正のローリング誤差θRを含んでいる場合、同様の走査で得られる凹凸形状は、図7(B)のように歪んだ楕円形状となる。平坦面から最も凹んだ位置P2は、走査方向の中心位置P3から走査方向(正の「ずれ方向」と呼ぶ)にずれる。そして、位置P3から位置P2までの「ずれ量」からスタイラスのローリング誤差θRが一義的に決まる。
まず、線分Aに対して斜め方向に走査して取得される断面形状情報に基づいて、走査方向X1における線分Aの位置P2を特定する。また、断面形状について走査方向X1の中心位置P3から位置P2までの「ずれ量およびずれ方向」を読み取る。これらのずれ量およびずれ方向に基づいて走査方向から見たスタイラスのローリング誤差情報θRを取得する。
ローリング誤差θRとずれ方向との関係は以下のようになる。線分Aに対する走査方向X1の傾き角θTが90度より大きい場合は、ローリング誤差θRが正であれば、ずれ方向も正になり、ローリング誤差θRが負であれば、ずれ方向も負になる。一方、傾き角θTが90度未満である場合は、ローリング誤差θRが正であれば、ずれ方向は負になり、ローリング誤差θRが負であれば、ずれ方向は正になる。
このように、スタイラスの走査方向からみたローリング誤差θRを取得することができ、前述スタイラスの走査方向情報と共に、スタイラスの姿勢情報の一つとして信号処理手段7に認識させることができる。
本実施形態によれば、三次元測定機のプローブヘッド4に粗さプローブ1を取り付けて、この粗さプローブ1により被測定物Wの表面性状を測定しようとする場合に、粗さプローブ1のスタイラス先端部12Aの位置情報、およびスタイラス12の姿勢情報を高い精度で取得することができる。そして、三次元測定機の信号処理手段7にこれらの情報を認識させることで、粗さプローブによる被測定物Wの表面性状を高い精度で測定することができる。
なお、上記の実施形態で使用する基準器の変形例として図10、図11に示す基準器140、240を用いることができる。
図10の基準器140は、平坦面イに3つの線分A〜Cを特定する凹凸形状が形成されている点で上記実施形態の基準器40に共通するが、線分A,Bが平坦面イの向かい合う平行な縁辺にそれぞれ形成された凹凸形状によって特定されることに特徴がある。図10(B)は基準器140の平面図であり、同図(C)は走査線m1に沿った断面図である。図10(C)に示すように、線分A,Bは、線状の段差部の形状で特定される。すなわち線状の段差部は、平坦面イ、傾斜面二および第2の平坦面ホで構成され、傾斜面二と第2の平坦面ホとの交線により線分A,Bが特定されるようになっている。なお、平坦面イと傾斜面二との交線により線分A,Bが特定されるようにしても構わない。
また、図11の基準器240では、線分A,Bが平坦面イに形成された線状の段差部によって特定され、線分Cが段差部に形成された線状の突部チによって特定されることに特徴がある。図11(B)は基準器240の平面図であり、同図(C)は走査線m1に沿った断面図である。図11(C)に示すように、線分A,Bを特定する段差部は、平坦面イ、傾斜面へおよび第2の平坦面トで構成され、傾斜面へと第2の平坦面トとの交線により線分A,Bが特定される。また、第2の平坦面トに形成された線状の突部チの最も突き出た部分により線分Cが特定される。
1 粗さプローブ(てこ式プローブ)
2 粗さプローブ搭載型三次元測定機(プローブ移動装置)
4 プローブヘッド
5 三軸移動手段
6 プローブ移動検出手段
7 信号処理手段
11 位置検出プローブ
12 スタイラス
14 スタイラスホルダ
16 プローブ本体部
40,140,240 基準器
A〜C 線分
d1 平行移動量
L 区間長さ
L1,L2 分割長さ
L3,L4 分割長さ
m1 走査線
m2 第2の走査線
P0 基準位置
Pα 交点
Pβ 交点
θR ローリング誤差
θT 傾き角度

Claims (8)

  1. 各種プローブを被測定物に対して三軸方向に相対的に移動させるプローブ移動装置に取り付けられた自己走査型のてこ式プローブについて、その位置情報および姿勢情報を取得するための基準器であって、
    前記てこ式プローブのスタイラス先端により表面を走査される少なくとも1つの平坦面と、
    前記平坦面上に形成された凹凸形状によって特定される3つの線分と、
    前記3つの線分の相対的な位置情報の基準となる少なくとも1つの基準位置と、
    を備え、
    前記3つの線分のうちの2つの線分は互いに平行であり、他の1つの線分は前記平行な2つの線分に対して平行で無く、
    前記3つの線分に対して前記てこ式プローブの走査線を定める際に、前記走査線がそれぞれ異なる位置で前記3つの線分と交わるように、前記3つの線分が平坦面に対して配置され、
    前記基準位置に対する前記3つの線分の相対的な位置情報が既知である
    ことを特徴とするてこ式プローブ用の基準器。
  2. 請求項1記載のてこ式プローブ用の基準器において、
    前記線分を特定する凹凸形状は、前記平坦面の表面に形成された線状の溝部、線状の突部もしくは線状の段差部またはこれらの組合せを有することを特徴とするてこ式プローブ用の基準器。
  3. 請求項1または2記載のてこ式プローブ用の基準器において、
    前記線分を特定する凹凸形状は、直交断面が円弧形または楕円弧形であり、前記平坦面から最も凹んだ位置または最も突き出た位置によって前記線分を特定することを特徴とするてこ式プローブ用の基準器。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のてこ式プローブ用の基準器において、
    前記基準位置は、前記基準器の表面に形成された複数の平坦面の形状によって特定されることを特徴とするてこ式プローブ用の基準器。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のてこ式プローブ用の基準器において、
    前記プローブ移動装置は、
    各種プローブを取り付け可能なプローブヘッドと、
    前記プローブヘッドを被測定物に対して三軸方向に相対的に移動させる三軸移動手段と、
    前記三軸移動手段による前記プローブヘッドの移動量を各軸方向ごとに検出するプローブ移動検出手段とを備え、
    前記てこ式プローブの代わりに被測定物の位置座標を検出する位置検出プローブを使うことによって3次元位置座標の測定装置を構成することを特徴とするてこ式プローブ用の基準器。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のてこ式プローブ用の基準器において、
    前記自己走査型のてこ式プローブは、
    被測定物に接触する先端部を有するスタイラスと、
    前記スタイラスをてこ状に回転支持するスタイラスホルダと、
    前記スタイラスホルダを進退移動させてスタイラス先端に被測定物の表面を走査させるプローブ本体部と、
    前記スタイラスの先端部の傾動変位、および、スタイラスホルダの進退移動による先端部の走査変位をそれぞれ検出するスタイラス変位検出部と、
    を有して被測定物の表面性状を測定することを特徴とするてこ式プローブ用の基準器。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の基準器を用いて、前記てこ式プローブのスタイラス先端の位置情報および前記スタイラスの姿勢情報を取得する方法であって、
    被測定物の位置座標を検出する位置検出プローブを使って前記基準器の前記基準位置(P0)および基準器の姿勢を特定する基準器特定工程と、
    前記てこ式プローブを使って前記基準器の前記平坦面の表面を前記走査線に沿って走査する第1走査工程と、
    前記プローブ移動装置が前記てこ式プローブを前記平坦面に対して走査方向を一定に維持したまま平行移動させた後、前記てこ式プローブを使って前記走査線に平行な第2の走査線に沿って前記平坦面の表面を走査する第2走査工程と、
    前記第1走査工程で得られた形状情報に基づいて、前記平行な2つの線分で区切られた前記走査線の区間長さ(L)を読み取り、また、前記走査線と前記平行でない線分との交点(Pα)から前記区間のいずれか一方の端点までの長さ(L1またはL2)を読み取り、これら2つの長さ情報から前記交点(Pα)を特定し、既知である前記基準位置(P0)に対する前記交点(Pα)の相対的な位置情報を前記交点(Pα)におけるスタイラス先端の位置情報として取得する位置情報取得工程と、
    前記第1走査工程での長さ(L1またはL2)の読み取りと同様に、前記第2走査工程で得られた形状情報に基づいて、前記第2の走査線と前記平行でない線分との交点(Pβ)から前記平行な2つの線分で区切られた前記第2の走査線の区間におけるいずれか一方の端点までの長さ(L3またはL4)を読み取り、前記第2走査工程での平行移動量および前記交点から前記端点までの長さ情報の変化量(L1からL3への変化量、またはL2からL4への変化量)に基づいて、前記交点(Pα)における前記走査線の方向を特定して前記スタイラスの走査方向情報として取得する走査方向情報取得工程と、
    を備えることを特徴とするてこ式プローブの位置情報および姿勢情報を取得する方法。
  8. 請求項7記載のてこ式プローブの位置情報および姿勢情報を取得する方法において、
    前記3つの線分のうちの少なくとも1つの線分を特定する凹凸形状は、直交断面が円弧形または楕円弧形であり、前記平坦面から最も凹んだ位置または最も突き出た位置によって前記線分を特定し、
    この線分に対して斜め方向に走査した際の断面形状情報に基づいて、走査方向における前記線分の位置を特定し、また、前記断面形状について走査方向の中心位置から前記特定された位置までのずれ量およびずれ方向を読み取り、これらのずれ量およびずれ方向に基づいて走査方向から見た前記スタイラスのローリング誤差情報を取得することを特徴とするてこ式プローブの位置情報および姿勢情報を取得する方法。
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