JP2013237818A - 油/水/油型エマルション接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 保存安定性に優れ、機械の内部等に一定期間置かれても固化が生じにくく、かつ、低エネルギーで迅速に接着可能な接着剤を提供すること。
【解決手段】 樹脂を含む油/水型樹脂エマルションである水相と、有機溶剤を含む油相とからなり、前記水相は65質量%以上90質量%以下、前記油相は10質量%以上35質量%以下である油/水/油型エマルション接着剤であって、前記油/水型樹脂エマルションと前記有機溶剤は、それぞれを該油/水/油型エマルション接着剤中に含まれる量比で混合し、回転周期40〜80rpmで30分間回転撹拌して10分間静置した後に、互いに分離するものである、油/水/油型エマルション接着剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は、特に紙用として好ましく用いられる油/水/油型エマルション接着剤に関する。
画像形成された用紙に付加価値を付ける方法として、冊子作製や封書作製が注目されている。たとえば、ダイレクトメールなどにおいて、紙を折って封筒型とする、いわゆるセルフメーラーが使用されている。
任意の大きさ・形の冊子または封書を、印刷後の後処理装置(フィニッシャー)、たとえば封書作製装置、冊子作製装置などの機械を用いて、インラインで自動化して作製するには、接着剤の放置乾燥性および保存安定性の確保、ならびに短時間での接着性の発現が課題となる。
任意の大きさ・形の冊子または封書を、印刷後の後処理装置(フィニッシャー)、たとえば封書作製装置、冊子作製装置などの機械を用いて、インラインで自動化して作製するには、接着剤の放置乾燥性および保存安定性の確保、ならびに短時間での接着性の発現が課題となる。
すなわち、冊子作製や封書作製は、必ずしも使用頻度の高い用途ではないため、密閉状態ではない機械内に接着剤が長時間放置される可能性がある。したがって、開放空間下での放置中に接着剤が乾燥・固化した場合、接着剤の塗布不良が生じることとなる。
また、放置中に接着剤の分離や変質等が生じてしまうと、接着剤の塗布不良、接着不良等が生じる。
さらに、接着剤を用紙に塗布し貼り合わせた後に用紙を搬送する必要があるため、塗布後は乾きやすく、短時間で接着する必要がある。
また、放置中に接着剤の分離や変質等が生じてしまうと、接着剤の塗布不良、接着不良等が生じる。
さらに、接着剤を用紙に塗布し貼り合わせた後に用紙を搬送する必要があるため、塗布後は乾きやすく、短時間で接着する必要がある。
紙用の接着剤として、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなどの水溶性高分子を水に溶解させた水性接着剤が知られている(特許文献1)。酢酸ビニル系樹脂などのポリマー粒子を乳化剤や保護コロイドにより水中に分散させた水中油(O/W)型樹脂エマルション接着剤も提案されている(特許文献2、3)。
接着時間を短縮するために、ホットメルト型接着剤、活性光線硬化型接着剤等を用いることも知られており、接着剤塗布後に加熱、活性光線の照射等のエネルギーを与えることで接着時間を短縮している。特許文献4は、ホットメルト型接着剤を用いて製本を行う製本装置を開示する。
接着時間を短縮するために、ホットメルト型接着剤、活性光線硬化型接着剤等を用いることも知られており、接着剤塗布後に加熱、活性光線の照射等のエネルギーを与えることで接着時間を短縮している。特許文献4は、ホットメルト型接着剤を用いて製本を行う製本装置を開示する。
しかし、これらの公知技術の水性接着剤、水性エマルション接着剤はいずれも、機械内に放置された場合、水分の蒸発によって乾燥し固化してしまうため、インラインでの使用には適さない。
また、接着時にエネルギーが必要な場合、消費電力が著しく上昇するため、環境保護の観点から好ましくないことに加え、加熱や活性光線の照射等の機構を備えるために装置が大型化しやすいという問題もある。
また、接着時にエネルギーが必要な場合、消費電力が著しく上昇するため、環境保護の観点から好ましくないことに加え、加熱や活性光線の照射等の機構を備えるために装置が大型化しやすいという問題もある。
そこで、本発明は保存安定性に優れ、機械の内部等に一定期間置かれても固化が生じにくく、かつ、低エネルギーで迅速に接着可能な接着剤を提供することを課題とする。
本発明は、樹脂を含む油/水型樹脂エマルションである水相と、有機溶剤を含む油相とからなり、前記水相は65質量%以上90質量%以下、前記油相は10質量%以上35質量%以下である油/水/油型エマルション接着剤であって、前記油/水型樹脂エマルションと前記有機溶剤は、それぞれを該油/水/油型エマルション接着剤中に含まれる量比で混合し、回転周期40〜80rpmで30分間回転撹拌して10分間静置した後に、互いに分離するものである、油/水/油型エマルション接着剤に関する。
本発明のエマルション接着剤は、保存安定性に優れ、開放空間下に一定期間置かれても固化が生じにくい。さらに、本発明のエマルション接着剤は、低エネルギーで迅速に接着性が得られ、被着体を強固に接着することができる。
以下に、本発明に係る油/水/油(oil-in-water-in-oil )型エマルション接着剤(以下、単に「接着剤」とも記す。)の好ましい実施形態について説明する。
この油/水/油型エマルションは、微小油滴を内包する水滴が油相中に分散している、一種のダブルエマルションである。
本発明によれば、接着剤を油/水/油型のエマルション形態として最外相を油相とし、かつ、その内相に接着成分を含ませるようにしたため、接着成分を取り囲む油相が蒸発しにくく、その結果、開放空間下に放置しても固化しにくいという効果が得られると考えられる。紙等の被着体に接着剤を付着させた後は、最外相の油相が被着体内部に浸透して、油/水(水中油、O/W)型樹脂エマルションである水相が被着体表面に残ることとなる。この油/水型樹脂エマルションを構成する外相の水は、被着体内部に浸透するため、エマルションが崩壊して樹脂粒子が合一し、迅速に接着剤皮膜(硬化膜)を形成することができると考えられる。このように、成膜速度の速い油/水型樹脂エマルションを水相に使用することで、セットタイムの短い接着剤を得ることができる。
この油/水/油型エマルションは、微小油滴を内包する水滴が油相中に分散している、一種のダブルエマルションである。
本発明によれば、接着剤を油/水/油型のエマルション形態として最外相を油相とし、かつ、その内相に接着成分を含ませるようにしたため、接着成分を取り囲む油相が蒸発しにくく、その結果、開放空間下に放置しても固化しにくいという効果が得られると考えられる。紙等の被着体に接着剤を付着させた後は、最外相の油相が被着体内部に浸透して、油/水(水中油、O/W)型樹脂エマルションである水相が被着体表面に残ることとなる。この油/水型樹脂エマルションを構成する外相の水は、被着体内部に浸透するため、エマルションが崩壊して樹脂粒子が合一し、迅速に接着剤皮膜(硬化膜)を形成することができると考えられる。このように、成膜速度の速い油/水型樹脂エマルションを水相に使用することで、セットタイムの短い接着剤を得ることができる。
一般に水溶性接着剤は、水溶性樹脂が水に溶解した安定な系であるため、被着体表面に塗布した際に水と樹脂との分離は生じにくい。したがって、水溶性接着剤の接着機構は主として、被着体表面において、水分の蒸発によって水に溶解している水溶性高分子が徐々に析出し、皮膜を形成することによると考えられる。一方、油/水型樹脂エマルションは、水に溶解しない、あるいは、水に溶解しにくい樹脂を水中に分散させた系であり、系が不安定であるため樹脂と水との分離が生じやすい。被着体に塗布した際には、水が被着体に浸透することで油/水のバランスが崩れてエマルションが崩壊し、樹脂と水との分離が生じ、樹脂が融着して皮膜化することで接着すると考えられる。このように、水が蒸発しなくても皮膜が形成できることから、水溶性接着剤に比べて油/水型樹脂エマルションでは成膜速度が速いという特徴がある。したがって、本発明によれば、接着時に光等のエネルギーを使用せずに、短セットタイムを得ることができる。
さらなる特徴として、本発明では、水相の樹脂エマルションと油相の有機溶剤とが、それぞれを該油/水/油型エマルション接着剤中に含まれる量比で混合し、回転周期40〜80rpmで30分間回転撹拌して10分間静置した後に、互いに分離するという関係性を有している。油/水型樹脂エマルションは、乳化剤を使用しているか、または樹脂自身が界面活性能を有しているなどの理由により、樹脂周囲に油相の溶剤を集めやすいという性質を持つ。ここで、樹脂と有機溶剤との親和性が高い場合、被着体表面に有機溶剤が残存しやすくなり、有機溶剤が残存することで接着剤の皮膜形成が阻害されて、接着不良につながってしまうことが、本発明者らの検討により判明した。本発明では、樹脂と有機溶剤との親和性が低く(これを、疎油性が高い、ともいう。)、溶剤との脱離がスムーズに生じる油/水型樹脂エマルションを使用するため、接着力の強い接着剤が得られると考えられる。
樹脂と有機溶剤との親和性あるいは疎油性は、上記のように、水相の油/水型樹脂エマルションと油相の有機溶剤とを、それぞれ、接着剤中に含まれる量比で混合し、回転周期40〜80rpmで30分間回転撹拌して10分間静置した後に、互いに分離するか否かに基づき評価される。以下、この試験を「疎油性試験」ともいう。ここで、「接着剤中に含まれる量比」とは、たとえば、作製する接着剤が油相成分20質量%、水相成分80質量%であるときは、有機溶剤:樹脂エマルション=2:8の質量比率で疎油性試験を行うことを意味する。油相中に乳化剤などの、有機溶剤以外の成分が含まれる場合は、その任意成分の配合量を除いた質量比率で疎油性試験を行う。たとえば、水相成分が80質量%であり、油相成分20質量%のうちの1質量%は乳化剤である場合は、疎油性試験は、有機溶剤:樹脂エマルション=19:80の質量比率で行う。
本発明の接着剤の用途の一つに、印刷後に後処理装置を用いて冊子や封書を作製することが挙げられる。このような冊子や封書を作製する場合、接着剤を被着体に塗布してからユーザーが作製物を手に取るまでの時間は10分程度であると考えられる。したがって、10分以内に接着剤が接着強度を発現する必要がある。
本発明者らの検討によると、上記疎油性試験において樹脂エマルションと溶剤との脱離が10分以内に生じた場合には、紙等の被着体に塗布した場合にも同様に、樹脂エマルションと溶剤との脱離が10分以内に生じ、皮膜化が進行することが判明した。
そこで、10分以内に接着強度を発現させる観点から、疎油性試験において10分以内に分離が生じる油/水型樹脂エマルションと溶剤を組み合わせて用いることが好ましい。10分以内に分離が生じないか、または白濁している場合は、油/水型樹脂エマルションの疎油性が不十分である。疎油性が不十分な樹脂エマルションを使用した場合、紙等の被着体に接着剤を塗布した際に、樹脂周囲の溶剤の脱離がスムーズに生じず、樹脂の融着が阻害されて、均一な接着剤皮膜の作製が困難である。接着剤皮膜が均一でない場合、十分な接着強さが得られず、剥離した際に凝集破壊が生じるため好ましくない。溶剤と樹脂エマルションとの「分離の有無」は、肉眼(目視)で観察することにより評価する。
本発明者らの検討によると、上記疎油性試験において樹脂エマルションと溶剤との脱離が10分以内に生じた場合には、紙等の被着体に塗布した場合にも同様に、樹脂エマルションと溶剤との脱離が10分以内に生じ、皮膜化が進行することが判明した。
そこで、10分以内に接着強度を発現させる観点から、疎油性試験において10分以内に分離が生じる油/水型樹脂エマルションと溶剤を組み合わせて用いることが好ましい。10分以内に分離が生じないか、または白濁している場合は、油/水型樹脂エマルションの疎油性が不十分である。疎油性が不十分な樹脂エマルションを使用した場合、紙等の被着体に接着剤を塗布した際に、樹脂周囲の溶剤の脱離がスムーズに生じず、樹脂の融着が阻害されて、均一な接着剤皮膜の作製が困難である。接着剤皮膜が均一でない場合、十分な接着強さが得られず、剥離した際に凝集破壊が生じるため好ましくない。溶剤と樹脂エマルションとの「分離の有無」は、肉眼(目視)で観察することにより評価する。
接着剤の水相は、接着成分となる樹脂を含む油/水型樹脂エマルションである。この樹脂は、接着性を発現する成分であって、結着能および皮膜形成能を有し、接着剤皮膜を形成できる成分であり、かつ、非水溶性であって油/水型樹脂エマルションを形成できるものである。
具体的には、これらに限定されないが、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどを用いることができる。複数種の樹脂を組み合わせて、配合してもよい。なお、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の双方を示すものである。
具体的には、これらに限定されないが、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどを用いることができる。複数種の樹脂を組み合わせて、配合してもよい。なお、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の双方を示すものである。
樹脂は、接着剤を被着体上に塗布した際の造膜性能の観点から、その最低造膜温度(MFT、JIS K 6828-2に定める方法により測定)が20℃以下のものであることが好ましく、さらに好ましくは接着剤を使用する環境温度範囲以下、一層好ましくは10℃以下、最も好ましくは5℃以下のMFTを有することが好ましい。
さらに樹脂は、その皮膜の抗張力(試験片の形状を幅2cm、長さ4cm、厚さ500μmの柱状とし、JIS K 6251に準じた方法により測定)が15N/mm2以上のものであることが好ましく、18N/mm2以上であることが一層好ましい。抗張力は、接着剤の皮膜強度および剥離した際の剥離状態に影響を及ぼす。紙基材と接着剤皮膜間の接着強度に比べ、接着剤皮膜の強度が高い場合、剥離した際に材料破壊(紙基材の破壊)が生じることとなる。これに対し、紙と接着剤皮膜間の接着強度に比べ、接着剤皮膜自身の強度が低い場合、剥離した際に凝集破壊(接着剤皮膜の破壊)が生じてしまい、好ましくない。
さらに樹脂は、その皮膜の抗張力(試験片の形状を幅2cm、長さ4cm、厚さ500μmの柱状とし、JIS K 6251に準じた方法により測定)が15N/mm2以上のものであることが好ましく、18N/mm2以上であることが一層好ましい。抗張力は、接着剤の皮膜強度および剥離した際の剥離状態に影響を及ぼす。紙基材と接着剤皮膜間の接着強度に比べ、接着剤皮膜の強度が高い場合、剥離した際に材料破壊(紙基材の破壊)が生じることとなる。これに対し、紙と接着剤皮膜間の接着強度に比べ、接着剤皮膜自身の強度が低い場合、剥離した際に凝集破壊(接着剤皮膜の破壊)が生じてしまい、好ましくない。
水相のエマルションには、上記樹脂のほかに、エマルションの安定化のために、油/水型エマルションに使用される公知の乳化剤または保護コロイドが含まれることが好ましい。 さらに、油/水型エマルションの形態を維持できる量であれば、必要に応じて、湿潤剤、電解質、防黴剤、酸化防止剤、水蒸発防止剤などの公知の水溶性添加物を含有させることもできる。これらの添加物は、特に限定されず、複数種を組み合わせて使用してもよい。
水相のエマルション中の樹脂の配合量は、特に限定はされないが、接着剤皮膜の強度を確保する観点から、接着剤全量の中に25質量%以上含まれていることが好ましい。樹脂が接着剤全量の25質量%より少ない場合、紙に接着剤を塗布した場合に樹脂の一部が油相成分とともに紙の空隙に浸透した場合に紙表面に残る量が少なくなって、十分な接着強度が得られなくなる恐れがある。一方、開放下で放置した際の膜形成(固化)を抑制するために、接着剤全量中の樹脂量は55質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
次に、油相について説明する。
接着剤の油相は、水相粒子の外相となり、水相からの水分の蒸発を抑制する機能を奏することが必要である。したがって、油相に含まれる有機溶剤(溶剤)としては、開放放置した場合にも揮発しにくく、紙に塗布した場合には素早く浸透するものが好ましく用いられる。
接着剤の油相は、水相粒子の外相となり、水相からの水分の蒸発を抑制する機能を奏することが必要である。したがって、油相に含まれる有機溶剤(溶剤)としては、開放放置した場合にも揮発しにくく、紙に塗布した場合には素早く浸透するものが好ましく用いられる。
接着剤の乾燥抑制の観点から、沸点が150℃〜350℃の溶剤を使用することが好ましい。沸点は溶剤の蒸発しやすさの目安となる値であり、沸点が低いほど蒸発しやすく、高いほど蒸発しにくい。したがって、油相の溶剤として沸点が150℃以上の溶剤を選択することで、油相の蒸発がしにくく、水相からの水分の蒸発を抑制することができる。
一方で、油相の溶剤は、紙に塗布した場合には、紙に浸透および蒸発することで素早く飛散するものが好ましい。接着剤が紙に塗布された際に、油相の溶剤の飛散が速ければ、 エマルションの崩壊を促進できるため、接着剤のセットタイムを短くする効果が得られる。油相の溶剤として、沸点が350℃以下であるものを選択することで、開放放置した場合の溶剤の蒸発を抑えつつ、紙に塗布した際には飛散しやすい、セットタイムの短い接着剤を得ることができる。
一方で、油相の溶剤は、紙に塗布した場合には、紙に浸透および蒸発することで素早く飛散するものが好ましい。接着剤が紙に塗布された際に、油相の溶剤の飛散が速ければ、 エマルションの崩壊を促進できるため、接着剤のセットタイムを短くする効果が得られる。油相の溶剤として、沸点が350℃以下であるものを選択することで、開放放置した場合の溶剤の蒸発を抑えつつ、紙に塗布した際には飛散しやすい、セットタイムの短い接着剤を得ることができる。
このような溶剤として、たとえば、モーターオイル、スピンドル油、マシン油、流動パラフィン等の鉱物油;オリーブ油、ひまし油、サラダ油等の植物油;エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、ならびに芳香族炭化水素及び脂肪族炭化水素の混合溶剤が挙げられる。炭化水素系溶剤としては、オレフィン系炭化水素溶剤、パラフィン系炭化水素溶剤、イソパラフィン系炭化水素溶剤、ナフテン系炭化水素溶剤等が使用できる。これらの溶剤は、適宜、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
安全性及び衛生性から、これらの溶媒の中でも脂肪族炭化水素系溶剤が好ましい。
安全性及び衛生性から、これらの溶媒の中でも脂肪族炭化水素系溶剤が好ましい。
より具体的には、これらに限定されることはないが、例えば
イソノナン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソオクチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等の、炭素数が6〜20程度の脂肪族カルボン酸をエステル化してなるエステル溶剤;
1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−ペンタノール、n−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、n−ドデカノール、トリメチルノニルアルコール、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の炭素数6〜20程度のアルコール溶剤;
イソノナン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の、炭素数9以上の高級脂肪酸溶剤;
JX日鉱日石エネルギー株式会社製テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、AF−4、AF−5、AF−6、AF−7(いずれも商品名)、新日本石油化学社製日石アイソゾール、ナフテゾール(いずれも商品名)、エクソンモービル社製IsoparG、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxolD40、ExxolD80、ExxolD100、ExxolD140、ExxolD140(いずれも商品名)等の脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤を、ぞれぞれ好ましく使用できる。
イソノナン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソオクチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等の、炭素数が6〜20程度の脂肪族カルボン酸をエステル化してなるエステル溶剤;
1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−ペンタノール、n−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、n−ドデカノール、トリメチルノニルアルコール、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の炭素数6〜20程度のアルコール溶剤;
イソノナン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の、炭素数9以上の高級脂肪酸溶剤;
JX日鉱日石エネルギー株式会社製テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、AF−4、AF−5、AF−6、AF−7(いずれも商品名)、新日本石油化学社製日石アイソゾール、ナフテゾール(いずれも商品名)、エクソンモービル社製IsoparG、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxolD40、ExxolD80、ExxolD100、ExxolD140、ExxolD140(いずれも商品名)等の脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤を、ぞれぞれ好ましく使用できる。
油相には、さらに、安定な水(=油/水)/油型エマルションを形成するために、乳化剤が含まれることが好ましい。
乳化剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。安定な水/油(W/O)型エマルションを作製するには、非イオン性界面活性剤の中でも、HLBが10以下のものが特に好ましく用いられる。HLBとは、Hydrophile Lipophile Balance の略であって、親水親油バランスともいい、乳化剤中の親水基と親油基のバランスを示す数値である。HLB値が高いほど親水性の乳化剤であり、HLB値が低いほど親油性の乳化剤であることを示している。HLBが10以上の乳化剤を使用した場合、乳化剤の親水性が強くなるため、水/油型エマルションに比べて油/水型エマルションを作製しやすくなり、好ましくない。
乳化剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。安定な水/油(W/O)型エマルションを作製するには、非イオン性界面活性剤の中でも、HLBが10以下のものが特に好ましく用いられる。HLBとは、Hydrophile Lipophile Balance の略であって、親水親油バランスともいい、乳化剤中の親水基と親油基のバランスを示す数値である。HLB値が高いほど親水性の乳化剤であり、HLB値が低いほど親油性の乳化剤であることを示している。HLBが10以上の乳化剤を使用した場合、乳化剤の親水性が強くなるため、水/油型エマルションに比べて油/水型エマルションを作製しやすくなり、好ましくない。
非イオン系界面活性剤としては、
高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸;
ポリオキシエチレン2〜30モル付加(以下POE(2〜30)と略して記載)オレインエーテル、POE(2〜35)ステアリルエーテル、POE(2〜20)ラウリルエーテル、POE(1〜20)アルキルフェニルエーテル、POE(6〜18)ベヘニルエーテル、POE(5〜25)2−デシルペンタデシルエーテル、POE(3〜30)2−デシルテトラデシルエーテル、POE(8〜16)2−オクチルデシルエーテル等のエーテル型界面活性剤;
POE(4〜60)硬化ヒマシ油、POE(3〜14)脂肪酸モノエステル、POE(6〜30)脂肪酸ジエステル、POE(5〜20)ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤;
POE(2〜30)グリセリルモノイソステアレート、POE(10〜60)グリセリルトリイソステアレート、POE(7〜50)硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE(12〜60)硬化ヒマシ油トリイソステアレート等のエーテルエステル型界面活性剤;(上記のエーテル型界面活性剤、エステル型界面活性剤、およびエーテルエステル型界面活性剤をまとめて、「エチレンオキシド付加型界面活性剤」ともいう。)
ソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル(ポリオレイン酸ポリグリセリル、ポリリシノール酸ポリグリセリル、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、デカグリセリルテトラオレート、ヘキサグリセリルトリイソステアレート、ジグリセリルジイソステアレート、グリセリルモノオレエートなど)等の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤;が挙げられる。
これらの非イオン系界面活性剤は、単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよい。
高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸;
ポリオキシエチレン2〜30モル付加(以下POE(2〜30)と略して記載)オレインエーテル、POE(2〜35)ステアリルエーテル、POE(2〜20)ラウリルエーテル、POE(1〜20)アルキルフェニルエーテル、POE(6〜18)ベヘニルエーテル、POE(5〜25)2−デシルペンタデシルエーテル、POE(3〜30)2−デシルテトラデシルエーテル、POE(8〜16)2−オクチルデシルエーテル等のエーテル型界面活性剤;
POE(4〜60)硬化ヒマシ油、POE(3〜14)脂肪酸モノエステル、POE(6〜30)脂肪酸ジエステル、POE(5〜20)ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤;
POE(2〜30)グリセリルモノイソステアレート、POE(10〜60)グリセリルトリイソステアレート、POE(7〜50)硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE(12〜60)硬化ヒマシ油トリイソステアレート等のエーテルエステル型界面活性剤;(上記のエーテル型界面活性剤、エステル型界面活性剤、およびエーテルエステル型界面活性剤をまとめて、「エチレンオキシド付加型界面活性剤」ともいう。)
ソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル(ポリオレイン酸ポリグリセリル、ポリリシノール酸ポリグリセリル、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、デカグリセリルテトラオレート、ヘキサグリセリルトリイソステアレート、ジグリセリルジイソステアレート、グリセリルモノオレエートなど)等の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤;が挙げられる。
これらの非イオン系界面活性剤は、単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよい。
安定な水/油型エマルション接着剤を得るために、油相に含まれる界面活性剤は、上記油/水型樹脂エマルションに界面活性剤等が含まれる場合にはその界面活性剤等の種類を考慮して適宜選択することが好ましい。2成分以上の混合界面活性剤のHLB値は、それぞれの界面活性剤の重量分率とHLB値との積の和として求められる。水/油型エマルション接着剤の安定性の観点から、油相に含まれる界面活性剤と油/水型樹脂エマルションに含まれる界面活性剤との混合界面活性剤のHLB値を計算し、10以下となるように組み合わせることが好ましい。
油相中には、油相の溶剤に溶解可能な樹脂を含有しても良い。樹脂を溶剤に溶解させることで、油相の粘度が高められる。油相の粘度を1000mPa・s程度に高めることにより、エマルション内の水相粒子の合一が抑制され、安定性の良いエマルション接着剤の作製が可能となる。このような樹脂として、ケトン樹脂、ロジンエステル、アルキド樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、石油樹脂等が挙げられる。
油相中に樹脂を配合する場合の樹脂の配合量は、接着剤の乾燥抑制の観点から、油相中の割合として2〜10質量%程度であることが好ましいが、これに限定されることはない。
油相中に樹脂を配合する場合の樹脂の配合量は、接着剤の乾燥抑制の観点から、油相中の割合として2〜10質量%程度であることが好ましいが、これに限定されることはない。
油相には、顔料、染料等の着色剤、顔料分散剤、無機充填剤などを配合することもできる。
接着剤にはさらに、これら以外の任意成分を配合してもよく、任意成分は、該成分の溶解特性等に応じて、水相と油相のうちの適切な相に配合することができる。
接着剤にはさらに、これら以外の任意成分を配合してもよく、任意成分は、該成分の溶解特性等に応じて、水相と油相のうちの適切な相に配合することができる。
接着剤の水相と油相の比率は、油相成分を10〜35質量%、水相成分を90〜65質量%のように構成することが好ましい。接着剤皮膜の硬さを確保して接着強度をより高める観点から、水相は65質量%以上であることが好ましい。
放置乾燥性を抑制し接着剤皮膜の強度を確保する観点から、油相成分が15〜25質量%、水相成分が85〜75質量%であることがより好ましい。エマルションの安定性(分離しないこと)と放置乾燥抑制の観点から、水相の分量は85質量%以下であることがより好ましい。
W/O型エマルション接着剤は、油相成分に水相成分を徐々に添加して乳化させることにより製造することができる。
放置乾燥性を抑制し接着剤皮膜の強度を確保する観点から、油相成分が15〜25質量%、水相成分が85〜75質量%であることがより好ましい。エマルションの安定性(分離しないこと)と放置乾燥抑制の観点から、水相の分量は85質量%以下であることがより好ましい。
W/O型エマルション接着剤は、油相成分に水相成分を徐々に添加して乳化させることにより製造することができる。
接着剤を適用する被着体または被着材(基材)は、特に限定されないが、接着剤塗布後に油相が被着体内部に浸透しやすいことが好ましく、したがって紙等の浸透性基材であることが好ましい。紙の種類は特に限定されず、普通紙、上質紙、コート紙、アート紙などに幅広く適用することができる。
接着剤の用途についても、特に限定されない。後述するように印刷後の後処理用として使用することが好ましいが、印刷前に使用してもよいし、印刷物以外に用いてもよい。
接着剤の用途についても、特に限定されない。後述するように印刷後の後処理用として使用することが好ましいが、印刷前に使用してもよいし、印刷物以外に用いてもよい。
接着剤の適用方法は、特に限定されず、シリンジ、ディスペンサー、ノズル、アプリケーター、コーター、ハンドポンプなど、様々な塗布装置を使用することができる。
冊子作製や封書作製をするために、後処理装置(フィニッシャー)に塗布機構を組み込み、インラインで必要箇所にパターニングして接着剤を塗布することもできる。
上記のように本発明に係る接着剤は、塗布後に迅速に、半乾き状態でも接着性ないし粘着性を発現するため、せん断接着力において優れている。したがって、フィニッシャーなどの装置と組み合わせて使用した場合でも、接着後の紙の搬送時に接着箇所がずれにくくなる。なお、フィニッシャーとは、パンチ加工、ホチキス留め、紙折り、製本などの印刷後の後処理をまとめて行う機械をいう。
冊子作製や封書作製をするために、後処理装置(フィニッシャー)に塗布機構を組み込み、インラインで必要箇所にパターニングして接着剤を塗布することもできる。
上記のように本発明に係る接着剤は、塗布後に迅速に、半乾き状態でも接着性ないし粘着性を発現するため、せん断接着力において優れている。したがって、フィニッシャーなどの装置と組み合わせて使用した場合でも、接着後の紙の搬送時に接着箇所がずれにくくなる。なお、フィニッシャーとは、パンチ加工、ホチキス留め、紙折り、製本などの印刷後の後処理をまとめて行う機械をいう。
以下に、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。
<実施例1>
ナフテン系石油系炭化水素溶剤(JX日鉱日石エネルギー株式会社製「AFソルベント4号」、沸点:240〜265℃)9gと、乳化剤(ポリリシノレイン酸ポリグリセリル−6、日光ケミカルズ株式会社製「ニッコールヘキサグリンPR−15」、HLB値3.5)1gとを混合して5分間攪拌し、油相を得た。
ポリウレタン樹脂の油/水型エマルション(水系分散体)(第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス460」、固形分:37.5質量%、MFT:<5℃、抗張力:25N/mm2)を水相として使用し、この水相40gを前記油相に20分かけて連続的に添加して乳化を行い、油/水/油型エマルション接着剤を得た。水相を添加する間、油相はバッチ式卓上サンドミル(カンペ社製、高粘度攪拌翼使用、回転数2100rpm)で常に攪拌し、添加終了後さらに10分間の攪拌を行った。
<実施例1>
ナフテン系石油系炭化水素溶剤(JX日鉱日石エネルギー株式会社製「AFソルベント4号」、沸点:240〜265℃)9gと、乳化剤(ポリリシノレイン酸ポリグリセリル−6、日光ケミカルズ株式会社製「ニッコールヘキサグリンPR−15」、HLB値3.5)1gとを混合して5分間攪拌し、油相を得た。
ポリウレタン樹脂の油/水型エマルション(水系分散体)(第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス460」、固形分:37.5質量%、MFT:<5℃、抗張力:25N/mm2)を水相として使用し、この水相40gを前記油相に20分かけて連続的に添加して乳化を行い、油/水/油型エマルション接着剤を得た。水相を添加する間、油相はバッチ式卓上サンドミル(カンペ社製、高粘度攪拌翼使用、回転数2100rpm)で常に攪拌し、添加終了後さらに10分間の攪拌を行った。
<実施例2〜6>
油相に配合する乳化剤の種類を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして接着剤を作製した。各実施例で使用した乳化剤は次のとおりである。
実施例2:ジイソステアリン酸デカグリセリル(日光ケミカルズ株式会社製「ニッコールデカグリン3−OV」、HLB値7.0)
実施例3:トリオレイン酸デカグリセリル(日光ケミカルズ株式会社製「ニッコールデカグリン2−ISV」、HLB値10.0)
実施例4:ソルビタントリステアレート(花王株式会社製「レオドールSP−S30V」、HLB値2.1)
実施例5:モノイソステアリン酸ソルビタン(日光ケミカルズ株式会社製「ニッコールSI−10RV」、HLB値5.0)
実施例6:ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(花王株式会社製「レオドールTW−O106V」、HLB値10.0)
油相に配合する乳化剤の種類を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして接着剤を作製した。各実施例で使用した乳化剤は次のとおりである。
実施例2:ジイソステアリン酸デカグリセリル(日光ケミカルズ株式会社製「ニッコールデカグリン3−OV」、HLB値7.0)
実施例3:トリオレイン酸デカグリセリル(日光ケミカルズ株式会社製「ニッコールデカグリン2−ISV」、HLB値10.0)
実施例4:ソルビタントリステアレート(花王株式会社製「レオドールSP−S30V」、HLB値2.1)
実施例5:モノイソステアリン酸ソルビタン(日光ケミカルズ株式会社製「ニッコールSI−10RV」、HLB値5.0)
実施例6:ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(花王株式会社製「レオドールTW−O106V」、HLB値10.0)
<実施例7〜10>
油相の有機溶剤の種類を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして接着剤を作製した。各実施例で使用した有機溶剤は次のとおりである。
実施例7:パラフィン系石油系炭化水素溶剤(エクソンモービル株式会社製「アイソパーM」)
実施例8:1−オクタデセン(和光純薬株式会社製オレフィン系石油系炭化水素溶剤、沸点:315℃)
実施例9:イソノナン酸イソノニル(日清オイリオ株式会社製エステル系溶剤「サラコス99」、沸点:284〜286℃)
実施例10:1−デカノール(和光純薬工業株式会社製アルコール系溶剤、沸点:230℃)
油相の有機溶剤の種類を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして接着剤を作製した。各実施例で使用した有機溶剤は次のとおりである。
実施例7:パラフィン系石油系炭化水素溶剤(エクソンモービル株式会社製「アイソパーM」)
実施例8:1−オクタデセン(和光純薬株式会社製オレフィン系石油系炭化水素溶剤、沸点:315℃)
実施例9:イソノナン酸イソノニル(日清オイリオ株式会社製エステル系溶剤「サラコス99」、沸点:284〜286℃)
実施例10:1−デカノール(和光純薬工業株式会社製アルコール系溶剤、沸点:230℃)
<実施例11〜12>
油相と水相の配合比率を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして接着剤を作製した。すなわち、実施例11では溶剤を4.5g、乳化剤を0.5g、樹脂エマルションを45g使用した。実施例12では溶剤を13.5g、乳化剤を1.5g、樹脂エマルションを35g使用した。
油相と水相の配合比率を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして接着剤を作製した。すなわち、実施例11では溶剤を4.5g、乳化剤を0.5g、樹脂エマルションを45g使用した。実施例12では溶剤を13.5g、乳化剤を1.5g、樹脂エマルションを35g使用した。
<実施例13〜21>
水相の樹脂エマルションの種類と有機溶剤との組み合わせを表3に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして接着剤を作製した。各実施例で使用した樹脂エマルションは次のとおりである。
実施例13〜15:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の油/水型エマルション(アニオン性、日信化学工業株式会社製「ビニブラン603EML」、固形分:50質量%、MFT:0℃、抗張力:19N/mm2、pH:5.0〜7.0)
実施例16〜18:アクリル樹脂の油/水型エマルション(アニオン性、日本合成化学工業株式会社製「モビニール7320」、固形分:30質量%、MFT:0℃、抗張力:1.8N/mm2、pH:6.5〜7.5)
実施例19:酢酸ビニル樹脂の油/水型エマルション(カチオン性、日本合成化学工業株式会社製「モビニール350」、固形分45質量%、MFT:18℃、抗張力:20N/mm2、pH:4.0〜6.0)
実施例20:ポリウレタン樹脂の油/水型エマルション(ノニオン性、DIC株式会社製「ボンディック2210」、固形分40質量%、MFT:<30℃、抗張力:2N/mm2、pH:8.0)
実施例21:ポリエステル樹脂の油/水型エマルション(アニオン性、東洋紡績株式会社製「バイロナールMD−1200」、固形分66.25質量%、MFT:<20℃、抗張力:55N/mm2、pH:5.0〜6.0)
水相の樹脂エマルションの種類と有機溶剤との組み合わせを表3に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして接着剤を作製した。各実施例で使用した樹脂エマルションは次のとおりである。
実施例13〜15:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の油/水型エマルション(アニオン性、日信化学工業株式会社製「ビニブラン603EML」、固形分:50質量%、MFT:0℃、抗張力:19N/mm2、pH:5.0〜7.0)
実施例16〜18:アクリル樹脂の油/水型エマルション(アニオン性、日本合成化学工業株式会社製「モビニール7320」、固形分:30質量%、MFT:0℃、抗張力:1.8N/mm2、pH:6.5〜7.5)
実施例19:酢酸ビニル樹脂の油/水型エマルション(カチオン性、日本合成化学工業株式会社製「モビニール350」、固形分45質量%、MFT:18℃、抗張力:20N/mm2、pH:4.0〜6.0)
実施例20:ポリウレタン樹脂の油/水型エマルション(ノニオン性、DIC株式会社製「ボンディック2210」、固形分40質量%、MFT:<30℃、抗張力:2N/mm2、pH:8.0)
実施例21:ポリエステル樹脂の油/水型エマルション(アニオン性、東洋紡績株式会社製「バイロナールMD−1200」、固形分66.25質量%、MFT:<20℃、抗張力:55N/mm2、pH:5.0〜6.0)
<比較例1〜8>
表2および表3に示す各成分を用いて、実施例1と同様にして接着剤を作製した。すなわち、比較例1では溶剤を18g、乳化剤を2g、樹脂エマルションを30g使用した。実施例12では溶剤を2.25g、乳化剤を0.25g、樹脂エマルションを47.5g使用した。
表2および表3に示す各成分を用いて、実施例1と同様にして接着剤を作製した。すなわち、比較例1では溶剤を18g、乳化剤を2g、樹脂エマルションを30g使用した。実施例12では溶剤を2.25g、乳化剤を0.25g、樹脂エマルションを47.5g使用した。
<評価方法>
実施例および比較例で得られた接着剤について、疎油性試験、放置乾燥性、および接着性(剥離接着強さ、せん断接着強さ)の試験を以下のように行った。結果を表1〜表3に併せて示す。
1.疎油性試験
接着剤に含まれる重量比率に従い、油相の有機溶剤と、接着剤に含まれる量の油/水型樹脂エマルション(たとえば実施例1では有機溶剤:油/水型樹脂エマルション=9:40)とを、合計2.45gとなるように内径24mmの容器に入れ、ミックスローターVMR-5R(アズワン株式会社製)により、周期40〜80rpmの回転撹拌を30分間行った。
撹拌後、容器を密閉して常温(約25℃)で静置し、静置10分後に目視で溶剤の分離の有無を観察した。透明な溶剤が分離した場合を「〇:樹脂エマルションが十分な疎油性を有する」と判断し、油相成分と水相成分の分離が生じなかった場合、あるいは分離は確認できたが分離成分が白濁していた場合は、「×:樹脂エマルションの疎油性が不十分である」と判断した。
実施例および比較例で得られた接着剤について、疎油性試験、放置乾燥性、および接着性(剥離接着強さ、せん断接着強さ)の試験を以下のように行った。結果を表1〜表3に併せて示す。
1.疎油性試験
接着剤に含まれる重量比率に従い、油相の有機溶剤と、接着剤に含まれる量の油/水型樹脂エマルション(たとえば実施例1では有機溶剤:油/水型樹脂エマルション=9:40)とを、合計2.45gとなるように内径24mmの容器に入れ、ミックスローターVMR-5R(アズワン株式会社製)により、周期40〜80rpmの回転撹拌を30分間行った。
撹拌後、容器を密閉して常温(約25℃)で静置し、静置10分後に目視で溶剤の分離の有無を観察した。透明な溶剤が分離した場合を「〇:樹脂エマルションが十分な疎油性を有する」と判断し、油相成分と水相成分の分離が生じなかった場合、あるいは分離は確認できたが分離成分が白濁していた場合は、「×:樹脂エマルションの疎油性が不十分である」と判断した。
2.放置乾燥性
非吸収性基材である金属板上に、接着剤を厚さ3mm、直径3mmの円形に塗布し、常温(30℃)で放置した。放置12時間後および20時間後に、接着剤表面に皮膜が形成されているか否かを目視にて確認した。
◎:放置20時間後も接着剤表面に皮膜が形成されなかった。
○:放置12時間後も接着剤表面に皮膜が形成されなかった。
×:放置12時間以内に接着剤表面に皮膜が形成されたか、または接着剤全体が完全に硬化した。
非吸収性基材である金属板上に、接着剤を厚さ3mm、直径3mmの円形に塗布し、常温(30℃)で放置した。放置12時間後および20時間後に、接着剤表面に皮膜が形成されているか否かを目視にて確認した。
◎:放置20時間後も接着剤表面に皮膜が形成されなかった。
○:放置12時間後も接着剤表面に皮膜が形成されなかった。
×:放置12時間以内に接着剤表面に皮膜が形成されたか、または接着剤全体が完全に硬化した。
3.剥離接着強さ
紙基材(理想用紙薄口、62g/m2)を幅50mm、長さ100mmに切り出し、紙の一端から80mmの長さまで、幅50mm、膜厚100μmで接着剤を塗布した。同じ形状の紙基材を上からもう1枚、互いに全面が重なるように重ねて基材同士を接着し、これを試験片とした。試験片を常温で1分および10分放置後、接着剤が塗布されていない試験片の端部を、テンシロン万能試験機RTC−1210Aを使用し、引張速度300mm/分で180度反対方向に引っ張って剥離し、接着性を評価した。剥離した際に紙基材が破れる被着材破壊が生じた場合を「接着した」と判断した。一方、紙基材は破れずに接着剤の硬化膜が破れる凝集破壊、または接着剤と基材間において剥がれが生じる界面破壊が発生した場合には「接着しなかった」とした。
◎:1分放置後、紙基材同士が接着した。
〇:10分放置後、紙基材同士が接着した。
×:10分放置後も、紙基材同士が接着しなかった。
紙基材(理想用紙薄口、62g/m2)を幅50mm、長さ100mmに切り出し、紙の一端から80mmの長さまで、幅50mm、膜厚100μmで接着剤を塗布した。同じ形状の紙基材を上からもう1枚、互いに全面が重なるように重ねて基材同士を接着し、これを試験片とした。試験片を常温で1分および10分放置後、接着剤が塗布されていない試験片の端部を、テンシロン万能試験機RTC−1210Aを使用し、引張速度300mm/分で180度反対方向に引っ張って剥離し、接着性を評価した。剥離した際に紙基材が破れる被着材破壊が生じた場合を「接着した」と判断した。一方、紙基材は破れずに接着剤の硬化膜が破れる凝集破壊、または接着剤と基材間において剥がれが生じる界面破壊が発生した場合には「接着しなかった」とした。
◎:1分放置後、紙基材同士が接着した。
〇:10分放置後、紙基材同士が接着した。
×:10分放置後も、紙基材同士が接着しなかった。
4.せん断接着強さ
紙基材(理想用紙薄口、62g/m2)を幅25mm、長さ100mmに切り出し、紙の片端において端から10mmの長さまで、幅25mm、膜厚50μmで接着剤を塗布した。上からもう1枚、接着剤塗布部分が覆われるように同じ形状の紙基材を重ねて基材同士を接着し、これを試験片とした。この際、接着剤を塗布した紙の端部(接着剤塗布部分)と接着剤を塗布していない紙の端部とを、平行に継手状に重ねて、重ね継手で紙を接着するようにした。試験片を常温(30℃)で1分および10分放置後、その両端を、テンシロン万能試験機RTC−1210Aを使用し、引張速度50mm/分で引張り、紙のずれが生じるかどうかを観察した。
◎:1分放置後、接着剤の接着強度が強く、紙のずれが発生しなかった。
○:10分放置後、接着剤の接着強度が強く、紙のずれが発生しなかった。
×:10分放置後も接着剤の接着強度が弱く、紙のずれが発生した。
紙基材(理想用紙薄口、62g/m2)を幅25mm、長さ100mmに切り出し、紙の片端において端から10mmの長さまで、幅25mm、膜厚50μmで接着剤を塗布した。上からもう1枚、接着剤塗布部分が覆われるように同じ形状の紙基材を重ねて基材同士を接着し、これを試験片とした。この際、接着剤を塗布した紙の端部(接着剤塗布部分)と接着剤を塗布していない紙の端部とを、平行に継手状に重ねて、重ね継手で紙を接着するようにした。試験片を常温(30℃)で1分および10分放置後、その両端を、テンシロン万能試験機RTC−1210Aを使用し、引張速度50mm/分で引張り、紙のずれが生じるかどうかを観察した。
◎:1分放置後、接着剤の接着強度が強く、紙のずれが発生しなかった。
○:10分放置後、接着剤の接着強度が強く、紙のずれが発生しなかった。
×:10分放置後も接着剤の接着強度が弱く、紙のずれが発生した。
表1〜表3に示されるように、実施例の接着剤は、全ての評価結果において優れていた。
これに対し、油相と水相との比率が本発明の範囲を外れる比較例1および2、ならびに、有機溶剤に対する樹脂エマルションの疎油性が不十分である比較例3〜8では、接着剤としての性能に劣っていた。
これに対し、油相と水相との比率が本発明の範囲を外れる比較例1および2、ならびに、有機溶剤に対する樹脂エマルションの疎油性が不十分である比較例3〜8では、接着剤としての性能に劣っていた。
Claims (2)
- 樹脂を含む油/水型樹脂エマルションである水相と、有機溶剤を含む油相とからなり、
前記水相は65質量%以上90質量%以下、前記油相は10質量%以上35質量%以下である油/水/油型エマルション接着剤であって、
前記油/水型樹脂エマルションと前記有機溶剤は、それぞれを該油/水/油型エマルション接着剤中に含まれる量比で混合し、回転周期40〜80rpmで30分間回転撹拌して10分間静置した後に、互いに分離するものである、油/水/油型エマルション接着剤。 - 前記樹脂は、その皮膜の抗張力が15N/mm2以上のものである、請求項1記載の油/水/油型エマルション接着剤。
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