JP2015000879A - 油中水型エマルション接着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性が高いデンプンを接着成分として用いた接着剤であって、デンプンに化学的改質をしなくても、(1)短時間での接着性の発現(短いセットタイム)を確保しつつ、(2)開放環境下でも変質しにくく、(3)塗工が容易であり、(4)接着後の用紙変形が少ない、油中水型エマルション接着剤を提供する。【解決手段】油相と水相とからなり、前記水相は少なくとも水及びデンプンを含み、前記デンプンに含まれるアミロペクチン(X)及びアミロース(Y)の質量割合(X:Y)が65:35〜100:0であることを特徴とする油中水型エマルション接着剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、油中水型エマルション接着剤に関し、詳細には特に紙用として用いられる油中水型エマルション接着剤に関する。
紙用の接着剤として、高分子であるデンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル等を使用した接着剤が知られている。これらは、家庭用に使用されている他、工業用途、例えば、画像形成された用紙に付加価値を付ける方法として、冊子作製や封書作製等に使用されている(特許文献1〜2参照)。
高分子の中でも、特にデンプンは植物由来の原材料であるため、安全性が高く、デンプンを接着成分として用いた接着剤は幼児や児童など小さい子供の使用に適している。
しかし、このような接着剤は、水の離脱に伴い高分子が凝集することで接着するメカニズムであるため開放環境で使用すると、徐々に水が蒸発することで接着剤が固化したり、皮膜が生じたりするため長時間の使用に適していない。
小さい子供の場合は、容器に入った接着剤を使用した後、容器のふたを閉め忘れたり、しっかりと閉められていない状態で放置してしまったりすることもある。このような状態で長時間放置すると容器内の接着剤全体が劣化してしまう。そのため、開放空間下で放置した場合でも簡単に固化したり皮膜が生じたりしないことが望まれる。
工業用途として使用される場合、例えば、封書作製装置、冊子作製装置などの機械を用いてインラインで処理により封書作製、冊子作製をする場合、密閉状態ではない機械内に接着剤が長時間放置される可能性がある。そのため、開放空間下での放置中に接着剤が乾燥・皮膜化した場合、接着剤の塗工不良や装置の動作異常が発生することになる。従って、この場合も、開放空間下で放置した際に簡単に固化したり皮膜が生じたりしないことが望まれる。さらに、接着剤を用紙に塗工し貼り合わせた後に用紙を搬送する必要があるため、塗工後は乾きやすく、短時間で接着する(セットタイムが短い)必要がある。
デンプンはアミロペクチン及び/又はアミロースで構成されている。特許文献3に係る発明では、糊化デンプンと、アミロースの割合が高い高アミロースデンプンを含有する未糊化デンプンとを組み合わせることで、タックを付与して初期接着速度を向上させている。しかし、高アミロースデンプンはそのままでは接着剤としての機能が低いためにデンプンを化学的処理すなわち改質する必要があり、デンプン糊の作製工程が多いという問題があった。
逆に、アミロペクチンの割合が高い高アミロペクチンデンプンは溶液が高粘度になるところ、特許文献4に係る発明では、ハンドリングの観点から、アミロペクチンの割合が高いデンプンを糊化せずに粉体のまま接着剤に分散させて使用している。しかし、接着力を発現させるに当たり、接着剤を塗工時に高温で加熱する必要があった。
一方、アルカリで糊化したデンプンを使用して接着剤を作製すると、作製過程が簡便となることが知られている。特許文献5に係る発明では、安定性を保つために、デンプンをアルカリで糊化させた後に酸で中和している。作製過程は簡便であるものの、中和で発生した塩の種類によっては接着性が低下する事もある。
特許文献6に係る発明では、PVPとデンプンとの混合接着剤とし、保湿剤を加えることで開放環境での変質を改善している。しかし、開放環境で空気に接している部位の乾燥は避けられない。
さらに、これらの接着剤は水性接着剤であり、紙に塗工すると紙の変形が生じてしまう問題もあった。
特開平11−263955号公報 特開2000−26825号公報 特開平7−76677号公報 特開2001−164214号公報 特開2002−256241号公報 特開2012−229321号公報
本発明は、安全性が高いデンプンを接着成分として用いた接着剤であって、デンプンに化学的改質をしなくても、(1)短時間での接着性の発現(短いセットタイム)を確保しつつ、(2)開放環境下でも変質しにくく、(3)塗工が容易であり、(4)接着後の用紙変形が少ない、油中水型エマルションエマルション接着剤を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明は以下の通りである。
(1)油相と水相とからなり、
前記水相が少なくとも水及びデンプンを含み、
前記デンプンに含まれるアミロペクチン(X)及びアミロース(Y)の質量割合(X:Y)が65:35〜100:0であることを特徴とする油中水型エマルション接着剤。
(2)前記水相に含まれるデンプンの割合が、15〜40質量%であることを特徴とする前記(1)に記載の油中水型エマルション接着剤。
(3)前記水相がさらに金属塩を含み、前記金属塩のカチオンが第2族の金属イオンであり、アニオンがハロゲン化物イオンまたは硝酸イオンであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の油中水型エマルション接着剤。
(4)前記デンプンの原材料が、ワキシーコーンであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の油中水型エマルション接着剤。
本発明によれば、安全性が高いデンプンを接着成分として用いた接着剤であって、デンプンに化学的改質をしなくても、(1)短時間での接着性の発現(短いセットタイム)を確保しつつ、(2)開放環境下でも変質しにくく、(3)塗工が容易であり、(4)接着後の用紙変形が少ない、油中水型エマルション接着剤を提供することができる。
本発明の油中水型エマルション接着剤(以下、単に「接着剤」とも呼ぶ。)は、油相と水相とからなり、前記水相は少なくとも水及びデンプンを含み、前記デンプンに含まれるアミロペクチン(X)及びアミロース(Y)の質量割合(X:Y)が65:35〜100:0であることを特徴としている。
本発明の接着剤においては、高アミロペクチンのデンプンを用いながらも油中水型エマルションとすることで、高アミロペクチンの利点はそのままとしつつその欠点を解消したものである。すなわち、高アミロペクチンのデンプンを用いるとタックは強くなるものの、そのままでは高粘度になるため塗工が困難になるところ、本発明の接着剤は、水不溶性有機溶剤を含む油相が、水及びデンプンを含む水相を包含する油中水型エマルションとしたことで、タックが強い高アミロペクチンのデンプンを用いながらも塗工が容易な接着剤となったと考えられる。
また、油中水型エマルションとしたことで、水相は油相に覆われた形態をとるために水の蒸発乾燥を防止し、高い開放環境安定性が得られたと考えられる。
また、油中水型エマルションにすることで、紙等の被着体に接着剤を付着させた後、油相の水不溶性有機溶剤は、水相の水よりも先に紙内部に浸透する。このため、紙内部へ水分が浸透することによる用紙変形を抑制できたと考えられる。
さらに、油相が紙に浸透した後、水相の水およびデンプンは紙表面に残る。ここで、本発明の接着剤におけるデンプンを含む水相はタックが強く、水が完全に蒸発して接着成分が乾固しなくても接着性(張り付く)を発現するため接着速度が速いという特徴がある。これにより、接着成分であるデンプンを含む水相が油相に包含される油中水型エマルション形態であっても、短時間での接着が可能となったと考えられる。
以下に、本発明の接着剤について詳述する。
[水相]
本発明の接着剤において、水相は少なくとも水及びデンプンを含む。そして、デンプンとして、アミロペクチン(X)及びアミロース(Y)の割合(X:Y)が65:35〜100:0であるものを含む。
アミロペクチンとアミロースの割合が上記範囲内でアミロペクチンの割合が高くなる程、糊化が容易であり、タックが強い。また、老化による離水が起きにいため、開放環境下での変質に強い。さらに離水による水相内の濃度勾配が生じないため、エマルション崩壊も抑制され、より一層開放環境下での変質に強くなる。逆に、アミロペクチンの割合が上記範囲の下限よりも少ないと、未加工デンプンの場合、糊化が困難であり接着力が低下する。また、デンプンの老化による離水が起きやすく、開放環境下でも変質しやすい。さらに離水に伴って水相内の濃度勾配が生じるため、エマルションが崩壊し本発明の効果が得られにくい。前記デンプンに含まれるアミロペクチンとアミロースとの割合は、80:20〜100:0であることが好ましく、90:10〜100:0であることがより好ましい。
アミロペクチンは天然物の中でも最も分子量が大きい高分子の一つであるため、割合が高くなる程に粘度及び曳糸性が共に高くなる。これらに起因し、塗工領域外への接着剤の付着や、ローラーを使用した転写方法で基材に接着剤を塗工する際に起こる用紙浮き、ローラーに基材が巻きつくトラブルが懸念される。しかし、本発明においては、油中水型エマルションとすることで、塗工が容易で接着後の仕上がりを良好にすることができる。つまり、デンプンは連続相(油相)でなく細かく分断された、すなわち分散相(水相)に含まれているため、接着剤全体としては曳糸性が低減し、塗工容易性と接着後の仕上がりにおいて良好な効果が得られる。また、本発明の接着剤においては、デンプンは水相において糊化されているため、塗工時に接着力を発現するための高温加熱も不要である。
また、本発明におけるデンプンをアミロペクチンの割合が高いデンプンとすることで、水相の粒子一つ一つは強いタックを持つために、セットタイムを速くすることができる。
前記デンプンの原材料としてはデントコーン(75:25)、ワキシーコーン(100:0)等のコーン、もち米(100:0)、うるち米(85:15)等の米、糯麦(95:5)、小麦(70:30)等の麦、ジャガイモ(75:25)、サツマイモ(80:20)、キャッサバ(85:15)等のイモ類、小豆(80:20)、青エンドウ(75:25)等の豆類等が挙げられる(括弧内は、アミロペクチン(X)及びアミロース(Y)の割合(X:Y)である。また、これらの割合はあくまで代表的な数値で、本発明に係るデンプンはこの数値に限定されるものではない。)。中でも、アミロペクチン100%のワキシーコーン、餅米が好ましい。
前記デンプンは化学的改質をしたものであっても、化学的改質をしたものとしていないものの混合物であっても使用することができるが、油中水型エマルションとすることで曳糸性とセットタイムとを両立することができるため、化学的改質をしないものであっても使用することができる。化学的改質をしない場合は、接着剤の作製工程が多くなることがないため好ましい。
本発明において、デンプンとしては、異なるデンプン及び/又は異なる処理をしたデンプンを併用しても、例えばコーンスターチや豆スターチを組み合わせて使用してもよい。
前記デンプンと水との糊化方法は特に限定されず、アルカリ処理であってもよいが、アルカリ処理する場合には安全性やエマルションの安定性の観点から中和することが好ましく、中和の手間を省く観点から、酸・アルカリを使用せず、加熱処理及び/又は超音波処理のみの糊化がより好ましい。
前記水相に含まれるデンプンの量は、水相全質量に対し、15〜40質量%であることが好ましく、20〜35質量%であることがより好ましい。40質量%を超えると老化が起きやすくなることがあり、15質量%未満であると、環境によってはセットタイムが遅くなることある。
また、デンプン以外の高分子化合物として、ニカワなどの天然高分子、ポリビニルアルコール、水溶性セルロース、ポリビニルピロリドンなどを併用してもよい。ただし、これらデンプン以外の高分子化合物の含有率は、本発明に係るデンプンの効果を十分に発揮するため、水相全質量に対して20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
[油相]
本発明の接着剤において、油相は少なくとも水不溶性有機溶剤を含む。
水不溶性有機溶剤(以下、単に「溶剤」とも呼ぶ)としては、水への溶解度が25℃において0.5質量%以下であるものが好ましく、油相と水相の合一を抑制するためには、0.1質量%以下であるものがより好ましく、0.05質量%以下であるものがさらに好ましい。
水不溶性有機溶剤の沸点は100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。沸点は、溶剤の蒸発しやすさの目安となる値であり、沸点が低いほど蒸発しやすく、高いほど蒸発しにくい傾向がある。水不溶性有機溶剤を含む油相は水及びデンプンを含む水相を覆っているため、沸点が水よりも高い溶剤を用いることで水相の水分の蒸発を抑制する機能を奏すると考えられる。
一方で、油相の水不溶性有機溶剤は、紙に塗工した場合には、紙に素早く浸透及び蒸発することで迅速に離脱するものが好ましい。紙が被着体に塗工された際の浸透が速ければ、油相の溶剤の離脱が速ければ、エマルションの崩壊を促進できるため、接着剤のセットタイムを短くする効果が得られる。沸点の上限は特にないが、有機溶剤の粘度、沸点はおおよそ関係し、沸点が高い溶剤ほど、粘度も高いことが多く、従って、浸透も遅くなることが予想されるから、沸点350℃以下であることが好ましいといえる。
上記のような溶剤としては、モーターオイル、スピンドル油、マシン油、流動パラフィン等の鉱物油、オリーブ油、ひまし油、サラダ油等の植物油;芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素の混合溶剤、パラフィン系炭化水素系溶剤、イソパラフィン系炭化水素系溶剤、ナフテン系炭化水素系溶剤等の炭化水素系溶剤等が挙げられる。
安全性および衛生性の観点から、これらの溶剤の中でも植物油が好ましい。具体的には、株式会社J−オイルミルズ製の「AJINOMOTO サラダ油TUP」、「AJINOMOTO オリーブオイル」、「AJINOMOTO 香りしっかり調合ごま油」、「AJINOMOTO 発芽恵みのコーン油」、「AJINOMOTO べに花油」(いずれも商品名)等が好適に用いられる。
以上の溶剤は、単独で用いるほか、適宜、2種以上を混合して使用することができる。
油相には、任意の樹脂を含有することもできる。樹脂を溶剤に溶解させることで油相の粘度が高められ、エマルション内の水相粒子の合一が抑制され、安定性をより向上させることも可能である。樹脂としては、たとえば、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、アルキド変性フェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、アルキド樹脂、石油樹脂、油脂化合物、変性油脂化合物、ギルソナイト、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、アクリル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、マレイン酸樹脂、重合ロジンエステル、テルペン樹脂、大豆油変性アルキド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の複数種を組み合わせて配合してもよい。
また、接着剤を構成するために、油相中に乳化剤及び/又は分散剤用いることが好ましい。乳化剤としては、特に限定はされないが、非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。
非イオン系界面活性剤としては、ヘプタイソステアリン酸デカグリセリル、ポリリシノール酸ヘキサグリセリル、ソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸、ポリオキシエチレン2〜30モル付加(以下POE(2〜30)と略して記載)オレインエーテル、POE(2〜35)ステアリルエーテル、POE(2〜20)ラウリルエーテル、POE(1〜20)アルキルフェニルエーテル、POE(6〜18)ベヘニルエーテル、POE(5〜25)2−デシルペンタデシルエーテル、POE(3〜30)2−デシルテトラデシルエーテル、POE(8〜16)2−オクチルデシルエーテル等のエーテル型界面活性剤;POE(4〜60)硬化ヒマシ油、POE(3〜14)脂肪酸モノエステル、POE(6〜30)脂肪酸ジエステル、POE(5〜20)ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤;POE(2〜30)グリセリルモノイソステアレート、POE(10〜60)グリセリルトリイソステアレート、POE(7〜50)硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE(12〜60)硬化ヒマシ油トリイソステアレート等のエーテルエステル型界面活性剤等のエチレンオキシド付加型界面活性剤;デカグリセリルテトラオレート、ヘキサグリセリルトリイソステアレート、ジグリセリルジイソステアレート、グリセリルモノオレエートといったグリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤が挙げられる。
安全性および衛生性の観点から、これらの乳化剤の中でも、植物を原料として作られた乳化剤が好ましい。具体的には、日光ケミカルズ株式会社製の「NIKKOL Tetraglyn1−OV」、「NIKKOL Decaglyn5−ISV」、「NIKKOL Hexaglyn PR−15」、「CO―3」、「HCO−10」(いずれも商品名)等が好適に用いられる。
これらの非イオン系界面活性剤は単独で用いてもよいし、または適宜混合して用いてもよい。
分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等が好適に使用される。これらは単独で用いられるほか、複数種を組み合わせて使用してもよい。
具体的には、日本ルーブリゾール社製「ソルスパース13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪酸アミン系)、11200、22000、24000、28000」(いずれも商品名)、共栄社化学株式会社製「フローレンDOPA−15B」(商品名)、楠本化成株式会社製「DA−703−50、DA−7300、DA234」(いずれも商品名)、BykChemie社製「Disperbyk−101」(商品名)、川研ファインケミカル株式会社製「ヒノアクト」(商品名)、ISP社製「Antaron V−216、Ganex V−216、Antaron V−220、Ganex V−220」(いずれも商品名)、Induchem社製「Unimer U−151、Unimer U−15」(いずれも商品名)等が挙げられる。
前記油相と水相の質量割合(油相:水相)は、5:95〜40:60であることが好ましく、10:90〜30:70であることがより好ましく、10:90〜20:80であることがより一層好ましい。
油相の質量割合が上記範囲の下限よりも少ない場合、開放環境下での変質が起きることがある。逆に、油相の質量割合が上記範囲の上限よりも多くなると、セットタイムの観点が遅くなることがある。
本発明の接着剤には、必要に応じて、湿潤剤、電解質、防黴剤、酸化防止剤、水蒸発防止剤、pH調整剤、顔料、染料等の着色剤、無機充填剤などを1種以上、含有させることができる。これらの中でも電解質、特に金属塩が特に好ましく用いられる。
前記金属塩のカチオンは第2族の金属イオンであり、アニオンはハロゲン化物イオンまたは硝酸イオンであるものが好ましい。具体的には塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、フッ化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、フッ化バリウム、硝酸バリウム、塩化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、フッ化ベリリウム、硝酸ベリリウム等が挙げられる。これらの金属塩を添加することで開放環境安定性の向上することができる。これは、(1)エマルションの界面強度を向上させると共に、(2)デンプンの老化防止にも効果があるためと推測される。より詳細には、上記(1)は、金属塩のカチオンと乳化剤との相互作用により界面強度が上昇するためである。なお、アニオンは電離しやすいものほど好ましい。上記(2)は、詳細な理由は不明であるが、デンプンの老化防止効果を有するカチオン種、アニオン種が存在するところ、上記金属塩におけるカチオン種及びアニオン種はいずれもその効果を有するためと推測される。
前記金属塩は、その無水物の量が接着剤全量に対して0.05〜5質量%が好ましく、0.05〜3質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がより一層好ましい。5質量%より多いと接着性が低下したり、保存安定性が低下したりすることがある。0.05質量%より少ないと所定の効果が得られないことがある。
ところで、粉体である金属塩の添加は通常は接着の阻害になる。しかし、上記所定の金属塩であれば、添加することで水相のタックが強くなる。これは、金属塩のカチオンと、接着成分との水素結合によるものと推測される。そして、タックが強いほどに初期接着速度が向上するため、粉体による接着阻害は打ち消されると考えられる。つまり、上記範囲で上記所定の金属塩を添加すると、粉体による接着阻害がタックの上昇により打ち消される。結局のところ、上記所定の金属塩を添加することで、接着阻害を生じることなく、開放環境下での安定性の向上を図ることができる。
本発明の接着剤を適用する被着体または被着材(基材)は、特に限定されないが、接着剤塗工後に油相が被着体内部に浸透しやすいことが好ましく、したがって紙等の浸透性基材であることが好ましい。紙の種類は特に限定されず、普通紙、上質紙、コート紙、アート紙、フォーム紙などの印刷・情報用紙などに幅広く適用することができる。
本発明の接着剤の用途についても特に限定されない。後述するように印刷後の後処理用として使用することが好ましいが、印刷前に使用してもよいし、印刷物以外に用いてもよい。
接着剤の適用方法は、特に限定されず、シリンジ、ディスペンサー、ノズル、アプリケーター、コーター、ハンドポンプなど、様々な塗工装置を使用することができる。
冊子作製や封書作製をするために、後処理装置(フィニッシャー)に塗工機構を組み込み、インラインで必要箇所にパターニングして接着剤を塗工することもできる。
上記のように本発明に係る接着剤は、塗工後に迅速に、半乾き状態でも接着性ないし粘着性を発現するため、せん断接着力において優れている。したがって、フィニッシャーなどの装置と組み合わせて使用した場合でも、接着後の紙の搬送時に接着箇所がずれにくくなる。なお、フィニッシャーとは、パンチ加工、ホチキス留め、紙折り、製本などの印刷後の後処理をまとめて行う機械をいう。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜15、比較例1〜3]
水相及び油相のそれぞれについて表1に記載の成分及び含有率となるように各成分を混合し、水相については95℃に加熱して撹拌し、油相については50℃に加熱して撹拌し、水相成分及び油相成分を調製した。次いで、調製した水相成分及び油相成分を混合し、卓上式サンドミル(関西ペイント株式会社製)を用いて、実施例1〜15、比較例3は約1850rpmの回転速度で撹拌して、それぞれ乳化し、接着剤を得た。
各成分の詳細を以下に示す。なお、デンプン1〜3の括弧内の比は、アミロペクチン:アミロースの質量割合である。
(水相)
水:イオン交換水
デンプン1:(株)J−オイルミルズ製、ワキシーコーンスターチY(100:0)
デンプン2:(株)J−オイルミルズ製、コーンスターチY(75:25)
デンプン3:和光純薬(株)製、和光一級 でんぷん,小麦由来(70:30)
デンプン4:(株)J−オイルミルズ製、ハイアミロースコーンスターチ(60:40)
金属塩1:和光純薬(株)製、無水塩化カルシウム
金属塩2:関東化学(株)製、塩化マグネシウム六水和物
金属塩3:関東化学(株)製、硝酸カルシウム四水和物
(油相)
水溶性有機溶剤1:コグニスジャパン(株)製、ラウリル酸ヘキシル(沸点:210℃)
水溶性有機溶剤2:(株)J−オイルミルズ製、AJINOMOTOサラダ油TUP
水溶性有機溶剤3:(株)J−オイルミルズ製、AJINOMOTOオリーブ油
固体樹脂:日本ゼオン(株)製、Quitone CX495(脂肪族系炭化水素樹脂)
乳化剤1:日光ケミカルズ(株)製、Decaglyn 5−ISV
乳化剤2:日光ケミカルズ(株)製、Hexaglyn PR−15
得られた接着剤に対し、以下に示す評価試験を行った。結果を表1に示す。
(1)セットタイム
紙基材(日本製紙(株)製、NPiフォームNEXT−IJ<90>、フォーム紙)を幅2cm、長さ10cmに切り出し、紙の一端から5cmの長さまで、幅2cm、膜厚10μmで接着剤を塗工した。同じ形状の紙基材を上からもう1枚、互いに全面が重なるように紙基材同士を重ね合わせ、試験片を作製した。試験片の紙基材同士を剥離し、剥離した際に紙基材が破れる被着材破壊が生じるまでの時間を測定し、接着の程度を評価した。
S:塗工後5秒以内に、紙基材同士が接着した。
A:塗工後10秒以内に、紙基材同士が接着した。
B:塗工後15秒以内に、紙基材同士が接着した。
D:塗工後15秒以内では、紙基材同士が接着しなかった。
(2)開放環境下での安定性
非吸収性基材である金属板上に、接着剤を厚さ1mm、直径3mmの円形に塗工し、常温(20℃)で放置した。放置後、接着剤が変質するまでの時間を測定した。薬さじをサンプルに入れたとき、皮膜形成または固化により、さじがサンプル内に入らない場合を「変質」と判断した。
S:4時間以上、変質しなかった。
A:3時間以上、変質しなかった。
B:2時間以上、変質しなかった。
C:1時間以上、変質しなかった。
D:1時間以内に、変質した。
(3)塗工容易性
紙基材(日本製紙(株)製、NPiフォームNEXT−IJ<90>、フォーム紙)の上に、直径62mmの金属ローラーを設置した。ローラー上端部に接着剤を載せ、2m/minの速度でローラーを転がし、机上の紙基材に接着剤を塗工した。そして、紙基材に塗工した際の用紙浮き(机上から用紙までの距離)を測定し、用紙浮きが5mm以下を塗工容易、5mm以上を塗工困難と判断した。
S:塗工容易
D:塗工困難
(4)用紙変形
紙基材(理想科学工業(株)製、理想用紙薄口、普通紙)を幅5cm、長さ10cmに切り出し、紙の一端から5cmの長さまで、幅5cm、膜厚10μmで接着剤を塗工した。そして、カールの有無を目視観察して以下の基準に従い用紙変形を評価した。
S:全くカールしていなかった。
A:僅かしかカールしていなかった。
D:大きくカールしていた。
Figure 2015000879
表1に示されるように、実施例1〜15では、セットタイム、開放環境下での安定性、塗工容易性、及び用紙変形の評価結果においていずれも優れていた。特に、実施例13〜15では所定の金属塩を添加したため、開放環境下での安定性がより一層優れていた。また、実施例11、12は水不溶性有機溶剤として食品(食用油)を使用して接着剤を作製しているため、安全性も高く、小さい子供の使用にも適している。
これに対し、比較例1、2は、主に、開放環境下での安定性及び用紙変形の評価において劣っていた。これは、両比較例の接着剤が油中水型エマルションの形態をとらない水性接着剤であるために開放環境下での安定性が低く、油相をもたないため紙内部へ水が浸透しやすいため用紙変形が生じ、本発明の効果を得ることはできなかったと推察される。また、比較例1については油中水型エマルションの形態をとらない上にタックが強いため、塗工が困難であったと推測される。
また、比較例3では、セットタイム及び開放環境下での安定性の評価において劣っていた。これは、アミロペクチン及びアミロースの質量割合(=60:40)が本発明の範囲外(アミロペクチンの割合が低い)のデンプンを用いたため、デンプンの老化が起きてしまい、接着力が低く、短時間で乾燥してしまい開放環境下での安定性に劣り、本発明の効果を得ることはできなかったと推察される。

Claims (4)

  1. 油相と水相とからなり、
    前記水相が少なくとも水及びデンプンを含み、
    前記デンプンに含まれるアミロペクチン(X)及びアミロース(Y)の質量割合(X:Y)が65:35〜100:0であることを特徴とする油中水型エマルション接着剤。
  2. 前記水相に含まれるデンプンの割合が、15〜40質量%であることを特徴とする請求項1に記載の油中水型エマルション接着剤。
  3. 前記水相がさらに金属塩を含み、前記金属塩のカチオンが第2族の金属イオンであり、アニオンがハロゲン化物イオンまたは硝酸イオンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の油中水型エマルション接着剤。
  4. 前記デンプンの原材料が、ワキシーコーンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の油中水型エマルション接着剤。
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