JP2013237739A - 水系抗紫外線剤、抗紫外線特性を有する塗料ならびに抗紫外線特性を有する資材。 - Google Patents

水系抗紫外線剤、抗紫外線特性を有する塗料ならびに抗紫外線特性を有する資材。 Download PDF

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Abstract

【課題】木材、合成木材、樹脂材への塗布において、安全性に優れ、照射された光の錯綜した屈折による劣化が発生するおそれがないばかりか、水性で取り扱い等が容易で漆などの塗料に混合してもなんらの問題なく塗り作業が可能な新規な水系抗紫外線剤の提供を目的としている。
【解決手段】紫外線吸収剤とヒバ由来成分および植物精油成分からなる植物由来成分とを有効成分としシリコンゴムエマルジョンを基剤としてなり、前記紫外線吸収剤はポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−スルホ−ω−ヒドロキシ,C12−14−アルキルエステル,ナトリウム塩を含有してなる水系抗紫外線剤を提供して上記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本願発明は、木材、合成木材(木粉、プラスチック粉からなる)、樹脂材、特に漆などに耐候性を付与するための水系抗紫外線剤、抗紫外線特性を有する塗料ならびに抗紫外線特性を有する資材に関するものである。
木材、合成木材、樹脂材などに関しては、従来からその耐候性、特に紫外線による表面の劣化の問題の発生が不可避である。 特に木材等の化学成分の多くは紫外線を非常によく吸収する性質を持つため、木剤の色調をそのままに保持した所謂る白木のような無処理木材では、短期間(ひと夏)で木剤表面が暗灰色に変色してしまい、さらには、カビによる点状の黒色汚染も加わり、1年程度で木材の持っていた美しい色調は完全に失われてしまうこともある。
このため、光、特に紫外線により劣化、変質しやすい木材、プラスチックには紫外線吸収剤、紫外線安定化剤等の抗紫外線剤の塗布がなされている。 このような抗紫外線剤は、周知の紫外線吸収剤、紫外線安定化剤等がトルエン、キシレン、酢酸ブチル等の有機溶剤で水系塗料に分散されて構成され、さらに、施工現場でも希釈剤としてトルエン、キシレン等の溶剤が使用されている。
しかしなら、トルエン、キシレン、酢酸ブチル等の溶剤は、その環境汚染特性から国際的にも使用規制の機運が高まり、これを受けて国内法令によりその使用について、厳しい制限を受けるようになっている(劇物取締法、悪臭防止法、有機溶剤中毒予防規則)。
このため、上記従来の有機溶剤の代替物質を使用する抗紫外線剤が市場に種々登場するようになったが、異臭性があり、溶解度も低く、溶解安定性も低い等の欠点により、製品機能において安定性を得られず適正な抗紫外線対策を容易になしえなくなっているのが実情である。 このような状況から、例えば天然樹脂を使用する漆器類には有効な抗紫外線処理がなし得なかった。
このような状況を打開するため、本願発明者は、先に特願2007-24024号において、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(液性)をカプセル化し、界面活性機能により溶剤不要で水系塗料に分散容易な構成とした技術を開示した。 すなわち、粒径が0.35μmないし1.09μm樹脂カプセルに包摂された紫外線吸収剤および/又は紫外線安定剤と分散剤と水とからなり、トルエン、キシレン等の有機溶剤をまったく含有しない抗紫外線剤を開発提供した。
本願発明に関して、次のような文献が存在している。
特開2008−189746号公報
しかしながら、上記文献に開示される従来技術にあっては、マイクロカプセル中に収納される抗紫外線剤にはヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体が使用されており、安全性の面で問題を残している。 すなわち、ベンゾトリアル系では急性毒性に関してLD50は2000mg/kgを示している。このようなことを勘案すると、例えば、直接食物に使用する機会の多い漆器類にあっては無視できない問題である。 また、上記従来技術のようにカプセルを使用する場合に生じる光の挙動の問題がある。 すなわち、光は入射、出射ともに直進する特性を有し、カプセルのために屈折すれば、光照射の連続の中で光子の作用による光電効果が阻害され、エネルギーの放出に支障をきたして、抗紫外線剤塗膜の劣化が促進される。
また、抗紫外線剤をカプセル化したものを漆に混合して使用する場合、カプセルがある種の夾雑物として作用し、漆乾燥のメカニズムや塗り作業における刷毛使い感覚に微妙な影響を及ぼし、製品の仕上がりや塗り効率にマイナスの影響を与えることがある。
本願発明は、上記課題を解決するためになされたもので、木材、合成木材、樹脂材へ
の塗布において、水で希釈できて安全性に優れ、照射された光の錯綜した屈折による劣化が発生するおそれがないばかりか、漆塗料に混合してもなんらの問題なく塗り作業が可能な新規な抗紫外線剤の提供を目的としている。
本願発明は水で希釈でき使い勝手に優れる水系抗紫外線剤を、紫外線吸収剤とヒバ由来成分および植物精油成分からなる植物由来成分とを有効成分としシリコンゴムエマルジョンを基剤としてなる水系抗紫外線剤を提供して、上記従来の課題を解決しようとするものである。
上記段落0009の水系抗紫外線剤において、前記紫外線吸収剤はポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−スルホ−ω−ヒドロキシ,C12−14−アルキルエステル,ナトリウム塩を有効成分として構成することがある。
上記段落0010の水系抗紫外線剤において、前記ヒバ由来成分はヒノキチオールを抽出したヒバ油で構成することがある。
上記段落0011の水系抗紫外線剤において、前記植物精油成分はテルペン化合物で構成することがある。
上記段落0009ないし0012いずれか記載の水系抗紫外線剤において、前記植物由来成分における前記ヒバ由来成分と前記植物精油成分との組成比はそれぞれ50重量%で構成することがある。
上記段落0009ないし0012いずれか記載の水系抗紫外線剤において、前記紫外線吸収剤と前記植物由来成分との組成比はそれぞれ65重量%ならびに35重量%で構成することがある。
上記段落0014の水系抗紫外線剤において、前記有効成分は基剤としてのシリコンゴムエマルジョンに3−5重量%添加した構成となすことがある。
本願発明はまた、上記段落0015記載の水系抗紫外線剤を漆塗料に混合してなる抗紫外線特性を有する塗料を提供する。
そして、本願発明は上記段落0015記載の抗紫外線剤をガラスの1側面に塗布し、その塗布層に塩ビシートを積層してさらに塩ビシート層にガラスを積層してなる抗紫外線特性を有する資材を提供して、野菜の栽培における紫外線の照射量を適正にコントロールしてその生産性の向上ならびに品質の向上に資するものである。
上記構成により、本願発明に係る水系抗紫外線剤は、環境に有害とされるトルエン・キシレンを使用することなく、水で簡単に希釈可能であり遣い勝手もよく施工性、耐久性、コストパーフォマンス等において従来技術となんら遜色のない、安全性に優れた抗紫外線剤を実現し、広範な用途を実現できる。 すなわち、ナノセルロースを含む植物系合成繊維、合成木材、水系シリコン剤のコーティング、野菜栽培用の資材、木造建築物、漆への添加、室内空気の清浄性が特に要求される構築物などにおける用途が好適なものとして挙げられる。 また、ヒバ由来成分、テルペン化合物などを有効成分として含有するため、防臭効果、抗菌効果なども期待することができる。
次に、本願発明に係る水系抗紫外線剤に係る一実施例を説明する。この実施例に係る水系抗紫外線剤の組成は以下の通りである。
水系抗紫外線剤の有効成分: 紫外線吸収剤(イ)65重量% + 植物由来成分(ロ)35重量%
紫外線吸収剤(イ):ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−スルホ−ω−ヒドロキシ,C12−14−アルキルエステル,ナトリウム塩の0.5−3.5%水溶液
なお、この実施例で、前記紫外線吸収剤として、BASF株式会社の製品であるTINUVIN 477−DW(製品名)を使用した。
植物由来成分(ロ): ヒバ由来成分50重量% + 植物精油成分50重量%
ヒバ由来成分: ヒノキチオールを抽出したヒバ油、いわゆるヒバ溜水を使用しているが、この実施例ではこのヒバ溜水はヒノキチオールを0.098g/Kg含有している。
植物精油成分: テルペン化合物であり、この実施例ではボルネオール、シネオール、リモネン、α―ピネル、βピネン、カンファー、シナモンアルデヒド、メントン、シトロネラール等から選択した1種および又は複数種
上記のように、紫外線吸収剤(イ)65重量% + 植物由来成分(ロ)35重量%を攪拌混合して水系抗紫外線剤の有効成分を完成した。 そして、この有効成分を基剤としてのシリコンゴムエマルジョンに添加して水系抗紫外線剤を生成した。 添加量は基材の重量比で3−5%である。添加量は紫外線量等に応じて適宜調節することになる。
この水系抗紫外線剤木材、合成木材、樹脂材等に適宜方法で塗布してそれらの内部に浸透させるおよび又は表面に膜を形成するようにして使用する。
なお、この実施例に係るシリコンゴムエマルジョンは、2007年発行の「木材保存」誌(Vol.33−5)の226ページから230ページにおいてシリコンゴムエマルジョンXとして開示されたものを使用した。
抗紫外線剤をうるし塗り表面に塗布することは困難でもあるし、効果を得られる膜厚を形成するとうるし塗り本来の特質が失われてしまう。 そこで、塗布する漆塗料自体に本願に係る抗紫外線剤を混合してうるし塗料として使用することになる。 うるし塗料との抗紫外線剤の混合比(重量)は、95対5を中心として、適用地の日射量に合わせて2−3%の増減をなすのが好ましい。
なお、図1は上記実施例に係る抗紫外線剤の紫外線吸収測定実験の結果を表すグラフであり、波長380nm以下の紫外線領域においてほぼ完全に紫外線を吸収していることが判明する。 当該実験の仕様は以下のとおりである。
測定実験の実施機関: 富山県工業技術センター
測定装置: 島津製作所製のUV−3100S(積分球使用)
波長範囲: 220〜420nm
光源: 360nm以上はタングテンランプ、360nm未満は重水素ランプ
試験体: 20mm×40mmの石英ガラスに上記実施例に係る抗紫外線剤を0.2g1回塗りして乾燥したもの
上記実施例に係る抗紫外線剤の耐候性試験結果の一例を以下に示す。
1:試験方法
板片(2×2×1cm)の木口面(2×2cm)に抗紫外線剤を0.24g刷毛塗り
使用機器:岩崎電気スーパーUVテスターW11
環境: 恒温室乾燥8日間
照射4時間/結露4時間(UV照度:100mW/平方センチ、 BP温度:照射時摂氏70度、湿度:照射時50%,シャワー:照射前後15秒)を33サイクル、100サイクル
2:結果
処理液:抗紫外線剤
組成: 紫外線吸収剤(イ)65重量% + 植物由来成分(ロ)35重量%を攪拌混合したもの。 なお、紫外線吸収剤(イ)および植物由来成分(ロ)の内容については、前記段落0019に記載した実施例に係るものである。
保存安定性:摂氏10度以上の室温/2ヶ月
初期
撥水性
外観: あり、 接触角: 139
33サイクル後
撥水性
外観: あり、 接触角: 135
質量減少率(%) 5
100サイクル後
撥水性
外観: あり(一部吸水箇所あり)、 接触角: 基材凹凸激しく測定不可
質量減少率(%) 20
上記実験におけるスーパーUVテスターW11の100サイクル条件は、アリゾナにおける実曝の約10年に相当する厳しい条件である。これは、サンシャインカーボンアークウエザー促進試験の場合、5,000時間に相当し、ここで1,000時間は約5年の実曝に相当する。これを東京に置換すると5,000時間は50年相当となる。
上記の耐候試験を基に、前記実施例に係る抗紫外線剤を塗布した場合の耐候性の経時的結果を推測算出した。 図2はこの結果を示す表である。算出は以下の仕様を基にしてこれを行った。
抗紫外線処理材:25mm厚の羽目板に前記実施例に係る抗紫外線剤を塗布したもの
対照材 : 無処理の25mm厚の羽目板
日照条件: スーパーUVテスターW11による前記の100サイクル耐候性試験結果に基づいて、東京の日射量を50%に、また減少率を10%に設定して計算した。
処理: 25年経過毎に抗紫外線剤を塗布
図2の表から明らかなように、200年経過時点で、無処理の羽目板は板厚が25mmから5.1mmまでに減少し羽目板としての機能がほぼ限界に達している。 これに反して、前記実施例に係る抗紫外線剤を塗布した羽目板は200年経過時点でもその板厚は9.8mmであり、未だ羽目板としての機能を保持していることが判明する。
ところで、紫外線と農作物との関係が、近年多角的に研究されて紫外線の除去による病害除去効果や生育促進効果が認められるようになっている。紫外線除去により効果のある病害は、例えば「菌核病、ニンジン黒葉枯病、ネギ黒班病、ニラ白斑葉枯病、野菜類黒班病」があるとされている(「植物防疫」誌、第36巻 第10号)。このため、野菜類の紫外線除去に適した資材の実現が望まれるところ、本願発明では、前記の実施例で述べた水系抗紫外線剤をガラスの1側面に塗布し、その塗布層に塩ビシートを積層してさらに塩ビシート層にガラスを積層してなる抗紫外線特性を有する資材を提供した。この資材は、野菜の栽培ハウスに紫外線除去資材として容易に使用することができ、病害予防、生育促進に所定の効果を発揮できる。
本願発明の実施例に係る水系抗紫外線剤の紫外線吸収を示すグラフである。 本願発明の実施例に係る水系抗紫外線剤を塗布した板材の耐候性能を経年毎に計算した結果を示す表である。
本願発明は、木材、合成木材(木粉、プラスチック粉からなる)、樹脂材、特に漆などに耐候性を付与するための水系抗紫外線剤、抗紫外線特性を有する塗料ならびに抗紫外線特性を有する資材に関するものである。
木材、合成木材、樹脂材などに関しては、従来からその耐候性、特に紫外線による表面の劣化の問題の発生が不可避である。 特に木材等の化学成分の多くは紫外線を非常によく吸収する性質を持つため、木剤の色調をそのままに保持した所謂る白木のような無処理木材では、短期間(ひと夏)で木剤表面が暗灰色に変色してしまい、さらには、カビによる点状の黒色汚染も加わり、1年程度で木材の持っていた美しい色調は完全に失われてしまうこともある。
このため、光、特に紫外線により劣化、変質しやすい木材、プラスチックには紫外線吸収剤、紫外線安定化剤等の抗紫外線剤の塗布がなされている。 このような抗紫外線剤は、周知の紫外線吸収剤、紫外線安定化剤等がトルエン、キシレン、酢酸ブチル等の有機溶剤で水系塗料に分散されて構成され、さらに、施工現場でも希釈剤としてトルエン、キシレン等の溶剤が使用されている。
しかしなら、トルエン、キシレン、酢酸ブチル等の溶剤は、その環境汚染特性から国際的にも使用規制の機運が高まり、これを受けて国内法令によりその使用について、厳しい制限を受けるようになっている(劇物取締法、悪臭防止法、有機溶剤中毒予防規則)。
このため、上記従来の有機溶剤の代替物質を使用する抗紫外線剤が市場に種々登場するようになったが、異臭性があり、溶解度も低く、溶解安定性も低い等の欠点により、製品機能において安定性を得られず適正な抗紫外線対策を容易になしえなくなっているのが実情である。 このような状況から、例えば天然樹脂を使用する漆器類には有効な抗紫外線処理がなし得なかった。
このような状況を打開するため、本願発明者は、先に特願2007-24024号において、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(液性)をカプセル化し、界面活性機能により溶剤不要で水系塗料に分散容易な構成とした技術を開示した。 すなわち、粒径が0.35μmないし1.09μm樹脂カプセルに包摂された紫外線吸収剤および/又は紫外線安定剤と分散剤と水とからなり、トルエン、キシレン等の有機溶剤をまったく含有しない抗紫外線剤を開発提供した。
本願発明に関して、次のような文献が存在している。
特開2008−189746号公報
しかしながら、上記文献に開示される従来技術にあっては、マイクロカプセル中に収納される抗紫外線剤にはヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体が使用されており、安全性の面で問題を残している。 すなわち、ベンゾトリアル系では急性毒性に関してLD50は2000mg/kgを示している。このようなことを勘案すると、例えば、直接食物に使用する機会の多い漆器類にあっては無視できない問題である。 また、上記従来技術のようにカプセルを使用する場合に生じる光の挙動の問題がある。 すなわち、光は入射、出射ともに直進する特性を有し、カプセルのために屈折すれば、光照射の連続の中で光子の作用による光電効果が阻害され、エネルギーの放出に支障をきたして、抗紫外線剤塗膜の劣化が促進される。
また、抗紫外線剤をカプセル化したものを漆に混合して使用する場合、カプセルがある種の夾雑物として作用し、漆乾燥のメカニズムや塗り作業における刷毛使い感覚に微妙な影響を及ぼし、製品の仕上がりや塗り効率にマイナスの影響を与えることがある。
本願発明は、上記課題を解決するためになされたもので、木材、合成木材、樹脂材へ
の塗布において、水で希釈できて安全性に優れ、照射された光の錯綜した屈折による劣化が発生するおそれがないばかりか、漆塗料に混合してもなんらの問題なく塗り作業が可能な新規な抗紫外線剤の提供を目的としている。
本願発明は水で希釈でき使い勝手に優れる水系抗紫外線剤を、紫外線吸収剤とヒバ由来成分および植物精油成分からなる植物由来成分とを有効成分としシリコンゴムエマルジョンを基剤としてなる水系抗紫外線剤を提供して、上記従来の課題を解決しようとするものである。
上記段落0009の水系抗紫外線剤において、前記紫外線吸収剤はポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−スルホ−ω−ヒドロキシ,C12−14−アルキルエステル,ナトリウム塩を有効成分として構成することがある。
上記段落0010の水系抗紫外線剤において、前記ヒバ由来成分はヒノキチオールを抽出したヒバ油で構成することがある。
上記段落0011の水系抗紫外線剤において、前記植物精油成分はテルペン化合物で構成することがある。
上記段落0009ないし0012いずれか記載の水系抗紫外線剤において、前記植物由来成分における前記ヒバ由来成分と前記植物精油成分との組成比はそれぞれ50重量%で構成することがある。
上記段落0009ないし0012いずれか記載の水系抗紫外線剤において、前記紫外線吸収剤と前記植物由来成分との組成比はそれぞれ65重量%ならびに35重量%で構成することがある。
上記段落0014の水系抗紫外線剤において、前記有効成分は基剤としてのシリコンゴムエマルジョンに3−5重量%添加した構成となすことがある。
本願発明はまた、上記段落0015記載の水系抗紫外線剤を漆塗料に混合してなる抗紫外線特性を有する塗料を提供する。
そして、本願発明は上記段落0015記載の抗紫外線剤をガラスの1側面に塗布し、その塗布層に塩ビシートを積層してさらに塩ビシート層にガラスを積層してなる抗紫外線特性を有する資材を提供して、野菜の栽培における紫外線の照射量を適正にコントロールしてその生産性の向上ならびに品質の向上に資するものである。
上記構成により、本願発明に係る水系抗紫外線剤は、環境に有害とされるトルエン・キシレンを使用することなく、水で簡単に希釈可能であり遣い勝手もよく施工性、耐久性、コストパーフォマンス等において従来技術となんら遜色のない、安全性に優れた抗紫外線剤を実現し、広範な用途を実現できる。 すなわち、ナノセルロースを含む植物系合成繊維、合成木材、水系シリコン剤のコーティング、野菜栽培用の資材、木造建築物、漆への添加、室内空気の清浄性が特に要求される構築物などにおける用途が好適なものとして挙げられる。 また、ヒバ由来成分、テルペン化合物などを有効成分として含有するため、防臭効果、抗菌効果なども期待することができる。
次に、本願発明に係る水系抗紫外線剤に係る一実施例を説明する。この実施例に係る水系抗紫外線剤の組成は以下の通りである。
水系抗紫外線剤の有効成分: 紫外線吸収剤(イ)65重量% + 植物由来成分(ロ)35重量%
紫外線吸収剤(イ):ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−スルホ−ω−ヒドロキシ,C12−14−アルキルエステル,ナトリウム塩の0.5−3.5%水溶液
なお、この実施例で、前記紫外線吸収剤として、BASF株式会社の製品であるTINUVIN 477−DW(製品名)を使用した。
植物由来成分(ロ): ヒバ由来成分50重量% + 植物精油成分50重量%
ヒバ由来成分: ヒノキチオールを抽出したヒバ油、いわゆるヒバ溜水を使用しているが、この実施例ではこのヒバ溜水はヒノキチオールを0.098g/Kg含有している。
植物精油成分: テルペン化合物であり、この実施例ではボルネオール、シネオール、リモネン、α―ピネル、βピネン、カンファー、シナモンアルデヒド、メントン、シトロネラール等から選択した1種および又は複数種
上記のように、紫外線吸収剤(イ)65重量% + 植物由来成分(ロ)35重量%を攪拌混合して水系抗紫外線剤の有効成分を完成した。 そして、この有効成分を基剤としてのシリコンゴムエマルジョンに添加して水系抗紫外線剤を生成した。 添加量は基材の重量比で3−5%である。添加量は紫外線量等に応じて適宜調節することになる。
この水系抗紫外線剤木材、合成木材、樹脂材等に適宜方法で塗布してそれらの内部に浸透させるおよび又は表面に膜を形成するようにして使用する。
なお、この実施例に係るシリコンゴムエマルジョンは、2007年発行の「木材保存」誌(Vol.33−5)の226ページから230ページにおいてシリコンゴムエマルジョンXとして開示されたものを使用した。
抗紫外線剤をうるし塗り表面に塗布することは困難でもあるし、効果を得られる膜厚を形成するとうるし塗り本来の特質が失われてしまう。 そこで、塗布する漆塗料自体に本願に係る抗紫外線剤を混合してうるし塗料として使用することになる。 うるし塗料との抗紫外線剤の混合比(重量)は、95対5を中心として、適用地の日射量に合わせて2−3%の増減をなすのが好ましい。
なお、図1は上記実施例に係る抗紫外線剤の紫外線吸収測定実験の結果を表すグラフである。 試験体は、無処理ガラスと合せガラス(5mm)の間に1mmの塩ビ膜をはさみガラス内側に水系抗紫外線剤の前記有効成分を基剤としてのシリコンゴムエマルジョンに添加(有効成分の添加量は3重量%)して生成した水系抗紫外線剤を積層塗布したものとの2種を用いて、紫外線吸収の状態を観察した。 水系抗紫外線剤処理した合わせガラスの場合,波長400nm以下の紫外線領域においてほぼ完全に紫外線を吸収していることが判明し、無処理ガラスに比べて効果は顕著である。 当該実験の仕様は以下のとおりである。
測定実験の実施機関: 石川県工業試験場
装置名 V−650
測光モード %R
波長範囲: 220〜800nm
光源: D2/WI
UV/Visバンド幅 10.0nm
上記実施例に係る抗紫外線剤の耐候性試験結果の一例を以下に示す。
1:試験方法
板片(2×2×1cm)の木口面(2×2cm)に抗紫外線剤を0.24g刷毛塗り
使用機器:岩崎電気スーパーUVテスターW11
環境: 恒温室乾燥8日間
照射4時間/結露4時間(UV照度:100mW/平方センチ、 BP温度:照射時摂氏70度、湿度:照射時50%,シャワー:照射前後15秒)を33サイクル、100サイクル
2:結果
処理液:抗紫外線剤
組成: 紫外線吸収剤(イ)65重量% + 植物由来成分(ロ)35重量%を攪拌混合したもの。 なお、紫外線吸収剤(イ)および植物由来成分(ロ)の内容については、前記段落0019に記載した実施例に係るものである。
保存安定性:摂氏10度以上の室温/2ヶ月
初期
撥水性
外観: あり、 接触角: 139
33サイクル後
撥水性
外観: あり、 接触角: 135
質量減少率(%) 5
100サイクル後
撥水性
外観: あり(一部吸水箇所あり)、 接触角: 基材凹凸激しく測定不可
質量減少率(%) 20
上記実験におけるスーパーUVテスターW11の100サイクル条件は、アリゾナにおける実曝の約10年に相当する厳しい条件である。これは、サンシャインカーボンアークウエザー促進試験の場合、5,000時間に相当し、ここで1,000時間は約5年の実曝に相当する。これを東京に置換すると5,000時間は50年相当となる。
上記の耐候試験を基に、前記実施例に係る抗紫外線剤を塗布した場合の耐候性の経時的結果を推測算出した。 図2はこの結果を示す表である。算出は以下の仕様を基にしてこれを行った。
抗紫外線処理材:25mm厚の羽目板に前記実施例に係る抗紫外線剤を塗布したもの
対照材 : 無処理の25mm厚の羽目板
日照条件: スーパーUVテスターW11による前記の100サイクル耐候性試験結果に基づいて、東京の日射量を50%に、また減少率を10%に設定して計算した。
処理: 25年経過毎に抗紫外線剤を塗布
図2の表から明らかなように、200年経過時点で、無処理の羽目板は板厚が25mmから5.1mmまでに減少し羽目板としての機能がほぼ限界に達している。 これに反して、前記実施例に係る抗紫外線剤を塗布した羽目板は200年経過時点でもその板厚は9.8mmであり、未だ羽目板としての機能を保持していることが判明する。
ところで、紫外線と農作物との関係が、近年多角的に研究されて紫外線の除去による病害除去効果や生育促進効果が認められるようになっている。紫外線除去により効果のある病害は、例えば「菌核病、ニンジン黒葉枯病、ネギ黒班病、ニラ白斑葉枯病、野菜類黒班病」があるとされている(「植物防疫」誌、第36巻 第10号)。このため、野菜類の紫外線除去に適した資材の実現が望まれるところ、本願発明では、前記の実施例で述べた水系抗紫外線剤をガラスの1側面に塗布し、その塗布層に塩ビシートを積層してさらに塩ビシート層にガラスを積層してなる抗紫外線特性を有する資材を提供した。この資材は、野菜の栽培ハウスに紫外線除去資材として容易に使用することができ、病害予防、生育促進に所定の効果を発揮できる。
本願発明の実施例に係る水系抗紫外線剤の紫外線吸収を示すグラフである。 本願発明の実施例に係る水系抗紫外線剤を塗布した板材の耐候性能を経年毎に計算した結果を示す表である。

Claims (9)

  1. 紫外線吸収剤とヒバ由来成分および植物精油成分からなる植物由来成分とを有効成分としシリコンゴムエマルジョンを基剤としてなる水系抗紫外線剤。
  2. 請求項1記載の水系抗紫外線剤において、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−スルホ−ω−ヒドロキシ,C12−14−アルキルエステル,ナトリウム塩を有効成分とすることを特徴とする水系抗紫外線剤。
  3. 請求項2記載の水系抗紫外線剤において、前記ヒバ由来成分はヒノキチオールを抽出したヒバ油であることを特徴とする水系抗紫外線剤。
  4. 請求項3記載の水系抗紫外線剤において、前記植物精油成分はテルペン化合物であることを特徴とする水系抗紫外線剤。
  5. 請求項1ないし5いずれか記載の水系抗紫外線剤において、前記植物由来成分における前記ヒバ由来成分と前記植物精油成分との組成比はそれぞれ50重量%であるであることを特徴とする水系抗紫外線剤。
  6. 請求項1ないし5いずれか記載の水系抗紫外線剤において、前記紫外線吸収剤と前記植物由来成分との組成比はそれぞれ65重量%ならびに35重量%であるであることを特徴とする水系抗紫外線剤。
  7. 請求項6記載の水系抗紫外線剤において、前記有効成分は基剤としてのシリコンゴムエマルジョンに3−5重量%添加してなることを特徴とする水系抗紫外線剤。
  8. 請求項7記載の水系抗紫外線剤を漆塗料に混合してなる抗紫外線特性を有する塗料。
  9. 請求項7記載の抗紫外線剤をガラスの1側面に塗布し、その塗布層に塩ビシートを積層してさらに塩ビシート層にガラスを積層してなる抗紫外線特性を有する資材。
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