JP2013237714A - ポリウレタン弾性体の製造方法、ポリウレタン弾性体、弾性繊維、人造皮革および不織布 - Google Patents
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Abstract
【課題】伸縮性、耐熱性および耐黄変性に優れるポリウレタン弾性体を、高濃度で生産性よく製造することができ、また、貯蔵安定性の向上を図ることができるポリウレタン弾性体の製造方法、また、その製造方法から得られ、伸縮性、耐熱性および耐黄変性に優れるポリウレタン弾性体、さらには、そのポリウレタン弾性体を用いて得られる弾性繊維、人造皮革および不織布を提供すること。
【解決手段】ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと高分子量ポリオールとを反応させて水酸基末端ポリウレタンプレポリマーを合成し、ジフェニルメタンジイソシアネートと水酸基末端ポリウレタンプレポリマーとを反応させてイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーを合成し、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと鎖伸長剤とを反応させてポリウレタン弾性体を合成する。また、ポリウレタン弾性体を用いて、弾性繊維、人造皮革および不織布を得る。
【選択図】なし
【解決手段】ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと高分子量ポリオールとを反応させて水酸基末端ポリウレタンプレポリマーを合成し、ジフェニルメタンジイソシアネートと水酸基末端ポリウレタンプレポリマーとを反応させてイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーを合成し、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと鎖伸長剤とを反応させてポリウレタン弾性体を合成する。また、ポリウレタン弾性体を用いて、弾性繊維、人造皮革および不織布を得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリウレタン弾性体の製造方法、ポリウレタン弾性体、弾性繊維、人造皮革および不織布に関し、詳しくは、ポリウレタン弾性体の製造方法、そのポリウレタン弾性体の製造方法により得られるポリウレタン弾性体、そのポリウレタン弾性体を用いて得られる弾性繊維、人造皮革および不織布に関する。
ポリウレタン(ポリウレタンウレアを含む。)は、弾性性能に優れるため、例えば、スパンデックスなどの繊維や、人工皮革、合成皮革などの人造皮革、さらには、不織布などの各種弾性体として、成形されている。
このようなポリウレタン弾性体として、具体的には、例えば、少なくとも5重量%のトランス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むシクロ脂肪族ジイソシアネートと、ポリオールおよび連鎖延長剤との反応生成物を含み、例えば、紡糸成形されて得られるポリウレタンが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、例えば、80モル%以上のトランス体を含む1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含有するポリイソシアネート成分と、活性水素化合物成分との反応により得られるポリウレタン樹脂、および、そのポリウレタン樹脂が用いられている弾性成形体が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含有し、かつ、加水分解性塩素の含有量が700ppm以下であるポリイソシアネートと、鎖伸長剤との反応により形成されるハードセグメントを含有するポリウレタンエラストマーが、知られている(例えば、特許文献3参照。)。
また、このようなポリウレタン弾性体は、通常、有機溶媒中においてポリウレタン弾性体溶液として調製される。そして、そのポリウレタン弾性体溶液から、例えば、乾式紡糸法、湿式紡糸法、静電紡糸(エレクトロスピニング)法などの紡糸法や、例えば、乾式成膜法、湿式成膜法などの成膜法などによって有機溶媒が除去されることにより、ポリウレタン弾性体が成形される。
一方、近年では、有機溶媒に対する環境規制の観点や、得られる成形品における有機溶媒の残留量を低減させる観点から、とりわけ、繊維用途では、ポリウレタン弾性体溶液の高濃度化が要求されている。
しかし、上記した特許文献1〜3に記載のポリウレタン弾性体を、高濃度、例えば、30質量%程度のポリウレタン弾性体溶液として調製しようとすると、その反応過程で溶液の粘度が著しく上昇し、撹拌が困難になり、生産性(合成反応の円滑性)に劣る場合がある。
また、このようなポリウレタン弾性体溶液は、貯蔵安定性が十分ではなく、例えば、時間経過とともにゲル化する場合がある。
また、ポリウレタン弾性体としては、優れた伸縮性、耐熱性および耐黄変性が要求されている。
そこで、本発明の目的は、伸縮性、耐熱性および耐黄変性に優れるポリウレタン弾性体を、高濃度で生産性よく製造することができ、また、貯蔵安定性の向上を図ることができるポリウレタン弾性体の製造方法、また、その製造方法から得られ、伸縮性、耐熱性および耐黄変性に優れるポリウレタン弾性体、さらには、そのポリウレタン弾性体を用いて得られる弾性繊維、人造皮革および不織布を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のポリウレタン弾性体の製造方法は、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと高分子量ポリオールとを反応させて水酸基末端ポリウレタンプレポリマーを合成する工程、ジフェニルメタンジイソシアネートと前記水酸基末端ポリウレタンプレポリマーとを反応させてイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーを合成する工程、および、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと鎖伸長剤とを反応させてポリウレタン弾性体を合成する工程を備えることを特徴としている。
また、本発明のポリウレタン弾性体の製造方法では、前記高分子量ポリオールの水酸基に対する、前記ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアネート基、および、前記ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアネート基の総量の当量比(イソシアネート基/水酸基)が、1.2〜4であることが好適である。
また、本発明のポリウレタン弾性体の製造方法では、前記ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンであることが好適である。
また、本発明のポリウレタン弾性体は、上記のポリウレタン弾性体の製造方法により得られることを特徴としている。
また、本発明の弾性繊維は、上記のポリウレタン弾性体を用いて得られることを特徴としている。
また、本発明の人造皮革は、上記のポリウレタン弾性体を用いて得られることを特徴としている。
また、本発明の不織布は、上記のポリウレタン弾性体を用いて得られることを特徴としている。
本発明のポリウレタン弾性体の製造方法によれば、ポリウレタン弾性体が高濃度で有機溶媒に含有される場合にも、生産性、および、貯蔵安定性の向上を図ることができる。
また、本発明のポリウレタン弾性体の製造方法により得られる本発明のポリウレタン弾性体、さらには、そのポリウレタン弾性体を用いて得られる本発明の弾性繊維、人造皮革および不織布は、伸縮性、耐熱性および耐黄変性に優れる。
本発明のポリウレタン弾性体の製造方法では、まず、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと高分子量ポリオールとを反応させて、水酸基末端ポリウレタンプレポリマーを合成する。
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとしては、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
これらビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、単独使用または併用することができる。
1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを用いれば、貯蔵安定性に優れるポリウレタン弾性体(溶液)を生産性よく得ることができ、また、ポリウレタン弾性体の優れた伸縮性、耐熱性および耐黄変性を確保することができる。
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとして、好ましくは、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの単独使用、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとの併用が挙げられる。
1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとが併用される場合において、それらの配合割合は、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの総量100質量部に対して、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが、例えば、5〜60質量部、好ましくは、10〜50質量部であり、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが、例えば、40〜95質量部、好ましくは、50〜90質量部である。
1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとの配合割合が上記範囲であれば、ポリウレタン弾性体の伸縮性および耐熱性の向上を図ることができる。
また、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンには、シス−1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、シス1,3体とする。)、および、トランス−1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、トランス1,3体とする。)の幾何異性体があり、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンには、シス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、シス1,4体とする。)、および、トランス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、トランス1,4体とする。)の幾何異性体がある。
そして、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、好ましくは、トランス1,4体を含有している。
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンにおいて、トランス1,4体の含有割合は、例えば、20〜93モル%、好ましくは、40〜90モル%、さらに好ましくは、45〜85モル%である。
トランス1,4体の含有割合が上記範囲であれば、ポリウレタン弾性体が有機溶媒中において高濃度で合成される場合にも、生産性(すなわち、合成反応の円滑性)、および、貯蔵安定性の向上を図ることができる。
なお、このようなビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、トランス体を上記割合で含有する1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを原料として、例えば、特開平7−309827号公報に記載されるホスゲン法(冷熱2段法(直接法)や造塩法)、あるいは、特開2004−244349号公報や特開2003−212835号公報などに記載されるノンホスゲン法などにより、製造することができる。
また、上記ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、誘導体として調製することもできる。
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの誘導体としては、例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの多量体(ダイマー、トリマー(例えば、イソシアヌレート変性体など)など)、ビウレット変性体(例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと水との反応により生成するビウレット変性体など)、アロファネート変性体(例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとモノオールまたは低分子量ポリオール(後述)との反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと低分子量ポリオール(後述)または高分子量ポリオール(後述)との反応より生成するポリオール変性体など)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)、ウレトジオン変性体などが挙げられる。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400以上の化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、および、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。
高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレンポリオールは、例えば、低分子量ポリオール(後述)および/または低分子量ポリアミン(後述)を開始剤として、これにアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、オキセタン化合物などの炭素数2−5のアルキレンオキサイド)を開環付加重合(単独重合または共重合(アルキレンオキサイドとして、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドが併用される場合には、ブロック共重合および/またはランダム共重合))させることにより得ることができる。
ポリテトラメチレンエーテルポリオールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物(ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG))や、テトラヒドロフランなどの重合単位にアルキル置換テトラヒドロフランや、後述する2価アルコールを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
また、ポリテトラメチレンエーテルポリオールとしては、例えば、バイオ原料をベースとしたポリテトラメチレンエーテルポリオールなども挙げられる。バイオ原料をベースとしたポリテトラメチレンエーテルポリオールは、市販品として入手可能であり、具体的には、例えば、商品名「バイオPTMEG」(保土谷化学製)などが挙げられる。
また、ポリエーテルポリオールとして、さらに、バイオ原料から得られる低分子量ポリオール(例えば、1,3−プロパンジオールなど)を用いて得られるバイオ由来のポリエーテルポリオールが挙げられる。このようなバイオ由来のポリエーテルポリオールは、市販品として入手可能であり、具体的には、例えば、商品名「Cerenol(登録商標) Polyol」(Dupont社製)などが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、後述する低分子量ポリオールと多塩基酸とを、公知の条件下、反応させて得られる重縮合物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸、その他の飽和脂肪族ジカルボン酸(C11〜13)、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他の不飽和脂肪族ジカルボン酸、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、その他の芳香族ジカルボン酸、例えば、ヘキサヒドロフタル酸、その他の脂環族ジカルボン酸、例えば、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ヘット酸などのその他のカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライドなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、バイオ由来のポリエステルポリオール、具体的には、後述する低分子量ポリオールを開始剤として、ヒドロキシル基含有植物油脂肪酸(例えば、リシノレイン酸を含有するひまし油脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸を含有する水添ひまし油脂肪酸、ひまし油などから得られるセバシン酸など)などのヒドロキシカルボン酸を、公知の条件下、縮合反応させて得られる植物油系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。このようなバイオ由来のポリエステルポリオールは、市販品としても入手可能であり、具体的には、商品名「セバシン酸ポリエステルHS2P−203S」(豊国製油製、バイオ原料から得られた1,3−プロパンジオールと、バイオ原料から得られたセバシン酸とを用いて得られるポリエステルポリオール)などが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、後述する低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類や、例えば、L−ラクチド、D−ラクチドなどのラクチド類などを開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、さらには、それらに後述する2価アルコールを共重合したラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、後述する低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物や、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールや1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコールと、開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
高分子量ポリオールとして、好ましくは、得られるポリウレタン弾性体が後述する弾性繊維に用いられる場合には、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含む。)、バイオ由来のポリエーテルポリオールが挙げられ、また、得られるポリウレタン弾性体が人造皮革、不織布に用いられる場合には、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
そして、水酸基末端ウレタンプレポリマーを得るには、上記のビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと、上記の高分子量ポリオールとを、例えば、不活性ガス(窒素ガスなど)の存在下、高分子量ポリオールの水酸基に対する、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が、1未満、通常、0.1〜0.9、好ましくは、0.2〜0.8、さらに好ましくは、0.3〜0.7となるように配合し、重合させる。
当量比が上記範囲であると、得られるポリウレタン弾性体の耐黄変性を向上させ、優れた意匠性を確保することができるとともに、伸縮性の向上を図ることができる。
重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合などの公知の重合方法が挙げられ、好ましくは、反応性および粘度の調整がより容易な溶液重合が挙げられる。
バルク重合では、例えば、窒素雰囲気下、上記成分を配合して、後述する重合条件下、ウレタン化反応させる。
また、溶液重合では、例えば、窒素雰囲気下、有機溶媒に、上記成分を配合して、後述する重合条件下、ウレタン化反応させる。
有機溶媒としては、イソシアネート基に対して不活性な溶媒であって、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのアルキルエステル類、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、イソプロパノールなどの3級アルコール類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性非プロトン類などが挙げられる。
これら有機溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
有機溶媒として、好ましくは、得られるポリウレタン弾性体が後述する弾性繊維に用いられる場合には、極性非プロトン類、より好ましくは、N,N’−ジメチルアセトアミドが挙げられ、また、得られるポリウレタン弾性体が人造皮革、不織布に用いられる場合には、アルキルエステル類、ケトン類、3級アルコール類、極性非プロトン類、より好ましくは、酢酸ブチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロパノール、N,N’−ジメチルアセトアミドが挙げられる。
有機溶媒の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定されるが、具体的には、ポリウレタン弾性体溶液を高濃度化する観点から、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと高分子量ポリオールとの総量の濃度(固形分濃度)が、例えば、20〜50質量%、好ましくは、25〜30質量%、より好ましくは、30〜40質量%、とりわけ好ましくは、鎖伸長剤として低分子量ポリオール(後述)が用いられる場合には、30〜35質量%、鎖伸長剤として低分子量ポリアミン(後述)が用いられる場合には、35〜40質量%となるように、有機溶媒が配合される。
また、上記ウレタン化反応においては、必要に応じて、例えば、アミン類や有機金属化合物などの公知のウレタン化触媒を添加してもよい。
アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチルモルホリンなどの3級アミン類、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩、例えば、イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類などが挙げられる。
有機金属化合物としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジクロリドなどの有機錫系化合物、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの有機鉛化合物、例えば、ナフテン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物、例えば、オクテン酸銅などの有機銅化合物、例えば、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物、オクチル酸ジルコニウム、ネオデカン酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)などの有機ジルコニウム化合物、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシドなどの有機チタン化合物、オクチル酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、アセチルアセトン亜鉛、ジブチルジチオカルバメート亜鉛、p−トルエンスルホネート亜鉛などの有機亜鉛化合物などが挙げられる。
さらに、ウレタン化触媒として、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムなどのカリウム塩が挙げられる。
ウレタン化触媒として、好ましくは、有機金属化合物が挙げられ、より好ましくは、環境規制の観点から、有機ビスマス化合物、有機ジルコニウム化合物、有機亜鉛化合物、さらに好ましくは、有機ビスマス化合物が挙げられる。
これらウレタン化触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ウレタン化触媒の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
重合条件としては、重合温度が、例えば、40〜120℃、好ましくは、50〜110℃、より好ましくは、60〜100℃である。また、重合時間が、例えば,0.5〜6時間、好ましくは、1〜4時間である。
そして、この方法では、好ましくは、ジ−n−ブチルアミンによる滴定法や、FT−IR分析などの公知の方法によって、イソシアネート基の消失を確認し、反応の終点を決定する。
これにより、水酸基末端ポリウレタンプレポリマーを得ることができる。
次いで、この方法では、ジフェニルメタンジイソシアネートと、上記により得られた水酸基末端ポリウレタンプレポリマーとを反応させて、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーを合成する。
ジフェニルメタンジイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
ジフェニルメタンジイソシアネートとして、好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
これらジフェニルメタンジイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
2種類以上のジフェニルメタンジイソシアネートが併用される場合には、好ましくは、少なくとも4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが用いられる。4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの含有割合は、ジフェニルメタンジイソシアネートの総量に対して、例えば、90モル%以上、好ましくは、95モル%以上である。
そして、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得るには、上記したジフェニルメタンジイソシアネートと、上記により得られた水酸基末端ポリウレタンプレポリマーとを、例えば、不活性ガス(窒素ガスなど)の存在下、高分子量ポリオールの水酸基に対する、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアネート基、および、ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアネート基の総量の当量比(イソシアネート基/水酸基)が、例えば、1.2〜4、好ましくは、1.3〜3.7、さらに好ましくは、1.4〜3.5となるように配合し、重合させる。
当量比が上記範囲であれば、ポリウレタン弾性体の伸縮性、耐熱性および耐黄変性の向上を図ることができる。
また、後述するように鎖伸長剤として低分子量ポリオールが用いられる場合には、高分子量ポリオールの水酸基に対する、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアネート基、および、ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアネート基の総量の当量比(イソシアネート基/水酸基)は、さらに好ましくは、2〜3.5である。
また、後述するように鎖伸長剤として低分子量ポリアミンが用いられる場合には、高分子量ポリオールの水酸基に対する、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアネート基、および、ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアネート基の総量の当量比(イソシアネート基/水酸基)は、さらに好ましくは、1.3〜2、とりわけ好ましくは、1.35〜1.7である。
重合方法としては、例えば、上記したバルク重合、上記した溶液重合などの公知の重合方法が挙げられ、好ましくは、反応性および粘度の調整がより容易な溶液重合が挙げられる。
溶液重合において用いられる有機溶媒としては、上記した有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定されるが、具体的には、ポリウレタン弾性体溶液を高濃度化する観点から、ジフェニルメタンジイソシアネートと水酸基末端ポリウレタンプレポリマーとの総量の濃度(固形分濃度)が、例えば、20〜50質量%、好ましくは、25〜30質量%、より好ましくは、30〜40質量%となるように、有機溶媒が配合される。
また、上記と同様に、必要に応じて、例えば、アミン類や有機金属化合物などの公知のウレタン化触媒を添加してもよい。
重合条件としては、重合温度が、例えば、30〜100℃、好ましくは、40〜90℃、より好ましくは、50〜80℃である。また、重合時間が、例えば,0.5〜6時間、好ましくは、1〜4時間である。
そして、この方法では、好ましくは、ジ−n−ブチルアミンによる滴定法などの公知の方法によって、所定のイソシアネート基濃度(例えば、1.2〜12質量%、好ましくは、1.6〜8質量%)に達したことを確認し、反応の終点を決定する。
これにより、イソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーを得ることができる。
その後、この方法では、上記により得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、鎖伸長剤とを反応させて、ポリウレタン弾性体を合成する。
鎖伸長剤としては、例えば、低分子量ポリオール、低分子量ポリアミンが挙げられる。
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量400未満の化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、アルカン(C7〜22)ジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
低分子量ポリオールとして、好ましくは、2価アルコールが挙げられ、とりわけ、得られるポリウレタン弾性体が後述する弾性繊維に用いられる場合には、より好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブチレングリコールが挙げられる。
鎖伸長剤として、低分子量ポリオールを用いれば、ポリウレタン構造を形成することができる。
低分子量ポリアミンは、アミノ基を2つ以上有する化合物であって、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、トリエチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ピペラジン、o−,m−及びp−フェニレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N−(メチレン−4,1−フェニレン)ビス[2−(エチルアミノ)−ウレア]、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ヒドラジン、3−アミノメチル−3,5−5−トリメチルシクロヘキシルアミン(別名:イソホロンジアミン)、4,4‘−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどの低分子量ジアミン、例えば、ジエチレントリアミン、4−アミノメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2’,2’’−トリアミノトリエチルアミン、トリス−1,1,1−アミノエチルエタン、1,2,3−トリアミノプロパン、トリス−(3−アミノプロピル)−アミン、N,N,N’,N’−テトラキス−(2−アミノエチル)−エチレンジアミンなどの低分子量トリアミン、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのアミノ基を4個以上有する低分子量ポリアミンなどが挙げられる。
また、低分子量ポリアミンとしては、さらに、例えば、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアルコキシシラン含有ジアミンが挙げられる。
これら低分子量ポリアミンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
低分子量ポリアミンとして、好ましくは、低分子量ジアミンが挙げられ、とりわけ、得られるポリウレタン弾性体が後述する弾性繊維に用いられる場合には、より好ましくは、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、さらに好ましくは、エチレンジアミンが挙げられる。
鎖伸長剤として、低分子量ポリアミンを用いれば、ポリウレタンウレア構造を形成することができる。
また、この方法において、例えば、ポリウレタン弾性体溶液の曳糸性を確保するためなど、ポリウレタン弾性体の分子量を調整する場合には、低分子量ポリオールおよび/または低分子量ポリアミンとともに、モノオールおよび/またはモノアミンを配合することができる。
モノオールおよび/またはモノアミンが配合される場合には、好ましくは、モノオールは、低分子量ポリオールと併用され、また、モノアミンは、低分子量ポリアミンと併用される。
モノオールは、水酸基を1つ有する化合物であって、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチルプロピルアルコール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブチルアルコール、3−メチル−1−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、その他のアルカノール(C5〜38)および脂肪族不飽和アルコール(9〜24)、アルケニルアルコール、2−プロペン−1−オール、アルカジエノール(C6〜8)、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オールなどが挙げられる。
モノオールとして、好ましくは、モノオール、より好ましくは、2−メチルプロピルアルコール、2−エチルヘキシルアルコールが挙げられる。
モノアミンは、アミノ基を1つ有する化合物であって、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシプロピルアミン)、3−(ドデシルオキシ)プロピルアミン、モルホリンなどが挙げられる。
また、モノアミンとしては、さらに、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのアルコキシシラン含有モノアミンが挙げられる。
モノアミンとして、好ましくは、ジエチルアミンが挙げられる。
モノオールおよび/またはモノアミンの配合割合は、特に制限されないが、例えば、低分子量ポリオールとモノオールとが併用される場合には、モノオールの水酸基に対する低分子量ポリオールの水酸基のモル比(低分子量ポリオールの水酸基/モノオールの水酸基)が、例えば、90/10〜99/1、好ましくは、92/8〜98/2、より好ましくは、95/5〜97/3である。
また、例えば、低分子量ポリアミンとモノアミンとが併用される場合には、モノアミンのアミノ基に対する低分子量ポリアミンのアミノ基のモル比(低分子量ポリアミンのアミノ基/モノアミンのアミノ基)が、例えば、80/20〜99/1、好ましくは、85/15〜97/3、より好ましくは、90/10〜95/5である。
このような鎖伸長剤は、例えば、鎖伸長剤の活性水素基(水酸基、アミノ基)と、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基との反応により生じる発熱を抑制するため、適宜の濃度となるように上記した有機溶媒に溶解させ、溶液として調製することができる。
そして、ポリウレタン弾性体を得るには、上記により得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、上記した鎖伸長剤とを、例えば、不活性ガス(窒素ガスなど)の存在下、鎖伸長剤の活性水素基(水酸基、アミノ基)に対する、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が、例えば、0.9〜1.1、好ましくは、0.95〜1.05、さらに好ましくは、0.98〜1.02となるように配合し、重合(鎖伸長反応)させる。
当量比が上記範囲であると、ポリウレタン弾性体溶液の曳糸性や、ポリウレタン弾性体の伸縮性および耐熱性の向上を図ることができる。
重合方法としては、例えば、上記したバルク重合、上記した溶液重合などの公知の重合方法が挙げられ、好ましくは、反応性および粘度の調整がより容易な溶液重合が挙げられる。
溶液重合において用いられる有機溶媒としては、上記した有機溶媒が挙げられる。
また、上記と同様に、必要に応じて、例えば、アミン類や有機金属化合物などの公知のウレタン化触媒を添加してもよい。
また、鎖伸長剤は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに対して、一括または分割して配合(添加)してもよく、あるいは、滴下することもできる。好ましくは、鎖伸長剤の溶液を滴下する。
具体的には、鎖伸長剤として、低分子量ポリオール(および必要によりモノオール)が配合される場合には、滴下温度が、例えば、40〜100℃、好ましくは、50〜90℃、より好ましくは、60〜80℃であり、滴下時間が、例えば、5分〜2時間、好ましくは、10分〜1時間である。
配合(滴下)後の反応温度は、例えば、40〜100℃、好ましくは、50〜90℃、より好ましくは、60〜80℃であり、反応時間は、例えば、1〜6時間、好ましくは、2〜5時間である。
また、鎖伸長剤として、低分子量ポリアミン(および必要によりモノアミン)が配合される場合には、滴下温度が、例えば、0〜50℃、好ましくは、5〜40℃、より好ましくは、10〜30℃であり、滴下時間が、例えば、5分〜2時間、好ましくは、10分〜1時間である。
配合(滴下)後の反応温度は、例えば、10〜80℃、好ましくは、20〜70℃、より好ましくは、30〜60℃であり、反応時間は、例えば、10分〜5時間、好ましくは、30分〜3時間である。
そして、この方法では、例えば、トルク計を具備した撹拌翼により撹拌を継続しながら鎖伸長反応させる。すなわち、鎖伸長反応では、ハードセグメントが形成されるため、その過程において、反応溶液の粘度が著しく上昇する場合がある。そのため、この方法において、好ましくは、溶液のトルクの推移を観察し、溶液のトルクがほぼ定常値に達した時点で反応を終了する。
撹拌翼としては、高粘度の流体を均一に混合できる形状の翼が挙げられ、具体的には、例えば、アンカー翼(錨形アンカー翼、馬蹄形アンカー翼など)、パドル翼(ピッチドパドル翼)、プロペラ翼、リボン翼、ヘリカルリボン翼、門形翼、ワイドパネル翼、ファウドラー翼、三枚後退翼、タービン翼などが挙げられ、好ましくは、アンカー翼、リボン翼、ヘリカルリボン翼が挙げられる。
撹拌速度は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー、鎖伸長剤および有機溶媒が均一に混合できる速度であればよく、例えば、30〜500rpm、好ましくは、50〜300rpmである。
これにより、ポリウレタン弾性体を得ることができ、とりわけ、上記した溶液重合を採用すれば、ポリウレタン弾性体溶液を得ることができる。また、例えば、バルク重合が採用される場合には、得られたポリウレタン弾性体を有機溶媒に溶解させることにより、ポリウレタン弾性体溶液を得ることができる。
また、例えば、後述する人造皮革の製造などにポリウレタン弾性体が用いられる場合には、上記により得られるポリウレタン弾性体溶液を、さらに、上記した有機溶媒や、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類などにより希釈することもできる。
このようなポリウレタン弾性体の製造方法では、まず、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと高分子量ポリオールとから水酸基末端ポリウレタンプレポリマーを合成した後、その水酸基末端ポリウレタンプレポリマーとジフェニルメタンジイソシアネートとからイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーを合成する(2段階反応)。そのため、このようなポリウレタン弾性体の製造方法によれば、例えば、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/またはジフェニルメタンジイソシアネートと高分子量ポリオールとからイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーを合成する(1段階反応)場合などに比べ、ポリウレタン弾性体が高濃度で有機溶媒に含有される場合にも、生産性、および、貯蔵安定性の向上を図ることができる。
ポリウレタン弾性体溶液におけるポリウレタン弾性体の濃度は、有機溶媒に対する環境規制の観点や、得られる成形品における有機溶媒の残留量を低減させる観点から、とりわけ、弾性繊維の製造に用いられる場合には、25質量%以上、好ましくは、30質量%以上、より好ましくは、35質量%以上であり、溶液の流動性を確保する観点から、通常、45質量%以下である。
また、弾性繊維の製造に用いられるポリウレタン弾性体溶液の粘度(40℃)は、例えば、100〜800Pa・s、好ましくは、150〜600Pa・s、より好ましくは、200〜500Pa・sである。
一方、例えば、人造皮革の製造に用いられる場合などには、ポリウレタン弾性体溶液におけるポリウレタン弾性体の濃度は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
人造皮革の製造などに用いられるポリウレタン弾性体溶液の粘度(40℃)は、例えば、1〜300Pa・s、より好ましくは、3〜100Pa・sである。
なお、ポリウレタン弾性体溶液の粘度は、E型粘度計を用いて、1°34’×R24のサイズのローターにより、回転速度0.1rpm、温度40℃にて測定される。
また、ポリウレタン弾性体の重量平均分子量(標準ポリスチレンを検量線とするGPC測定による重量平均分子量)は、ポリウレタン弾性体の伸縮性および耐熱性の観点から、例えば、80,000〜400,000、好ましくは、100,000〜350,000、より好ましくは、150,000〜250,000である。
また、ポリウレタン弾性体の数平均分子量(標準ポリスチレンを検量線とするGPC測定による数平均分子量)は、ポリウレタン弾性体の伸縮性および耐熱性の観点から、例えば、40,000〜200,000、好ましくは、50,000〜180,000、より好ましくは、60,000〜150,000である。
また、本発明においては、必要に応じて、公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤(耐光安定剤)、剥離剤、さらには、耐塩素剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、離型剤、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤などを添加することができる。これら添加剤は、各成分の合成時に添加してもよく、あるいは、各成分の混合・溶解時に添加してもよく、さらには、ポリウレタン弾性体溶液に添加することもできる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、ニッケルないしコバルト錯塩系紫外線吸収剤などが挙げられ、好ましくは、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、特開2011−144491に記載されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられ、具体的には、分子中に不飽和結合を一つ以上含有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤および/またはベンゾフェノン系紫外線吸収剤、分子中にアルコキシ基を一つ以上含有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、分子中にスルホン酸基を一つ以上含有するベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。
これら紫外線吸収剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
紫外線吸収剤の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
剥離剤は、例えば、後述する弾性繊維の使用時において、パッケージからの糸の解除性を向上させるために配合される。このようは剥離剤としては、例えば、ジメチルシリコーンなどのシリコーン樹脂が挙げられる。
これら剥離剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
剥離剤の配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
そして、上記の方法で得られるポリウレタン弾性体は、そのソフトセグメントにビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン骨格が導入された脂環および脂肪族構造を有し、そのハードセグメントに芳香族であるジフェニルメタンジイソシアネート骨格が導入されたポリマー構造を形成する。そのため、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンに由来する良好な耐黄変性を維持することができ、さらには、ポリウレタン弾性体溶液を高濃度化できるため、製品中への残存溶剤量を抑制することができる。
また、上記の方法で得られるポリウレタン弾性体は、伸縮性および耐熱性にも優れる。
具体的には、ポリウレタン弾性体の伸縮性は、例えば、引張試験により測定される残留歪みや応力緩和を指標とすることができる。残留歪みは低ければ低いほど好ましく、例えば、50%以下、さらに好ましくは、40%以下、とりわけ好ましくは、30%以下である。下限としては、通常、10%程度である。一方、応力緩和は、例えば、10〜30%、好ましくは、10〜20%である。
なお、ポリウレタン弾性体の残留歪みおよび応力緩和は、例えば、ポリウレタン弾性体溶液を公知の方法により厚み100μmのフィルムとし、引張方向に60mm×幅10mmのサイズに裁断した後、引張試験機により、23℃、相対湿度55%において、チャック間距離30mm(L1)、引張速度500mm/minの条件で300%まで伸長する操作を4回繰り返し、5回目に300%まで伸長(応力M1)して30秒間保持(応力M2)し、その後、応力が検出されなくなるまで、この伸長を回復させた時の試料長(L2)を測定して、以下の式を用いて算出することができる。
残留歪(%) = {(L2−L1)/L1}×100
応力緩和(%)= {(M1−M2)/M1}×100
また、ポリウレタン弾性体の100%モジュラスは、用途によって好まれる範囲が異なるが、例えば、2〜6MPa、好ましくは、2.5〜5MPaであり、破断強度は、例えば、35〜60MPa、好ましくは、45〜55MPaであり、破断伸度が、例えば、300〜1,300%、好ましくは、350〜1,200%である。
応力緩和(%)= {(M1−M2)/M1}×100
また、ポリウレタン弾性体の100%モジュラスは、用途によって好まれる範囲が異なるが、例えば、2〜6MPa、好ましくは、2.5〜5MPaであり、破断強度は、例えば、35〜60MPa、好ましくは、45〜55MPaであり、破断伸度が、例えば、300〜1,300%、好ましくは、350〜1,200%である。
なお、ポリウレタン弾性体の100%モジュラス、破断強度および破断伸度は、例えば、ポリウレタン弾性体溶液を公知の方法により厚み100μmのフィルムとし、引張方向に60mm×幅10mmのサイズに裁断した後、引張試験機により、23℃、相対湿度55%において、チャック間距離30mm、引張速度300mm/minの条件で引張試験することにより求めることができる。
また、ポリウレタン弾性体の軟化温度は、例えば、170〜250℃、好ましくは、175〜230℃である。
なお、ポリウレタン弾性体の軟化温度は、例えば、JIS K 7196に記載されている熱機械分析計(TMA)や、例えば、動的粘弾性測定による貯蔵弾性率の温度依存性などにより測定することができる。
また、ポリウレタン弾性体の初期黄色度(b*)は、成形品(弾性繊維(後述)、人造皮革(後述)、不織布(後述)など。以下同様。)の透明性の確保、および、意匠性の観点から、例えば、1以下、好ましくは、0.8以下、さらに好ましくは、0.5以下である。
また、本発明のポリウレタン弾性体の、耐熱試験(暴露条件:120℃、100時間)あるいは耐湿熱試験(暴露条件:70℃、95%RH、100時間)の前後における色差(ΔE)は、例えば、2以下、好ましくは、1以下、さらに好ましくは、0.5以下である。
色差(ΔE)が上記範囲であると、ポリウレタン弾性体および成形品(後述)の黄変性を低減でき、長期間にわたり、優れた透明性および意匠性を確保することができる。
なお、ポリウレタン弾性体の初期黄色度(b*)、および、耐熱試験あるいは耐湿熱試験の前後における色差(ΔE)は、色彩測定器(例えば、SMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)など)により測定することができる。
また、その他、例えば、キセノン照射、ウエザーメーター、フェドメーターなどの耐光(候)試験により、意匠性を評価することもできる。本発明のポリウレタン弾性体の耐光性試験(暴露条件:キセノン照射、ブラックパネル温度:89℃、50%RH、100時間)の前後における色差(ΔE)は、例えば、2.5以下、好ましくは、2以下、さらに好ましくは、1以下である。
耐光性試験の前後における色差(ΔE)が上記範囲であると、ポリウレタン弾性体および成形品(後述)の黄変性を低減でき、長期間にわたり、優れた透明性および意匠性を確保することができる。
そして、このようなポリウレタン弾性体は、上記したように伸縮性、耐熱性および耐黄変性に優れるので、弾性繊維、人造皮革、不織布などの製造に好適に用いられる。
弾性繊維は、特に制限されず、例えば、乾式紡糸法、湿式紡糸法、静電紡糸(エレクトロスピニング)法などの公知の紡糸方法を採用して、ポリウレタン弾性体溶液から製造される。
また、人造皮革は、人工皮革および合成皮革の総称であって、公知の方法により製造される。具体的には、例えば、人工皮革は、ポリウレタン弾性体溶液を、公知の不織布に含浸またはコーティングさせた後、例えば、水、DMF−水の混合溶液などからなる凝固浴中で、ポリウレタン樹脂を多孔質状に凝固させ(湿式加工)、その後、洗浄および乾燥させることにより、製造される。また、得られる皮革状物(人工皮革)の表面を、ラミネートあるいはコーティングにより造面処理することによりスムース調としたり、また、表面をバフィングするということによってヌバック調、スエード調とすることもできる。
また、合成皮革は、例えば、ポリウレタン弾性体溶液を、離型紙上に塗布および乾燥させて表皮層を形成した後、その表皮層上に接着剤を塗布して接着剤層を形成させ、繊維基材と貼りあわせるウェットラミネート法や、例えば、その接着剤層を一旦乾燥させた後に繊維基材と貼りあわせるドライラミネート法などにより製造される。
また、例えば、ポリウレタン弾性体溶液を繊維質基体に含浸させ、水などの凝固液中で凝固させた後、水洗および乾燥させる湿式法などにより、天然皮革の代用品などとして多孔性シートを得ることもできる。
また、不織布は、例えば、ポリウレタン弾性体溶液を、例えば、湿式法、乾式法、スパンレース法(水流絡合法)、エアレイド法、静電紡糸(エレクトロスピニング)法などの公知の方法により、製造される。また、得られた不織布(ウエブ)を、例えば、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法(水流絡合法)などにより結合させることができる。
そして、これら弾性繊維、人造皮革および不織布は、上記したポリウレタン弾性体を用いて得られるため、伸縮性、耐熱性および耐黄変性に優れる。
そのため、弾性繊維は、例えば、インナーウェア、ストッキング、靴下、スポーツウェア、水着、ファッション衣料などの衣料用途、例えば、伸縮性テープ、紐などの衣料資材、例えば、車両用シートなど車両用内装材、例えば、サポーター、テープなどの医療用品、例えば、紙おむつなどの衛材用品などにおいて、好適に用いられる。
また、人造皮革(合成皮革、人工皮革)は、例えば、衣服、靴、鞄などの衣料用途、例えば、ソファー、椅子、ピアノなどの家具、さらには、内装材用途、CD・DVD、カーテン、PC断熱材、電池セパレーターなどの電池材料用途、トナークリーニング材などの産業用資材、車両用内装材などにおいて、好適に用いられる。
また、不織布は、衣料部品をはじめ、例えば、オムツや生理用品用途、マスクなどの衛生用品用途、手袋やシップ基布などの医療用途、ショッピングバックやティーバックなどの各種包材、空調機や掃除機などのフィルタ、電池セパレーターなど電池材料用途、プリント配線基板電気絶縁材などの電気材料用途、自動車内装材などの車両用途、寝装、家具、インテリア、ビニールハウスシートなどの農業・園芸用品、各種工業資材などにおいて、好適に用いられる。
以下に、実施例および比較例を参照して、本発明をさらに具体的に説明するが、これらは、本発明を何ら限定するものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。
調製例1(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン1(以下、1,4−BIC1とする。)の製造)
13C−NMR測定によるトランス/シス比が93/7の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(三菱瓦斯化学社製)を原料として、冷熱2段ホスゲン化法を加圧下で実施した。
13C−NMR測定によるトランス/シス比が93/7の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(三菱瓦斯化学社製)を原料として、冷熱2段ホスゲン化法を加圧下で実施した。
電磁誘導撹拌機、自動圧力調整弁、温度計、窒素導入ライン、ホスゲン導入ライン、凝縮器および原料フィードポンプを備え付けたジャケット付き加圧反応器に、オルトジクロロベンゼン2500質量部を仕込んだ。次いで、ホスゲン1425質量部をホスゲン導入ラインより加え撹拌を開始した。反応器のジャケットには冷水を通し、内温を約10℃に保った。そこへ、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン400質量部をオルトジクロロベンゼン2500質量部に溶解した溶液を、フィードポンプにて60分かけてフィードし、30℃以下、常圧下で冷ホスゲン化を実施した。フィード終了後、フラスコ内は淡褐白色スラリー状液となった。
次いで、反応器内液を60分で140℃に昇温しながら0.25MPaに加圧し、さらに圧力0.25MPa、反応温度140℃で2時間熱ホスゲン化した。また、熱ホスゲン化の途中でホスゲンを480質量部追加した。熱ホスゲン化の過程でフラスコ内液は淡褐色澄明溶液となった。熱ホスゲン化終了後、100〜140℃で窒素ガスを100L/時で通気し、脱ガスした。
次いで、減圧下で溶媒のオルトジクロルベンゼンを留去した後、ガラス製フラスコに、充填物(住友重機械工業株式会社製、商品名:住友/スルザーラボパッキングEX型)を4エレメント充填した蒸留管、還流比調節タイマーを装着した蒸留塔(柴田科学株式会社製、商品名:蒸留頭K型)および冷却器を装備する精留装置を用いて、138〜143℃、0.7〜1KPaの条件下、さらに還流しながら精留し、1,4−BIC1を382質量部得た。
得られた1,4−BIC1のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、APHA測定による色相は5、13C−NMR測定によるトランス/シス比は93/7であった。
調製例2(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン2(以下、1,4−BIC2とする。)の製造)
13C−NMR測定によるトランス/シス比が41/59の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(東京化成工業社製)を原料として、1,4−BIC1と同様の方法にて388質量部の1,4−BIC2を得た。得られた1,4−BIC2のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、APHA測定による色相は5、13C−NMR測定によるトランス/シス比は41/59であった。
13C−NMR測定によるトランス/シス比が41/59の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(東京化成工業社製)を原料として、1,4−BIC1と同様の方法にて388質量部の1,4−BIC2を得た。得られた1,4−BIC2のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、APHA測定による色相は5、13C−NMR測定によるトランス/シス比は41/59であった。
調製例3(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン3(以下、1,4−BIC3とする。)の製造)
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、調製例1の1,4−BIC1を767.3質量部、調製例2の1,4−BIC2を255.8質量部装入し、窒素雰囲気下、室温にて1時間撹拌した。得られた1,4−BIC3のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、APHA測定による色相は5、13C−NMR測定によるトランス/シス比は80/20であった。
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、調製例1の1,4−BIC1を767.3質量部、調製例2の1,4−BIC2を255.8質量部装入し、窒素雰囲気下、室温にて1時間撹拌した。得られた1,4−BIC3のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、APHA測定による色相は5、13C−NMR測定によるトランス/シス比は80/20であった。
実施例1
窒素雰囲気下、錨形アンカー翼、温度計および水冷式コンデンサーを備え、撹拌トルクを継続的に測定できる反応機に、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN(数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、保土ヶ谷化学製)1000質量部、および、そのPTG2000SN中の水酸基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が0.67となるように、1,4−BIC3 65.1質量部を仕込み、撹拌速度200rpmにて、60℃まで昇温した。
窒素雰囲気下、錨形アンカー翼、温度計および水冷式コンデンサーを備え、撹拌トルクを継続的に測定できる反応機に、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN(数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、保土ヶ谷化学製)1000質量部、および、そのPTG2000SN中の水酸基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が0.67となるように、1,4−BIC3 65.1質量部を仕込み、撹拌速度200rpmにて、60℃まで昇温した。
次いで、60℃で1時間反応させた後、ウレタン化触媒として、ネオスタンU−600(オクチル酸ビスマス、日東化成製)を0.058質量部添加した。
同温度にてさらに2時間反応させた後、FT−IR測定により、2250cm−1付近のイソシアネート基由来の吸収の消失を確認して、水酸基末端ウレタンプレポリマー(A−1)を得た。
その後、60℃において、PTG2000SN中の水酸基に対して、1,4−BIC3とコスモネートPH(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、三井化学製)のイソシアネート基の総量の当量比が1.5となるように、コスモネートPHを103.8質量部装入した。同温度においてイソシアネート基濃度が1.8質量%になるまで反応させることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−2)を得た。
次いで、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−2)を50℃まで冷却した後、撹拌速度300rpmにて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−2)濃度が31.4質量%となるように、予め、モレキュラーシーブス4Aを浸漬して脱水したDMAc(N,N´−ジメチルアセトアミド、和光純薬製、有機合成グレード)2556質量部を徐々に添加して、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−2)を溶解した。
その後、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−2)のDMAc溶液を15℃以下まで冷却した。30℃を越えないように、13.7質量部のEDA(エチレンジアミン、和光純薬製、特級グレード)と3.7質量部のDEA(ジエチルアミン、和光純薬製、特級グレード)との混合アミンの10質量%DMAc溶液を滴下して、鎖伸長反応させた。EDAとDEAのアミノ基のモル%は、それぞれ90モル%および10モル%であり、混合アミンのアミノ基に対するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A−2)イソシアネート基の当量比は0.99であった。
混合アミン溶液を滴下後、50℃まで昇温し、同温度にて1時間反応させてポリウレタン弾性体の溶液(A−3)を得た。ポリウレタン弾性体の固形分濃度は30質量%であった。
そして、ガラス板上に、乾燥後のフィルム厚みが100μmとなるようにポリウレタン弾性体(A−3)のDMAc溶液を塗布し、窒素雰囲気下、40℃で1時間、常圧でDMAcを留去させた。次いで、同温度で、3時間減圧することにより、ポリウレタン弾性体フィルム(A)を得た。
実施例2
窒素雰囲気下、実施例1と同様の反応機に、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN 1000質量部と、PTG2000SN中の水酸基に対してイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が0.5となるように、1,4−BIC3 48.6質量部を仕込み、撹拌速度200rpmにて、60℃まで昇温した。
窒素雰囲気下、実施例1と同様の反応機に、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN 1000質量部と、PTG2000SN中の水酸基に対してイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が0.5となるように、1,4−BIC3 48.6質量部を仕込み、撹拌速度200rpmにて、60℃まで昇温した。
次いで、60℃で1時間反応させた後、触媒であるネオスタンU−600を0.058質量部添加した。
その後、同温度にてさらに2時間反応させた後、FT−IR測定により、2250cm−1付近のイソシアネート基由来の吸収の消失を確認して、水酸基末端ウレタンプレポリマー(B−1)を得た。
その後、60℃において、PTG2000SN中の水酸基に対して、1,4−BIC3とコスモネートPHのイソシアネート基の当量比が1.5となるように、コスモネートPHを125.1質量部装入した。同温度においてイソシアネート基濃度が1.79質量%になるまで反応させることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(B−2)を得た。
次いで、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(B−2)を50℃まで冷却した後、撹拌速度300rpmにて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(B−2)濃度が31.4質量%となるように、予め、モレキュラーシーブス4Aを浸漬していたDMAc 2569質量部を徐々に添加して、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(B−2)を溶解させた。
その後、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(B−2)のDMAc溶液を15℃以下まで冷却した。30℃を越えないように、13.9質量部のEDAと3.1質量部のDEAとの混合アミンの10質量%DMAc溶液を滴下して、鎖伸長反応させた。EDAとDEAのアミノ基のモル%は、それぞれ91.5モル%および8.5モル%であり、混合アミンのアミノ基に対するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(B−2)のイソシアネート基の当量比は0.99であった。
混合アミン溶液を滴下後、50℃まで昇温し、同温度にて1時間反応させてポリウレタン弾性体の溶液(B−3)を得た。ポリウレタン弾性体の固形分濃度は30質量%であった。
そして、ガラス板上に、乾燥後のフィルム厚みが100μmとなるようにポリウレタン弾性体の溶液(B−3)のDMAc溶液を塗布し、窒素雰囲気下、40℃で1時間、常圧でDMAcを留去させた。次いで、同温度で、3時間減圧することにより、ポリウレタン弾性体フィルム(B)を得た。
実施例3
窒素雰囲気下、実施例1と同様の反応機に、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN 1000質量部と、PTG2000SN中の水酸基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が0.5となるように、1,4−BIC3 48.6質量部を仕込み、撹拌速度200rpmにて、60℃まで昇温した。
窒素雰囲気下、実施例1と同様の反応機に、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN 1000質量部と、PTG2000SN中の水酸基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が0.5となるように、1,4−BIC3 48.6質量部を仕込み、撹拌速度200rpmにて、60℃まで昇温した。
次いで、60℃で1時間反応させた後、ネオスタンU−600を0.058質量部添加した。
同温度にてさらに2時間反応させた後、FT−IR測定により、2250cm−1付近のイソシアネート基由来の吸収の消失を確認して、水酸基末端ウレタンプレポリマー(C−1)を得た。
その後、60℃において、PTG2000SN中の水酸基に対して、1,4−BIC3とコスモネートPHのイソシアネート基の当量比が1.7となるように、コスモネートPHを150.1質量部装入した。同温度においてイソシアネート基濃度が1.79質量%になるまで反応させることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(C−2)を得た。
次いで、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(C−2)を50℃まで冷却した後、撹拌速度300rpmにて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(C−2)濃度が31.7質量%となるように、予め、モレキュラーシーブス4Aを浸漬していたDMAc 2578質量部を徐々に添加して、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(C−2)を溶解させた。
その後、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(C−2)のDMAc溶液を15℃以下まで冷却した。30℃を越えないように、19.1質量部のEDAと5.2質量部のDEAとの混合アミンの10質量%のDMAc溶液を滴下して、鎖伸長反応させた。EDAとDEAのアミノ基のモル%は、それぞれ90モル%および10モル%であり、混合アミンのアミノ基に対するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(C−2)のイソシアネート基の当量比は0.99であった。
アミン溶液を滴下後、50℃まで昇温し、同温度にて1時間反応させてポリウレタン弾性体の溶液(C−3)を得た。ポリウレタン弾性体の固形分濃度は30質量%であった。
そして、ガラス板上に、乾燥後のフィルム厚みが100μmとなるようにポリウレタン弾性体の溶液(C−3)のDMAc溶液を塗布し、窒素雰囲気下、40℃で1時間、常圧でDMAcを留去させた。次いで、同温度で、3時間減圧することにより、ポリウレタン弾性体フィルム(C)を得た。
比較例1
窒素雰囲気下、実施例1と同様の反応機に、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN 1000質量部と、PTG2000SN中の水酸基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が1.5となるように、1,4−BIC3 145.7質量部を仕込み、撹拌速度200rpmにて攪拌しながら、60℃まで昇温した。
窒素雰囲気下、実施例1と同様の反応機に、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN 1000質量部と、PTG2000SN中の水酸基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が1.5となるように、1,4−BIC3 145.7質量部を仕込み、撹拌速度200rpmにて攪拌しながら、60℃まで昇温した。
次いで、撹拌しながら、60℃で1時間反応させた後、ネオスタンU−600を0.057質量部添加した。
同温度においてイソシアネート基濃度が1.83質量%になるまで反応させることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(D−2)を得た。
次いで、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(D−2)を50℃まで冷却した後、撹拌速度300rpmにて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(D−2)濃度が31.4質量%となるように、予め、モレキュラーシーブス4Aを浸漬していたDMAc 2496質量部を徐々に添加して、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(D−2)を溶解させた。
その後、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(C−2)のDMAc溶液を15℃以下まで冷却した。30℃を越えないように、12.9質量部のEDAと5.5質量部のDEAとの混合アミンの10質量%DMAc溶液を滴下して、鎖伸長反応させた。しかし、混合アミンを滴下中、溶液の粘度が著しく上昇し、最終的にゼリー状に固化した。ポリウレタン弾性体濃度は、30質量%であった。
なお、EDAとDEAのアミノ基のモル%は、それぞれ85モル%および15モル%であり、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(D−2)のDMAc溶液中のイソシアネート基の、混合アミンのアミノ基に対する当量比は0.99であった。
比較例2
窒素雰囲気下、実施例1と同様の反応機に、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN 1000質量部と、PTG2000SN中の水酸基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が1.5となるように、1,4−BIC3 145.7質量部を仕込み、撹拌速度200rpmにて、60℃まで昇温した。
窒素雰囲気下、実施例1と同様の反応機に、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN 1000質量部と、PTG2000SN中の水酸基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が1.5となるように、1,4−BIC3 145.7質量部を仕込み、撹拌速度200rpmにて、60℃まで昇温した。
次いで、60℃で1時間反応させた後、触媒として、ネオスタンU−600を0.057質量部添加した。
同温度においてイソシアネート基濃度が1.83質量%になるまで反応させることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E−2)を得た。
次いで、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E−2)を50℃まで冷却した後、撹拌速度300rpmにて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E−2)濃度が20.5質量%となるように、予め、モレキュラーシーブス4Aを浸漬していたDMAc 4451質量部を徐々に添加して、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E−2)を溶解させた。
その後、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E−2)のDMAc溶液を15℃以下まで冷却した。30℃を越えないように、12.9質量部のEDAと5.5質量部のDEAとの混合アミンの10質量%DMAc溶液を滴下して、鎖伸長反応させた。EDAとDEAのアミノ基のモル%は、それぞれ85モル%および15モル%であり、混合アミンのアミノ基に対するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(E−2)のイソシアネート基の当量比は0.99であった。
混合アミン溶液を滴下後、50℃まで昇温し、同温度にて1時間反応させてポリウレタン弾性体の溶液(E−3)を得た。ポリウレタン弾性体の固形分濃度は20質量%であった。
そして、ガラス板上に、乾燥後のフィルム厚みが100μmとなるようにポリウレタン弾性体の溶液(E−3)のDMAc溶液を塗布し、窒素雰囲気下、40℃で1時間、常圧でDMAcを留去させた。次いで、同温度で、3時間減圧することにより、ポリウレタン弾性体フィルム(E)を得た。
比較例3
窒素雰囲気下、実施例1と同様の反応機に、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN 1000質量部と、PTG2000SN中の水酸基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が1.5となるように予め混合した1,4−BIC3 48.6質量部とコスモネートPH 125.1質量部からなるイソシアネート混合物を仕込み、撹拌速度200rpmにて攪拌しながら、60℃まで昇温した。
窒素雰囲気下、実施例1と同様の反応機に、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN 1000質量部と、PTG2000SN中の水酸基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が1.5となるように予め混合した1,4−BIC3 48.6質量部とコスモネートPH 125.1質量部からなるイソシアネート混合物を仕込み、撹拌速度200rpmにて攪拌しながら、60℃まで昇温した。
次いで、60℃で1時間反応させた後、ネオスタンU−600を0.057質量部添加した。
同温度においてイソシアネート基濃度が1.83質量%になるまで反応させることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(F−2)を得た。
その後、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(F−2)を50℃まで冷却した後、撹拌速度300rpmにて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(F−2)濃度が31.4質量%となるように、予め、モレキュラーシーブス4Aを浸漬していたDMAc 2569質量部を徐々に添加して、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(F−2)を溶解させた。
その後、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(F−2)のDMAc溶液を15℃以下まで冷却した。30℃を越えないように、13.9質量部のEDAと3.1質量部のDEAとの混合アミンの10質量%DMAc溶液を滴下して、鎖伸長反応させた。しかし、混合アミンの滴下中に溶液の粘度が著しく上昇し、最終的にゼリー状に固化した。ポリウレタン弾性体濃度は30質量%であった。
なお、EDAとDEAのアミノ基のモル%は、それぞれ91.5モル%および8.5モル%であり、混合アミンのアミノ基に対するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(F−2)のイソシアネート基の当量比は0.99であった。
なお、EDAとDEAのアミノ基のモル%は、それぞれ91.5モル%および8.5モル%であり、混合アミンのアミノ基に対するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(F−2)のイソシアネート基の当量比は0.99であった。
比較例4
窒素雰囲気下、実施例1と同様の反応機に、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN 1000質量部と、PTG2000SN中の水酸基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が1.5となるように予め混合した1,4−BIC3 48.6質量部とコスモネートPH 125.1質量部からなるイソシアネート混合物を仕込み、撹拌速度200rpmにて、60℃まで昇温した。
窒素雰囲気下、実施例1と同様の反応機に、予め減圧脱水処理した、PTG2000SN 1000質量部と、PTG2000SN中の水酸基に対するイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が1.5となるように予め混合した1,4−BIC3 48.6質量部とコスモネートPH 125.1質量部からなるイソシアネート混合物を仕込み、撹拌速度200rpmにて、60℃まで昇温した。
次いで、60℃で1時間反応させた後、ネオスタンU−600を0.057質量部添加した。
同温度においてイソシアネート基濃度が1.79質量%になるまで反応させることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(G−2)を得た。
次いで、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(G−2)を50℃まで冷却した後、撹拌速度300rpmにて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(G−2)濃度が20.4質量%となるように、予め、モレキュラーシーブス4Aを浸漬していたDMAc 4568質量部を徐々に添加して、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(G−2)を溶解させた。
その後、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(G−2)のDMAc溶液を15℃以下まで冷却した。30℃を越えないように、13.9質量部のEDAと3.1質量部のDEAとの混合アミンの10質量%DMAc溶液を滴下して、鎖伸長反応させた。EDAとDEAのアミノ基のモル%は、それぞれ91.5モル%および8.5モル%であり、混合アミンのアミノ基に対するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(G−2)のイソシアネート基の当量比は0.99であった。
混合アミン溶液を滴下後、50℃まで昇温し、同温度にて1時間反応させてポリウレタン弾性体の溶液(G−3)を得た。ポリウレタン弾性体の固形分濃度は20質量%であった。
そして、ガラス板上に、乾燥後のフィルム厚みが100μmとなるようにポリウレタン弾性体の溶液(G−3)のDMAc溶液を塗布し、窒素雰囲気下、40℃で1時間、常圧でDMAcを留去させた。次いで、同温度で、3時間減圧することにより、ポリウレタン弾性体フィルム(G)を得た。
(評価)
<ポリウレタン弾性体溶液の粘度(単位:Pa・s)>
E型粘度計(東機産業株式会社製、商品名:TOKIMEC TV−30 VISCOMETER)を用いて、1°34’×R24のサイズのローターを具備して、回転速度:0.1rpm、温度:40℃にて、各実施例および各比較例において得られたポリウレタン弾性体溶液の初期粘度および23℃×7日保存後の粘度を測定した。その際のサンプル量は、1〜1.2mL程度とした。
<ポリウレタン弾性体の重量平均分子量および数平均分子量(単位:無)>
GPC測定装置(東ソー社製、型式:HLC−8320GPC)を用いて、以下の条件でポリウレタン弾性体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
カラム: 東ソー社製、商品名:TSK−GEL ALPHA−M
溶離液: 0.01mol%LiBr/DMAc
検量線: ポリスチレン換算分子量
カラム温度: 40℃
流量: 0.6ml/min
サンプル濃度: 0.03g(固形分)/10ml
注入量: 100μL
検出器: RI(示差屈折)検出器
<ポリウレタン弾性体フィルムの伸縮特性>
23℃、相対湿度55%の実験室内に設置した引張試験機(インテスコ社製、モデル:205型)を用いて、引張試験を行った。より具体的には、引張方向に60mm、幅10mmであるフィルム試験片を、チャック間距離30mm(L1)、引張速度500mm/minの条件で300%まで伸長する操作を4回繰り返した。
(評価)
<ポリウレタン弾性体溶液の粘度(単位:Pa・s)>
E型粘度計(東機産業株式会社製、商品名:TOKIMEC TV−30 VISCOMETER)を用いて、1°34’×R24のサイズのローターを具備して、回転速度:0.1rpm、温度:40℃にて、各実施例および各比較例において得られたポリウレタン弾性体溶液の初期粘度および23℃×7日保存後の粘度を測定した。その際のサンプル量は、1〜1.2mL程度とした。
<ポリウレタン弾性体の重量平均分子量および数平均分子量(単位:無)>
GPC測定装置(東ソー社製、型式:HLC−8320GPC)を用いて、以下の条件でポリウレタン弾性体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
カラム: 東ソー社製、商品名:TSK−GEL ALPHA−M
溶離液: 0.01mol%LiBr/DMAc
検量線: ポリスチレン換算分子量
カラム温度: 40℃
流量: 0.6ml/min
サンプル濃度: 0.03g(固形分)/10ml
注入量: 100μL
検出器: RI(示差屈折)検出器
<ポリウレタン弾性体フィルムの伸縮特性>
23℃、相対湿度55%の実験室内に設置した引張試験機(インテスコ社製、モデル:205型)を用いて、引張試験を行った。より具体的には、引張方向に60mm、幅10mmであるフィルム試験片を、チャック間距離30mm(L1)、引張速度500mm/minの条件で300%まで伸長する操作を4回繰り返した。
さらに、5回目に300%まで伸長(応力M1)した後、その状態で30秒間保持(応力M2)した。次いで、応力が検出されなくなるまで、この伸長を回復させた時の試料長(L2)を測定した。
そして、以下の式を用いて繰返し伸長変形後の残留歪を算出した。
残留歪(%) = {(L2−L1)/L1}×100
応力緩和(%)= {(M1−M2)/M1}×100
<ポリウレタン弾性体フィルムの引張試験>
23℃、相対湿度55%の実験室内に設置した引張試験機(インテスコ社製、モデル:205型)を用いて、引張試験を行なった。より具体的には、引張方向に60mm、幅10mmであるフィルム試験片を、チャック間距離30mm、引張速度300mm/minの条件で引張試験した。これにより、ポリウレタン弾性体フィルムの100%モジュラス(単位:MPa)、破断強度(単位:MPa)、破断伸度(単位:%)を測定した。
<ポリウレタン弾性体フィルムの軟化温度(単位:℃)>
動的粘弾性装置(レオメトリックス・ファーイースト社製、モデル:RSA−II)を用いて、100μm厚のポリウレタン弾性体フィルムを、引張モード、周波数10Hz、昇温速度3℃/minの条件にて動的粘弾性の温度依存性を測定し、その貯蔵弾性率が1×106Paとなる温度を軟化温度(単位:℃)と定義した。
応力緩和(%)= {(M1−M2)/M1}×100
<ポリウレタン弾性体フィルムの引張試験>
23℃、相対湿度55%の実験室内に設置した引張試験機(インテスコ社製、モデル:205型)を用いて、引張試験を行なった。より具体的には、引張方向に60mm、幅10mmであるフィルム試験片を、チャック間距離30mm、引張速度300mm/minの条件で引張試験した。これにより、ポリウレタン弾性体フィルムの100%モジュラス(単位:MPa)、破断強度(単位:MPa)、破断伸度(単位:%)を測定した。
<ポリウレタン弾性体フィルムの軟化温度(単位:℃)>
動的粘弾性装置(レオメトリックス・ファーイースト社製、モデル:RSA−II)を用いて、100μm厚のポリウレタン弾性体フィルムを、引張モード、周波数10Hz、昇温速度3℃/minの条件にて動的粘弾性の温度依存性を測定し、その貯蔵弾性率が1×106Paとなる温度を軟化温度(単位:℃)と定義した。
表中の略号の詳細を下記する。
PTG2000SN:数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(保土ヶ谷化学製)
1,4−BIC:調製例3で得られた1,4−BIC3(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)、トランス体比率80%、
MDI:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、商品名:コスモネートPH(三井化学製)
EDA:エチレンジアミン(和光純薬製 特級グレード)
DEA:ジエチルアミン(和光純薬製 特級グレード)
DMAc:N,N’−ジメチルアセトアミド(和光純薬製 有機合成グレード)
PTG2000SN:数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(保土ヶ谷化学製)
1,4−BIC:調製例3で得られた1,4−BIC3(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン)、トランス体比率80%、
MDI:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、商品名:コスモネートPH(三井化学製)
EDA:エチレンジアミン(和光純薬製 特級グレード)
DEA:ジエチルアミン(和光純薬製 特級グレード)
DMAc:N,N’−ジメチルアセトアミド(和光純薬製 有機合成グレード)
Claims (7)
- ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと高分子量ポリオールとを反応させて水酸基末端ポリウレタンプレポリマーを合成する工程、
ジフェニルメタンジイソシアネートと前記水酸基末端ポリウレタンプレポリマーとを反応させてイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーを合成する工程、および、
前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと鎖伸長剤とを反応させてポリウレタン弾性体を合成する工程
を備えることを特徴とする、ポリウレタン弾性体の製造方法。 - 前記高分子量ポリオールの水酸基に対する、
前記ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアネート基、および、前記ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアネート基の総量の当量比(イソシアネート基/水酸基)が、
1.2〜4であることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン弾性体の製造方法。 - 前記ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび/または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリウレタン弾性体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリウレタン弾性体の製造方法により得られることを特徴とする、ポリウレタン弾性体。
- 請求項4に記載のポリウレタン弾性体を用いて得られることを特徴とする、弾性繊維。
- 請求項4に記載のポリウレタン弾性体を用いて得られることを特徴とする、人造皮革。
- 請求項4に記載のポリウレタン弾性体を用いて得られることを特徴とする、不織布。
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-
2012
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