JP2013237630A - エンドセリン作用抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンドセリンの作用を抑制する、エンドセリン作用抑制剤を提供する。
【解決手段】ヨコワサルオガセ抽出物(Usnea diffracta Vain.)を有効成分とする、エンドセリン作用抑制剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、エンドセリン作用抑制剤に関する。
エンドセリンは、内皮細胞由来のペプチドホルモンで、受容体を通して種々の細胞や組織に作用する。例えば、血管平滑筋細胞等において細胞内カルシウム濃度上昇を引き起こすことが知られている(非特許文献1)。
近年、エンドセリンが表皮メラノサイト(メラニン細胞)に対し細胞内カルシウム濃度上昇を促し、細胞内のシグナル伝達系を介して細胞増殖を促進するとともに、メラニン合成の律速酵素であるチロシナーゼの活性を増強することが報告されている(非特許文献2参照)。また、エンドセリンは表皮角化細胞(ケラチノサイト)が産生するメラノサイト活性化因子の1つであること(非特許文献3)、紫外線誘導性色素沈着や老人性色素斑形成の重要な要因であることが報告されている(非特許文献4、5)。
このようなエンドセリンの生体作用から、エンドセリンの作用を抑制しうる物質はメラニン生成や色素沈着等の改善や予防に有用であることが十分予想される。
なお、特許文献1〜3には、メラニン生成阻害物質の製造方法として、地衣類を培養し、その培養物を凍結乾燥した後0℃〜15℃の温度で溶媒抽出することが記載されている。
特開平4−282319号公報 特開平4−282320号公報 特開平4−282321号公報
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本発明は、エンドセリンの作用を抑制する、エンドセリン作用抑制剤の提供を課題とする。また、本発明は、エンドセリンの作用を抑制してメラニン生成を抑制する、美白剤の提供を課題とする。
本発明者等は上記課題に鑑み、エンドセリンの作用を抑制する新規物質を探求すべく鋭意検討を行った。その結果、ヨコワサルオガセ(Usnea diffracta Vain.)の抽出物が、エンドセリンの作用によって引き起こされるメラノサイト内のカルシウム(イオン)濃度上昇を効果的に抑制することを見出し、該抽出物が新規の美白成分として有用であるとの知見を得た。本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、ヨコワサルオガセ抽出物を有効成分とする、エンドセリン作用抑制剤に関する。
また、本発明は、ヨコワサルオガセ抽出物を有効成分とする、美白剤に関する。
本発明のエンドセリン作用抑制剤は、優れたエンドセリン作用抑制効果を奏する。また、本発明の美白剤は、メラノサイトに対するエンドセリンの作用を抑制し、メラニン生成を抑制することができる。
本発明のエンドセリン作用抑制剤及び美白剤は、ヨコワサルオガセ抽出物を有効成分とする。後述の実施例で実証するように、ヨコワサルオガセ抽出物はエンドセリン作用抑制効果を有する。
本発明で用いるヨコワサルオガセはサルオガセ(Parmeliaceae)科サルオガセ(Usnea)属に属する地衣類である。ヨコワサルオガセを乾燥して得られる松蘿(しょうら)は、鎮咳、利尿剤として使用されている。
本発明において、ヨコワサルオガセの全ての任意の部分(全体、地衣体、仮根、シリア、臍状体(さいじょうたい)等)を用いることができ、各部位を複数組み合わせて用いてもよい。また地位培養細胞(菌細胞、藻細胞、又は両者の混在した未分化共生培養組織)を用いることもできる。本発明においては、ヨコワサルオガセの抽出物を得るためには、地衣体を用いるのが好ましい。
本発明に用いるヨコワサルオガセは、天然に存在するそのままの状態でもよいが、抽出効率を高めるために、乾燥、凍結乾燥、細断、粉砕などの処理を施したものを用いるのが好ましい。
本発明において用いる、ヨコワサルオガセ抽出物の製造方法については特に限定はなく、ヨコワサルオガセを通常の方法で抽出することにより抽出物を得ることができる。具体的には、ヨコワサルオガセを乾燥させた乾燥物、その粉砕物等を圧搾抽出することにより得られる搾汁、水蒸気蒸留物、各種抽出溶剤による粗抽出物、粗抽出物を分配又はカラムクロマトなどの各種クロマトグラフィーなどで精製して得られた抽出物画分などを本発明における抽出物として用いることができる。本発明においては、上記の抽出物、水蒸気蒸留物、圧搾物等を、いずれかを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、ヨコワサルオガセを乾燥させた乾燥物又はその粉砕物から、抽出溶剤を用いて得られた抽出物を用いることがより好ましい。
抽出溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれも使用することができ、これらを混合して用いることもできる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類;超臨界二酸化炭素;油脂、ワックス、その他オイル等が挙げられる。これらのうち、水、アルコール類、多価アルコール類及びこれらの混合物が好ましく、水、多価アルコール類及びこれらの混合物がより好ましく、水、エタノール、1,3-ブタンジオール及びこれらの混合物がさらに好ましく、エタノール水溶液及び1,3-ブタンジオール水溶液が特に好ましい。
ヨコワサルオガセ抽出物を得るための抽出条件については特に制限はなく、使用する溶剤によって適宜設定することができる。例えば水、アルコール類、多価アルコール類又はこれらの混合物により抽出する場合、好ましくはヨコワサルオガセ1質量部に対して1容量部以上50容量部以下の溶剤を用い、好ましくは3℃以上(より好ましくは20℃以上)100℃以下(より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは40℃以下)の温度で、好ましくは1時間以上(より好ましくは1日以上)数週間程度(より好ましくは30日間程度)浸漬又は加熱還流するのが好ましい。また、抽出効率を上げる為、併せて攪拌を行ったり、溶媒中でホモジナイズ処理を行ってもよい。
上記溶媒で抽出して得られた抽出物はそのまま使用してもよいが、必要に応じて更に適当な分離手段、例えばゲル濾過、クロマトグラフィー、精密蒸留等により活性の高い画分を分画して用いることもできる。本発明で用いる抽出物には、このようにして得られた各種抽出物、その希釈液、その濃縮液、その精製物又はそれらの乾燥末を包含するものである。
後述の実施例で実証しているように、ヨコワサルオガセ抽出物は、エンドセリンによるメラノサイトのカルシウム濃度上昇を効果的に抑制することができる。さらに、これらの抽出物は、メラノサイトに対するエンドセリンの作用を抑制することでメラニン生成を抑制しうるため、美白効果を奏する。なお、本発明において「美白(作用)」とは、メラニン色素の生成を抑え、余分なメラニンのない本来の透明な肌色に戻すこと、または皮膚の黒化若しくはシミ・ソバカス等の色素沈着を防止、抑制することを意味する。
メラノサイトに対するエンドセリンの生理作用、すなわちメラノサイト内のカルシウム(カルシウムイオン)濃度上昇を評価する方法として、例えば、細胞内カルシウム(Ca)標識試薬であるFura-2AMやFluo-4AMを細胞内に取り込ませた後に、細胞内Ca濃度を示す蛍光強度の比をデジタルイメージングマイクロスコープ等により測定する手法がある。これは従来から用いられている手法であるが、マイクロスコープでは多数の評価サンプルを同時に取り扱うことが難しい。本発明では、後述の実施例で詳述するように、より高い有効性を持つエンドセリン作用抑制物質を効率よく探索・同定するため、スループット性の高い評価手法としてFDSS(Functional Drug Screening System)を用いて候補物質の評価を行った。
本発明のエンドセリン作用抑制剤又は美白剤には、有効成分としてヨコワサルオガセ抽出物を単独で用いてもよく、また、抽出条件の異なる抽出物を2種以上混合して用いてもよい。
本発明において、ヨコワサルオガセ抽出物は、そのままエンドセリン作用抑制剤又は美白剤として用いてもよい。また、ヨコワサルオガセ抽出物と、例えば酸化チタン、炭酸カルシウム、蒸留水、乳糖、デンプン等の適当な液体又は固体の賦形剤又は増量剤とを混合して用いてもよい。この場合、エンドセリン作用抑制剤又は美白剤におけるヨコワサルオガセ抽出物の含有量は特に制限されないが、ヨコワサルオガセ抽出物の含有量が固形分換算で0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が特に好ましく、50質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
本発明の美白剤は、ヨコワサルオガセ抽出物に加え、他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、その他の美白剤、保湿剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、色材種等が挙げられる。ヨコワサルオガセ抽出物を他の成分とともに組成物として用いる場合、美白剤におけるヨコワサルオガセ抽出物の含有量は特に制限されないが、ヨコワサルオガセ抽出物の含有量が固形分換算で0.00001質量%以上が好ましく、0.0001質量%以上がより好ましく、0.001質量%以上が特に好ましいく、5質量%以下が好ましい。
本発明のエンドセリン作用抑制剤及び美白剤は、皮膚外用剤の形態で使用することができる。「皮膚外用剤」とは、皮膚化粧料、外用医薬品、外用医薬部外品等として皮膚に適用されるものを意味し、その剤型も水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、ゲル系、軟膏系、クリーム、水−油2層系、水−油−粉末3層系など、幅広い形態をとり得る。例えば、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、エッセンス(美容液)、パック、マスク、ファンデーション、軟膏、シート状製品等の形態が挙げられる。
皮膚外用剤の形態で使用する場合には、ヨコワサルオガセ抽出物の他、通常の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば界面活性剤、油性物質、高分子化合物、防腐剤、前記以外の薬効成分、紛体、紫外線吸収剤、色素、香料、乳化安定剤、pH調整剤等を適宜配合できる。また、ヨコワサルオガセ抽出物を含有する皮膚外用剤の使用量に特に制限はなく有効成分の含有量により異なる。例えばクリーム状、軟膏状の場合、皮膚面1cm2当たりの使用量は0.1μg以上5μg以下、液状製剤の場合、同じく0.1μg以上10μg以下が好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下のエンドセリン作用抑制剤、美白剤、製造方法、方法及び使用を開示する。
<1>ヨコワサルオガセ抽出物を有効成分とする、エンドセリン作用抑制剤。
<2>メラノサイト内のカルシウムイオン濃度の上昇を抑制してエンドセリン作用を抑制する、前記<1>項記載のエンドセリン作用抑制剤。
<3>前記ヨコワサルオガセ抽出物が、ヨコワサルオガセをエタノール水溶液で抽出して得られた、前記<1>又は<2>項記載のエンドセリン作用抑制剤。
<4>前記ヨコワサルオガセ抽出物が、ヨコワサルオガセを1,3-ブタンジオール水溶液で抽出して得られた、前記<1>又は<2>項記載のエンドセリン作用抑制剤。
<5>前記有効成分の含有量が固形分換算で0.0001質量%以上50質量%以下である、前記<1>〜<4>項のいずれか記載のエンドセリン作用抑制剤。
<4>ヨコワサルオガセ抽出物を有効成分とする、美白剤。
<5>前記ヨコワサルオガセ抽出物が、ヨコワサルオガセをエタノール水溶液で抽出して得られた、前記<4>項記載の美白剤。
<6>前記ヨコワサルオガセ抽出物が、ヨコワサルオガセを1,3-ブタンジオール水溶液で抽出して得られた、前記<4>項記載の美白剤。
<7>前記有効成分の含有量が固形分換算で0.0001質量%以上50質量%以下である、前記<4>〜<6>項のいずれか記載の美白剤。
<8>エンドセリン作用抑制剤としての、ヨコワサルオガセ抽出物の使用。
<9>エンドセリン作用抑制剤の製造のための、ヨコワサルオガセ抽出物の使用。
<10>ヨコワサルオガセ抽出物を、エンドセリン作用抑制剤として使用する方法。
<11>ヨコワサルオガセ抽出物を用いる、エンドセリン作用抑制方法。
<12>メラノサイト内のカルシウムイオン濃度の上昇を抑制してエンドセリン作用を抑制する、前記<8>〜<11>項のいずれか記載の使用又は方法。
<13>前記ヨコワサルオガセ抽出物が、ヨコワサルオガセをエタノール水溶液で抽出して得られた、前記<8>〜<11>項のいずれか記載の使用又は方法。
<14>前記ヨコワサルオガセ抽出物が、ヨコワサルオガセを1,3-ブタンジオール水溶液で抽出して得られた、前記<8>〜<11>項のいずれか記載の使用又は方法。
<15>前記エンドセリン作用抑制剤における、前記ヨコワサルオガセ抽出物の含有量が固形分換算で0.0001質量%以上50質量%以下である、前記<8>〜<14>項のいずれか記載の使用又は方法。
<16>美白剤としての、ヨコワサルオガセ抽出物の使用。
<17>美白剤の製造のための、ヨコワサルオガセ抽出物の使用。
<18>ヨコワサルオガセ抽出物を、美白剤として使用する方法。
<19>ヨコワサルオガセ抽出物を用いる、美白方法。
<20>前記ヨコワサルオガセ抽出物が、ヨコワサルオガセをエタノール水溶液で抽出して得られた、前記<16>〜<19>項のいずれか記載の使用又は方法。
<21>前記ヨコワサルオガセ抽出物が、ヨコワサルオガセを1,3-ブタンジオール水溶液で抽出して得られた、前記<16>〜<19>項のいずれか記載の使用又は方法。
<22>前記美白剤における、前記ヨコワサルオガセ抽出物の含有量が固形分換算で0.0001質量%以上50質量%以下である、前記<16>〜<21>項のいずれか記載の使用又は方法。
<23>前記ヨコワサルオガセ抽出物を化粧料の形態で適用する、前記<8>〜<22>項のいずれか記載の使用又は方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(参考例1)ジャーマンカミツレ抽出物の調製
ジャーマンカミツレ(和名:カミツレ、新和物産社より入手)の花部40gと、50体積%エタノール水溶液400mLとを混合して、室温で14日間抽出後濾過し、ジャーマンカミツレ抽出物(221mL)を得た(蒸発残分2.63%)。
(製造例1)ヨコワサルオガセ抽出物1の調製
ヨコワサルオガセの地位体(ハイケム社より入手)5gと、50体積%エタノール水溶液100mLとを混合して、40℃で8日間抽出後濾過し、ヨコワサルオガセ抽出物1(78.26g)を得た(蒸発残分0.56%)。
(製造例2)ヨコワサルオガセ抽出物2の調製
ヨコワサルオガセの地位体(ハイケム社より入手)5gと、80体積%1,3-ブタンジオール水溶液100mLとを混合して、40℃で8日間抽出後濾過し、ヨコワサルオガセ抽出物2(87.07g)を得た(蒸発残分0.14%)。
実施例1 エンドセリン作用抑制効果の検証
上記製造例で調製した各抽出物について、下記の評価系を用いてエンドセリン作用抑制効果を検証した。なお、エンドセリンはメラノサイトに作用してカルシウム濃度を上昇させ、メラニン産生を増加させることが知られており(Yada Y.et al.,J.Biol.Chem.,vol.266,p.18352-18357,1991;Imokawa G.et al.,J.Biol.Chem.,vol.267,p.24675-24680,1992など参照)、エンドセリンの当該作用を抑制する物質は美白成分として有用である。
正常ヒト新生児表皮由来メラノサイト(NHEMs;クラボウ社製)を、蛍光検出用の96穴プレートに3×104cells/well(200μL/well)で播種し、5%CO2下にて37℃で培養した。培地には、PMA(−)の増殖用添加剤(HMGS)を含むMedium 254を用いた。
3日間培養後、培養プレートからデカントで培地を除去し、細胞内Ca2++測定試薬Fluo4-AMを含むアッセイバッファーに置換し、37℃で1時間インキュベートした。次に、FDSS(Functional Drug Screening System)機器において測定開始20秒後に所定濃度のジャーマンカミツレ抽出物のエタノール溶液又はヨコワサルオガセ抽出物のジメチルスルホキシド溶液(蒸発残分1w/v%)でそれぞれ1分間前処理した後、リガンドであるエンドセリン(ET−1、終濃度100nM)を添加し、Fluo4-AMの蛍光をEx.480nm/Em.540nmの測定波長で測定開始から5分後まで経時的に検出した。
コントロールにおけるFluo4-AMの蛍光増加比(Max.ratio-Min.ratio)を100とした場合の相対値(%)で、各抽出物の細胞内カルシウム(カルシウムイオン)濃度上昇率(%)を算出し、エンドセリン作用抑制効果を評価した。なお、コントロールとして、50体積%エタノール水溶液又はジメチルスルホキシドを添加したものを用いた。
その結果を表1に示す。
Figure 2013237630
ジャーマンカミツレ抽出物は、エンドセリンの作用によるメラノサイトのカルシウム濃度上昇を抑制し、メラニン産生を抑制することが知られている(例えば、Pigment Cell Res.,1997,vol.10,p.218-228参照)。表1から明らかなように、ジャーマンカミツレ抽出物を添加した系では、濃度依存的なカルシウム濃度上昇抑制作用が確認された。特に濃度が1v/v%の系では、20%以上もカルシウム濃度上昇が抑制され、優れたエンドセリン抑制作用が確認された。
これに対して、表1から明らかなように、ヨコワサルオガセ抽出物を添加した系では、エンドセリン刺激による細胞内カルシウム濃度上昇がジャーマンカミツレ抽出物を添加した場合と比べて同等又はそれ以上に抑制されていた。すなわち、ヨコワサルオガセ抽出物は、細胞内カルシウム濃度上昇を抑制するというエンドセリン抑制作用を有し、その抑制効果は公知の美白成分であるジャーマンカミツレ抽出物以上のものであり、美白成分として有用であることがわかる。
(処方例)
前記製造例で得られた抽出物を有効成分として、下記に示す組成のローション、乳液、美容液及びクリームを常法により各々調製出来る。
1.ローションの調製
(組成) (配合:質量%)
1,3-ブチレングリコール 8.0
グリセリン 5.0
エタノール 3.0
製造例1で製造したヨコワサルオガセ抽出物1 3.0
カミツレエキス 3.0
キキョウエキス 1.0
チョウジエキス 1.0
キサンタンガム 0.1
ヒアルロン酸 0.1
リン酸二ナトリウム 0.1
リン酸二水素ナトリウム 0.1
アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
精製水 残部
香料 適量
防腐剤 適量
2.乳液の調製
(組成) (配合:質量%)
製造例2で製造したヨコワサルオガセ抽出物2 1.0
カミツレエキス 1.0
キキョウエキス 1.0
アルテアエキス 2.0
スクワラン 3.0
オリブ油 3.0
グリセリン 5.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの付加モル数:40)1.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化カリウム 0.1
キサンタンガム 0.2
エデト酸二ナトリウム 0.02
精製水 残部
防腐剤 適量
3.美容液の調製
(組成) (配合:質量%)
製造例1で製造したヨコワサルオガセ抽出物1 5.0
カミツレエキス 1.0
キキョウエキス 1.0
チョウジエキス 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.2
水酸化カリウム 0.2
キサンタンガム 0.1
ヒアルロン酸 0.2
クエン酸ナトリウム 0.15
クエン酸 0.03
グリセリン 10.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
エデト酸二ナトリム 0.05
精製水 残部
防腐剤 適量
香料 適量
4.美容液の調製
(組成) (配合:質量%)
製造例2で製造したヨコワサルオガセ抽出物2 3.0
カミツレエキス 1.0
チョウジエキス 1.0
キキョウエキス 1.0
キサンタンガム 0.2
カルボキシメチルセルロース 0.2
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化カリウム 0.1
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.15
グリセリン 5.0
プロピレングリコール 3.0
ポリエチレングリコール(分子量1500) 1.0
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 0.5
精製水 残部
防腐剤 適量
5.クリームの調製
(組成) (配合:質量%)製造例1で製造したヨコワサルオガセ抽出物1 3.0
カミツレエキス 2.0
キキョウエキス 2.0
チョウジエキス 2.0
メチルポリシロキサン 3.0
スクワラン 2.0
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 3.0
ステアリルアルコール 1.5
セタノール 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの付加モル数:60)0.5
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.3
水酸化カリウム 0.15
キサンタンガム 0.1
エデト酸二ナトリウム 0.05
精製水 残部
防腐剤 適量
香料 適量

Claims (2)

  1. ヨコワサルオガセ(Usnea diffracta Vain.)抽出物を有効成分とする、エンドセリン作用抑制剤。
  2. ヨコワサルオガセ(Usnea diffracta Vain.)抽出物を有効成分とする、美白剤。



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