以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
<1.第1の実施の形態>
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行うようになされている。
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面の上部から上面に渡る部分が斜めに切り落とされたような形状となっており、この部分に接客部3が設けられている。
接客部3は、カード入出口4、紙幣入出金部5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。
紙幣入出金部5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。
テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられるようになされている。
レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
紙幣入出金部5の下方には、当該紙幣入出金部5に硬貨やクリップ等の異物が投入された際、当該異物を顧客に返却する返却口19が設けられている。
以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
現金自動預払機1は、係る構成のもと、操作表示部6に操作画像を表示すると共に、顧客による操作表示部6の表面へのタッチ操作に応じて操作画像を適宜切り換えて表示する。
これにより現金自動預払機1は、顧客に操作画面を介して、入金や出金等の所望の取引の手順を案内する。
そして現金自動預払機1は、顧客に対し、その案内に従ってカード入出口4にカードを挿入させ、また紙幣入出部5に入金用の紙幣を投入させる。
また現金自動預払機1は、顧客に対し、その案内に従ってレシート発行口8から排出したレシートやカード入出口4から排出したカードを受け取らせ、紙幣入出金部5から出金用の紙幣を取り出させる。
[1−2.紙幣入出金機の内部構成]
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。
主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等の種々の処理を行うようになされている。
また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部9Aを有しており、この記憶部9Aに種々の情報を記憶させるようになされている。
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分がフレームに固定された構成となっている。また紙幣入出金機10の各部分は、紙幣制御部11により制御されるようになされている。
紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理等、種々の処理を行うようになされている。
また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部11A(図1)を有しており、この記憶部11Aに種々の情報を記憶させるようになされている。
紙幣制御部11は、例えば顧客が紙幣を入金する入金取引を行う場合、操作表示部6を介して所定の操作入力を受け付けた後、紙幣入出金部5のシャッタ部22を開き、紙幣収容部23内へ紙幣を投入させる。
紙幣入出金部5は、紙幣が投入されると、シャッタ部22を閉じて紙幣収容部23から紙幣を1枚ずつ繰り出し、搬送部13へ受け渡す。搬送部13は、長方形の紙葉状に構成された紙幣を短辺方向に沿って進行させ、鑑別部14へ搬送する。
鑑別部14は、その内部で紙幣を搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて当該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等を鑑別し、その鑑別結果を紙幣制御部11へ通知する。これに応じて紙幣制御部11は、取得した鑑別結果に基づいて当該紙幣の搬送先を決定する。
このとき搬送部13は、鑑別部14において正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部15へ搬送する等して一時的に保留させる一方、取引すべきでないと鑑別されたリジェクト紙幣を紙幣入出金部5へ搬送して顧客に返却する。
その後紙幣制御部11は、操作表示部6を介して顧客に入金金額を確定させ、一時保留部15に保留している紙幣を搬送部13により鑑別部14へ搬送してその金種及び損傷の程度等を鑑別させ、その鑑別結果を取得する。
そして紙幣制御部11は、紙幣の損傷の程度が大きければ、これを再利用すべきでない紙幣として搬送部13によりリジェクト庫16へ搬送して収納させ、損傷の程度が小さければ、これを再利用すべき紙幣として搬送部13により鑑別部14に搬送し、当該鑑別部14により再び紙幣を鑑別する。
搬送部13は、鑑別部14において正常紙幣と鑑別された紙幣を、その金種に応じた紙幣カセット17に収納させる一方、取引すべきでないと鑑別された紙幣を回収庫18に搬送する。
ところで、紙幣収容部23は一面が開口する直方体の箱型形状の下面に所定の孔部を有し、紙幣入出金機10において取り扱われる紙幣を当該紙幣収容部23内部に保持すると共に、異物をすり抜けさせ落下させる機構となっている。
また紙幣収容部23の下部には、当該紙幣収容部23を一端とし他端に返却口19が形成され、一端から他端へ向けて異物を搬送する異物搬送路24が構成されている。
紙幣入出金機10は、紙幣収容部23内に落下した異物を、異物搬送路24を介し返却口19から顧客へ返却する。
[1−3.紙幣入出金部の構成]
図3に示すように、紙幣入出金部5は主に、化粧カバー26、上部シャッタ28、下部シャッタ30及び紙幣収容部23により構成されている。
化粧カバー26は、所定の厚みを有し水平方向に延びる板状でなり、紙幣入出金機10の内部構造を外部から視認できないよう構成されている。
化粧カバー26には、平面視において長方形状の入出金口20が、当該化粧カバー26の面方向(水平方向)に対し直交して上下方向に穿設されている。
また化粧カバー26の入出金口20の下部には、断面コ字形状であり回動可能な紙幣収容部23が設けられている。
入出金口20と紙幣収容部26との間には、下部シャッタ30と、当該下部シャッタ30の上部に位置する上部シャッタ28とが、いわゆる2重シャッタとなり当該入出金口20を下側から覆うように設けられている。
上部シャッタ28及び下部シャッタ30は所定の厚みを有する金属板が板金加工された形状を有し、前後方向に移動することにより、紙幣収容部23を紙幣入出金機10の外部に対し開放又は閉塞させる。
図4に示すように、上部シャッタ28及び下部シャッタ30は、全体として前後左右方向に広がる平面部分の右端部及び左端部が下方向に直角に屈曲した後に、当該右端部が右方向に屈曲した形状となっている。
下部シャッタ30の左側端部には溝部60Lが前端から後端まで前後方向に沿って穿設されている。
上部シャッタ28の左側端部には、溝部60Lの前後方向の長さのほぼ半分の間隔を空けて、摺動軸62Lf及び62Lbが当該溝部60Lを貫通するよう右方向に向かって突設している。
下部シャッタ30の右側端部には溝部60Rが前端から後端まで前後方向に沿って穿設されている。
上部シャッタ28の右側端部には、溝部60Rの前後方向の長さのほぼ半分の間隔を空けて、摺動軸62Rf及び62Rbが当該溝部60Rを貫通するよう下方向に向かって突設している。
また、上部シャッタ28における摺動軸62Rf及び62Rbの右側には、左右方向に沿って刻設された溝が当該上部シャッタ28の前端から後端まで前後方向に並んだラックギア58が形成されている。
上部シャッタ28におけるラックギア58の裏側である上側には、前後方向に貫通する孔部が形成されたシャフト摺動部68が、前後方向に延設するシャフト66に沿って摺動可能に設けられている。
フレーム44には、側面視において右回り及び左回りに駆動力を発生するシャッタモータ46が、上部シャッタ28及び下部シャッタ30よりも下方に取り付けられている。
シャッタモータ46には、円筒形状でなるモータギア48が側面視において回転自在に取り付けられる。
モータギア48の前方には、円筒形状でなるアイドルギア50が、当該モータギア48と噛み合うように側面視において回転軸を中心に回転自在にフレーム44に取り付けられている。
アイドルギア50の前方には、円筒形状でなるカムギア52が当該アイドルギア50と噛み合うように側面視において回転軸を中心に回転自在にフレーム44に取り付けられている。
カムギア52の左側には、円筒形状でなり当該カムギア52と同一の中心軸を中心に回転自在なピニオンギア54が、上部シャッタ28におけるラックギア58と噛み合うように設けられている。
かかる構成において、シャッタモータ46が回転すると、この回転による駆動力は、モータギア48、アイドルギア50、カムギア52及びピニオンギア54を順次伝達し、ラックギア58において前後方向の駆動力に変換され、上部シャッタ28を前後移動させる。
紙幣収容部23が外部に対し閉鎖している閉鎖状態では、図5に示すように、摺動軸62Rfが溝部60Rの前端部である突当部64fに当接している。
この状態から紙幣収容部23を外部に開放させる際、摺動軸62Lf及び62Lbが溝部60Lを、摺動軸62Rf及び62Rbが溝部60Rをそれぞれ後方向に摺動しつつ、上部シャッタ28が後方向に移動する。以下では、紙幣収容部23を外部に開放させる際に上部シャッタ28及び下部シャッタ30が移動する方向である後方向を、開放方向とも呼ぶ。
続いて図6に示すように、摺動軸62Rbが溝部60Rの後端部である突当部64bに当接することにより、紙幣収容部23は、その一部が外部に開放した一部開放状態となる。
上部シャッタ28は、引き続きシャッタモータ46から開放方向の駆動力を伝達され、下部シャッタ30と一体になりつつ、シャフト摺動部68がシャフト66を摺動することにより、当該下部シャッタ30を開放方向に移動させる。これにより図7に示すように、紙幣収容部23が外部に開放された開放状態となる。
一方紙幣収容部23を閉鎖させる際、図7に示す開放状態から上部シャッタ28が前方向に移動し、摺動軸62Rfが突当部64fに当接する。以下では、紙幣収容部23を外部から閉鎖させる際に上部シャッタ28及び下部シャッタ30が移動する方向である前方向を、閉鎖方向とも呼ぶ。
上部シャッタ28は、引き続きシャッタモータ46から閉鎖方向の駆動力を伝達され、下部シャッタ30と一体になりつつ、シャフト摺動部68がシャフト66を摺動することにより、当該下部シャッタ30を閉鎖方向に移動させる。これにより図5に示すように、紙幣収容部23が閉鎖状態となる。
このようにシャッタ部22は、シャッタモータ46の駆動力で上部シャッタ28及び下部シャッタ30をスライドさせることにより、紙幣収容部23を開放又は閉鎖させる。
これにより紙幣入出金機10は、シャッタモータ46の1つの駆動力のみにより、紙幣収容部23を開放又は閉鎖させることができる。
一方上述したように、入出金口20(図3)は化粧カバー26の面方向に対し直交して穿設されている。ここで、入出金口20における後端の平面を異物除去部42と呼ぶ。
また下部シャッタ30は、下遮断部32、異物移動防止部34及び後端部36により構成されている。
下遮断部32は、板状でなり前後左右方向に平面形状に延び、入出金口20の一部分である後側部分を遮断している。下遮断部32の後端からは、板状でなる異物移動防止部34が当該下遮断部32から上方向に向かって垂直に立設している。
異物移動防止部34の上端からは、板状でなる後端部36が当該異物移動防止部34から後方向に向かって延びている。
後端部36の上面と化粧カバー26の下側面との間には間隙が形成されることにより、下部シャッタ30は当該化粧カバー26に接触することなく前後方向に移動することができる。
また上部シャッタ28は、上遮断部38及び掬い部40により構成されている。上遮断部38は、板状でなり前後左右方向に平面形状に延び、入出金口20の一部分である前側部分を遮断している。
上遮断部38の後端からは、下部シャッタ30に向かって下方向に屈曲すると共に、上面が下方向に削れることにより厚みが徐々に薄くなる掬い部40が形成されている。この掬い部40の下端と下遮断部32の上面との間隔は、約0.5mmとなっている。
このように掬い部40と下遮断部32との間には僅かな間隙が形成されることにより、掬い部40は下遮断部32と擦れることなく前後方向に移動することができる。
また上遮断部38の上面と化粧カバー26の下側面との間には間隙が形成されることにより、上部シャッタ28は当該化粧カバー26に接触することなく前後方向に移動することができる。
[1−4.動作及び効果]
かかる構成において、図8に示すように、閉鎖状態において異物FOとして硬貨が下部シャッタ30の上面に載置された場合について説明する。
上部シャッタ28が開放方向に移動すると、掬い部40が異物FOを後方に押していく。異物FOは異物移動防止部34に当接し、後方への移動が規制される。
さらに上部シャッタ28が開放方向に移動すると、図9に示すように、掬い部40が、下部シャッタ30と、後方への移動が規制された異物FOとの間に入り込み、異物FOの前端を掬い上げる。
続いて図10に示すように、上部シャッタ28は下部シャッタ30と共に開放方向へ移動する。このとき異物FOは掬い部40によって掬い上げられつつ上部シャッタ28と共に後方へ移動し、化粧カバー26の異物除去部42に当接することにより、後方への移動が規制される。
上部シャッタ28は、後方への移動が規制されている異物FOの下側を滑りながら開放方向に移動する。図11に示すように上部シャッタ28及び下部シャッタ30が紙幣収容部23を開放させる開放位置へ移動すると、上部シャッタ28の前端部は異物除去部42よりも前方へ位置する。
これにより異物FOは、下側から支持されなくなるため、紙幣収容部23へ落下する。紙幣収容部23へ落下した異物FOは、異物搬送路24(図2)を介し、返却口19へ排出される。
以上の構成において、上部シャッタ28には、下部シャッタ30に置かれた異物FOを掬い上げる掬い部40を設け、下部シャッタ30には、異物FOの開放方向への移動を防止する異物移動防止部34を設けるようにした。
これにより紙幣入出金部5は、異物FOを上部シャッタ28の上側に確実に掬い上げ、異物FOの移動を規制しつつ当該上部シャッタ28を移動させ、当該異物FOを紙幣収容部23内部に落下させることができる。
かくして紙幣入出金部5は、紙幣収容部23を覆う下部シャッタ30に異物FOが置かれたまま上部シャッタ28及び下部シャッタ30を開いた際、当該異物FOを下部シャッタ30から確実に除去することができ、信頼性を格段に高めることができる。
また紙幣入出金部5は、特に異物FOが硬貨であった場合に、顧客との現金トラブルを回避することができる。
また下部シャッタ30において、下遮断部32から異物移動防止部34を向かって垂直に立設するようにした。
このため紙幣入出金部5は、例えば異物移動防止部34が下遮断部32に対し垂直よりも後方に傾くように立設している場合と比べて、異物FOが上部シャッタ28に押されて下部シャッタ30の上から後方(すなわち紙幣収容部23以外)に落ちてしまうことを防止できる。
また紙幣入出金部5においては、図9に示したように、掬い部40が異物FOを掬い上げる際に異物除去部42が異物移動防止部34よりも開放方向の先端側(後側)に位置するようにした。
これにより紙幣入出金部5は、掬い部40によって掬い上げられた異物FOが上部シャッタ28及び下部シャッタ30と共にさらに後方に移動した状態において、上部シャッタ28に乗り上げた異物FOの後方への移動を規制して、紙幣収容部23に落下させることができる。
以上の構成によれば、内側板状部材としての下部シャッタ30は、紙幣収容部23と外部とを連通する入出金口20が形成された化粧カバー26の内側を開放方向に移動することにより、外部から紙幣を取り込む紙幣収容部23を開放させる。外側板状部材としての上部シャッタ28は、紙幣収容部23が開放された際少なくとも下部シャッタ30の一部分と重なるよう化粧カバー26と上部シャッタ28との間に位置し、開放方向に移動する際下部シャッタ30に載置された異物FOを掬い上げる掬い部40を有する。また下部シャッタ30には、上部シャッタ28が開放方向へ移動し異物FOに接する際当該異物FOの開放方向への移動を規制する異物移動防止部34を形成するようにした。
これにより紙幣収容部23を覆う下部シャッタ30に異物FOが置かれたまま上部シャッタ28及び下部シャッタ30を開いた際、当該異物FOを下部シャッタ30から確実に除去することができる。
<2.第2の実施の形態>
図8との対応部分に同一符号を付した図12に示す第2の実施の形態による紙幣入出金部105は、第1の実施の形態による紙幣入出金部5と比べて、下部シャッタ130が下部シャッタ30と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
下部シャッタ130の下遮断部132における後端には、左端から右端に亘って異物傾け凹部70が凹設されている。
異物傾け凹部70は、前後方向の幅W1が、紙幣入出金機10において取り扱われる硬貨のうち、例えば500円玉等の最も外径が大きい硬貨(以下、最大外径硬貨とも呼ぶ)の半径以上であり、且つ例えば1円玉等の最も外径が小さい硬貨(以下、最小外径硬貨とも呼ぶ)の外径よりも小さく構成されている。また、異物傾け凹部70の上下方向の深さは、約1mmとなっている。
かかる構成において、異物FOとして硬貨が下部シャッタ130の上面に載置され、上部シャッタ28が開放方向に移動すると、掬い部40が異物FOを後方に押していく。
このため異物FOは、後端が異物傾け凹部70に落ちると共に異物移動防止部34によって後方への移動が規制されることにより、前端と下部シャッタ130との間に間隙ができるように全体が傾く。
続いて上部シャッタ28の掬い部40は、図13に示すように異物FOと下部シャッタ130との間に入り込み、異物FOの前端を掬い上げる。
その後は紙幣入出金部5(図10及び図11)と同様に、上部シャッタ28及び下部シャッタ130が開放方向へ移動し、異物除去部42により後方への移動が規制された異物FOが紙幣収容部23に落下する。
このように紙幣入出金部105においては、下部シャッタ130の後端に異物傾け凹部70を設けると共に当該異物傾け凹部70の後端から垂直に立設する異物移動防止部34を設けるようにした。
これにより紙幣入出金部105は、異物FOの前端と下部シャッタ130との間に間隙ができるように当該異物FOを傾けることができるため、掬い部40を異物FOの下に潜り込ませやすくすることができる。
かくして紙幣入出金部105は、異物FOを確実に上部シャッタ28の上面へ掬い上げることにより、より確実に異物FOを紙幣収容部23に収めることができる。
ところで、仮に幅W1が最大外径硬貨の半径よりも小さい場合、異物FOが当該最大外径硬貨であった際、当該異物FOの後端が異物傾け凹部70に落ちず、全体が傾かない可能性がある。
また仮に幅W1が最小外径硬貨の外径以上であった場合、異物FOが当該最小外径硬貨であった際、当該異物FOが異物傾け凹部70に全て落下してしまう可能性がある。
これに対し紙幣入出金部105は、異物傾け凹部70の幅W1を、最大外径硬貨の半径以上であり、且つ最小外径硬貨の外径よりも小さく構成するようにした。
このため紙幣入出金部105は、紙幣入出金機10において取り扱われる硬貨のうち、最小外径硬貨から最大外径硬貨までの外径を有する硬貨が異物FOとして下部シャッタ130に載置された場合、当該異物FOの後端のみを異物傾け凹部70に落としつつ、前端を下遮断部132から浮かすことができる。
さらに本実施の形態においては、下遮断部132の後端をエンドミル等の切削工具で削ることにより異物傾け凹部70を形成するため、例えば下遮断部132の後端を傾斜させるような加工を施すよりも、容易に製造することができる。
その他第2の実施の形態による紙幣入出金部105は、第1の実施の形態による紙幣入出金部5とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
<3.第3の実施の形態>
図8の対応部分に同一符号を付した図14に示す第3の実施の形態による紙幣入出金部205は、第1の実施の形態による紙幣入出金部5と比べて、下部シャッタ230が下部シャッタ30と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
下部シャッタ230の下遮断部232の上面には、後端における前後方向に所定の幅を空けて左端から右端に亘る部分を除いて、平面状でなる異物傾け凸部71が形成されている。
このため下遮断部232における後端には、左端から右端に亘って異物傾け凸部71よりも凹んだ凹部73が形成されている。
凹部73は、異物傾け凹部70(図12)と同様に、前後方向の幅W2が、最大外径硬貨の半径以上であり、且つ最小外径硬貨の外径よりも小さく構成されている。
これにより紙幣入出金部205は、異物FOの前端と下部シャッタ230との間に間隙ができるように当該異物FOを傾けることができるため、掬い部40を異物FOの下に潜り込ませやすくすることができる。
かくして紙幣入出金部205は、異物FOを確実に上部シャッタ28の上面へ掬い上げることにより、より確実に異物FOを紙幣収容部23に収めることができる。
その他第3の実施の形態による紙幣入出金部205は、第2の実施の形態による紙幣入出金部105とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
<4.第4の実施の形態>
図8との対応部分に同一符号を付した図15に示す第4の実施の形態による紙幣入出金部305は、第1の実施の形態による紙幣入出金部5と比べて、下部シャッタ330が下部シャッタ30と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
下部シャッタ330の下遮断部332における後端には、後方に向かって下方へ傾斜するよう削れた異物傾け傾斜部72が左端から右端に亘って形成されている。
これにより紙幣入出金部305は、異物FOの前端と下部シャッタ330との間に間隙ができるように当該異物FOを傾けることができるため、掬い部40を異物FOの下に潜り込ませやすくすることができる。
かくして紙幣入出金部305は、異物FOを確実に上部シャッタ28の上面へ掬い上げることにより、より確実に異物FOを紙幣収容部23に収めることができる。
その他第4の実施の形態による紙幣入出金部305は、第2の実施の形態による紙幣入出金部105とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
<5.第5の実施の形態>
図12との対応部分に同一符号を付した図16に示す第5の実施の形態による紙幣入出金部405は、第2の実施の形態による紙幣入出金部105と比べて、下部シャッタ430が下部シャッタ130と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
下部シャッタ430の後端部36において化粧カバー26の下側面と対向する上面には、金属製の薄い板状でなる異物返し部74が、異物移動防止部34の前側面よりも前側に突出するように、左端から右端に亘って固定されている。
かかる構成において、異物FOとして硬貨が下部シャッタ430の上面に載置され、上部シャッタ28が開放方向に移動すると、掬い部40が異物FOを後方に押していく。
続いて図16に示すように、上部シャッタ28の掬い部40は、異物FOと下部シャッタ430との間に入り込み、異物FOの前端を掬い上げる。
このとき異物FOは、異物返し部74に接触し上方への移動が規制され、上部シャッタ28に乗り上げる。
その後は紙幣入出金部5(図10及び図11)と同様に、上部シャッタ28及び下部シャッタ430が開放方向へ移動し、異物除去部42により後方への移動が規制された異物FOは、紙幣収容部23に落下する。
このように紙幣入出金部405においては、下部シャッタ430の後端に異物傾け凹部70を設けると共に当該異物傾け凹部70の後端から垂直に立設する異物移動防止部34を設け、さらに当該異物移動防止部34よりも前方に突出する異物返し部74を設けるようにした。
ここで、下部シャッタ430が化粧カバー26に接触せずに前後方向に移動するためには、紙幣入出金機10内部の部品の公差の関係上、下部シャッタ430と化粧カバー26との隙間は、2.5mm程度は必要となる。
このため、異物返し部74がない場合、紙幣入出金機10を組み立てる際に必要となるそのような隙間に、異物FOが入り込んでしまう可能性がある。
これに対し本実施の形態においては、異物返し部74を設けることにより、異物FOが下部シャッタ430と化粧カバー26との隙間に入り込んでしまうことを防止できる。
かくして紙幣入出金部405は、異物FOを確実に上部シャッタ28の上面へ掬い上げることにより、より確実に異物FOを紙幣収容部23に収めることができる。
その他第5の実施の形態による紙幣入出金部405は、第2の実施の形態による紙幣入出金部105とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
<6.第6の実施の形態>
図16との対応部分に同一符号を付した図18に示す第6の実施の形態による紙幣入出金部505は、第5の実施の形態による紙幣入出金部405と比べて、上部シャッタ528が上部シャッタ28と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
上部シャッタ528の掬い部40において下部シャッタ430と対向する下面には、例えばマイラー(登録商標)フィルム等の樹脂フィルムでなり当該掬い部40よりも十分に薄い板状でなる異物掬いシート78が、当該掬い部40の後端よりも後方に突出するように、左端から右端に亘って例えば両面テープにより固定されている。また、異物掬いシート78の後端は、下部シャッタ430の下遮断部132の上面と接触している。
かかる構成において、異物FOとして硬貨が下部シャッタ430の上面に載置され、上部シャッタ528が開放方向に移動すると、異物掬いシート78が、掬い部40よりも先に異物FOと下部シャッタ430との間に潜り込みつつ、当該掬い部40が異物FOを後方に押していく。
続いて掬い部40が、異物傾け凹部70に後端が落ちて傾いた異物FOを掬い上げる。
異物FOは、異物返し部74に接触して上部シャッタ528に乗り上げ、その後は紙幣入出金部5(図10及び図11)と同様に、上部シャッタ528及び下部シャッタ430が開放方向へ移動し、異物FOは、紙幣収容部23に落下する。
このように紙幣入出金部505は、掬い部40よりも十分に薄い異物掬いシート78を、下部シャッタ430の下遮断部132の上面に対し摺動させつつ、掬い部40よりも先に異物FOに接触させるようにした。
このため紙幣入出金部505は、異物FOを確実に上部シャッタ528の上面へ掬い上げることにより、より確実に異物FOを紙幣収容部23に収めることができる。
ところで、異物掬いシート78を設けずに、掬い部40の後端を可能な限り薄く削り、下遮断部132の上面と摺動させながら移動させることも考えられる。
しかしながらその場合、掬い部40と下遮断部132とは互いに金属製であるため、掬い部40は、その移動に伴い下遮断部132に傷をつけ徐々に削っていってしまう。
これに対し本実施の形態においては、金属製の下遮断部132よりも十分に柔らかい材質である樹脂フィルムを異物掬いシート78として用いるようにした。これにより異物掬いシート78は、下遮断部132を徐々に削ってしまうことがない。
一方異物掬いシート78は徐々に削れていくが、当該異物掬いシート78は掬い部40に両面テープで接着されているだけであるため、作業者が容易に交換できる。
また異物掬いシート78は、異物FOである硬貨よりも十分に柔らかい材質であり、薄く形成されているため、当該硬貨の下に容易に潜り込むことができる。
その他第6の実施の形態による紙幣入出金部505は、第5の実施の形態による紙幣入出金部405とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
<7.第7の実施の形態>
[7−1.紙幣入出金部の構成]
図3との対応部分に同一符号を付した図20に示す第7の実施の形態による紙幣入出金部605は、第1の実施の形態による紙幣入出金部5と比べて、1枚のシャッタ680が設けられている点が異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
紙幣入出金部605は主に、化粧カバー626、シャッタ680及び紙幣収容部23により構成されている。
入出金口20と紙幣収容部23との間には、シャッタ680が当該入出金口20を下側から覆うように設けられている。
シャッタ680は金属板が板金加工された形状を有し、後方向(開放方向)に移動することにより紙幣収容部23を開放させると共に、前方向(閉鎖方向)に移動することにより紙幣収容部23を閉鎖させる。
また、シャッタ680は、下部シャッタ30(図3)を前後反転させたような形状でなり、遮断部82、異物移動防止部634及び前端部86により構成されている。
遮断部82は、板状でなり前後左右方向に平面形状に延び、入出金口20を下側から遮断している。遮断部82の前端からは、板状でなる異物移動防止部634が当該遮断部82から上方向に向かって垂直に立設している。
異物移動防止部634の上端からは、板状でなる前端部86が当該異物移動防止部634から前方向に向かって延びている。
前端部86の上面と化粧カバー626の下側面との間には間隙が形成されることにより、シャッタ680は当該化粧カバー626に接触することなく前後方向に移動することができる。
化粧カバー626の入出金口20における後端には、シャッタ680に向かって下方向に屈曲すると共に、上面が下方向に削れることにより厚みが徐々に薄くなる掬い部88が形成されている。掬い部88と遮断部82との間隔は、約0.5mmとなっている。
このように掬い部88と遮断部82との間には僅かな間隙が形成されることにより、シャッタ680の遮断部82は、化粧カバー626の掬い部88と擦れることなく前後方向に移動することができる。
[7−2.動作及び効果]
かかる構成において、図21に示すように、閉鎖状態において、異物FOとして硬貨がシャッタ680の上面に載置された場合について説明する。
シャッタ680が開放方向に移動すると、図22に示すように掬い部88が異物FOの後端に接することにより、当該異物FOの開放方向への移動を規制する。
さらにシャッタ680が開放方向に移動すると、図23に示すように、異物FOの前端が異物移動防止部634に接する。これにより異物移動防止部634と掬い部88とで異物FOを前後から挟み込み、掬い部88が異物FOの後端を掬い上げる。
引き続きシャッタ680が開放方向に移動すると、掬い部88に掬い上げられた異物FOは、異物移動防止部634により後方へ押され、図24に示すように化粧カバー626の上へ移動する。これにより異物FOは、紙幣収容部23内に落とされることなくシャッタ680の上から除去される。
以上の構成において、化粧カバー626の入出金口20における後端には、シャッタ680に置かれた異物FOを掬い上げる掬い部88を設け、シャッタ680の前端には、異物FOの後方への移動を防止する異物移動防止部634を設けるようにした。
これにより紙幣入出金部605は、紙幣収容部23を下側から覆うシャッタ680に異物FOが置かれたままシャッタ680を開いた際、異物FOを化粧カバー626の上に掬い上げ、当該異物FOをシャッタ680から除去することができ、信頼性を格段に高めることができる。
ところで紙幣入出金機10においては、異物FOの形状によっては、当該異物FOが紙幣収容部23内や異物搬送路24の途中に引っかかってしまい、返却口19から正常に顧客へ返却されない可能性がある。
これに対し本実施の形態においては、異物FOを紙幣収容部23内に落とすことなく、化粧カバー626の上に移動させるようにした。
これにより紙幣入出金部605は、化粧カバー626の上に置かれた異物FOを、顧客に直接取らせることができ、異物FOをより確実に顧客に返却することができる。
また、異物FOが化粧カバー626とシャッタ680との隙間から紙幣入出金機10の意図しない部分へ落下してしまうことを防ぐために、化粧カバー626の下側面に、当該化粧カバー626とシャッタ680との隙間を埋める潜り込み防止部材を設けることも考えられる。
これに対し本実施の形態においては、紙幣入出金機10の意図しない部分へ落下してしまうことを防ぐだけでなく、化粧カバー626の上に異物FOを移動させるようにした。
このように紙幣入出金部605は、積極的に異物FOをシャッタ680の上から化粧カバー626の上に除去することにより、異物FOをより確実に顧客に返却することができる。
以上の構成によれば、内側板状部材としてのシャッタ680は、紙幣収容部23と外部とを連通する入出金口20が形成された化粧カバー626の内側を開放方向に移動することにより、外部から紙幣を取り込む紙幣収容部23を開放させる。外側板状部材としての化粧カバー626は、紙幣収容部23が開放された際少なくともシャッタ680の一部分と重なるようシャッタ680の外側に位置し、開放方向に移動する際シャッタ680に載置された異物FOを掬い上げる掬い部88を有する。またシャッタ680には、当該シャッタ680が開放方向へ移動し異物FOに接する際当該異物FOの開放方向への移動を規制する異物移動防止部634を形成するようにした。
これにより紙幣収容部23を覆うシャッタ680に異物FOが置かれたままシャッタ680を開いた際、当該異物FOをシャッタ680から化粧カバー626に確実に除去することができる。
<8.第8の実施の形態>
図21との対応部分に同一符号を付した図25に示す第8の実施の形態による紙幣入出金部705は、第7の実施の形態による紙幣入出金部605と比べて、シャッタ780がシャッタ680と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
シャッタ780の遮断部782における前端には、左端から右端に亘って異物傾け凹部770が凹設されている。
異物傾け凹部770は、前後方向の幅W11が最大外径硬貨の半径以上であり、且つ最小外径硬貨の外径よりも小さく構成されている。また、異物傾け凹部770の上下方向の深さは、約1mmとなっている。
このため紙幣入出金部705は、最小外径硬貨から最大外径硬貨までの外径を有する硬貨が異物FOとしてシャッタ780に載置された場合、当該異物FOの前端のみを異物傾け凹部770に落としつつ、後端を遮断部782から浮かすことができる。
かかる構成において、異物FOとして硬貨がシャッタ780の上面に載置され、当該シャッタ780が開放方向に移動すると、掬い部88が異物FOの後端に接することにより、当該異物FOの開放方向への移動を規制する。
このため異物FOは、前端が異物傾け凹部770に落ちると共に異物移動防止部634によって前方への移動が規制されることにより、後端とシャッタ780との間に間隙ができるように全体が傾く。
続いて化粧カバー626の掬い部88は、異物FOとシャッタ780との間に入り込み、異物FOの後端を掬い上げる。
その後は紙幣入出金部605(図23及び図24)と同様に、シャッタ780が開放方向へ移動し、異物移動防止部634により前方への移動が規制された異物FOは、化粧カバー626の上へ移動する。
このように紙幣入出金部705においては、シャッタ780の前端に異物傾け凹部770を設けると共に当該異物傾け凹部770から垂直に立設する異物移動防止部634を設けるようにした。
これにより紙幣入出金部705は、異物FOの後端とシャッタ780との間に間隙ができるように当該異物FOを傾けることができるため、掬い部88を異物FOの下に潜り込ませやすくすることができる。
かくして紙幣入出金部705は、異物FOを確実に化粧カバー626の上面へ掬い上げることにより、より確実に異物FOをシャッタ780の上面から除去することができる。
その他第8の実施の形態による紙幣入出金部705は、第7の実施の形態による紙幣入出金部605とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
<9.第9の実施の形態>
図21との対応部分に同一符号を付した図27に示す第9の実施の形態による紙幣入出金部805は、第7の実施の形態による紙幣入出金部605と比べて、シャッタ880がシャッタ680と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
シャッタ880の遮断部882の上面には、前端における前後方向に所定の幅を空けて左端から右端に亘る部分を除いて、平面状でなる異物傾け凸部871が形成されている。
このため遮断部882における前端には、左端から右端に亘って異物傾け凸部871よりも凹んだ凹部873が形成されている。
凹部873は、異物傾け凹部770(図25)と同様に、前後方向の幅W12が、紙幣入出金機10において取り扱われる硬貨のうち、最大外径硬貨の半径以上であり、且つ最小外径硬貨の外径よりも小さく構成されている。
これにより紙幣入出金部805は、異物FOの後端とシャッタ880との間に間隙ができるように当該異物FOを傾けることができるため、掬い部88を異物FOの下に潜り込ませやすくすることができる。
かくして紙幣入出金部805は、異物FOを確実に化粧カバー626の上面へ掬い上げることにより、より確実に異物FOをシャッタ880の上面から除去することができる。
その他第9の実施の形態による紙幣入出金部805は、第8の実施の形態による紙幣入出金部705とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
<10.第10の実施の形態>
図21との対応部分に同一符号を付した図28に示す第10の実施の形態による紙幣入出金部905は、第7の実施の形態による紙幣入出金部605と比べて、シャッタ980がシャッタ680と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
シャッタ980の遮断部982における前端には、前端に向かって下方へ傾斜する異物傾け傾斜部972が左端から右端に亘って形成されている。
これにより紙幣入出金部905は、異物FOの後端とシャッタ980との間に間隙ができるように当該異物FOを傾けることができるため、掬い部88を異物FOの下に潜り込ませやすくすることができる。
かくして紙幣入出金部905は、異物FOを確実に化粧カバー626の上面へ掬い上げることにより、より確実に異物FOをシャッタ980の上面から除去することができる。
その他第10の実施の形態による紙幣入出金部905は、第8の実施の形態による紙幣入出金部705とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
<11.第11の実施の形態>
図25との対応部分に同一符号を付した図29に示す第11の実施の形態による紙幣入出金部1005は、第8の実施の形態による紙幣入出金部705と比べて、シャッタ1080がシャッタ780と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
シャッタ1080の前端部86において化粧カバー626の下側面と対向する上面には、金属製の薄い板状でなる異物返し部1074が、異物移動防止部634の後側面よりも後側に突出するように、左端から右端に亘って固定されている。
かかる構成において、異物FOとして硬貨がシャッタ1080の上面に載置され、シャッタ1080が開放方向に移動すると、掬い部88が異物FOの後端に接することにより、当該異物FOの開放方向への移動を規制する。
続いて異物FOは、前端が異物傾け凹部770に落ちると共に異物移動防止部634により前方への移動が規制され、後端とシャッタ1080との間に間隙ができるように全体が傾く。
化粧カバー626の掬い部88は、異物FOとシャッタ1080との間に入り込み、異物FOの後端を掬い上げる。
このとき異物FOは、図30に示すように異物返し部1074に接触し、上方への移動が規制され、化粧カバー626に乗り上げる。
このように紙幣入出金部1005は、異物返し部1074を設けることにより、異物FOが異物移動防止部634と前端部86とを乗り越えて紙幣収容部23に落下してしまうことを防止できる。
かくして紙幣入出金部1005は、異物FOを確実に化粧カバー626の上面へ掬い上げることにより、より確実に異物FOをシャッタ1080の上面から除去することができる。
その他第11の実施の形態による紙幣入出金部1005は、第8の実施の形態による紙幣入出金部705とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
<12.第12の実施の形態>
図29との対応部分に同一符号を付した図31に示す第12の実施の形態による紙幣入出金部1105は、第11の実施の形態による紙幣入出金部1005と比べて、化粧カバー1126が化粧カバー626と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
化粧カバー1126の掬い部88においてシャッタ1080と対向する下面には、例えばマイラー(登録商標)フィルム等の樹脂フィルムでなり当該掬い部88よりも十分に薄い板状でなる異物掬いシート1178が、当該掬い部88の前端よりも前方に突出するように、左端から右端に亘って例えば両面テープにより固定されている。また、異物掬いシート1178の前端は、シャッタ1080の遮断部782の上面と接触している。
かかる構成において、異物FOとして硬貨がシャッタ1080の上面に載置され、シャッタ1080が開放方向に移動すると、異物掬いシート1178が、掬い部88よりも先に異物FOとシャッタ1080との間に潜り込みつつ、当該掬い部88が異物FOの後端に接することにより、当該異物FOの開放方向への移動を規制する。
続いて掬い部88が、異物傾け凹部770に前端が落ちて傾いた異物FOを掬い上げる。
このとき異物FOは、異物返し部1074に接触し、上方への移動が規制され、化粧カバー1126に乗り上げる。
このように紙幣入出金部1105は、掬い部88よりも十分に薄い異物掬いシート1178を、シャッタ1080の遮断部782の上面に対し摺動させつつ、掬い部88よりも先に異物FOに接触させるようにした。
このため紙幣入出金部1105は、異物FOを確実に掬い部88の上面へ掬い上げることにより、より確実に異物FOを化粧カバー1162の上面に移動させることができる。
また紙幣入出金部1105においては、金属製の遮断部782よりも十分に柔らかい材質である樹脂フィルムを異物掬いシート1178として用いるようにした。これにより異物掬いシート1178は、遮断部782を徐々に削ってしまうことがない。
一方異物掬いシート1178は徐々に削れていくが、当該異物掬いシート1178は掬い部88に両面テープで接着されているだけであるため、作業者が容易に交換できる。
また異物掬いシート1178は、異物FOである硬貨よりも十分に柔らかい材質であり、薄く形成されているため、当該硬貨の下に容易に潜り込むことができる。
その他第12の実施の形態による紙幣入出金部1105は、第11の実施の形態による紙幣入出金部1005とほぼ同様の作用効果を奏し得る。
<13.他の実施の形態>
なお上述した実施の形態においては、水平方向に延びる化粧カバー26、626及び1126の下方において、前後方向にスライドして移動するシャッタについて述べた。
本発明はこれに限らず、鉛直方向に延びる化粧カバーの後方において、上下方向に移動するシャッタや、水平方向から鉛直方向にやや傾斜した方向に延びる化粧カバーの下方において、当該化粧カバーの傾斜に対応して移動するシャッタに対して本発明を適用しても良い。
また上述した実施の形態においては、全体として平面形状に形成された平面シャッタについて述べたが、本発明はこれに限らず、例えば湾曲した曲面形状の板状部材でなる曲面シャッタと当該曲面シャッタの曲面形状に対応した化粧カバー等、種々の形状でなる板状シャッタ及び化粧カバーに対し本発明を適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、下遮断部の後端又は遮断部の前端から異物移動防止部を当該下遮断部又は遮断部に対し垂直に立設する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、下遮断部又は遮断部に対し垂直からやや後方又は前方に傾けて立設しても良い。要は、異物FOの移動を規制することができる程度に異物移動防止部が形成されていれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、異物傾け凹部70及び凹部73の幅を最大外径硬貨の半径以上であり、且つ最小外径硬貨の外径よりも小さく構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、要は異物FO紙幣が傾く形状及びサイズであれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される紙幣入出金部に本発明を適用する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えば顧客が入金する硬貨が投入されると共に、顧客へ出金する硬貨が排出される硬貨入出金部に本発明を適用し、異物としてクリップ等の形状に対応させたサイズ、形状でなる掬い部及び異物移動防止部を形成すれば良い。
さらに上述した第6及び第12の実施の形態においては、異物掬いシート78及び1178をマイラー(登録商標)フィルムとする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ある程度の強度を有し、薄く形成され金属板を傷つけにくい素材であれば、種々の他の素材でも良い。
さらに上述した実施の形態においては、シャッタモータ46の回転駆動力を前後方向に移動する駆動力に変換してシャッタ部を駆動する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々の駆動方法によりシャッタ部を駆動して良い。
さらに上述した第1乃至第4の実施の形態による紙幣入出金部5、105、205及び305において、第5の実施の形態による紙幣入出金部405における異物返し部74を設けても良い。
さらに上述した第7乃至第10の実施の形態による紙幣入出金部605、705、805及び905において、第11の実施の形態による紙幣入出金部1005における異物返し部1074を設けても良い。
さらに上述した第1乃至第4の実施の形態による紙幣入出金部5、105、205及び305において、第6の実施の形態による紙幣入出金部505における異物掬いシート78を設けても良い。異物掬いシート78は薄く形成されているため、仮に異物FOが傾いていない状態であっても、当該異物FOの下に入り込むことができる。
さらに上述した第7乃至第10の実施の形態による紙幣入出金部605、705、805及び905において、第12の実施の形態による紙幣入出金部1105における異物掬いシート1178を設けても良い。異物掬いシート1178は薄く形成されているため、仮に異物FOが傾いていない状態であっても、当該異物FOの下に入り込むことができる。
さらに上述した実施の形態においては、媒体として紙幣について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体を搬送処理及び収納処理等の各処理を行う種々の装置に適用するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、内側板状部材としての下部シャッタ30、130、230、330、430、シャッタ680、780、880及び980と、外側板状部材としての上部シャッタ28、528、化粧カバー626及び1126とによって媒体入出部としての紙幣入出金部5、105、205、305、405、505、605、705、805、905、1005及び1105を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる内側板状部材と外側板状部材とによって媒体入出部を構成するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、内側板状部材としての下部シャッタ30、130、230、330、430、シャッタ680、780、880及び980と、外側板状部材としての上部シャッタ28、528、化粧カバー626及び1126と、搬送部としての搬送部13とによって媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる内側板状部材と、外側板状部材と、搬送部とによって媒体取引装置を構成するようにしても良い。