以下、本発明に係る電動式建設機械の実施の形態を、外部電源から給電される電動式の油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は電動式の油圧ショベルを示し、この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、旋回輪3を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前端側に設けられた作業装置5とにより大略構成されている。そして、油圧ショベル1の車体は、下部走行体2と上部旋回体4とにより構成され、上部旋回体4には動力源として後述の電動モータ9が搭載されている。
ここで、油圧ショベル1は、上部旋回体4が下部走行体2の車幅内にほぼ収まる小旋回機として構成されている。即ち、図2および図3に示すように、上部旋回体4は、少なくとも後側が下部走行体2の車幅内にほぼ収まるように略円形状をなし、全体としてコンパクトに形成されている。
下部走行体2には走行モータが設けられると共に、上部旋回体4には旋回モータ(いずれも図示せず)が設けられている。そして、下部走行体2は走行モータによって前進、後進等の走行動作を行い、上部旋回体4は旋回モータによって旋回動作するものである。
作業装置5は、ブーム5A、アーム5B、バケット(作業具)5C等によって構成され、ブーム5A、アーム5B、バケット5Cにはブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ(作業具シリンダ)5F等の油圧シリンダが取付けられている。そして、これらのシリンダ5D,5E,5Fは、走行モータや旋回モータ等の油圧モータと共に、後述の油圧ポンプ11から吐出する圧油により駆動される油圧アクチュエータを構成している。
6は上部旋回体4の支持構造体を形成する支持フレームとしての旋回フレームで、該旋回フレーム6には、後述のキャブ7、カウンタウエイト8、電動モータ9、油圧ポンプ11、熱交換器14、オルタネータ19、車載バッテリ20等が搭載されている。ここで、図3および図4に示すように、旋回フレーム6は、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板6Aと、該底板6A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びる左縦板6B、右縦板6Cと、該各縦板6B,6Cの外側に間隔をもって配置され、前,後方向に延びる左サイドフレーム6D,右サイドフレーム6Eと、底板6A、各縦板6B,6Cから左,右方向に張出し、その先端部に左,右のサイドフレーム6D,6Eを支持する複数本の張出しビーム6Fとにより構成されている。
左縦板6Bの後部側には、後述のオルタネータ19を搭載するオルタネータ載置部6Gが設けられている。左サイドフレーム6Dの後部側には、後述の車載バッテリ20を搭載するバッテリ載置部6Hが設けられている。左縦板6Bの後部側と左サイドフレーム6Dの後部側との間には、後述の熱交換器14を搭載する熱交換器載置部6Jが設けられている。
7は旋回フレーム6の左前側に搭載されたキャブで、該キャブ7は、オペレータが搭乗する運転室を内部に画成している。キャブ7の内部には、運転席、走行レバー・ペダル、操作レバー、後述のキースイッチ32、非常停止スイッチ33、モニタ装置37(図7参照)等が配設されている。
8は旋回フレーム6の後端部に取付けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト8は、後述する電動モータ9よりも車体(上部旋回体4)の前,後方向の後側に配置され、作業装置5との重量バランスをとるものである。カウンタウエイト8の後面側は、図2および図3に示すように円弧状をなして形成され、上部旋回体4の旋回半径を小さく収める構成となっている。カウンタウエイト8の上面には、後述するケーブルスタンド22が取付けられている。
9はカウンタウエイト8の前側に位置して旋回フレーム6上に搭載された電動モータを示している。この電動モータ9は、例えば三相誘導電動機からなり、後述する油圧ポンプ11の駆動源を構成している。また、電動モータ9は、旋回フレーム6上に防振ゴム、防振マウント等の防振部材9Aを介して防振支持されている。
電動モータ9は、例えば400Vの三相交流電力を供給する商用電源等の外部電源10(図7参照)から後述の給電ケーブル21を介して給電されることにより回転し、油圧ポンプ11を駆動するものである。電動モータ9の運転制御(給電制御)は、後述するモータ制御装置23により行われる。
11は電動モータ9の左,右方向の一側となる右側に位置して旋回フレーム6上に搭載された油圧ポンプを示している。この油圧ポンプ11は、例えば可変容量型油圧ポンプからなり、旋回フレーム6の前部右側に配設された作動油タンク12と共に油圧源を構成している。ここで、油圧ポンプ11は、電動モータ9の右側にカップリング等の動力伝達装置13を介して取付けられ、この動力伝達装置13により電動モータ9の回転出力が伝達される。
油圧ポンプ11は、電動モータ9によって駆動されることにより、作動油タンク12から吸込んだ作動油を、高圧な圧油として吐出するものである。油圧ポンプ11から吐出した圧油は、油圧ショベル1に搭載された走行モータ、旋回モータ、ブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5F等の各種の油圧アクチュエータに供給される。
14は電動モータ9を挟んで油圧ポンプ11とは反対側となる左側に設けられた熱交換器を示している。この熱交換器14は、後述の冷却ファン15に対面するように旋回フレーム6の熱交換器載置部6Jに搭載されている。熱交換器14は、温度上昇した各種の流体を冷却風F(図4参照)により冷却するもので、例えば、油圧アクチュエータ(走行モータ、旋回モータ、ブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5F等)からの戻り油の冷却を行うオイルクーラ、キャブ7内の室内機(図示せず)から供給される冷媒の冷却を行うコンデンサ等を含んで構成されている。
15は電動モータ9の左,右方向の他側となる左側(熱交換器14と同じ側)で熱交換器14に対面して配置された冷却ファンを示している。この冷却ファン15は、電動モータ9を動力源として回転駆動されることにより、外気を冷却風Fとして導入し、当該冷却風Fを、熱交換器14、電動モータ9、後述するモータ制御装置23(の収容ボックス24)等に向けて供給するものである。
16は電動モータ9よりも前側に配置され旋回フレーム6に取付けられた隔壁を示している。この隔壁16は、車体(上部旋回体4)の左,右方向に延び、カウンタウエイト8、後述の外装カバー17と共に、電動モータ9等を収容する機械室18を画成するものである。隔壁16には、後述するモータ制御装置23(の収容ボックス24)が取付けられている。
17はキャブ7の後側から側方にわたって旋回フレーム6に設けられた外装カバーを示している。この外装カバー17は、カウンタウエイト8と隔壁16との間で電動モータ9、油圧ポンプ11、熱交換器14等を収容するための機械室18を画成するものである。ここで、外装カバー17は、電動モータ9の上側を覆う開閉カバー17A、空気の吸入口17B1が設けられた左側面カバー17B、空気の排出口17C1が設けられた右側面カバー17C、電動モータ9の下側を覆うアンダーカバー17D等により構成されている。開閉カバー17Aの前部側で後述するモータ制御装置23(の収容ボックス24)と対応する部位には、後述する給電ケーブル21の外部ケーブル21Aを機械室18内に引き込むためのケーブル挿通孔17A1(図2参照)が設けられている。
図4に示すように、電動モータ9の回転に伴って冷却ファン15が回転駆動されると、冷却風Fの流れ方向の上流側となる左側面カバー17Bから外気が冷却風Fとして機械室18内に流入する。そして、機械室18内に流入した冷却風Fは、機械室18内の熱交換器14、電動モータ9、後述するモータ制御装置23(の収容ボックス24)等を冷却し、下流側の右側面カバー17Cから外部に流出する。この場合、冷却風Fは、機械室18を画成する外装カバー17、隔壁16、カウンタウエイト8によって、機械室18内を左側から右側に向けて導かれるため、機械室18内の熱交換器14、電動モータ9、モータ制御装置23等を効率よく冷却することができる。
19は電動モータ9によって駆動されることにより発電を行うオルタネータで、該オルタネータ19は、発電した電気を後述する車載バッテリ20へ供給するものである。ここで、オルタネータ19は、旋回フレーム6のオルタネータ載置部6Gに搭載されている。オルタネータ19は、電動モータ9の回転が無端ベルト19Aを介して伝達されることにより回転駆動され、これにより、発電が行われる。
20は電気エネルギを貯える車載バッテリで、該車載バッテリ20は、旋回フレーム6のバッテリ載置部6Hに搭載されている。車載バッテリ20は、電気エネルギを貯え、後述するモータ制御装置23、コントローラ36、モニタ装置37、油圧ショベル1に搭載される各種の照明具、電磁弁、電子部品等の各種電気機器(図示せず)の電源となるものである。車載バッテリ20は、例えば24Vの直流電力を、モータ制御装置23等を含む各種電気機器に供給するもので、例えば12Vの直流バッテリを2個直列に接続することにより構成されている。
21は外部電源10と電動モータ9との間を後述するモータ制御装置23を介して電気的に接続する給電ケーブルを示している。給電ケーブル21は、外部電源10とモータ制御装置23の収容ボックス24との間に配設される外部ケーブル21A、収容ボックス24と後述するモータ端子ボックス34との間に配設されるモータ接続ケーブル21B等を含んで構成されている。ここで、外部ケーブル21Aは、後述するケーブルスタンド22に支持され、外装カバー17(開閉カバー17A)のケーブル挿通孔17A1を通じて収容ボックス24の接続端子26(図7参照)に接続されている。
22はカウンタウエイト8に取付けられたケーブルスタンドで、該ケーブルスタンド22は、給電ケーブル21の外部ケーブル21Aを支持するものである。ここで、ケーブルスタンド22は、上,下方向に延びカウンタウエイト8に固定された支柱22Aと、該支柱22Aを揺動中心とする水平方向(左,右方向)の揺動を可能に支柱22Aに設けられた支持横棒22Bとにより大略構成されている。そして、支柱22Aの上端部と支持横棒22Bの先端部には、それぞれ外部ケーブル21Aの途中部位を把持する把持部材22Cが設けられている。図2中に仮想線(二点鎖線)で示すように、ケーブルスタンド22は、油圧ショベル1の動きに応じて支持横棒22Bが支柱22Aを中心に揺動することにより、給電ケーブル21に過剰な力が加わることを抑制しつつ、外部ケーブル21Aが油圧ショベル1に巻き込まれることを防止するものである。
次に、電動モータ9の運転を行うモータ制御装置23について説明する。
即ち、23は電動モータ9への給電を制御するための制御盤となるモータ制御装置で、該モータ制御装置23は、後述する収容ボックス24、安全回路27、始動停止回路28、信号出力回路29、始動停止制御回路31等により構成されている。ここで、モータ制御装置23は、必要な回路、電気部品、電気機器等を1つの収容ボックス24にまとめて収容する構成としている。具体的には、モータ制御装置23は、外部電源10から給電ケーブル21を介して比較的高電圧(例えば400Vの三相交流電力)が導通する安全回路27および始動停止回路28と、車載バッテリ20から比較的低電圧(例えば24Vの直流電力)が導通する信号出力回路29および始動停止制御回路31を、収容ボックス24内にまとめて配置する構成としている。
ここで、収容ボックス24は、機械室18内の電動モータ9の近傍で油圧ポンプ11と熱交換器14との間、即ち、冷却風Fの流れ方向に関し油圧ポンプ11よりも上流側で熱交換器14よりも下流側に配置されている。この場合、収容ボックス24は、機械室18内に位置して隔壁16に取付けられている。
図6に示すように、収容ボックス24は、略直方体状の中空箱体として形成されたもので、有底で四角筒状の本体部24Aと、該本体部24Aの開口を塞ぐ四角板状の蓋体24Bとにより構成されている。この場合、機械室18の防水が確保されていれば、本体部24Aと蓋体24Bとの防水処理を省略ないし簡素化することができる。
収容ボックス24は、棚状のブラケット25を介して隔壁16に取付けられている。収容ボックス24には、外部電源10に通じる外部ケーブル21Aが接続される接続端子(接続コネクタ)26(図7参照)が設けられている。これにより、外部ケーブル21Aは、接続端子26を介して、収容ボックス24内に収容された安全回路27、始動停止回路28と電気的に接続されている。
27は収容ボックス24に収容された安全回路を示している。この安全回路27は、給電ケーブル21の途中に設けられ、短絡、漏電、過負荷による電流上昇等の電気的異常から電動モータ9を保護するものである。このために、安全回路27には、短絡、漏電を含む電気的異常が発生したときに給電ケーブル21を遮断するブレーカ27A、給電ケーブル21に過負荷電流が生じたときに該給電ケーブル21を遮断するサーマルリレー27B等が設けられている。なお、安全回路27は、電気的異常、即ち、過負荷状態、不足電圧状態、過電圧状態、地絡、短絡等から電動モータ9およびモータ制御装置23を保護するもので、ブレーカ27A、サーマルリレー27Bに限定されず、各種の保護機器、保護回路を用いることができる。
28は収容ボックス24に収容された始動停止回路を示している。この始動停止回路28は、給電ケーブル21の途中に安全回路27と直列に設けられ、電動モータ9の始動と停止を行うものである。このために、始動停止回路28は、スターデルタ回路28Aを用いて構成されている。ここで、スターデルタ回路28Aは、電動モータ9の始動時に、電動モータ9内のコイル(図示せず)との結線をスター結線から一定時間経過後にデルタ結線に切換えるもので、この切換えを行うための電磁開閉器(図示せず)を含んで構成されている。
即ち、電動モータ9は、始動直後で回転数が所定の回転数に到達する前、即ち、供給電力の周波数(50Hz、60Hz)に応じた回転数に到達する前は、インピーダンスが低く大電流が流れる。そこで、スターデルタ回路28Aは、上記回転数に到達する前はインピーダンスが高く電流を制御できるスター結線とし、上記回転数に到達後は、インピーダンスが低く電流を稼げるデルタ結線に切換えを行うものである。なお、始動停止回路28は、少なくとも電動モータ9の始動と停止とを行うもので、スターデルタ回路28Aに限定されず、例えば、リアクトル回路、インバータ回路等を用いることができる。
29は収容ボックス24に収容された信号出力回路を示している。この信号出力回路29は、安全回路27と接続され、該安全回路27から出力される信号を外部機器、具体的には、後述するコントローラ36に出力するものである。このために、信号出力回路29の入力側は、収容ボックス24内で安全回路27と接続され、信号出力回路29の出力側は、収容ボックス24からコントローラ36等との間に配設された接続ケーブル30を介してコントローラ36と接続されている。
信号出力回路29は、安全回路27が電気的な異常により作動した場合、例えば電動モータ9の過負荷による電流上昇によりサーマルリレー27Bの遮断が行われた場合等に、その旨の信号が入力信号として入力される。信号出力回路29は、その入力信号をコントローラ36への出力信号に変換し、その信号をコントローラ36へ出力する。コントローラ36は、必要に応じて、後述するモニタ装置37に注意表示、警報表示、警報音等を発する旨の信号を出力する。また、コントローラ36は、必要に応じて、メモリ36Aに安全回路27が作動した旨の情報を機器不調情報として記憶し、その履歴を管理するものである。
31は収容ボックス24に収容された始動停止制御回路を示している。この始動停止制御回路31は、始動停止回路28と接続され、外部からの信号、具体的には、油圧ショベル1の始動時にオペレータによってONされるキースイッチ32からの信号、非常時にオペレータによってONされる非常停止スイッチ33からの信号、後述するコントローラ36からの信号等に基づいて、始動停止回路28の切換制御(スターデルタ回路28Aの電磁開閉器の開閉制御)を行うものである。
具体的には、例えばキースイッチ32からのON信号が始動停止制御回路31に入力されると、電動モータ9をスターデルタ方式で始動すべく、始動停止制御回路31からスターデルタ回路28Aの電磁開閉器に、スター結線、デルタ結線を実現するための開閉信号が出力される。一方、例えばキースイッチ32からのOFF信号や非常停止スイッチ33からのON信号が始動停止制御回路31に入力されると、電動モータ9を停止すべく、始動停止制御回路31からスターデルタ回路28Aの電磁開閉器に、電動モータ9への給電を断つ旨の開信号が出力される。
このために、始動停止制御回路31の入力側は、収容ボックス24内で始動停止回路28と接続されると共に、接続ケーブル30を介してキースイッチ32、非常停止スイッチ33、コントローラ36等と接続されている。また、始動停止制御回路31の出力側は、収容ボックス24内で始動停止回路28と接続されると共に、接続ケーブル30を介してコントローラ36と接続されている。
34は電動モータ9に取付けられたモータ端子ボックスを示している。このモータ端子ボックス34内には、接続端子(接続コネクタ)35(図7参照)が設けられている。この接続端子35には、収容ボックス24と電動モータ9との間に配設されるモータ接続ケーブル21Bが接続されている。これにより、隔壁16に取付けられた収容ボックス24内の安全回路27、始動停止回路28と電動モータ9とが、電気的に接続されている。
36はマイクロコンピュータ等からなるコントローラ(コントロールユニット)で、該コントローラ36は、例えばキャブ7内に配置され、収容ボックス24の信号出力回路29等と接続ケーブル30を介して接続されている。即ち、コントローラ36は、その入力側が信号出力回路29、始動停止制御回路31に接続され、その出力側は始動停止制御回路31、後述するモニタ装置37に接続されている。コントローラ36は、安全回路27が作動したときに、その作動した旨の信号が信号出力回路29を介して入力されると、後述のモニタ装置37に警報表示や警報音等の警報を発する旨の信号を出力する。また、コントローラ36は、ROM,RAM等からなるメモリ36Aを有し、このメモリ36A内には、例えば信号出力回路29からの安全回路27が作動した旨の情報(信号)が機器不調情報として記憶される。
37はキャブ7内で運転席の近傍に設けられたモニタ装置で、該モニタ装置37は、コントローラ36に接続され、コントローラ36からの信号等に基づいて、オペレータに対して運転情報、注意情報、警報情報等を報知するものである。このために、モニタ装置37は、運転情報、注意情報等を表示するモニタ37Aと、警報音等を発するスピーカ37B等を含んで構成されている。
本実施の形態による電動式の油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
オペレータがキャブ7に搭乗し、キースイッチ32をONすると、外部電源10からの電力によって電動モータ9が回転する。具体的には、キースイッチ32がONされると、始動停止制御回路31からの信号に基づいて始動停止回路28が切換わり、スターデルタ方式で電動モータ9が始動される。そして、電動モータ9は、供給電力の周波数(50Hz、60Hz)に応じた回転数で回転し、この電動モータ9の回転により油圧ポンプ11が駆動される。
この状態で、キャブ7の運転席に着席したオペレータが走行レバー・ペダルを操作することにより、下部走行体2を自走させて油圧ショベル1を移動させることができる。また、オペレータが操作レバーを操作することにより、上部旋回体4を旋回させつつ作業装置5によって土砂等の掘削作業を行うことができる。
また、運転中に、例えば過負荷電流等の電気的異常により安全回路27が作動すると、安全回路27からその旨の信号が、信号出力回路29を介してコントローラ36に入力される。コントローラ36は、モニタ装置37に、安全回路27が作動した旨の注意表示、警報表示、警報音等を発する旨の信号を出力する。これにより、オペレータに対して安全回路27が作動した旨の機器不調情報を報知することができる。
ところで、前述した従来構造のように、モータ制御装置を機械室よりも前側でエンジンが搭載される車両であれば燃料タンクが取付けられる部位に配置する構成とした場合は、電動モータおよび油圧ポンプの周囲を通過して温度上昇した冷却風によってモータ制御装置が加温され、冷却性を確保しにくくなる虞がある。これに対し、本実施の形態によれば、モータ制御装置23(の安全回路27、始動停止回路28等を収容する収容ボックス24)を電動モータ9の近傍で油圧ポンプ11と熱交換器14との間に配置する構成としている。このため、モータ制御装置23の冷却を、熱交換器14や電動モータ9を冷却するための冷却風Fを用いて行うことができる。
この場合、モータ制御装置23は、冷却風Fの流れ方向に関し油圧ポンプ11よりも上流側で熱交換器14よりも下流側に配置されているので、モータ制御装置23を、電動モータ9からの放出熱や油圧ポンプ11からの放出熱によって高温となる前の冷却風Fによって冷却することができる。これにより、モータ制御装置23の熱負荷を低減することができ、冷却性を向上することができる。
しかも、電動モータ9とモータ制御装置23とを近接させることができるため、モータ制御装置23と電動モータ9と間の配線を短くすることもでき、配線の取回し作業を含む配線作業の容易化を図ることができる。さらに、モータ制御装置23の安全回路27、始動停止回路28等を収容する収容ボックス24に、外部電源10に通じる外部ケーブル21Aが接続される接続端子26を設けているため、該接続端子26とこれを収容する端子ボックスとを収容ボックス24とは別個に設ける構成に比べ、部品点数の低減によるコストの低減を図ることができる。
本実施の形態によれば、モータ制御装置23を機械室18内に配置する構成としているので、高電圧・高電流が流れるモータ制御装置23や給電ケーブル21を機械室18内に隔離することができる。これにより、オペレータや作業員をモータ制御装置23や給電ケーブル21に近付きにくくすることができ、電気的安全性を向上することができる。
しかも、機械室18は、電動モータ9を収容するため、機械室18内への水の浸入を防止する防水処理がされるが、このように機械室18が防水処理されることにより、モータ制御装置23の収容ボックス24の防水処理を省略ないし簡素化しても、モータ制御装置23の防水性を確保することができる。これにより、防水処理に用いるシール材の低減等によるコストの低減を図ることができる。
本実施の形態によれば、モータ制御装置23の収容ボックス24を機械室18内で隔壁16に取付ける構成としているので、モータ制御装置23を隔壁16に十分な支持強度で取付けることができる。
次に、図8ないし図13は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、モータ制御装置を電動モータに取付ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、41は電動モータを示し、該電動モータ41は、旋回フレーム6上に防振ゴム、防振マウント等の防振部材41Aを介して防振支持されている。ここで、電動モータ41の上部側には、後述するモータ制御装置44の収容ボックス45が取付けられる取付台41Bが設けられている。
42は外装カバーを示し、該外装カバー42は、ケーブル挿通孔42A1が設けられた開閉カバー42A、空気の吸入口42B1が設けられた左側面カバー42B、空気の排出口42C1が設けられた右側面カバー42C、電動モータ41の下側を覆うアンダーカバー42D等により構成されている。ここで、開閉カバー42Aのケーブル挿通孔42A1は、開閉カバー42Aの後部側、即ち、カウンタウエイト8寄りでキャブ7から可及的遠くなる部位に設けられている。換言すれば、本実施の形態では、エンジンが搭載される油圧ショベルであれば、エンジンの排気ガスを排出するための排気尾管が挿通される尾管挿通孔を、ケーブル挿通孔42A1として用いている。
43は外部電源10と電動モータ41との間を電気的に接続する給電ケーブルを示し、該給電ケーブル43は、外部電源10と後述するモータ制御装置44の収容ボックス45との間に配設される外部ケーブル43A等を含んで構成されている。ここで、本実施の形態では、モータ制御装置44の収容ボックス45を電動モータ41に取付ける構成としたことに伴って、上述した第1の実施の形態で設けられていたモータ接続ケーブル21B、モータ端子ボックス34、接続端子35(図5および図7参照)を省略することができる。これにより、配線の短縮化、省略可、部品点数の低減、配線作業の容易化による、コストの低減を図ることができる。
44は電動モータ41への給電を制御するモータ制御装置で、該モータ制御装置44は、安全回路27、始動停止回路28、信号出力回路29および始動停止制御回路31を収容ボックス45内にまとめて配置する構成としている。そして、収容ボックス45は、機械室18内の電動モータ9の近傍で油圧ポンプ11と熱交換器14との間、即ち、冷却風Fの流れ方向に関し油圧ポンプ11よりも上流側で熱交換器14よりも下流側に配置されている。
この場合、収容ボックス45は、機械室18内に位置して電動モータ41の上部に取付けられている。即ち、収容ボックス45は、電動モータ41の取付台41Bにブラケット(図示省略)を介して取付けられている。この場合、収容ボックス45とコントローラ36等との間には、接続ケーブル46が配設されている。
本実施の形態は、上述の如きモータ制御装置44を用いて電動モータ41の運転制御(給電制御)を行うもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
特に、本実施の形態の場合は、モータ制御装置44の収容ボックス45を機械室18内の電動モータ41に取付ける構成としているので、該電動モータ41にモータ制御装置44を十分な支持強度で取付けることができる。この場合に、電動モータ41とモータ制御装置44とを一つの組立体として取扱うことができ(アッセンブリ化することができ)、組立性の向上を図ることができる。
また、モータ制御装置44の収容ボックス45と電動モータ41との間に接続ケーブル(第1の実施の形態のモータ接続ケーブル21B)を配設する必要がなくなると共に、該接続ケーブルを接続するための接続端子(第1の実施の形態の接続端子35)とこれを収容する端子ボックス(第1の実施の形態のモータ端子ボックス34)等を省略することができる。これにより、この面からも配線作業の容易化、コストの低減を図ることができる。
さらに、電動モータ41は、旋回フレーム6に防振部材41Aを介して防振支持されているため、これに取付けられたモータ制御装置44も合せて防振性を確保することができる。
次に、図14は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、モータ制御装置の収容ボックスの外面に放熱フィンを設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1および第2の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51はモータ制御装置で、該モータ制御装置51は、安全回路27、始動停止回路28、信号出力回路29および始動停止制御回路31を収容ボックス52内にまとめて配置する構成としている。そして、収容ボックス52は、上述した第2の実施の形態の収容ボックス45と同様に、機械室18内に位置して電動モータ41の上部に取付けられている。また、収容ボックス52の外面には、収容ボックス52の外面の表面積を増大させるための薄板状の放熱フィン52Aを設けている。この場合、放熱フィン52Aは、直方体状の収容ボックス52の上面と下面を除く残りの4側面(前面、後面、左面、右面)に、冷却風Fの流れ方向と平行に複数(図示の例では5枚)設けられている。
本実施の形態は、上述の如きモータ制御装置51を用いて電動モータ41の運転制御(給電制御)を行うもので、その基本的作用については、上述した第1および第2の実施の形態によるものと格別差異はない。
特に、本実施の形態の場合は、モータ制御装置51の収容ボックス52の外面に放熱フィン52Aを設ける構成としているので、モータ制御装置51の冷却性の更なる向上を図ることができる。
次に、図15ないし図17は本発明の第4の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、モータ制御装置を動力ボックスと制御ボックスとの2つの収容ボックスを有する構成とすると共に、動力ボックスを機械室の電動モータに取付け、制御ボックスを機械室外に配置する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1ないし第3の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、61は電動モータを示し、該電動モータ61は、旋回フレーム6上に防振ゴム、防振マウント等の防振部材61Aを介して防振支持されている。ここで、電動モータ61の上部側には、後述するモータ制御装置62の動力ボックス63が取付けられる取付台61Bが設けられている。
62は電動モータ61への給電を制御するモータ制御装置で、該モータ制御装置62は、安全回路27、始動停止回路28、信号出力回路29および始動停止制御回路31を収容する収容ボックスとして、動力ボックス63と制御ボックス64との2つの収容ボックスを有する構成としている。具体的には、モータ制御装置62は、外部電源10から給電ケーブル43を介して比較的高電圧(例えば400Vの三相交流電力)が導通する安全回路27と始動停止回路28とを収容する動力ボックス63と、車載バッテリ20から比較的低電圧(例えば24Vの直流電力)が導通する信号出力回路29と始動停止制御回路31とを収容する制御ボックス64とに分割して配置する構成としている。
動力ボックス63と制御ボックス64は、何れも、上述した第1ないし第3の実施の形態の収容ボックス24,45,52よりもそれぞれが小型で略直方体状の中空箱体として形成されている。ここで、動力ボックス63には、外部電源10に通じる外部ケーブル43Aが接続される接続端子26が設けられると共に、安全回路27と始動停止回路28とが収容されている。
そして、動力ボックス63と制御ボックス64とのうち少なくとも動力ボックス63は、機械室18内に位置して電動モータ61の上部に取付けられている。即ち、動力ボックス63は、電動モータ61の取付台61Bにブラケット(図示省略)を介して取付けられている。これにより、比較的高電圧が導通する安全回路27および始動停止回路28を収容する動力ボックス63は、油圧ポンプ11と熱交換器14との間、即ち、冷却風Fの流れ方向に関し油圧ポンプ11よりも上流側で熱交換器14よりも下流側に配置されている。
一方、制御ボックス64には、信号出力回路29と始動停止制御回路31とが収容されている。そして、制御ボックス64は、機械室18外、より具体的には、旋回フレーム6上で機械室18(隔壁16)よりも前側、かつ、作動油タンク12より右側、換言すれば、エンジンが搭載される油圧ショベルであれば燃料タンクが取付けられる部位に配置している。この場合、動力ボックス63と制御ボックス64との間には、接続ケーブル65が配設され、制御ボックス64とコントローラ36等との間には、別の接続ケーブル66が配設されている。
なお、図示は省略するが、制御ボックス64は、作動油タンク12の右側に代えて、例えばキャブ7内に配置する構成としてもよい。また、動力ボックス63と制御ボックス64との両方を、機械室18内の電動モータ61に取付ける構成としてもよい。また、動力ボックス63と制御ボックス64との両方を、機械室18内の隔壁16に取付ける構成としてもよい。
本実施の形態は、上述の如きモータ制御装置62を用いて電動モータ61の運転制御(給電制御)を行うもので、その基本的作用については、上述した第1ないし第3の実施の形態によるものと格別差異はない。
特に、本実施の形態の場合は、モータ制御装置62は、比較的高電圧が導通する安全回路27と始動停止回路28とを収容する動力ボックス63と、比較的低電圧が導通する信号出力回路29と始動停止制御回路31とを収容する制御ボックス64とに分割し、これら動力ボックス63と制御ボックス64とを別々の位置に配置する構成としている。このため、1つの収容ボックスに必要な回路を一まとめに収容する構成と比較して、動力ボックス63と制御ボックス64とをそれぞれ小型に構成することができる。この場合、例えば1つの収容ボックスに必要な回路を一まとめに収容する構成では搭載できないような小型の車体にも、それぞれが小型の動力ボックス63と制御ボックス64とを別々の位置に配置することにより搭載することが可能になる。これにより、モータ制御装置62の搭載の自由度、レイアウト性を向上することができる。
また、動力ボックス63に収容される安全回路27や始動停止回路28は、車格や車種、搭載される電動モータ61の仕様(性能、出力)等に応じて、その回路を流れる電流値等が相違するため、その電流値等に合った部品や回路を用いて構成する必要がある。このため、安全回路27や始動停止回路28は、搭載される電動モータ61の仕様に応じて部品構成、回路構成、外径寸法等が変化し、これに伴って動力ボックス63の大きさも変化する可能性がある。これに対し、制御ボックス64に収容される信号出力回路29や始動停止制御回路31は、車格や車種、搭載される電動モータ61の仕様等が相違しても、同じ動作を行う回路として同じものを用いることができる。これにより、信号出力回路29や始動停止制御回路31、制御ボックス64の共通化、量産化によるモータ制御装置62のコストの低減を図ることができる。
しかも、動力ボックス63を機械室18内の電動モータ61に取付ける構成としているので、上述した第1ないし第3の実施の形態の収容ボックス24,45,52と同様に、比較的高電圧が導通する安全回路27および始動停止回路28を収容する動力ボックス63の冷却性の確保、防水処理の省略ないし簡素化、アッセンブリ化、防振性の確保等を図ることができる。これと共に、制御ボックス64を機械室18外に配置する構成としているので、制御ボックス64のレイアウトの自由度を確保することができる。
なお、図示は省略するが、動力ボックス63と制御ボックス64との両方を、機械室18内の電動モータ61または隔壁16に取付ける構成とした場合には、動力ボックス63と制御ボックス64の冷却性の確保、防水処理の省略ないし簡素化、アッセンブリ化、防振性の確保等を図ることができる。また、動力ボックス63と制御ボックス64とを近接させることができるから、動力ボックス63と制御ボックス64との間の配線を短くすることができ、配線の取回し作業を含む配線作業の容易化を図ることができる。
次に、図18ないし図20は本発明の第5の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、モータ制御装置を動力ボックスと制御ボックスとを有する構成とすると共に、さらに、動力ボックスを、接続端子と第1の安全回路とを収容する第1の動力ボックスと、第2の安全回路と始動停止回路とを収容する第2の動力ボックスとを有する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1ないし第4の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、71は電動モータを示し、該電動モータ71は、旋回フレーム6上に防振ゴム、防振マウント等の防振部材71Aを介して防振支持されている。ここで、電動モータ71の上部側には、後述する第2の動力ボックス76が取付けられる取付台71Bが設けられている。
72は外部電源10と電動モータ71との間を電気的に接続する給電ケーブルを示し、該給電ケーブル72は、外部電源10と後述する第1の動力ボックス75との間に配設される外部ケーブル72A、第1の動力ボックス75と第2の動力ボックス76との間に配設される動力ボックス接続ケーブル72B等を含んで構成されている。
73はカウンタウエイト8に取付けられたケーブルスタンドで、該ケーブルスタンド73は、給電ケーブル72の外部ケーブル72Aを支持すると共に、後述の第1の動力ボックス75が取付けられるものである。ここで、ケーブルスタンド73は、支柱73Aと、該支柱73Aを中心として揺動する支持横棒73Bとにより大略構成されている。支柱73Aの上端部と支持横棒73Bの先端部には、それぞれ外部ケーブル72Aの途中部位を把持する把持部材73Cが設けられている。そして、支柱73Aには、支持横棒73Bよりも下側に位置して後述する第1の動力ボックス75がボックス取付部73Dを介して取付けられている。
74は電動モータ71への給電を制御するモータ制御装置で、該モータ制御装置74は、第1の動力ボックス75、第2の動力ボックス76、制御ボックス77を有する構成としている。そして、第1の動力ボックス75は、機械室18外、具体的には、ケーブルスタンド73の支柱73Aに取付けられている。一方、第2の動力ボックス76は、機械室18内、具体的には、機械室18内に位置して電動モータ71の上部(取付台71B)にブラケット(図示せず)等を介して取付けられている。これにより、第2の動力ボックス76は、油圧ポンプ11と熱交換器14との間、即ち、冷却風Fの流れ方向に関し油圧ポンプ11よりも上流側で熱交換器14よりも下流側に配置されている。
この場合、第1の動力ボックス75には、外部電源10に通じる外部ケーブル72Aが接続される接続端子78と、後述する第1の安全回路82とが収容されている。一方、第2の動力ボックス76には、後述する第2の安全回路83と、上述した第1ないし第4の実施の形態と同様の始動停止回路28とが収容されている。
また、制御ボックス77は、上述した第4の実施の形態の制御ボックス64と同様に、機械室18外、より具体的には、旋回フレーム6上で機械室18(隔壁16)よりも前側、かつ、作動油タンク12より右側、換言すれば、エンジンが搭載される油圧ショベルであれば燃料タンクが取付けられる部位に配置している。
この場合、第1の動力ボックス75と制御ボックス77との間には、第1の接続ケーブル79(図20中にのみに図示)が配設されている。第2の動力ボックス76と制御ボックス77との間には、第2の接続ケーブル80が配設されている。制御ボックス77とコントローラ36等との間には、第3の接続ケーブル81が配設されている。
82は第1の動力ボックス75に収容された第1の安全回路を示している。この第1の安全回路82は、給電ケーブル72の途中に設けられ、後述する第2の安全回路83と共に電気的異常から電動モータ71を保護する安全回路を構成するものである。このために、第1の安全回路82には、短絡、漏電を含む電気的異常が発生したときに給電ケーブル72を遮断するブレーカ82A等が設けられている。
83は第2の動力ボックス76に収容された第2の安全回路を示している。この第2の安全回路83も、給電ケーブル72の途中に設けられ、第1の安全回路82と共に電気的異常から電動モータ71を保護する安全回路を構成するものである。このために、第2の安全回路83には、給電ケーブル72に過負荷電流が生じたときに該給電ケーブル72を遮断するサーマルリレー83A等が設けられている。
本実施の形態は、上述の如きモータ制御装置74を用いて電動モータ71の運転制御(給電制御)を行うもので、その基本的作用については、上述した第1ないし第4の実施の形態によるものと格別差異はない。
特に、本実施の形態の場合は、第1の動力ボックス75と第2の動力ボックス76とを有する構成としている。即ち、動力ボックス75,76は、外部電源10に通じる外部ケーブル72Aが接続される接続端子78とブレーカ82Aが設けられた第1の安全回路82とを収容する第1の動力ボックス75と、サーマルリレー83Aが設けられた第2の安全回路83と始動停止回路28とを収容する第2の動力ボックス76とに分割して車体(上部旋回体4)に配置する構成としている。この場合、外部ケーブル72Aを機械室18外のケーブルスタンド73に配置された第1の動力ボックス75に容易に取付けることができ、外部ケーブル72Aの接続作業の容易化を図ることができる。
なお、上述した各実施の形態では、油圧ショベル1の外部にある商用電源等の外部電源10から給電ケーブル21,43,72を介して電動モータ9,41,61,71に給電する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、リチウムイオンバッテリ等の大容量のバッテリ電源(蓄電池)を車体に搭載し、該車体に搭載されたバッテリ電源から給電ケーブルを介して電動モータに給電する構成としてもよい。この場合には、例えば直流バッテリ電圧を交流電圧に変化して電動モータに給電するために、電動モータの始動と停止を行う始動停止回路としてインバータ回路を用いることができる。
上述した第4および第5の実施の形態では、制御ボックス64,77を旋回フレーム6上で機械室18(隔壁16)よりも前側、かつ、作動油タンク12より右側(エンジンが搭載される油圧ショベルであれば燃料タンクが取付けられる部位)に配置する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、制御ボックスを、オペレータが搭乗するキャブ内やキャブの近傍、車体の前側に設けられるユーティリティー室等、機械室外の他の部位に配置してもよい。
また、制御ボックスは、動力ボックスと共に、電動モータの近傍で油圧ポンプと熱交換器との間、即ち、冷却風の流れ方向に関し油圧ポンプよりも上流側で熱交換器よりも下流側に配置することもできる。即ち、制御ボックスと動力ボックスとを何れも、機械室内に位置して隔壁または電動モータに取付ける構成としてもよい。
上述した各実施の形態では、電気的異常から電動モータ9,41,61,71等の保護を行う安全回路27,82,83として、ブレーカ27A,82Aとサーマルリレー27B,83Aを用いる構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、安全回路として、例えば、過負荷状態、不足電圧状態、過電圧状態、地絡、短絡等の電気的異常から電動モータおよびモータ制御装置を保護することができる各種の保護機器、保護回路を用いることができる。
上述した各実施の形態では、電動モータ9,41,61,71の始動と停止を行う始動停止回路28として、スターデルタ回路28Aを用いる構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、始動停止回路として、例えば、リアクトル回路、インバータ回路等、少なくとも電動モータの始動と停止とを行うことができる各種の機器、回路を用いることができる。
上述した第3の実施の形態では、安全回路27、始動停止回路28、信号出力回路29および始動停止制御回路31を収容した収容ボックス52の外面に放熱フィン52Aを設ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、動力ボックスと制御ボックスとを有する構成で、動力ボックスの外面(と必要に応じて制御ボックスの外面と)に放熱フィンを設ける構成としてもよい。また、第1の動力ボックスと第2の動力ボックスとを有する構成で、第2の動力ボックスの外面(と必要に応じて第1の動力ボックスの外面と)に放熱フィンを設ける構成としてもよい。
上述した各実施の形態では、上部旋回体4のカウンタウエイト8に取付けたケーブル支持部材としてのケーブルスタンド22,73を介して給電ケーブル21,43,72を上部旋回体4内に引込む構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、下部走行体にケーブルスタンド、ケーブルリール等のケーブル支持部材を取付けると共に、下部走行体と上部旋回体との間にスリップリングを設け、下部走行体側からケーブル支持部材、スリップリングを介して給電ケーブルを上部旋回体内に引込む構成としてもよい。
このような下部走行体側から給電ケーブルを引込む構成とした場合は、上述した第5の実施の形態のように、モータ制御装置の動力ボックスを第1の動力ボックスと第2の動力ボックスとを有する構成とし、第1の動力ボックスを下部走行体側に配置し、第2の動力ボックスを上部旋回体側に配置する構成とすることができる。この構成によれば、外部ケーブルを機械室外に配置された第1の動力ボックスに容易に取付けることができ、外部ケーブルの接続作業の容易化を図ることができる。
上述した各実施の形態では、電動式建設機械としてクローラ式の油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の油圧ショベル、ホイールローダ等の他の建設機械にも広く適用することができる。さらに、フォークリフト、リフトトラック等の産業機械やトラクタ等の農業機械を含む各種の作業を行う作業機械に適用することができる。