JP6752125B2 - 電動式建設機械 - Google Patents

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Description

本発明は、油圧ポンプの駆動源として電動モータを備えた電動式建設機械に係り、特に、外部電源からの交流電力を電動モータに供給する電動式建設機械に関する。
一般に、電動式油圧ショベルを代表例とする電動式建設機械は、低振動、低騒音のため市街地での作業に適した建設機械であることに加えて、規制が厳しくなっている排気ガスの問題が無く、環境性能が良い建設機械として注目されている。
このような電動式建設機械は、自走可能な車体と、外部の交流電源から給電ケーブルを介して給電されることにより回転する電動モータと、この電動モータによって駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出する圧油により駆動される油圧アクチュエータと、電動モータの運転(給電制御)を行うモータ制御装置(制御盤)とにより大略構成されている(例えば、特許文献1)。
特開2013−234474公報
特許文献1に記載の電動式油圧ショベルは、エンジン式油圧ショベルの駆動源であるエンジンを電動モータに置き換えた構成を有しており、電動モータ以外の油圧回路や電気回路等の構成は、コストや信頼性の観点から、実績があり生産台数の多いエンジン式油圧ショベルと同じものを使用している。
ここで、電動モータを始動するモータ制御装置の電源は、エンジン式油圧ショベルにも搭載されている車載バッテリである。車載バッテリの充電は、エンジン式油圧ショベルの場合はエンジンに取り付けられたオルタネータで発電することにより行うのに対し、上記電動式油圧ショベルの場合は電動モータに取り付けられたオルタネータで発電することにより行う。
しかし、上記のように従来の電動式油圧ショベルは、電動モータにオルタネータを取り付けて発電し、車載バッテリを充電しており、車体の長期休車や電動モータ停止後のキーオフ忘れ等により、車載バッテリの電圧が低下する。そして、車載バッテリの電圧が電動モータの始動停止を制御する始動停止制御回路の作動電圧を下回ると、始動停止回路を作動させることができなくなるため、電動モータの始動ができなくなる。これにより、オルタネータで発電することができなくなり、車載バッテリの充電が行われない状態になる。その結果、電動式油圧ショベルを起動できなくなってしまう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車載バッテリの電圧が低下した状態でも油圧ポンプの駆動源である電動モータを始動することができる電動式建設機械を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、車体と、外部電源から交流電力を供給されることにより回転する電動モータと、前記外部電源の電源接続ケーブルを前記車体に接続するための接続端子と、前記電動モータによって駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出される圧油により駆動される油圧アクチュエータと、前記電動モータを制御するモータ制御装置と、前記電動モータの始動を指示するためのキースイッチと、前記モータ制御装置に電源を供給する車載バッテリと、前記車体の非稼働時に前記車載バッテリの電力で作動する少なくとも1つの車載機器とを備え、前記モータ制御装置は、前記電動モータの始動及び停止を行う始動停止回路と、前記接続端子と前記始動停止回路とを接続する第1交流給電ケーブルと、前記始動停止回路と前記電動モータとを接続する第2交流給電ケーブルと、前記キースイッチからの入力信号に応じて前記始動停止回路を制御する始動停止制御回路とを備え、前記キースイッチ、前記始動停止制御回路及び前記車載機器は、第1直流電力線を介して前記車載バッテリに接続された電動式建設機械において、前記モータ制御装置は、入力側が第3交流給電ケーブルを介して前記第1交流給電ケーブルに接続されたAC−DCコンバータを更に備え、前記AC−DCコンバータは、出力側が第2直流電力線を介して前記第1直流電力線に接続され、前記第3交流給電ケーブルを介して入力される交流電力を前記車載バッテリの電圧よりも高い電圧の直流電力に変換して前記第2直流電力線に出力するものとする。
以上のように構成した本発明においては、外部電源の電源接続ケーブルが車体の接続端子に接続され、外部電源から交流電力が供給されると、その交流電力がAC−DCコンバータによって車載バッテリよりも高い電圧の直流電力に変換され、その直流電力が第2直流電力線を介して第1直流電力線に供給される。これにより、第1直流電力線に接続されている始動停止制御回路及びキースイッチには、車載バッテリからではなくAC−DCコンバータから直流電力が供給されるため、車載バッテリの電圧が始動停止制御回路及びキースイッチの作動電圧を下回っている状態でも、始動停止制御回路及びキースイッチを作動させることができ、電動モータを始動することが可能となる。
本発明によれば、外部電源からの交流電力を電動モータに供給する電動式建設機械において、車載バッテリの電圧が低下した状態でも油圧ポンプの駆動源である電動モータを始動することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る電動式油圧ショベルを示す正面図である。 作業装置を省略して電動式油圧ショベルを示す拡大平面図である。 外装カバーの一部を取外した状態で電動式油圧ショベルを示す図2と同様位置の拡大平面図である。 外部電源、安全回路、始動停止回路、信号出力回路、始動停止制御回路、電動モータ等を含む回路構成図である。
以下、本発明に係る電動式建設機械の制御回路の一実施形態について図面に基づき説明する。
図1〜図4は本発明の一実施形態を示している。図中、油圧ショベル1は、電動式の油圧ショベルであり、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、旋回輪3を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前端側に設けられた作業装置5とにより大略構成されている。そして、油圧ショベル1の車体は、下部走行体2と上部旋回体4とにより構成され、上部旋回体4には動力源として後述の電動モータ9が搭載されている。
下部走行体2には走行モータが設けられると共に、上部旋回体4には旋回モータ(いずれも図示せず)が設けられている。そして、下部走行体2は走行モータによって前進、後進等の走行動作を行い、上部旋回体4は旋回モータによって旋回動作するものである。
作業装置5は、ブーム5A、アーム5B、バケット(作業具)5C等によって構成され、ブーム5A、アーム5B、バケット5Cにはブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ(作業具シリンダ)5F等の油圧シリンダが取り付けられている。そして、これらのシリンダ5D,5E,5Fは、走行モータや旋回モータ等の油圧モータと共に、後述の油圧ポンプ11から吐出する圧油により駆動される油圧アクチュエータである。
上部旋回体4の支持構造体を形成する支持フレームとしての旋回フレーム6には、後述のキャブ7、カウンタウエイト8、電動モータ9、油圧ポンプ11、熱交換器14、車載バッテリ18等が搭載されている。
旋回フレーム6の左前側には、キャブ7が搭載されている。このキャブ7は、オペレータが搭乗する運転室を内部に画成している。キャブ7の内部には、運転席、走行レバー・ペダル、操作レバー、後述のキースイッチ31、非常停止スイッチ32、信号コントローラ35、モニタ装置36(図4参照)等が配設されている。
旋回フレーム6の後端部には、カウンタウエイト8が取り付けられている。このカウンタウエイト8は、後述する電動モータ9よりも車体(上部旋回体4)の前,後方向の後側に配置され、作業装置5との重量バランスをとるものである。カウンタウエイト8の後面側は、図2に示すように円弧状をなして形成されている。カウンタウエイト8の上面には、後述するケーブルスタンド21が取り付けられている。
電動モータ9は、カウンタウエイト8の前側に位置して旋回フレーム6上に搭載されている。この電動モータ9は、例えば三相誘導電動機からなり、後述する油圧ポンプ11の駆動源を構成している。また、電動モータ9は、旋回フレーム6上に防振ゴム、防振マウント等の防振部材(図示せず)を介して防振支持されている。
電動モータ9は、例えば400Vの三相交流電力を供給する商用電源等の外部電源10(図4参照)から後述の給電ケーブル19を介して給電されることにより回転し、油圧ポンプ11を駆動するものである。電動モータ9の運転制御(給電制御)は、後述するモータ制御装置23により行われる。
油圧ポンプ11は、電動モータ9の左,右方向の一側となる右側に位置して旋回フレーム6上に搭載されている。この油圧ポンプ11は、例えば可変容量型油圧ポンプからなり、旋回フレーム6の前部右側に配設された作動油タンク12と共に油圧源を構成している。ここで、油圧ポンプ11は、電動モータ9の右側にカップリング等の動力伝達装置13を介して取り付けられ、この動力伝達装置13により電動モータ9の回転出力が伝達される。
油圧ポンプ11は、電動モータ9によって駆動されることにより、作動油タンク12から吸込んだ作動油を、高圧な圧油として吐出するものである。油圧ポンプ11から吐出した圧油は、油圧ショベル1に搭載された走行モータ、旋回モータ、ブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5F等の各種の油圧アクチュエータに供給される。
熱交換器14は、電動モータ9を挟んで油圧ポンプ11とは反対側となる左側に設けられている。この熱交換器14は、後述の冷却ファン15に対面するように旋回フレーム6に搭載されている。熱交換器14は、温度上昇した各種の流体を冷却風により冷却するもので、例えば、油圧アクチュエータ(走行モータ、旋回モータ、ブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5F等)からの戻り油の冷却を行うオイルクーラ、キャブ7内の室内機(図示せず)から供給される冷媒の冷却を行うコンデンサ等を含んで構成されている。
電動モータ9の左,右方向の他側となる左側(熱交換器14と同じ側)には、熱交換器14に対面して冷却ファン15が配置されている。この冷却ファン15は、電動モータ9を動力源として回転駆動されることにより、外気を冷却風として導入し、当該冷却風を、熱交換器14、電動モータ9等に供給するものである。
旋回フレーム6には、キャブ7の後側から側方にわたって外装カバー16が取り付けられている。この外装カバー16は、電動モータ9、油圧ポンプ11、熱交換器14等を収容するための機械室17を画成するものである。ここで、外装カバー16は、電動モータ9の上側を覆う上部カバー16A、側面を覆う側面カバー16B等により構成されている。上部カバー16Aの前部側には、後述する電源接続ケーブル19Aが接続される、後述する端子箱22が設けられている。
車載バッテリ18は、旋回フレーム6に搭載されている。この車載バッテリ18は、電気エネルギを貯え、後述するモータ制御装置23、キースイッチ31、非常停止スイッチ32、信号コントローラ35、モニタ装置36、油圧ショベル1に搭載される各種の照明具(図示せず)、油圧駆動系の制御に用いられる電磁弁(図示せず)、後述する情報コントローラ20をはじめとする電子部品等の各種電気機器の電源となるものである。上述した各種電気機器は、第1直流電力線37を介して車載バッテリ18に接続されている。車載バッテリ18は、例えば24Vの直流電力を、モータ制御装置23等を含む各種電気機器に供給するもので、例えば12Vの直流バッテリを2個直列に接続することにより構成されている。
外部電源10と電動モータ9との間は、後述するモータ制御装置23を介して給電ケーブル19により電気的に接続される。この給電ケーブル19は、外部電源10と後述する端子箱22との間に配設される電源接続ケーブル19Aと、端子箱22と後述する接続端子24との間に配設される内部接続ケーブル(第1交流給電ケーブル)19Bと、接続端子24と後述する安全回路25との間に配設される内部接続ケーブル(第1交流給電ケーブル)19C、安全回路25と後述する始動停止回路26との間に配設される内部接続ケーブル(第1交流給電ケーブル)19Dと、始動停止回路26と後述するモータ端子ボックス33との間に配設される内部接続ケーブル(第2交流給電ケーブル)19Eと、モータ端子ボックス33と電動モータとの間に配設されるモータ接続ケーブル(第2交流給電ケーブル)19Fとを含んで構成されている。ここで、電源接続ケーブル19Aは、後述するケーブルスタンド21に支持され、上部カバー16A上面に固定された端子箱22内の接続端子22Aに接続される。
カウンタウエイト8の上部には、電源接続ケーブル19Aを支持するためのケーブルスタンド21が取り付けられている。このケーブルスタンド21は、上,下方向に延びカウンタウエイト8に固定された支柱21Aと、この支柱21Aを揺動中心とする水平方向(左,右方向)の揺動を可能に支柱21Aに設けられた支持横棒21Bとにより大略構成されている。そして、支柱21Aの上端部と支持横棒21Bの先端部には、それぞれ電源接続ケーブル19Aの途中部位を把持する把持部材21Cが設けられている。図2中に仮想線(二点鎖線)で示すように、ケーブルスタンド21は、油圧ショベル1の動きに応じて支持横棒21Bが支柱21Aを中心に揺動することにより、電源接続ケーブル19Aに過剰な力が加わることを抑制しつつ、電源接続ケーブル19Aが油圧ショベル1に巻き込まれることを防止するものである。
外装カバー16の上部カバー16Aには、端子箱22が取り付けられている。この端子箱22の出力側には、油圧ショベル1に付属の内部接続ケーブル19Bが接続されている。一方、端子箱22の入力側には、電動式油圧ショベル1を使用する設備に付属の電源接続ケーブル19Aが接続される。端子箱22の内部には、接続端子22Aが設けられており、この接続端子22Aを介して、電源接続ケーブル19Aと内部接続ケーブル19Bとが電気的に接続される。
モータ制御装置23は、電動モータ9への給電を制御するための制御盤であり、安全回路25、始動停止回路26、AC−DCコンバータ27、信号出力回路29、始動停止制御回路30等により構成されている。また、モータ制御装置23には、内部接続ケーブル19Bを接続するための接続端子(接続コネクタ)24(図4参照)が設けられている。内部接続ケーブル19Bは、接続端子24を介して、モータ制御装置23内に収容された安全回路25、始動停止回路26及びAC−DCコンバータ27と電気的に接続されている。
安全回路25は、給電ケーブル19の途中(内部接続ケーブル19C,19Dの間)に設けられ、短絡、漏電、過負荷による電流上昇等の電気的異常から電動モータ9を保護するものである。このために、安全回路25には、短絡、漏電を含む電気的異常が発生したときに給電ケーブル19を遮断するブレーカ25A、給電ケーブル19に過負荷電流が生じたときに給電ケーブル19を遮断するサーマルリレー25B等が設けられている。なお、安全回路25は、電気的異常、即ち、過負荷状態、不足電圧状態、過電圧状態、地絡、短絡等から電動モータ9及びモータ制御装置23を保護するもので、ブレーカ25A、サーマルリレー25Bに限定されず、各種の保護機器、保護回路を用いることができる。
始動停止回路26は、給電ケーブル19の途中でかつ安全回路25の出力側(内部接続ケーブル19D,19Eの間)に設けられ、電動モータ9の始動及び停止を行うものである。このために、始動停止回路26は、スターデルタ回路26Aを用いて構成されている。ここで、スターデルタ回路26Aは、電動モータ9の始動時に、電動モータ9内のコイル(図示せず)との結線をスター結線から一定時間経過後にデルタ結線に切換えるもので、この切換えを行うための電磁開閉器(図示せず)を含んで構成されている。
即ち、電動モータ9は、始動直後で回転数が所定の回転数に到達する前、即ち、供給電力の周波数(50Hz、60Hz)に応じた回転数に到達する前は、インピーダンスが低く大電流が流れる。そこで、スターデルタ回路26Aは、上記回転数に到達する前はインピーダンスが高く電流を制御できるスター結線とし、上記回転数に到達後は、インピーダンスが低く電流を稼げるデルタ結線に切換えを行うものである。なお、始動停止回路26は、少なくとも電動モータ9の始動と停止とを行うもので、スターデルタ回路26Aに限定されず、例えば、リアクトル回路、インバータ回路等を用いることができる。
AC−DCコンバータ27は、その入力側が内部接続ケーブル(第3交流給電ケーブル)28を介して内部接続ケーブル(第1交流給電ケーブル)19Cに接続され、その出力側が第2直流電力線38を介して第1直流電力線37に接続され、内部接続ケーブル28を介して入力される高電圧の交流電力(例えば400Vの三相交流電力)を低電圧の直流電力に変換して第2直流電力線38に出力するものである。
AC−DCコンバータ27の出力電圧は、電動モータ9に従来取り付けられていたオルタネータの出力電圧と同様に、第1直流電力線37に接続されている各種電気機器の作動電圧範囲内でかつ車載バッテリ18の電圧(例えば24V)よりも高い電圧(例えば28V)に設定されている。これにより、第1直流電力線37に接続されている信号コントローラ35等の各種電気機器には、接続端子22Aに電源接続ケーブル19Aが接続されているときは、AC−DCコンバータ27から直流電力が供給され、接続端子22Aに電源接続ケーブル19Aが接続されていないときは、車載バッテリ18から直流電力が供給される。また、AC−DCコンバータ27の出力電圧は車載バッテリ18の電圧よりも高く設定されているため、電源接続ケーブル19Aが接続端子22Aに接続されている間は、AC−DCコンバータ27から出力される直流電力が車載バッテリ18に充電される。
信号出力回路29は、安全回路25に接続され、安全回路25から出力される信号を外部機器、具体的には、後述する信号コントローラ35に出力するものである。このために、信号出力回路29は、その入力側が安全回路25に接続され、その出力側が信号コントローラ35に接続されている。
信号出力回路29は、安全回路25が電気的な異常により作動した場合、例えば電動モータ9の過負荷による電流上昇によりサーマルリレー25Bの遮断が行われた場合等に、その旨の信号が入力信号として入力される。信号出力回路29は、その入力信号を信号コントローラ35への出力信号に変換し、その信号を信号コントローラ35へ出力する。信号コントローラ35は、必要に応じて、後述するモニタ装置36に注意表示、警報表示、警報音等を発する旨の信号を出力する。
始動停止制御回路30は、始動停止回路26に接続され、外部からの信号、具体的には、油圧ショベル1の始動時にオペレータによってONされるキースイッチ31からの信号、非常時にオペレータによってONされる非常停止スイッチ32からの信号、後述する信号コントローラ35からの信号等に基づいて、始動停止回路26の切換制御(スターデルタ回路26Aの電磁開閉器の開閉制御)を行うものである。
具体的には、例えばキースイッチ31からのON信号が始動停止制御回路30に入力されると、電動モータ9をスターデルタ方式で始動すべく、始動停止制御回路30からスターデルタ回路26Aの電磁開閉器に、スター結線、デルタ結線を実現するための開閉信号が出力される。一方、例えばキースイッチ31からのOFF信号や非常停止スイッチ32からのON信号が始動停止制御回路30に入力されると、電動モータ9を停止すべく、始動停止制御回路30からスターデルタ回路26Aの電磁開閉器に、電動モータ9への給電を断つ旨の開信号が出力される。このために、始動停止制御回路30の入力側は、始動停止回路26、キースイッチ31、非常停止スイッチ32、信号コントローラ35等に接続されている。また、始動停止制御回路30の出力側は、始動停止回路26、信号コントローラ35等に接続されている。
電動モータ9に交流電力を供給するためのモータ接続ケーブル19Fには、モータ端子ボックス33が取り付けられている。このモータ端子ボックス33は、内部接続ケーブル19Eを介して始動停止回路26に接続されている。モータ端子ボックス33の内部には、接続端子(接続コネクタ)34が設けられており、この接続端子34を介して、内部接続ケーブル19Eとモータ接続ケーブル19Fとが電気的に接続されている。これにより、モータ制御装置23内の安全回路25及び始動停止回路26と電動モータ9とが電気的に接続されている。
信号コントローラ35は、マイクロコンピュータ等で構成され、安全回路25が作動したときに、その作動した旨の信号(作動情報)が信号出力回路29を介して入力されると、後述のモニタ装置36に警報表示や警報音等の警報を発する旨の信号を出力するものである。このために、信号コントローラ35は、その信号入力側が信号出力回路29、始動停止制御回路30、後述するモニタ装置36等に接続され、その信号出力側が始動停止制御回路30、モニタ装置36等に接続されている。なお、信号コントローラ35は、キャブ7内以外に配置しても良い。
モニタ装置36は、キャブ7内で運転席の近傍に設けられている。このモニタ装置36は、信号コントローラ35に接続され、信号コントローラ35からの信号等に基づいて、オペレータに対して運転情報、注意情報、警報情報等を報知するものである。また、モニタ装置36は、オペレータからの指示を受け付ける入力装置としての機能を有し、オペレータの入力操作に応じて車体の情報等を表示することもできる。
情報コントローラ20は、車体の位置情報や稼働時間等の稼動情報を収集する機能と、収集した稼働情報を外部に送信する機能とを有し、サービス員等が遠隔から車体の情報や状況を把握するために用いられる。
本実施形態に係る電動式の油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
オペレータがキャブ7に搭乗し、キースイッチ31をONすると、外部電源10からの電力によって電動モータ9が回転する。具体的には、キースイッチ31がONされると、始動停止制御回路30からの信号に基づいて始動停止回路26が切換わり、スターデルタ方式で電動モータ9が始動される。そして、電動モータ9は、供給電力の周波数(50Hz、60Hz)に応じた回転数で回転し、この電動モータ9の回転により油圧ポンプ11が駆動される。
この状態で、キャブ7の運転席に着席したオペレータが走行レバー・ペダルを操作することにより、下部走行体2を自走させて油圧ショベル1を移動させることができる。また、オペレータが操作レバーを操作することにより、上部旋回体4を旋回させつつ作業装置5によって土砂等の掘削作業を行うことができる。
また、運転中に、例えば過負荷電流等の電気的異常により安全回路25が作動すると、安全回路25からその旨の信号が、信号出力回路29を介して信号コントローラ35に入力される。信号コントローラ35は、モニタ装置36に、安全回路25が作動した旨の注意表示、警報表示、警報音等を発する旨の信号を出力する。これにより、オペレータに対して安全回路25が作動した旨の機器不調情報を報知することができる。
以上のように構成した本実施形態によれば、外部電源10の電源接続ケーブル19Aが車体の接続端子22Aに接続され、外部電源10から交流電力が供給されると、その交流電力がAC−DCコンバータ27によって車載バッテリ18よりも高い電圧の直流電力に変換され、その直流電力が第2直流電力線38を介して第1直流電力線37に供給される。これにより、第1直流電力線37に接続されている始動停止制御回路30及びキースイッチ31には、車載バッテリ18からではなくAC−DCコンバータ27から直流電力が供給されるため、車載バッテリ18の電圧が始動停止制御回路30及びキースイッチ31の作動電圧を下回っている状態でも、始動停止制御回路30及びキースイッチ31を作動させることができ、電動モータ9を始動することが可能となる。
また、電源接続ケーブル19Aが車体の接続端子22Aに接続され、外部電源10から交流電力が供給されると、AC−DCコンバータ27から供給される直流電力によって第1直流電力線37に接続されている各種電気機器が作動し、かつ車載バッテリ18が充電されるため、電動モータ9に従来取り付けられていたオルタネータを省略することができ、電動モータ9の負荷を低減することが可能となる。
また、電源接続ケーブル19Aが車体の接続端子22Aに接続されておらず、外部電源10からの交流電力の供給がない状態では、車載バッテリ18から供給される直流電力により、情報コントローラ20、信号コントローラ35、モニタ装置36等の車載機器を作動させることができる。これにより、油圧ショベル1の非稼働時に、オペレータがモニタ装置36を介して車体の情報を確認したり、サービス員が情報コントローラ20との通信を介して車体の稼動情報等を把握することが可能となる。
なお、本実施形態では、AC−DCコンバータ27の入力側を接続端子24と安全回路25との間に配設された内部接続ケーブル19Cに接続したが、本発明はこれに限られず、安全回路25と始動停止回路26との間に配設された内部接続ケーブル19Dに接続させても良い。その場合、安全回路25を通してAC−DCコンバータ27に交流電力が供給されるため、短絡、漏電、過負荷による電流上昇等の電気的異常からAC−DCコンバータ27を保護することが可能となる。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。例えば、上記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
1…油圧ショベル(電動式建設機械)、2…下部走行体(車体)、3…旋回輪、4…上部旋回体(車体)、5…作業装置、5A…ブーム、5B…アーム、5C…バケット、5D…ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)、5E…アームシリンダ(油圧アクチュエータ)、5F…バケットシリンダ(油圧アクチュエータ)、6…旋回フレーム、7…キャブ、8…カウンタウエイト、9…電動モータ、10…外部電源、11…油圧ポンプ、12…作動油タンク、13…動力伝達装置、14…熱交換器、15…冷却ファン、16…外装カバー、16A…上部カバー、16B…側面カバー、17…機械室、18…車載バッテリ、19…給電ケーブル、19A…電源接続ケーブル、19B,19C,19D…内部接続ケーブル(第1交流給電ケーブル)、19E…内部接続ケーブル(第2交流給電ケーブル)、19F…モータ接続ケーブル(第2交流給電ケーブル)、20…情報コントローラ(車載機器)、21…ケーブルスタンド、21A…支柱、21B…支持横棒、21C…把持部材、22…端子箱、22A…接続端子、23…モータ制御装置、24…接続端子、25…安全回路、25A…ブレーカ、25B…サーマルリレー、26…始動停止回路、26A…スターデルタ回路、27…AC−DCコンバータ、28…内部接続ケーブル(第3交流給電ケーブル)、29…信号出力回路、30…始動停止制御回路、31…キースイッチ、32…非常停止スイッチ、33…モータ端子ボックス、34…接続端子、35…信号コントローラ(車載機器)、36…モニタ装置(車載機器)、37…第1直流電力線、38…第2直流電力線。

Claims (3)

  1. 車体と、外部電源から交流電力を供給されることにより回転する電動モータと、前記外部電源の電源接続ケーブルを前記車体に接続するための接続端子と、前記電動モータによって駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出される圧油により駆動される油圧アクチュエータと、前記電動モータを制御するモータ制御装置と、前記電動モータの始動を指示するためのキースイッチと、前記モータ制御装置に電源を供給する車載バッテリと、前記車体の非稼働時に前記車載バッテリの電力で作動する少なくとも1つの車載機器とを備え、
    前記モータ制御装置は、前記電動モータの始動及び停止を行う始動停止回路と、前記接続端子と前記始動停止回路とを接続する第1交流給電ケーブルと、前記始動停止回路と前記電動モータとを接続する第2交流給電ケーブルと、前記キースイッチからの入力信号に応じて前記始動停止回路を制御する始動停止制御回路とを備え、
    前記キースイッチ、前記始動停止制御回路及び前記車載機器は、第1直流電力線を介して前記車載バッテリに接続された電動式建設機械において、
    前記モータ制御装置は、入力側が第3交流給電ケーブルを介して前記第1交流給電ケーブルに接続されたAC−DCコンバータを更に備え、
    前記AC−DCコンバータは、出力側が第2直流電力線を介して前記第1直流電力線に接続され、前記第3交流給電ケーブルを介して入力される交流電力を前記車載バッテリの電圧よりも高い電圧の直流電力に変換して前記第2直流電力線に出力することを特徴とする電動式建設機械。
  2. 請求項1に記載の電動式建設機械において、
    前記車載機器は、前記車体の稼働情報を収集する機能と、収集した前記稼働情報を外部に送信する機能とを有する情報コントローラを含み、
    前記情報コントローラは、前記車体の非稼働時に、前記車載バッテリの電力で作動して前記収集した稼働情報を外部に送信することを特徴とする電動式建設機械。
  3. 請求項1に記載の電動式建設機械において、
    前記モータ制御装置は、前記第1交流給電ケーブルの途中に設けられた安全回路と、前記安全回路の作動情報が入力される信号出力回路とを更に備え、
    前記車載機器は、前記信号出力回路から前記作動情報が入力される信号コントローラと、前記信号コントローラから入力された前記作動情報を表示するモニタ装置とを含むことを特徴とする電動式建設機械。
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