JP2013234276A - 制電性水性ウレタン樹脂乳化物、その製造方法およびそれを用いた制電性塗料、制電性被覆物、制電性接着剤並びに制電性結合剤 - Google Patents

制電性水性ウレタン樹脂乳化物、その製造方法およびそれを用いた制電性塗料、制電性被覆物、制電性接着剤並びに制電性結合剤 Download PDF

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Abstract

【課題】熱安定性に優れ、ブリーディング、ブルーミング及び移行汚染が発生せず、かつ、優れた制電性が持続するウレタン膜を与える制電性水性ウレタン樹脂乳化物を提供することを主要な目的とする。
【解決手段】ウレタン樹脂又はウレタンプレポリマーが水に乳化してなる水性ウレタン樹脂乳化物中に、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を含ませていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般に制電性水性ウレタン樹脂乳化物及びその製造方法に関するものであり、より特定的には制電剤のブリーディングやブルーミングを起こさないように改良された制電性水性ウレタン樹脂乳化物に関する。この発明はまたそのような制電性水性ウレタン樹脂乳化物を用いた制電性塗料、制電性被覆物、制電性接着剤及び制電性結合剤に関する。
ウレタン樹脂は、ウレタン結合を有する高分子化合物の総称であり、工業的にはポリイソシアネートとポリオールとの重付加反応によって得られる。地球温暖化、大気汚染、オゾンホール、水質汚染などの地球環境汚染問題に対応して開発された、有機溶剤を用いない水系ウレタン樹脂は、ウレタン樹脂を乳化させて得られる。水系ウレタン樹脂は、非反応型と反応型に大別される。非反応型水系ウレタン樹脂はウレタン樹脂の乳化物である。反応型水系ウレタン樹脂はポリイソシアネートとポリオールの反応によって生成した末端のイソシアネート基をブロック剤で保護し乳化したものである。
水系ウレタン樹脂が使用される分野は、非常に多岐におよび、自動車・建築・木材・プラスチック用の塗料、フィルム・シート・金属・紙・皮革用のコーティング剤、繊維・フィルム・木材用の接着剤、紙・繊維・不織布・ガラス繊維用のバインダー(結合剤)などの用途に使用されている。
また、近年、ウレタン樹脂を含め、樹脂に制電性を付与することが重要になってきている。これを達成するために、界面活性剤等の帯電防止剤を樹脂成形品の表面に塗布したり、帯電防止剤を樹脂中に練り込む方法が考えられる。しかしながら、前者の方法では、長時間経過すると制電性が著しく低下するため、持続性を有する高制電性樹脂として、実用化には供し難い。一方、後者の方法では、帯電防止剤と樹脂との相溶性が悪く、帯電防止剤が成形品の表面にブリーディングやブルーミングしてしまい、制電効果が低下するという問題がある。
また、界面活性剤などの帯電防止剤は、湿度依存性があり、低湿度下では、制電効果が失活する、あるいは、樹脂を成形した後に、帯電防止効果が発現するまでに最低1〜3日掛かり、遅効性であるという問題がある。
一方、カーボンブラックやカーボンファイバーなどを樹脂に練りこむ方法が提案されている。この方法によると、帯電防止性に優れ、帯電防止性に持続性がある樹脂組成物が得られる。しかし、この方法では、透明な成形品が得られなかったり、成形品の色の選択が制限されるなどの問題がある。
本発明者らは、制電防止剤の研究の一貫として、既にアルカリ金属またはアルカリ土類金属であるカチオン、及びイオン解離可能なカチオンによって構成される金属塩類を有機化合物に溶解した溶液を、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエステルアミド樹脂、脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸系樹脂、熱可塑性エラストマー及びゴムに添加した制電性組成物を得ることを提案した(たとえば、特許文献1参照)。
また、ポリウレタンからなる塩改質静電気散逸型重合体(Salt−modified electrostatic dissipative polymers)の製造方法として、リチウムビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドを補助溶剤(co−solvents)に溶解して添加する方法が提案されている(特許文献2参照)。
国際公開WO01/79354 A1公報(特許請求の範囲) 米国特許6,140,405号 (Claim1、14及び15)
しかしながら、水系ウレタン樹脂に制電剤を添加する場合、金属塩類の種類によっては、制電性能が十分でないことが考えられる。また、過塩素酸等の金属塩類を用いると、この制電性組成物から成るフイルムやシートを用いて金属類を包装する場合、金属表面を腐食、発錆あるいは汚染するという欠点が生じることが考えられる。
また、特許文献2に記載の方法では、金属塩類を溶解するための補助溶剤(エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、N−メチル−2−ピロリドン等)が制電性組成物の成形品の表面にブリーディングやブルーミングしてしまい、製品を汚染する。また、成形品の表面を払拭することなどにより制電性が低下し、帯電防止性の耐久性が十分でない。特に、高温高湿度の雰囲気下では、ブリーディングやブルーミングが促進されるため、制電性の低下が著しいという問題点がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、熱安定性に優れ、ブリーディング、ブルーミング及び移行汚染が発生せず、湿度に依存せずに、即効性に優れ、物性の低下を招かず、かつ、優れた制電性が持続するウレタン膜を与える制電性水性ウレタン樹脂乳化物を提供することを目的とする。
この発明のさらに他の目的は、そのような制電性水性ウレタン樹脂乳化物を用いた制電性塗料、制電性被覆物、制電性接着剤及び制電性結合剤を提供することにある。
本発明に係る制電性水性ウレタン樹脂乳化物は、ウレタン樹脂又はウレタンプレポリマーが水に乳化してなる水性ウレタン樹脂乳化物において、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を含むことを特徴とする。
ウレタン樹脂乳化物(エマルション)は、通常、直径10nm〜5,000nm(0.01μm〜5μm)程度の球状のウレタン樹脂粒子が水中(親水性溶剤を含む場合もある)に分散したものである。水に分散させるための方法には、界面活性剤を乳化剤として使用した強制乳化型とウレタン樹脂中に親水基を導入した自己乳化型とがある。強制乳化型の乳化剤としては通常の界面活性剤が用いられる。
上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を水性ウレタン樹脂乳化物に含ませる方法は、水性ウレタン樹脂乳化物に、上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩の水溶液を混合することによって行ってもよいが、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を溶解した、ウレタン樹脂又はウレタンプレポリマーを水に乳化させる方法も好ましい。この方法は、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を親和性よく効率よく大量に溶け込ませることができる。
ここに、ウレタンプレポリマー (urethanprepolymer) とは、モノマーの重付加反応を適当な所で止めた中間生成物をいう。ポリマーとなる前段階にあり、硬化剤などを使用することにより容易に重合や架橋反応を起こす事ができる。
本発明に係る制電性水性ウレタン樹脂乳化物には、非反応型と反応型いずれも含まれる。非反応型水系ウレタン樹脂は、ウレタン樹脂に親水性を付与した自己乳化型、あるいは強制的に乳化したものであり、内部架橋構造体の形成やフィルム物性の発現に優れている。内部架橋構造体とは乳化されたウレタン樹脂が網目状に架橋し、高分子量化した構造体である。
反応型水系ウレタン樹脂は、イソシアネート基をブロック剤で保護したウレタン樹脂に親水性を付与した自己乳化型、あるいは強制的に乳化したものである。ブロック剤はイソシアネート基と反応して一時的に安定な化合物を作り、後からの適当な熱処理によりブロック剤が解離し、イソシアネート基が再生する。再生したイソシアネート基は自己架橋および活性水素化合物(アミノ基、水酸基、水など)との反応により、アロファネート結合、ウレタン結合などで架橋する。
ビニル基などの重合性不飽和基を導入した水系ウレタン樹脂も好ましく、これは作成したフィルムにUV(紫外線)、EB(電子線)などのエネルギー線を照射し、架橋することでフィルムの抗張力の向上を達成できる。例えば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどを添加することによって達成できる。これらは単独又は組み合わせて添加する。
高度な耐水性、耐溶剤性、耐候性、密着性などが要求される場合には、水系ウレタン樹脂の組成に官能基を導入してもよい。例えば、水系ウレタン樹脂中のカルボキシル基と各種架橋基剤の組合せにより、性能の向上を図ることができる。
上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、上記水性ウレタン樹脂乳化物に対して、0.01質量部以上、95質量部以下の割合で溶解されているのが好ましい。
上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン及びトリフルオロメタンスルホン酸イオンからなる群から選ばれた陰イオンであるのが好ましい。
上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、アルカリ金属、2A族元素、遷移金属、両性金属のいずれかの陽イオンと、上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンとからなる塩であってもよい。
上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのアルカリ金属塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドのアルカリ金属塩及びトリフルオロメタンスルホン酸のアルカリ金属塩からなる群から選ばれた塩であってもよい。
上述の制電性水性ウレタン樹脂乳化物は制電性塗料に含ませると好ましい。
上述の水性ウレタン樹脂乳化物を含む制電性被覆剤は、成形品表面で硬化させると、好ましい制電性被覆体が得られる。
上述の水性ウレタン樹脂乳化物を制電性接着剤に含ませてもよい。
上述の水性ウレタン樹脂乳化物を制電性結合剤に含ませてもよい。
本発明の他の局面に従う制電性水性ウレタン樹脂乳化物の製造方法は、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を揮発性有機溶剤に溶解させた塩溶液を準備する工程と、上記塩溶液とウレタン樹脂又はウレタンプレポリマーを混合して、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を溶解させた、ウレタン樹脂又はウレタンプレポリマーを合成する工程と、上記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を溶解させた、上記ウレタン樹脂又はウレタンプレポリマーを水に乳化させる工程と、を備える。
揮発性有機溶媒とは、常温常圧で大気中に容易に揮発する有機溶媒をいう。メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類からなる群から選ばれた揮発性有機溶媒は好ましい。この中でも、ケトン類、エステル類が特に好ましい。揮発性の有機溶媒を選んだのは、乾燥しやすく、除去が容易だからである。
本発明に係る水性ウレタン樹脂乳化物は、膜を形成すると、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が、ウレタン膜中で、ウレタン膜の物性を維持しつつ、制電性を発揮する。さらに、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、ウレタン膜を構成する分子と相溶性に優れるので、ブリーディング、ブルーミング、及び移行汚染が発生せず、湿度に依存せずに、即効性に優れ、かつ優れた制電性が持続するウレタン組成物を得ることができる。
乳化体内部でのリチウムイオンの配位の状態を示す図である。
熱安定性に優れ、ブリーディング、ブルーミング及び移行汚染が発生せず、湿度に依存せずに、即効性に優れ、物性の低下を招かず、かつ、優れた制電性が持続する制電性水性ウレタン膜を得るという目的を、水性ウレタン樹脂乳化物中に、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を含ませることによって実現した。
水性ウレタン樹脂乳化物は、水が揮発すればフィルムが容易に作成できる。フィルムの形成機構は、四つの段階を経る。すなわち、第1段階(塗布直後)、第2段階(水の一部蒸発)、第3段階(水がさらに蒸発)を経て、第4段階で雰囲気が最低造膜温度(MFT: Minimum Film forming Temperature)以上でウレタン樹脂の粒子が融着し、均一なウレタン樹脂のフィルムが得られる。
ウレタン樹脂のフィルムの基本構造は、ソフトセグメントとハードセグメントから構成される。ソフトセグメントは主にポリオールの非結晶性部分であり、弱い分子間力(ファンデルワールス力)を有し、ウレタン樹脂に可撓性・柔軟性・屈曲性を与える。一方、ハードセグメントは主に下記(1)の反応によって生じるウレタン結合及び下記反応(2)、(3)によって生じるウレア結合からなる結晶性部分であり、強い分子間力(水素結合)を有し、ウレタン樹脂に強靭性・耐溶剤性・耐熱性を与える。これら相反する性質をウレタン樹脂にバランスよく配合することによって、柔軟性と強靭性を兼ね備えたフィルムを得ることができる。
フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は超強酸の塩であり、そして、乳化体内部にフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が溶解しているというのは、図1に示すように、ハードセグメント中のウレタン結合、ウレア結合のN原子にLi+イオンが配位している状態である。ウレタン結合、ウレア結合のN原子に配位したLi+イオンは、対イオンである陰イオンから離れ、裸の状態になっているのである。水が蒸発してウレタン樹脂の粒子が融着してフィルムが形成されたとき、裸の状態になったリチウムイオンがウレタン膜中を次々に移動してイオン輸送され、ポリウレタン膜の制電性に大きく寄与するのである。
本発明に用いられるフルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン及びトリフルオロメタンスルホン酸イオンからなる群から選ばれた陰イオンと、アルカリ金属、2A族元素、遷移金属、両性金属からなる群の少なくとも1つから選ばれた陽イオンからなる。
上記陰イオン及び陽イオンによって構成される塩は数多くあるが、中でも、ビス(トリフルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロアルキルスルホニル)メチドイオン、フルオロアルキルスルホン酸イオンからなり、具体的には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi(CFSON、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリカリウムK(CFSON、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムNa(CFSON、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウムLi(FSON、ビス(フルオロスルホニル)イミドカリウムK(FSON、(フルオロスルホニル)イミドナトリウムNa(FSON、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLi(CFSO)、トリフルオロメタンスルホン酸カリウムK(CFSO)、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウムNa(CFSO)が好ましい。中でも、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、及びビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムが挙げられる。特に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム及びトリフルオロスルホン酸リチウムが好ましく、これらを少量添加するだけで、上記効果が一層発揮されることになる。
本発明の水性ウレタン樹脂乳化物には、さらに酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、顔料、抗菌・抗カビ剤、耐光剤、可塑剤、粘着付与剤、分散剤、消泡剤、硬化触媒、硬化剤、レベリング剤、撥水剤、カップリング剤、フィラー、加硫剤、加硫促進剤などの公知の添加剤を必要に応じて添加することができる。
以下に実施例に基づいて、本発明の内容を具体的に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、トリレンジイソシアネート(TDI)(コスモネートTDI 100、三井武田ケミカル社製)6.2質量部、3−メチルペンタンジオール(クラレポリオールP2010、クラレ製)25.0質量部、1,4−アミノスルホン酸1.05質量部を投入し、70℃、8時間反応させ、ウレタンプレポリマーを合成した。
次いで、ウレタンプレポリマーを単離しない状態で、酢酸エチル30質量部、酢酸エチル−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(20質量部含有)溶液組成物(サンコノ一ルEAC−20R、三光化学工業株式会社製)10質量部に溶解させた後に、水中で、トリエチルアミン0.8質量部、およびピペラジン6水和物0.4質量部と共に、10℃で、1時間攪拌して分散させ、水系ウレタン樹脂乳化物(固形分45%)を調製した。
<水系ウレタン樹脂乳化物からの製膜>
上記ウレタン乳化物にオキサゾリン基含有乳化物(エボクロスK2020E、日本触媒社製)1質量部を加え、20℃、20分間混合し、水系ウレタン樹脂乳化物を得た。この乳化物10貿量部を、ポリエチレン樹脂製剥離板上に塗布し、80℃、1時間乾燥して、長さ100mm×幅100mm×厚さ0.4mmのシート状製膜試験片を得た。この製膜試験片の表面抵抗率は、3×10/sqであった。さらに、この試験片を20℃、24時間、水に浸漬した後に、取出し乾燥した。試験片の表面状態は、外観上、変化がなかった。浸水試験後の試験片の表面抵抗率は、1×10Ω/sqであった。
基材として、表面をコロナ放電処理したポリエチレンテレフタレート(T−100−38,三菱化学ポリエステル社製、厚さ35μm)およびポリカーボネート(厚さ100μm)に、実施例1で得られた水系ウレタン樹脂乳化物を乾燥膜厚が25μmになるようにテストコースターで塗布した。ついで、80℃のオーブンで1時間乾燥し、各基材上に、ウレタン樹脂を被覆した塗膜を得た。塗膜の表面抵抗率は、それぞれ、2.5×10Ω/sq、3.0×10Ω/sqであった。塗膜を碁盤目セロテープ(登録商標)剥離試験により密着性を評価した。90/100以上で、良好な密着性を示した。
撹絆機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ポリエステルポリオール(テスラック2508−70、日立化成ポリマー社製)437質量部、トリメチロールプロパン7.6質量部、ジメチロールプロピオン酸55質量部、イソホロンジイソシアネート158質量部、メチルエチルケトン184質量部、メチルエチルケトン−ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(50質量部含有)溶液組成物(サンコノールMEK−50R,三光化学工業社製)100質量部を加え、75℃、4時間反応させ、不揮発分に対する遊離のイソシアネート基を0.8質量%含有するウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を43℃まで冷却し、トリエチルアミンを24.8質量部加えて中和し、水1118質量部を徐々に加え、ホモジナイザーを用いて乳化分散させた。これを、滅圧下で、50℃以下で脱溶剤を行い、固形分35質量%の水系ウレタン樹脂乳化物(A)を得た。
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物(KAYARAD DPDA,日本化薬社製)100質量部、ポリビニルアルコール(PVA−217E、クラレ社製、10質量%水溶液)111質量部、ポリオキシエチレンジスチリルフェニル硫酸エステルアンモニウム塩(ハイテノールNF−13、第一工業製薬製)6質量部を添加し、水を徐々に添加しながらミキサーで乳化して乳化物(B)を得た。
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(イルガキュア−500、チバ・スペシャリティケミカルズ社製)100質量部にポリオキシエチレンジスチリルフェニル硫酸エステルアンモニウム塩(ハイテノールNF−13、第一工業製薬製)を20質量部添加し、水100質量部を攪拌しながら加え、乳化して、光重合開始剤乳化物(C)を得た。
次いで、上記で得られた水系ウレタン樹脂乳化物(A)100質量部、乳化物(B)40質量部、および、光重合開始剤(C)1.5質量部を配合して、ポリエチレンテレフタレートフィルム表面に、乾燥膜厚が10μmになるようにスピンコータで塗布し、100℃のオーブンで10分間乾燥させたものに、80W/cmの高圧水銀灯を用いて積算照度170mJ/cmの紫外線を照射し、透明なフイルム被覆物を得た。このフイルム被覆物の表面抵抗率は5×10Ω/sqであった。塗膜の碁盤目セロテープ(登録商標)剥離試験を行った。塗膜は80〜99%残存し良好な密着性を示した。
水系一液型エーテル変性ウレタン樹脂乳化物(スーパーフレックス110、第一工業製薬製)100質畳部に対して、イオン交換水790質量部とトリフルオロメタンスルホン酸リチウム水溶液(20質量部含有)(サンコノールAQ−20T、三光化学工業製)10質量部を添加し、十分に攪拌し、固形分3質量%含有の塗工液(粘度500mPa・s/25℃以下)を調製した。これを、ポリエチレンテレフタレートフィルム(T100−38,三菱化学ポリエステルフイルム社製)の表面に、テストコースターで厚み20μmになるように塗工し、100℃、1分間乾燥して粘着シートを作成した。この粘着剤面をシリコーン離型フイルムで圧着(線圧2kg)し、評価用試料とした。上記の粘着剤を塗工した粘着シートからの離型フィルムの剥離力は、100mN/cm以下で、軽い剥離力で剥離出来た。その粘着面の表面抵抗率は、2×1010Ω/sqであった。
湿式抄紙法によって形成された無機繊維系不織布(組成;ガラス繊維:70質量部、ロックウール:20質量部、天然セルロース繊維:10質量部)に対して、実施例1で得られた水系ウレタン樹脂乳化物を塗布し、80℃、1時間乾燥し、目付け量25.0質量部/m、厚さ200μmの不織布を得た。この不織布の表面抵抗率は、1×10Ω/sqであった。
実施例3において、ポリエステルポリオールに、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム溶解品(20質量部含有)524質量部を用いた以外は、実施例3と同様な方法で水系ウレタン樹脂乳化物(A)を得た。次いで、乳化物(B)および光重合開始剤(C)を配合したものをポリエチレンテレフタレートフイルム表面に塗布した後、紫外線照封法で硬化させて、透明なフイルム被覆物(厚さ10μm)を得た。このフイルム被覆物の表面抵抗率は、1×10Ω/sqであった。
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明に係る制電性水性ウレタン樹脂乳化物は、制電性塗料、制電性被覆物、制電性接着剤、制電性結合剤、制電性インクに好ましく利用される。その他、家電機器部品、電子機器部品、電子材料製造機器、情報事務機器部品、通信機器、ハウジング部品、光学機械部材、自動車用部品、工業用部材、家庭用雑貨品、包装流通部材など、長期間保持して高い制電性を必要とする製品、その他の各種パーツ、パッケージ、チューブ、被覆、容器関係などの静電気対策関係に好適に利用することができる。また、カラーフィルタの製造法として、染色法、顔料分散法、電着法、印刷法、蒸着法がある。これらの製造法に本発明に係る制電性組成物を適用することができる。静電気の発生を防止して、カラーフィルタの製造工程の改良、カラーフィルタの性能を向上させることができる。

Claims (12)

  1. ウレタン樹脂又はウレタンプレポリマーが水に乳化してなる水性ウレタン樹脂乳化物において、
    フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を含むことを特徴とする制電性水性ウレタン樹脂乳化物。
  2. フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を溶解した、ウレタン樹脂又はウレタンプレポリマーが水に乳化してなる、請求項1に記載の制電性水性ウレタン樹脂乳化物。
  3. 前記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、前記水性ウレタン樹脂乳化物に対して、0.01質量部以上、95質量部以下の割合で溶解されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の制電性水性ウレタン樹脂乳化物。
  4. 前記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン及びトリフルオロメタンスルホン酸イオンからなる群から選ばれた陰イオンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の制電性水性ウレタン樹脂乳化物。
  5. 前記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩は、アルカリ金属、2A族元素、遷移金属、両性金属のいずれかの陽イオンと、前記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンとからなる塩である請求項1〜4のいずれか1項に記載の制電性水性ウレタン樹脂乳化物。
  6. 前記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのアルカリ金属塩、ビス(フルオロスルホニル)イミドのアルカリ金属塩及びトリフルオロメタンスルホン酸のアルカリ金属塩からなる群から選ばれた塩である請求項1〜5のいずれか1項に記載の制電性水性ウレタン樹脂乳化物。
  7. エネルギー線を照射することにより架橋させることのできる重合性不飽和基をさらに導入してなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の制電性水性ウレタン樹脂乳化物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の制電性水性ウレタン樹脂乳化物を含む制電性塗料。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性ウレタン樹脂乳化物を含む成形品表面で硬化させた制電性被覆物。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性ウレタン樹脂乳化物を含む制電性接着剤。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性ウレタン樹脂乳化物を含む制電性結合剤。
  12. フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を揮発性有機溶剤に溶解させた塩溶液を準備する工程と、
    前記塩溶液とウレタン樹脂又はウレタンプレポリマーを混合して、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を溶解させた、ウレタン樹脂又はウレタンプレポリマーを合成する工程と、
    前記フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩を溶解させた、前記ウレタン樹脂又はウレタンプレポリマーを水に乳化させる工程と、
    を備えた制電性水性ウレタン樹脂乳化物の製造方法。
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