JP2013234221A - 発光材料および有機el素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規の発光材料およびそれを用いた有機EL素子を提供する。
【解決手段】有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極間に発光層を有する。発光層を構成する発光材料は、ホスト化合物としてアントラセン誘導体を含有し、ドーパント化合物として、電子供与性の置換基および電子求引性の置換基を有するテトラフェニルエテン誘導体を含有する。前記発光材料は、アントラセン誘導体100重量部に対して、テトラフェニルエテン誘導体を合計1重量部〜50重量部含有することが好ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、発光材料およびそれを用いた有機EL素子に関する。
フラットディスプレイパネルや照明装置に用いられる発光素子として、有機EL素子が注目されている。有機EL素子は、発光層を構成する材料を適宜選択することにより、種々の波長の光を発光することができる。具体的には、有機発光性化合物は、置換基導入等による誘導体化により励起ならびに発光波長を変化させることができる。そのため、発光性を示す新規な基本骨格構造(キー構造)の発見は多様な発展をもたらすことから、精力的に研究がおこなわれている。
青色発光材料としては、例えば、ペリレンやジスチリルアリーレンが知られており、これまでに多数のジスチリルアリーレン誘導体が、青色発光素子、あるいは混色法による白色発光素子材料として開発されている(例えば特許文献1および特許文献2)。しかしながら、ジスチリルアリーレン誘導体は、溶液中では高い発光量子効率を示すものの、固体状態では消光を引き起こし、発光量子効率が低下する傾向がある。そのため、発光材料が固体状の薄膜として用いられる有機EL素子においては、ジスチリルアリーレン誘導体のように固体状態で消光を生じる化合物は、他の化合物(ホスト材料)にドーパントとして添加して用いられている。一方、特許文献3では、特定の置換基を有するテトラフェニルエテン誘導体が、固体状態で高い発光効率を有することが開示されている。
特開2000−7604号公報 特開2009−10408号公報 国際公開第2010/047335号
上記のように、テトラフェニルエテン誘導体を発光材料として適用できることについての基本的な知見が得られている。しかし、これまで、テトラフェニルエテン誘導体を有機EL素子の発光材料として応用した例は存在せず、実用化に際してどのような課題が存在するかも明らかではなかった。
このような現状に鑑み、本発明者らは、特定の置換基を有するテトラフェニルエテン誘導体の薄膜からなる発光層を備える有機EL素子を作製し、評価を行ったところ、EL素子の発光が確認された。一方、当該素子は、既に実用化されている有機EL素子に比して、発光効率が低く、駆動電流密度を高めると素子破壊が生じることから、高輝度化が困難であることが判明した。また、特定の置換基を有するテトラフェニルエテン誘導体は、真空蒸着製膜時に結晶化を生じやすく、発光層の膜厚が5nmを超えると有機EL素子が発光しないという問題があることが判明した。
このような新たな課題に鑑み、本発明は、特定の置換基を有するテトラフェニルエテン誘導体を用いて、発光強度の高い発光材料を得ること、および当該発光材料を利用した有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明者らが検討の結果、ホスト材料として他の発光材料を用い、テトラフェニルエテン誘導体をドーパント化合物として含有する発光材料が、高い発光強度を示すことを見出し、本発明に至った。
本発明は、ホスト化合物およびドーパント化合物を含有する発光材料に関する。本発明の発光材料は、前記ホスト化合物が、アントラセン誘導体であり、前記ドーパント化合物が、下記一般式(1Z)または(1E)で表されるテトラフェニルエテン誘導体である。
Figure 2013234221
上記式(1Z)および(1E)において、Rは電子供与性基であり、Rは電子求引性基である。
本発明の発光材料は、アントラセン誘導体100重量部に対して、前記テトラフェニルエテン誘導体を合計1重量部〜50重量部含有することが好ましい。
さらに、本発明は、発光層として発光材料を含有する有機EL素子に関する。
本発明の発光材料を用いることで、発光効率に優れる有機EL素子を提供することができる。
有機EL装置の層構成の一例を示す模式的断面図である。 図1の有機EL装置における有機EL素子の層構成の一例を示す模式的断面図である。 実施例および比較例の有機EL素子の電流密度10mA/cmにおける発光強度スペクトルである。 図3の各発光強度スペクトルを発光極大波長における強度で規格化したものである。 実施例および比較例の有機EL素子の輝度を電流密度に対してプロットしたグラフである。
本発明の発光材料は、ホスト化合物としてのアントラセン誘導体を含有し、ドーパント化合物として下記一般式(1E)または(1Z)で表されるテトラフェニルエテン誘導体を含有する。
Figure 2013234221
[ドーパント化合物]
上記一般式(1Z)で表される化合物と上記一般式(1E)で表される化合物は幾何異性体(シス−トランス異性体)であり、一般式(1Z)がZ体、一般式(1E)がE体である。本発明の発光材料において、ドーパント化合物は、Z体またはE体のいずれか単独であってもよく、両者の混合物であってもよい。一般に、上記のE体とZ体は、1:1の混合物として得られる。本発明においては、これらの混合物をE体またはZ体の単体に分離精製せずとも混合物の状態で発光材料のドーパントとして使用することができる。ドーパント化合物がE体とZ体の混合物である場合、その混合比率は特に限定されない。工業的観点からは、E体とZ体の等量混合物が好適に用いられる。なお、E体とZ体の等量混合物は、混合比率が厳密に1:1のものに限定されるものではなく、例えば混合比率が4:6〜6:4の範囲であればよい。
以下、ドーパント化合物としてのテトラフェニルエテン誘導体の置換基RおよびRについて説明する。
は、電子供与性(電子押出し性)の高い置換基である。Rとしては、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基、窒素含有飽和複素環基、およびトリオルガノシリル基等が挙げられる。
前記低級アルキル基としては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状または分岐を有するアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、1−エチルプロピル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、等が挙げられる。
前記低級アルコキシ基としては、炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4の、直鎖状または分岐を有するアルコキシ基が挙げられる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、等が挙げられる。
前記低級アルキルチオ基としては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状または分岐を有するアルキルチオ基が挙げられる。具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基等が挙げられる。
前記置換基有していてもよいアミノ基は、−NHの他、1個または2個の置換基を有するものであってもよい。アミノ基が水素結合を形成し得る場合、濃度消光を生じ、発光効率が低下する傾向がある。そのため、前記アミノ基は、2個の置換基を有するものが好ましい。アミノ基が2個の置換基を有する場合、これらは同一でもよく、異なっていてもよい。置換基としては、アリール基および前記例示の低級アルキル基を挙げることができ、中でもアリール基が好ましい。すなわち、置換基を有していてもよいアミノ基としては、ジアリールアミノ基が特に好ましい。
前記窒素含有飽和複素環基としては、他のヘテロ原子、例えば酸素原子、硫黄原子が含まれていてもよい5又は6員環の含窒素複素環基を挙げることができる。より具体的には、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、チオモルホリノ基等が挙げられる。
前記トリオルガノシリル基としては、トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、ジメチル(tert-ブチル)シリル基,メチルジビニルシリル基、メチルフェニルビニルシリル基、トリビニルシリル基、トリエチルシリル基、エトキシジメチルシリル基等が挙げられる。
は、電子求引性の高い置換基である。Rとしては、ハロゲン、ハロゲン置換低級アルキル基、低級アルキルカルボニル基、低級アルコキシカルボニル基、ホルミル基、置換基を有してもよいアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、シアノ基およびニトロ基等が挙げられる。一重項から三重項への項間交差による蛍光消光を抑制し、高発光効率の材料を得る観点から、Rは、ハロゲン、ハロゲン置換低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアミノカルボニル基およびシアノ基のいずれかであることが好ましい。
前記ハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。これらのハロゲンの中でも、一重項から三重項への項間交差による蛍光消光を抑制する観点からは、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
前記ハロゲン置換低級アルキル基としては、1〜5個、より好ましくは1〜3個のハロゲン原子で置換された前記例示の低級アルキル基を挙げることができる。具体的には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、ジクロロフルオロメチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、3−クロロプロピル基、2−クロロプロピル基、3−ブロモプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル基、4−クロロブチル基、4−ブロモブチル基、2−クロロブチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、5−クロロペンチル基、6,6,6−トリフルオロヘキシル基、6−クロロヘキシル基、ペルフルオロヘキシル基、等が挙げられる。
前記低級アルコキシカルボニル基としては、低級アルコキシ部分が前記例示の低級アルコキシ基であるアルコキシカルボニル基を挙げることができる。具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、イソヘキシルオキシカルボニル基、3−メチルペンチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
前記置換基を有してもよいアミノカルボニル基としては、アミノ基部分が前記例示の置換基を有していてもよいアミノ基であるアミノカルボニル基を挙げることができる。具体的には、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、エチルメチルアミノカルボニル基、ジアリールアミノカルボニル基等を挙げることができる。
ドーパント化合物として用いられるテトラフェニルエテン誘導体は、フェニル環上に電子供与性の置換基Rと電子求引性の置換基Rとを有し、分子平面内のπ電子密度が局在化することで、500nmよりも短波長に発光極大を有する青色発光材料とすることができる。すなわち、上記一般式(1Z)および(1E)で表されるテトラフェニルエテン誘導体は、置換基の種類によって、材料の発光特性を変化させることができる。
500nmよりも短波長に発光極大を有する青色発光材料を得る観点から、Rとしては、ジアリールアミノ基や低級アルコキシ基等が好ましく、低級アルコキシ基が特に好ましい。Rとしては、フルオロ基、トリフルオロメチル基、およびシアノ基等が好ましい。
(合成方法)
上記テトラフェニルエテン誘導体の合成方法は特に限定されず、各種公知の反応を組み合わせて、目的の化合物を得ることができる。例えば、Rがメトキシ基であり、Rがトリフルオロメチル基である、ビス(4−メトキシフェニル)ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)エテンは、下記スキームで示すように、ベンゾフェノン誘導体を出発原料として、マクマリーカップリングにより得られる。
Figure 2013234221
上記スキームにおいて、出発原料は、公知の化合物であるか、あるいは公知の方法(例えばSynthetic Communications, 1998, 28, 1065.に記載の方法)により製造される。なお、上記反応スキームでは、E体とZ体の等量混合物が得られるが、反応後にクロマトグラフィー等で処理することにより、それぞれを分離精製することもできる。
[ホスト化合物]
ホスト化合物となるアントラセン誘導体としては、発光材料として使用可能なものであれば特に限定されず、各種公知の化合物が用いられる。例としては、9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(略称:ADN)、2‐tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(略称:TBADN)、2−メチル−9,10−ビス(ナフタレン−2−イル)アントラセン(略称:MADN)、2,2’−ジ(9,10−ジフェニルアントラセン)(略称:TPBA)、4,4’−ジ(10−(ナフタレン−1−イル)アントラセン−9−イル)ビフェニル(略称:BUBH−3)、等が挙げられる。
本発明の発光材料における、アントラセン誘導体(ホスト化合物)に対するテトラフェニルエテン誘導体(ドーパント化合物)の添加割合は特に限定されない。テトラフェニルエテン誘導体の含有量は、好ましくは、アントラセン誘導体100重量部に対して、1〜50重量部、より好ましくは2〜20重量部、さらに好ましくは2.5〜15重量部、特に好ましくは3〜10重量部である。なお、ドーパント化合物が、前記一般式(1Z)で表される化合物(Z体)と上記一般式(1E)で表される化合物(E体)の混合物である場合、両者を合計した含有量が前記範囲であることが好ましい。
本発明の発光材料では、特定の置換基を有するテトラフェニルエテン誘導体をドーパント化合物として用いることで、当該化合物を単独で用いた場合に比して、発光効率が向上するとともに、発光波長が短波長化(ブルーシフト)する傾向がある。例えば、後に実施例および比較例を用いて示すように、ビス(4−メトキシフェニル)ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)エテンが単独で発光材料として用いられる場合は、470〜480nmの長波長(青色)領域に発光ピークが存在する。これに対して、ビス(4−メトキシフェニル)ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)エテンをドーパント化合物として用いた場合は、445〜455nmのより短波長側に発光ピークが存在する。
また、テトラフェニルエテン誘導体がドーパント化合物として用いられる場合は、発光スペクトルの半値幅が小さくなるとともに、駆動電流密度が高い場合でも、高電流発光効率が維持される。本発明の発光材料では、ホスト材料であるアントラセン誘導体からテトラフェニルエテン誘導体へのエネルギー移動が十分に行われており、両者が機能的に相互作用しているといえる。
本発明の発光材料は、アントラセン誘導体(ホスト化合物)とテトラフェニルエテン誘導体(ドーパント化合物)以外の成分をさらに含有していてもよい。他の成分の例としては、電子輸送性を示す化合物が挙げられる。電子輸送性を示す化合物としては、電子輸送層15を構成する材料として後に例示するもの等が用いられる。
本発明の発光材料を製造する方法としては、基板等の支持体上に成膜し、薄膜として取得する方法が挙げられる。代表的には、アントラセン誘導体とテトラフェニルエテン誘導体とを共蒸着する方法が用いられる。
[有機EL素子]
本発明の有機EL素子は、陽極4および陰極6からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を備え、発光層が上記した本発明の発光材料を有するものである。図1は、有機EL装置の層構成の一例である。図1に示される有機EL装置は、透明基板3側から光が取り出される、「ボトムエミッション型」と称される構成である。有機EL装置1は、透明基板3上に、有機EL素子2を有し、有機EL素子は、封止部7によって封止されている。有機EL素子2は、透明電極層(陽極)4および裏面電極層(陰極)6からなる一対の電極間に、機能層5を有する。
機能層5は、複数の有機化合物薄膜が積層されたものである。図2は、機能層5の層構成の一例である。図2に示される有機EL素子2において、機能層5は、正孔注入層10、正孔輸送層11、発光層12、電子輸送層15、および電子注入層16を有する。すなわち、有機EL素子2において、発光層12は、透明電極層4と裏面電極層6との間に位置している。
(透明基板)
透明基板3は、透光性を有する材料からなるものであれば特に限定はない。図1に示す実施形態では、透明基板3側から光が取り出されるため(ボトムエミッション方式)、透明基板3は可視光域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。透明基板3としては、ガラス基板、フレキシブルな透明フィルム基板等を使用してもよい。なお、有機EL装置がトップエミッション方式を採用する場合、基板は不透明なものであってもよい。
(透明電極)
透明基板3上には、透明電極層(陽極)4が積層される。透明電極層4を構成する材料は特に限定されず、公知のものが使用できる。例えば、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の材料からなるものが挙げられる。中でも、発光層12からの光の取出し効率や、電極のパターニングの容易性の観点からは、ITOあるいはIZOが好ましく用いられる。
透明電極層4には、必要に応じて、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ホウ素、ニオブ等の1種以上のドーパントがドーピングされていてもよい。透明電極層4の透過率は、可視光域における透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。透明電極層4は、例えば、スパッタ法やCVD法等のドライプロセスによって透明基板3上に形成される。透明電極層4の膜厚は、光の透過性や電気伝導度を考慮して適宜選択すればよいが、例えば80〜300nmであり、好ましくは100〜150nm、より好ましくは120〜150nmである。
(正孔注入層)
透明電極層4上には、正孔注入層10が積層されている。正孔注入層10としては特に限定はなく、有機EL素子の正孔注入層として用いられている公知の材料を採用することができる。例えば、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ルテニウム、酸化マンガン等の金属酸化物が挙げられる。その他、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノ−キノジメタン(略称:F4−TCNQ)が挙げられる。さらに、三酸化モリブデンとN,N−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−フェニルベンジジン(略称:NPB)との混合層を正孔注入層10として採用することができる。
正孔注入層10は、例えば、真空蒸着法によって形成される。正孔注入層10の膜厚は光の干渉効果やリーク電流の抑制効果等を考慮して適宜選択すればよいが、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上である。
(正孔輸送層)
正孔注入層10上には、正孔輸送層11が積層されている。正孔輸送層11としては特に限定はなく、有機EL素子の正孔輸送層として用いられている公知の材料を採用することができる。例えば、下記一般式(2)で表されるアリールアミン系化合物が挙げられる。
Figure 2013234221
上記式(2)中、Ar1、Ar2およびAr3は、それぞれ独立に置換基を有してよい芳香族炭化水素基を示す。
このようなアリールアミン系化合物の具体例としては、N,N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ジアミノフェニル、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(3−メチルフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、N,N,N',N'−テトラ−p−トリル−4,4'−ジアミノビフェニル、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル、N,N,N',N’−テトラフェニル−4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、4−N,N'−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4'−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、1,1−ビス(4−ジ−p−トリアミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、N,N,N−N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4'−[4(ジ−p−トリアミノ)スチリル]スチルベン、N,N,N',N'−テトラフェニル−4,4'−ジアミノ−ビフェニルN−フェニルスカルバゾール、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]p−ターフェニル、4,4'−ビス[N−(3−アセナフテニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ナフタレン、4,4'−ビス[N−(9−アントリン)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(1−アントリル)−N−フェニルアミノ]p−タ−フェニル、4,4'−ビス[N−(2−フェナントリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(8−フルオランテニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(2−ピレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(2−ペリレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4'−ビス[N−(1−コロネニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、2,6−ビス[ジ−(1−ナフチル)アミノ]ナフタレン、2,6−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ナフタレン、4,4'−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]タ−フェニル、4,4'−ビス{N−フェニル−N−[4−(1−ナフチル)フェニル]アミノ}ビフェニル、4,4'−ビス[N−フェニル−N−(2−ピレニル)アミノ]ビフェニル、2,6−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]フルオレン、4,4'−ビス[N−フェニル−N−(2−ピレニル)アミノ]ビフェニル、2,6−ビス[N,N−ジ−p−トリアミノ]ターフェニル、ビス(N−1−ナフチル)(N−2−ナフチル)アミン、等が挙げられる。
正孔輸送層11は、例えば、真空蒸着法によって形成される。
(発光層)
正孔輸送層11上には、発光層12が積層されている。発光層12は、上記した本発明の発光材料、すなわち、ホスト化合物としてのアントラセン誘導体にテトラフェニルエテン誘導体がドープされた発光材料を主成分として構成されている。発光層12を成膜する方法としては、アントラセン誘導体とテトラフェニルエテン誘導体とを同時に堆積させる方法が挙げられる。具体的には、真空蒸着法を用い、アントラセン誘導体とテトラフェニルエテン誘導体とを共蒸着させる方法が挙げられる。この際、ホスト化合物とドーパント化合物の蒸着速度を制御することにより、所望の蒸着比(ドープ濃度)を実現することができる。真空蒸着法以外の方法としては、発光材料を含む溶液を塗布する方法(コート法、印刷法等)や転写法(レーザー転写、熱転写等)が挙げられる。
発光層12の膜厚は、電流効率等を考慮して適宜選択すればよい。発光層の膜厚は、例えば5nm〜400nmであり、好ましくは7nm〜350nm、より好ましくは10nm〜250nmである。なお、テトラフェニルエテン誘導体を単独のホスト化合物として用いた場合、上記の膜厚を有する良質なアモルファス膜を得ることが困難となる傾向がある。これに対して、テトラフェニルエテン誘導体をドーパント化合物として用いる本発明の構成によれば、上記膜厚でも発光層として適する良質のアモルファス膜が得られやすい。
(電子輸送層)
発光層12上には、電子輸送層15が積層されている。電子輸送層15の材料は特に限定されず、有機EL素子の電子輸送層として用いられている公知の材料を採用することができる。例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(略称:Alq)や1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン(略称:Bpy−OXD)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(略称:Bphen)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンジントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)(略称:TPBi)、2−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチフフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)、3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−tert−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、等が挙げられる。
電子輸送層15は、例えば、真空蒸着法によって形成される。電子輸送層15の膜厚は干渉効果や移動度等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば10〜100nmであり、好ましくは20〜80nm、より好ましくは40〜60nmである。
(電子注入層)
電子輸送層15上には、電子注入層16が積層されている。電子注入層16としては特に限定はなく、有機EL素子の電子注入層として用いられている公知の材料を採用することができる。例えば、Li等のアルカリ金属;Mg、Ca等のアルカリ土類金属;前記金属を1種類以上含む合金;前記金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸化物;並びにこれらの混合物が挙げられる。具体的には、8−ヒドロキシキノリノラト(リチウム)(Liq)、フッ化リチウム(LiF)等が例示される。
電子注入層16は、例えば、真空蒸着法によって形成される。電子注入層16の膜厚は移動度等を考慮して適宜選択すればよいが、例えば0.1〜5nmであり、好ましくは0.5〜3nm、より好ましくは1〜2nmである。
(裏面電極層)
電子注入層16上には、裏面電極層(陰極)6が積層されている。裏面電極層6に用いられる材料は、好ましくは仕事関数が小さい金属、またはこれらを含む合金、金属酸化物等が用いられる。例えば、アルカリ金属ではLi等であり、アルカリ土類金属ではMg,Ca等が例示される。また希土類金属等からなる金属単体、あるいはこれらの金属とAl,In,Ag等の合金等が用いられうる。また、特開2001−102175号公報等に開示された技術を使用して、陰極に接する有機層をアルカリ土類金属イオン、アルカリ金属イオンからなる群から選択される少なくとも1種を含む有機金属錯体化合物を用いて構成する場合、該錯体化合物中に含有される金属イオンを真空中で金属に還元する金属、例えばAl,Zr,Ti,Si等もしくはこれらの金属を含有する合金を用いることもできる。
本実施形態の有機EL素子2は、上記のように、透明基板3上に形成された透明電極層4上に、真空蒸着法等の手法により、正孔注入層10、正孔輸送層11、発光層12、電子輸送層15、電子注入層16、および裏面電極層6を順次積層することにより製造することができる。このようにして製造された有機EL素子2は、封止部7を設けることによって封止され、有機EL装置1となる。
上記は、機能層5が5つの層からなる構成について説明したが、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。例えば、正孔注入層10、正孔輸送層11、電子輸送層15、電子注入層16の一部または全部が省略された構成でもよい。さらに、発光層12の前後に正孔阻止層や電子阻止層が設けられていてもよい。
本発明の有機EL素子は、有機EL照明や有機EL表示装置等に好適に用いられる。有機EL照明は、住宅等の一般照明のみならず、液晶表示装置のバックライト、デジタルスチルカメラ等の電子機器や内視鏡用の光源、画像処理等の医療分野、露光装置や通信設備等の産業機器等の特殊照明としての応用も可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[合成例]
撹拌子および還流冷却器を備えるシュレンク(20mL)に、亜鉛粉末(0.65g,10mmol)、ピリジン(0.20mL,2.5mmol)およびTHF(4mL)をアルゴン雰囲気下導入した。混合物を0℃に冷却し、ここに四塩化チタン(0.30mL,2.7mmol)を注射器でゆっくり加えた。生じた懸濁液を1時間還流した。混合物を再度0℃に冷却したのち、ここに4−ブロモ−4’−(トリフルオロメチル)ベンゾフェノン(0.33g,1.0mmol)を加えて、21時間還流した。混合物を室温に戻してフロリジルのショートカラムで酢酸エチルを使って濾過した。濾液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機溶媒を減圧留去して得た粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、1,2−ビス(4−ブロモフェニル)−1,2−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテン(0.28g,収率90%)を、E/Z比が約1:1の混合物として得た。
撹拌子および還流冷却器を備えるシュレンク(20mL)に1,2−ビス(4−ブロモフェニル)−1,2−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エテン(0.25g,0.4mmol)、ヨウ化銅(7.6mg,0.04mmol)、ナトリウムメトキシド(5Mメタノール溶液1.6mL,8.0mmol)、ジメチルホルムアミド(1.2mL)および酢酸エチル(1.2mL)をアルゴン雰囲気下導入した。混合物を100℃で17時間加熱した。飽和塩化アンモニウム水溶液(2mL)を加えて反応を停止し、水層をジクロロメタン(3mL×3回)で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥したのち、エバポレーターで有機溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、下記式(3Z)および(3E)で表される1,2−ビス[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ビス(4−メトキシフェニル)エテンをE/Z比約1:1の混合物として得た(0.11g,収率51%)。
Figure 2013234221
[実施例1]
パターニングされたITO電極(膜厚150nm)を有するガラス基板上に、以下の手順で、2mm×2mmの発光領域を有するボトムエミッション型評価素子を作製した。
ITO電極(陽極)上に、三酸化モリブデン(MoO)とホール輸送材料(保土谷化学工業株式会社製 EL−301)を共蒸着し、正孔注入層(膜厚60nm)を形成した。正孔注入層の上に、EL−301を真空蒸着し、正孔輸送層(膜厚20nm)を形成した。次に、正孔輸送層の上に、アントラセン誘導体(SFC社製 SH03)と、上記製造例で得られたビス(4−メトキシフェニル)ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)エテンとを共蒸着し、発光層(膜厚20nm)を形成した。ビス(4−メトキシフェニル)ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)エテンのドープ濃度は、アントラセン誘導体100重量部に対して5重量部とした。
発光層の上に、電子輸送材料(メルク社製 ETM−033)を真空蒸着し、電子輸送層(40nm)を形成した。次に、電子輸送層の上に、LiFを真空蒸着し、電子注入層(膜厚10nm)を形成した。電子注入層上に、陰極として、アルミニウムを150nmの膜厚で成膜した。
陰極を形成後、不活性下のグローブボックスに、蒸着成膜後の有機EL素子を移動し、ガラスキャップにUV硬化樹脂を塗布し、基板とキャップを貼り合わせた。UV照射後、貼り合わせた基板を大気圧下に取り出し、電流を通電して、電流−電圧−輝度(I−V−L)特性および発光強度スペクトルを測定した。
[実施例2]
上記実施例1の発光層の形成において、ビス(4−メトキシフェニル)ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)エテンのドープ濃度を、アントラセン誘導体100重量部に対して7重量部とした。それ以外は実施例1と同様にして、評価素子を作製し、I−V−L特性および発光強度スペクトルを測定した。
[比較例1]
上記実施例1の発光層の形成において、ビス(4−メトキシフェニル)ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)エテンのみを真空蒸着して発光層(膜厚5nm)を形成した。それ以外は実施例1と同様にして、評価素子を作製し、I−V−L特性および発光強度スペクトルを測定した。
[比較例2]
上記実施例1の発光層の形成において、ビス(4−メトキシフェニル)ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)エテンを用いず、アントラセン誘導体のみを真空蒸着して発光層(膜厚20nm)を形成した。それ以外は実施例1と同様にして、評価素子を作製し、I−V−L特性を測定した。
[評価結果]
各実施例および比較例の有機EL素子を輝度2000cd/m2の光量とした場合の電流効率(cd/A)を表1に示す。また、各有機EL素子の電流密度10mA/cmにおける発光強度スペクトルを図3に、各発光強度スペクトルを発光極大波長における強度(ピーク強度)で規格化したものを図4に示す。また、実施例2および比較例1の有機EL素子の輝度を電流密度に対してプロットしたグラフを図5に示す。
Figure 2013234221
表1から明らかなように、アントラセン誘導体をホスト化合物とし、ビス(4−メトキシフェニル)ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)エテンをドーパントとして用いた実施例の有機EL素子は、ビス(4−メトキシフェニル)ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)エテンを単独で用いた比較例1の有機EL素子に比して、約1.5倍の発光効率を有している。また、実施例の有機EL素子は、アントラセン誘導体を単独で用いた比較例2の素子に比して、2倍以上の発光効率を有している。実施例1と実施例2との対比によれば、ドーパント化合物の含有量を高めることで、発光効率の上昇がみられた。
このように、テトラフェニルエテン誘導体がドーパント化合物として用いられる場合は、テトラフェニルエテン誘導体単体の場合およびアントラセン誘導体単体の場合のいずれに比しても高い発光効率を示し、発光効率の濃度依存がみられている。また、図3,4によれば、ビス(4−メトキシフェニル)ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)エテンをドーパントとして用いた場合は、単体で発光材料として用いた場合に比して、発光極大波長が波長化(ブルーシフト)するとともに、スペクトル幅(半値幅)が小さくなっている。これらの結果から、本発明の発光材料では、ホスト材料であるアントラセン誘導体からテトラフェニルエテン誘導体のエネルギー移動が十分に行われることで、発光効率が向上したものと考えられる。
図5に示すように、ビス(4−メトキシフェニル)ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)エテンを単独で用いた比較例1は、電流密度の上昇とともに電流効率が低下し、電流密度300mA/cmで素子破壊が生じた。これに対して、ビス(4−メトキシフェニル)ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)エテンがドーパントとして用いられた実施例2では、比較例1に比して電流効率の低下が抑制されており、電流密度を1000mA/cmまで上昇させた場合でも、高い発光効率を示した。
以上のように、本発明の発光材料は、従来の発光材料に比して高発光効率であるとともに、スペクトルの半値幅が小さい。さらに、本発明の発光材料は、高電流密度(高電圧)で駆動した場合においても、電流密度効率の低下が少なく、有機EL素子への実用に適しているといえる。
2 有機EL素子
4 透明電極層(陽極)
5 機能層
6 裏面電極層(陰極)
12 発光層

Claims (4)

  1. ホスト化合物およびドーパント化合物を含有する発光材料であって、
    前記ホスト化合物が、アントラセン誘導体であり、
    前記ドーパント化合物が、下記一般式(1Z)または(1E)で表されるテトラフェニルエテン誘導体である発光材料:
    Figure 2013234221
    式(1Z)および(1E)中、
    は、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基、窒素含有飽和複素環基、およびトリオルガノシリル基からなる群より選択される電子供与性基を示す。
    は、ハロゲン、ハロゲン置換低級アルキル基、低級アルキルカルボニル基、低級アルコキシカルボニル基、ホルミル基、置換基を有してもよいアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、シアノ基およびニトロ基からなる群より選択される電子求引性基を示す。
  2. 前記アントラセン誘導体100重量部に対して、前記テトラフェニルエテン誘導体を合計1重量部〜50重量部含有する、請求項1に記載の発光材料。
  3. 前記一般式(1Z)および(1E)において、Rがジアリールアミノ基または低級アルコキシ基であり、Rがハロゲン置換低級アルキル基である、請求項1または2に記載の発光材料。
  4. 陽極および陰極からなる一対の電極の間に少なくとも発光層を備える有機EL素子であって、前記発光層が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光材料を有する有機EL素子。

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