以下、図面を参照し、実施形態について説明する。ここではいくつか具体的構成を例に用いて説明を行っていくが、これは同様な機能を持つ構成であれば同様に実施可能であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、各図面中、同じ要素には同じ符号を付している。
実施形態によれば、半導体発光装置は、励起光を発する発光素子と、発光素子上に設けられた蛍光体層と、発光素子と前記蛍光体層との間に設けられた蛍光反射膜とを備えている。
図1(a)は、実施形態による発光素子8、蛍光反射膜35および蛍光体層30を含む積層構造の模式断面図である。
発光素子8は、例えば発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)であり、p型半導体層4、活性層5、およびn型半導体層6を含む半導体層7を有する。また、発光素子8は、p型半導体層4へのコンタクト電極(図示せず)と、n型半導体層6へのコンタクト電極(図示せず)を有する。p型半導体層4とn型半導体層6に挟まれた活性層5は発光部となる。
n型半導体層6とp型半導体層4に比較的バンドギャップの大きな半導体(例えばGaN)を用い、活性層5に比較的バンドギャップの小さな半導体(例えばInGaN)を挿入する。これにより、活性層5を挟むpn接合による注入キャリアが効果的に閉じ込められ、キャリア再結合による発光が効果的に行われて高い発光効率が得られるようになる。活性層5は所謂MQW(Multi Quantum Well)構造でもよい。また、発光素子8は、LEDに限らず、面発光半導体レーザ(SELD;Surface Emitting Laser Diode)でも構わないものである。
蛍光体層30は、透明媒体としての樹脂層31と、発光素子8の励起光により励起されて蛍光を発する複数の粒子状の蛍光体32と、複数の散乱粒子33とを有する。蛍光体32及び散乱粒子33は、透明媒体31中に分散されている。
樹脂層31は、発光素子8の励起光および蛍光体32の蛍光に対して透明な例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂である。散乱粒子33は、発光素子8の励起光の波長の1/10以下の大きさで且つ樹脂層31とは異なる屈折率を有する。
蛍光体32は種々の蛍光体材料を単独または組み合わせて用いることができる。例えば発光素子8の励起光波長(発光波長)を450nmとし、Y3Al5O12(YAG):Ce、Tb3−xRExO12:Ce(TAG)(RE=Y,Gd,La,Lu)、Sr2−x−yBaxCaySiO4:Euなどの黄色蛍光体を用いることで白色出力光源が得られる。
また、発光素子8の励起光波長を450nmとし、YAG:Nb、SrxCa1−xS:Eu、CaSiAlN3:Eu、Sr2−yCaySiO4:Euなどの赤色蛍光体と、SrGa2S4:Eu、Sr2−yBaySiO4:Eu、SrSi2O2N2:Euなどの緑色蛍光体を組み合わせて用いることで高演色の白色光源とすることができる。
散乱粒子33は、例えば、TiO2、SiO2、Si3N4、ZrO2、SiC、Al2O3、TaO5、BN、中空シリカ、マイクロバブル(気泡)など、樹脂層31と異なる屈折率を有する材料であり、その粒子サイズ(粒径)が発光素子8の励起光波長の1/10以下である。例えば、発光素子8の励起光波長が450nmの場合、散乱粒子33の粒径を45nm以下とする。
また、樹脂層31の屈折率をn、発光素子8の励起光波長をλとするとき、散乱粒子33の粒径を、樹脂層31の媒質内波長(λ/n)の1/10(=λ/10n)とすることで、後述する光散乱効果の波長選択性を高めることが出来る。例えば、発光素子8の励起光波長が450nm、樹脂層31の屈折率が1.5の場合、散乱粒子33の粒径を30nm以下とすることが望ましい。
散乱粒子33は、励起光波長の1/10以下の粒径のため、樹脂層31で励起光のレーリー散乱を起こすようになり、主に励起光の進行方向とその逆方向への散乱を起こす。
このレーリー散乱は散乱強度が波長の4乗に逆比例するため、長い波長の光ほど散乱強度が弱い、即ち、波長依存性のある光散乱となり、上記蛍光体の組み合わせでは、励起光(波長450nm)の散乱に対して、蛍光体32の出力光(蛍光)は波長が長い分レーリー散乱が少なくなる。
例えば、発光素子8の励起光波長を450nm(青色)、蛍光体32の蛍光波長を560nm(黄色)とすると、図2(a)に示すように、それら2つの波長間でレーリー散乱の強度が2倍以上異なってくる。
但し、レーリー散乱は散乱粒子33の粒径の6乗に比例するため、図2からも分るように、粒径が小さすぎると殆ど散乱が起きなくなる。従って、図2からも分るように、散乱粒子33の粒径は15nm以上が望ましく、前述したように最大粒径は発光素子8の励起光波長がレーリー散乱領域となる45nm以下とすることが望ましい。
これにより、波長が450nmの青色光は散乱され易く、波長が560nmの黄色光は散乱され難い状態を作ることができ、発光素子8の励起光を選択的に多く散乱させることで、発光素子励起光と蛍光体出力光の間の光出力角度に対する発光輝度分布の差を調整できるようになる。
また、励起光を選択的に多く散乱させることで、発光素子8に近い側の蛍光体32の励起強度が強く、発光素子8から遠い側の蛍光体32の励起強度が励起光の到達量が下がることで弱くなる蛍光体32の不均一励起を解消し、発光素子8に近い側の蛍光体32の励起飽和による総合的な蛍光体発光効率の低下を防止することができる。
即ち、発光素子8に近い側の蛍光体32への励起光が散乱粒子33で散乱されることにより局所的に強励起されることを防止し、しかも、発光素子8から遠い側の蛍光体32やそれぞれの蛍光体32の裏面(発光素子8に対向する面と反対側の面)も励起光の散乱光で励起されるようになるため、蛍光体32への励起光照射が空間的な位置や向きによる偏りが緩和されて均一化される。
このため、部分的に蛍光体32が強励起されて出力飽和することを緩和し、また、蛍光体32の励起強度の均一化により蛍光体32の弱励起部分を減少させて弱励起蛍光体による再吸収光損失を抑制できる。
従って、実施形態によれば、蛍光体励起強度の均等化が可能になり、不均一励起による蛍光体32の出力飽和や弱励起蛍光体の再吸収損失を抑制し、蛍光体32の出力効率の向上が可能になる。
ここで散乱粒子33により励起光を選択的に多く散乱させることの効果について、図3〜5を用いて以下に説明する。
図3〜5のそれぞれにおける(a)は、発光素子8と蛍光体32の光放射状況を模式的に示した図である。図3(a)は、発光素子8上に蛍光体32が沈降して密集している第1の比較例を表す。図4(a)は、蛍光体32が樹脂層31中に分散し、散乱粒子は樹脂層31中に含まれない第2の比較例を表す。図5(a)は、蛍光体32が樹脂層31中に分散するとともに散乱粒子33も樹脂層31中に分散している前述した実施形態を表す。
図3(b)、図4(b)、図5(b)のグラフは、それぞれ、第1の比較例、第2の比較例、実施形態における、励起光輝度分布を表す。図3(c)、図4(c)、図5(c)のグラフは、それぞれ、第1の比較例、第2の比較例、実施形態における、蛍光輝度分布を表す。図3(d)、図4(d)、図5(d)のグラフは、それぞれ、第1の比較例、第2の比較例、実施形態における、励起光と蛍光体出力光の混合による色度の分布を表す。
上記各グラフにおける横軸は、発光素子8の光取り出し面に対して垂直な方向(図3(a)、図4(a)、図5(a)において真上方向)とのなす角θ(光出力角度)を表す。
図3(a)〜(d)に表される第1の比較例の場合、活性層が点光源の2次元集合体としての面光源であることから、励起光輝度分布はcosθに比例する所謂ランバート分布で近似できる。また、第1の比較例では、蛍光体32が面状に形成されていることから、蛍光輝度分布も同様にランバート分布で近似できる。
その結果、第1の比較例では、励起光と蛍光体出力光の分布がほぼ一致し、色度分布の角度依存性、所謂色割れ現象が少ないという特徴を持つ。但し、第1の比較例では、蛍光体32が発光素子8の発熱の影響を受けやすい、蛍光体32の量を調整して色度の中心値を調整することが難しい、蛍光体32の片側(半面)が強励起されて蛍光飽和や弱励起面で再吸収損失が起きやすいなどの問題が懸念される。
図4(a)〜(d)に表される第2の比較例の場合、蛍光体32が樹脂層31中に分散(点在して分布)しているため発光素子8の発熱の影響が緩和され、蛍光体出力飽和も緩和される特徴がある。また、蛍光体32が分散した樹脂層31の厚みを調整することで色度の中心値を調整できる特徴もある。
第2の比較例の場合、励起光は、第1の比較例同様にランバート分布であるが、蛍光体32が励起された部分で全方位へ光放射する点光源のように振る舞うため、蛍光体出力の角度依存性が少ない、即ち広い角度に広がった分布となる。この結果、第2の比較例では、角度が0の真上方向と、それに対して直角な方向とで、色度の異なる光出力となり、見る角度で色具合(色度)の異なる所謂色割れ現象が起こる。
図5(a)〜(d)に表される本実施形態では、第2の比較例と同様に蛍光体32が樹脂層31中に分散(点在して分布)しているため発光素子8の発熱の影響が緩和され、蛍光体出力飽和も緩和される特徴があり、また、蛍光体分散した樹脂層31の厚みを調整することで色度の中心値を調整できる特徴がある。
更に、実施形態では、蛍光体出力が第2の比較例と同様に広い角度分布を持っているが、励起光も散乱粒子33により散乱されて広い角度分布を有するようになり、しかも、散乱粒子33による散乱がレーリー散乱のため、励起光の散乱が蛍光体出力光の散乱より大きく、散乱粒子33のサイズ(粒径)と数量で散乱量を調整した場合に、励起光と蛍光体出力光で変化度合いが異なり、丁度励起光と蛍光体出力が同じような分布となるように分布の形を調整することができる。
これにより、実施形態によれば、図5(d)に示すように、色度の分布が角度にあまり依存しない平坦な分布、即ち、色割れの少ない半導体発光装置を提供することができる。また、相対的に蛍光体出力の散乱が少ないことから、蛍光体出力が不要に散乱されて損失する割合が少ない、即ち、全体の発光効率が高い効果を持っている。
上記した輝度分布の調整は、散乱粒子33の粒径を考慮せず、単なる散乱粒子とした場合より効果的に行うことができる。即ち、励起光と蛍光体出力光を波長依存性の無い散乱で混合させる場合、両方の光が均一に混じるまで散乱させることが必要、即ち、散乱粒子による散乱回数を非常に多くする必要があり、散乱時のエネルギー損失の積算によって半導体発光装置全体の発光効率を低下させることが多い。
これに対し、本実施形態では指向性の強い励起光を選択的に散乱させるため、励起光と蛍光体出力の輝度分布が相似形になる最小限の散乱回数で良くなり、全体的な散乱回数、具体的には散乱のための散乱粒子33の量を最小限にして全体的な発光効率の低下を最小化できる効果を有する。
以上説明したように、本実施形態によれば、発光素子8上に設けた蛍光体層30中に、主に励起光を散乱する波長依存型散乱粒子33を混在させることで、白色光源としての色度分布を均一化し、さらに蛍光体32の均一励起による発光効率の向上も可能という利点を有する。これにより、光品質の高い半導体発光装置が安価な構成で実現可能になる。
さらに、実施形態によれば、発光素子8と蛍光体層30との間に、蛍光反射膜35を設けている。蛍光反射膜35は、発光素子8の励起光の波長に対する反射率よりも、蛍光体32の蛍光波長に対して高い反射率を有し、蛍光体出力光の発光素子8側に向かう成分を反射する。すなわち、蛍光反射膜35は、発光素子8の励起光に対しては相対的に低反射で、蛍光体32の出力光に対して相対的に高反射となるように機能する。
その結果、発光素子8の励起光の取り出し効率を大きく低減させることなく、蛍光体出力が発光素子8内部に入射して吸収や散乱により消失する割合を低減でき、外部から見た場合の発光効率が高くなるようにすることができる。
具体的には、n型半導体層6の屈折率をn1、蛍光反射膜35の屈折率をn2、蛍光反射膜35の厚さをh2、樹脂層31の等価屈折率をn3とし、n型半導体層6の厚さh1と樹脂層31の厚さh3が、励起光波長λ0より十分大きくなるように設定する。
n1>n2>n3のときは、n2h2=λ0(1+2m)/4(m=0,1,2,3...)、n2<n3<n1のときは、n2h2=λ0(1+m)/2(m=0,1,2,3...)となるように設定する。
それぞれ列挙すると、n1>n2>n3のときは、n2h2=λ0/4、λ03/4、λ05/4...、n2<n3<n1のときは、n2h2=λ0/2、λ0、λ03/2...、となるようにh2の厚さを設定する。
図2(b)に、蛍光反射膜35の反射率の波長依存特性例を示す。蛍光体層30は、樹脂シート(n3〜1.5)に蛍光体32と散乱粒子33を分散させた構成とし、蛍光反射膜35は、厚さが56nmの窒化シリコン(Si3N4、n2〜2)とし、n型半導体層6はGaN(n1〜2.8)とした。
図2(b)における実線矢印は発光素子8の励起波長(λ0=450nm)を、破線矢印は黄色蛍光体出力波長(560nm)の位置を示しているが、それぞれの反射率が0.06%(450nm)、0.97%(560nm)と、反射率として16倍もの差が得られる。また、黄色蛍光体出力は赤色領域近傍まで発光スペクトルが広がっているものの、赤色領域の輝度が低いため演色性が低いという問題がある。
実施形態の蛍光反射膜35によれば、図2(b)から分るように、励起光波長から離れた波長の反射率が高く、例えば波長が700nmの場合2.8%と、黄色蛍光波長(560nm)に対して2.8倍、励起光波長に対しては46倍もの反射率となる。これにより、蛍光体32の出力光が発光素子(LEDチップ)8で損失する成分が救済されるほか、輝度の低い長波長の光が高反射となる効果が加わって演色性の改善の効果も表れるようになる。
この効果は、励起光が青色(λ0=450nm)で、h2=56nm(n2h2=λ0/4)とし、緑色蛍光体と赤色蛍光体を用いた場合でも有効である。励起光の反射率は同じく0.06%程度であるが、緑色(波長550nm)で0.85%、赤色(波長650nm)で2.2%と、それぞれ励起光の反射率に対して約14倍、約36倍といった反射率が得られる。
蛍光体層30の上面上には、図1(b)に示すように、トップコート膜36を設けてもよい。トップコート膜36は、例えば、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜である。
トップコート膜36は、蛍光体層30(屈折率n3〜1.5)と光取り出し先(空気、屈折率n5〜1.0)との屈折率差による光取り出し効率の低下を抑制可能にする。例えば、トップコート膜36がない場合は蛍光体層30の表面で約4%の反射率となり、光取り出し損失が生じるが、トップコート膜36としてLiF(屈折率n4〜1.39)を100nm設けると、波長が430nmから750nmの光に対して2%以下(波長550nmでは1.6%)の反射率となり、蛍光体層30の表面反射損失を50%以上低減可能になる。
また、トップコート膜36は、蛍光体層30の樹脂層31よりも粘着性(タック性)が低い。すなわち、トップコート膜36に貼り付けられた支持テープ(例えばダイシングテープ)をトップコート膜36から一定速度で剥離するのに要する力は、蛍光体層30の樹脂層31に貼り付けられた支持テープを樹脂層31から一定速度で剥離するのに要する力よりも小さい。
後述するダイシング時、ウェーハ状態の半導体発光装置は、蛍光体層30の樹脂層31よりも粘着性が低いトップコート膜36を介してダイシングテープに貼り付けられる。このため、蛍光体層30を損傷させることなく、ダイシングテープから半導体発光装置を容易に剥離させることができ、個片化後の半導体発光装置の取り扱い性を向上できる。
次に、図6は、実施形態の半導体発光装置1の模式断面図である。
半導体発光装置1は、発光素子と、蛍光反射膜35と、蛍光体層30と、蛍光体層30の反対側に設けられた発光素子の支持体と、を有する。
発光素子は、半導体層15、p側電極16およびn側電極17を含む。半導体層15は活性層13を有する。また、半導体層15は、第1の面15aと、その反対側の第2の面を有する。第2の面側に電極及び支持体が設けられ、その反対側の第1の面15aから主として光が半導体層15の外に出射される。
半導体層15は、第1の半導体層11と第2の半導体層12を有する。第1の半導体層11及び第2の半導体層12は、例えば窒化ガリウムを含む。第1の半導体層11は、例えば、下地バッファ層、n型GaN層などを含む。第2の半導体層12は、p型GaN層、活性層(発光層)13を含む。活性層13は、青、紫、青紫、紫外光などを発光する材料を用いることができる。
半導体層15の第2の面は凹凸形状に加工され、凸部は活性層13を含む。その凸部の表面である第2の半導体層12の表面には、p側電極16が設けられている。すなわち、p側電極16は、活性層13を有する領域における第2の面に設けられている。
半導体層15の第2の面において凸部の横には、活性層13を含まない領域が設けられ、その領域の第1の半導体層11の表面に、n側電極17が設けられている。すなわち、n側電極17は、活性層13を含まない領域における第2の面に設けられている。
図9(b)に示すように、半導体層15の第2の面において、活性層13を含む第2の半導体層12の面積は、活性層13を含まない第1の半導体層11の面積よりも広い。
また、図10(b)に示すように、半導体層15において、活性層13を含む領域に設けられたp側電極16の方が、活性層13を含まない領域に設けられたn側電極17よりも面積が広い。これにより、広い発光領域が得られる。なお、図10(b)に示すp側電極16及びn側電極17のレイアウトは一例であって、これに限らない。
半導体層15の第2の面側には、第1の絶縁膜(以下、単に絶縁膜と言う)18が設けられている。絶縁膜18は、半導体層15、p側電極16及びn側電極17を覆っている。また、絶縁膜18は、活性層13及び第2の半導体層12の側面を覆って保護している。
なお、絶縁膜18と半導体層15との間に別の絶縁膜(例えばシリコン酸化膜)が設けられることもある。絶縁膜18は、例えば、微細開口のパターニング性に優れたポリイミド等の樹脂である。あるいは、絶縁膜18としてシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等の無機膜を用いてもよい。
絶縁膜18は、半導体層15の第1の面15a上には設けられていない。絶縁膜18は、半導体層15における第1の面15aから続く側面15cを覆って保護している。
絶縁膜18における、半導体層15の第2の面とは反対側の面上に、p側配線層21とn側配線層22とが互いに離間して設けられている。
p側配線層21は、p側電極16に達して絶縁膜18に形成された複数の第1の開口18a内にも設けられ、p側電極16と電気的に接続されている。n側配線層22は、n側電極17に達して絶縁膜18に形成された第2の開口18b内にも設けられ、n側電極17と電気的に接続されている。
p側配線層21においてp側電極16に対する反対側の面には、p側金属ピラー23が設けられている。p側配線層21、p側金属ピラー23、および後述するシード層として使われる金属膜19は、本実施形態におけるp側配線部を構成する。
n側配線層22においてn側電極17に対する反対側の面には、n側金属ピラー24が設けられている。n側配線層22、n側金属ピラー24、および後述するシード層として使われる金属膜19は、本実施形態におけるn側配線部を構成する。
絶縁膜18には、第2の絶縁膜として例えば樹脂層25が積層されている。樹脂層25は、p側配線部の周囲及びn側配線部の周囲を覆っている。また、樹脂層25は、p側金属ピラー23とn側金属ピラー24との間に充填されている。
p側金属ピラー23の側面およびn側金属ピラー24の側面は、樹脂層25で覆われている。p側金属ピラー23におけるp側配線層21に対する反対側の面は、樹脂層25から露出し、p側外部端子23aとして機能する。n側金属ピラー24におけるn側配線層22に対する反対側の面は、樹脂層25から露出し、n側外部端子24aとして機能する。
p側外部端子23a及びn側外部端子24aは、実装基板に形成されたパッドに、はんだ、その他の金属、導電性材料等の接合材を介して接合される。
樹脂層25における同じ面(図6における下面)で露出するp側外部端子23aとn側外部端子24aとの間の距離は、絶縁膜18上でのp側配線層21とn側配線層22との間の距離よりも大きい。p側外部端子23aとn側外部端子24aとは、実装基板への実装時にはんだ等によって相互に短絡しない距離を隔てて離れている。
p側配線層21は、プロセス上の限界まで、n側配線層22に近づけることができ、p側配線層21の面積を広くできる。この結果、p側配線層21とp側電極16との接触面積の拡大を図れ、電流分布及び放熱性を向上できる。
p側配線層21が複数の第1の開口18aを通じてp側電極16と接する面積は、n側配線層22が第2の開口18bを通じてn側電極17と接する面積よりも大きい。よって、活性層13への電流分布が向上し、且つ活性層13の熱の放熱性が向上できる。
絶縁膜18上に広がるn側配線層22の面積は、n側配線層22がn側電極17と接する面積よりも大きい。
実施形態によれば、n側電極17よりも広い領域にわたって形成された活性層13によって高い光出力を得ることができる。なおかつ、活性層13を含む領域よりも狭い領域に設けられたn側電極17が、より面積の大きなn側配線層22として実装面側に引き出されている。
第1の半導体層11は、n側電極17、金属膜19およびn側配線層22を介して、n側外部端子24aを有するn側金属ピラー24と電気的に接続されている。活性層13を含む第2の半導体層12は、p側電極16、金属膜19およびp側配線層21を介して、p側外部端子23aを有するp側金属ピラー23と電気的に接続されている。
p側金属ピラー23はp側配線層21よりも厚く、n側金属ピラー24はn側配線層22よりも厚い。p側金属ピラー23、n側金属ピラー24および樹脂層25のそれぞれの厚さは、半導体層15よりも厚い。なお、ここでの「厚さ」は、図6において上下方向の厚さを表す。
また、p側金属ピラー23及びn側金属ピラー24のそれぞれの厚さは、半導体層15、p側電極16、n側電極17および絶縁膜18を含む積層体の厚さよりも厚い。なお、各金属ピラー23、24のアスペクト比(平面サイズに対する厚みの比)は1以上であることに限らず、その比は1よりも小さくてもよい。すなわち、金属ピラー23、24は、その平面サイズよりも厚さが小さくてもよい。
実施形態によれば、半導体層15を形成するために使用した後述する基板10が除去されても、p側金属ピラー23、n側金属ピラー24および樹脂層25によって、半導体層15を安定して支持し、半導体発光装置1の機械的強度を高めることができる。
p側配線層21、n側配線層22、p側金属ピラー23およびn側金属ピラー24の材料としては、銅、金、ニッケル、銀などを用いることができる。これらのうち、銅を用いると、良好な熱伝導性、高いマイグレーション耐性及び絶縁材料との優れた密着性が得られる。
樹脂層25は、p側金属ピラー23及びn側金属ピラー24を補強する。樹脂層25は、実装基板と熱膨張率が同じもしくは近いものを用いるのが望ましい。そのような樹脂層25として、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などを一例として挙げることができる。
また、p側外部端子23a及びn側外部端子24aを介して、半導体発光装置1を図示しない実装基板に実装した状態において、はんだ等を介して半導体層15に加わる応力を、p側金属ピラー23とn側金属ピラー24が吸収することで緩和することができる。
p側配線層21及びp側金属ピラー23を含むp側配線部は、複数の第1の開口18a内に設けられ相互に分断された複数のビア21aを介して、p側電極16に接続されている。このため、p側配線部による高い応力緩和効果が得られる。
あるいは、図21(a)に示すように、1つの大きな第1の開口18a内に設けられ、ビア21aよりも平面サイズの大きなポスト21cを介して、p側配線層21をp側電極16に接続させてもよく、この場合、いずれも金属であるp側電極16、p側配線層21及びp側金属ピラー23を通じた、活性層13の放熱性の向上を図れる。
後述するように、半導体層15を形成するときに使った基板10は第1の面15a上から除去される。このため、半導体発光装置1を低背化できる。
半導体層15の第1の面15aには、光取り出し効率を向上させるため、必要に応じて微小凹凸が形成される。
第1の面15a上には、前述した蛍光反射膜35を介して蛍光体層30が設けられている。したがって、半導体発光装置1においても、色度分布を均一化し、さらに発光効率を向上できる。
次に、図7(a)〜図18(b)を参照して、実施形態の半導体発光装置1の製造方法について説明する。図7(a)〜図18(b)は、ウェーハ状態における一部の領域を表す。
図7(a)は、基板10の主面(図7(a)における下面)に、第1の半導体層11及び第2の半導体層12を形成した積層体を示す。図7(b)は、図7(a)における下面図に対応する。
基板10の主面上に第1の半導体層11が形成され、その上に活性層13を含む第2の半導体層12が形成される。窒化ガリウムを含む第1の半導体層11及び第2の半導体層12は、例えばサファイア基板上にMOCVD(metal organic chemical vapor deposition)法で結晶成長させることができる。あるいは、基板10としてはシリコン基板を用いることもできる。
第1の半導体層11における基板10に接する面が、半導体層15の第1の面15aであり、第2の半導体層12の表面が半導体層15の第2の面15bである。
次に、図示しないレジストを用いた例えばRIE(Reactive Ion Etching)法で、図8(a)及びその下面図である図8(b)に示すように、半導体層15を貫通して基板10に達する溝80を形成する。溝80は、ウェーハ状態の基板10上で例えば格子状に形成され、半導体層15を基板10上で複数のチップに分離する。
なお、半導体層15を複数に分離する工程は、後述する第2の半導体層12の選択的除去後、あるいは電極の形成後に行ってもよい。
次に、図示しないレジストを用いた例えばRIE法で、図9(a)及びその下面図である図9(b)に示すように、第2の半導体層12の一部を除去して、第1の半導体層11の一部を露出させる。第1の半導体層11が露出された領域は、活性層13を含まない。
次に、図10(a)及びその下面図である図10(b)に示すように、半導体層15の第2の面にp側電極16とn側電極17を形成する。p側電極16は、第2の半導体層12の表面に形成される。n側電極17は、第1の半導体層11の露出面に形成される。
p側電極16及びn側電極17は、例えば、スパッタ法、蒸着法等で形成される。p側電極16とn側電極17は、どちらを先に形成してもよいし、同じ材料で同時に形成してもよい。
p側電極16は、活性層13の発光光に対して反射性を有する、例えば、銀、銀合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を含む。また、p側電極16の硫化、酸化防止のため、金属保護膜(バリアメタル)を含む構成であってもよい。
また、p側電極16とn側電極17との間や、活性層13の端面(側面)にパッシベーション膜として、例えばシリコン窒化膜やシリコン酸化膜をCVD(chemical vapor deposition)法で形成してもよい。また、各電極と半導体層とのオーミックコンタクトをとるための活性化アニールなどは必要に応じて実施される。
次に、基板10の主面上の露出している部分すべてを図11(a)に示す絶縁膜18で覆った後、例えばウェットエッチングにより絶縁膜18をパターニングし、絶縁膜18に選択的に第1の開口18aと第2の開口18bを形成する。第1の開口18aは複数形成され、各々の第1の開口18aはp側電極16に達する。第2の開口18bはn側電極17に達する。
絶縁膜18としては、例えば、感光性ポリイミド、ベンゾシクロブテン(Benzocyclobutene)などの有機材料を用いることができる。この場合、レジストを使わずに、絶縁膜18に対して直接露光及び現像が可能である。
あるいは、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜などの無機膜を絶縁膜18として使用してもよい。絶縁膜18が無機膜の場合、絶縁膜18上に形成したレジストをパターニングした後のエッチングによって第1の開口18a及び第2の開口18bが形成される。
次に、絶縁膜18の表面、第1の開口18aの内壁(側壁及び底部)、および第2の開口18bの内壁(側壁及び底部)に、図11(b)に示すように、金属膜19を形成する。金属膜19は、後述するメッキのシードメタルとして使われる。
金属膜19は、例えばスパッタ法で形成される。金属膜19は、例えば、絶縁膜18側から順に積層されたチタン(Ti)と銅(Cu)との積層膜を含む。あるいは、チタン膜の代わりにアルミニウム膜を使ってもかまわない。
次に、図11(c)に示すように、金属膜19上に選択的にレジスト91を形成し、金属膜19を電流経路としたCu電解メッキを行う。
これにより、図12(a)及びその下面図である図12(b)に示すように、金属膜19上に、選択的にp側配線層21とn側配線層22が形成される。p側配線層21及びn側配線層22はメッキ法により同時に形成される例えば銅材料からなる。
p側配線層21は、第1の開口18a内にも形成され、金属膜19を介してp側電極16と電気的に接続される。n側配線層22は、第2の開口18b内にも形成され、金属膜19を介してn側電極17と電気的に接続される。
p側配線層21及びn側配線層22のメッキに使ったレジスト91は、溶剤もしくは酸素プラズマを使って、除去される。
次に、図13(a)及びその下面図である図13(b)に示すように、金属ピラー形成用のレジスト92を形成する。レジスト92は、前述のレジスト91よりも厚い。なお、前の工程でレジスト91は除去せずに残し、そのレジスト91にレジスト92を重ねて形成してもよい。レジスト92には、第1の開口92aと第2の開口92bが形成されている。
そして、レジスト92をマスクに用いて、金属膜19を電流経路としたCu電解メッキを行う。これにより、図14(a)及びその下面図である図14(b)に示すように、p側金属ピラー23とn側金属ピラー24が形成される。
p側金属ピラー23は、レジスト92に形成された第1の開口92a内であって、p側配線層21の表面上に形成される。n側金属ピラー24は、レジスト92に形成された第2の開口92b内であって、n側配線層22の表面上に形成される。p側金属ピラー23及びn側金属ピラー24は、メッキ法により同時に形成される例えば銅材料からなる。
レジスト92は、図15(a)に示すように、例えば溶剤もしくは酸素プラズマを用いて除去される。この後、金属ピラー23、n側金属ピラー24、p側配線層21およびn側配線層22をマスクにして、金属膜19の露出している部分をウェットエッチングにより除去する。これにより、図15(b)に示すように、p側配線層21とn側配線層22との金属膜19を介した電気的接続が分断される。
次に、図16(a)に示すように、絶縁膜18に対して樹脂層25を積層する。樹脂層25は、p側配線層21、n側配線層22、p側金属ピラー23及びn側金属ピラー24を覆う。
樹脂層25は、絶縁性を有する。また、樹脂層25に、例えばカーボンブラックを含有させて、活性層13の発光光に対して遮光性を与えてもよい。
次に、図16(b)に示すように、基板10を除去する。基板10がサファイア基板の場合、例えばレーザーリフトオフ法によって基板10を除去することができる。具体的には、基板10の裏面側から第1の半導体層11に向けてレーザ光が照射される。レーザ光は、基板10に対して透過性を有し、第1の半導体層11に対しては吸収領域となる波長を有する。
レーザ光が基板10と第1の半導体層11との界面に到達すると、その界面付近の第1の半導体層11はレーザ光のエネルギーを吸収して分解する。第1の半導体層11はガリウム(Ga)と窒素ガスに分解する。この分解反応により、基板10と第1の半導体層11との間に微小な隙間が形成され、基板10と第1の半導体層11とが分離する。
レーザ光の照射を、設定された領域ごとに複数回に分けてウェーハ全体にわたって行い、基板10を除去する。
基板10がシリコン基板の場合には、エッチングによって基板10を除去することができる。
基板10の主面上に形成された前述した積層体は、半導体層15よりも厚いp側金属ピラー23、n側金属ピラー24および樹脂層25によって補強されているため、基板10がなくなっても、ウェーハ状態を保つことが可能である。
また、樹脂層25も、p側金属ピラー23及びn側金属ピラー24を構成する金属も、半導体層15に比べて柔軟な材料である。そのような柔軟な支持体に半導体層15は支持されている。そのため、基板10上に半導体層15をエピタキシャル成長させる際に生じた大きな内部応力が、基板10の剥離時に一気に開放されても、半導体層15が破壊されるのを回避できる。
基板10が除去された半導体層15の第1の面15aは洗浄される。例えば、希フッ酸等で、第1の面15aに付着したガリウム(Ga)を除去する。
その後、必要に応じて、例えば、KOH(水酸化カリウム)水溶液やTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等で、第1の面15aをウェットエッチングする。これにより、結晶面方位に依存したエッチング速度の違いによって、第1の面15aに凹凸が形成され、光取り出し効率を向上できる。
次に、図17(b)に示すように、第1の面15a上に、蛍光反射膜35を形成し、さらに蛍光反射膜35上に蛍光体層30を形成する。蛍光反射膜35及び蛍光体層30は、隣り合う半導体層15間の絶縁膜18上にも形成される。
蛍光反射膜35として、例えばシリコン窒化膜をCVD法で形成することができる。その後、蛍光体32及び散乱粒子33が分散された液状樹脂を、例えば、印刷、ポッティング、モールド、圧縮成形などの方法によって蛍光反射膜35上に供給した後、熱硬化させて、蛍光体層30が形成される。
次に、樹脂層25の表面(図17(b)における下面)を研削し、図18(a)及びその下面図である図18(b)に示すように、p側外部端子23a及びn側外部端子24aを露出させる。
その後、前述した溝80の位置で、蛍光体層30、蛍光反射膜35、絶縁膜18および樹脂層25を切断し、複数の半導体発光装置1に個片化する。例えば、ダイシングブレードを用いて切断する。あるいは、レーザ照射によって、切断してもよい。
ダイシング時、基板10はすでに除去されている。さらに、溝80には、半導体層15は存在しないため、ダイシング時に半導体層15が受けるダメージを回避することができる。また、個片化後の追加工程なしで、半導体層15の端部(側面)が絶縁膜18で覆われて保護された構造が得られる。
なお、個片化された半導体発光装置1は、ひとつの半導体層15を含むシングルチップ構造でも、複数の半導体層15を含むマルチチップ構造であってもよい。
ダイシングされる前までの前述した各工程は、ウェーハ状態で一括して行われるため、個片化された個々のデバイスごとに、配線及びパッケージングを行う必要がなく、大幅な生産コストの低減が可能になる。すなわち、個片化された状態で、すでに配線及びパッケージングが済んでいる。このため、生産性を高めることができ、その結果として価格低減が容易となる。
第1の面15a上には、図19(a)〜(c)および図20に示す半導体発光装置2のように、レンズ36が設けられていてもよい。レンズ36は凹形状に限らず、凸形状であってもよい。
図19(a)は、実施形態の変形例の半導体発光装置2の模式斜視図である。図19(b)は、図19(a)におけるA−A断面図である。図19(c)は、図19(a)におけるB−B断面図である。
図20は、半導体発光装置2を実装基板200上に実装した構成を有する発光モジュールの模式断面図である。
図19(a)及び(c)に示すように、p側金属ピラー23の一部の側面は、半導体層15の第1の面15a及び第2の面と異なる面方位の第3の面25bで、樹脂層25から露出している。その露出面は、外部の実装基板に実装するためのp側外部端子23bとして機能する。
第3の面25bは、半導体層15の第1の面15a及び第2の面に対して略垂直な面である。樹脂層25は、例えば矩形状の4つの側面を有し、そのうちのひとつの側面が第3の面25bとなっている。
その同じ第3の面25bで、n側金属ピラー24の一部の側面が樹脂層25から露出している。その露出面は、外部の実装基板に実装するためのn側外部端子24bとして機能する。
また、図19(a)に示すように、p側配線層21の一部の側面21bも、第3の面25bで樹脂層25から露出し、p側外部端子として機能する。同様に、n側配線層22の一部の側面22bも、第3の面25bで樹脂層25から露出し、n側外部端子として機能する。
p側金属ピラー23において、第3の面25bで露出しているp側外部端子23b以外の部分は、樹脂層25で覆われている。また、n側金属ピラー24において、第3の面25bで露出しているn側外部端子24b以外の部分は、樹脂層25で覆われている。
また、p側配線層21において、第3の面25bで露出している側面21b以外の部分は、樹脂層25で覆われている。さらに、n側配線層22において、第3の面25bで露出している側面22b以外の部分は、樹脂層25で覆われている。
この半導体発光装置2は、図20に示すように、第3の面25bを実装基板200の実装面201に向けた姿勢で実装される。第3の面25bで露出しているp側外部端子23b及びn側外部端子24bは、それぞれ、実装面201に形成されたパッド202に対してはんだ203を介して接合されている。実装基板200の実装面201には配線パターンも形成されており、パッド202はその配線パターンと接続されている。
第3の面25bは、光の主な出射面である第1の面15aに対して略垂直である。したがって、第3の面25bを下方の実装面201側に向けた姿勢で、第1の面15aは実装面201の上方ではなく、横方向を向く。すなわち、半導体発光装置2は、実装面201を水平面とした場合に横方向に光が放出される、いわゆるサイドビュータイプの半導体発光装置である。
図21(b)は、実施形態の他の変形例による半導体発光装置3の模式断面図である。
この半導体発光装置3では、p側電極16の表面及び側面に、p側電極16を覆うp側パッド51が設けられている。p側電極16は、半導体層15に含まれるガリウム(Ga)と合金を形成可能な、例えば、ニッケル(Ni)、金(Au)およびロジウム(Rh)のうちの少なくとも1つを含む。p側パッド51は、p側電極16よりも活性層13の発光光に対する反射率が高く、主成分として例えば銀(Ag)を含む。また、p側パッド51は、p側電極16を酸化や腐食から保護する。
また、n側電極17の表面及び側面に、n側電極17を覆うn側パッド52が設けられている。n側電極17は、半導体層15に含まれるガリウム(Ga)と合金を形成可能な、例えば、ニッケル(Ni)、金(Au)およびロジウム(Rh)のうちの少なくとも1つを含む。n側パッド52は、n側電極17よりも活性層13の発光光に対する反射率が高く、主成分として例えば銀(Ag)を含む。また、n側パッド52は、n側電極17を酸化や腐食から保護する。
半導体層15の第2の面におけるp側電極16の周囲およびn側電極17の周囲には、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などの絶縁膜53が設けられている。絶縁膜53は、p側電極16とn側電極17との間、およびp側パッド51とn側パッド52との間に設けられている。
絶縁膜53上、p側パッド51上およびn側パッド52上には、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などの絶縁膜54が設けられている。また、絶縁膜54は、半導体層15の側面15cにも設けられ、側面15cを覆っている。
絶縁膜54上には、p側配線層21とn側配線層22が設けられている。p側配線層21は、絶縁膜54に形成された第1の開口54aを通じてp側パッド51に接続されている。n側配線層22は、絶縁膜54に形成された第2の開口54bを通じてn側パッド52に接続されている。
この構造においても、p側配線層21は、図21(b)に示すように複数のビア21aを介してp側パッド51に接続されてもよいし、あるいは、ビア21aよりも平面サイズの大きな1つのポストを介してp側パッド51に接続されてもよい。
p側配線層21上には、p側配線層21よりも厚いp側金属ピラー23が設けられている。n側配線層22上には、n側配線層22よりも厚いn側金属ピラー24が設けられている。
絶縁膜54に対して樹脂層25が積層されている。樹脂層25は、p側配線層21及びp側金属ピラー23を含むp側配線部と、n側配線層22及びn側金属ピラー24を含むn側配線部を覆っている。ただし、p側金属ピラー23におけるp側配線層21に対する反対側の面(図において下面)は樹脂層25から露出され、p側外部端子23aとして機能する。同様に、n側金属ピラー24におけるn側配線層22に対する反対側の面(図において下面)は樹脂層25から露出され、n側外部端子24aとして機能する。
あるいは、p側金属ピラー23の側面と、n側金属ピラー24の側面を露出させて、サイドビュータイプの半導体発光装置とすることもできる。
樹脂層25は、基板10上で半導体層15を複数に分離する前述した溝80内に、絶縁膜54を介して充填される。したがって、半導体層15の側面15cは、無機膜である絶縁膜54と、樹脂層25とで覆われて保護されている。
なお、前述した実施形態において、p側金属ピラー23及びn側金属ピラー24を設けずに、p側配線層21及びn側配線層22を実装基板のパッドに対して接合させてもよい。
また、p側配線層21とp側金属ピラー23とは別体であることに限らず、p側配線層21とp側金属ピラー23とを同じ工程で一体に設けてp側配線部を構成してもよい。同様に、n側配線層22とn側金属ピラー24とは別体であることに限らず、n側配線層22とn側金属ピラー24とを同じ工程で一体に設けてn側配線部を構成してもよい。
以上説明した実施形態によれば、半導体発光装置の高効率化と色度の均等化が両立でき、高効率で色度むらのない半導体発光装置が得られ、例えば照明用に適する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば、上述した実施形態はいくつかの具体例を示しているが、これはあくまで構成例であり、本発明の主旨に従い個々の要素に他の手段(材料、形状、寸法など)を用いても構わないものである。また、各実施形態を組み合わせて実施することも可能である。