JP2013230308A - 芳香器及び保持部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】液状香料の補充作業を簡便に行うことができつつ、使用者の任意のタイミングで液状香料の蒸発・拡散を行うことができる芳香器及び芳香器に用いる保持部材を提供する。
【解決手段】芳香器100は、容器部材1と、保持部材3と、蒸発部材4と、を備える。容器部材1は、一端に開口部14を有する有底筒状に形成され、精油1Aを収容するとともに、雄ねじ部12aが設けられる。保持部材3は、雄ねじ部12aが係合可能な雌ねじ部33が設けられるとともに、筒状に形成され、容器部材1を収容して保持する。蒸発部材4は、容器部材1及び保持部材3のうち少なくともいずれか一方に取り付けられる。蒸発部材4には、精油1Aが浸透して蒸発する。保持部材3は、容器部材1が一端から挿入される第1筒状部31と、第1筒状部31の他端に設けられ、第1筒状部31と反対側の端部から外部に蒸発部材4が露出する第2筒状部32と、を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、芳香器及び芳香器に用いる保持部材に関するものである。
近年、心身をリフレッシュ及びリラックスさせたり、抗菌や防虫を行ったりする手法として、香りの効能が注目されている。特に、ハーブなどの植物の有効成分を抽出した揮発性オイル、所謂精油(エッセンシャルオイル)の香りの効能が注目されている。
一般的に、精油を空気中に芳香させる手段としては、蝋燭の火により加熱して蒸発・拡散させるキャンドル式アロマポット、電球の熱により加熱して蒸発・拡散させる電気式アロマポット、及び超音波の振動により微粒子にしてミスト状に拡散させるアロマディフューザーなどが知られている。
ところが、前記した芳香手段は、香りの拡散性に優れる一方で、火の始末に注意しなければならなかったり、専用の機械を用意しなければならなかったりするため、手間や購入コストが掛かってしまい、精油の使用者が増加しない一因になっていた。
そこで、従来、火、熱、及び専用の機械を使用せずに精油の香りを手軽に楽しめる技術が多数開発され実用化に至っている。
例えば、非特許文献1には、円板状を呈する素焼きのアロマプレートに精油を滴下して自然蒸散させる技術が開示されている。すなわち、この技術では、精油がアロマプレートに染み込んだ後、空気中に蒸発・拡散する構造になっている。
ところが、前記した非特許文献1の技術では、精油の香りが弱くなると、精油を収容する容器部材の蓋を開けてアロマプレートに精油を補充すると共に、補充後に容器部材の蓋を閉めなければならず、精油補充時に蓋の開閉動作が必要であるため、多大な手間を要するという問題があった。
そこで、このような問題を解決するものとして、非特許文献2には、精油が収容された容器部材内に下部が配置され、容器部材外に上部が配置された木製リードを備え、木製リードの下部から精油を吸い上げ、上部から空気中に蒸発・拡散させる技術が開示されている。このような構成により、容器部材内に木製リードを一度設置すれば、精油が無くなるまで補充作業を行う必要がないため、使用者による取り扱いが簡便になっている。
「アロマプレート」,[online],BLY,平成24年4月9日検索,インターネット〈URL:http://www.blyjapon.com/ct_armrp.html〉 「アロマリード」,[online],JAYE NIEMI,平成24年4月9日検索,インターネット〈URL:http://www.alione.net/aromareeds.htm〉
ところが、前記した非特許文献1に記載の技術では、アロマプレートに精油を補充する際、その都度蓋の開閉動作が必要であるため、使用者による取り扱いが煩雑になる一方、前記した非特許文献2に記載の技術では、精油が空気中に常時蒸発・拡散されるため、使用者の望むタイミングで精油の蒸発・拡散を行うことができないという問題があった。
なお、このような問題は、植物性香料である精油を使用する場合に限らず、動物性香料や合成香料などの他の液状香料を使用する場合にも共通してあてはまる問題である。
本発明は、このような観点から創案されたものであり、液状香料の補充作業を簡便に行うことができつつ、使用者の任意のタイミングで液状香料の蒸発・拡散を行うことができる芳香器を提供することを課題とする。
また、前記芳香器に用いる保持部材を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため本発明は、一端に開口部を有する有底筒状に形成され、液状香料を収容するとともに、係合部が設けられた容器部材と、前記係合部が係合可能な被係合部が設けられ、前記容器部材を収容して保持する筒状の保持部材と、前記容器部材及び前記保持部材のうち少なくともいずれか一方に取り付けられ、前記液状香料が浸透して蒸発する蒸発部材と、を備えた芳香器であって、前記保持部材は、前記容器部材が一端から挿入される第1筒状部と、前記第1筒状部の他端に設けられ、前記第1筒状部と反対側の端部から外部に前記蒸発部材が露出する第2筒状部と、を有することを特徴とする。
なお、本発明でいう「浸透」とは、液状香料が蒸発部材に部分的又は全体的に染み込むことをいう。
本発明によれば、容器部材を収容して保持する保持部材は、容器部材が一端から挿入される第1筒状部と、第1筒状部の他端に設けられ、第1筒状部と反対側の端部から外部に蒸発部材が露出する第2筒状部と、を有することにより、保持部材を所定角度傾けると、液状香料は、容器部材から流出して蒸発部材に浸透した後、蒸発部材で蒸発して空気中に拡散されることとなる。これにより、蒸発部材に液状香料を補充する際に、蓋の開閉動作を行う必要がないので、液状香料の補充作業を簡便に行うことができる。
また、本発明によれば、保持部材を所定角度傾けることにより、液状香料を蒸発部材に浸透させた後、蒸発部材で蒸発させて空気中に拡散できるため、使用者の任意のタイミングで液状香料の蒸発・拡散を行うことができる。
また、前記蒸発部材の一端側は、前記第2筒状部の前記第1筒状部と反対側の端部に挿入され、前記蒸発部材は、前記容器部材側に開口する有底筒状の空洞部を有するように構成するのが好ましい。
かかる構成によれば、容器部材から流出した液状香料が、空洞部内に流入して当該空洞部から蒸発部材の外部へ浸透しやすくなるので、蒸発部材における液状香料の浸透性を向上させることができる。
また、前記空洞部内に挿入される管状部材を更に備えるように構成するのが好ましい。
かかる構成によれば、容器部材から流出した液状香料を蒸発部材の他端側に導くことができ、蒸発部材の他端側から空気中に液状香料を蒸発させて拡散できる。
また、前記蒸発部材は、折曲可能な帯状部材からなり、前記蒸発部材の両端は、前記容器部材の前記開口部に取り付けられ、前記蒸発部材の両端のうち少なくともいずれか一方の端部側には、前記容器部材の前記開口部を覆うように折曲して形成された折曲部が設けられているように構成するのが好ましい。
かかる構成によれば、容器部材から流出した液状香料が、容器部材の開口部を覆うように折曲して形成された折曲部に付着するので、液状香料の飛散を防止することができる。
また、前記第1筒状部は、前記第2筒状部から離間するにつれてテーパ状に拡径するように構成するのが好ましい。
かかる構成によれば、第1筒状部と容器部材との間には、指を挿入可能な間隙が形成されるので、保持部材に対し容器部材を着脱する際の作業性を向上させることができる。また、保持部材の重心位置が安定するので、机上などに芳香器を安定して設置することができる。
また、前記課題を解決するため本発明は、一端に開口部を有する有底筒状に形成され、液状香料を収容するとともに、係合部が設けられた容器部材を収容して保持する筒状の保持部材であって、前記容器部材が一端から挿入される第1筒状部と、前記第1筒状部の他端に設けられ、前記第1筒状部と反対側の端部から外部に前記液状香料が浸透して蒸発する前記蒸発部材が露出する第2筒状部と、前記第2筒状部に設けられ、前記係合部が係合可能な被係合部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、容器部材を収容して保持する保持部材は、容器部材が一端から挿入される第1筒状部と、第1筒状部の他端に設けられ、第1筒状部と反対側の端部から外部に蒸発部材が露出する第2筒状部と、を有することにより、保持部材を所定角度傾けると、液状香料は、容器部材から流出して蒸発部材に浸透した後、蒸発部材で蒸発して空気中に拡散されることとなる。これにより、蒸発部材に液状香料を補充する際に、蓋の開閉動作を行う必要がないので、液状香料の補充作業を簡便に行うことができる。
また、本発明によれば、保持部材を所定角度傾けることにより、液状香料を蒸発部材に浸透させた後、蒸発部材で蒸発させて空気中に拡散できるため、使用者の任意のタイミングで液状香料の蒸発・拡散を行うことができる。
本発明によれば、液状香料の補充作業を簡便に行うことができつつ、使用者の任意のタイミングで液状香料の蒸発・拡散を行うことができる芳香器を提供することができる。
また、前記芳香器に用いる保持部材を提供することができる。
本発明の実施形態に係る芳香器を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る芳香器を示す分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る芳香器を示す縦断面図である。 本発明の実施形態に係る芳香器の使用方法を説明するための縦断面図である。 変形例に係る芳香器の蒸発部材を示す縦断面図である。 他の変形例に係る芳香器の蒸発部材を示す縦断面図である。 他の変形例に係る芳香器の蒸発部材を示す縦断面図である。 他の変形例に係る芳香器の蒸発部材の説明図であり、(a)は、トレイ上に載置された蒸発部材を示す斜視図であり、(b)は、蒸発部材を折曲した状態を示す斜視図であり、(c)は、蒸発部材を容器部材に取り付けた状態を示す縦断面図である。
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態では、本発明の芳香器を、植物の枝葉、根茎、木皮、樹幹、果実、花、つぼみなどから抽出される揮発性オイル、所謂精油(エッセンシャルオイル、植物性香料)を蒸発・拡散する場合について説明するが、芳香器の使用目的を限定するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る芳香器を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る芳香器を示す分解斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係る芳香器を示す縦断面図である。
図1乃至図3に示すように、芳香器100は、液状香料たる精油1Aを蒸発・拡散するための部材であり、例えば、部屋、トイレ、玄関、枕元、机などに設置される。
芳香器100は、図2に示すように、容器部材1と、中栓2と、保持部材3と、蒸発部材4と、管状部材5と、を備える。
<容器部材>
容器部材1は、公知の容器部材の中から適宜選択して用いられ、内部に精油1Aを収容する有底円筒状のガラス製部材である。容器部材1は、図2に示すように、下端側に設けられ、上下方向(軸方向)に沿って一定の直径に形成された大径部11と、上端側に設けられ、大径部11よりも直径が小さく形成された小径部12と、大径部11の上端と小径部12の下端とを繋ぐ段差部13と、を有する。小径部12の外周面には、螺旋状の雄ねじ部12aが設けられている。容器部材1の上端には、平面視円形状の開口部14が形成されている。
なお、容器部材1の材質、形状、及び大きさなどは、特に限定されるものではなく、例えば、樹脂や陶器などで構成されてもよい。また、精油1Aの液量を視認可能な透明性又は半透明性で構成されることが好ましい。更に、直射日光などによる精油1Aの品質劣化(変質)及び精油1Aによる容器部材1の劣化を防止するために、遮光性を有するガラスなどで構成されることがより好ましい。
<中栓>
中栓2は、図2及び図3に示すように、容器部材1の開口部14に装着される部材であって、例えば、耐油性に優れたポリプロピレンなどの樹脂材料で構成されている。中栓2は、容器部材1から蒸発部材4に精油1Aを1滴ずつ滴下(流出)するとともに、容器部材1内を気密及び液密に保持して精油1Aの品質劣化を防止する役割を果たしている。中栓2は、公知の中栓の中から適宜選択して用いられ、その一例として本実施形態ではドロップ栓が用いられている。
中栓2は、図3に示すように、上端が開口する略円筒状の部材であって、底壁部21と、内筒部22と、足部23と、外筒部24と、を有する。
底壁部21は、開口部14よりも小径に形成された横断面視して略円形状を呈する部分である。底壁部21の中心には、微細な平面視円形状の流出孔21aが上下に貫通して形成されている。流出孔21aは、後記するように容器部材1から精油1Aが流出する流出部として機能する。
内筒部22は、底壁部21の上面から上方へ延設された円筒状を呈する部分である。内筒部22は、底壁部21と同心状に形成され、流出孔21aの周囲を囲むように設けられている。
足部23は、底壁部21の下面から下方へ延設された長尺な四角筒状を呈する部分である。足部23の内部には、横断面視して矩形状を呈する細長い空気孔23aが上下に貫通して形成されている。空気孔23aの上端は、底壁部21のうち内筒部22と外筒部24との間であって、流出孔21aに干渉しない位置に開口している。
外筒部24は、内筒部22の径方向外側であって、底壁部21の外周縁から上方へ延設された円筒状を呈する部分である。外筒部24の外周面は、階段状(段差状)に形成されている。外筒部24の下端側外周面には、開口部14(小径部12の内周面)よりも小径な小径部24aが形成される一方、上端側外周面には、開口部14と略同径な大径部24bが形成されている。大径部24bの上端外周面には、環状のフランジ部24cが径方向外側へ延出形成されている。フランジ部24cは、容器部材1の開口縁部15に当接しており、中栓2が容器部材1内に落下するのを防止するストッパ部として機能している。
<保持部材>
保持部材3は、図3に示すように、容器部材1及び蒸発部材4を保持するための上下端が開口する筒状の樹脂製部材である。保持部材3は、第1筒状部31と、第2筒状部32と、雌ねじ部33と、を有する。なお、保持部材3の材質、形状、及び大きさなどは適宜変更してよい。
第1筒状部31は、下端から容器部材1が挿入され、容器部材1の大径部11、段差部13、及び小径部12の一部を収容する円筒状かつテーパ状の部分である。第1筒状部31は、上方から下方に向かうにつれて(第2筒状部32から離間するにつれて)徐々に拡径するテーパ状に形成されている。これにより、第1筒状部31の下端側内周面と容器部材1の下端側外周面との間には、指Fを挿入可能な間隙Gが形成されるので、保持部材3に対し容器部材1を着脱する際の作業性を向上させることができる。また、保持部材3の重心位置が安定するので、机上などに芳香器100を安定して設置することができる。
第2筒状部32は、第1筒状部31の上端から上方へ延出形成され、容器部材1の小径部12及び後記する蒸発部材4の挿入部41を保持する円筒状の部分である。第2筒状部32の外周面は、上方から下方に向かうにつれて徐々に拡径するテーパ状に形成されている。
なお、本実施形態では、第1筒状部31と第2筒状部32とを一体に形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1筒状部31と第2筒状部32とを別体に形成して、第1筒状部31の上端に第2筒状部32の下端を固定するようにしてもよい。
被係合部たる雌ねじ部33は、第2筒状部32の下端側内周面(第1筒状部31との境界部分近傍)に設けられ、係合部たる雄ねじ部12aが螺合(係合)する螺旋状の部分である。本実施形態において、雄ねじ部12a及び雌ねじ部33は、保持部材3に対し容器部材1を着脱自在に取り付けるための接合手段を構成している。保持部材3に容器部材1を保持可能であれば、両部材を他の手段で係合するようにしてもよい。
<蒸発部材>
蒸発部材4は、容器部材1から流出した精油1Aが浸透して蒸発するフェルト製部材である。蒸発部材4は、図2及び図3に示すように、保持部材3の第2筒状部32に挿入保持される挿入部41と、第2筒状部32から外部に露出する露出部42と、を有する。
挿入部41は、上下方向に沿って一定の直径に形成された円筒状部分である。挿入部41の下端は、大径部24b及びフランジ部24cの上面に当接するとともに、外周面は、第2筒状部32の内周面に当接している。露出部42は、挿入部41よりも拡径して形成された球状部分である。
また、蒸発部材4は、容器部材1側(下側)に開口する有底筒状の空洞部43を有している。空洞部43は、上下方向に沿って一定の内径に形成されており、挿入部41の下端から露出部42の上端付近に亘って設けられている。空洞部43は、内筒部22の外径よりも大径に形成される一方、外筒部24の内径よりも小径に形成されている。空洞部43の開口部43aは、内筒部22の周囲を囲むように配置されており、内筒部22の上端は、開口部43aよりも上方に位置している。
なお、本実施形態の蒸発部材4は、フェルトで構成されているが、精油1Aを浸透・蒸発させることが可能であれば、その材質、形状及び大きさなどはいかなる構成であってもよい。例えば、使用する精油1Aとの親和性(相性)などを考慮しつつ、紙、布、木、スポンジ、陶器、素焼きなどを用いてもよいし、これらの中から適宜組み合わせたものを用いてもよい。また、紙としては、例えば、濾紙、クレープペーパ、書道用紙、和紙、洋紙、特殊紙(例えば、すいとり紙)などを用いてもよいし、布としては、例えば、ポリエステル、綿、アクリルなどを用いてもよい。
管状部材5は、図3に示すように、上下端が開口する円筒状の樹脂製部材である。管状部材5は、例えば、耐油性に優れたポリプロピレンなどの樹脂材料で構成されている。管状部材5は、空洞部43の開口部43aと面一となるように空洞部43の上端まで挿入されている。管状部材5の下端は、内筒部22の外周面に嵌合している。当該管状部材5を設けることにより、容器部材1から流出した精油1Aを蒸発部材4の上端側に導くことができ、蒸発部材4の上端側から空気中に精油1Aを蒸発させて拡散できる。
なお、管状部材5は、耐油性を有していれば、その材質、形状、及び大きさなどはいかなる構成であってもよい。例えば、管状部材5は、空洞部43の途中まで挿入されてもよいし、管状部材5の下端は、空洞部43の開口部43aよりも下方又は上方に位置してもよい。また、管状部材5の下端は、内筒部22の外周面から所定間隔を空けて配置されてもよい。更に、管状部材5の径を適宜調整(細径化)して、毛細管現象を発生させるようにしてもよい。このようにすると、保持部材3を所定角度傾けた際、精油1Aの自重作用と管状部材5による毛細管現象とによって、精油1Aが容器部材1から蒸発部材4へ導かれやすくなるので、精油1Aを蒸発部材4に円滑かつ迅速に浸透させることができる。
<精油>
ここで、本実施形態で使用される精油1Aとしては、例えば、オレンジ油、レモン油、ライム油、ブチグレン油、ユズ油、ネロリ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ラバジン油、アビエス油、ベイ油、イランイラン油、サンダルウッド油、ラブダナム油、シトロネラ油、ゼラニウム油、ペパーミント油、ハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、レモングラス油、バチュリ油、ジャスミン油、ローズ油、シダー油、ベチバー油、ガルバナム油、オークモス油、バイン油、樟脳油、白檀油、檜油、緑茶精油などが挙げられる。
また、これらの精油は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を調合して使用してもよい。更に、精油1Aに対して、例えば、水、水溶性有機溶剤、脂肪族又は芳香族炭化水素類、界面活性剤、可溶化安定化剤、安定剤、pH調整剤、着色剤などを適宜配合した液状組成物(希釈溶液)を使用してもよい。なお、水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノールやイソプロパノールなどのアルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類が挙げられる。
本発明の実施形態に係る芳香器100は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、図3を参照して、本発明の実施形態に係る芳香器100の組立手順の一例について説明する。
はじめに、図3に示すように、中栓2が装着された容器部材1を、保持部材3の下方から挿入するとともに、容器部材1の雄ねじ部12aを、保持部材3の雌ねじ部33に螺合する。
続いて、蒸発部材4の空洞部43に管状部材5を挿入した後、蒸発部材4の挿入部41を、保持部材3の上方から挿入して取り付けるとともに、管状部材5の下端側内周面を、内筒部22の外周面に嵌合する。
以上の組立手順を経て、芳香器100が組み立てられることとなる。なお、蒸発部材4を保持部材3に先に取り付けてもよい。
次に、図4を参照して、本発明の実施形態に係る芳香器100の使用方法について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る芳香器の使用方法を説明するための縦断面図である。なお、図4では、説明の便宜上、管状部材5内の精油1Aの流量を極端に多く描いて表現している。
はじめに、使用者が保持部材3を把持して、鉛直軸に対して所定角度傾ける。詳しくは、保持部材3の上端が下端に対して下側に位置するように傾ける。
このとき、流出孔21aに対して空気孔23aを上側に位置させるように保持部材3を傾けると、流出孔21aから精油1Aが流出しやすくなる。また、保持部材3を傾ける角度及び時間は、精油1Aの粘度や中栓2の種類などを考慮して適宜調節する。
そして、保持部材3を所定角度傾けると、容器部材1の精油1Aは、流出孔21a及び内筒部22を経由して、管状部材5内に流入する。
続いて、管状部材5内に流入した精油1Aは、管状部材5の内周面に沿って流れていき、露出部42の上端側に到達する。
続いて、露出部42に到達した精油1Aは、露出部42に浸透した後、蒸発して空気中に拡散されることとなる。
以上説明した本実施形態によれば、保持部材3を所定角度傾けると、精油1Aは、流出孔21a→内筒部22→管状部材5→露出部42の順に流れていき、露出部42に浸透した後、露出部42で蒸発して空気中に拡散されることとなる。
これにより、蒸発部材4に精油1Aを補充する際に、蓋の開閉動作を行う必要がないので、精油補充時に蓋の開閉動作が必要な従来技術(例えば、非特許文献1に記載の技術)に比較して、精油1Aの補充作業を簡便に行うことができる。
また、本実施形態によれば、保持部材3を所定角度傾けることにより、精油1Aを露出部42に浸透させた後、露出部42で蒸発させて空気中に拡散できるため、使用者の任意のタイミングで精油1Aの蒸発・拡散を行うことができる。
本実施形態によれば、管状部材5が蒸発部材4の空洞部43内に挿入されることにより、容器部材1から流出した精油1Aを蒸発部材4の上端側に導くことができ、蒸発部材4の上端側から空気中に精油1Aを蒸発させて拡散できる。
本実施形態によれば、第1筒状部31は、上方から下方に向かうにつれて徐々に拡径するテーパ状に形成されていることにより、第1筒状部31の下端側内周面と容器部材1の下端側外周面との間には、指Fを挿入可能な間隙Gが形成されるので、保持部材3に対し容器部材1を着脱する際の作業性を向上させることができる。
また、保持部材3の重心位置が安定するので、机上などに芳香器100を安定して設置することができる。
現在一般的に流通している精油用の容器部材は、規格化されており、本実施形態によれば、既存の様々な容器部材に保持部材3を使用できることから、汎用性が高い。換言すると、本実施形態によれば、精油用の容器部材及び蓋を備えた市販の製品を購入した後、蓋のみを外して、容器部材を保持部材3に取り付けて使用することが可能であり、汎用的に使用できるという利点を有する。
精油1Aには、質量及び粘度の異なる複数の化学物質が含まれているところ、前記した従来技術(例えば、非特許文献2に記載の技術)では、質量が軽くて粘度の低い化学物質から浸透圧で吸い上げられていき、質量が重くて粘度の高い化学物質が残存してしまい、泥状の澱が容器の底部に堆積するという弊害が生じる。また、複数の化学物質が均等に吸い上げられないため、時間の経過に伴って精油1Aの香りが変化する虞がある。
これに対し、本実施形態では、蒸発部材4に精油1Aを補充する際に、芳香器100全体を傾けることにより、精油1Aを構成する複数の化学物質が混ざりやすくなる。そのため、複数の化学物質が均等になった精油1Aを蒸発部材4に浸透させやすくなる。この結果、従来技術に比較して、質量が重くて粘度の高い化学物質が残存するのを回避して、泥状の澱が容器部材1の底部に堆積し難くなる一方、精油1Aの香りを一定に保持できる。
本実施形態によれば、芳香器100が、精油1Aを収容する機能と、精油1Aを蒸発して空気中に拡散させる機能とを兼ね備えることができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、液状香料として精油1Aを使用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、液状香料として、植物性香料、動物性香料、合成香料などの中から適宜選択して単独で使用してもよいし、又はこれらの香料を適宜調合して使用してもよい。また、これらの香料に対して、前記した水や水溶性有機溶剤などを適宜配合した液状組成物を使用してもよい。
ちなみに、動物性香料としては、例えば、シベット(霊猫香)、カストリウム(海狸香)などが挙げられる。合成香料としては、例えば、リモネン、リナロール、テルピネオール、ゲラニオール、シトロネラール、シトロネロール、シトラール、メントール、リリアール、ボルネオール、クミンアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、バニリン、カンファー、ヨノン、エチレンブラシレート、ガラクソリド、ベンジルアセテート、酢酸リナリルなどが挙げられる。
本実施形態では、中栓2を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、中栓2を省略してもよい。また、販売時には、精油1Aの品質を保持するために、容器部材1の開口部14に密閉用の中栓を装着して、使用時にドロップ栓に付け替えるようにしてもよい。
本実施形態の保持部材3は、円筒状かつテーパ状に形成された第1筒状部31と、円筒状かつ外周面がテーパ状に形成された第2筒状部32とから構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、保持部材3の下端側に指Fを挿入可能であって、かつ容器部材1を係合可能であればいかなる構成であってもよい。
例えば、保持部材3は、第1筒状部31が円筒状かつテーパ状に形成され、第2筒状部32が第1筒状部31の上端から上方に向けて上下方向に沿って一定の直径に形成された大径部と、大径部よりも直径が小さく上下方向に沿って一定の直径に形成された小径部とを有する構成としてもよい。この場合、大径部には、雌ねじ部33が設けられ、小径部には、蒸発部材4の挿入部41が挿入される。
また、保持部材3は、第1筒状部31及び第2筒状部32の外周面が上下方向に沿って一定の直径に形成され、第1筒状部31の内周面が第2筒状部32の内周面よりも大径に形成される構成としてもよい。
更に、保持部材3は、第1筒状部31が四角筒状などに形成される構成としてもよい。
図5に示すように、蒸発部材4の露出部42は、上下方向に所定間隔離間して設けられた一対の球状部42a,42bと、一対の球状部42a,42b同士の間に設けられたくびれ部42cと、を有する形状に形成されてもよい。下側に位置する球状部42aは、上側に位置する球状部42bよりも縦長であって、かつ肉厚に形成されている。
図6に示すように、蒸発部材4の挿入部41及び露出部42は、上下方向に沿って一定の外径に形成された有底円筒状に形成されてもよい。
図7に示すように、蒸発部材4の露出部42は、挿入部41の上端から上方へ向かうにつれて拡径する半球状に形成されてもよい。露出部42には、半球状の凹部42dが下方へ切り欠いて形成されている。凹部42dは、上方から下方へ向かうにつれて徐々に縮径するテーパ状に形成されており、凹部42dの下端は、空洞部43の上端近傍に位置している。
図8(a)乃至(c)に示すように、蒸発部材4は、折曲可能な帯状部材で構成されてもよい。図8(a)に示すように、蒸発部材4の長さ方向の両端部4a,4bのうち、一方の端部4a側には、蒸発部材4の三箇所を折曲して形成された三角形状の折曲部44が設けられている。
この場合、図8(b),(c)に示すように、折曲部44が内側に位置するように蒸発部材4の長さ方向中間部を折曲するとともに、中栓2の内筒部22と外筒部24との間に両端部4a,4bを挿入することによって、蒸発部材4が中栓2を介して容器部材1に取り付けられることとなる。
折曲部44は、図8(c)に示すように、蒸発部材4が容器部材1に取り付けられた状態において、内筒部22を上方から覆うように配置されている。これにより、容器部材1から流出した精油1Aが、折曲部44に付着するので、精油1Aの飛散を防止することができる。
なお、折曲部44は、蒸発部材4の両端部4a,4bのうち、他方の端部4b側に設けられてもよいし、両端部4a,4b側に夫々設けられてもよい。また、折曲部44は、三角形状に折曲して形成されたが、例えば、コ字状やU字状などに折曲して形成されてもよい。更に、蒸発部材4は、図8(a)に示すように、凹溝状かつ革製のトレイTに載置され、ホテルのテレビの脇などに設置されることが好ましい。
本実施形態では、管状部材5を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、管状部材5を省略してもよい。このようにした場合であっても、容器部材1から流出した精油1Aが、空洞部43内に流入して当該空洞部43から蒸発部材4の外部へ浸透しやすくなるので、蒸発部材4における精油1Aの浸透性を向上させることができる。
100 芳香器
1A 精油(液状香料)
1 容器部材
12a 雄ねじ部(係合部)
14 開口部
2 中栓
22 内筒部
24 外筒部
3 保持部材
31 第1筒状部
32 第2筒状部
33 雌ねじ部(被係合部)
4 蒸発部材
4a,4b 両端部
41 挿入部
42 露出部
43 空洞部
43a 開口部
44 折曲部
5 管状部材

Claims (6)

  1. 一端に開口部を有する有底筒状に形成され、液状香料を収容するとともに、係合部が設けられた容器部材と、
    前記係合部が係合可能な被係合部が設けられ、前記容器部材を収容して保持する筒状の保持部材と、
    前記容器部材及び前記保持部材のうち少なくともいずれか一方に取り付けられ、前記液状香料が浸透して蒸発する蒸発部材と、を備えた芳香器であって、
    前記保持部材は、
    前記容器部材が一端から挿入される第1筒状部と、
    前記第1筒状部の他端に設けられ、前記第1筒状部と反対側の端部から外部に前記蒸発部材が露出する第2筒状部と、を有することを特徴とする芳香器。
  2. 前記蒸発部材の一端側は、前記第2筒状部の前記第1筒状部と反対側の端部に挿入され、
    前記蒸発部材は、前記容器部材側に開口する有底筒状の空洞部を有することを特徴とする請求項1に記載の芳香器。
  3. 前記空洞部内に挿入される管状部材を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の芳香器。
  4. 前記蒸発部材は、折曲可能な帯状部材からなり、
    前記蒸発部材の両端は、前記容器部材の前記開口部に取り付けられ、
    前記蒸発部材の両端のうち少なくともいずれか一方の端部側には、前記容器部材の前記開口部を覆うように折曲して形成された折曲部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の芳香器。
  5. 前記第1筒状部は、前記第2筒状部から離間するにつれてテーパ状に拡径することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の芳香器。
  6. 一端に開口部を有する有底筒状に形成され、液状香料を収容するとともに、係合部が設けられた容器部材を収容して保持する筒状の保持部材であって、
    前記容器部材が一端から挿入される第1筒状部と、
    前記第1筒状部の他端に設けられ、前記第1筒状部と反対側の端部から外部に前記液状香料が浸透して蒸発する前記蒸発部材が露出する第2筒状部と、
    前記第2筒状部に設けられ、前記係合部が係合可能な被係合部と、
    を有することを特徴とする保持部材。
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