JP2013228326A - 形状測定方法、及び形状測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】形状測定装置1の制御装置3は、被測定物の形状に関する形状情報を取得する情報取得部31と、情報取得部31にて取得された形状情報に基づいて、移動機構にてプローブ21を移動させるためのプローブ指令値を算出するプローブ指令部35とを備える。プローブ指令値は、形状情報に基づく被測定物の形状に応じて仮想的に設定される仮想円錐における底面の中心位置を通り仮想円錐の側面に平行な基準軸と測定子の中心位置との距離が一定な状態で、仮想円錐の側面に沿って測定子を移動させるための指令値である。
【選択図】図2
Description
特許文献1に記載の三次元測定機(形状測定装置)では、モーションコントローラは、測定子を被測定物に押し込んだ状態で被測定物の測定対象面に倣って測定子を移動させるための速度ベクトル(プローブ指令値)を生成する自律倣いベクトル生成部を備える。
自律倣いベクトル生成部では、図18に示すように、被測定物Wの中心軸をZW軸とし、ZW軸に直交する2軸をXW軸及びYW軸とした被測定物Wの形状を測定するためのワーク座標系を設定している。以下では、ZW軸方向、すなわち、被測定物Wの高さ方向における座標値をZhで一定とする拘束平面S(図18中、二点鎖線)内において、被測定物Wの測定対象面に倣って測定子100を移動させることによって、ZW軸座標値Zhにおける被測定物Wの形状を測定する場合(以下、高さ一定倣い測定)について説明する。なお、図18では、測定対象となる点(以下、測定対象点)の軌跡LSを二点鎖線で示している。また、図18では、図面を簡略化するため、前述したZW軸座標値Zhの他、後述する数式内で用いられる一部の符号を省略している。
また、ベクトルPuは、以下の式(2)によって求められるベクトルPの単位ベクトルである。
したがって、ベクトルPは、測定子100の振れ量に基づくベクトルEと、ZW軸方向の単位ベクトルZuとの外積である。
また、自律倣いベクトル生成部は、以下の式(3)に示すように、振れ方向に係る速度ベクトルVEを生成する。
また、自律倣いベクトル生成部は、以下の式(4)に示すように、倣いプローブの高さ方向に係る速度ベクトルVHを生成する。
さらに、ベクトルHhは、ZW軸方向における大きさが1となる被測定物Wの測定対象面と平行なベクトルであり、以下の式(5),(6)によって求められる。
したがって、ベクトルHhは、ベクトルHuと、ZW軸方向の単位ベクトルZuとの内積でベクトルHuを除したものであり、ベクトルHuは、ベクトルPuと、ベクトルEuとの外積である。
なお、図19(A)では、図面を簡略化するために、すぐば傘歯車W1において、一部の歯のみを実線で示し、他の歯については2点鎖線で仮想的に示している。
ところで、図19に示すようなすぐば傘歯車W1の歯面WF1は、当該すぐば傘歯車W1の中心軸であるZW軸に直交する平面(上述した拘束平面)に倣う形状ではない。
このため、上述した高さ一定倣い測定により歯面WF1に倣って測定子を移動させることが難しく、すなわち、歯面WF1を測定することが難しい。
そこで、図19に示すようなすぐば傘歯車W1の歯面WF1を測定する際には、自律倣い測定ではなく、歯面WF1上の複数の点に対して測定子をそれぞれ接触させるポイント測定を採用することが考えられる。
しかしながら、ポイント測定により歯面WF1を測定する場合には、測定時間が多く掛かってしまう、という問題がある。
本発明では、測定対象面であるすぐば傘歯車の歯面が仮想円錐の側面に沿って延出するとともに仮想円錐の縦断面に略倣うことに着目し、形状測定方法として、上述した情報取得ステップ及びプローブ指令値算出ステップを採用した。
そして、制御装置は、プローブ指令値算出ステップにおいて、上述した仮想円錐における底面の中心位置を通り当該仮想円錐の側面に平行な基準軸と測定値の中心位置との距離が一定な状態で、当該仮想円錐の側面に沿って測定子を移動させるためのプローブ指令値を算出する。
このため、プローブ指令値にしたがって移動機構を動作させることで、すぐば傘歯車の歯面に沿って測定子を移動させることができ、すなわち、自律倣い測定によりすぐば傘歯車の歯面を測定できる。
したがって、ポイント測定によりすぐば傘歯車の歯面を測定する場合と比較して、測定時間を大幅に短縮できる。
このことにより、上述した歯すじが直線であるすぐば傘歯車に限らず、歯すじが曲線であるはすば傘歯車等の歯面についても自律倣い測定を行うことができる。
すなわち、テーブル指令値算出ステップでは、プローブ指令値に基づいて、回転テーブルを回転させるためのテーブル指令値を算出する。このため、テーブル指令値にしたがって回転テーブルを動作させることで、プローブ指令値に基づく測定子の移動に同期させて回転テーブル(被測定物)を回転させることができ、はすば傘歯車等における曲線的な歯すじに倣って測定子を移動させることができる。
また、プローブ指令値に基づく測定子の移動に同期させて回転テーブルを回転させることができるので、はすば傘歯車等の歯面について自律倣い測定を行う際に、はすば傘歯車とプローブとの機械的な干渉を考慮してプローブの姿勢を変更する必要がない。すなわち、プローブの姿勢の変更動作を省略できるため、測定時間をさらに短縮できる。
本発明の形状測定装置は、上述した形状測定方法を実施する装置であるので、上述した形状測定方法と同様の作用及び効果を享受できる。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔三次元測定機の概略構成〕
図1は、第1実施形態における三次元測定機1を示す全体模式図である。
図2は、三次元測定機1の概略構成を示すブロック図である。
なお、図1では、上方向を+Z軸方向とし、このZ軸に直交する2軸をそれぞれX軸及びY軸として説明する。なお、当該X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向により、マシン座標系が規定される。以下の図面においても同様である。
また、本実施形態では、説明の便宜上、被測定物を図19に示すすぐば傘歯車W1(測定対象面を歯面WF1)として説明する。
なお、入力手段61は、三次元測定機1における測定条件等をホストコンピュータ5に入力するものであり、出力手段62は、三次元測定機1による測定結果を出力するものである。
三次元測定機本体2は、図1に示すように、被測定物を測定するための球状の測定子211Aを有するプローブ21と、プローブ21を保持するとともに、プローブ21を移動させる移動機構22と、移動機構22が立設される定盤23とを備える。
プローブ21は、図1に示すように、測定子211Aを先端側(−Z軸方向側)に有するスタイラス211と、スタイラス211の基端側(+Z軸方向側)を支持する支持機構212とを備える。
この支持機構212は、具体的な図示は省略したが、スタイラス211の各軸方向の位置をそれぞれ検出するためのプローブセンサを備える。
なお、各プローブセンサは、スタイラス211の各軸方向の移動量に応じたパルス信号を出力する位置センサである。
スライド機構24は、図1に示すように、定盤23におけるX軸方向の両端から+Z軸方向に延出し、Y軸方向に沿ってスライド移動可能に設けられる2つのコラム241と、各コラム241にて支持され、X軸方向に沿って延出するビーム242と、Z軸方向に沿って延出する筒状に形成され、ビーム242上をX軸方向に沿ってスライド移動可能に設けられるスライダ243と、スライダ243の内部に挿入されるとともに、スライダ243の内部をZ軸方向に沿ってスライド移動可能に設けられるラム244とを備える。
なお、各スケールセンサは、スライダ243、各コラム241、及びラム244の移動量に応じたパルス信号を出力する位置センサである。
制御装置としてのモーションコントローラ3は、図2に示すように、情報取得部31と、カウンタ部32と、演算処理部33と、記憶部34と、プローブ指令部35と、駆動制御部36とを備える。
情報取得部31は、ホストコンピュータ5からすぐば傘歯車W1の形状データ、及びすぐば傘歯車W1の測定条件データを取得する。
カウンタ部32は、上述した各スケールセンサから出力されるパルス信号をカウントしてスライド機構24の移動量を計測するとともに、上述した各プローブセンサから出力されるパルス信号をカウントしてスタイラス211の移動量を計測する。
演算処理部33は、カウンタ部32にて計測されたスライド機構24及びスタイラス211の各移動量に基づいて、測定子211Aの位置PP(以下、プローブ位置PP(図9参照))を算出する。
そして、演算処理部33は、算出したプローブ位置PPを記憶部34に記憶させる。
また、演算処理部33は、カウンタ部32にて計測されたスタイラス211の移動量(各プローブセンサの検出値(x,y,z))に基づいて、以下の式(8)に示すように、測定子211Aの押込み量(ベクトルEの大きさ)を算出する。
プローブ指令部35は、演算処理部33にて算出されたプローブ位置PP及び押込み量と、情報取得部31にて取得された形状情報とに基づいて、測定子211Aをすぐば傘歯車W1の歯面WF1に押し込んだ状態で歯面WF1に倣って測定子211Aを移動させるためのプローブ指令値を算出する。
ところで、すぐば傘歯車W1の外形形状は、図3または図4に示すように、円錐ICの一部を構成する略円錐台形状を有する。すなわち、すぐば傘歯車W1の外形形状に応じて、仮想的な円錐IC(仮想円錐IC)を想定することができる。また、すぐば傘歯車W1の歯面WF1は、仮想円錐ICの側面に沿って延出するとともに、仮想円錐ICの縦断面に略倣う形状を有する。
そして、プローブ指令値は、仮想円錐ICにおける底面の中心位置PC(図9参照)を通り仮想円錐ICの側面に平行な基準軸SAx(図9参照)と測定子211Aの位置PP(以下、プローブ位置PP(図9参照))との距離が一定な状態で、仮想円錐ICの側面に沿って測定子211Aを移動させるための指令値である。
駆動制御部36は、プローブ指令部35にて算出されたプローブ指令値に基づいて、駆動機構25を制御してプローブ21を移動させる。
ホストコンピュータ5は、CPU(Central Processing Unit)や、メモリ等を備えて構成され、モーションコントローラ3に所定の指令を与えることで三次元測定機本体2を制御する。
このホストコンピュータ5は、図2に示すように、形状解析部51と、記憶部52とを備える。
形状解析部51は、モーションコントローラ3から出力された測定データ(記憶部34に記憶されたプローブ位置PP)に基づいて被測定物の表面形状データを算出し、算出した被測定物の表面形状データの誤差や歪み等を求める形状解析を行う。
ここで、形状データは、すぐば傘歯車W1の外形形状に応じて仮想的に設定される仮想円錐ICの底面の半径r、仮想円錐ICの底面の中心位置PCの座標、及び仮想円錐ICの半頂角α(中心位置PCから仮想円錐ICの頂点に向けて広がる方向を正(+))等(図9(A)参照)等を含んだデータである。
また、測定条件データは、すぐば傘歯車W1の外形形状に応じて指定される測定条件データであり、仮に指定された測定開始位置の座標、当該測定開始位置から測定子211Aをすぐば傘歯車W1の歯面WF1に押し込むアプローチ方向に関する情報等を含んだデータである。
次に、上述した三次元測定機1による形状測定方法について説明する。
図5は、形状測定方法を説明するフローチャートである。
図6は、形状測定方法を説明するための図である。具体的に、図6は、ステップS2〜S7を説明するための図である。
先ず、情報取得部31は、ホストコンピュータ5からすぐば傘歯車W1の形状データ及び測定条件データ(形状データ及び測定条件データともに記憶部52に記憶)を取得する(ステップS1:情報取得ステップ)。
そして、駆動制御部36は、駆動機構25を制御して、図6(A)に示すように、測定開始位置Psにプローブ21を移動させる。
そして、駆動制御部36は、駆動機構25を制御して、図6(B)に示すように、歯面WF1に対して測定子211Aを押し込む。
プローブ指令部35は、ステップS4において、「Y」と判定した場合には、測定子211Aのアプローチ方向への移動を停止させるためのプローブ指令値を駆動制御部36に出力する(ステップS5)。
そして、駆動制御部36は、駆動機構25を制御して、測定子211Aのアプローチ方向への移動を停止させる。
そして、駆動制御部36は、駆動機構25を制御して、図6(C)に示すように、倣い経路(仮想円錐ICの側面)上にプローブ21を移動させる。
ステップS6において、プローブ指令部35は、以下に示すように、倣い経路上にプローブ位置PPを位置付けるためのプローブ指令値を算出する。
ここで、ステップS1にて取得されたすぐば傘歯車W1の形状データ(仮想円錐ICの底面の半径r、仮想円錐ICの半頂角α)から、仮想円錐ICの側面に沿う軸をZtemp軸、Ztemp軸に直交する2軸をXtemp軸及びYtemp軸とした仮座標系を想定できる。
なお、仮座標系の原点Otempは、Ztemp軸上の任意の点である。
ステップS6の後、モーションコントローラ3は、図6(D)に示すように、倣い経路(仮想円錐ICの側面)に沿ってプローブ21を移動させ、自律倣い測定を開始する(ステップS7)。
図9は、ステップS7を説明するための図である。
なお、図9では、図面を簡略化するため、後述する数式内で用いられる一部の符号を省略している。
先ず、演算処理部33は、カウンタ部32にて計測されたスライド機構24及びスタイラス211の各移動量を取り込む(ステップS7A)。
ステップS7Aの後、演算処理部33は、取り込んだスライド機構24及びスタイラス211の各移動量に基づいて、プローブ位置PPを算出するとともに、測定子211Aの押込み量を算出する(ステップS7B)。
なお、上述した移動量ΔPは、後述するステップS7Dにてプローブ位置PPを測定データとして記憶部34に記憶させてから、所定のサンプリング時間(例えば、0.4msec)毎に、ステップS7Aにて取り込んだスライド機構24及びスタイラス211の各移動量に基づきステップS7Bにて算出した各プローブ位置PPの差分値を合計した量である。
例えば、ステップS7Dにて測定データとして記憶させたプローブ位置PPをプローブ位置PP1とし、次のサンプリング時間後にステップS7Bにて算出したプローブ位置PPをプローブ位置PP2とし、次のサンプリング時間後(現時点)にステップS7Bにて算出したプローブ位置PPをプローブ位置PP3とした場合には、移動量ΔPは、プローブ位置PP1,PP2の差分値と、プローブ位置PP2,PP3の差分値とを合計した量である。
一方、モーションコントローラ3は、ステップS7Cにおいて、「N」と判定した場合には、ステップS7Dの処理をすることなく、ステップS7Eの処理に移行する。
ステップS7Eにおいて、プローブ指令部35は、ステップS7Bにて算出されたプローブ位置PP及び測定子211Aの押込み量と、情報取得部31にて取得されたすぐば傘歯車W1の形状データとに基づいて、測定子211Aを歯面WF1に押し込んだ状態で歯面WF1に倣って測定子211Aを移動させるためのプローブ指令値を算出する(プローブ指令値算出ステップ)。
具体的に、プローブ指令部35は、以下に示すように、ワーク座標系(すぐば傘歯車W1の中心軸をZW軸とし、Zw軸に直交する2軸をXW軸及びYW軸とした座標系)で、前述の式(7)とは異なる速度ベクトルVC(プローブ指令値)を生成する。
そして、hは、Vh方向の単位ベクトルVhu(以下の式(11)参照)、仮想円錐ICの中心軸(ZW軸)から当該中心軸に垂直な方向に沿ってプローブ位置PPに向うベクトルQ(以下の式(12)参照)、及び中心位置PCからプローブ位置PPに向うベクトルSを利用して、以下の式(10)により、求められる。
すなわち、プローブ指令部35は、式(12)により、ベクトルSと当該ベクトルSをZW軸方向に投影したベクトル(式(12)の右辺第2項)とを利用して、ベクトルQを求める。そして、プローブ指令部35は、式(11)によりベクトルZu,Quと半頂角αを利用して回転によりVh方向を求めた後、式(10)によりずれhを求める。
また、プローブ指令部35は、以下の式(14)に示すように、測定子211Aの進行方向V(図9)に係る速度ベクトルVFを生成する。
すなわち、プローブ指令部35は、Vh方向と、押込み方向Eと、進行方向Vの和の方向に沿って測定子211Aを移動させるためのプローブ指令値を生成している。
そして、測定子211Aは、式(16)に示す速度ベクトルVCにしたがって移動することで、基準軸SAxとプローブ位置PPとの距離が一定な状態で、仮想円錐ICの側面に沿って(歯面WF1に倣って)移動することとなる。
以上のように、本実施形態では、所定のサンプリング時間毎に、ステップS7Eにて速度ベクトルVC(プローブ指令値)を算出し、ステップS7Fにて当該速度ベクトルVCを駆動制御部36に出力する。
モーションコントローラ3は、ステップS7Gにおいて、「N」と判定した場合には、再度、ステップS7Aに移行する。
一方、ステップS7Gにおいて、「Y」と判定された場合には、プローブ指令部35は、測定子211Aの移動を停止させるためのプローブ指令値を駆動制御部36に出力する(ステップS7H)。
そして、測定子211Aは、歯面WF1に接触した状態で移動を停止する。
そして、プローブ21(測定子211A)は、歯面WF1から離脱される。
ステップS7Iの後、モーションコントローラ3は、記憶部34に記憶されたN個の測定データ(プローブ位置PP)をホストコンピュータ5に出力する(ステップS7J)。
そして、N個の測定データに基づき、ホストコンピュータ5(形状解析部51)において、形状解析が行われる。
本実施形態では、被測定物であるすぐば傘歯車W1の歯面WF1が仮想的に設定される仮想円錐ICの側面に沿って延出するとともに仮想円錐ICの縦断面に略倣うことに着目し、形状測定方法として、情報取得ステップS1及びプローブ指令値算出ステップS7Eを採用した。
そして、プローブ指令値算出ステップS7Eにより算出した速度ベクトルVCにしたがって測定子211Aを移動させることで、基準軸SAxとプローブ位置PPとの距離が一定な状態で、仮想円錐ICの側面に沿って(歯面WF1に倣って)測定子211Aを移動させることができる。すなわち、自律倣い測定により、すぐば傘歯車W1の歯面WF1を測定できる。
したがって、ポイント測定によりすぐば傘歯車W1の歯面WF1を測定する場合と比較して、測定時間を大幅に短縮できる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下では、前記第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
図10は、第2実施形態における三次元測定機1を示す全体模式図である。
図11は、三次元測定機1の概略構成を示すブロック図である。
図12は、被測定物であるはすば傘歯車W2を示す図である。具体的に、図12(A)ははすば傘歯車W2の斜視図であり、図12(B)は図12(A)の領域Ar2を拡大し、測定対象面である歯面WF2を示した斜視図である。
なお、図12(A)では、図面を簡略化するため、図19(A)と同様に、はすば傘歯車W2において、一部の歯のみを実線で示し、他の歯については2点鎖線で仮想的に示している。
本実施形態では、前記第1実施形態に対して、図10ないし図12に示すように、被測定物が異なるとともに、当該被測定物に応じて、三次元測定機本体2に回転テーブル26及び回転駆動部27を追加し、モーションコントローラ3にテーブル指令部37を追加した点が異なるのみである。その他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
回転テーブル26は、略円盤形状を有し、当該回転テーブル26の中心軸(Zt軸(図15参照))を中心として回転可能に定盤23の上面に支持されている。
そして、はすば傘歯車W2は、回転テーブル26上に、当該回転テーブル26に設けられたチャック(図示略)にて固定される。
なお、回転テーブル26上において、はすば傘歯車W2の中心軸(ZW軸)と回転テーブル26の中心軸(Zt軸)とが一致する位置にはすば傘歯車W2を固定してもよく、または、一致しない位置にはすば傘歯車W2を固定してもよい。後述する図15では、後者の例を図示している。
なお、図示は省略したが、回転駆動部27には、回転テーブル26の回転量を検出するためのセンサが設けられ、このセンサは、回転テーブル26の回転量に応じたパルス信号を出力する。そして、カウンタ部32は、上述したセンサから出力されるパルス信号をカウントして回転テーブル26の回転量を計測し、ホストコンピュータ5に出力する。そして、形状解析部51は、モーションコントローラ3から出力される測定データ、及び回転テーブル26の回転量に基づいて形状解析を行う。
テーブル指令部37は、プローブ指令部35にて算出された速度ベクトルVCに基づいて、回転テーブル26を回転させるためのテーブル指令値を算出する。
図13は、第2実施形態における形状測定方法を説明するフローチャートである。
図14は、ステップS8を説明するフローチャートである。
図15ないし図17は、ステップS8を説明するための図である。
なお、図17は、測定子211Aの方向を一定に保つ制御を模式的に示すために、被測定物Wとしてはすば傘歯車W2とは異なる被測定物Wを図示している。
第2実施形態における形状測定方法は、前記第1実施形態の形状測定方法に対して、図13に示すように、ステップS7の代わりに以下に示すステップS8が実行されるものである。このため、以下では、ステップS8を主に説明する。
なお、本実施形態では、ステップS1にて取得されるデータは、はすば傘歯車W2の形状に関する形状データ(はすば傘歯車W2の外形形状に応じて仮想的に設定される仮想円錐ICの底面の半径r等(図16参照)を含んだデータ)、及びはすば傘歯車W2の外形形状に応じて指定される測定条件データ(仮に指定された測定開始位置の座標等を含んだデータ)である。
そして、ステップS2〜S6では、はすば傘歯車W2の測定条件データに基づいて、処理が実行されるものである。なお、ステップS7Eも同様である。
ステップS7Eの後、テーブル指令部37は、ステップS7Eにて算出された速度ベクトルVC(プローブ指令値)に基づいて、以下に示すように、テーブル指令値(回転テーブル26を回転させる角速度ωt)を算出する(ステップS7K:テーブル指令値算出ステップ)。
なお、ステップS7Kは、特許第3433710号に記載の角速度ωtの算出方法と同様である。このため、以下では、ステップS7Kの説明を簡略化する。
具体的に、テーブル指令部37は、以下の式(17)により、角速度ωwを算出する。
なお、図15において、基準方向Cは、回転テーブル26の回転角θとプローブ位置PPの位置関係が当該図15に示す例の位置関係での場合を図示しているものであり、回転テーブル26の回転に応じて変化するものである。
次に、テーブル指令部37は、回転テーブル26の回転角θ及びプローブ位置PPの位置関係から、制御誤差による回転角θの目標値からの進みや遅れを調整して、基準方向Cに対してベクトルCrが常に90°となるように、補正角速度Δωを算出する。
具体的に、テーブル指令部37は、以下の式(18)により、補正角速度Δωを算出する。
そして、テーブル指令部37は、以下の式(19)により、回転テーブル26を回転させる角速度ωtを算出する。
なお、本実施形態では、プローブ指令部35は、ステップS7Lにおいて、特許第3433710号に記載されたプローブ指令値と同様のプローブ指令値を駆動制御部36に出力する。
具体的に、プローブ指令部35は、回転テーブル26が角速度ωtで回転した時の点X(プローブ位置PP)の速度ベクトルVωtを、以下の式(20)により算出する。
また、速度ベクトルVTにおいて、速度ベクトルVωtの成分により、図17に示すように、測定子211Aの方向を一定に保つことができる。
具体的に、図17(A)〜図17(D)の順に、時間の経過とともに回転テーブル26を回転させた場合であっても、マシン座標系から見て、被測定物Wの原点C(仮想円錐ICの底面の中心位置PC(ZW軸)に相当)からプローブ位置PPに向うベクトルを、回転テーブル26のテーブル面に投影したベクトルBを一定に保つことができる。
なお、本実施形態においても、前記第1実施形態と同様に、所定のサンプリング時間毎に、ステップS7E,S7Kにてプローブ指令値及びテーブル指令値を算出し、ステップS7Lにて当該プローブ指令値及びテーブル指令値を駆動制御部36及び回転駆動部27に出力する。
そして、ステップS7Lの後、モーションコントローラ3は、前記第1実施形態と同様に、ステップS7G〜S7Jを実行する。
本実施形態では、形状測定方法は、テーブル指令値算出ステップS7Kを備える。
このことにより、前記第1実施形態に対して、三次元測定機1に回転テーブル26、回転駆動部27、及びテーブル指令部37を追加し、形状測定方法にテーブル指令値算出ステップS7Kを追加することで、すぐば傘歯車W1とは異なり歯すじが曲線であるはすば傘歯車W2の歯面WF2についても、自律倣い測定を行うことができる。
すなわち、テーブル指令値算出ステップS7Kでは、プローブ指令値算出ステップS2で算出された速度ベクトルVCに基づいて、回転テーブル26を回転させるためのテーブル指令値を算出する。このため、速度ベクトルVCに基づく測定子211Aの移動に同期させて回転テーブル26(はすば傘歯車W2)を回転させることができ、はすば傘歯車W2における曲線的な歯すじに倣って測定子211Aを移動させることができる。
前記各実施形態では、被測定物をすぐば傘歯車W1及びはすば傘歯車W2としていたが、これに限らず、下記(1)及び(2)の条件や、下記(1)及び(3)の条件を満たしていれば、その他の構造体を被測定物としても構わない。
(1)被測定物の形状に応じて仮想的な仮想円錐を想定することができる。
(2)被測定物の測定対象面が仮想円錐の側面に沿って延出するとともに仮想円錐の縦断面に略倣う形状を有する。
(3)被測定物の測定対象面が仮想円錐の側面に沿って延出するとともに、当該側面に沿って捻じれている。
例えば、プローブ位置PPにおけるZW軸座標値が指定高さZe以下になった場合を自律倣い測定の終了条件としても構わない。
また、例えば、プローブ位置PPが予め設定された中心座標値を(XC,YC,ZC)とする半径RCの球内に到達した場合を自律倣い測定の終了条件としても構わない。
3・・・モーションコントローラ(制御装置)
21・・・プローブ
22・・・移動機構
26・・・回転テーブル
31・・・情報取得部
35・・・プローブ指令部
211A・・・測定子
IC・・・仮想円錐
PP・・・プローブ位置(測定子の中心位置)
SAx・・・基準軸
W1・・・すぐば傘歯車(被測定物)
W2・・・はすば傘歯車(被測定物)
WF1,WF2・・・歯面(測定対象面)
S1・・・情報取得ステップ
S7E・・・プローブ指令値算出ステップ
S7K・・・テーブル指令値算出ステップ
Claims (3)
- 被測定物に接触する測定子を有するプローブと、前記プローブを移動させる移動機構と、前記移動機構を制御する制御装置とを備え、前記測定子を前記被測定物の測定対象面に押し込んだ状態で前記測定対象面に倣って前記測定子を移動させることによって前記測定対象面の形状を測定する形状測定装置に用いられる形状測定方法であって、
前記制御装置が、
前記被測定物の形状に関する形状情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップにて取得した前記形状情報に基づいて、前記移動機構にて前記プローブを移動させるためのプローブ指令値を算出するプローブ指令値算出ステップとを実行し、
前記プローブ指令値は、
前記形状情報に基づく前記被測定物の形状に応じて仮想的に設定される仮想円錐における底面の中心位置を通り前記仮想円錐の側面に平行な基準軸と前記測定子の中心位置との距離が一定な状態で、前記仮想円錐の側面に沿って前記測定子を移動させるための指令値である
ことを特徴とする形状測定方法。 - 請求項1に記載の形状測定方法において、
前記形状測定装置は、
前記被測定物が固定されるとともに、回転することで前記プローブに対して前記被測定物を回転させる回転テーブルを備え、
当該形状測定方法は、
前記制御装置が、
前記プローブ指令値算出ステップにて算出した前記プローブ指令値に基づいて、前記回転テーブルを回転させるためのテーブル指令値を算出するテーブル指令値算出ステップを実行する
ことを特徴とする形状測定方法。 - 被測定物に接触する測定子を有するプローブと、前記プローブを移動させる移動機構と、前記移動機構を制御する制御装置とを備え、前記測定子を前記被測定物の測定対象面に押し込んだ状態で前記測定対象面に倣って前記測定子を移動させることによって前記測定対象面の形状を測定する形状測定装置であって、
前記制御装置は、
前記被測定物の形状に関する形状情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部にて取得された前記形状情報に基づいて、前記移動機構にて前記プローブを移動させるためのプローブ指令値を算出するプローブ指令部とを備え、
前記プローブ指令値は、
前記形状情報に基づく前記被測定物の外形に応じて仮想的に設定される仮想円錐における底面の中心位置を通り前記仮想円錐の側面に平行な基準軸と前記測定子の中心位置との距離が一定な状態で、前記仮想円錐の側面に沿って前記測定子を移動させるための指令値である
ことを特徴とする形状測定装置。
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