JP2013227739A - Tmdディバイス及びそれを用いた重量床衝撃音の低減構造 - Google Patents
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Abstract
また、このTMDディバイスを用いた重量床衝撃音の低減構造の提供を目的とする。
【解決手段】質量部材を弾性部材で被覆したことを特徴とするTMDディバイス。
【選択図】 図1
Description
軽量物の落下などにより発生する音、いわゆる軽量床衝撃音に対しては、床仕上材として一部実用化されているものの、重量床衝撃音にはほとんど効果がない。
一部に重量床衝撃音低減効果を持つ床仕上材として提案されているようであるが、低減効果は小さく、またコストが高いため一般的に使用されていない。
これまで、可聴領域よりも低い振動数に対しては制振装置として開発されているが、特別な制振装置を振幅の大きいスラブの中央に設置する必要があるため、居室の利用が制限され好ましくない。
また、このTMDディバイスを用いた重量床衝撃音の低減構造の提供を目的とする。
ここで、質量部材は棒状体であり、弾性部材は棒状体の周囲を被覆するものであってもよい。
弾性部材で棒状体の周囲を被覆する場合に、弾性部材の材質の他にこの弾性部材の厚さを変えるか又は周廻り方向の引張り応力を負荷することで、TMDディバイスの固有振動数を調整することができる。
他の方法としては、質量部材を上下の弾性部材で支持又は挟持したことを特徴とする。
この場合に、質量部材と弾性部材との間に固有振動数調整部材を介在させるのが好ましい。
ここで、TMDディバイスとは、Tuned Mass Damper(動吸振器)に適用するのに適したディバイスをいい、本発明においては重量床衝撃音の低減に効果的なディバイスをいう。
TMDの原理は、おもりとなる質量部材をばね部材等で支持した状態で構造物に取り付け、この質量部材の固有振動数を構造物の固有振動数に一致させると、構造物の揺れに対して慣性力により質量部材が反対方向に動き、構造物の振動を抑えるものである。
本発明は、このTMDの原理を応用すべく鋼材等のおもりとして作用する比重が大きい質量部材を、この質量部材が構造物の揺れとは反対方向に揺れるのを許容する弾性部材で被覆又は、上下の弾性部材で質量部材を支持、挟持した点に特徴がある。
弾性部材には、発泡性の樹脂部材やゴム状の部材が例として挙げられる。
TMDディバイスには、建築物を構成する床等のスラブの固有振動に一致させやすいように固有振動数の調整機能が要求される。
そこで、質量部材を棒状体にし、この棒状体の周囲を被覆する弾性部材に周廻り方向の引張り応力を負荷した点にも特徴がある。
棒状体の長さ及び弾性部材に予め負荷する引張り応力により、固有振動数を変化させることができるからである。
なお、弾性部材の材質や厚みを変えることで固有振動数を調整できることは、先に述べたとおりである。
また、質量部材を上下の弾性部材で支持又は挟持する場合には、この質量部材と弾性部材との間に剛性部材を介在させることで、固有振動数を調整することができる。
本発明に係るTMDディバイスを建築物のスラブ内に配設すると、ボイドスラブとして、スラブ厚さを厚くすることなく重量床衝撃音が低減でき、その結果として建築物全体の重量の増加を抑えることができ、建築物の構築費がその分安価になる。
また、TMDディバイスをスラブ内に配設できないときは、スラブの一面に取り付けてもよい。
鉄、銅、鉛等のおもりとなる質量部材11を発泡材からなる弾性部材12で被覆した構造になっている。
固有振動数は質量部材11の径、長さ、及び弾性部材12の厚み、弾性率等によっても調整可能であるが、本実施例は図2に断面図を示すように円筒状の発泡ポリエチレン管を長手方向に沿って部分的に削除し、この内側に棒状体からなる質量部材を挿入し[図1(a)→(b)]、自然状態では隙間部12aが形成されるようになっている。
次に、図2(b)に示すように隙間部12aが狭くなるように、あるいは両側の端部が繋がるように周廻りに引張る。
これにより、弾性部材12には周廻り方向の引張り応力が負荷され、TMDの固有振動数が高くなる。
よって、周廻り方向の引張り応力を調整することで、固有振動数を調整することができる。
質量部材11の上下に鋼性部材14a,14bを介在させて、断面略コ字形状の弾性部材13a,13bを相互に突き合せるようにして、内側の質量部材11を支持又は挟持させた。
これにより、同じ径の棒状体からなる質量部材に対して、鋼性部材14a,14bの幅を変えることで固有振動数を調整することができる。
おもりとして直径約19mmの異形鉄筋(D19)を、弾性部材として発泡ポリエチレン製の保護管を使用した。
TMDディバイスの固有振動数は、TMDディバイスの長さ及び弾性部材の円周方向の初期ひずみを変化させることにより調整した。
弾性部材の初期ひずみ(引張り応力)とは、短くした弾性部材の周長に対する切断面を繋いだ際の伸びの比で調整した。
初期ひずみを変化させることにより弾性部材の円周方向に初期引張り応力を与え、弾性部材の半径方向の剛性を変化させてTMDの固有振動数を調整したものである。
実験パラメータは異形鉄筋を覆う弾性部材の周長及びTMDディバイスの長さである。
弾性部材の周長は初期周長98mmのもの及び、周長を6mmずつ短縮させた92,86,80mmの弾性部材の隙間端部をつないだ4種類を実験した。
TMDディバイスの長さは50,100,150,200mmの4種類で実験した。
万力によりTMDディバイスに変形を与え、TMDディバイスが圧縮される変位を両側に設置したダイヤルゲージにより、またそのときの作用荷重を実験装置の下部に設置したデジタル計量器によりそれぞれ測定した。
なお、実験では0.98Nずつ加力し19.6Nまでの計20回の測定を行った。
図6に元の弾性部材周長が98mm、TMDディバイスの長さが50と100mmの場合の荷重と変位のグラフの例を示す。
図7に弾性部材の元の周長とばね定数の関係を示す。
弾性部材の元の周長が短くなるにしたがい剛性が高くなることが分かる。
また、TMDディバイスの長さが長くなるにしたがい剛性が高くなっている。
このことから、質量部材の長さ及び弾性部材の周廻りの引張り応力によりTMDの固有振動数の調整が可能であることが分かる。
本発明に係るTMDディバイスは、建築物の床を構成するスラブ内に設置することで、重量床衝撃音の低減に効果がある。
図4にその一例を示す。
例えば、床の施工方法として床の部分にハーフPC板を架け渡し、その上に本発明に係るTMDディバイスを敷き詰める。
TMDディバイスを敷き詰め、その後にコンクリートを打設し、スラブ20を形成する。
このようにすると、従来のようなスラブ厚さを厚くすることなく、重量床衝撃音低減が可能になる。
11 質量部材
12 弾性部材
12a 隙間部
20 スラブ
Claims (5)
- 質量部材を弾性部材で被覆したことを特徴とするTMDディバイス。
- 前記質量部材は棒状体であり、前記弾性部材は棒状体の周囲を被覆するものであり、弾性部材の厚さを変えるか又は弾性部材に周廻り方向の引張り応力を負荷することで固有振動数を調整したことを特徴とする請求項1記載のTMDディバイス。
- 質量部材を上下の弾性部材で支持又は挟持したことを特徴とするTMDディバイス。
- 前記質量部材と弾性部材との間に固有振動数調整部材を介在させたことを特徴とする請求項3記載のTMDディバイス。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のTMDディバイスをスラブの内部又は上下面のいずれかに設けたことを特徴とする重量床衝撃音の低減構造。
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