JP2013227608A - 貴金属の選択的回収方法 - Google Patents

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淑郎 五十嵐
Shotaro Saito
昇太郎 斎藤
Toshiiku Takemori
利郁 竹森
Norihiro Yoshida
憲弘 吉田
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Ibaraki University NUC
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Abstract

【課題】貴金属の選択性や回収効率が良く、しかも、貴金属の回収に用いた物質が再利用できる方法を提供する。
【解決手段】
Figure 2013227608

を構成単位とするpH応答性ポリマーと金イオンおよび/または白金イオンを含有し、そのpHが9.1より高い極性有機溶媒−水混合溶液を調製する。次に、前記混合溶液のpHを9.1より低くし、pH応答性ポリマーと金および/または白金の凝集物を形成させる。さらに、前記混合溶液から凝集物を回収する。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構造を有するpH応答性ポリマーを利用した選択的でかつ効率的な貴金属の回収方法に関する。
金、銀等の貴金属を含む水溶液中からこれらの金属を分離する技術は、資源の回収・再利用の観点から極めて重要である。これまで、貴金属の回収方法としては、貴金属含有水溶液の濃度を高める蒸発濃縮、電気分解等の方法が行われてきた。
しかしながら、こうした方法は、大規模な設備を必要とし、更に処理に時間がかかるという問題があった。更に、系内に他のイオン種が共存する場合、貴金属を選択的に回収することは難しかった。
現在では、効率的な貴金属の回収方法として溶媒抽出法が複数知られている。例えば、貴金属を、ヨウ素および/またはヨウ化物イオンと、多価アルコール、ポリエーテル及び環状ラクトンよりなる群から選ばれる1種または2種以上の有機溶媒とを含む溶解液に接触させて該貴金属を該溶解液中に溶解し、還元剤を添加して該金属を析出させ回収する方法が知られている(特許文献1)。
また、貴金属元素を含有する溶液をキレート剤に接触させて溶液中の貴金属を前記キレート剤に吸着させる吸着工程と、該吸着工程で貴金属を吸着した前記キレート剤を過塩素酸塩を含む白金溶離液に接触させて前記キレート剤に吸着した貴金属の中の白金を前記白金溶離液中に溶出させる第1溶離工程とを行い、前記白金溶離液中に白金を回収する。次に、前記第1溶離工程を終えた前記キレート剤を金属溶離液に接触させて貴金属を全貴金属溶離液中に溶出させる第2溶離工程を行うことにより、前記金属溶離液中に白金以外の貴金属を回収する方法が知られている(特許文献2)。
また、貴金属イオンを含有する水溶液に、酸性条件下、ペプチドを混合する工程、前記水溶液をアルカリに調整する工程、ペプチドに捕捉された貴金属を前記水溶液から分離する方法が知られている(特許文献3)。
更に、環状フェノール硫化物を溶解させた溶液に数種のレアメタル、白金系金属抽出剤を溶解させた溶液に接触させることにより、環状フェノール硫化物を溶解させた溶液中にレアメタル、白金系金属を回収する方法が知られている(特許文献4〜6)。
しかしながら、これらの方法は、貴金属の選択性や回収効率が悪い、貴金属の回収に用いた物質が再利用できない等の問題があった。
一方、本出願人も、特定の構造を有する温度刺激応答性ポリマーであるオキシエチレン鎖含有ポリビニルエーテル、例えば、ポリ(2−メトキシエチルビニルエーテル)と還元剤を併用することにより、貴金属の中でも金および/または銀の選択性や回収率の向上と、前記回収に用いたポリマーを再利用できる方法を特許出願している(特許文献7)。
しかしながら、この方法は温度刺激応答性ポリマーを利用するため、温度を上げたり下げたりするエネルギーがかかること、また、この方法は貴金属のうち金および/または銀を選択的に回収するものであり、その他の貴金属の回収に適用できるものでもないため、回収技術の豊富化をする必要があった。
特開2005−154892号公報 特開2005−002414号公報 特開2007−056308号公報 特開2007−239066号公報 特開2007−239088号公報 特開2009−274383号公報 特開2011−084783号公報
従って、本発明の課題は、貴金属の選択性や回収効率が良く、しかも、貴金属の回収に用いた物質が再利用できる方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の構造を有するpH応答性ポリマーを金属の回収に利用することにより、貴金属の中でも金および/または白金の選択性や回収率の向上と、前記回収に用いたpH応答性ポリマーを再利用できることを見出した。また、本発明者らは、前記回収の際に還元剤を併用することで、金および/または白金の回収率の向上と、金および/または白金だけでなく銀および/またはパラジウムも回収できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の工程(a)〜(c)、
(a)下記式(I)
Figure 2013227608
を構成単位とするpH応答性ポリマーと金イオンおよび/または白金イオンを
含有し、そのpHが9.1より高い極性有機溶媒−水混合溶液を調製する工程
(b)前記混合溶液のpHを9.1より低くし、pH応答性ポリマーと金および/また
は白金の凝集物を形成させる工程
(c)前記混合溶液から凝集物を回収する工程
を含むことを特徴とする金および/または白金の回収方法である。
また、本発明は以下の工程(a’)〜(c’)、
(a’)下記式(I)
Figure 2013227608
を構成単位とするpH応答性ポリマーと金イオン、白金イオン、銀イオンおよ
びパラジウムイオンから選ばれる貴金属イオンの1種または2種以上と還元剤
を含有し、そのpHが9.1より高い極性有機溶媒−水混合溶液を調製する工

(b’)前記混合溶液のpHを9.1より低くし、pH応答性ポリマーと金、白金、銀
およびパラジウムから選ばれる貴金属の1種または2種以上の凝集物を回収す
る工程
(c’)前記混合溶液から凝集物を回収する工程
を含むことを特徴とする金、白金、銀およびパラジウムから選ばれる貴金属の1種または2種以上の回収方法である。
本発明の金および/または白金の回収方法は、特定の構造を有するpH応答性ポリマーを用いることにより、混合、pHの調整、ろ過等の簡単な操作により、携帯電話やパソコンなどの電子機器、あるいは家電製品等から金および/または白金を選択性良く回収することができる。特に、本発明の金および/または白金の回収方法は、他の金属が含有されている場合であっても選択的に効率良く回収することができる。
また、本発明の金および/または白金の回収方法は、金および/または白金の回収に使用したpH応答性ポリマーも回収でき、再利用することができる。
更に、本発明の金、白金、銀およびパラジウムから選ばれる貴金属の1種または2種以上の回収方法も、金および/または白金の回収方法と同様の効果を有していて、更に、回収率が高い。
本発明の金および/または白金の回収方法(以下、この発明を「第一態様発明」という)の工程(a)では、下記式(I)を構成単位とするpH応答性ポリマーと金イオンおよび/または白金イオンを含有し、そのpHが9.1より高い極性有機溶媒−水混合溶液(以下、単に「混合溶液」ということもある)を調製する。
Figure 2013227608
上記混合溶液に用いられる、上記式(I)を構成単位とするpH応答性ポリマー(以下、単に「pH応答性ポリマー」という)は、ポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)であり、このものは特開2008−56852号公報に記載されたものである。
このpH応答性ポリマーの分子量は、特に限定されないが、例えば、重量平均分子量(Mw)が1,000〜50,000、好ましくは1,000〜30,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜2.0、好ましくは1.1〜1.6である。この分子量分布は1に近いほどシャープな相転移挙動を示す。なお、本明細書において、重量平均分子量および分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により標準ポリスチレンの検量線から求めた値である。
また、このpH応答性ポリマーは、例えば、特開2008−56852号公報の発明の詳細な説明、実施例に基づいて調製することができる。具体的には、まず、2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル、1−イソブトキシエチルアセテート、及び酢酸エチルを入れ、0℃に冷却した後、三フッ化ホウ素エーテル錯体の酢酸エチル溶液を加えて重合を開始させ、所定の時間に、極少量のアンモニア水を含むメタノールを加えて重合を停止させる。次に、メタノール中に再沈させ、開始剤残渣を除去する。最後に反応液を除去後、減圧乾燥することによりpH応答性ポリマーが得られる。なお、pH応答性ポリマーの分子量は重合時間で調整することができる。
なお、このpH応答性ポリマーはpH9.1付近で下記式で示されるような親水性および疎水性の可逆的な相転移(ケト−エノール互変異性)を起こす。
Figure 2013227608
そのためこのpH応答性ポリマーは水に微溶であり、混合溶液を調製するためには、極性有機溶媒と水との混液を用いる必要がある。極性有機溶媒としては、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド等が挙げられ、これらの中でもアセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルが好ましく、特にアセトンが好ましい。この混液における極性有機溶媒と水の割合は質量比で10〜50:90〜50、好ましくは50:50である。なお、一般に混液における極性有機溶媒の割合が高いほど、pH応答性ポリマーの溶解する量は多くなるが、極性有機溶媒の使用量は少ないほど環境に対して好ましい。そのため、極性有機溶媒に溶解するpH応答性ポリマーの量を予め測定しておき、それよりも過剰の量を添加した状態で、水酸化ナトリウム等を含有し、pHを調整するための水溶液を添加すると、極性有機溶媒単独でpH応答性ポリマーを溶解するよりも多くの量を溶解することができるので、混液における極性有機溶媒の割合を低くすることができる。
上記pH応答性ポリマーの混合溶液における含有量は、特に限定されないが、例えば、0.5〜10質量%(以下、単に「%」という)、好ましくは1.0〜6.0%である。
また、混合溶液に用いられるもう一つの成分である金イオンおよび/または白金イオンは、これらイオンを含有すると思われる各種試料や、携帯電話やパソコンなどの電子機器、あるいは家電製品等を適度な大きさに粉砕し、王水、硫酸、塩酸、硝酸等の酸溶液に溶解して得られる溶液等から調製されたものであってもよい。また、混合溶液には、第一態様発明では回収できない、例えば、銅などの金属、ロジウムに代表される遷移金属、ホウ素といった半金属等の金属イオンが含まれていてもよい。
混合溶液における金イオンおよび/または白金イオンの含有量は、特に限定されないが、例えば、金イオンおよび/または白金イオンを含めた金属イオンの総量として0.01〜500ppm、好ましくは0.1〜200ppmである。
上記した混合溶液の調製方法は、特に制限されない。例えば、この混合溶液は、pH応答性ポリマーと金イオンおよび/または白金イオンを室温(15〜20℃程度)の極性有機溶媒と水の混合溶液に添加、混合した後、この混合溶液のpHを当該分野において既知のpH調整法、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ性物質を添加して9.1より高く、好ましくは11〜13とすることや、pH応答性ポリマーおよび上記範囲のpHとなる量のアルカリ性物質を室温の極性有機溶媒と水に添加、混合した後、金イオンおよび/または白金イオンを添加、混合すること等により調製できる。
上記工程(a)で調製した混合溶液は、次に、工程(b)で混合溶液のpHを9.1より低く、好ましくはpH8〜9とし、pH応答性ポリマーと金および/または白金の凝集物を形成させる。このpHの調整は、既知のpH調整法、例えば、硝酸等の酸性物質を添加することで行うことができる。
上記工程(b)で得られた凝集物は、次に、工程(c)で混合溶液から回収される。混合溶液から凝集物を回収する方法は、特に制限されず、当該分野において既知の分離方法が利用できる。また、この分離方法の条件も、特に制限されず、生じた沈殿に応じて適宜設定すればよい。本発明においては、分離方法の中でも一般的なろ紙、親水性PTFEフィルター、ガラス繊維フィルター、ガラスプレフィルター等のろ材を用いたろ過が好ましく、特に前記ろ材を用いた吸引ろ過が好ましい。また、ろ過の前に遠心分離等をしておいてもよい。
上記工程(c)により金および/または白金をpH応答性ポリマーの凝集物として回収することができるが、更に、以下の工程(d)、
(d)回収した凝集物にpHが9.1より高い極性有機溶媒−水混合溶液を添加し、金
および/または白金を回収する工程
を行うことにより凝集物から金および/または白金を回収することができる。
具体的に工程(d)は、上記工程(c)で回収された凝集物に、別途調製したpHが9.1より高い、好ましくはpH11〜13の極性有機溶媒−水混合溶液を添加し、金および/または白金を回収する。この工程(d)で凝集物中のpH応答性ポリマーに相転移が起こるため、pH応答性ポリマーは前記極性有機溶媒−水混合溶液に溶解し、金および/または白金が析出する。この工程で用いられるpHが9.1より高い極性有機溶媒−水混合溶液としては、工程(a)で用いたのと同様な極性有機溶媒と水との混液のpHを上記範囲となるように調整したものが挙げられる。また、このpHが9.1より高い極性有機溶媒−水混合溶液の凝集物への添加方法は特に制限されず、例えば、上記工程(c)で分離された凝集物を回収した後、pH9.1より高い極性有機溶媒−水混合溶液中に凝集物を浸漬する方法や、上記工程(c)でろ材上に分離された凝集物に、直接pHが9.1より高い極性有機溶媒−水混合溶液を通過させる方法等が挙げられる。これらの方法の中でもろ材を用いた方法が好ましく、こうすることによりろ材上に金および/または白金が回収され、ろ液にpH応答性ポリマーが回収される。
また、上記工程(d)により金および/または白金を回収することができるが、更に以下の工程(e)、
(e)金および/または白金の回収に用いた極性有機溶媒−水混合溶液のpHを9.1
より低くし、pH応答性ポリマーを回収する工程
を行うことによりpH応答性ポリマーも回収することができる。
具体的に工程(e)は、上記工程(d)で金および/または白金を回収した後の極性有機溶媒−水混合溶液にpH応答性ポリマーが含有されているため、そのpHを9.1より低く、好ましくは8〜9とすることにより、相転移により凝集したpH応答性ポリマーを回収することができる。この極性有機溶媒−水混合溶液のpHの調整は、工程(b)と同様にして行うことができる。また、相転移により凝集したpH応答性ポリマーの回収は、工程(c)と同様にして行うことができる。更に、ここで回収されたpH応答性ポリマーは、そのままあるいは精製等をした後、再利用することができる。
以上説明した第一態様発明により、金および/または白金を回収することができ、また、回収に用いたpH応答性ポリマーも再利用することができる。
なお、第一態様発明の工程(a)で用いられる混合溶液に、還元剤を併用することにより、回収率が向上し、また、回収される貴金属が金および/または白金から、金、白金、銀およびパラジウムから選ばれる貴金属の1種または2種以上となる(以下、この発明を「第二態様発明」という)。
第二態様発明の工程(a')は、第一態様発明の工程(a)において、混合溶液を調製する任意の段階、好ましくはpHを調整した後に還元剤を添加する以外は、工程(a)に準じて行うことができる。
工程(a')で用いられる還元剤は、還元作用を有する物質であれば特に制限されないが、例えば、水素化ホウ素塩、ホスホン酸塩、次亜燐酸塩、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、亜二チオン酸塩等の無機化合物、ヒドラジン、エチレンジアミン、ウレア、チオウレア、ジメチルアミノボラン等の各種アミン、ジアミン類およびイミン類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の各種アルデヒド類、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール等の各種チオール類等の有機化合物、その他、ハイドロキノン、タンニン酸、クエン酸、アスコルビン酸およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩等の還元作用を有する化合物等が挙げられる。これら還元剤のうち、本発明回収方法における白金、金、銀および/またはパラジウムの還元能や作業性等を勘案すれば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、エタノールアミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムおよび塩酸ヒドロキシルアミンが好ましく、特にアスコルビン酸が好ましい。また、これらの還元剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。更に、これら還元剤は上記混合溶液に含有される金属イオンの総量に対して倍量以上、好ましくは2倍量以上添加すればよい。
また、工程(b')〜(e')については、第一態様発明の工程(b)〜(e)に準じて行うことができる。
以上説明した第二態様発明により、金、白金、銀およびパラジウムから選ばれる貴金属の1種または2種以上を第一態様発明より高い回収率で回収することができ、また、回収に用いたpH応答性ポリマーも再利用することができる。
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例中の各特性の分析は、下記方法に従って行った。
(1)pH応答性ポリマーの重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布
pH応答性ポリマーの重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布は、下記RI検出器を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により標準ポリスチレンの検量線から求めた。
GPC装置:HLC−8220GPC((株)東ソー製)
カラム:KF804L(Shodex社製)×3本
溶離液:テトラヒドロフラン
温度:38℃
(2)金属濃度の測定
金属イオンの濃度はICP発光分光分析装置(iCAP6300型:サーモフィッシャー製)を用いて測定した。
(3)吸光度の測定
吸光度は分光光度計(V−570スペクトフォトメーター:日本分光社製)を用いて測定した。
(4)pHの測定
pHはpHメーター(F−51:HORIBA製)を用いて測定した。
(5)NMRの測定
NMRは日本電子製JEOL−AL400を用いて測定した。
参 考 例 1
pH応答性ポリマーの合成:
pH応答性ポリマーの合成を、特開2008−56852号公報の実施例1および2に基づいて行った。
(1)2−アセトアセトキシエチルビニルエーテルの合成
乾燥した滴下ロート付きフラスコにtert−ブチルアセトアセテート(tBAA)と略す)90mLと溶媒のトルエン242mLを、滴下ロートに2−ヒドロキシルエチルビニルエーテル(HOVE)44mLを入れ、フラスコの内の温度が90〜120度になった時点で、HOVEを滴下した。反応中tBAAを常時蒸留除去して反応物を得た後、更に減圧蒸留によって反応物を精製した。精製して得られた反応物を重クロロホルムに溶解し、テトラメチルシランを基準に、H−NMR測定を行い、2−アセトアセトキシエチルビニルエーテルであることを確認した。また、2−アセトアセトキシエチルビニルエーテルの収率は79.5%であった。
(2)ポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)の合成
三方活栓をつけたガラス反応容器を窒素ガス気流下で加熱し、容器内を十分乾燥させた。窒素雰囲気下、容器内に上記で得られた2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル0.8モーラー(M)、1−イソブトキシエチルアセテート4.0mM、及び酢酸エチルを入れ全体を4.5mLとし、0℃に冷却した後、三フッ化ホウ素エーテル錯体200mMの酢酸エチル溶液0.5mL(20mM)を加えて重合を開始した。重合を25秒間行い、その後、極少量のアンモニア水を含むメタノール5mLを加え重合を停止し、メタノール中に再沈し、開始剤残渣を除去した。反応液を除去後、減圧乾燥することにより、重合物を得た。
この重合物を重クロロホルムに溶解し、テトラメチルシランを基準に、1H-NMR測定を行い、ポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)であることを確認した。また、ポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)の重量分子量(Mw)は7,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.3であった。更に、ポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)の収率は85%であった。
また、このポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)の溶液特性を調べたところ、pH9.1付近で相転移を起こすことがわかった。更に、このポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)のアセトンと水の混合溶液のpHが9.1より高い場合には、ガラス繊維フィルター(孔径1.0μm)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(孔径1.0μm)を100%透過した。
実 施 例 1
金属の回収(1):
50mLの遠沈管に、参考例1で合成したポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)0.06g、アセトン1.2mLおよび1Mの水酸化ナトリウム水溶液1.2mLを入れ、振盪機(MULTI SHAKER −MMs−300:東京理化器械製)でポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)が完全に溶解するまで撹拌した。なお、この溶液のpHは12であった。次にこれに表1に示す金属のイオンを複数種ずつ入れた溶液(各金属イオン濃度10ppm)1.0mLを入れ、その後、1Mの硝酸溶液3.0mLでpHを9.1以下に調整して、ポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)と金属の凝集物を形成させた。次に、蒸留水3.6mLを加え、遠心操作によって相分離させ、相分離後の上澄み相をICPで測定した。更に、この溶液をろ材としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(孔径1.0μm)を用いて吸引濾過でろ過し、PTFEフィルター上に凝集物を回収した。なお、ろ液中の金属濃度を測定し、それから金属の回収率を算出した。その結果も表1に示した。
Figure 2013227608
上記より、ポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)は、オスミウム、白金、金を選択的に40%以上の回収率で回収することができ、特に、金および白金を50%以上の高い回収率で選択的に回収できることがわかった。また、複数の金属イオンを含む溶液であっても、金とポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)の凝集物は紫色を呈するため、金の検出にも利用可能となることもわかった。
実 施 例 2
金の回収およびポリマーの再利用:
50mLの遠沈管に、参考例1で合成したポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)0.06g、アセトン1.2mLおよび1Mの水酸化ナトリウム水溶液1.2mLを入れ、振盪機(MULTI SHAKER −MMs−300:東京理化器械製)でポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)が完全に溶解するまで撹拌した。なお、この溶液のpHは12であった。次にこれに金、リン、クロム、ゲルマニウム、ヒ素、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、水銀、タリウム、鉛のイオンを10ppmずつ入れた溶液1.0mLを入れ、その後、1Mの硝酸溶液3.0mLでpHを9.1以下に調整して、ポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)と金属の凝集物を形成させた。この凝集物は紫色を呈していた。
次に、この凝集物を含む溶液を、PTFEフィルター(孔径1.0μm)を用いて吸引ろ過を行い、PTFEフィルター上に凝集物を回収した。その後、PTFEフィルター上に回収した凝集物に、アセトン溶液および1Mの水酸化ナトリウム水溶液の混合溶液を添加しながら吸引ろ過を行った。吸引ろ過後、フィルター上には金が残っていた。これはアセトン溶液と水酸化ナトリウム水溶液を凝集物に添加することにより、凝集物中のポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)が相転移し、上記混合溶液に溶解してフィルターを通過したものと考えられる。また、吸引ろ過後、実施例1と同様にして金の回収率を算出したところ54%であった。
また、吸引ろ過後に得られたろ液のpHを硝酸溶液で8.0としてポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)を相転移させ凝集させた後、PTFEフィルターでろ過し、ポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)を回収した。ポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)を回収前後のろ液の吸光度を測定したところ、回収前のろ液で認められた吸収が回収後にはほぼ認められなくなっていた。これによりポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)がこの操作により、95%以上回収でき、再利用も可能であることが示された。
更に、上記操作において、PTFEフィルター(孔径1.0μm)をガラス繊維フィルター(孔径1.0μm)に代えても、ポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)が95%以上回収できた。
実 施 例 3
金属の回収(2):
50mlの遠沈管に、参考例1で合成したポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)0.06g、アセトン1.2mLおよび1Mの水酸化ナトリウム水溶液1.2mLを入れ、振盪機(MULTI SHAKER −MMs−300:東京理化器械製)でポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)が完全に溶解するまで撹拌した。なお、この溶液のpHは12であった。次にこれに還元剤としてL−アスコルビン酸を1.0mg入れ、更に表2に示す金属のイオンを複数種ずつ入れた溶液(各金属イオン濃度10ppm)1.0mLを入れた。その後、これを1Mの硝酸溶液3.0mLでpHを9.1以下に調整して、ポリ(2−アセトアセトキシエチルビニルエーテル)と金属の凝集物を形成させた。次に、蒸留水3.6mLを加え、遠心操作によって相分離させ、相分離後の上澄み相をICPで測定した。更に、この溶液をろ材としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルター(孔径1.0μm)を用いて吸引濾過でろ過し、PTFEフィルター上に凝集物を回収した。なお、ろ液中の金属濃度を測定し、それから金属の回収率を算出した。その結果も表2に示した。
Figure 2013227608
上記より、金属の回収操作の際に還元剤を併用することで、還元剤を併用しない場合よりも白金および金の回収率を向上させるだけでなく、銀およびパラジウムの回収率も向上させた。この結果から、還元剤の併用により、白金、金、銀、パラジウムを選択的に60%以上の回収率で回収できることができ、特に白金、金および銀を90%以上の高い回収率で選択的に回収できることがわかった。
本発明は、携帯電話やパソコンなどの電子機器、あるいは家電製品等から金等の貴金属を選択性良く回収することができる。
従って、本発明は金属資源の再利用に貢献することができる。

以 上

Claims (7)

  1. 以下の工程(a)〜(c)、
    (a)下記式(I)
    Figure 2013227608
    を構成単位とするpH応答性ポリマーと金イオンおよび/または白金イオンを
    含有し、そのpHが9.1より高い極性有機溶媒−水混合溶液を調製する工程
    (b)前記混合溶液のpHを9.1より低くし、pH応答性ポリマーと金および/また
    は白金の凝集物を形成させる工程
    (c)前記混合溶液から凝集物を回収する工程
    を含むことを特徴とする金および/または白金の回収方法。
  2. 更に、工程(d)、
    (d)回収した凝集物にpHが9.1より高い極性有機溶媒−水混合溶液を添加し、金
    および/または白金を回収する工程
    を含む請求項1に記載の金および/または白金の回収方法。
  3. 更に、工程(e)、
    (e)金および/または白金の回収に用いた極性有機溶媒−水混合溶液のpHを9.1より低くし、pH応答性ポリマーを回収する工程
    を含む請求項2に記載の金および/または白金の回収方法。
  4. 以下の工程(a’)〜(c’)、
    (a')下記式(I)
    Figure 2013227608
    を構成単位とするpH応答性ポリマーと金イオン、白金イオン、銀イオンおよ
    びパラジウムイオンから選ばれる貴金属イオンの1種または2種以上と還元剤
    を含有し、そのpHが9.1より高い極性有機溶媒−水混合溶液を調製する工

    (b')前記混合溶液のpHを9.1より低くし、pH応答性ポリマーと金、白金、銀
    およびパラジウムから選ばれる貴金属の1種または2種以上の凝集物を回収す
    る工程
    (c')前記混合溶液から凝集物を回収する工程
    を含むことを特徴とする金、白金、銀およびパラジウムから選ばれる貴金属の1種または2種以上の回収方法。
  5. 還元剤が、クエン酸、クエン酸ナトリウム、エタノールアミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムおよび塩酸ヒドロキシルアミンからなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項4に記載の金、白金、銀およびパラジウムから選ばれる貴金属の1種または2種以上の回収方法。
  6. 更に、工程(d')、
    (d’)回収した凝集物にpHが9.1より高い極性有機溶媒−水混合溶液を添加し、
    金、白金、銀およびパラジウムから選ばれる貴金属の1種または2種以上を回
    収する工程
    を含む請求項4または5に記載の金、白金、銀およびパラジウムから選ばれる貴金属の1種または2種以上の回収方法。
  7. 更に、工程(e')、
    (e')金、白金、銀およびパラジウムから選ばれる貴金属の1種または2種以上の回
    収に用いた極性有機溶媒−水混合溶液のpHを9.1より低くし、pH応答性ポ
    リマーを回収する工程
    を含む請求項6に記載の金、白金、銀およびパラジウムから選ばれる貴金属の1種または2種以上の回収方法。
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