JP2013226708A - 基布と樹脂層との積層体シートからの基布と樹脂層の分別回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基布の一面および/または他面に接着剤を介して樹脂層が形成されてなる積層体シートの裁断片から、基布と樹脂層を構成する樹脂とを分別して回収する方法であって、水60〜99.5容量%と、水溶性有機溶剤0.5〜40容量%と、非水溶性有機溶剤0〜10容量%とを含有する処理液に裁断片を浸漬することにより、積層体シートを構成する基布と樹脂層とを裁断片の形状を保持した状態で分離する工程を含む。
【選択図】 なし
Description
ここに、軟質ポリ塩化ビニル樹脂シートを基布に接着するための一般的な接着剤として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂系エマルジョンタイプの接着剤が使用されている。この接着剤は基布の種類にもよるが、基布側に塗布される塗布量は約20g/m2 で、塗布乾燥(130℃で5分程度の乾燥条件)後、基布から軟質ポリ塩化ビニル樹脂シートに加熱圧着される。
しかして、塩化ビニルレザーをリサイクルするためには、塩化ビニルレザーを構成する基布(繊維材料)と、軟質ポリ塩化ビニル樹脂層(樹脂材料)とを分離して、これらを分別回収することが不可欠である。
このターポリンは、織布の両面に樹脂層が形成されることにより構成されている。
織布の両面に樹脂層を形成するために、織布と、この織布の両面(一面および他面)に配置した樹脂シートとを、接着剤により貼り合わせる(ラミネートする)ことが行われている。
また、樹脂シートを織布に接着するための接着剤として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる接着剤、ポリウレタン系の接着剤が使用されている。
従って、使用済のターポリンは、産業廃棄物として焼却処理または埋め立て処理されているのが現実である。
本発明の目的は、基布の一面および/または他面に接着剤を介して樹脂層が形成されてなる積層体シートの裁断片から、基布と、樹脂層を構成する樹脂とを、簡単かつ効率的に分別回収することができる方法を提供することにある。
水60〜99.5容量%と、水溶性有機溶剤0.5〜40容量%と、非水溶性有機溶剤0〜10容量%とを含有する処理液に前記裁断片を浸漬することにより、前記積層体シートを構成する前記基布と前記樹脂層とを前記裁断片の形状を保持した状態で分離する工程を含むことを特徴とする。
本発明の分別回収方法は、基布の一面および/または他面に接着剤を介して樹脂層が形成されてなる積層体シートの裁断片から、前記基布と前記樹脂層を構成する樹脂とを分別して回収する方法である。
被処理物である「積層体シート」としては、基布の一面に接着剤を介して樹脂層が形成されてなるもの(例えばプラスチックレザー)、基布の両面に接着剤を介して樹脂層が形成されてなるもの(例えばターポリン)の何れであってもよい。
ここに、天然繊維としては綿、麻、羊毛などを例示することができ、合成繊維としては、ポリアミド(ナイロン)、ポリビニルアルコ−ル(ビニロン)、ポリ塩化ビニル(テビロン)、ポリエステル糸(テトロン)などを例示することができる。
本発明の分別回収方法は、軟質ポリ塩化ビニル樹脂層が基布の一面および/または他面に形成された積層体シート(例えば塩化ビニルレザー、ターポリン)に対して特に好適である。
樹脂層を構成する軟質ポリ塩化ビニル樹脂の重合度は、通常1000〜1800程度とされる。軟質ポリ塩化ビニル樹脂には、可塑剤、安定剤、着色剤などが含有されている。 また、積層体シートを構成する樹脂層は発泡体構造を有している場合もある。
ここに、積層体シートの厚さとしては、通常0.6〜1.0mm程度とされる。
また、樹脂層の厚さとしては、通常0.4〜0.8mm程度とされる。
すなわち、本発明の分別回収方法により処理される積層体シートにおいては、基布と、樹脂層との間に接着剤(層)が介在している。
かかる接着剤としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる接着剤、ポリウレタン樹脂からなる接着剤が多用されている。
ここに、「裁断片」としては、積層体シートの製造時および加工時において不可避的に発生する端材、最終製品の使用後の廃材などが含まれる。
裁断片の形状は多岐にわたり特に限定されるものではない。裁断片のサイズとしても、特に限定されないが、5cm2 以上であることが好ましく、更に好ましくは5〜1000cm2 とされる。サイズが過小である場合には、裁断片の形状を保持する基布(片)と、樹脂(片)とを分別することが困難となる。
なお、裁断片には、後述するような長尺の端材などが含まれる。
本発明の分別回収方法で使用する「処理液」は、水60〜99.5容量%と、水溶性有機溶剤0.5〜40容量%と、非水溶性有機溶剤0〜10容量%とを含有してなり、積層体シートを構成する接着剤(層)を浸食または溶解することができるが、積層体シートを構成する樹脂層を実質的に溶解しない水溶液(水と有機溶剤との混合物)である。
ここに、水溶性有機溶剤における「水溶性」とは、常温下、水に対して自由な比率で溶解(混和)することを意味する。
水の含有割合が60容量%未満である場合には、相対的に有機溶剤の含有割合が40容量%を超えることになり、そのような処理液によっては積層体シートを構成する樹脂層が溶解されてしまう。一方、水の含有割合が99.5容量%を超える場合には、相対的に有機溶剤の含有割合が0.5容量%未満となり、そのような処理液によっては、積層体シートを構成する接着剤(層)を浸食または溶解することができない。
本発明において、「非水溶性有機溶剤」とは、水に対して不溶性(非混和性)の有機溶剤、および水溶解度が30g/100mL(20℃)以下である有機溶剤をいう。
非水溶性有機溶剤は、水溶性有機溶剤との相溶性があり、少なくとも処理液中に溶解されていることが必要である。
非水溶性有機溶剤は、単独の状態において、樹脂層を構成する樹脂を溶解できるものであることが好ましい。
処理液における非水溶性有機溶剤の含有割合としては、通常10容量%以下とされ、好ましくは5容量%以下、更に好ましくは1〜3容量%とされる。
非水溶性有機溶剤の含有割合が10容量%を超える場合には、これらが均質に溶解された処理液を調製することができない。
なお、水溶性有機溶剤および/または非水溶性有機溶剤として、沸点が100℃以下の溶剤を使用する場合には、そのような低沸点の有機溶剤の含有割合が5容量%以下、例えば2〜5容量%であることが安全性などの観点から好ましい。
本発明の分別回収方法は、処理液に積層体シートの裁断片を浸漬することにより、積層体シートを構成する基布と樹脂層とを分離する工程(以下、「層分離工程」という。)を含む。
ここに、攪拌処理方法としては、処理槽内に収容した裁断片の分散液を、攪拌羽根により機械的攪拌する方法、水流ポンプにより水流攪拌する方法などを例示することができる。裁断片の分散液を攪拌処理することにより、攪拌処理しない場合と比較して、処理時間を短縮することができる。
また、処理時間としては、積層体シートの樹脂層を構成する樹脂の重合度(ポリ塩化ビニル樹脂である場合には可塑剤の種類および使用量)、積層体シートを構成する接着剤の種類などによっても異なるが、通常10〜60分間とされ、好ましくは15〜30分間とされる。
従って、この層分離工程により、裁断片の形状を有する基布(片)と、樹脂(片)とが処理液に分散された状態の分散液が得られる。
ここに、層分離工程により得られた基布(片)には樹脂の痕跡が実質的に認められず、樹脂(片)においても基布の痕跡は実質的に認められない。
なお、層分離工程終了後における回収物の中には、基布から樹脂層が分離されていない状態の裁断片が含まれることがあるが、そのような裁断片においても、その接着剤(層)は処理液によって十分に浸食または溶解されているため、基布と樹脂層との間の接着力は著しく低下しており、例えば手作業によって基布から樹脂層を簡単に剥離することができる。
他方、分別回収された基布(片)は、樹脂層に由来する樹脂が含まれていないため、再生繊維材料として再利用することができる。
このように、本発明の分別回収方法では、樹脂層を構成する樹脂を処理液によって溶解して回収するものではないので、当該樹脂を、蒸留工程(ポリ塩化ビニルと溶媒との分離工程)などを経ることなく回収することができる。
(1)処理液の調製:
水600g(75容量%)と、沸点が231℃の水溶性有機溶剤であるジエチレングリコールモノブチルエーテル160g(20容量%)と、沸点が57℃の水溶性有機溶剤であるアセトン40g(5容量%)とを混合して、水溶性有機溶剤の水溶液からなる処理液800gを調製した。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる水系エマルジョンタイプの接着剤「ビニブラン 603」(日信化学工業(株)製,固形分50%、粘度50、平均粒子径150、Tg63℃、MFT58℃、pH7.5)を介して基布の一面に軟質ポリ塩化ビニル樹脂層が形成されてなる塩化ビニルレザーの裁断片(幅100mm×300mm、厚さ0.8mm)160gを準備した。
攪拌機能を備えた容量1Lのガラス容器内に、上記(1)で調製した処理液800gを仕込み、この処理液中に、上記(2)で準備した裁断片160gを投入し、温度30℃、回転速度15rpmで、20分間にわたり、この系を攪拌処理することにより、裁断片(塩化ビニルレザー)を構成する基布と軟質ポリ塩化ビニル樹脂層とを、裁断片の形状を保持させた状態で分離した。なお、軟質ポリ塩化ビニル樹脂層が基布から完全に分離されていない状態の裁断片が一部認められたが、そのような裁断片であっても、手作業によって、簡単かつ完全に、軟質ポリ塩化ビニル樹脂層を基布から分離(剥離)することができた。
裁断片の形状を保持している基布(片)と、樹脂(片)とを分別して回収した。
回収された基布片の乾燥質量(乾燥条件:80℃×1時間)は70.0g(43.8質量%)であり、回収された樹脂片の乾燥質量(乾燥条件:60℃×30分間)は90.0g(56.2質量%)であった。
上記(4)により得られた樹脂片(軟質ポリ塩化ビニル樹脂)を、表面温度160℃に設定された6インチのテストロールを用いて、5分間にわたり混練することにより、厚さ0.3mmのフィルムを作製した。得られたフィルムには、繊維状の異物が認められず、強靭かつ柔軟性を有するものであった。
重合度1300のポリ塩化ビニル100質量部と、バリウム−亜鉛系の液状安定剤2質量部とを混合し、更に、上記(4)により得られた樹脂片(軟質ポリ塩化ビニル樹脂)50質量部を細かく切断した状態で添加して混合し、得られた混合物を、表面温度175℃に設定された6インチのテストロールを用いて、5分間にわたり混練することにより、繊維状の異物を含まない半硬質ポリ塩化ビニルシートを得た。
(1)処理液の調製:
水600g(75容量%)と、沸点が194℃のジエチレングリコールモノメチルエーテル160g(20容量%)と、沸点が66℃の水溶性有機溶剤であるテトラヒドロフラン40g(5容量%)を混合して、水溶性有機溶剤の水溶液からなる処理液800gを調製した。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる接着剤「ビニブラン 603」(日信化学工業(株)製)からなる接着剤を介して基布の一面に黒色の軟質ポリ塩化ビニル樹脂層が形成されてなる塩化ビニルレザー(50mm×200mm×0.8mm)10枚(160g)を準備した。
攪拌機能を備えた容量1Lのガラス容器内に、上記(1)で調製した処理液800gを仕込み、この処理液中に、上記(2)で準備した裁断片160gを投入し、温度25℃、回転速度20rpmで、20分間にわたり、この系を攪拌処理することにより、裁断片(塩化ビニルレザー)を構成する基布と軟質ポリ塩化ビニル樹脂層とを、裁断片の形状を保持させた状態で分離した。なお、軟質ポリ塩化ビニル樹脂層が基布から完全に分離されていない状態の裁断片が一部認められたが、そのような裁断片であっても、手作業によって、簡単かつ完全に、軟質ポリ塩化ビニル樹脂層を基布から分離(剥離)することができた。
裁断片の形状を保持している基布(片)と、樹脂(片)とを分別して回収した。
回収された基布片の乾燥質量(乾燥条件:80℃×1時間)は60.0g(37.5質量%)であり、回収された樹脂片の乾燥質量(乾燥条件:60℃×30分間)は100.0g(62.5質量%)であった。
(1)処理液の調製:
水600g(75容量%)と、沸点が249℃のトリエチレングリコールモノメチルエーテル160g(20容量%)と沸点が56℃のアセトン40g(5容量%)を混合して、水溶性有機溶剤の水溶液からなる処理液800gを調製した。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる接着剤「ビニブラン 603」(日信化学工業(株)製)からなる接着剤を介して、基布の一面に黒色の軟質ポリ塩化ビニル樹脂層が形成されてなるきわめてソフト感覚の塩化ビニルレザーの裁断片(100mm×250mm×1mm)9枚(158g)を準備した。
攪拌機能を備えた容量1Lのガラス容器内に、上記(1)で調製した処理液800gを仕込み、この処理液中に、上記(2)で準備した裁断片158gを投入し、温度25℃、回転速度10rpmで、20分間にわたり、この系を攪拌処理することにより、裁断片(塩化ビニルレザー)を構成する基布と軟質ポリ塩化ビニル樹脂層とを、裁断片の形状を保持させた状態で分離した。なお、軟質ポリ塩化ビニル樹脂層が基布から完全に分離されていない状態の裁断片が一部認められたが、そのような裁断片であっても、手作業によって、簡単かつ完全に、軟質ポリ塩化ビニル樹脂層を基布から分離(剥離)することができた。
裁断片の形状を保持している基布(片)と、樹脂(片)とを分別して回収した。
回収された基布片の乾燥質量(乾燥条件:80℃×1時間)は21.0g(13.3質量%)であり、回収された樹脂片の乾燥質量(乾燥条件:60℃×30分間)は136.0g(86.1質量%)であった。
上記(4)により得られた樹脂片(軟質ポリ塩化ビニル樹脂)を、表面温度160℃に設定された6インチのテストロールを用いて、7分間にわたり混練することにより、厚さ0.5mmのフィルムを作製した。得られたフィルムには、繊維状の異物が認められず、強靭なものであった。
(1)処理液の調製:
水600g(75容量%)と沸点が249℃のトリエチレングリコールモノメチルエーテル160g(20容量%)と沸点が66℃のテトラヒドロフラン40g(5容量%)とを混合して、水溶性有機溶剤の水溶液からなる処理液800gを調製した。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる接着剤「ビニブラン 603」(日信化学工業(株)製)からなる接着剤を介して、基布の一面に軟質ポリ塩化ビニル樹脂層が形成されてなる塩化ビニルレザーの裁断片(100mm×250mm×0.60〜0.62mm)13枚(165g)を、解体処理された乗用車の座席から採取して準備した。
攪拌機能を備えた容量1Lのガラス容器内に、上記(1)で調製した処理液800gを仕込み、この処理液中に、上記(2)で準備した裁断片165gを投入し、温度45℃、回転速度15rpmで、30分間にわたり、この系を攪拌処理することにより、裁断片(塩化ビニルレザー)を構成する基布と軟質ポリ塩化ビニル樹脂層とを、裁断片の形状を保持させた状態で分離した。なお、軟質ポリ塩化ビニル樹脂層が基布から完全に分離されていない状態の裁断片が一部認められたが、そのような裁断片であっても、手作業によって、簡単かつ完全に、軟質ポリ塩化ビニル樹脂層を基布から分離(剥離)することができた。
裁断片の形状を保持している基布(片)と、樹脂(片)とを分別して回収した。
回収された基布片の乾燥質量(乾燥条件:80℃×1時間)は36.1g(21.9質量%)であり、回収された樹脂片の乾燥質量(乾燥条件:60℃×30分間)は114.3g(69.3質量%)であった。
なお、本実施例において、回収された基布片および樹脂片の合計質量は150.4gであり、裁断片の投入量165gに対する回収率は約91質量%であるが、この減量は、長期使用による汚れおよび基布部分に付着した異物によるものと推測される。
(1)処理液の調製:
水600g(75容量%)と、沸点249℃のトリエチレングリコールモノメチルエーテル160g(20容量%)と、沸点が82℃の水溶性有機溶剤であるイソプロピルアルコール24g(3容量%)と、沸点が80℃の非水溶性有機溶剤であるメチルエチルケトン(MEK)16g(2容量%)とを混合し、処理液800gを調製した。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる接着剤「ビニブラン 603」(日信化学工業(株)製)からなる接着剤を介して、基布の一面に軟質ポリ塩化ビニル樹脂層が形成されてなる塩化ビニルレザーの裁断片(50mm×100mm×0.7mm)10枚(40g)を準備した。
攪拌機能を備えた容量1Lのガラス容器内に、上記(1)で調製した処理液800gを仕込み、この処理液中に、上記(2)で準備した裁断片40gを投入し、温度20℃、回転速度45rpmで20分間にわたり、この系を攪拌処理することにより、裁断片(塩化ビニルレザー)を構成する基布と軟質ポリ塩化ビニル樹脂層とを、裁断片の形状を保持させた状態で分離した。
裁断片の形状を保持している基布(片)と、樹脂(片)とを分別して回収した。
回収された基布片の乾燥質量(乾燥条件:80℃×1時間)は14g(35質量%)であり、回収された樹脂片の乾燥質量(乾燥条件:60℃×30分間)は26g(65質量%)であった。
(1)処理液の調製:
水600g(75容量%)と、沸点が194℃の水溶性有機溶剤であるジエチレングリコールモノメチルエーテル160g(20容量%)と、沸点が97℃の水溶性有機溶剤であるイソプロピルアルコール40g(5容量%)とを混合して、水溶性有機溶剤の水溶液からなる処理液800gを調製した。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる接着剤「ビニブラン 603」(日信化学工業(株)製)からなる接着剤を介して、基布の一面に黒色の軟質塩化ビニル樹脂層が形成されてなる塩化ビニルレザーの裁断片(100mm×250mm×1mm)160gを準備した。
攪拌機能を備えた容量1Lのガラス容器内に、上記(1)で調製した処理液800gを仕込み、この処理液中に、上記(2)で準備した裁断片158gを投入し、温度30℃、回転速度15rpmでこの系を攪拌処理した。攪拌を開始してから20分経過後、裁断片(塩化ビニルレザー)を構成する基布と軟質ポリ塩化ビニル樹脂層とが、裁断片の形状を保持させた状態で完全に分離した。
裁断片の形状を保持している基布(片)と、樹脂(片)とを分別して回収した。
回収された基布片の乾燥質量(乾燥条件:80℃×1時間)は55g(35質量%)であり、回収された樹脂片の乾燥質量(乾燥条件:60℃×30分間)は103g(65質量%)であった。
(1)処理液の調製:
イソプロピルアルコールの混合量を24g(3容量%)に変更し、非水溶性有機溶剤であるメチルエチルケトン16g(2容量%)を混合したこと以外は実施例6(1)と同様にして、水溶性有機溶剤の水溶液からなる処理液800gを調製した。
実施例6(2)と同様にして、塩化ビニルレザーの裁断片(100mm×250mm×1mm)160gを準備した。
攪拌機能を備えた容量1Lのガラス容器内に、上記(1)で調製した処理液800gを仕込み、この処理液中に、上記(2)で準備した裁断片158gを投入し、実施例6(3)と同一の条件でこの系を攪拌処理した。攪拌を開始してから15分経過後、裁断片(塩化ビニルレザー)を構成する基布と軟質ポリ塩化ビニル樹脂層とが、裁断片の形状を保持させた状態で完全に分離した。
裁断片の形状を保持している基布(片)と、樹脂(片)とを分別して回収した。
回収された基布片の乾燥質量(乾燥条件:80℃×1時間)は55g(35質量%)であり、回収された樹脂片の乾燥質量(乾燥条件:60℃×30分間)は103g(65質量%)であり、実施例6(4)と同等の結果であった。
攪拌機能を備えた容量0.5Lのガラスビーカーに、水80容量部と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル17容量部と、アセトン3容量部とからなる処理液400ccを仕込み、この処理液に、塩化ビニルレザーの裁断片(30mm×100mm)10枚(合計18g)を投入し、温度45℃、回転速度30rpmで、30分間にわたり、この系を攪拌処理することにより、裁断片を構成する基布と軟質ポリ塩化ビニル樹脂層とを、裁断片の形状を保持させた状態で分離した。
次いで、この系から基布(片)および樹脂(片)を除去した後、残った処理液に、塩化ビニルレザーの裁断片(30mm×100mm)10枚(合計18g)を新に投入し、上記と同様にして30分間にわたり層分離工程(2回目)を実施した。
次いで、この系から基布(片)および樹脂(片)を除去した後、残った処理液に、塩化ビニルレザーの裁断片(30mm×100mm)10枚(合計18g)を新に投入し、上記と同様にして30分間にわたり層分離工程(3回目)を実施した。
次いで、この系から基布(片)および樹脂(片)を除去した後、残った処理液20gをガラスシャーレに精秤し、105℃で1時間で水分を蒸発させて残留物の質量を測定したところ、残留物の割合は0.025質量%に止まった。
更に、上記と同様の層分離工程(但し1回あたりの処理時間は1時間)を3回実施した後、処理液の残留物の割合は0.045質量%に止まった。
上記の結果から、層分離工程後の処理液中に含まれる残留物(樹脂および可塑剤と推測される)はきわめて微量であり、処理液を繰り返して使用することが可能である。
Claims (10)
- 基布の一面および/または他面に接着剤を介して樹脂層が形成されてなる積層体シートの裁断片から、前記基布と前記樹脂層を構成する樹脂とを分別して回収する方法であって、
水60〜99.5容量%と、水溶性有機溶剤0.5〜40容量%と、非水溶性有機溶剤0〜10容量%とを含有する処理液に前記裁断片を浸漬することにより、前記積層体シートを構成する前記基布と前記樹脂層とを前記裁断片の形状を保持した状態で分離する工程を含むことを特徴とする積層体シートからの基布と樹脂の分別回収方法。 - 前記処理液が、前記水溶性有機溶剤として、炭素数3〜12のグリコールエーテルを含有することを特徴とする請求項1に記載の分別回収方法。
- 前記処理液が、前記水溶性有機溶剤として、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルおよびトリエチレングリコールモノメチルエーテルから選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項2に記載の分別回収方法。
- 前記処理液が、前記水溶性有機溶剤として、更に、テトラヒドロフラン、アセトンまたはイソプロピルアルコールを含有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の分別回収方法。
- 前記処理液中において、沸点が100℃以下の有機溶剤の含有割合が5容量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の分別回収方法。
- 前記積層体シートを構成する接着剤が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の分別回収方法。
- 前記積層体シートが、前記基布の一面に前記樹脂層が形成されてなるプラスチックレザーであることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の分別回収方法。
- 前記積層体シートが、前記基布の一面に軟質ポリ塩化ビニル樹脂層が形成されてなる塩化ビニルレザーであることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の分別回収方法。
- 前記積層体シートが、前記基布の両面に前記樹脂層が形成されたターポリンであることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の分別回収方法。
- 前記処理液に浸漬させるターポリンの裁断片に貫通孔を複数形成する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の分別回収方法。
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