JP2013226574A - チタン薄板の圧延方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多段ミル1を用いたチタン薄板の圧延方法は、前段パスと後段パスとで構成される。これらの前段パスおよび後段パスにおいて、多段ミル1に備えられたワークロール4とチタン薄板との摩擦係数に関して、後段パスの摩擦係数が、前段パスの摩擦係数よりも低い、ヘリングボーン(クロスバックル)を発生させない摩擦係数になるように圧延条件が設定されている。そして、後段パスの圧下率が前段パスの圧下率よりも低く設定されている。
【選択図】図1
Description
このような圧延機を用いて圧延される金属材料として、チタン材がある。このチタン材は軽量で強度が高く、しかも耐食性に優れ、絞り加工性が良好であるので、多方面の用途に利用されている。しかし、用途によっては厳しい平坦度が要求される場合もあり、高強度のチタン材を用い、これをより薄くした良好な平坦度のシート材(薄板)が必要とされている。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、チタン薄板に形状不良を発生させることなく(良好な表面性状を実現して)、かつ、チタン薄板を効率的に圧延することができる、圧延方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明に係る圧延方法は、リバース圧延機によりチタン薄板を圧延する方法である。この圧延方法は、前段パスと後段パスとで構成され、前記リバース圧延機に備えられたワークロールとチタン薄板との摩擦係数に関して、後段パスの摩擦係数が前段パスの摩擦係数よりも低くなるように圧延条件を設定し、圧延を行うことを特徴とする。
さらに好ましくは、後段パスにおいて、前記チタンコーティングが形成されるように圧延条件を設定し、圧延を行うように構成することができる。
さらに好ましくは、前段パスにおいて、圧延によりワークロールに所定の厚み以上のコーティングが形成される焼付き限界圧下率未満のできるだけ高い圧下率で圧延を行うように構成することができる。
さらに好ましくは、後段パスは、少なくとも最終パスを含むように構成することができる。
[全体構成]
まず、本実施形態に係る圧延方法が適用される多段ミル(例えば、12段式のクラスター型多段圧延機)の概要について説明する。
すなわち、これら2台のテンションリール2,3を交互に巻取り・巻出して多段ミル1を行き来するようにチタン薄板7を通板することにより、この極薄金属板の圧下を繰り返して板厚を減少させて、チタン薄板7の圧延が行われる。チタン薄板7の多段ミル1での仕上がり厚みは1.0mm以下である。
このような多段ミル1を用いてチタン薄板を圧延する方法について説明する。
この圧延方法は、1以上のパスから構成される前段パスと1以上のパスから構成される後段パスとで構成される。これらの前段パスおよび後段パスにおいて、多段ミル1に備えられたワークロール4とチタン薄板との摩擦係数に関して、後段パスの摩擦係数が前段パスの摩擦係数よりも低くなるように圧延条件が設定されている。
さらに、具体的には、前段パスにおける圧下率は、圧延によりワークロール4に所定の厚み以上(たとえば1μm程度)のコーティング(摩擦係数が上昇する白色の焼付きコーティング)が形成される焼付き限界圧下率未満のできるだけ高い圧下率である。これは、チタン材が非常に活性な金属であるため、圧延により板表面に形成された新生面がロール表面に付着する、いわゆる焼付き現象があるロール表面被覆率を超えることにより、ロール表面がロール材質より活性なチタンで全面覆われるために、このような厚さのコーティングとなり、かつ、ロールに焼付いたチタンが凹凸面となるため白色化してくる。このため、ロール表面のこのような特徴が発生しない限界(焼付き限界圧下率)まで圧下率を高めても、油潤滑状態が継続しているため問題が無く圧延が可能である。このようにすると、生産性が向上する。そして、後段パスでは以下のように低圧下で圧延する。後段パスにおける圧下率は、圧延によりワークロール4に所定の厚み以下(たとえば200nm程度)のチタンコーティング(TiCリッチな黒色コーティングで低い摩擦係数で安定するコーティング)が形成される低い圧下率である。これは圧下率を下げることにより、圧延中のチタンの新生面の発生を防止するとともに、チタン圧延中に発生したチタンの微細な摩耗粉が圧延油中のCと結合して、部分的にTiCを含む摩耗粉が形成する。このTiCを含む摩耗粉をロールに付着させることにより、TiCでコーティングされた圧延ロールとなる。TiCは、新生面のチタンとの反応性が低いため、ロールコーティングは薄くなりかつ焼付きも起こり難くなる。このようにすると、後段パスでの摩擦抵抗を低く抑えることができ、良好な表面性状のチタン薄板を生産することができる。
以下に、このようなパススケジュールとした理由について説明する。
へリングボーンの発生メカニズムは、十分解明されていないが、板厚に対して、板幅が十分広いような極薄板の圧延においてロールバイト内の幅方向の拘束による板幅方向の圧縮応力がロールバイト出側での板座屈を引き起こすためと言われている。このため、板厚が薄くなると起こり易く、前方張力や後方張力を付与して、ロールバイト内の変形を容易にすることにより、板幅方向の圧縮応力が減少するため発生が抑えられると言われている。このため、特許文献1に開示された方法は、有効であると考えられる。しかしながら、上述した性質に加えて、チタン材は、異方性が高く、大きな張力を与えると、板破断や幅
変化が生じてしまう。このため、特許文献1においても最大張力が制限されている。したがって、チタン圧延に適用可能な十分な高張力を付与してもヘリングボーンが消去しない場合は、圧下率を下げる方法しか残されていない。
この知見から、摩擦係数を下げることが、ヘリングボーンの発生抑制には効果的である。圧下率を稼ぐため(生産性を低下させないため)、小径ワークロールを採用すると、ロールの油の引き込み力が減少し、摩擦係数が高くなってしまうとの問題点がある。また、油自身の粘度を上げて、摩擦係数を下げると圧延ロールバイトの出側でも油が沢山残り、コイルに巻き取った場合には、巻ずれなどの問題が発生するために、高粘度の油を用いることも好ましくない。また、上述したようにチタンは活性金属であり、圧延中にワークロールの表面にコーティングが発生し、ワークロールとチタン薄板との摩擦係数が刻々と変化する。
図2に1パスあたりの圧下率と推定摩擦係数との関係を、図3に全圧下率と推定摩擦係数との関係を、それぞれ示す。これらの図に示すプロット内の数字はパス番号を示す。なお、これらの図を作成するにあたり、摩擦係数の推定は以下の式を用いている。
これらの図2および図3において、摩擦係数が0.2以上になると、ヘリングボーンが発生することが分かった。すなわち、パスにおける(特に後段パスにおける)摩擦係数を0.2未満に維持すれば、ヘリングボーンが発生することを回避することができる。
矢印)。したがって、同一圧下率(図2および図3における実施例2)においても摩擦係数は一定とは言えない。この摩擦係数の変化は、圧延状態にも依存することが分かっている。圧延状態とは、同一圧下率であっても板厚が薄くなるに従い摩擦係数が上昇する場合と、高摩擦係数状態であっても圧下率を下げるとパス内で緩やかに摩擦係数が減少する場合とがあり、これはワークロール4の表面に形成されるコーティングの状況により異なるものと考えられる。
図4に示すように、強圧下されたワークロール4の表面には、1μm程度の厚い白色(コーティング組成は主に金属チタンから成っている)のコーティングが形成されていることが分かり、図5に示すように、低圧下されたワークロール4の表面には、200nm程度の薄い黒色のチタンコーティング(金属チタンとともに、TiCおよびTiO等の炭化物および酸化物を含む)が形成されていることが分かる。
他方、図4に示す強圧下では、ワークロール4の表面に、非常に厚くメタリック色(白色)のコーティング(金属チタンと考えられる)が形成される。このコーティングは高い摩擦係数となる一因と考えられる。このように高圧下で圧延にすると、生産性は向上するものの、板表面がむしれて、不安定な圧延状態で圧延されるものと考えられる。
また、初期パスにおいてワークロール4の表面に厚い白色のコーティングが形成されない限界の高圧下率で圧下することは、生産性を向上させることに加えて、後段パスで非常に薄い黒色のチタンコーティング(TiCコーティング)を上手く形成するための条件であると類推される。
2、3 テンションリール
4 ワークロール
5 中間ロール
6 バックアップロール
7 チタン薄板
8 デフレクタロール
Claims (6)
- リバース圧延機によりチタン薄板を圧延する圧延方法であって、
前記圧延方法は、前段パスと後段パスとで構成され、
前記リバース圧延機に備えられたワークロールとチタン薄板との摩擦係数に関して、後段パスの摩擦係数が前段パスの摩擦係数よりも低くなるように圧延条件を設定し、圧延を行うことを特徴とするチタン薄板の圧延方法。 - 圧延によりワークロールに所定の厚み以下のチタンコーティングが形成されるように圧延条件を設定し、圧延を行うことを特徴とする請求項1に記載のチタン薄板の圧延方法。
- 後段パスにおいて、前記チタンコーティングが形成されるように圧延条件を設定し、圧延を行うことを特徴とする請求項2に記載のチタン薄板の圧延方法。
- 前段パスにおいて、圧延によりワークロールに所定の厚み以上のコーティングが形成される焼付き限界圧下率未満のできるだけ高い圧下率で圧延を行うことを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のチタン薄板の圧延方法。
- 後段パスの圧下率を前段パスの圧下率よりも低くすることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のチタン薄板の圧延方法。
- 後段パスは、少なくとも最終パスを含むことを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のチタン薄板の圧延方法。
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CN113714286A (zh) * | 2021-08-31 | 2021-11-30 | 西北有色金属研究院 | 一种ta15钛合金薄带材的制备方法 |
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