JP2013226120A - 食用油脂組成物及び該食用油脂組成物含有食品 - Google Patents

食用油脂組成物及び該食用油脂組成物含有食品 Download PDF

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【課題】澱粉含量の多い食品にコーティングされることで、そのほぐれ性を向上させ、かつ、乳化剤分離を起こりにくくする食用油脂組成物、及び該食用油脂組成物含有食品を提供する。また、粉末ソース等を併用する際において、当該粉末ソース等を焦げにくくする効果を奏する食用油脂組成物、及び該食用油脂組成物含有食品を提供する。
【解決手段】食用油脂組成物に、グリセリンモノ脂肪酸エステルを0.1〜1.5質量%、有機酸モノグリセライドを0.1〜1.2質量%配合する。
【選択図】なし

Description

本発明は、食用油脂組成物及び該食用油脂組成物含有食品に関する。
炒飯、中華蒸し麺、ゆでパスタなどの澱粉が多く、表面に水分が多い食品は、ご飯や麺、パスタなどが付着するなどの問題が発生しやすい。従来よりこれらの問題を改善するために、油脂をコーティングし、ご飯、麺、パスタなどの相互の付着を防止し、ほぐれ性を改善することが行われてきた。特に、コーティングに用いる油脂中に特定の乳化剤を含有させることで、これらのほぐれ性改善および食品のツヤだし等の効果が認められていた(特許文献1)。
しかし、これまでの乳化剤を配合した食用油脂組成物は、含まれる乳化剤の親油性が低く、溶解させても、保存している間に沈殿を生じてしまう点や、水分が高くなると乳化剤成分が分離しやすくなるとの問題が発生した。一度、分離すると再度の均質化が難しく、さらにご飯、蒸し麺、ゆでパスタへの調理時に不均一になる。ご飯、蒸し麺、ゆでパスタへのスプレー等で目詰まりを起すなどのトラブルがあった。また、粉末ソースで味付けする焼そばに利用する場合、粉末ソースが焦げるという問題も発生した。
特開昭57−14139号公報
本発明の目的は、澱粉含量の多い食品にコーティングされることで、そのほぐれ性を向上させ、かつ、乳化剤分離を起こりにくくする食用油脂組成物、及び該食用油脂組成物含有食品を提供することにある。また、本発明の別の目的は、粉末ソース等を併用する際において、当該粉末ソース等を焦げにくくする効果を奏する食用油脂組成物、及び該食用油脂組成物含有食品を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、グリセリンモノ脂肪酸エステルと、有機酸モノグリセライドとをそれぞれ一定量含有する油脂が上記の課題を解決することを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、次の(1)〜(8)からなっている。
(1)グリセリンモノ脂肪酸エステルを0.1〜1.5質量%、有機酸モノグリセライドを0.1〜1.2質量%含有することを特徴とする食用油脂組成物。
(2)さらに、ソルビタン脂肪酸エステルを0.01〜0.09質量%含有する、(1)記載の食用油脂組成物。
(3)前記グリセリンモノ脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の50質量%以上が不飽和脂肪酸である、(1)または(2)に記載の食用油脂組成物。
(4)前記有機酸モノグリセライドを構成する有機酸がクエン酸である、(1)〜(3)のいずれかに記載の食用油脂組成物。
(5)さらにポリグリセリン脂肪酸エステルを0.01〜0.3質量%含有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の食用油脂組成物。
(6)スプレー用途で使用される、(1)〜(5)のいずれかに記載の食用油脂組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の食用油脂組成物でコーティングされた、ことを特徴とする食用油脂組成物含有食品。
本発明によれば、澱粉含量の多い食品にコーティングされることで、そのほぐれ性を向上させ、かつ、乳化剤分離を起こりにくくする食用油脂組成物、及び該食用油脂組成物含有食品を提供することが可能である。また、本発明によれば、粉末ソース等を併用する際において、当該粉末ソース等を焦げにくくする効果を奏する食用油脂組成物、及び該食用油脂組成物含有食品を提供することが可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の食用油脂組成物は、グリセリンモノ脂肪酸エステルを0.1〜1.5質量%、有機酸モノグリセライドを0.1〜1.2質量%含有する。グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量を上記範囲内とすることで、粉末ソース等を使用する場合においても焦げ付きにくくすることができ、また、沈殿が発生しにくい、という利点がある。一方、有機酸モノグリセライドの含有量を上記範囲内とすることで、スプレーされた食品のほぐれ性を改善することができ、また、沈殿の発生を抑制することができる。
グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は、0.2〜1.0質量%がより好ましく、0.2〜0.7質量%がさらに好ましい。
有機酸モノグリセライドの含有量は、0.2〜0.5質量%がより好ましい。
なお、本発明の食用油脂組成物は、通常の食用油とブレンドして製造される。通常の食用油量は、食用油脂組成物中95〜99.8質量%であることが好ましく、97.2〜99.8質量%がより好ましい。更に好ましくは、98.8〜99.7質量%である。通常の食用油は、一般に食用として使用される動植物油脂及びその水素添加油、分別油、エステル交換油などを単独あるいは組み合わせて用いることができる。食用油の精製の程度は、特に限定するものではないが、ブレンド後に脱酸、脱色、脱臭などの精製を行うとグリセリンモノ脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステルが、除去・分解されることもあるので、ブレンド後はろ過以外を行わないことが好ましい。また、動植物油脂としては、例えば、大豆油、なたね油、ハイオレイックなたね油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、オリーブ油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、コーン油、綿実油、米油、牛脂、乳脂、魚油、ヤシ油、パーム油、パーム核油などが挙げられる。室温で固形化するものは、使用時に加熱により溶解させる必要があるので、液状油の使用が好ましい。
本発明において、グリセリンモノ脂肪酸エステル及び有機酸モノグリセライドの他に、ソルビタン脂肪酸エステルを0.01〜0.09質量%含有させることで、さらにほぐれ性の改善を図ることができる。ソルビタン脂肪酸エステル含有量は、0.01〜0.08質量%がより好ましく、0.01〜0.03質量%がさらに好ましい。
本発明に用いられるグリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、構成する脂肪酸に不飽和脂肪酸が多いものが、低温で液状であることから好ましく使用できる。特に好ましいのは、構成する脂肪酸の50質量%以上が不飽和脂肪酸であり、60質量%以上のものがより好ましく、80質量%以上のものがさらに好ましい。なお、構成する不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが好ましい。具体的には、同不飽和脂肪酸の多い、サフラワー油の脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセリンモノ脂肪酸エステルを好適に使用できる。
本発明に用いられる有機酸モノグリセライドを構成する有機酸としては、特に限定されるものではないが、クエン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、酪酸等を好適に使用できる。特にクエン酸の使用が、高いほぐれ性効果が見られるため好ましい。
本発明に用いられるソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノ脂肪酸エステルが好ましい。また、ソルビタン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸の他、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸を用いることができる。特に好ましくは、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタンである。
本発明の、食用油脂組成物は、組成物中の水分量を抑えることで乳化剤の分離を抑えることができる。通常、製造時は原料由来の水分により50〜500ppmの水分量となるが、本発明はこの範囲での沈殿を抑えることができる。また、水分量増加を抑制するために、湿度の低い金属やガラス素材の密閉容器中に保管することが好ましい。
本発明の食用油脂組成物は食品に用いられるものであるが、当該食品としては、特に限定するものではないが、炒飯、焼そば、餃子、パスタなどが挙げられる。食用油脂組成物は、これらの食品に「蒸す」・「茹でる」等の加熱処理を施した後に、コーティングして用いることが好ましい。また、コーティングの方法としては、スプレーする方法、添加して混合してコーティングする方法があるが、スプレーする方法が好ましい。即ち、本発明の食用油脂組成物は、スプレー用途であることが好ましい。
また、本発明の食用油脂組成物含有食品は、上記本発明の食用油脂組成物が原料たる食品にコーティングされたものであることを特徴とする。該食品における食用油脂組成物の使用量は、特に限定するものではないが、食用油脂組成物添加前の食品の重量に対して0.1〜5質量%であることが好ましく、また、0.5〜3質量%であることがより好ましい。
また、本発明において、耐沈殿性を高めるために、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することが好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、結晶抑制作用を有し、油脂の結晶抑制剤として使用されているものを用いることができる。このような結晶抑制剤として使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、特に限定するものではないが、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸から選ばれる脂肪酸を構成脂肪酸の主成分とするもので、流通しているものを用いることができる。添加量は、0.01〜0.3質量%が好ましく、0.02〜0.15質量%がより好ましい。
また、本発明において、食用油脂組成物中には、本発明の効果を損ねない程度に、その他の成分を加えることができる。その他の成分とは、例えば、一般的な油脂に用いられる成分(食品添加物など)である。これらの成分としては、例えば、酸化防止剤、結晶調整剤、食感改良剤等が挙げられ、脱臭後から充填前に添加されることが好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、アスコルビン酸類、フラボン誘導体、コウジ酸、没食子酸誘導体、カテキンおよびそのエステル、フキ酸、ゴシポール、セサモール、テルペン類等が挙げられる。その他の乳化剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート、ポリグリセリン縮合リシノレート、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、ワックス類、ステロールエステル類等が挙げられる。着色成分としては、例えば、カロテン、アスタキサンチン等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されるものではない。
〔実施例1〜6、比較例1〜3〕
精製なたね油(日清オイリオグループ株式会社製)と、グリセリンモノ脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステルを、表1に示す配合(質量%)で溶解させ、油脂組成物を得た。なお、表1中のグリセリンモノ脂肪酸エステルの( )括弧内に、グリセリンモノ脂肪酸エステルの正味の含有量を示した。同油脂のほぐれ性・粉末ソースの焦げ付きの評価、及び耐沈澱性を評価した。結果を表1に示す。
<ほぐれ性・粉末ソースの焦げ付きの評価>
市販の生麺(「蒸し焼きそば」 東洋水産株式会社製)を3分30秒茹で、水で冷却した後、水を分離した。油脂組成物を麺に対して3質量%スプレーして塗布してサンプル麺を得た。24時間5℃にて冷蔵し、サンプル麺をほぐし、ほぐれ性を比較した。
さらに、フライパンに日清サラダ油を5g入れ、強火で加熱した後、サンプル麺130gを入れ、水50gを加えた。水がなくなったところで、「蒸し焼きそば」(東洋水産株式会社製)に添付されていた粉末ソースを加え、混ぜながら炒めた。粉末ソースの焦げ付きを比較した。
ほぐれ性の評価基準は以下の通りである。
ほぐれ性 :◎ 麺のほぐれ性が良く、わずかな塊しか残らない
○ 麺のほぐれ性が良いが、やや塊が残る
△ 麺のほぐれ性は、あまり改善がみられない。
× 麺のほぐれ性は、全く改善されていない
また、焦げ付きの評価基準は以下の通りである。
焦げ付き :◎ 粉末ソースの焦げ付きがみられない。
○ 粉末ソースの焦げ付きが若干みられるが、問題ない程度。
× 粉末ソースの焦げ付きが目立つ。
<耐沈澱性>
油脂組成物90gを100mlビーカーに入れ、5℃、1週間保存して、乳化剤成分(グリセリンモノ脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド及びソルビタン脂肪酸エステル)の溶解状態を確認した。
耐沈殿性の評価基準は以下の通りである。
耐沈澱性 :◎ 白濁がなく、清澄である。
○ わずかに白濁している。
△ ごくわずかに沈殿がある。
× 沈殿がある。
※1 ポエムOL−200V:反応モノグリセライド(オレイン酸約80%)、モノエステル含量約50%、HLB3.1、理研ビタミン(株)製
※2 サンソフトNo.8070V:オレイン酸モノグリセライド、モノエステル含量約90%、HLB4.0、太陽化学(株)製
※3 サンソフトNo.623M:クエン酸モノオレイン酸グリセリン、HLB7.1、太陽化学(株)製
※4 サンソフトNo.81S: モノオレイン酸ソルビタン、HLB5.1、太陽化学(株)製
※5 エマゾールL−10V:モノラウリン酸ソルビタン、HLB8.6、花王(株)製
表1の結果によると、実施例1〜6の油脂組成物は、比較例1〜3と比してほぐれ性が良好であり、さらに、油脂組成物中に沈澱が生じ難いことが分かった。また、実施例1〜6の油脂組成物は、粉末ソースの焦げ付きを良好に抑制し得ることが分かった。
〔実施例7〜8〕
精製なたね油(日清オイリオグループ株式会社製)と、グリセリンモノ脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステルを、表2に示す配合(質量%)で溶解させ、油脂組成物を得た。なお、表2中のグリセリンモノ脂肪酸エステルの( )括弧内に、グリセリンモノ脂肪酸エステルの正味の含有量を示した。同油脂のほぐれ性・粉末ソースの焦げ付きの評価、及び耐沈澱性を評価した。結果を表2に示す。
※6 エマルジーMU:サフラワー油脂肪酸の脂肪酸モノグリセライド、モノエステル含量約93%以上(ヨウ素価 約114)、HLB4.2、理研ビタミン(株)製
※7 サンソフトQMP−5: 結晶抑制剤、太陽化学(株)製
表2の結果によると、実施例7の油脂組成物は、実施例1に比べて、耐沈殿性がより良好になり、実施例8の油脂組成物は、さらにほぐれ性もより良好になっていることが分かった。
本発明の食用油脂組成物は、ほぐれ性改善を要する食品製造の分野において、特にほぐれ性改善用組成物として利用することが可能である。また、その他の油脂の添加を要する全ての食品の製造においても利用可能である。

Claims (7)

  1. グリセリンモノ脂肪酸エステルを0.1〜1.5質量%、有機酸モノグリセライドを0.1〜1.2質量%含有することを特徴とする食用油脂組成物。
  2. さらに、ソルビタン脂肪酸エステルを0.01〜0.09質量%含有する、請求項1記載の食用油脂組成物。
  3. 前記グリセリンモノ脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の50質量%以上が不飽和脂肪酸である、請求項1または2に記載の食用油脂組成物。
  4. 前記有機酸モノグリセライドを構成する有機酸がクエン酸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の食用油脂組成物。
  5. さらにポリグリセリン脂肪酸エステルを0.01〜0.3質量%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の食用油脂組成物。
  6. スプレー用途で使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の食用油脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の食用油脂組成物でコーティングされた、ことを特徴とする食用油脂組成物含有食品。
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