JP2013224574A5 - - Google Patents
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Description
本願発明は、天井下地構造に関し、さらに詳しくは耐震性能を高めた天井下地構造に関するものである。
従来型の天井下地構造としては、野縁と該野縁と直交する野縁受けとからなり、建物の構造体から吊りボルトで吊り下げて支持され、隣り合う吊りボルト同士をブレース材(筋交い状の部材)で連結することにより、耐震性を強化しているものがある(例えば、特許文献1参照) 。
ところで、上記特許文献1に開示されている天井下地構造の場合、野縁に対して天井仕上げボードが専用のビスで取り付けられることとなっている。また、天井には、照明器具や空調機器等が建物の構造体から吊りボルト等で吊り下げられ、天井開口部に天井仕上げボード面と同じ高さで取り付けられており、建物の竣工後、通常は作業員が天井点検口から天井裏を覗いて照明器具や空調機器等の点検・修理を行うこととなっているが、劇場・ホールや体育館、工場等のように、天井に沢山の照明器具・空調機器等がある場合には、天井裏に人が歩けるぐらいの高さを取って、キャットウォークという点検・修理専用の狭い通路を設けることとなっている。但し、キャットウォークは、全ての天井面を網羅出来るように設置されているわけではないので、やむを得ず従来型の天井下地材の上を作業員が歩いて点検・修理を行っている場合がある。従来型の天井下地材は、人が野縁の上に乗れるような耐荷重構造となっていないので、吊りボルトと野縁あるいは野縁受けとを結合しているハンガーという金具が開いたり、野縁受けが倒れたりして、天井面がガタガタになったり、最悪の場合には、天井下地材と天井仕上げボードが落下してしまうという事故が発生するおそれがある。
そこで、複数の人が乗っても大丈夫なように、予め角形鋼を建物の構造体から吊り下げて、一定間隔に並べたぶどう棚という吊天井構造が採用されている。このようなぶどう棚構造にすると、角型鋼の上を作業員が歩くことができるようになり、点検・修理作業も楽になる。
ところが、このような吊天井構造であっても、地震発生時の激しい揺れに対する耐振性が問題となる。
このような耐震性の問題に対処するために、上記特許文献1にも示されているように、上記天井下地部分を建物の構造体から吊り下げて支持している複数本の吊りボルトの内の、隣り合う吊りボルト同士をブレース材(筋交い状の部材)で連結することにより、耐振性を強化することが考えられる。
しかし、上記特許文献1に開示されているものでは、ブレース材として、断面C型形状の溝形鋼(チャンネル鋼材)が用いられているため、地震発生時の揺れに対する強度が十分でなく、耐震性の強化には限界があった。また、ブレース材と吊りボルトとの結合部分の構造によっては、十分な耐振性強化が得られない。
さらに、上記したぶどう棚形式の吊り天井構造において、天井のふところが深い場合、使用される吊りボルトの長さには限界があるし、斜め補強部材の長さも長くなって圧縮による座屈を起こし易くなる。
そのため、一定のレベル以上の地震による横揺れ又は上下動に対応できるようにするためには、吊りボルト部分を何らかの方法で補強することが必要になり、また多くの本数のブレース材を設置する必要が生じる。
本願発明は、上記のような課題を解決するために行われたものであり、天井下地材上を作業員が歩いて点検・修理を行うことができる十分な吊り強度を有するとともに、天井のふところが深い場合にも、十分な耐震強度を発揮することができる強度の高い天井下地構造を提供することを目的としてなされたものである。
(1)第1の課題解決手段
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、所定の間隔で平行に並ぶ多数の金属製角形筒(1)と該金属製角形筒(1)に直交して所定の間隔で平行に並ぶ多数の金属製部材(2)とからなり、前記金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)を複数の吊りボルト(3)を用いて建物の構造物(26)に吊り下げて支持するようにした天井下地構造であって、前記複数の吊りボルト(3)のボルト軸外周に金属製の補強筒(40)を設けて補強すると共に、それら複数の補強筒(40)の内の隣り合う補強筒(40)間に、さらに金属製角形筒からなる斜め補強部材(20)を設けて補強している。
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、所定の間隔で平行に並ぶ多数の金属製角形筒(1)と該金属製角形筒(1)に直交して所定の間隔で平行に並ぶ多数の金属製部材(2)とからなり、前記金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)を複数の吊りボルト(3)を用いて建物の構造物(26)に吊り下げて支持するようにした天井下地構造であって、前記複数の吊りボルト(3)のボルト軸外周に金属製の補強筒(40)を設けて補強すると共に、それら複数の補強筒(40)の内の隣り合う補強筒(40)間に、さらに金属製角形筒からなる斜め補強部材(20)を設けて補強している。
このような構成の場合、天井部が、溝形鋼などに比べて強度が高い多数の金属製角形筒(1)と該金属製角形筒(1)に直交して平行に並ぶ多数の金属製部材(2)により構成されて強度が向上するとともに、さらに、そのような強度の高い天井部を吊り下げる吊りボルト(3)のボルト軸部分が、その外周に設けられた金属製の補強筒(40)によって閉断面、かつ2軸構造の高強度な吊り下げ部材に構成されて、吊り下げ強度が大きく向上する。
これらの結果、天井部の金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)の上を作業員が安心して歩くことができるようになる。
また、天井のふところが深い場合であっても、吊りボルト(3)を安心して使用することができる。
一方、その上で、複数の吊りボルト(3)のボルト軸部分を補強している複数の補強筒(40)の内の隣り合う補強筒(40)間に、さらに金属製角形筒からなる斜め補強部材(20)を設けて補強している。
金属製角形筒は、溝形鋼などに比べて、捩れおよび軸方向、軸直交方向に対する強度が高い。したがって、斜め補強部材(20)を金属製角形筒で構成し、吊りボルト(3)のボルト軸を補強している複数の補強筒(40)の内の隣り合う補強筒(40)間に設けて補強すると、激震にも耐え得る耐震性能に優れた天井下地構造となる。
しかも、以上の構成の場合、天井部を構成する金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)と建物の構造物(26)との間に、前記金属製角形筒(40)で補強された高強度の吊りボルト(3)が介設されることになる。そのため、地震発生時の上下動の揺れに対しても、有効な耐震性能を発揮する。
(2)第2の課題解決手段
本願発明では、上記課題を解決するための第2の手段として、所定の間隔で平行に並ぶ多数の金属製角形筒(1)と該金属製角形筒(1)に直交して所定の間隔で平行に並ぶ多数の金属製部材(2)とからなり、前記金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)を複数の吊りボルト(3)を用いて建物の構造物(26)に吊り下げて支持するようにした天井下地構造であって、前記複数の吊りボルト(3)のボルト軸外周に金属製の補強筒(40)を設けて補強すると共に、該複数の補強筒(40)と前記金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)との間に金属製角形筒からなる斜め補強部材(20´)を設けて補強し、また前記複数の補強筒(40)の内の隣り合う補強筒(40)間に、金属製角形筒からなる斜め補強部材(20)を設けて補強している。
本願発明では、上記課題を解決するための第2の手段として、所定の間隔で平行に並ぶ多数の金属製角形筒(1)と該金属製角形筒(1)に直交して所定の間隔で平行に並ぶ多数の金属製部材(2)とからなり、前記金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)を複数の吊りボルト(3)を用いて建物の構造物(26)に吊り下げて支持するようにした天井下地構造であって、前記複数の吊りボルト(3)のボルト軸外周に金属製の補強筒(40)を設けて補強すると共に、該複数の補強筒(40)と前記金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)との間に金属製角形筒からなる斜め補強部材(20´)を設けて補強し、また前記複数の補強筒(40)の内の隣り合う補強筒(40)間に、金属製角形筒からなる斜め補強部材(20)を設けて補強している。
このような構成の場合、天井部が、溝形鋼などに比べて強度が高い多数の金属製角形筒(1)と該金属製角形筒(1)に直交して平行に並ぶ多数の金属製部材(2)により構成されて強度が向上するとともに、さらに、そのような強度の高い天井部を吊り下げる吊りボルト(3)のボルト軸部分が、その外周に設けられた金属製の補強筒(40)によって閉断面、かつ2軸構造の高強度な吊り下げ部材に構成されて、吊り下げ強度が大きく向上する。
これらの結果、天井部の金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)の上を作業員が安心して歩くことができるようになる。
また、天井のふところが深い場合であっても、吊りボルト(3)を安心して使用することができる。
一方、その上で、前記複数の補強筒(40)と前記金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)との間に金属製角形筒からなる斜め補強部材(20´)を設けて補強し、さらに、前記複数の吊りボルト(3)のボルト軸部分を補強している複数の補強筒(40)の内の隣り合う補強筒(40)間に、金属製角形筒からなる斜め補強部材(20)を設けて補強している。
金属製角形筒は、溝形鋼などに比べて、捩れおよび軸方向、軸直交方向に対する強度が高い。したがって、前記複数の補強筒(40)と前記金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)との間に設けられる斜め補強部材(20´)を金属製角形筒で構成し、前記複数の補強筒(40)と前記金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)との間を補強し、また、前記複数の補強筒(40)の内の隣り合う補強筒(40)間を補強する斜め補強部材(20)を金属製角形筒で構成し、前記複数の補強筒(40)の内の隣り合う補強筒(40)間を補強すると、より天井下地部分の対荷重強度が向上するとともに、より耐震性能に優れた天井下地構造となる。
しかも、以上の構成の場合、天井部を構成する金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)と建物の構造物(26)との間に、前記金属製角形筒(40)で補強された高強度の吊りボルト(3)が介設されることになる。そのため、地震発生時の上下動の揺れに対しても、より有効な耐震性能を発揮する。
(3)第3の課題解決手段
本願発明では、前記課題を解決するための第3の手段として、前記第1又は第2の手段を備えた天井下地構造において、前記斜め補強部材(20)を、水平な補強部材(50)を介して上下多段に設けている。
本願発明では、前記課題を解決するための第3の手段として、前記第1又は第2の手段を備えた天井下地構造において、前記斜め補強部材(20)を、水平な補強部材(50)を介して上下多段に設けている。
このように構成した場合、いわゆる2段ブレース構造を実現することができるようになり、天井のふところが深い場合にも、より安定した天井下地構造とすることができる。
(4)第4の課題解決手段
本願発明では、さらに、前記課題を解決するための第4の手段として、前記第1、第2又は第3の課題解決手段を備えた天井下地構造において、前記補強筒(40)を、所定の長さの角形筒により構成するとともに、その上下両端部分をキャップ状金具(41)により補強している。
本願発明では、さらに、前記課題を解決するための第4の手段として、前記第1、第2又は第3の課題解決手段を備えた天井下地構造において、前記補強筒(40)を、所定の長さの角形筒により構成するとともに、その上下両端部分をキャップ状金具(41)により補強している。
このように、前記第1、第2又は第3の課題解決手段の構成における補強筒(40)を所定の長さの角形筒により構成した場合、補強筒(40)が閉断面構造となり、その強度が高いものとなる。その結果、吊りボルト(3)のボルト軸に対する補強強度も高いものとなる。
そして、その上で、さらに同角形の補強筒(40)の上下両端部分をキャップ状金具(41)によって補強した場合、開放面である角形筒の開口端部が閉じられ、かつキャップ状金具(41)によって補強されるので、さらに補強筒(40)の強度が向上する。
その結果、さらに吊りボルト(3)のボルト軸を補強する補強作用がアップし、特に天井のふところが深い天井下地構造の場合においても、より有効に吊りボルト(3)の吊り強度を維持することができるようになり、一層耐震性能に優れたものとなる。
以上の結果、本願発明によると、天井下地材上を作業員が歩いて点検・修理を行うことができる十分な吊り強度を有するとともに、耐震性が高く、特に天井のふところが深い場合にも、十分な耐震強度を発揮することができる強度の高い天井下地構造を提供することが可能となる。
以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかの実施の形態について説明する。
第1の実施の形態
図2ないし図15には、本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造が示されている。
図2ないし図15には、本願発明の第1の実施の形態にかかる天井下地構造が示されている。
本願発明の実施の形態にかかるぶどう棚形式の天井下地構造は、図1に示すように、所定間隔で平行に並ぶ多数の中空な金属製角形筒1,1・・と該金属製角形筒1,1・・の下側において該金属製角形筒1,1・・に直交して所定間隔で平行に並ぶ多数の中空な金属製角形筒からなる金属製部材2,2・・とからなり、前記金属製角形筒1,1・・のうちの選ばれたものを吊りボルト3, 3・・を用いて建物の構造物(例えば、天井裏のコンクリート壁26)から吊り下げるように構成されている。符号4は前記金属製角形筒1,1・・の端部を支持する断面コ字状の支持部材、5は前記金属製部材2,2・・の下面に取り付けられた天井板である。
そして、本実施の形態にかかる天井下地構造においては、図2に示すように、前記金属製角形筒1と前記建物の構造物26との間には、前記各吊りボルト3の外周を覆う中空な金属製角形筒からなる補強筒40が架設されており、隣り合う補強筒40,40間には、中空な金属製角形筒からなる斜め補強部材20が上下方向に多段に介設されている。
次に、図3〜図6を参照して、前記吊りボルト3および補強筒40の上端部と前記コンクリート壁26との結合構造について説明する。
前記補強筒40の上端部には、断面コの字形の一対の金具41a,41bを組み合わせて構成されたキャップ状金具41(図5参照)が下向きに被嵌された状態で前記金具41a,41bの垂直片41a1,41b1を前記補強筒40の側面に対してビス42を用いて取り付けられている。該キャップ状金具41における中心部には、吊りボルト3の上端部が挿通されるバカ穴43が形成されており、前記吊りボルト3の上端部は、前記コンクリート壁26に埋め込まれた螺着金具44に対して螺着固定されている。符号45はキャップ状金具41を構成する下側の金具41bにおけるバカ穴43に溶着されたナットである。該ナット45は、外側から螺着操作できる場合には溶着する必要はない。なお、金具41a,41bの合わせ目を溶接により一体化してもよい。
次いで、前記キャップ状金具41の変形例1〜3について、図7〜図9を参照して説明する。
(イ) 変形例1
この場合、図7に示すように、前記キャップ状金具41のバカ穴43をネジ穴43′に変更している。このようにすると、ナット45を省略することが可能となる。
(ロ) 変形例2
この場合、図8に示すように、前記キャップ状金具41は、放射状に突出した4辺41c,41c,41c,41cを直角に屈曲して形成された箱状体により構成されている。なお、4辺41c,41c,41c,41cの合わせ目を溶接することにより一体化してもよい。
(ハ) 変形例3
この場合、図9に示すように、前記キャップ状金具41は、所定寸法の金属製の升形状の部材により構成されている。
(イ) 変形例1
この場合、図7に示すように、前記キャップ状金具41のバカ穴43をネジ穴43′に変更している。このようにすると、ナット45を省略することが可能となる。
(ロ) 変形例2
この場合、図8に示すように、前記キャップ状金具41は、放射状に突出した4辺41c,41c,41c,41cを直角に屈曲して形成された箱状体により構成されている。なお、4辺41c,41c,41c,41cの合わせ目を溶接することにより一体化してもよい。
(ハ) 変形例3
この場合、図9に示すように、前記キャップ状金具41は、所定寸法の金属製の升形状の部材により構成されている。
前記斜め補強部材20の両端部と前記補強筒40との間には、図4(イ)に示すように、該斜め補強部材20の端部における相対向する二面を抱持した状態でビス21b,21b・・で取り付けられる一対の抱持片21a,21a備えた取付手段21Aと前記金属製角形筒1に対して結合される結合手段21Bとを備えた固定金具21が介設されている。
この場合、前記取付手段21Aは、前記した一対の抱持片21a,21aと、該抱持片21a,21aの端部に一体に形成されたL字状連結片21c,21cとからなっている。 一方、固定金具21における結合手段21Bは、前記補強筒40を抱持した状態でビス21iにより固定された一対の断面コ字状部材21d,21dからなっており、該断面コ字状部材21d,21dの両端からそれぞれ延設された延設部21e,21e,21e,21eをボルト21f,21fによりそれぞれ結合して構成されている。そして、前記延設部21e,21e,21e,21eの一方側の間には、前記L字状連結片21c,21cが挟持され状態で前記ボルト21fにより締め付け固定されている。
このようにすると、L字状連結片21c,21cの取付状態が安定するとともに、斜め補強部材20の取付角度を自在に変更することが可能となる。なお、本実施の形態においては、前記L字状連結片21c,21cが挟持されている延設部21e,21eが変形して開くのを防止するために、図4(ロ)に示す断面コ字状の補強具21gが前記延設部21e,21eを挟み付けるようにボルト21hを用いて取り付けられている。
このようにすると、延設部21e,21eの変形を防止することができ、L字状連結片21c,21cの取付状態がより一層安定する。符号21jは抱持片21a,21aを補強する補強板である。
ところで、この実施の形態においては、前記延設部21e,21eが変形して開くのを防止するために、断面コ字状の補強具21gが前記延設部21e,21eを挟み付けるようにボルト21hを用いて取り付けられているが、補強具21gを省略して、延設部21e,21eを二本のボルト21h,21hで締め付けることにより、延設部21e,21eの変形を防止するようにすることもできる。
本実施の形態の場合、ふところが深い天井(即ち、コンクリート壁26と天井との間の距離が大きい天井)であり、1本の補強筒40では支持力が不足するおそれがあるので、2本の補強筒40,40を連結することとなっている。
即ち、図10に示すように、上下の補強筒40,40の開口部には、それぞれキャップ状金具41,41を取り付け、これらのキャップ状金具41,41におけるナット45,45に吊りボルト3を螺合することにより、2本の補強筒40,40が連結されている。
なお、天井のふところが深い場合には、吊りボルト3の長さに限界があるところから、2本の吊りボルト3,3を繋ぐ必要が生ずる。そこで、図11に示すように、一方のキャップ状金具41に寸法の長い縦長ナット45′を溶着し、該縦長ナット45′の中で吊りボルト3,3を突き合わせることにより繋ぐようにすることもできる。
ところで、前記隣り合う補強筒40,40間には、図12に示すように、前記斜め補強部材20の直下位置において水平な補強部材50が取付金具51を介して介設されている。本実施の形態においては、前記補強部材50は、金属製角形筒からなっており、前記取付金具51は、図13に示すように、前記補強部材50の下面と両側面とを覆う断面コ字状の第1取付金具51aと、該第1取付金具51aの底面端部から垂直に延設された第2取付金具51bとからなっており、前記第1取付金具51aの両側面を前記補強部材50の両側面に対してビス52を用いて固着し、且つ前記第1取付金具51aの両側面端部から延設された延設部51a1,51a1を前記補強筒40の両側面にビス52を用いて固着するとともに、前記第2取付金具51bを前記補強筒40の側面にビス52を用いて固着することにより、補強筒40,40間に補強部材50が架設固定されることとなっている。 このようにすると、天井のふところが深い構造のものであっても、補強筒40,40間の間隔を保持することができることとなり、地震発生時の横揺れに十分対応することができる。符号53はビス穴である。
次に、前記補強筒40の下端と前記金属製角形筒1との結合構造について、図14および図15を参照して説明する。
前記補強筒40の下端には、前記したキャップ状金具41が取り付けられており、該キャップ状金具41が前記金属製角形筒1に取り付けられた支持金具60を介して前記金属製角形筒1に取り付けられることとなっている。前記支持金具60は、前記金属製角形筒1の下面と該下面に連続する両側面とに外側から当接される断面コ字状の第1支持金具61と、該第1支持金具61の上端開放部分に対して外側から被嵌固定される断面コ字状の第2支持金具62とからなっており、該第2支持金具62を前記吊りボルト3の下端部にナット63により取り付けることにより、補強筒40の下端と金属製角形筒1とが連結されることとなっている。
符号64は前記第1支持金具61と金属製角形筒1とを結合するビス、65は前記第1支持金具61と前記第2支持金具62とを結合するボルト、66は第2支持金具62の上端内部に配設される補強板である。
上記のように構成したことにより、本実施の形態においては、天井部が、溝形鋼などに比べて強度が高い多数の金属製角形筒1と該金属製角形筒1に直交して平行に並ぶ多数の金属製部材2により構成されて強度が向上するとともに、さらに、そのような強度の高い天井部を吊り下げる吊りボルト3のボルト軸部分が、その外周に設けられた金属製の補強筒40によって閉断面、かつ2軸構造の高強度な吊り下げ部材に構成されて、吊り下げ強度が大きく向上する。
その結果、金属製角形筒1あるいは金属製部材2の上を作業員が安心して歩くことができるようになる。
また、天井のふところが深い場合であっても、吊りボルト3を安心して使用することができる。
一方、その上で、複数の吊りボルト3のボルト軸部分を補強している複数の補強筒40の内の隣り合う補強筒40間に、さらに金属製角形筒からなる斜め補強部材20を設けて補強している。
金属製角形筒は、溝形鋼などに比べて、捩れおよび軸方向、軸直交方向に対する強度が高い。したがって、斜め補強部材20をそのような強度の高い金属製角形筒で構成し、吊りボルト3のボルト軸を補強している複数の補強筒40の内の隣り合う補強筒40間に設けて補強すると、激震にも耐え得る耐震性能に優れた天井下地構造となる。
しかも、以上の構成の場合、天井部を構成する金属製角形筒1又は金属製部材2と建物の構造物26との間に、前記金属製角形筒40で補強された高強度の吊りボルト3が介設され、前記金属製角形筒1あるいは前記金属製部材2と建物の構造物26との間に、前記各吊りボルト3の外周を覆う中空な金属製角形筒からなる補強筒40が架設されることになる。
そのため、天井のふところが深い場合であっても、地震発生時の上下動の揺れに対して、より有効な耐震性能を発揮する。
また、隣り合う補強筒40,40間に、中空な金属製角形筒からなる斜め補強部材20を上下方向に多段に介設しているので、天井のふところが深い場合にも十分対応することができる。
第2の実施の形態
図16には、本願発明の第2の実施の形態にかかる天井下地構造における斜め補強部材の下端部と金属製角形筒との結合構造が示されている。
図16には、本願発明の第2の実施の形態にかかる天井下地構造における斜め補強部材の下端部と金属製角形筒との結合構造が示されている。
この場合、補強筒40と金属製角形筒1との間には、中空な金属製角形筒からなる斜め補強部材20′が介設されている。
前記斜め補強部材20′の下端部と前記金属製角形筒1との間には、該斜め補強部材20′の下端部における相対向する二面を抱持した状態でビス21b′,21b′・・で取り付けられる一対の抱持片21a′,21a′を備えた取付手段21A′と前記金属製角形筒1に対して結合される結合手段21B′とを備えた固定金具21′が介設されている。 この場合、前記取付手段21A′は、前記抱持片21a′,21a′と該抱持片21a′,21a′の下端間を一体に連結する連結片21c′により一体に連結される一方、前記結合手段21B′は、前記金属製角形筒1おける相対向する二面を抱持した状態でビス21d′,21d′・・で取り付けられる一対の抱持片21e′,21e′と該抱持片21e′,21e′の上端間を一体に連結する連結片21f′とからなっており、前記連結片21c′と前記連結片21f′とはボルト21g′で結合されている。
このようにすると、斜め補強部材20′の下端部と金属製角形筒1との結合強度が大幅に強化されることとなり、取付が簡単になるとともに、より一層耐震性能に優れたものとなる。
その他の構成および作用効果は、前述の第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第3の実施の形態
図17ないし図19には、本願発明の第3の実施の形態にかかる天井下地構造が示されている。
図17ないし図19には、本願発明の第3の実施の形態にかかる天井下地構造が示されている。
この場合、天井下地構造は、図17に示すように、所定間隔で平行に並ぶ多数の中空な金属製角形筒1,1・・と該金属製角形筒1,1・・に直交して所定間隔で平行に並ぶ多数の金属製角形筒からなる金属製部材2,2・・とからなっており、前記金属製角形筒1,1・・あるいは金属製部材2,2・・を吊りボルト3, 3・・を用いて建物の構造物26から吊り下げるように構成されている。
そして、斜め補強部材20′,20′の下部と金属製部材2との連結構造および斜め補強部材20′,20′の上部と吊りボルト3あるいは建物の構造物26との連結構造は、上記実施の形態1,2におけると同様である。
次に、前記金属製部材2の両端と金属製角形筒1の側面との結合構造について説明する。
金属製部材2は、金属製角形筒からなっており、その両端と金属製角形筒1の側面とは、固定金具27′を介して結合されている。該固定金具27′は、前記金属製角形筒1の側面に対してネジ28′により固着される基部27a′と、該基部27a′の両側端から同方向に直角に屈曲延設され、前記金属製角形筒2の相対向する2側面にネジ29′,29′・・により固着される一対の抱持部27b′,27b′とによって構成されており、該両抱持部27b′,27b′の一端側における略上半分部分には、前記金属製部材2を位置決めする位置決め用突片27c′,27c′が直角に屈曲されて一体に形成されている。
さらに、前記抱持部27b′,27b′における前記基部27a′側端部の一部(即ち、中央部)を該基部27a′と連続するように切り起こして前記金属製角形筒1にネジ28′により固着される支持部27d′,27d′が設けられている。符号30′は支持部27d′を切り起こした跡に形成される開口部、31′は開口部30′の両側に形成された補強用ビードである。
さらにまた、前記支持部27d′,27d′と前記基部27a′とに跨がって連続する補強用ビード32′が形成されている。該補強用ビード32′の頂面32a′は平面とされており、前該頂面32a′には、前記ネジ28′を螺着するためのネジ穴が所定間隔で形成されている。
ところで、上記固定金具27′と金属製角形筒1との取付強度を強化する必要があるところから、金属製角形筒1における金属製部材2の両端が突き合わせる部分には、補強板33′が取り付けられる。
この補強板33′としては、金属製角形筒1における上面1aおよび側面1bに対して被嵌される水平部33a′および垂直部33b′を有する断面L字状の鋼板製の板材が採用されている。この補強板33′の水平部33a′の端部には、前記金属製角形筒1の反対側の側面1cの上端部に対して引っかけられるリブ33c′が一体に延設されている。要するに、この補強板33′は、金属製角形筒1の上面1aおよび側面1bを覆う形状であればよいのである。符号34′は補強板33′を金属製角形筒1に取り付けるためのネジである。
上記したように、金属製角形筒1における金属製部材2の両端が突き合わせる部分に補強板33′を取り付けることにより、当該部分における鉄板の厚さが2枚板のようになるところから、固定金具27′を取り付けるためのネジ28′の締め付け強度が格段に向上することとなる。従って、地震発生時に揺れが繰り返した場合にも、金属製角形筒1と固定金具27′とを締結しているネジが緩むおそれがなくなり、より一層耐震強度が向上することとなる。
その他の構成および作用効果は、前述の第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
ところで、前記各金属製角形筒1、前記各金属製部材2および前記各斜め補強部材20,20′および前記補強筒40おける補強部材50は、図20に示すように、所定の幅に切断された金属板をその両端がコーナの一点において接するように四角筒状に折曲して構成された中空な金属板四角筒によって構成されている。前記金属板の一方の端部には、前記金属板角形筒の内側に折曲され、さらにその先端部が外側に向かって折山されてなる逆J字状折曲部a が設けられ、前記金属板の他方の端部には、内側に逆U字状折曲部bが設けられており、両者を連続して嵌合圧着せしめて水平方向に連続するコーナ型接続部cとして成形されている。
そして、該コーナ型接続部cにおける逆U宇状折曲部bの基端から内側に向かってコの字状に突出するリブdが水平方向に連続して形成されている。このように構成したことにより、金属製角形筒のいずれの四面を、開口形成部およびボード貼付面として選択することが可能となる。また、コーナ型接続部cの外れをリブdにより防止できるとともに金属製角形筒の剛性強化も図れる。
第4の実施の形態
この場合、天井下地構造は、図21に示すように、所定間隔で平行に並ぶ多数の中空な金属製角形筒1,1・・と該金属製角形筒1,1・・に直交して所定間隔で平行に並ぶ多数の金属製角形筒からなる金属製部材2,2・・とからなっており、前記金属製角形筒1,1・・あるいは金属製部材2,2・・を吊りボルト3, 3・・を用いて建物の構造物であるH鋼26から吊り下げるように構成されている。
この場合、天井下地構造は、図21に示すように、所定間隔で平行に並ぶ多数の中空な金属製角形筒1,1・・と該金属製角形筒1,1・・に直交して所定間隔で平行に並ぶ多数の金属製角形筒からなる金属製部材2,2・・とからなっており、前記金属製角形筒1,1・・あるいは金属製部材2,2・・を吊りボルト3, 3・・を用いて建物の構造物であるH鋼26から吊り下げるように構成されている。
そして、前記吊りボルト3,3・・のうちの選ばれたものには、第1の実施の形態におけると同様に、その外周を覆う中空な金属製角形筒からなる補強筒40が設けられており、図22に示すように、前記補強筒40の上端部は、前記H鋼26の下部水平片26a,26aに対して吊金具55を介して取り付けられている。
前記吊金具55は、前記H鋼26の下部水平片26a,26aの一方に対して取り付けられる第1吊金具55aと、前記H鋼26の下部水平片26a,26aの他方に対して取り付けられる第2吊金具55bとからなっており、第1吊金具55aと第2吊金具55bとは二本のボルト55c,55cを介して連結されている。
前記第1吊金具55aは、図23に示すように、側面にH鋼26の水平片26aを係合させるべき切欠穴56a,56aを有する断面コ字状の吊金具本体56と、相対向する上下側面が変形して開くのを防止するために上下方向から被嵌される断面コ字状の規制部材56b,56cとからなっている。
符号57は規制部材56b,56cを吊金具本体56に取り付けるためのボルト、58は前記ボルト55cを螺着するためのボルト穴、59は前記切欠穴56a,56aに挿入されたH鋼下部水平片26cを固定するためのボルト59aを挿通するためのボルト穴である。なお、前記ボルト59aの上端には、前記H鋼下部水平片26cの下面に当接される円盤状の押さえ板を取り付ける場合もあり、そのようにすると第1吊金具55aの取り付け状態が安定する。
一方、前記第2吊金具55bは、図24に示すように、所定幅の鉄板を四角筒状に屈曲し、端部同士を重ね合わせてなる吊金具本体71と、該吊金具本体71の一方の開口71aを覆うとともに、前記吊金具本体71の上下を結合する断面コ字状のカバー部材72(図25参照)とからなっている。
そして、この第2吊金具55bにおける他方の開口71bを構成する両側面には、前記H鋼26の水平片26aを係合させるべき切欠穴71c,71cが形成されており、該切欠穴71c,71cの上縁には、前記水平片26aが当接されるリブ71dが水平方向に一体に形成されている。符号73はカバー部材72の上下水平片72a,72aに形成された吊りボルト3を螺合するためのボルト穴である。
本実施の形態においては、前記第1吊金具55aの相対向する上下側面が変形して開くのを防止するために断面コ字状の規制部材を上下方向から被嵌しているが、前記第1吊金具55aの相対向する上下側面における上部側面においては断面コ字状の規制部材を下方から被嵌する一方、前記第1吊金具55aの相対向する上下側面における下部側面においては断面コ字状の規制部材を上方から被嵌するようにする場合もあり、断面コ字状の規制部材を前記第1吊金具55aの相対向する上下側面間に装着する場合もあり、第1吊金具55aを構成する部材(例えば、鋼板)の板厚を大きくして、規制部材は下側のみを使用する場合もある。
その他の構成および作用効果は、前述の第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
第5の実施の形態
この場合、図26および図27に示すように、第1の実施の形態における斜め補強部材20と直交する方向にも斜め補強部材20を設けることとしている。このようにすると、地震発生時の横揺れにも縦揺れにも耐えられる耐震強度の大きな天井下地構造が得られる。
この場合、図26および図27に示すように、第1の実施の形態における斜め補強部材20と直交する方向にも斜め補強部材20を設けることとしている。このようにすると、地震発生時の横揺れにも縦揺れにも耐えられる耐震強度の大きな天井下地構造が得られる。
その他の構成および作用効果は、前述の第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
なお、本願発明は、上記各実施の形態において説明したものに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能なことは勿論である。
1は金属製角形筒
2は金属製部材(金属製角形筒またはチャンネル )
3は吊りボルト
20,20′は斜め補強部材
26は建物の構造物(コンクリート壁)
40は補強筒
41はキャップ状金具
50は補強部材
Claims (4)
- 所定の間隔で平行に並ぶ多数の金属製角形筒(1)と該金属製角形筒(1)に直交して所定の間隔で平行に並ぶ多数の金属製部材(2)とからなり、前記金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)を複数の吊りボルト(3)を用いて建物の構造物(26)に吊り下げて支持するようにした天井下地構造であって、前記複数の吊りボルト(3)のボルト軸外周に金属製の補強筒(40)を設けて補強すると共に、それら複数の補強筒(40)の内の隣り合う補強筒(40)間に、さらに金属製角形筒からなる斜め補強部材(20)を設けて補強したことを特徴とする天井下地構造。
- 所定の間隔で平行に並ぶ多数の金属製角形筒(1)と該金属製角形筒(1)に直交して所定の間隔で平行に並ぶ多数の金属製部材(2)とからなり、前記金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)を複数の吊りボルト(3)を用いて建物の構造物(26)に吊り下げて支持するようにした天井下地構造であって、前記複数の吊りボルト(3)のボルト軸外周に金属製の補強筒(40)を設けて補強すると共に、該複数の補強筒(40)と前記金属製角形筒(1)又は金属製部材(2)との間に金属製角形筒からなる斜め補強部材(20´)を設けて補強し、また前記複数の補強筒(40)の内の隣り合う補強筒(40)間に、金属製角形筒からなる斜め補強部材(20)を設けて補強したことを特徴とする天井下地構造。
- 前記斜め補強部材(20)を、水平な補強部材(50)を介して上下多段に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の天井下地構造。
- 前記補強筒(40)は所定の長さの角形筒よりなり、その上下両端部分は、キャップ状金具(41)により補強されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の天井下地構造。
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