JP7075733B2 - 補強構造 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明の補強金物は、建築構造物の躯体に設けられた複数の吊ボルトを備え、建築構造内設置物を吊下して支持する設置物支持体を対象として、前記吊ボルトを補強する補強金物であって、前記吊ボルトの軸方向に延び、前記吊ボルトに接触して沿うように形成された長尺の第1及び第2板部が互いに接合された鋼材と、前記鋼材の上端に設けられ、前記第1及び第2板部との間に前記吊ボルトを挟むように前記第1及び第2板部に固定されたシャフト部材と、を備えていることを特徴とする。
このような構成によれば、補強鋼材の第1及び第2板部を吊ボルトに沿わせることで、吊ボルトを補強することができる。補強鋼材を吊ボルトに沿わせて設置するときには、鋼材の上端において第1及び第2板部を、吊ボルトの上端よりも下方の位置で吊ボルトに接触させた後、第1及び第2板部にシャフト部材を固定し、第1及び第2板部とシャフト部材との間に吊ボルトを挟み込む。これによって、鋼材の上端は、吊ボルトから離間しないように係止される。この状態で、鋼材を上方に移動させると、鋼材の上端は、第1及び第2板部とシャフト部材との間に吊ボルトを挟み込んだまま、吊ボルトに沿って上昇していく。これによって、吊ボルトの上端よりも下方の位置で吊ボルトに係止させた鋼材の上端を、吊ボルトの上端までスライドさせていくことができる。鋼材の上端が吊ボルトの上端に到達したら、鋼材の全体で第1及び第2板部を吊ボルトに沿わせて固定する。このようにして、吊ボルトの上端まで作業者の手が届かなくても、鋼材の取付作業を容易に行うことが可能となる。
このような構成によれば、鋼材の上端において第1及び第2板部とシャフト部材との間に吊ボルトを挟み込んだ状態で、鋼材の下端側が吊ボルトに離間する方向に鋼材を傾斜させると、鋼材の上端において吊ボルトは欠落部に入り込む。すなわち、鋼材は、鋼材の上端における吊ボルトへの干渉を避けつつ、上端に対して下端が吊ボルトから離間する方向に傾斜させることが可能となる。これにより、鋼材を傾斜させた状態であっても、鋼材の上端を吊ボルトに係止させたまま、上方にスライドさせることができ、鋼材の設置作業を容易に行うことができる。
このような構成によれば、固定金物を被固定体に固定するには、固定金物に形成された開口内に被固定体を位置させた後、棒状部材の端部に形成された雄ネジ部を雌ネジ孔に螺着させ、開口の外側から被固定体に向けてねじ込んでいく。すると、棒状部材の端部が開口内に位置する被固定体に突き当たり、被固定体を開口の縁部に向かって押圧する。その結果、被固定体が開口の縁部に接した状態で棒状部材の端部によって押圧され、被固定体が開口の縁部に圧接されて固定される。このようにして、固定金物を、開口内に被固定体を位置させる動作と、棒状部材の雄ネジ部を雌ネジ孔にねじ込む動作とを行うのみで、固定金物を被固定体に強固に固定することが可能となる。
このような構成によれば、被固定体を開口内に位置させるときには、第1開口に被固定体を挿入して第1開口内に位置させる。この後、棒状部材の端部の雄ネジ部を雌ネジ孔にねじ込んでいき、棒状部材の端部で被固定体を押圧すると、被固定体の軸部が、第1開口から第2開口に移動する。すると、第2開口は、被固定体の拡径部よりも面積が小さいので、被固定体が第2開口から抜けてしまうのを拡径部によって拘束することができる。これによって、固定金物が、被固定体から抜けてしまうのを抑えつつ、固定金物を被固定体に強固に固定することができる。
このような構成によれば、吊ボルトの上端よりも下方の位置で鋼材の上端を吊ボルトに係止させた後、鋼材を吊ボルトの上端までスライドさせていくことができる。これにより、吊ボルトが上下方向に長い場合であっても、吊ボルト補強部材としての鋼材を吊ボルトに容易に取り付けることが可能となる。
このような構成によれば、棒状部材を、鋼材の上端側に設けられた被固定体に対して容易に取り付けることができる。さらに、棒状部材において、被固定体に固定された端部とは反対側の端部を、他の吊ボルトに固定することで、棒状部材を、二本の吊ボルトの間に斜めに架設することができ、吊ボルト補強部材としてのブレース材として機能させることができる。
図1に示されるように、建築構造物の天井スラブ(躯体)2の下面には、天井4が、図示しない吊金具などによって吊下されている。天井スラブ2と天井4との間の空間には、建築構造内設置物8と、これを支持する設置物支持体が設置されている。
設置物支持体は、配管、ダクト、照明器具や、天井カセット型の空調機などの、様々な建築構造内設置物8を吊下して支持する構造体である。本実施形態においては、設置物支持体は吊ボルト5と支持鋼材6を備えており、建築構造内設置物8は、天井スラブ2から吊下された複数の吊ボルト5の下端部間に架設された支持鋼材6上に、設置されている。支持鋼材6は、例えばL形鋼であり、その一方の板面に形成された図示しない孔に吊ボルト5の下端部が挿通され、吊ボルト5の下端部にナット7が螺合されて、吊ボルト5に固定されている。
補強鋼材の外観を示す図を図2に示す。また、図2の左側面図を図3に示す。
補強鋼材21は、設置物支持体の吊ボルト5に沿うように配置される。補強鋼材21としては、例えば、L型鋼が使用される。すなわち、補強鋼材21は、図2、図3に示されるように、同じ長さを有する第1板部21aと第2板部21bを備え、第1及び第2板部21a、21bが互いの側辺において垂直に接合されて断面L字状に形成されている。補強鋼材21は、第1板部21aと第2板部21bとの接合部21jを挟んだ両側で、第1板部21aと第2板部21bとに吊ボルト5が接するように配置される。第1及び第2板部21a、21bは、吊ボルト5の軸方向に延び、吊ボルト5の上端近傍から下端近傍までの略全長にわたって沿うように長尺に形成されている。
また、補強鋼材21の上端21tには、第1及び第2板部21a、21bのそれぞれに、シャフト挿通孔23が形成されている。シャフト挿通孔23は、接合部21jに形成された欠落部22に対し、補強鋼材21の長尺方向に直交する方向の両側に、間隔をあけて形成されている。さらに、このシャフト挿通孔23は、補強鋼材21の長尺方向に直交する方向に一定長を有した長孔に形成されている。
さらに、補強鋼材21には、第1及び第2板部21a、21bのそれぞれに、補強鋼材21の長尺方向に沿って所定間隔毎に貫通孔24が形成されている。
図4に示されるように、シャフト部材25は、ボルトからなるシャフト本体26と、一対のカラー27、28と、シャフト本体26に螺着されるダブルナット29、29と、を備えている。
シャフト本体26は、補強鋼材21の上端21tにおいて、第1及び第2板部21a、21bに形成されたシャフト挿通孔23に挿通されている。この状態で、シャフト本体26は、第1及び第2板部21a、21bに対して斜めに配置され、接合部21jとシャフト本体26との間に、吊ボルト5を挟み込むようになっている。
カラー27、28は、筒状で、ボルトからなるシャフト本体26が挿通される孔27h、28hを有している。カラー27、28は、その一端面27a,28aが孔27h、28hの中心軸に直交して形成され、他端面27b、28bが、第1及び第2板部21a、21bに沿うよう孔27h、28hの中心軸に対して傾斜して形成されている。
カラー27は、ボルトからなるシャフト本体26の一端に形成されたボルト頭部26hと第2板部21bとの間に挟み込まれている。カラー28は、第1板部21aと、シャフト本体26に形成されたネジ溝に螺着されたダブルナット29、29との間に挟み込まれている。
図5に示されるように、固定具10は、補強鋼材21の下端部近傍に配置され、吊ボルト5及び補強鋼材21の下端部を一体に固定している。固定具10は、外側部材15と、内側部材16を備えている。
板部15a、15bには、孔13がそれぞれ形成されている。孔13は、外側部材15を補強鋼材21の第1及び第2板部21a、21bの屈曲方向内側面に沿って配置したときに、第1及び第2板部21a、21bに形成された貫通孔24に連通するよう形成されている。
さらに、外側部材15と同様に、内側部材16の湾曲部16dには、吊ボルト5の外周面に形成されたネジ溝に係合するよう、上下方向に間隔をあけた複数個所に、湾曲方向内側に向かって突出する係合突起16t(図5参照)が形成されている。
板部16a、16bには、雌ネジ孔14がそれぞれ形成されている。これらの雌ネジ孔14は、外側部材15と内側部材16とを吊ボルト5を挟んで対向させたときに、外側部材15の孔13と連通するよう形成されている。
このようにして、補強鋼材21は、上端21tがシャフト部材25によって吊ボルト5に対し、吊ボルト5の径方向に移動しないよう拘束され、下端21uが固定具10によって吊ボルト5の軸方向及び径方向に固定されている。
ブレースロッド31は、鋼棒からなり、少なくともその両端部に雄ネジ部31n(図7参照)が形成されている。ブレースロッド31は、その全長にわたって雄ネジ部31nが形成されていてもよい。
図7に示されるように、ブレース材30の上端部を接続するため、各補強鋼材21の上端21tに、固定ピン(被固定体)50が設けられている。図8に示されるように、固定ピン50は、ボルト51と、第1ナット52と、第2ナット(拡径部)53と、を有している。
ボルト51は、外周面にネジ溝が形成された軸部51bと、軸部51bの先端に設けられ、軸部51bよりも大きな外径を有した頭部51aとを一体に有している。ボルト51は、補強鋼材21の第1及び第2板部21a、21bに形成された貫通孔24に対し、第1及び第2板部21a、21bの屈曲方向内側から挿通されている。第1ナット52は、貫通孔24から第1及び第2板部21a、21bの屈曲方向外側に突出したボルト51の軸部51bに螺着され、ボルト51の頭部51aと第1ナット52とで第1及び第2板部21a、21bを挟み込むことで、ボルト51を固定している。
第2ナット53は、ボルト51の軸部51bに、第1ナット52との間に所定の間隔を隔てた位置に螺着されている。この第2ナット53には、緩み止めナットが用いられ、ボルト51の軸部51bの所定位置に固定されている。第1ナット52と第2ナット53との間隔は、後述する上部固定金物32の板厚よりも大きくなるように形成されている。なお、緩み止めナットに代えて、第2ナット53としてダブルナットを用いることもできる。
開口33は、上部固定金物32を板厚方向に貫通するように形成されている。開口33は、第1開口33aと、第2開口33bとが互いに連通して形成されている。第1開口33aは、固定ピン50の第2ナット53の外径よりも大きな内径を有して、第2ナット53よりも面積が大きく形成されている。第2開口33bは、第2ナット53の外径よりも小さく、かつ軸部51bよりも大きな内径を有し、第2ナット53より面積が小さく形成されている。
ナット部材34は、板状の上部固定金物32の一面側に溶接等によって一体に接合されている。ナット部材34は、上部固定金物32の表面32fに沿って平行に延びる雌ネジ孔34nを有している。この雌ネジ孔34nは、開口33を向くように形成され、その中心軸線Cが第1開口33aの中心c1と第2開口33bの中心c2とを結ぶ方向に延びている。
図10に示されるように、下部固定金物35は、ブレースロッド31の下端部を、補強鋼材21の下端21uに連結する。下部固定金物35は、断面L字状で、吊ボルト5の下端5b近傍において補強鋼材21の第1板部21aまたは第2板部21bに沿って延びる平板部35aと、平板部35aの一端において平板部35aに直交して位置する直交板部35bと、を一体に有している。平板部35aには、補強鋼材21の第1板部21aまたは第2板部21bに形成された貫通孔24に連通する孔36が形成されている。直交板部35bには、ブレースロッド31の下端部が挿通される貫通孔35hが形成されている。
まず、建築構造内設置物8を支持する吊ボルト5の、吊長さを測定する。次に、建築構造内設置物8やこれを支持する設置物支持体の重量を基に、想定する地震力に対する圧縮荷重、曲げ荷重を計算し、この圧縮荷重、曲げ荷重に耐えられる鋼材断面を算定する。更に、算定された断面仕様を満たす鋼材を、補強鋼材21として選定する。
選定された補強鋼材21には、予め、工場等において、欠落部22、シャフト挿通孔23、および貫通孔24を形成しておく。また、補強鋼材21は、吊ボルト5の吊長さよりも長いものを用意しておく。
さらに、吊長さに切断後の補強鋼材21の上端21tには、固定ピン50を取り付ける。
なお、図12に示すように、補強鋼材21にシャフト部材25を取り付けるに際し、補強鋼材21を、上端21tに対して下端21uを吊ボルト5から離間する方向に傾斜させると、吊ボルト5は、補強鋼材21の上端21tに形成された欠落部22内に入り込む。これにより、補強鋼材21を傾斜させることができ、吊ボルト5に吊下された支持鋼材6や建築構造内設置物8が補強鋼材21に干渉するのを避けながら、補強鋼材21へのシャフト部材25の取り付け作業を行うことができる。
次いで、内側部材16を、外側部材15の内側面に対向させてセットし、外側部材15と内側部材16とで吊ボルト5を挟み込む。さらに、ボルト17を、補強鋼材21の貫通孔24と、外側部材15の孔13とに挿通させ、内側部材16の雌ネジ孔14に螺着させる。これにより、補強鋼材21の下端21uが固定具10によって吊ボルト5に連結される。このとき、外側部材15と内側部材16の各々の湾曲部15d、16dに形成された係合突起15t、16tが、吊ボルト5のネジ溝5nに係合しているので、固定具10、及び固定具10に連結された補強鋼材21が、吊ボルト5の軸方向において拘束される。
上記したような一連の作業を、各吊ボルト5に対して同様に行うことで、各吊ボルト5に補強金物20が装着される。
これにはまず、上部固定金物32の雌ネジ孔34nに、ブレースロッド31の上端部の雄ネジ部31nをある程度ねじ込み、上部固定金物32をブレースロッド31の上端部に仮装着する。
次いで、図15に示されるように、ブレースロッド31を下方に引き寄せ、上部固定金物32を、固定ピン50の第1ナット52と第2ナット53との間に挿入する。この状態で、上部固定金物32は、ブレースロッド31の軸線方向に沿って斜め下方にスライドし、固定ピン50の軸部51bが第1開口33aから第2開口33b内に移動する。
次に、ブレースロッド31をその中心軸周りに回転させ、ブレースロッド31の上端部の雄ネジ部31nを、雌ネジ孔34nにねじ込んでいき、ブレースロッド31の上端部を、ナット部材34から開口33側に突出させていく。すると、図7に示されるように、ブレースロッド31の上端部が固定ピン50の第2ナット53に突き当たり、固定ピン50を押圧する。この、ブレースロッド31は、固定ピン50の軸部51bが、上部固定金物32の第2開口33bにおいて、第1開口33aから離間した側の縁部33eに圧接されて固定されるまでねじ込む。
このような一連の作業を、取り付けるべき全てのブレース材30に対して繰り返す。これによって、補強金物20とブレース材30とによって、設置物支持体を補強する。
上記補強構造1においては、地震などにより吊ボルト5に圧縮力が働いたとしても、補強金物20とブレース材30とによって、吊ボルト5に作用する曲げ応力、圧縮応力を負担し、吊ボルト5の変形や座屈を効果的に防止することができる。
また、既設の吊ボルト5に、補強金物20、ブレース材30を追設するだけで、吊ボルト5の補強ができる。
このような構成によれば、補強鋼材21の第1及び第2板部21a、21bを吊ボルト5に沿わせることで、吊ボルト5を補強することができる。補強鋼材21を吊ボルト5に沿わせて設置するときには、補強鋼材21の上端21tにおいて第1及び第2板部21a、21bを、吊ボルト5の上端5tよりも下方の位置で吊ボルト5に接触させた後、第1及び第2板部21a、21bにシャフト部材25を取り付けて、第1及び第2板部21a、21bとシャフト部材25との間に吊ボルト5を挟み込む。これによって、補強鋼材21の上端21tは、吊ボルト5から離間しないように係止される。この状態で、補強鋼材21を上方に移動させれば、補強鋼材21の上端21tは、第1及び第2板部21a、21bとシャフト部材25との間に吊ボルト5を挟み込んだまま、吊ボルト5に沿って上昇していく。これによって、吊ボルト5の上端5tよりも下方の位置で吊ボルト5に係止させた補強鋼材21の上端21tを、吊ボルト5の上端5tまでスライドさせていくことができる。補強鋼材21の上端21tが吊ボルト5の上端5tに到達したら、補強鋼材21の全体で、第1及び第2板部21a、21bを吊ボルト5に沿わせて固定することができる。このようにして、吊ボルト5の上端5tまで作業者の手が届かなくても、補強鋼材21の取付作業を容易に行うことが可能となる。
したがって、天井4の下方に、吊ボルト5の下端5b近傍で、吊ボルト5への補強金物20の係止作業、及び補強鋼材21の上方へのスライド作業が行える仮設足場を組めば、天井4に形成された点検口等から作業者が天井裏スペースに手や体の一部を入れて作業を行いながら、補強金物20の取付を容易に行うことが可能となる。これにより、天井4と上階の天井スラブ2との間の天井裏スペースが上下方向に高く、吊ボルト5が長くて吊ボルト5の上端5tまで作業者の手が届かない場合であっても、吊ボルト5の上端5tまで手が届くような仮設足場を組むことなく、補強金物20の取付を容易に行うことが可能となる。
また、通常では補強金物20の取付作業が困難な場合であっても、補強金物20の取付を容易に行うことができるので、このような建築構造物の設置物支持体補強構造を、様々な対象設備に適用することが可能となる。
このような構成によれば、補強鋼材21の上端21tにおいて第1及び第2板部21a、21bとシャフト部材25との間に吊ボルト5を挟み込んだ状態で、補強鋼材21の下端側が吊ボルト5に離間する方向に傾斜させると、補強鋼材21の上端21tにおいて吊ボルト5は欠落部22に入り込む。すなわち、補強鋼材21は、補強鋼材21の上端21tにおける吊ボルト5への干渉を避けつつ、吊ボルト5を、上端21tに対して下端が吊ボルト5から離間する方向に傾斜させることが可能となる。これにより、補強鋼材21の上端21tを吊ボルト5に係止させて傾斜させたまま、上方にスライドさせることができ、補強鋼材21の設置作業を容易に行うことができる。
このような構成によっても、建築構造内設置物8を吊下する吊ボルト5に対し、補強金物20の取付を容易に行うことが可能となる。
このような構成によれば、上部固定金物32を固定ピン50に固定するには、上部固定金物32に形成された開口33内に固定ピン50を位置させた後、ブレース材30の端部に形成された雄ネジ部31nを雌ネジ孔34nに螺着させ、開口33の外側から固定ピン50に向けて緊締していく。すると、ブレース材30の端部が開口33内に位置する固定ピン50に突き当たり、固定ピン50を開口33の縁部33eに向かって押圧する。その結果、固定ピン50が開口33の縁部33eに圧接されて固定される。このようにして、上部固定金物32を、開口33内に固定ピン50を位置させる動作と、ブレース材30の雄ネジ部31nを雌ネジ孔34nにねじ込む動作とを行うのみで、上部固定金物32を固定ピン50に強固に固定することが可能となる。
したがって、天井裏スペースが上下方向に高い場合であっても、天井4の下方に仮設足場を組み、天井4に形成された点検口等から作業者が天井裏スペースに手や体の一部を入れて作業を行いながら、ブレース材30の取付を容易に行うことが可能となる。
このような構成によれば、固定ピン50の端部を開口33内に位置させるときには、第1開口33aに固定ピン50の第2ナット53を挿通させて固定ピン50の軸部51bを第1開口33a内に位置させる。固定ピン50の軸部51bを、第1開口33aから第2開口33bに移動させると、第2開口33bは、固定ピン50の第2ナット53よりも面積が小さいので、固定ピン50が第2開口33bから抜けてしまうのを拘束する。これによって、上部固定金物32が、固定ピン50から抜けてしまうのをおさえつつ、上部固定金物32を固定ピン50に強固に固定することができる。
このような構成によれば、吊ボルト5の上端5tよりも下方の位置で補強鋼材21の上端21tを吊ボルト5に係止させた後、補強鋼材21を吊ボルト5の上端5tまでスライドさせていくことができる。これにより、吊ボルト5が上下方向に長い場合であっても、補強鋼材21を吊ボルト5に容易に取り付けることが可能となる。
このような構成によれば、ブレース材30を、補強鋼材21の上端21t側に設けられた固定ピン50に対して容易に取り付けることができる。さらに、このブレース材30の下端部を、他の吊ボルト5に固定することで、ブレース材30を、二本の吊ボルト5の間に斜めに架設することができる。
したがって、ブレース材30のブレースロッド31の取付を容易に行うことが可能となる。これにより、取り付けるべきブレース材30の上端が高く、通常ではブレース材30の取付作業が困難な場合であっても、ブレース材30の取付を容易に行うことができるので、このような建築構造物の設置物支持体補強構造を、様々な対象設備に適用することが可能となる。
なお、本発明の補強金物、固定金物、建築構造物の設置物支持体補強構造は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、設置物支持体は、建築構造内設置物8が吊ボルト5の下端部間に架設された支持鋼材6上に設置されている構造を有していたが、例えば建築構造内設置物8が天井カセット型の空調機である場合などにおいては、建築構造内設置物8が、支持鋼材6を介さずに、吊ボルト5を直接接続することによって支持されている構造であってもよい。
また、シャフト本体26は、全ネジのボルトであってもよいし、半ネジであってもよい。全ネジや半ネジのボルトであれば、汎用品を用いることができ、安価である。また、シャフト本体26の先端部の、ダブルナット29が螺着されている部分のみネジが切られていてもよい。こうすると、シャフト本体26は、吊ボルト5に接触する部分がネジ溝のない滑らかな表面となるので装着作業を容易に行うことができる。また、シャフト本体26を全ネジとした場合、シャフト本体26の軸部を円筒状の部材に挿通させて、軸部先端のナット螺着部だけが円筒状の部材から突出していてもいい。こうすると、汎用品を使いながらも、吊ボルト5への装着作業を容易に行うことができる。
また、上部固定金物32に形成された開口33は、第1開口33aと第2開口33bとからなるようにしたが、いかなる形状であってもよい。さらに、上部固定金物32には、ナット部材34を溶接するようにしたが、雌ネジ孔34nを有しているのであれば、プレスなどで一体成型してもよい。
また、上記実施形態においては、補強構造1は、既に施工され運用されている建築構造物に設けられた建築構造内設置物8を支持する設置物支持体を補強するものであったが、これに限られず、建築構造物は、例えば新築であってもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
2 天井スラブ(躯体) 31n 雄ネジ部
5 吊ボルト 32 上部固定金物(固定金物)
8 建築構造内設置物 33 開口
20 補強金物 33a 第1開口
21 補強鋼材(鋼材) 33b 第2開口
21a 第1板部 33e 縁部
21b 第2板部 34n 雌ネジ孔
21t 上端 50 固定ピン(被固定体)
22 欠落部 51b 軸部
25 シャフト部材 53 第2ナット(拡径部)
30 ブレース材
Claims (4)
- 複数の吊ボルトの軸方向に延び、前記吊ボルトに接触して沿うように形成された長尺の第1及び第2板部が互いに接合された鋼材と、
前記鋼材の上端に設けられ、前記第1及び第2板部との間に前記吊ボルトを挟むように前記第1及び第2板部に固定されたシャフト部材と、
前記鋼材に固定された固定金物を介して隣接配置された前記鋼材同士の間に斜めに架設されたブレース材を備え、
前記固定金物が、開口と、該開口に向くように設けられた雌ネジ孔を備え、
被固定体が前記開口内に位置するように設けられて、前記ブレース材の端部に形成された雄ネジ部が、前記雌ネジ孔に前記開口の外側から前記被固定体に向けて螺着緊締され、ブレース材の側端部が前記被固定体を押圧することにより、前記被固定体が前記開口の縁部に圧接されて固定されるものである補強構造。 - 前記鋼材は、前記上端に、前記吊ボルトの軸方向に沿って一定長にわたって欠落する欠落部が形成されている、請求項1に記載の補強構造。
- 前記被固定体は、軸部と、該軸部の先端に設けられた拡径部を備え、
前記開口は、前記拡径部より面積が大きな第1開口と、前記拡径部より面積が小さな第2開口とが互いに連通して設けられることにより形成され、
前記雌ネジ孔は前記第1開口側に設けられている、請求項1に記載の補強構造。 - 前記ブレース材の、前記被固定体に固定された端部とは反対側の端部は、前記鋼材が固定された前記吊ボルトとは異なる他の吊ボルトに固定されている、請求項1に記載の補強構造。
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