JP2013220654A - ポリエステル樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炭酸カルシウム粒子を含有するポリエステル樹脂成形体を製造するにあたって、炭酸カルシウム粒子に起因する発泡を抑制すること。
【解決手段】溶融押出により、ポリエステル樹脂65〜95質量%と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子5〜35質量%とを含む樹脂組成物1を製造する工程、該樹脂組成物1を、上記ポリエステル樹脂の融点をTmとして、Tmを超え、Tm+60℃以下の温度範囲にある温度tで溶融混練し、溶融押出し、樹脂組成物2を製造する工程、該樹脂組成物2を含む樹脂組成物3を作成し、Tm以上、上記温度t未満の温度で溶融混練し、溶融押出し、樹脂成形体4を製造する工程、をこの順序で含む、ポリエステル樹脂成形体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭酸カルシウム粒子を含有するポリエステル樹脂成形体の製造方法に関する。さらには、炭酸カルシウム粒子に起因する発泡を抑制することができる、ポリエステル樹脂成形体の製造方法に関する。
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルは、優れた物理的、化学的特性を有しており、繊維、フィルム、その他の成形品に広く使用されている。この際、滑剤や白色化剤としてしばしば無機粒子がポリエステルに添加され用いられる。例えば無機粒子の添加により白色化されたポリエステルフィルムは、印画紙、X線増感紙、受像紙、カード、ラベル、表示板、白板、反射板などの基材として好適に用いられている。
近年、白色ポリエステルフィルムは、液晶表示装置や照明機器、太陽光発電装置等において、反射板としてよく用いられている。かかるフィルムとしては、ポリエステルフィルム中に、例えば硫酸バリウム粒子等の白色の無機粒子を含有するものが良く用いられているが、かかる無機粒子としては、特にコストの観点においては炭酸カルシウム粒子が優れているため、その使用が望まれている。
しかしながら、ポリエステル中に炭酸カルシウム粒子を単に添加したり混練したりする方法によって得られる炭酸カルシウム粒子含有ポリエステル組成物は、フィルムなどの成形品に成形する際の溶融工程において、炭酸カルシウム粒子の表面活性基とポリエステルとの相互作用により、ポリエステルの熱安定性が大幅に悪化したり、粒子同士が凝集したり、反応によりガスが発生して発泡したりする問題が発生する。
上記の問題を解決するために、炭酸カルシウム粒子に対してリン化合物を用いる技術が報告されている(特許文献1〜4)。
特開平4−277552号公報 特開平6−271682号公報 特開平8−217961号公報 特開平10−237275号公報
しかしながら、これら先行技術に開示されているような表面処理された炭酸カルシウム粒子を用いたとしても、炭酸カルシウム粒子の表面活性基を完全に失活化させることは工業的に困難であり、これに起因した微量な発泡は未だ抑制できていないのが実情である。特に、押出工程において樹脂が滞留してしまうような部分(滞留部)が存在する場合においては、押出初期には発泡がなく安定化していたとしても、経時で滞留部より発生する発泡の頻度が上昇し、発泡による成形不良が発生することで生産性を大きく低下させる。なお、かかる滞留部に係る問題は、フィルムの製膜工程における押出工程において、特に生じ易い問題である。
本発明は、炭酸カルシウム粒子を含有するポリエステル樹脂成形体を製造するにあたって、炭酸カルシウム粒子に起因する発泡を抑制することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために以下の製造方法を採用する。
1.溶融押出により、ポリエステル樹脂65〜95質量%と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子5〜35質量%とを含む樹脂組成物1を製造する工程、
該樹脂組成物1を、上記ポリエステル樹脂の融点をTmとして、Tmを超え、Tm+60℃以下の温度範囲にある温度tで溶融混練し、溶融押出し、樹脂組成物2を製造する工程、
該樹脂組成物2を含む樹脂組成物3を作成し、Tm以上、上記温度t未満の温度で溶融混練し、溶融押出し、樹脂成形体4を製造する工程、
をこの順序で含む、ポリエステル樹脂成形体の製造方法。
また本発明は、以下のポリエステルフィルムの製造方法を包含する。
2.ポリエステル樹脂成形体がポリエステルフィルムである、上記1に記載の製造方法。
3.溶融押出により、ポリエステル樹脂65〜95質量%と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子5〜35質量%とを含むフィルム1を製造する工程、
該フィルム1を、上記ポリエステル樹脂の融点をTmとして、Tmを超え、Tm+60℃以下の温度範囲にある温度tで溶融混練し、溶融押出し、ペレット2を製造する工程、
該ペレット2を含むペレット混合体3を作成し、Tm以上、上記温度t未満の温度で溶融混練し、溶融押出し、フィルム4を製造する工程、
をこの順序で含む、上記2に記載の製造方法。
4.ポリエステル樹脂と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子とを含む層を少なくとも1層有する積層ポリエステルフィルムの製造方法であって、かかるポリエステル樹脂と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子とを含む層を上記2または3に記載の製造方法で製造する、積層ポリエステルフィルムの製造方法。
本発明によれば、炭酸カルシウム粒子を含有するポリエステル樹脂成形体を製造するにあたって、炭酸カルシウム粒子に起因する発泡を抑制することができる。
本発明は、
工程1:溶融押出により、ポリエステル樹脂65〜95質量%と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子5〜35質量%とを含む樹脂組成物1を製造する工程、
工程2:該樹脂組成物1を、上記ポリエステル樹脂の融点をTmとして、Tmを超え、Tm+60℃以下の温度範囲にある温度tで溶融混練し、溶融押出し、樹脂組成物2を製造する工程、
工程3:該樹脂組成物2を含む樹脂組成物3を作成し、Tm以上、上記温度t未満の温度で溶融混練し、溶融押出し、樹脂成形体4を製造する工程、
をこの順序で含む、ポリエステル樹脂成形体の製造方法である。
本発明によれば、上記工程1、2を経て、工程3において樹脂成形体4を成形して製造することによって、かかる樹脂成形体4の成形時に炭酸カルシウム粒子に起因する発泡を抑制することができ、発泡が抑制されたポリエステル樹脂成形体を得ることができる。なお、本発明においては、工程1〜3を独立させて断続的に行なってもよいし、任意に連結させて連続的に行なってもよい。
本発明における各工程の作用効果の概略について説明する。
まず、工程1によって製造された、上記特定の含有比率にてポリエステル樹脂と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子とを含む樹脂組成物1を、工程2において、上記特定の温度範囲にある溶融混練温度tで溶融混練する。これにより、かかる溶融混練工程において、炭酸カルシウム粒子に残存している表面活性基とポリエステル樹脂との相互作用が生じ、炭酸カルシウム粒子表面における表面活性基を失活させることができる。
次いで、工程3において、樹脂組成物2を含む樹脂組成物3について、工程2における溶融混練温度t未満である上記特定の温度範囲にて溶融混練することにより、たとえ工程2を経てもなお炭酸カルシウム粒子に表面活性基が残存していたとしても、かかる表面活性基を適度に不活性な状態に保つことができるため、溶融押出して樹脂成形体4を得るに際して、発泡が抑制される。
本発明は、以上のような技術思想により、発泡の抑制されたポリエステル樹脂成形体を得るものである。
以下、工程1〜3について詳細を説明する。
[工程1]
まず、工程1として、溶融押出により、ポリエステル樹脂65〜95質量%と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子5〜35質量%とを含む樹脂組成物1を製造する。なお、ここで各含有量は、得られる樹脂組成物1の質量100質量%に対する含有量である。また、本発明において「溶融押出により」とは、ダイ等から溶融樹脂を放出することを指すものとする。
樹脂組成物1は、例えば繊維状であってもよく、フィルム状であってもよく、その他三次元立体形状であってもよい。なお、本発明においてその他三次元立体形状とは、繊維状ともフィルム状とも言えないものであって、例えば立方体等の多面体や球等の曲面体や、あるいは箱状のもの、フィルム状とは言えないシート状や板状のもの等を含むものである。
樹脂組成物1は、白色化されていてもよい。かかる白色化に際しては、樹脂組成物1にボイド形成剤を含有することにより、内部にボイドを形成して白色化することができる。表面失活処理された炭酸カルシウム粒子は、かかるボイド形成剤として機能することができる。また、かかる白色化に際しては、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、炭酸カルシウム粒子以外の他のボイド形成剤を含有していてもよい。かかる他のボイド形成剤としては、炭酸カルシウム粒子以外の無機粒子(例えば酸化チタン、酸化ケイ素、硫酸バリウム等)や、ポリエステル樹脂に非相溶な樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂に非相溶な樹脂としては、ポリエステル樹脂に非相溶な樹脂からなる有機粒子であることができる。
樹脂組成物1は、ポリエステル樹脂65〜95質量%と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子5〜35質量%とを含む。かかる質量比率範囲とすることによって、続く工程2において、ポリエステル樹脂と炭酸カルシウム粒子との相互作用により、炭酸カルシウム粒子の表面に残存している表面活性基を好適に失活させることができ、最終的に工程3において発泡が抑制された樹脂成形体4を得ることができる。ポリエステル樹脂の含有量が少なすぎたり、炭酸カルシウム粒子の含有量が多すぎたりすると、工程2において好適に表面失活化させることができず、結果として工程3において発泡の抑制ができない。かかる観点から、ポリエステル樹脂の含有量は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上であり、炭酸カルシウム粒子の含有量は、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下である。他方、ポリエステル樹脂の含有量が多く、炭酸カルシウム粒子の含有量が少ない方向は、発泡に関しては良化する傾向であるが、ポリエステル樹脂の含有量が多すぎたり、炭酸カルシウム粒子の含有量が少なすぎたりする態様は、そもそも本発明の目的である炭酸カルシウム粒子を含有するポリエステル樹脂成形体を得ることと反対の方向になる。
樹脂組成物1の溶融押出においては、その溶融押出条件は、用いるポリエステル樹脂の融点や、得ようとする樹脂組成物1の形状や特性に応じて適宜定めればよい。なお、ここで得られる樹脂組成物1は、間接的に、最終的に得ようとする樹脂成形体4の原料となるものであり、よって外観等の特性はそれほど重要ではなく、多少の発泡を有していても良いものであるが、樹脂の劣化という観点からは、劣化物が少なく、また加水分解によるポリマー鎖の切断が少ない方が好ましい。よって、かかる工程における溶融押出温度は高すぎない方が好ましい。また、生産性が低すぎると、間接的にではあるが、樹脂成形体4を製造するための原料が不足することとなるため、ある程度の生産性は必要である。よって、温度条件が低すぎないことが好ましい。これらを勘案して、工程1における溶融押出の温度条件は、上記ポリエステル樹脂の融点をTmとして、好ましくはTm以上であって、Tm+60℃以下の温度範囲である。また、溶融押出時間も、長すぎると劣化物が増大し、短すぎると未溶融物が増大する傾向等を勘案して、適宜設定すればよい。例えば5〜30分である。
(ポリエステル樹脂)
本発明におけるポリエステル樹脂は、ジオール成分とジカルボン酸成分とから重縮合によって得られるポリマーである。例えば、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸に由来する成分を用いることができる。また、ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオールに由来する成分を用いることができる。中でも、機械特性や熱特性に優れ、またこれら特性とコストとのバランスに優れることから、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)が好ましい。また、任意の後述するような共重合成分を有する共重合ポリエステル樹脂であってもよい。ポリエステル樹脂の種類は、得ようとする樹脂組成物1や、本発明の製造方法によって最終的に得ようとする樹脂成形体4の形状や特性に応じて適宜選択すればよい。
(炭酸カルシウム粒子)
本発明における炭酸カルシウム粒子は、表面処理剤により表面失活処理が施された炭酸カルシウムである。炭酸カルシウム粒子表面のCa活性を失活させることによって、ある程度の発泡を抑制することができる。かかる表面処理剤としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、あるいはこれらの誘導体などのリン化合物、および、ステアリン酸などの脂肪酸、シランカップリング剤等が挙げられる。本発明においては、なかでもリン化合物による表面処理が好ましく、かかるリン化合物としては、具体的には、リン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノあるいはジメチルエステル、亜リン酸トリメチルエステル、メチルホスホン酸、メチルスルホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステルなどが好ましく挙げられる。中でもリン酸、亜リン酸およびそれらのエステル成形誘導体が好ましい。本発明においては、トリメチルリン酸で表面処理されていることが最も好ましい。これらリン化合物は、単独で用いることができ、また2種以上を併用してもよい。
炭酸カルシウム粒子の表面失活処理方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。例えばリン化合物によって表面失活処理を施す場合は、リン化合物と炭酸カルシウム粒子とを物理的に混合する方法(物理的混合方法)を採用することが好ましい。かかる物理的混合方法としては特に限定されるものではなく、例えばロール転動ミル、高速回転式粉砕機、ボールミル、ジェトミルなどの各種の粉砕機を使用して、炭酸カルシウムを粉砕しながらリン化合物で表面失活処理する方法、あるいは容器自身が回転する容器回転型混合機や、内部に回転翼を有したり、気流を吹き込んだりする容器固定型混合機等を使用して表面失活処理する方法を挙げることができる。具体的にはナウタミキサー、リボンミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機が好ましい。
またその際の処理条件は特に限定されるものではなく、炭酸カルシウム粒子のポリエステルに対する分散性、ポリエステルの高温滞留時の異物発生、発泡の観点から、処理温度は30℃以上が好ましく、さらには50℃以上、特には90℃以上が好ましい。処理時間は5時間以内とすることが好ましく、さらには3時間以内、特には2時間以内が好ましい。また、リン化合物は炭酸カルシウム粒子と同時に混合してもよく、また予め炭酸カルシウム粒子を仕込んだ後にリン化合物を添加してもよい。その際に、リン化合物は滴下させても、噴霧させてもよく、さらには水あるいはアルコール等に溶解もしくは分散させたものであってもよい。
また、本発明においては、炭酸カルシウム粒子の表面処理剤をポリエステル樹脂に添加し、配合し、次いでそこに炭酸カルシウム粒子を添加して、炭酸カルシウムの表面失活処理を行なうこともできる。例えば、ポリエステル樹脂の製造、すなわち重合反応が完了するまでの任意の段階で、あるいは重合反応完了後から溶融混練を行なうまでの任意の段階、あるいはポリエステル樹脂と炭酸カルシウム粒子との溶融混練中に、表面処理剤を添加することができる。
上記表面失活処理工程における表面処理剤の添加量は、炭酸カルシウム粒子表面のCa活性が十分に失活される量であればよいが、例えば炭酸カルシウム粒子の質量に対してリン元素の量が0.1質量%以上となる量である。他方、添加しすぎるとフィルム中にリン化合物が多量に残存してしまい、環境の観点から好ましくなく、また押出機内などにおいて炭酸カルシウム粒子同士が凝集してしまう。これらを抑制することができるという観点から、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
炭酸カルシウム粒子は、平均粒径が0.4〜10μmであることが好ましく、これにより発泡抑制の向上効果を高めることができる。また、溶融樹脂の濾過のしやすさの観点から、生産性に優れる。また、樹脂組成物1がフィルムであるに際しては、製膜安定性を極端に低下させてしまうことが抑制され、製膜安定性により優れる。さらに、反射特性を具備するフィルムである場合は、反射率の向上効果を高くすることができる。これら観点から、平均粒径は、さらに好ましくは0.6〜8μm、特に好ましくは0.8〜6μmである。
結果として、樹脂質量に対して50〜3000ppmリン元素を含有する態様が好ましく、これにより炭酸カルシウム粒子に存在する表面活性を最小化することが出来る。
工程1の具体例として、溶融押出により、ポリエステル樹脂65〜95質量%と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子5〜35質量%とを含むフィルム1(製造過程において得られる未延伸フィルムや1軸延伸フィルムを含む。また、ステンターにおいてクリップで把持した部分を切断したいわゆるエッジトリムを含む。)を製造する工程が挙げられる。
[工程2]
工程1に続いて、工程2として、上記工程1で得られた樹脂組成物1を、上記樹脂組成物1を構成するポリエステルの融点をTmとして、Tmを超え、Tm+60℃以下の温度範囲にある温度tで溶融混練し、溶融押出し、樹脂組成物2を製造する。なお、ここで「溶融混練し」とは、押出機におけるスクリュー部において、樹脂を混練しながら前方に移動させる態様を含むものである。
上述した特定の組成を具備する樹脂組成物1を、上記特定の温度範囲にて溶融混練して、溶融押出して樹脂組成物2を製造することにより、樹脂組成物1が含有するポリエステル樹脂と炭酸カルシウム粒子との相互作用により、炭酸カルシウム粒子に残存している表面活性基を失活化することができ、これにより工程3における樹脂成形体4の成形において発泡を抑制することができる。かかる工程2における溶融混練温度tは、低すぎると炭酸カルシウム粒子の表面失活化の効果が低くなる。かかる観点から、工程2における溶融混練温度tは、好ましくはTm+20℃以上、より好ましくはTm+30℃以上、さらに好ましくはTm+40℃以上である。他方、高すぎると樹脂の劣化がしやすくなる傾向にあり、発泡の観点で劣る。すなわち、かかる劣化樹脂の末端基が炭酸カルシウム粒子の表面活性基と反応しやすく、反応によりガスが生じ、よって発泡しやすい傾向となる。かかる観点から、工程2における溶融混練温度は、好ましくはTm+55℃以下、より好ましくはTm+50℃以下である。
なお、工程1で得られた樹脂組成物1がペレット状であれば、それをそのまま押出機に投入して、工程2に用いることができる。樹脂組成物1が繊維状、フィルム状、その他三次元立体形状のものである場合は、粉砕等により押出機に投入できる形体としてから、押出機に投入すれば良い。また、粉砕したものを、圧力をかけてペレット状にするいわゆる造粒をして用いることもできる。
樹脂組成物2の溶融混練および溶融押出においては、それらの条件は、上記態様を満足した上で、その他の条件は、用いるポリエステル樹脂の融点や、得ようとする樹脂組成物2の形状や特性に応じて適宜定めればよい。なお、ここで得られる樹脂組成物2は、最終的に得ようとする樹脂成形体4の原料となるものであり、よって外観等の特性はそれほど重要ではなく、多少の発泡を有していても良いものであるが、樹脂の劣化という観点からは、劣化物が少なく、また加水分解によるポリマー鎖の切断が少ない方が好ましい。かかる観点からは、温度条件は高すぎない方が好ましい。また、生産性が低すぎると、樹脂成形体4を製造するための原料が不足することとなるため、ある程度の生産性は必要である。かかる観点からは、温度条件が低すぎないことが好ましい。また、溶融押出時間も、長すぎると劣化物が増大し、短すぎると未溶融物が増大する傾向等を勘案して、適宜設定すればよい。例えば5〜30分である。
工程2の具体例として、上記工程1で得られたフィルム1を、上記フィルム1を構成するポリエステルの融点をTmとして、Tmを超え、Tm+60℃以下の温度範囲にある温度tで溶融混練し、溶融押出し、ペレット2を製造する工程が挙げられる。
[工程3]
工程2に続いて、工程3として、上記工程2で得られた樹脂組成物2を含む樹脂組成物3を作成し、上記樹脂組成物1を構成するポリエステルの融点をTmとして、Tm以上、上記工程2における溶融混練温度t未満の温度で溶融混練し、溶融押出し、樹脂成形体4を製造する。
工程2を経て得られた樹脂組成物2を含む樹脂組成物3を、上記特定の温度範囲で溶融混練することにより、樹脂成形体4の製造において、炭酸カルシウム粒子に起因する発泡を抑制することができる。工程3における溶融混練温度が、工程2における溶融混練温度t℃以上の温度であると、炭酸カルシウム粒子に起因する発泡が抑制できない。これは、炭酸カルシウム粒子の表面失活のために工程2において加えられたエネルギーよりも高いエネルギーを工程3でかけてしまうと、工程2における溶融混練工程において不活性化しきれなかった部分が、工程3において活性化し、ガスを発生させ発泡してしまうためと考えられる。かかる観点から、工程3における溶融混練温度は、好ましくはt−1℃以下、より好ましくはt−5℃以下、さらに好ましくはt−10℃以下である。他方、Tm未満であると未溶融物が発生したり等押出が困難となったりする傾向にある。かかる観点から、工程3における溶融混練温度は、好ましくはTm+5℃以上、より好ましくはTm+10℃以上、さらに好ましくはTm+20℃以上、特に好ましくはTm+30℃である。
樹脂組成物3における樹脂組成物2の含有量は、得ようとする樹脂成形体4の炭酸カルシウム粒子量等を考慮して適宜設定すればよい。また、樹脂組成物2が後述する回収再生原料である場合は、樹脂組成物3における樹脂組成物2の含有量はすなわち回収率となり、得られる樹脂成形体4の特性が許す限り多く添加することによって、コストダウンとなり、生産性向上となり好ましい。かかる観点から、樹脂組成物3における樹脂組成物2の含有量は、例えば30質量%以上であり、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。上限は100質量%である。なお、ここで含有量は、得られる樹脂組成物3の質量に対する含有量である。
樹脂組成物3は、樹脂組成物2を含有するものであるが、その余の成分は、主たる成分がポリエステル樹脂であり、そして従たる成分として、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、得ようとする樹脂成形体4の構成や特性により適宜選択した成分を含有することができる。ここで、「主たる成分」とは、その余の成分中の通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上であることを表す。かかるポリエステル樹脂や適宜選択される成分として、例えば樹脂組成物1を構成するポリエステル樹脂として例示したポリエステル樹脂を挙げることができる。樹脂組成物3を構成するその余の成分としてのポリエステル樹脂と、樹脂組成物1を構成するポリエステル樹脂とは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。ポリエステル樹脂を採用するに際しては、かかるポリエステル樹脂をペレット状にして用いると良い。また、従たる成分としては、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、表面失活処理された炭酸カルシウム粒子を、少量であれば含有することができる。さらに、上述した他のボイド形成剤を含有することができる。好ましくは、後述する好ましい反射ポリエステルフィルムの態様となるようにすれば良い。
なお、工程2で得られた樹脂組成物2がペレット状であれば、それをそのまま押出機に投入して、工程3に用いることができる。樹脂組成物2が繊維状、フィルム状、その他三次元立体形状のものである場合は、粉砕等により押出機に投入できる形体としてから、押出機に投入すれば良い。また、粉砕したものを、圧力をかけてペレット状にするいわゆる造粒をして用いることもできる。
樹脂成形体4は、繊維状であってもよく、フィルム状であってもよく、その他三次元立体形状であってもよい。これら成形体を成形するにあたって、発泡が抑制できる本発明の製造方法は効果的である。
特に、樹脂成形体4がフィルム状である場合、すなわち本発明によって得られるポリエステル樹脂成形体がポリエステルフィルムである場合において、本発明の製造方法を適用することが効果的である。これは、例えば繊維状物を成形するに際しては、通常同時に多数の繊維状物を成形することが可能であるために、多少の発泡が生じて、複数のうちの1本の繊維状物に切断が生じたとしても、それほど生産性を低下させないし、また、三次元立体形状物を成形するに際しては、多少の発泡が生じたとしても、かかる三次元立体形状物が破壊したりはせず、成形できなくなるほどではない。対してフィルム状物の場合は、通常1つの製造装置で1枚のシートを成形するものであるし、また、発泡によりフィルム破断が生じ易いためである。
工程3の具体例として、上記工程2で得られたペレット2を含むペレット混合体3を作成し、上記樹脂組成物1を構成するポリエステルの融点をTmとして、Tm以上、上記工程2における溶融混練温度t未満の温度で溶融混練し、溶融押出し、フィルム4を製造する工程が挙げられる。
[好ましい態様]
本発明の製造方法の好ましい態様として、以下を挙げることができる。なお、本発明の態様はこれらに限定されない。また、以下において製造する目的物に付した数字1〜4は、樹脂組成物1〜3および樹脂成形体4の数字1〜4に対応させたものである。
(好ましい態様1)
工程1でペレット1を製造し、工程2でかかるペレット1を用いてペレット2を製造し、工程3でかかるペレット2を他のペレットと混合してペレット混合体3を作成し、それを用いてフィルム4を製造する態様。
(好ましい態様2)
工程1で繊維1を製造し、工程2でかかる繊維1を粉砕等して用いてペレット2を製造し、工程3でかかるペレット2を他のペレットと混合してペレット混合体3を作成し、それを用いて繊維4を製造する態様。かかる態様は、より具体的には、工程1で得られた繊維で製品とならない繊維1を回収し、それを粉砕等して用いて工程2において好ましくはペレット状の回収再生原料2を製造し、かかる回収再生原料2を用いて工程3にて繊維4を製造する態様であってもよい。
(好ましい態様3)
工程1で立体成形物1を製造し、工程2でかかる立体成形物1を粉砕等して用いてペレット2を製造し、工程3でかかるペレット2を他のペレットと混合してペレット混合体3を作成し、それを用いて立体成形物4を製造する態様。かかる態様は、より具体的には、工程1で得られた立体成形物で製品とならない立体成形物1を回収し、それを粉砕等して用いて工程2において好ましくはペレット状の回収再生原料2を製造し、かかる回収再生原料2を用いて工程3にて立体成形物4を製造する態様であってもよい。
(好ましい態様4)
工程1でフィルム1を製造し、工程2でかかるフィルム1を粉砕等して用いてペレット2を製造し、工程3でかかるペレット2を他のペレットと混合してペレット混合体3を作成し、それを用いてフィルム4を製造する態様。かかる態様は、より具体的には、工程1で得られたフィルムで製品とならないフィルム1(製造過程において得られる未延伸フィルムや1軸延伸フィルムを含む。また、ステンターにおいてクリップで把持した部分を切断したいわゆるエッジトリムを含む。)を回収し、それを粉砕等して用いて工程2において好ましくはペレット状の回収再生原料2を製造し、かかる回収再生原料2を用いて工程3にてフィルム4を製造する態様であってもよい。かかる工程においては、通常はフィルム1とフィルム4とは、実質的に同様の構成を有する場合が多い。
[好ましいフィルムの態様]
本発明は、炭酸カルシウム粒子を含有するポリエステル樹脂成形体の製造方法を提供するものであり、かかるポリエステル樹脂成形体としては、上述のとおりその形状は問わず本発明を適用することができるが、特にポリエステルフィルムである場合に適用することが好ましく、効果的である。より具体的には、ボイド形成剤として炭酸カルシウム粒子(以下の好ましいフィルムの態様の説明においては、特に断りのない限り、炭酸カルシウム粒子は表面失活処理された炭酸カルシウム粒子を指すものとする。)を含有し、優れた反射特性を有するポリエステルフィルムを製造する場合に適用することが好ましく、効果的である。優れた反射特性を有するには、炭酸カルシウム粒子を多量に含有する必要があり、よって本発明の製造方法により発泡が抑制されることが有用であるためである。
以下、樹脂組成物1やポリエステル樹脂成形体が、優れた反射特性を有するポリエステルフィルム、すなわち反射用ポリエステルフィルムである場合の、好ましい態様について説明する。
ポリエステル樹脂としては、上述したポリエステル樹脂が採用できるが、高濃度に炭酸カルシウム粒子や他のボイド形成剤を添加することで優れた反射率を具備したとしても、優れた製膜安定性が保持できるという観点から、共重合ポリエステル樹脂が好ましい。かかる共重合ポリエステル樹脂としては、共重合ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
かかる共重合ポリエステル樹脂における共重合成分としては、例えばアジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などに由来するジカルボン酸成分、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどに由来するジオール成分を例示することができる。中でも製膜安定性の観点から、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が好ましく、特にイソフタル酸成分が好ましく、これらを共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートが好ましい。共重合ポリエステル樹脂における共重合量は、全ジカルボン酸成分100モル%に対して、好ましくは4〜16モル%、さらに好ましくは6〜14モル%である。この範囲の共重合量であることで、より良好な製膜安定性とすることができ、また反射率の向上効果を高くすることができ、これらの効果を同時に得ることができる。
ポリエステル樹脂の融点Tmは、製膜安定性の観点から、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは245℃以下、特に好ましくは240℃以下である。他方、耐熱性や機械特性の観点からは、ポリエステル樹脂の融点は210℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは215℃以上、特に好ましくは220℃以上である。このような融点を有するポリエステル樹脂としては、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸共重合ポリエチレンテレフタレート(例えば、全酸成分に対して2,6−ナフタレンジカルボン酸成分4〜16モル%共重合体)、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(例えば、全ジカルボン酸成分100モル%に対してイソフタル酸成分4〜16モル%共重合体)、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート(例えば、全ジカルボン酸成分100モル%に対してシクロヘキサンジメタノール成分4〜16モル%共重合体)を挙げることができる。なかでも、高い機械特性と製膜安定性とを得るために、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(例えば、全ジカルボン酸成分100モル%に対してイソフタル酸成分4〜16モル%共重合体)が好ましい。
炭酸カルシウム粒子は、上述した炭酸カルシウム粒子が採用できるが、平均粒径が0.4〜10μmであることが好ましく、これにより発泡抑制の向上効果を高めることができ、また製膜安定性により優れ、さらに反射率の向上効果を高くすることができる。これら観点から、平均粒径は、さらに好ましくは0.6〜8μm、特に好ましくは0.8〜6μmである。
反射ポリエステルフィルムは、炭酸カルシウム粒子以外のボイド形成剤を含有していることが好ましい。炭酸カルシウム粒子のみで求められる反射特性を得ようとすると、発泡発生の確率が高くなる傾向にあるためである。かかるボイド形成剤としては、上述したものが採用できるが、好ましくは、反射特性の観点から、硫酸バリウム粒子や、オレフィン系非相溶樹脂である。
反射ポリエステルフィルムのより好ましい態様として、ポリエステル樹脂からなり、炭酸カルシウム粒子および他のボイド形成剤を比較的多量に含有する反射層と、ポリエステル樹脂からなり、炭酸カルシウム粒子および他のボイド形成剤を含有しないか、または比較的少量に含有する支持層とを有する積層反射ポリエステルフィルムである態様が挙げられる。このような態様とすることによって、高い反射率を備えながら、優れた製膜安定性を付与することができる。樹脂組成物1がこのような積層ポリエステルフィルムである場合は、フィルム中のポリエステル樹脂の合計量が上記範囲であればよく、またフィルム中の炭酸カルシウム粒子の合計量が上記範囲であればよい。ポリエステル樹脂および炭酸カルシウム粒子としては、上述した好ましいフィルムの態様と同様の態様を採用することが好ましい。この際、反射層のポリエステル樹脂と支持層のポリエステル樹脂とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば炭酸カルシウム粒子や他のボイド形成剤を比較的多量に含有する反射層には、より優れた製膜安定性を付与するために共重合ポリエステル樹脂を採用することが好ましい。支持層のポリエステル樹脂も、含有する炭酸カルシウム粒子や他のボイド形成剤の態様を勘案して、ポリエステル樹脂の種類を適宜選択すればよい。反射層および支持層のポリエステル樹脂は、どちらも共重合ポリエステル樹脂である態様が、反射率および製膜安定性のバランスの観点から好ましく、支持層よりも反射層の共重合量が多い態様とすることで、過剰な共重合成分を排除し、耐熱性に優れるため好ましい。
反射層における炭酸カルシウム粒子の含有量は、反射層の質量に対して5〜35質量%とすることが好ましい。含有量を5質量%以上とすることによって、炭酸カルシウムを含有することによる反射率の向上効果の向上が得られる。他方、35質量%以下とすることによって、発泡の抑制効果を高くすることができる。かかる発泡の観点からは、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。また、フィルムの製膜安定性により優れる。さらに、これにより樹脂組成物1の態様を満足しやすくなる。
反射層は、上述した炭酸カルシウム粒子以外の他のボイド形成剤をさらに含有することにより、反射率をさらに向上させることが好ましい。かかるボイド形成剤としては、非相溶樹脂や無機粒子が挙げられる。非相溶樹脂としては、特に好ましくはオレフィン系非相溶樹脂であり、反射率の向上効果を高くすることができる。また、無機粒子としては、好ましくは硫酸バリウム粒子であり、反射率の向上効果を高くすることができる。反射率の観点からは、他のボイド形成剤としては、特に硫酸バリウムが特に好ましい。硫酸バリウム等の無機粒子をさらに用いる場合は、かかる含有量は、炭酸カルシウム粒子との合計質量が、反射層の質量に対して、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは30〜50質量%となるようにすればよい。これにより反射特性と延伸性との両立がしやすくなり、これら特性の向上効果を高めることができる。少なすぎると反射率の向上効果が低くなる傾向にあり、多すぎると延伸性の向上効果が低くなる傾向にある。
支持層においては、反射率と製膜安定性とのバランスの観点から、炭酸カルシウム粒子の含有量を定めればよい。その際、樹脂組成物1においては、フィルム全体のポリエステル樹脂量と炭酸カルシウム粒子量とが、本発明において規定する範囲となるようにすればよい。
反射層と支持層との積層構成は、反射層/支持層の2層構成、反射層/支持層/反射層、または支持層/反射層/支持層の3層構成や、同様に4層構成以上である積層構成であることができる。機能とコストのバランスから特に好ましくは反射層/支持層の2層構成、反射層/支持層/反射層、または支持層/反射層/支持層の3層構成である。
積層に際しては、フィードブロックを用いた積層方法等、従来公知の方法を採用することができる。また、フィルム1は、二軸延伸された二軸配向フィルムであることが好ましく、これにより機械的特性、熱的特性に優れる。かかる二軸延伸は、従来公知の方法を採用すればよい。
フィルムの厚みは、特に限定されないが、優れた反射特性を有するフィルムとする場合は、50〜500μmが好ましく、100〜400μmがより好ましく、150〜300μmが特に好ましい。
本発明の製造方法は、積層構成を有する積層ポリエステルフィルムの少なくとも1層を製造するに際しても適用することができる。例えば、上記のような積層反射ポリエステルフィルムのような、ポリエステル樹脂と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子とを含む層を少なくとも1層有する積層ポリエステルフィルムの、該ポリエステル樹脂と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子とを含む層を製造するに際しても適用することができる。反射層と支持層とを有する積層反射ポリエステルフィルムにおいては、特に炭酸カルシウム粒子を多量に有する反射層の製造において、本発明の製造方法を採用することが効果的である。
以下、実施例により本発明を詳述する。
(1)ガラス転移点Tg、融点Tm
示差走査熱量測定装置(TA Instruments 2100 DSC)を用い、昇温速度20m/分で測定を行った。
(2)平均粒径
島津製作所製レーザー散乱式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて測定した。測定前のエチレングリコールへの分散は、粒子粉体を5質量%スラリー濃度相当になるよう計量して、ミキサー(たとえばNational MXV253型料理用ミキサー)で10分間攪拌し、常温まで冷却したのち、フローセル方式供給装置に供給した。そして、該供給装置中で、脱泡のために30秒間超音波処理(超音波処理の強度は超音波処理装置のつまみを、MAX値を示す位置から60%の位置)してから測定に供した。粒度分布測定結果より50%体積粒径(D50)を求め、これを平均粒径とした。
(3)フィルム厚み、厚み比率
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10点厚みを測定し、平均値をフィルムの厚みとした。
また、各層の厚み比は、フィルムサンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたフィルムサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を薄膜切片にした後、光学顕微鏡を用いて観察撮影し、写真から各層の厚み比を測定した。
(4)発泡評価
溶融押出の際、ダイのリップにおいて圧力が開放された瞬間に生ずる大きな発泡について、キャスティングドラムの上方にあるビデオカメラを用いてフィルムの全幅について観察し、製膜開始から24時間以内に発泡が確認されたものを「××」評価とした。また、溶融押出で目視観察できない(上記で「××」評価とならない)ような場合であっても、微小な発泡があると、延伸したフィルムにおいては、ガスマーク(発泡跡)として目視確認することができる。そこで、ガスマークの評価としては、面積1m(例えば100cm×100cm)のサンプルを準備し、3波長光源下で目視にて検査しガスマーク(発泡跡)を数え、10個以上あれば「×」と評価し、5個以上10個未満であるものを「△」評価、1個以上5個未満であるものを「〇」評価、1個未満であるものを「◎」評価とした。なお、長径が0.5mm以上のガスマークであれば、静止したフィルム上に目視にて確認することができる。
[実施例1]
(工程1:樹脂組成物1の製造)
テレフタル酸ジメチル132質量部、イソフタル酸ジメチル18質量部(得られるポリエステル樹脂の全ジカルボン酸成分100モル%に対して12モル%となる。)、エチレングリコール96質量部、ジエチレングリコール3.0質量部、酢酸マンガン0.05質量部、酢酸リチウム0.012質量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜235℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03質量部、二酸化ゲルマニウム0.04質量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.5mmHgまで減圧するとともに290℃まで昇温し、重縮合反応を行い、共重合ポリエステル樹脂(ガラス転移点Tg=73℃、融点Tm=225℃、IPA12PETと省略する。)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂のジエチレングリコール成分量は2.5質量%、ゲルマニウム元素量は50ppm、リチウム元素量は5ppmであった。
この共重合ポリエステル樹脂58質量部に、トリメチルリン酸により表面失活処理された炭酸カルシウム粒子(平均粒径1.7μm)を42質量部添加して、反射層(層A)を形成するためのポリエステル組成物とした。
また、共重合ポリエステル樹脂95質量部に、トリメチルリン酸により表面失活処理された炭酸カルシウム粒子(平均粒径1.7μm)を5質量部添加して、支持層(層B)を形成するためのポリエステル組成物とした。
上記で得られたポリエステル組成物を、乾燥し、それぞれ表1に示す温度(270℃)に加熱された2台の押出機に別々に供給し、溶融混練し、A層のポリエステル組成物とB層のポリエステル組成物とを、層Aと層Bとが層B/層A/層Bの積層構成であって、厚み比率が層B/層A/層B=10/80/10(%)となるような3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化して未延伸フィルムを得て、次いで120℃にて加熱し長手方向(製膜機械軸方向のこと。縦方向またはMDともいう。)に2.8倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で幅方向(製膜機械軸方向と厚み方向とに垂直な方向のこと。横方向またはTDともいう。)に3.4倍に延伸した。その後テンター内にて230℃で熱固定を行った。次いで、テンター内においてフィルムのエッジ部分に縦方向に刃を入れることによって、クリップからフィルムを分離し、200℃で2%縦方向の弛緩、および200℃で横方向の弛緩を行い、室温まで冷やして、樹脂組成物1としての厚み188μmの二軸配向フィルムを得た。
得られた樹脂組成物1は、各層の成分比率および厚み比率から、フィルムの全体質量100質量%において、ポリエステル樹脂が65.4質量%、炭酸カルシウム粒子が34.6質量%であった。
(工程2:樹脂組成物2の製造)
上記で得られた樹脂組成物1を粉砕し、押出機に投入し、表2に示す温度(280℃)で溶融混練して、押し出し、冷却、固化した後、切断して樹脂組成物2(ペレット状)を製造した。
(工程3:樹脂組成物3および樹脂成形体4の製造)
表3に示すように、上記で得られた樹脂組成物2をそのまま用いて反射層(層A)を形成するためのポリエステル組成物とした。また、上記で得られた樹脂組成物2を15質量部と、上記で得られた共重合ポリエステル樹脂85質量部とを混合して支持層(層B)を形成するためのポリエステル組成物とした。
上記で得られたポリエステル組成物を、乾燥し、それぞれ表4に示す温度(270℃)に加熱された2台の押出機に別々に供給し、溶融混練し、A層のポリエステル組成物とB層のポリエステル組成物とを、層Aと層Bとが層B/層A/層Bの積層構成であって、厚み比率が層B/層A/層B=10/80/10(%)となるような3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化して未延伸フィルムを得て、次いで120℃にて加熱し長手方向に2.8倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で幅方向に3.4倍に延伸した。その後テンター内にて230℃で熱固定を行った。次いで、テンター内においてフィルムのエッジ部分に縦方向に刃を入れることによって、クリップからフィルムを分離し、200℃で2%縦方向の弛緩、および200℃で横方向の弛緩を行い、室温まで冷やして厚み188μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの構成および評価結果を表4に示す。
[実施例2〜4、比較例1〜4]
以下に示す態様を採用し、各種条件を表1〜4に示すとおりとする以外は実施例1と同様にして工程1〜3を経て二軸配向フィルムを得た。
実施例3においてポリエステル樹脂が79.8質量%、炭酸カルシウム粒子が20.2質量%である樹脂組成物1は、以下のような態様の二軸配向フィルムである。
反射層(層A)が、共重合ポリエステル樹脂76質量部に、トリメチルリン酸により表面失活処理された炭酸カルシウム粒子(平均粒径1.7μm)を24質量部添加したポリエステル組成物よりなるもの、支持層(層B)が、共重合ポリエステル樹脂95質量部に、トリメチルリン酸により表面失活処理された炭酸カルシウム粒子(平均粒径1.7μm)を5質量部添加したポリエステル組成物よりなるものであって、層構成が層B/層A/層B、厚み比率が層B/層A/層B=10/80/10(%)である、厚み188μmの二軸配向フィルム。
比較例1においては、工程2を経ずに、工程1において得られた樹脂組成物1を粉砕したものをそのまま工程3で樹脂組成物2の代わりとして用いて樹脂組成物3を製造した。
比較例4においてポリエステル樹脂が60.6質量%、炭酸カルシウム粒子が39.4質量%である樹脂組成物1は、以下のような態様の二軸配向フィルムである。
反射層(層A)が、共重合ポリエステル樹脂52質量部に、トリメチルリン酸により表面失活処理された炭酸カルシウム粒子(平均粒径1.7μm)を48質量部添加したポリエステル組成物よりなるもの、支持層(層B)が、共重合ポリエステル樹脂95質量部に、トリメチルリン酸により表面失活処理された炭酸カルシウム粒子(平均粒径1.7μm)を5質量部添加したポリエステル組成物よりなるものであって、層構成が層B/層A/層B、厚み比率が層B/層A/層B=10/80/10(%)である、厚み188μmの二軸配向フィルム。
Figure 2013220654
PET:ポリエチレンテレフタレート
IPA:イソフタル酸成分
TMP:トリメチルリン酸
Figure 2013220654
Figure 2013220654
Figure 2013220654
本発明は、炭酸カルシウム粒子を含有するポリエステル樹脂成形体の製造において、炭酸カルシウム粒子に起因する発泡を抑制することができるため、有用である。

Claims (4)

  1. 溶融押出により、ポリエステル樹脂65〜95質量%と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子5〜35質量%とを含む樹脂組成物1を製造する工程、
    該樹脂組成物1を、上記ポリエステル樹脂の融点をTmとして、Tmを超え、Tm+60℃以下の温度範囲にある温度tで溶融混練し、溶融押出し、樹脂組成物2を製造する工程、
    該樹脂組成物2を含む樹脂組成物3を作成し、Tm以上、上記温度t未満の温度で溶融混練し、溶融押出し、樹脂成形体4を製造する工程、
    をこの順序で含む、ポリエステル樹脂成形体の製造方法。
  2. ポリエステル樹脂成形体がポリエステルフィルムである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 溶融押出により、ポリエステル樹脂65〜95質量%と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子5〜35質量%とを含むフィルム1を製造する工程、
    該フィルム1を、上記ポリエステル樹脂の融点をTmとして、Tmを超え、Tm+60℃以下の温度範囲にある温度tで溶融混練し、溶融押出し、ペレット2を製造する工程、
    該ペレット2を含むペレット混合体3を作成し、Tm以上、上記温度t未満の温度で溶融混練し、溶融押出し、フィルム4を製造する工程、
    をこの順序で含む、請求項2に記載の製造方法。
  4. ポリエステル樹脂と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子とを含む層を少なくとも1層有する積層ポリエステルフィルムの製造方法であって、かかるポリエステル樹脂と表面失活処理された炭酸カルシウム粒子とを含む層を請求項2または3に記載の製造方法で製造する、積層ポリエステルフィルムの製造方法。
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