JP2013220609A - 繊維強化プラスチック構造物成型方法、VaRTM用強化繊維シート及び繊維強化プラスチック構造物 - Google Patents

繊維強化プラスチック構造物成型方法、VaRTM用強化繊維シート及び繊維強化プラスチック構造物 Download PDF

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Abstract

【課題】VaRTM工法によるFRP構造物の成型に使用した場合において、注入樹脂の流動性を増大させて樹脂含浸性を改善し、成型の生産性を向上させるFRP構造物成型方法、VaRTM用強化繊維シート及びFRP構造物を提供する。
【解決手段】繊維強化プラスチック構造物成型方法に使用する強化繊維シートは、(a)強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された略円形断面形状或いは扁平形状とされる連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、各線材間に空隙(g)を設けて長手方向にスダレ状に引き揃えて形成されたストランドシートと、(b)連続した強化繊維を複数本、一方向に引き揃えてシート状に形成された樹脂未含浸の一方向強化繊維シートと、を一体化し、ストランドシートの繊維強化プラスチック線材の空隙(g)部に一方向強化繊維の少なくとも一部の強化繊維が入り込んでいる。
【選択図】図5

Description

本発明は、RTM工法、特に、真空引きを伴うVaRTM工法にて、例えば、風車用ブレード、車両、船舶等に使用する大型の繊維強化プラスチック(FRP)構造物を作製するFRP構造物成型方法に関するものである。また、本発明は、斯かるFRP構造物成型方法に使用するためのVaRTM用強化繊維シート及び斯かる成型方法にて成型されたFRP構造物に関するものである。
VaRTM工法は、樹脂を含んでいないドライ(樹脂未含浸)の強化繊維シートを用いるのが特徴で、製品の形状に合わせて予め積層したり、縫製したり、融着などをして必要な方向に必要な強度が出るように形を作り(プリフォーム)、例えば型枠に入れ込むか、或いは、フィルムで密閉して、真空引きすることにより樹脂を注入して硬化し、脱型して製品とする工法である。
現在、VaRTM工法により、例えば、風車用ブレード、車両、船舶等に使用する大型のFRP構造物(成型体)を作製することが行われているが、VaRTM工法により大型のFRP構造物を作製する場合には、注入樹脂の流動性が良いことが必要である。
この点で、特許文献1に記載するような強化繊維シート、即ち、ストランドシートは、本願添付の図1(a)に示すように、強化繊維(一般に炭素繊維)fにマトリクス樹脂Rが含浸され硬化された細径の連続した繊維強化プラスチック線材2を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃え、各線材2を互いに線材固定材3にて固定して構成されているが、各線材2、2間に0〜10mmの空隙(g)があり、VaRTM工法によるFRP構造物の成型に使用した場合、注入樹脂の流動性が良く、成型性に優れている。
特開2004−197325号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載するようなストランドシート1Aでは、本願添付の図1(a)、(b)に示すように、ストランドシート1Aを構成する繊維強化プラスチック線材2は、一般には、その直径(d)が0.5〜4mmの略円形断面形状とされ、このシート1Aを用いたFRP構造物は、炭素繊維の含有量Vf(Vf:単位断面積当たりの炭素繊維の断面積率)を上げるのが困難であるといった問題を有している。また、ストランドシート1Aは、本願添付の図2(a)に示すような、一方向に炭素繊維fを引き揃えて作製される一方向炭素繊維シート1Bに比べるとコスト高である。
一方、一方向に炭素繊維を引き揃えて作製される炭素繊維シート1Bは、製造コストはストランドシート1Aに比べると安くできるが、VaRTM工法によるFRP構造物の成型に使用した場合、ストランドシート1Aを使用した場合に比べ、注入樹脂の流動性が悪く、そのため含浸性が悪く、成型の生産性が悪い、という問題を有している。
本発明の目的は、VaRTM工法によるFRP構造物の成型において、注入樹脂の流動性を増大させて樹脂含浸性を改善し、成型の生産性を向上させることのできるFRP構造物成型方法及びVaRTM用強化繊維シートを提供することである。
本発明の他の目的は、ストランドシートによる成型に比べ強化繊維のVf(単位断面積当たりの強化繊維の断面積比率)を高くすることができ、曲げ強度などの増大を図ることのできる良好なFRP構造物成型方法、VaRTM用強化繊維シート及びFRP構造物を提供することである。
上記目的は本発明に係るFRP構造物成型方法、VaRTM用強化繊維シート及びFRP構造物にて達成される。要約すれば、第1の本発明によれば、強化繊維シートを所定形状にて配置し、上型枠或いはフィルムで密閉し、真空にして前記強化繊維シートに樹脂を注入して硬化させ、繊維強化プラスチック構造物を成型するVaRTM工法による繊維強化プラスチック構造物成型方法において、
前記強化繊維シートは、
(a)連続した複数本の強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された略円形断面形状或いは扁平断面形状とされる連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、前記各線材間には0〜10mmの空隙(g)を設けて長手方向にスダレ状に引き揃えて形成されたストランドシートと、
(b)連続した強化繊維を複数本、一方向に引き揃えてシート状に形成された樹脂未含浸の一方向強化繊維シートと、
を一体化し、前記ストランドシートの前記繊維強化プラスチック線材の前記空隙(g)部に前記一方向強化繊維シートの少なくとも一部の強化繊維が入り込んでいることを特徴とする繊維強化プラスチック構造物成型方法が提供される。本方法の一実施態様によれば、前記注入樹脂は、樹脂注入時の粘度が30〜300mPa・sである。また、他の実施態様によれば、前記注入樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又は、フェノール樹脂である。
第2の本発明によれば、強化繊維シートを所定形状にて配置し、上型枠或いはフィルムで密閉し、真空にして前記強化繊維シートに樹脂を注入して硬化させ、繊維強化プラスチック構造物を成型するVaRTM工法に使用する前記強化繊維シートであって、
(a)連続した複数本の強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された略円形断面形状或いは扁平断面形状とされる連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、前記各線材間には0〜10mmの空隙(g)を設けて長手方向にスダレ状に引き揃えて形成されたストランドシートと、
(b)連続した強化繊維を複数本、一方向に引き揃えてシート状に形成された樹脂未含浸の一方向強化繊維シートと、
を一体化し、前記ストランドシートの前記繊維強化プラスチック線材の前記空隙(g)部に前記一方向強化繊維シートの少なくとも一部の強化繊維が入り込んでいることを特徴とする強化繊維シートが提供される。
第3の本発明は、上記繊維強化プラスチック構造物成型方法にて成型されたFRP構造物である。
上記第1〜第3の本発明にて一実施態様によれば、前記繊維強化プラスチック線材は、直径(d)が0.5〜4mmの略円形断面形状とされるか、又は、前記線材の幅をw、厚さをt、断面積をSとすると、1<(w/t)≦10、かつ、0.2mm2≦S≦12.6mm2とされる略長円形状或いは略長方形状の扁平断面形状である。他の実施態様によれば、前記一方向強化繊維シートは、少なくとも一側の面が線材固定材にて保持され、前記一方向強化繊維シートの前記線材固定材側の面が、前記ストランドシートの一側の面と対向するようにして一体化される。
第1〜第3の本発明の他の実施態様によれば、前記ストランドシートと前記一方向強化繊維シートとの積層体は、少なくとも一側の面が線材固定材にて保持されて一体とされる。また、他の実施態様によれば、前記線材固定材は、2軸或いは3軸に配向して形成され、表面に樹脂が被覆された糸条にて作製されたメッシュ状支持体であるか、又は、前記ストランドシートの線材及び/又は前記一方向強化繊維シートの強化繊維に直交して編み込むか、織り込むか、或いは、表面に接着又は融着される横糸である。
本発明によれば、VaRTM工法によるFRP構造物の成型において、注入樹脂の流動性を増大させて樹脂含浸性を改善し、成型の生産性を向上させることができる。また、本発明によれば、ストランドシートによるFRP構造物の成型に比べ強化繊維含有率Vf(単位断面積当たりの強化繊維の断面積比率)を高くすることができ、FRP構造物の引張り、曲げ強度の増大を図ることができる。
ストランドシートの一例を説明するための図であり、図1(a)はストランドシートの斜視図であり、図1(b)、(c)、(d)は繊維強化プラスチック線材の断面図である。 図2(a)は一方向強化繊維シートの斜視図であり、図2(b)は一方向強化繊維シートを構成する強化繊維束の一例を示す。 ストランドシートの他の例を説明する斜視図である。 図4(a)、(b)はストランドシートの他の例を説明する斜視図である。 図5(a)、(b)、(c)は本発明に従った強化繊維シート(ハイブリッドシート)の一実施例を説明するための図である。 図6(a)、(b)は本発明に従ったハイブリッドシートの他の実施例を説明するための図である。 図7(a)、(b)は本発明に従ったハイブリッドシートの他の実施例を説明するための図である。 図8(a)は本発明に従ったハイブリッドシートの他の実施例を説明するための斜視図であり、図8(b)ハイブリッドシートの断面構成図である。 本発明に従ったハイブリッドシートの作製工程を説明するための図であり、図9(a)はストランドシートの斜視図であり、図9(b)は一方向強化繊維シートの斜視図であり、図9(c)、(d)はハイブリッドシートの断面構成図である。 図10(a)、(b)は本発明に従ったハイブリッドシートの他の実施例を説明するための図である。 VaRTM工法を実施するための成型装置の一実施例の概略構成図である。 VaRTM工法を実施するための成型装置の他の実施例の概略構成図である。
以下、本発明に係るFRP構造物成型方法、VaRTM用強化繊維シート及びFRP構造物を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
先ず、本発明に係るFRP構造物の成型方法について説明する。
本発明に係るFRP構造物の成型方法の特徴は、VaRTM工法により、例えば風車用ブレード、車両、船舶等に使用する大型のFRP(繊維強化プラスチック)構造物を作製する際に、強化繊維含有率Vfが高く、且つ、注入樹脂の流動性が良い強化繊維シートを使用することにある。
本発明者らは、上述のように、図1(a)に示すようなストランドシート1A、及び、図2(a)に示すような一方向強化繊維シート1Bが有する問題点を解決するために種々の研究実験を行なった結果、図5(a)、(b)、(c)に示すような、ストランドシート1A及び一方向強化繊維シート1Bを積層して構成される一体化された積層体である強化繊維シート(「ハイブリッドシート」ということもある。)10を使用することにより、従来の問題を解決し得ることを見出した。
つまり、図5(a)に示すように、ストランドシート1A及び一方向強化繊維シート1Bを積層して、互いの方へと押圧して一体とすることにより、図5(b)、(c)に示すように、少なくともストランドシート1Aの繊維強化プラスチック線材2、2間に、一方向強化繊維シート1Bの強化繊維fの一部が入り込んだハイブリッドシート10を構成することができる。図5(b)は、積層した一方向強化繊維シート1Bの強化繊維fの全部が線材2、2間に入り込んで一体化されたハイブリッドシート10を示し、図5(c)は、積層した一方向強化繊維シート1Bの強化繊維fの一部が線材2、2間に入り込んだハイブリッドシート10を示している。即ち、一部の強化繊維fがストランドシート1Aの表面層をなしている。
このようにして形成されたハイブリッドシート10を用いたFRP構造物は、その強化繊維含有量Vfを、ストランドシート1Aにて作製したFRP構造物に比べると増大させることができる。しかも、後述する本発明者らが行なった実験結果にて理解されるように、斯かる構成のハイブリッドシート10は、樹脂流通性がストランドシート1Aに比較しても大きく低下することがなく良好な流通性を示すことが分かった。その理由は、特にVaRTM工法においては、使用する注入樹脂の粘度が低く(注入時の粘度が30〜300mPa)、そのために、注入樹脂は、各線材2、2間へと容易に流動して注入される。この樹脂は、次いで、各線材2、2間に入り込んだ炭素繊維fによる毛細管現象にて各炭素繊維f間へと流動するためであると思われる。
ハイブリッドシート10は、上記構成に限定されるものではない。例えば、図6(a)、(b)に示すように、ストランドシート1Aの両側面に一方向強化繊維シート1Bを積層し、互い方へと押圧して一体化することによっても作製することができる。別法として、図7(a)、(b)に示すように、一方向強化繊維シート1Bの両側面にストランドシート1Aを積層し、互い方へと押圧することによってもハイブリッドシート10を作製することができる。このように、ハイブリッドシート10は、所望に応じて、ストランドシート1Aと一方向強化繊維シート1Bとを3層以上複数層積層して構成することもできる。
上記にて理解されるように、本発明のハイブリッドシート10は、図5(b)に示すように、各線材2、2間の空隙(g)に配置するだけでなく、図5(c)、図6(b)及び図7(b)に示すように、スダレ状に引き揃えられた各線材2の一方の側面、或いは、両方の側面に一方向強化繊維fを配置した構成とすることができる。
次に、上述のような構成とされるハイブリッドシート10を作製するためのストランドシート1A及び一方向強化繊維シート1Bについて更に詳しく説明する。なお、本発明を限定するものではないが、以下の説明では、ストランドシート1A及び一方向強化繊維シート1Bの強化繊維としては、最も一般に使用される炭素繊維を使用するものとして説明する。
(ストランドシート)
本実施例にて、ストランドシート1Aは、図1に示すように、炭素繊維fにマトリクス樹脂Rが含浸され硬化された細径の連続した繊維強化プラスチック線材2を複数本、長手方向にスダレ状に引き揃える。各線材2は、互いに線材固定材3にて固定することもできる。各繊維強化プラスチック線材2は、図1(b)に示すように、直径(d)が0.5〜4mmの略円形断面形状とされる。また、図1(c)、(d)に示すように、円形断面形状の線材2を二方向から押し潰した、所謂、扁平形状とされた略長円形状或いは略長方形状とすることもできる。従って、この場合、線材2の幅をw、厚さをt、断面積をSとすると、1<(w/t)≦10とされる。また、扁平形状線材2は、直径(d)(即ち、d=0.5〜4mm)の線材と略同じ断面積とされるので、0.2mm2≦S≦12.6mm2とされる。
更に、各線材2、2間には、0〜10mmの空隙(g)を設ける。なお、空隙(g)は、線材2の長手方向に一定である必要はない。即ち、例えば、線材2の長手方向に空隙(g)が0mmとなっている個所、即ち、隣り合った線材2、2が密着している個所があっても良い。
繊維強化プラスチック線材2は、強化繊維fとして炭素繊維を使用した場合には、例えば平均径7μmの単繊維(炭素繊維モノフィラメント)fを6000〜60000本収束した単繊維束に樹脂が含浸され、硬化して作製される。ストランドシート1Aの繊維目付は、通常、200〜2000g/m2とされる。
本発明のハイブリッドシート10の特徴は、上述したように、少なくとも、上記スダレ状にひき揃えられた繊維強化プラスチック線材2、2間の空隙(g)領域に一方向に引き揃えた、炭素繊維などとされる連続した一方向強化繊維fが配置されることである。これにより、ストランドシート1Aの強化繊維含有率Vfが増大する。
このようにして得られるストランドシート1Aの長さ(L)及び幅(W)は、作製されるFRP構造物の寸法、形状に応じて適宜決定されるが、取扱い上の問題から、一般に、全幅(W)は、100〜1000mmとされる。又、長さ(L)は、1〜5m程度の短冊状のもの、或いは、100m以上のものを製造し得るが、使用時においては、適宜切断して使用される。
また、繊維強化プラスチック線材2に含浸されるマトリクス樹脂Rは、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂などが好適に使用される。又、線材1の繊維含有率(Vf)は、40〜75%、好ましくは、50〜70%とされる。
又、各線材2を線材固定材3にて固定する方法としては、図1に示すように、例えば、線材固定材3として横糸を使用し、一方向にスダレ状に配列された複数本の線材2から成るシート形態とされる線材、即ち、連続した線材シートを、線材に対して直交して一定の間隔(P)にて打ち込み、編み付ける方法を採用し得る。勿論、図3に示すように、横糸3を各線材間に一定間隔(P)にて織り込むこともできる。いずれの場合も、横糸3の打ち込み間隔(P)は、特に制限されないが、作製されたストランドシート1の取り扱い性を考慮して、通常10〜100mm間隔の範囲で選定される。
このとき、横糸3は、例えば直径2〜50μmのガラス繊維或いは有機繊維を複数本束ねた糸条とされる。又、有機繊維としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステルなどが好適に使用される。
各線材2をスダレ状に固定する他の方法としては、図4(a)に示すように、線材固定材3として、例えば直径5〜20μmのガラス繊維或いは有機繊維にて作製したメッシュ状の支持体シート3を使用することができる。
つまり、線材固定材3としてのメッシュ状の支持体シートを構成するガラス繊維等の糸条とされる縦糸4及び横糸5の表面に低融点タイプの熱可塑性樹脂を予め含浸させておき、メッシュ状支持体シート3をシート形態を成すスダレ状に引き揃えた複数本の線材2、即ち、線材シートの片側面、又は、両面積層して加熱加圧し、メッシュ状支持体シート3の縦糸4及び横糸5の部分を線材シートに溶着する。
メッシュ状支持体シート3は、上記2軸構成のほかに、ガラス繊維等の糸条を3軸に配向して形成することもできる。また、一方向に配列された線材2に対して直交する横糸5のみを配置した、所謂、1軸に配向して前記シート状に引き揃えた線材2に接着することもできる。
線材固定材3の糸条としては、例えばガラス繊維を芯部に有し、低融点の熱融着性ポリエステルをその周囲に配したような二重構造の複合繊維も又好ましく用いられる。
更に、各線材2をスダレ状に固定する他の方法としては、図4(b)に示すように、線材固定材3として、例えば、粘着テープ又は接着テープなどとされる可撓性帯材を使用することができる。可撓性帯材3は、シート形態を成すスダレ状に引き揃えた各繊維強化プラスチック線材2の長手方向に対して垂直方向に、即ち、直交して、複数本の繊維強化プラスチック線材2の片側面、又は、両面を貼り付けて固定する。可撓性帯材3として、幅(w1)1〜10mm程度の、塩化ビニルテープ、紙テープ、布テープ、不織布テープなどの粘着テープ又は接着テープが使用される。これらテープ3を、通常、10〜100mm間隔(P)で各繊維強化プラスチック線材2の長手方向に対して垂直方向に貼り付ける。更に、可撓性帯材3としては、ナイロン、EVA樹脂などの熱可塑性樹脂を帯状に、線材2の長手方向に対して垂直方向に片側面、又は、両面に熱融着させることによっても達成される。
(一方向炭素繊維シート)
図2(a)に、本発明にて使用することのできる一方向炭素繊維シート1Bの一実施例を示す。一方向炭素繊維シート1Bは、一方向に引き揃えた連続した炭素繊維fを一方向に引き揃えてシート状に構成される樹脂未含浸の一方向炭素繊維シートとされる。なお、一方向炭素繊維シート1Bとして、図2(b)に示すように、所定本数の炭素繊維fをカバー糸6で収束した炭素繊維束Fを一方向に引き揃えて作製することもできる。
また、一方向炭素繊維シート1Bは、上記ストランドシート1Aと同様に、連続した炭素繊維fから成る炭素繊維シートをメッシュ状の支持体シートなどとされる上述の線材固定材3にて保持した構成とすることもできる。例えば、強化繊維fとして炭素繊維を使用した場合には、例えば平均径7μmの単繊維(炭素繊維モノフィラメント)fを6000〜60000本収束した樹脂未含浸の単繊維束を複数本、一方向に平行に引き揃えて使用される。炭素繊維シート1Aの繊維目付は、通常、200〜2000g/m2とされ、これを積層して使用される。
線材固定材3としてのメッシュ状の支持体シートを構成するガラス繊維等の糸条とされる縦糸4及び横糸5の表面に低融点タイプの熱可塑性樹脂を予め含浸させておき、メッシュ状支持体シート3をシート状に配列した炭素繊維の片面或いは両面に積層して加熱加圧し、メッシュ状支持体シート3の縦糸4及び横糸5の部分を炭素繊維シートに溶着する。
メッシュ状支持体シート3は、上記2軸構成のほかに、ガラス繊維等の糸条を3軸に配向して形成することもできる。また、一方向に配列された炭素繊維に対して直交する横糸5のみを配置した、所謂、1軸に配向して前記シート状に引き揃えた炭素繊維に接着することもできる。
上記線材固定材3の糸条としては、例えばガラス繊維を芯部に有し、低融点の熱融着性ポリエステルをその周囲に配したような二重構造の複合繊維も又好ましく用いられる。
また、図1、図3で説明したように、横糸5を一方向に配列された炭素繊維fに対して直交する方向に編み込み、或いは、織り込むこともできる。
上記実施例の説明では、ストランドシート1A及び一方向強化繊維シート1Bは、それぞれ、複数本の繊維強化プラスチック線材2及び多数の強化繊維fが線材固定材3により固定されているものとして説明した。しかし、線材固定材3にて固定されていない、スダレ状態に配列されたままの複数本の繊維強化プラスチック線材2のみから成るストランドシート1A、及び、一方向に引き揃えられ、線材固定材3にて固定されておらず互いに収束剤のみにてシート状形態をなしている多数本の強化繊維fから成る一方向強化繊維シート1Bを使用して、積層し、ハイブリッドシート10を構成することも可能である。この場合は、図5(b)、(c)、図6(b)、図7(b)に示す一体化されたハイブリッドシート10の一側の側面、或いは、両側面に、上述した、例えば、樹脂透過性のメッシュ状支持体のような線材固定材3を接着又は融着することができる。即ち、メッシュ状支持体シートは、ガラス繊維等から成る糸条を2軸或いは3軸に配向して形成し、或いは、横糸5のみを使用して糸条表面に被覆された樹脂によりストランドシートと一方向強化繊維シートとの積層体とされるハイブリッドシート10の外表面に接着又は融着される。勿論、その他の線材固定材を使用しても構わない。図8(a)には、図5(c)に示すハイブリッドシート10の片側面をなす一方向強化繊維シート側にメッシュ状支持体3を配置した例を示す。また、図8(b)にはハイブリッドシート10の両側面にメッシュ状支持体のような線材固定材3を設けた例を示す。
(ハイブリッドシートの具体例)
図9(a)〜(d)及び図10(a)、(b)を参照して、上記構成とされるストランドシート1A及び一方向炭素繊維シート1Bを使用してハイブリッドシート10を作製する場合を例に挙げて更に具体的に説明する。
図9(a)、(b)には、線材固定材としてメッシュ状支持体3を使用したストランドシート1Aと一方向炭素繊維シート1Bとを示す。メッシュ状支持体3は、ストランドシート1A及び一方向炭素繊維シート1Bの一側の面のみを保持している。
ここで、ストランドシート1Aと一方向炭素繊維シート1Bとは、図9(c)に示すように、メッシュ状支持体3にて保持されていない他側の面が対向するように配置される。次いで、ストランドシート1Aと一方向炭素繊維シート1Bを積層し、互いの方へと押し付ける。これにより、図9(d)に示すように、一方向炭素繊維シート1Bの炭素繊維がストランドシート1Aの各線材2、2間に押入され、場合によっては、図示するように、ストランドシートの他側の面にも表面層として配置されたハイブリッドシート10を作製することができる。つまり、図5(b)、(c)を参照して説明したハイブリッドシート10が作製される。
また、他の例を図10(a)、(b)に示す。本例では、図10(a)に示すように、一方向炭素繊維シート1B(1Ba、1Bb)は、線材固定材3として、図9(b)に示す一方向炭素繊維シート1Bと同様に、メッシュ状支持体3にて片面が保持された一方向炭素繊維シートとされる。この一方向炭素繊維シート1Ba、1Bbの間に、ストランドシート1Aを配置して積層する。
このとき、一方の一方向炭素繊維シート1Baは、メッシュ状支持体3にて保持されていない他側の面が対向するように配置され、他方の一方向炭素繊維シート1Bbは、メッシュ状支持体3にて保持されていない他側の面が対向するように配置される。次いで、一方向炭素繊維シート1Ba、ストランドシート1A、一方向炭素繊維シート1Bbを積層し、互いの方へと押し付ける。これにより、図10(b)に示すように、一方向炭素繊維シート1Baは、その炭素繊維がストランドシート1Aの各線材2、2間に押入され、場合によっては、ストランドシートの他側の面にも配置される。一方、一方向炭素繊維シート1Bbは、メッシュ状支持体3のために、その炭素繊維がストランドシート1Aの各線材2、2間に押入されるのが抑制される。そのために、一方向炭素繊維シート1Bbとストランドシート1Aとの間におけるストランドシートの各線材2、2間には、僅かな隙間(v)が形成される。この隙間(v)は、樹脂の通路として機能し、VaRTM成型時の樹脂注入に際して樹脂の流れを良くする作用をなす。
図10(a)、(b)に示す例において、一方向炭素繊維シート1Bbは線材固定材3としてメッシュ状支持体を使用するものとして説明したが、勿論、少なくとも一方向炭素繊維シート1Bbに対しては、横糸5のみを使用した線材固定材であっても良く、また、この横糸5を一方向炭素繊維シート1Bbに直交して所定間隔にて編み込み或いは織り込んだものであっても良い。勿論、この場合にも、図10(b)に示すように、一方向炭素繊維シート1Bbとストランドシート1Aとの間におけるストランドシートの各線材2、2間には、僅かな隙間(v)が形成される。また、一方向炭素繊維シート1Baには、線材固定材3を使用しなくても良い。
更に、他の例としては、一方向炭素繊維シート1Bとして、図2(b)に示すように、所定本数の炭素繊維fをカバー糸6で収束した炭素繊維束Fを一方向に引き揃えて作製したものを使用した場合には、炭素繊維束Fがストランドシート1Aの各線材2、2間に挿入され難く、必然的に、図10(b)に示すような僅かの空隙(v)がストランドシート1Aの各線材2、2間に形成されることとなる。この隙間(v)は、上述のように、VaRTM成型時の樹脂注入に際して樹脂の流れを良くする作用をなす。
上記実施例、具体例の説明では、ストランドシート1A及び一方向強化繊維シート1Bにおいて、強化繊維fとしては、炭素繊維を使用するものとして説明したが、炭素繊維以外にもガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;更には、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステル、高強度ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用することができる。
(VaRTM工法)
上述した構成のハイブリッドシート10は、VaRTM工法によるFRP構造物の成型に使用した場合において、注入樹脂の流動性を増大させて樹脂含浸性を改善し、成型の生産性を向上させることができる。
図11にVaRTM工法に使用する成型装置100の一例の概略構成を示す。本例にて成型装置100は、型枠(成形型)101にハイブリッドシート10を入れ込み、その上に樹脂流通媒体102及びバキュームバッグ(フィルム)103がセットされる。成形型101に隣接して配置された樹脂注入装置104から、樹脂流通媒体102と成形型101との間に樹脂Rが注入される。また、バキュームバッグ103が真空引きされ、これにより、ハイブリッドシート10に樹脂Rが含浸される。樹脂Rが含浸された炭素繊維シート10は、成形型101と共に加熱装置、例えば、加熱板或いはオーブンにて加熱され、樹脂Rが硬化される。その後、樹脂含浸硬化されたハイブリッドシート10は、成形型101から脱型されて製品(炭素繊維強化プラスチック構造物の成型体)とされる。勿論、常温硬化型の樹脂Rを使用した場合には、加熱装置等は不要とされる。
また、図12には、成型装置100の他の例の概略構成を示す。本例にて成型装置100は、図11に示す成型装置100におけるフィルム103の代わりに上型枠101bが配置される点で異なる。つまり、本例の成型装置100では、成形型101は、下型枠101aと上型枠101bにて構成されるが、その他の構成及び機能は同じとされる。同じ構成及び機能を有するものには同じ参照番号を付し図11に関連した上記説明を援用し、詳しい説明は省略する。勿論、本例においても、常温硬化型の樹脂Rを使用した場合には、加熱装置等は不要とされる。
このように、本発明によれば強化繊維シートであるハイブリッドシート10を構成する、ストランドシート1Aと一方向強化繊維シート1Bを所定形状にて配置し、上型枠101b或いはフィルム103で密閉し、真空にしてハイブリッドシート10に樹脂を注入して硬化させ、繊維強化プラスチック構造物を成型するVaRTM工法による繊維強化プラスチック構造物成型方法が提供される。
ここで、ハイブリッドシート10とされる強化繊維シートは、
(a)連続した複数本の強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された略円形断面形状或いは扁平断面形状とされる連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、前記各線材間には0〜10mmの空隙(g)を設けて長手方向にスダレ状に引き揃えて形成されたストランドシート1Aと、
(b)連続した強化繊維を複数本、一方向に引き揃えてシート状に形成された樹脂未含浸の一方向強化繊維シート1Bと、
を一体化し、ストランドシート1Aの繊維強化プラスチック線材2の空隙(g)部に一方向強化繊維シート1Bの少なくとも一部の強化繊維fが入り込んでいる。
また、注入樹脂は、樹脂注入時の粘度が30〜300mPa・sとされるVaRTM樹脂が使用される。
なお、本実施例では、VaRTM用樹脂としては、エポキシ樹脂を使用したが、エポキシ樹脂の他、樹脂注入時(一例として温度25℃)の粘度が30〜300mPa・sとされる、ポリエステル樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
このように、本発明のハイブリッドシート10は、ストランドシート1A及び一方向強化繊維シート1Bを積層して、一体として使用することにより、ストランドシート1Aの少なくとも繊維強化プラスチック線材2、2間に、一方向強化繊維シート1Bを構成する強化繊維fの一部が入り込んだ強化繊維シート積層体を構成することができる。従って、本発明のハイブリッドシート10は、その強化繊維含有量Vfを、ストランドシート1Aに比べると増大させることができる。これにより、本発明によれば、ストランドシート1AによるFRP構造物の成型に比べ強化繊維のVf(単位断面積当たりの強化繊維の断面積比率)を高くすることができ、成型されたFRP構造物の曲げ強度の増大を図ることができる。
しかも、上述したように、斯かる構成のハイブリッドシート10は、VaRTM工法によるFRP構造物の成型に使用した場合において、注入樹脂の流動性を増大させて樹脂含浸性を改善し、成型の生産性を向上させることができる。
更に、一方向強化繊維シート1Bは柔らかく腰がないため長い成型体であるFRP構造物の成型に用いる場合、強化繊維fが曲がったり皺になったりする。そのため、強化繊維fの性能低下が危惧される。
これに対して、本発明のハイブリッドシート10は、繊維強化プラスチック線材2が入っているため、腰があり、繊維が曲がり難く、皺にもなり難いといった特長を有しており、生産性が良く性能の発現性が良い。
実験例
本発明のFRP構造物の成型方法及びVaRTM用強化繊維シート(ハイブリッドシート)の作用効果を立証するために、実験例1では、ハイブリッドシートの含浸性の評価を行なうための実験を行なった。また、実験例2では、本発明のハイブリッドシートが他のシートと比較して性能面で差があるのか、FRPの曲げ性能で確認した。以下に実験例1、2について説明する。
本実験例1、2で使用したストランドシート1A、一方向炭素繊維シート1B、及びハイブリッドシート10は、次のようにして作製した。本実験例1、2では、強化繊維としては炭素繊維を使用した。
(ストランドシート1A)
ストランドシート1Aは、図9(a)に示す構成とした。即ち、繊維強化プラスチック線材2は、強化繊維fとして炭素繊維を使用し、平均径7μmの単繊維(炭素繊維モノフィラメント)fを50000本収束した単繊維束を複数本、一方向に平行に引き揃えてシート状に配列した。各線材にはエポキシ樹脂を含浸して、硬化した。線材は、ストランドシート1Aの繊維目付が1200g/m2と800g/m2となるように二種類作製した。後述の表1に示すように、繊維目付が1200g/m2のものは、本実施例1としてハイブリッドシート10を作製するのに使用し、800g/m2のものは比較例1として使用した。また、各繊維強化プラスチック線材2は、直径(d)が1.2mmの略円形断面形状とした。また、各線材2、2間には、0.2〜1.0mmの空隙(g)を設けた。
このシート状とされる各線材2の片面に、2軸構成のメッシュ状支持体シート3を接着した。
このようにして作製した炭素繊維シート10は、幅(W)が200mm、長さ(L)が100mであった。
(一方向炭素繊維シート1B)
一方向炭素繊維シート1Bは、図9(b)に示す構成とした。即ち、一方向炭素繊維シート1Bは、炭素繊維として平均径7μmの単繊維(炭素繊維モノフィラメント)fを、収束本数24000本収束したPAN系炭素繊維ストランド(単繊維束)を繊維目付が400g/m2となるように引き揃えてシート状に配列した。このシート状とされる単繊維束の片面に、2軸構成のメッシュ状支持体シート3を接着した。
このようにして作製した炭素繊維シート1Bは、幅(W)が200mm、長さ(L)が100mであった。
ハイブリッドシート10は、図9(c)、(d)に示すように、上記ストランドシート1Aと一方向炭素繊維シート1Bとを、メッシュ状支持体シート3が接着されていない面を互いに対面させて積層し、押圧して一体としてハイブリッドシート10を作製した。
実験例1
上記構成のハイブリッドシート10、ストランドシート1A、及び一方向炭素繊維シート1BをVaRTM用成型装置を使用してVaRTM工法により、FRP板を作製した。
この時、表1に示すように、本実施例1としては、上記構成のハイブリッドシート10を2枚使用し、比較例1としては上記構成のストランドシート1Aを2枚使用し、比較例2としては上記構成の一方向炭素繊維シート1Bを6枚使用した。それにより、本実施例1、比較例1、2の試料は全て2400g/m2のトータル目付けとなった。
本実験にて使用した成型装置100は、図11を参照して説明したVaRTM工法を実施する装置とされ、型枠(成形型)101に本実施例1のハイブリッドシート10を入れ込み、その上に樹脂流通媒体102及びバキュームバッグ103がセットされた。成形型101に隣接して配置された樹脂注入装置104から、樹脂流通媒体102と成形型101との間に樹脂Rが注入され、かつ、バキュームバッグ103が真空引きされた。これにより、ハイブリッドシート10に樹脂Rが含浸された。樹脂Rが含浸された炭素繊維シート10は、成形型101と共に加熱装置(オーブン)にて加熱され、樹脂Rが硬化された。その後、樹脂含浸硬化されたハイブリッドシート10は、成形型101から脱型されて製品(炭素繊維強化プラスチック構造物の成型体)とされた。比較例1、2のそれぞれストランドシート1A、一方向炭素繊維シート1Bも同様にして、成型装置100にてFRP構造物(FRP板)を作製した。
このようにして得られたFRP板は、幅200mm×長さ2mとされ、厚みは、表1に示すように、本実施例1及び比較例2では2.2mm、比較例1は2.5mmであった。
本実施例1、比較例1、2で使用した樹脂Rは、低粘度のVaRTM用樹脂であり、ナガセケムテックス株式会社製の複合材料用エポキシ樹脂(汎用タイプ「XNR/H6815」(商品名))を使用した。該樹脂の粘度は、260mPa・s/25℃、80mPa・s/40℃、であった。また、型枠に注入時の粘度は、即ち、温度25℃における樹脂粘度は、260mPa・sであった。
本実験にて上記本実施例1のハイブリッドシート10を使用し、トータル目付2400g/m2とした場合には、樹脂含浸作業が約0.5時間(総成型作業時間2.5時間)で終了し、良好な製品を得ることができた。
比較例1のストランドシート1Aを使用して、本実施例1と同様トータル目付2400g/m2の製品を作製したが、樹脂含性作業は、本実施例1のハイブリッドシート10を使用した場合よりも早く0.25時間(総成型作業時間2.25時間)で終了した。
比較例2の一方向炭素繊維シート1Bを6枚使用して、本実施例1と同様のトータル目付2400g/m2の製品を作製したが、樹脂含性作業に1.5時間(総成型作業時間3.5時間)を要した。
実験例2
本発明のFRP構造物の成型方法及び強化繊維シート(ハイブリッドシート)の作用効果を立証するために、実験例2では、ハイブリッドシートを使用した場合のFRP構造物の曲げ強度に対する評価を行なうための実験を行なった。
(試験方法)
表1に示す実験例1にて使用したと同じハイブリッドシート10、ストランドシート1A及び一方向炭素繊維シート1B、樹脂、並びに、実験装置100を使用して、本実施例1、比較例1、2のFRP板を作製した。このFRP板を幅10mm×長さ120mmに切断して曲げ試験試料を作製し、JISK7203法による3点曲げ試験を行った。試験結果を表1に示す。
実験の結果、表1にて理解されるように、本実施例1及び比較例2は、比較例1に比較して空隙が少なく、Vf(炭素繊維含有量)が高くなるためFRP板の曲げ応力が高い。一方、比較例1は、ストランドシートの線材間に隙間(g)があるために、実験例1にて説明したように、樹脂含浸性は良いが、Vfが他より低く、曲げ応力が低いことが分かる。
Figure 2013220609
このように、本発明のハイブリッドシート10は、ストランドシート1A及び一方向強化繊維シート1Bを積層して、一体として使用することにより、ストランドシート1Aの少なくとも繊維強化プラスチック線材2、2間に、一方向強化繊維シート1Bを構成する強化繊維fの一部が入り込んだ強化繊維シート積層体を構成することができる。従って、本発明のハイブリッドシート10は、その強化繊維含有量Vfを、ストランドシート1Aに比べると増大させることができる。これにより、本発明によれば、ストランドシート1AによるFRP構造物の成型に比べ強化繊維のVf(単位断面積当たりの強化繊維の断面積比率)を高くすることができ、成型されたFRP構造物の曲げ強度の増大を図ることができる。
しかも、斯かる構成のハイブリッドシート10は、VaRTM工法によるFRP構造物の成型に使用した場合において、注入樹脂の流動性を増大させて樹脂含浸性を改善し、成型の生産性を向上させることができる。また、本発明のハイブリッドシート10は、繊維強化プラスチック線材2が入っているため、腰があり、繊維が曲がり難く、皺にもなり難いといった特長を有しており、生産性が良く性能の発現性が良い。
1A ストランドシート
1B 一方向強化繊維シート
2 繊維強化プラスチック線材
3 線材固定材
4 縦糸
5 横糸
10 ハイブリッドシート(強化繊維シート)

Claims (11)

  1. 強化繊維シートを所定形状にて配置し、上型枠或いはフィルムで密閉し、真空にして前記強化繊維シートに樹脂を注入して硬化させ、繊維強化プラスチック構造物を成型するVaRTM工法による繊維強化プラスチック構造物成型方法において、
    前記強化繊維シートは、
    (a)連続した複数本の強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された略円形断面形状或いは扁平断面形状とされる連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、前記各線材間には0〜10mmの空隙(g)を設けて長手方向にスダレ状に引き揃えて形成されたストランドシートと、
    (b)連続した強化繊維を複数本、一方向に引き揃えてシート状に形成された樹脂未含浸の一方向強化繊維シートと、
    を一体化し、前記ストランドシートの前記繊維強化プラスチック線材の前記空隙(g)部に前記一方向強化繊維シートの少なくとも一部の強化繊維が入り込んでいることを特徴とする繊維強化プラスチック構造物成型方法。
  2. 前記繊維強化プラスチック線材は、直径(d)が0.5〜4mmの略円形断面形状とされるか、又は、前記線材の幅をw、厚さをt、断面積をSとすると、1<(w/t)≦10、かつ、0.2mm2≦S≦12.6mm2とされる略長円形状或いは略長方形状の扁平断面形状であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化プラスチック構造物成型方法。
  3. 前記一方向強化繊維シートは、少なくとも一側の面が線材固定材にて保持され、前記一方向強化繊維シートの前記線材固定材側の面が、前記ストランドシートの一側の面と対向するようにして一体化されることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック構造物成型方法。
  4. 前記注入樹脂は、樹脂注入時の粘度が30〜300mPa・sであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の繊維強化プラスチック構造物成型方法。
  5. 前記注入樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又は、フェノール樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の繊維強化プラスチック構造物成型方法。
  6. 強化繊維シートを所定形状にて配置し、上型枠或いはフィルムで密閉し、真空にして前記強化繊維シートに樹脂を注入して硬化させ、繊維強化プラスチック構造物を成型するVaRTM工法に使用する前記強化繊維シートであって、
    (a)連続した複数本の強化繊維にマトリクス樹脂が含浸され硬化された略円形断面形状或いは扁平断面形状とされる連続した繊維強化プラスチック線材を複数本、前記各線材間には0〜10mmの空隙(g)を設けて長手方向にスダレ状に引き揃えて形成されたストランドシートと、
    (b)連続した強化繊維を複数本、一方向に引き揃えてシート状に形成された樹脂未含浸の一方向強化繊維シートと、
    を一体化し、前記ストランドシートの前記繊維強化プラスチック線材の前記空隙(g)部に前記一方向強化繊維シートの少なくとも一部の強化繊維が入り込んでいることを特徴とするVaRTM用強化繊維シート。
  7. 前記繊維強化プラスチック線材は、直径(d)が0.5〜4mmの略円形断面形状とされるか、又は、前記線材の幅をw、厚さをt、断面積をSとすると、1<(w/t)≦10、かつ、0.2mm2≦S≦12.6mm2とされる略長円形状或いは略長方形状の扁平断面形状であることを特徴とする請求項6に記載のVaRTM用強化繊維シート。
  8. 前記一方向強化繊維シートは、少なくとも一側の面が線材固定材にて保持され、前記一方向強化繊維シートの前記線材固定材側の面が、前記ストランドシートの一側の面と対向するようにして一体化されることを特徴とする請求項6又は7に記載のVaRTM用強化繊維シート。
  9. 前記ストランドシートと前記一方向強化繊維シートとの積層体は、少なくとも一側の面が線材固定材にて保持されて一体とされることを特徴とする請求項6又は7に記載のVaRTM用強化繊維シート。
  10. 前記線材固定材は、2軸或いは3軸に配向して形成され、表面に樹脂が被覆された糸条にて作製されたメッシュ状支持体であるか、又は、前記ストランドシートの線材及び/又は前記一方向強化繊維シートの強化繊維に直交して編み込むか、織り込むか、或いは、表面に接着又は融着される横糸であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかの項に記載のVaRTM用強化繊維シート。
  11. 請求項1〜5のいずれかの項に記載の繊維強化プラスチック構造物成型方法にて成型されたことを特徴とする繊維強化プラスチック構造物。
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