JP2013220549A - 三次元成形用加飾シート及び加飾成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材シート11上の一部に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部12を複数個有し、該盛上部12の一つの面積が3mm2以下であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂成分として単官能モノマー及び二官能モノマーを含有し、かつアミド結合を有する感光性化合物、ならびに該電離放射線硬化性樹脂組成物に対して1質量%以上の体質顔料を含有する三次元成形用加飾シート10、及びこれを用いて作製した加飾成形品である。
【選択図】図1
Description
インサート成形法に用いられる加飾フィルムの模様は、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂をバインダー樹脂とするインキを用いた平面的絵柄として形成されるのが一般的である。この場合、絵柄の耐久性(耐摩耗性など)を得るために基材シートの裏面側(樹脂成形物側)に絵柄を印刷する結果、インサート成形品の表面は平坦、かつ均一な光沢の外観を呈することになり、このままでは加飾成形品の表面に凹凸感を有する意匠感を表現することはできない。また、サーモジェクト成形においても同様の問題がある。
さらに、特許文献4には、表面に微細凹凸を有する凹版の凹部に未硬化の電離放射線硬化型樹脂が充填され、その上から基体シートを圧着させた状態で電離放射線が照射されることにより基体シートの片面に厚さ2μm以上の硬化した微細凹凸層が形成された凹凸インサートシートが提案されている。
しかしながら、これらのシートを用いてインサート成形すると真空成形時又は射出成形時に、あるいはサーモジェクト成形すると射出成形時に、加飾シートの伸びによって、該シート表面の凸部に割れや白化が発生するという問題があった。
この成形用加飾フィルムにより、加飾フィルム表面の凹凸模様の割れの発生を抑制することは可能となったが、一方で、要望される凹凸模様を有する意匠の多様化に十分対応できない場合があった。また、より厳しい使用環境下においても、基材シートと盛上部との優れた密着性を有する加飾シートが求められているが、十分に検討されない状況にある。
2.基材シートの盛上部を設ける面とは反対側の面に、支持体層を有する上記1に記載の三次元成形用加飾シート。
3.基材シート上の少なくとも一部に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部を複数個有し、該盛上部の一つの面積が3mm2以下であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物がアミド結合を有する感光性化合物、該電離放射線硬化性樹脂組成物に対して1質量%以上の体質顔料、ならびに単官能モノマー及び二官能モノマーを電離放射線硬化性樹脂成分として含有する三次元成形用加飾シートと射出樹脂層とを、盛上部、基材シート、及び射出樹脂層を順に有する加飾成形品。
4.三次元成形用加飾シートが、基材シートの盛上部を設ける面とは反対側の面に支持体層を有し、盛上部、基材シート、支持体層、及び射出樹脂層を順に有する上記3に記載の加飾成形品。
本発明の加飾シートは、基材シート上の一部に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部を複数個有し、該盛上部の一つの面積が3mm2以下であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂成分として単官能モノマー及び二官能モノマーを含有し、かつアミド結合を有する感光性化合物、ならびに該電離放射線硬化性樹脂組成物に対して1質量%以上の体質顔料を含有するものである。
以下に、本発明の加飾シートの構成について図1及び2を用いて詳細に説明する。図1は本発明の加飾シートの一つの態様の断面を示す模式図であり、図1に示される加飾シート10は、基材シート11と盛上部12とを有しており、該盛上部12は基材シート11上の一部に存在する。また、図2は本発明の加飾シートの一つの態様の断面を示す模式図であり、図2に示される加飾シート10は、支持体層15上に、接着剤層14を介して、着色層13、基材シート11、及び盛上部12を順に有しており、該盛上部12は該基材シート11上の一部に存在する。なお、本発明の加飾シートは図1及び2に記載の様態に限定されるわけではない。
基材シートは、本発明の加飾シートの製造時は、着色層などの他の層を形成する支持シートとしての機能を有する層である。
基材シートを構成する材料としては、熱可塑性樹脂が好適に使用される。加飾シートを成形して使用する際に、成形性が得られやすいからである。
このような熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体)、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、又はポリエチレンテレフタレート、成形性ポリエステル樹脂などのポリエステル樹脂、又はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどのポリオレフィン系樹脂などが好ましく挙げられる。
なかでも、アクリル樹脂、成形性ポリエステル樹脂などが好ましい。
また、基材シートの表面、裏面、又は表裏両面には、基材シートに接する他層との密着性向上のために、必要に応じ適宜、コロナ放電処理、プラズマ処理などの公知の易接着処理を施してもよい。
盛上部は、多様な凹凸模様を有する意匠を表現するものであり、基材シート上の一部に複数個設けられ、その盛上部の一つの面積が3mm2以下であり、かつ電離放射線硬化性樹脂成分として単官能モノマー及び二官能モノマーを含有し、かつアミド結合を有する感光性化合物、ならびに該電離放射線硬化性樹脂組成物に対して1質量%以上の体質顔料を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるものである。
また、盛上部の一つの形状の最長部分の長さが1.95mm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mm以下である。また、盛上部の一つの形状の最短部分の長さが0.1mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5mm以上である。盛上部の一つの形状の最長部分及び最短部分の長さが上記の範囲内であると、多様な凹凸模様を有する意匠を表現し、インサート成形の真空成形時又は射出成形時、或いはサーモジェクト成形の射出成形時に、加飾シートの伸びによって表面の凸部に割れや白化が発生しにくく、また基材シートと盛上部との優れた密着性が得られる。
単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
二官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられる。これらの二官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンプレポリマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシ(メタ)アクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートプレポリマーも用いることができる。
また、ポリエーテル(メタ)アクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
R3は単結合又は炭素数1〜8のアルカンジイル基を示し、アルカンジイル基としては、炭素数1〜4のものがより好ましく、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、例えばメチレン基、エチレン基、1,2−プロパンジイル基、1,3−プロパンジイル基、各種ブタンジイル基などを好ましく挙げることができる。また、R2はR3が単結合のときは単結合であり、R3はR2が単結合のときは単結合である。
体質顔料の形状としては、特に制限はないが、多面体、球形、鱗片状などが好ましい。また、体質顔料の平均粒径は、通常1〜10μm程度であり、好ましくは1〜5μmである。ここで、体質顔料の形状が球形ではない場合、平均粒径は該体質顔料の外接円のものとする。
このような熱可塑性樹脂としては、上記の基材シートを構成する材料として例示した樹脂が好ましく挙げられ、なかでもアクリル樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の含有量は、電離放射線硬化性樹脂成分100質量部に対して、3〜30質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。熱可塑性樹脂の含有量が上記範囲内であると、優れた凹凸模様が得られ、かつ凸部に割れや白化が発生しにくくなる。
電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜200kGy(1〜20Mrad)の範囲で選定される。
本発明の加飾シートは、基材シートの保護、表面の艶の調整(視覚的な凹凸感の調整)の観点から、基材シートと盛上部との間に保護層を有することができる。保護層を形成する材料としては、特に制限はなく、所望の性能に応じて、熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂などの硬化性樹脂、あるいは熱可塑性樹脂を適宜採用しうる。
熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂としては、盛上部を形成する上記の電離放射線硬化性樹脂組成物に用い得る樹脂が好ましく挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく挙げられ、ポリオールとイソシアネートとの2液硬化性の樹脂も好ましく用いられる。
着色層は、基材シートと盛上部との間、あるいは基材シートの盛上部を形成する側とは反対側、すなわち加飾シートの裏面に、所望により設けられる層であり、本発明の加飾シートに装飾を付与する層である。着色層としては、絵柄層及び/又は隠蔽層からなることが好ましい。
絵柄層の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、皮絞模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、幾何学模様、文字、記号、全面ベタなどが、用途に合わせて、1種又は2種以上組み合わせて使用される。隠蔽層は通常全面ベタ層である。
バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などから選択される1種単独の樹脂、又は2種以上の混合樹脂が用いられる。
着色剤としては、例えば、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、クロムバーミリオン、カドミウムレッド、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエローなどの無機顔料;フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、ペリレンレッドなどの有機顔料(あるいは染料も含む);アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔粉からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料などが好ましく挙げられる。
着色層の厚さは、特に制限は無いが、通常0.5〜20μm程度である。
基材シート又は着色層の裏面側に、必要に応じて、基材シート又は着色層と、支持体層又は射出樹脂との接着性を向上させるために接着剤層を設けることができる。
接着剤層を形成する材料は、基材シート又は着色層との密着性、印刷適性、成形適性を持つ樹脂の中から、広範囲に選択される。具体的には、ブロックイソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化ポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、及び(メタ)アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物から選ばれることが好ましい。支持体層又は射出樹脂がABS樹脂又はポリオレフィン樹脂の場合は、ブロックイソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化ポリオレフィンなどにより接着剤層を形成することが好ましい。
接着剤層の厚さは特に制限は無いが、通常は1〜50μm程度である。
本発明の加飾シートは、所望により支持体層を有してもよい。支持体層を有することにより、本発明の加飾シートはサーモジェクト成形だけでなく、インサート成形にも好適に用いることができる。支持体層は、図2に示されるように、加飾シートが基材シート、着色層、及び支持体層の順に有するように設けられる。
支持体層の材料としては、ABS樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂が好ましい。これらの樹脂のうち、ABS樹脂及びポリプロピレン樹脂が特に好ましい。また、射出樹脂がABS樹脂である場合はABS樹脂が好ましく、射出樹脂がポリプロピレン樹脂である場合はポリプロピレン樹脂が好ましい。
支持体層は、加飾シートを補強し、一体化物の形態を保持するために用いられるため、0.1〜1.0mm程度の厚さが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5mmである。
また、着色層が複数層の場合は、例えば、絵柄層を積層した後、乾燥し、その後隠蔽層などを積層して設けることができる。
本発明の加飾成形品は、本発明の三次元成形用加飾シートを用いてなり、盛上部、基材シート、及び射出樹脂層を順に有する加飾成形品、あるいは、本発明の三次元成形用加飾シートが支持体層を有する場合は、盛上部、基材シート、支持体層、及び射出樹脂層を順に有する加飾成形品である。図4及び5は本発明の加飾成形品の一態様の断面を示す模式図であり、図4の加飾成形品は、本発明の加飾シートと射出樹脂層とを、盛上部12、基材シート11、及び射出樹脂層21を順に有する加飾成形品であり、図5に示される加飾成形品は、加飾シートが支持体層を有しており、加飾シートと射出樹脂層とを、盛上部12、基材シート11、支持体層15、及び射出樹脂層21を順に有している。なお、図5に示される加飾成形品20は、好ましく設けられる着色層13、接着剤層14を有している。
また、本発明の加飾シートは、最大延伸部の延伸倍率として4倍以下程度、好ましくは3倍以下、より好ましくは2倍以下の、いわゆる深絞り度の高い三次元曲面を有する加飾成形品においても、優れた性能を発揮する。
なお、サーモジェクト成形法では、射出樹脂による熱圧を加飾シートが受けるため、平板に近く、加飾シートの絞りが小さい場合には、加飾シートは予熱してもしなくてもよい。
(1)基材シート全面に対する盛上部の総面積、盛上部の一つの面積、盛上部間距離、及び盛上部の厚さの測定方法
基材シート全面に対する盛上部の総面積、盛上部の一つの面積、及び盛上部間距離は、非接触表面粗さ計「3次元測定顕微鏡」(「STM6ZP(商品名)」,オリンパス光学工業株式会社製)を用い、倍率50倍、測定ピッチ0.1010mm、駆動スピードは高速の条件で測定した。また、盛上部の厚さは厚み計を用いて測定した。
(2)成形性の評価
実施例及び比較例で得られた加飾シートを用いて加飾成形品を作製した際の、表面の割れや白化の発生について目視にて観察し、以下の基準で判断し、成形性の評価とした。
6:塗膜割れや白化が全く見られず、良好に型の形状に追従した。
5:塗膜割れや白化がほとんど見られず、良好に型の形状に追従した。
4:三次元形状部又は最大延伸部の一部にわずかに塗膜割れ又は白化が認められたが、実用上問題なかった。
3:三次元形状部又は最大延伸部の一部に塗膜割れ又は白化が発生したものの、実用上問題はなかった。
2:型の形状に追従できずに表面保護層又は盛上部に塗膜割れや白化が見られた。
1:型の形状に追従できずに表面保護層又は盛上部に著しい塗膜割れや白化がみられた。
(3)基材シートと盛上部との密着性の評価
実施例及び比較例で得られた加飾シートの基材シート表面の盛上部にカッターで縦、横の傷を直交させて付け、基盤目状の桝目を設けた。その上からセロハンテープ(「CT24(商品名)」,ニチバン(株)製)を用い、指の腹でシートに密着させた後剥離した。判定は目視にて行い、以下の基準で判断した。
5:盛上部の塗膜の剥離は全くなく、密着性は非常に高かった。
4:盛上部の塗膜の剥離がわずかにあったが、密着性は高かった。
3:盛上部の塗膜の剥離があるものの、密着性は良好であり、実用上問題なかった。
2:盛上部の塗膜に剥離があり、密着性が十分ではなかった。
1:盛上部の塗膜の剥離が著しく、密着性に問題があった。
(4)印刷適性
実施例及び比較例における盛上部のパターンの形成状態を目視にて観察し、以下の基準で判断した。
4:盛上部のパターン形成の状態が優れていた。
3:盛上部のパターン形成の状態が良好であった。
2:盛上部のパターン形成状態が若干悪いものの、実用上問題がなかった。
1:盛上部のパターン形成状態が悪かった。
(5)加飾シート及び加飾成形品の外観評価
実施例及び比較例で得られた加飾シート及び加飾成形品の表面外観を目視にて観察し、以下の基準で判断した。
4:凹凸感に優れていた。
3:凹凸感が良好だった。
2:実用上問題がない程度に凹凸感があった。
1:凹凸感がなかった。
(加飾シートの製造)
ポリメタクリル酸メチルを主成分とする厚さ75μmの無着色透明なアクリル樹脂シートからなる基材シート裏面に、ポリブチルメタクリレート/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(質量比:2/1)からなる絵柄層(厚さ1μm)、ポリメチルメタクリレート及びポリブチルメタクリレートの混合物及び無機顔料からなる隠蔽層(厚さ2μm)、及び2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤からなる接着剤層(厚さ10μm)を順次積層した後、ABS樹脂からなる支持体層(厚さ400μm)をドライラミネーションにより積層した。次いで、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物を、円形状の盛上部を多数配列した平面視パターンに印刷するとともに、紫外線を160W/cmの条件で照射して印刷版の版形状を保ったまま硬化させて、厚さ30μmの基材シート上に突出した盛上部を形成して、三次元成形用加飾シートを得た。1つの盛上部は、直径1mmの円形であり、基材全面に対する盛上部の総面積は55%、1つの盛上部の最も大きい面積は2mm2であり、最も小さい盛上部間の距離は0.05mmであった。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
単官能性モノマー(フェノキシエチルアクリレート):40質量%
2官能性モノマー(1,4−ブタンジオールジアクリレート):20質量%
ポリエステル系アクリレートオリゴマー(5官能,重量平均分子量:2000):10質量%
熱可塑性樹脂(アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル),重量平均分子量:50000):10質量%
感光性化合物(N,N−ジメチルアクリルアミド):5質量%
体質顔料(シリカ粒子,平均粒径:1μm):5質量%
光重合開始剤:5質量%
紫外線吸収剤:3質量%
フィラー及び顔料:2質量%
上記のようにして得られた三次元成形用加飾シートを固定枠に固定し、該加飾シートの温度が約160℃になるまで約300℃のヒーターで加熱した。加熱され軟化した加飾シートを、上述のように、真空成形工程、トリミング工程及び温度約240℃でABS樹脂を射出樹脂とする射出成形工程を経て、加飾シートと射出樹脂層とを有するインサート成形品を得た。なお、最大延伸部の延伸倍率は、1.5倍であった。
加飾シート、及び該加飾シートを用いて得られた加飾成形品について、上記の評価方法により基材シートと盛上部との密着性の評価、ならびに加飾シート及び加飾成形品の外観評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例1において、盛上部の形成に用いる電離放射線硬化性樹脂組成物の組成、盛上部の総面積、一つの面積、距離、及び厚さを第1表に示されるものとした以外は、実施例1と同様にして加飾シート、及び加飾成形品を作製した。得られた加飾シートと加飾成形品について、上記の評価方法により基材シートと盛上部との密着性の評価、ならびに加飾シート及び加飾成形品の外観評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例1において、盛上部の形成に用いる電離放射線硬化性樹脂組成物に感光性化合物を用いなかった以外は、実施例1と同様にして加飾シート、及び加飾成形品を作製した。得られた加飾シートと加飾成形品について、上記の評価方法により基材シートと盛上部との密着性の評価、ならびに加飾シート及び加飾成形品の外観評価を行った。その結果を第2表に示す。
実施例1において、盛上部の形成に用いる電離放射線硬化性樹脂組成物中の樹脂成分を第2表に記載のものとするか、盛上部の総面積、一つの面積、距離を第2表に記載のものとした以外は、実施例1と同様にして加飾シート、及び加飾成形品を作製した。得られた加飾シートと加飾成形品について、上記の評価方法により基材シートと盛上部との密着性の評価、ならびに加飾シート及び加飾成形品の外観評価を行った。その結果を第2表に示す。
一方、感光性化合物を用いない比較例1の加飾シートは、真空成形後の三次元成形用加飾シート及び射出成形後の成形品表面に目立つ割れや白化の発生が見られ、密着性も悪く、成形品の商品価値が低下した。また、単官能性モノマーを含まない電離放射線硬化性樹脂組成物を用いた比較例1では表面に白化が認められ、二官能性モノマーを含まない電離放射線硬化性樹脂組成物を用いた比較例4では盛上部の形状がだれてしまい、円形状の盛上部を多数配列した平面視パターンを形成することができなかった。単官能性モノマーを含まず、TI値が7の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いた比較例5及び6では、チクソトロピック性が高すぎて基材シート上に盛上部のパターンを形成することが困難であり、成形性や密着性の評価ができなかった。盛上部の基材全体に対する総面積、1つの盛上部の面積、及び盛上部間距離が規定範囲を超える比較例7では、著しい割れや白化の発生が見られた。また、体質顔料を含まない電離放射線硬化性樹脂組成物を用いた比較例8では、成形性、密着性の点で十分な性能を示すことはできなかった。
11 基材シート
12 盛上部
13 着色層
14 接着剤層
15 支持体層
20 加飾成形品
21 射出樹脂層
Claims (12)
- 基材シート上の一部に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部を複数個有し、該盛上部の一つの面積が3mm2以下であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂成分として単官能モノマー及び二官能モノマーを含有し、かつアミド結合を有する感光性化合物、ならびに該電離放射線硬化性樹脂組成物に対して1質量%以上の体質顔料を含有する三次元成形用加飾シート。
- アミド結合を有する感光性化合物が、さらにエチレン性不飽和結合を有する請求項1に記載の三次元成形用加飾シート。
- R1が炭素数2〜4のアルケニル基であり、R2及びR3が単結合であり、かつR4及びR5が炭素数1〜3のアルキル基である請求項3に記載の三次元成形用加飾シート。
- アミド結合を有する感光性化合物が、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
- 電離放射線硬化性樹脂組成物中のアミド結合を有する感光性化合物の含有量が、1〜15質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
- 電離放射線硬化性樹脂組成物が、熱可塑性樹脂を含む請求項1〜6のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
- 電離放射線硬化性樹脂組成物が、該樹脂組成物に対して20質量%未満の体質顔料を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
- 全面に対する盛上部の総面積が55%以下であり、かつ該盛上部間の距離が0.03mm以上である請求項1〜8のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
- 基材シートの盛上部を設ける面とは反対側の面に、支持体層を有する請求項1〜9のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の三次元成形用加飾シートを用いてなり、盛上部、基材シート、及び射出樹脂層を順に有する加飾成形品。
- 請求項10に記載の三次元成形用加飾シートを用いてなり、盛上部、基材シート、支持体層、及び射出樹脂層を順に有する加飾成形品。
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JP2012092047A JP5910269B2 (ja) | 2012-04-13 | 2012-04-13 | 三次元成形用加飾シート及び加飾成形品 |
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