JP2013220549A - 三次元成形用加飾シート及び加飾成形品 - Google Patents

三次元成形用加飾シート及び加飾成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】多様な凹凸模様を有する意匠を表現し、インサート成形の真空成形時又は射出成形時、或いはサーモジェクト成形の射出成形時に、加飾シートの伸びによって表面の凸部に割れや白化が発生しにくく、基材シートと盛上部の密着性に優れた三次元成形用加飾シート、及び該加飾シートを用いた加飾成形品を提供すること。
【解決手段】基材シート11上の一部に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部12を複数個有し、該盛上部12の一つの面積が3mm2以下であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂成分として単官能モノマー及び二官能モノマーを含有し、かつアミド結合を有する感光性化合物、ならびに該電離放射線硬化性樹脂組成物に対して1質量%以上の体質顔料を含有する三次元成形用加飾シート10、及びこれを用いて作製した加飾成形品である。
【選択図】図1

Description

本発明は、三次元成形用加飾シート及び加飾成形品に関する。
成形品の表面に加飾シートを積層することで加飾した加飾成形品が、建築内外装材、建具、家具、携帯電話部品、車両内装部品などの各種用途で使用されている。このような加飾成形品の成形方法としては、射出成形の際に金型内に挿入された加飾シートを、キャビティ内に射出注入された溶融樹脂と一体化させ、樹脂成形体表面に加飾を施す射出成形同時加飾法(サーモジェクト成形法)、あるいは加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形しておき、該成形シートを射出成形型に挿入し、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化するインサート成形法などの三次元成形法が代表的に挙げられる。
例えば、バッカー層を積層した成形用加飾シートを金型内壁面に形成した後、成形用樹脂を射出成形することにより、シートで表面が被覆された成形品を製造するインサート成形法が提案されている(例えば、特許文献1)。
インサート成形法に用いられる加飾フィルムの模様は、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂をバインダー樹脂とするインキを用いた平面的絵柄として形成されるのが一般的である。この場合、絵柄の耐久性(耐摩耗性など)を得るために基材シートの裏面側(樹脂成形物側)に絵柄を印刷する結果、インサート成形品の表面は平坦、かつ均一な光沢の外観を呈することになり、このままでは加飾成形品の表面に凹凸感を有する意匠感を表現することはできない。また、サーモジェクト成形においても同様の問題がある。
これに対して、成形品表面に、凹凸感、立体感、奥行感を付与すべく、基材シート裏面に絵柄を印刷し、表面側にエンボス(型押し)加工により表面凹凸を付与することも試みられた。しかし、エンボス加工により表面凹凸を施すと、射出成形時、あるいはそれに先立つ予備成形(真空成形)時の熱と応力の作用で表面凹凸が平坦面に復元してしまうことがあり、また、該表面凹凸は熱可塑性樹脂により形成されているため、摩耗によって容易に消失したり傷付いたりすることがあった。
特許文献2には、熱可塑性樹脂の基材シートの表面側に、電離放射線硬化性樹脂の硬化物で樹脂模様層を部分的に形成した加飾シートを用いてサーモジェクト成形を行う発明が、特許文献3には、基材シートに未硬化の電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層を設け、加熱圧により表面保護層側の面を賦形用型の微細凹凸により賦形し、その後に電離放射線を照射して微細凹凸模様を有する表面保護層を硬化させて、微細凹凸模様を有するインサートシートを製造する方法に関する発明が提案されている。
さらに、特許文献4には、表面に微細凹凸を有する凹版の凹部に未硬化の電離放射線硬化型樹脂が充填され、その上から基体シートを圧着させた状態で電離放射線が照射されることにより基体シートの片面に厚さ2μm以上の硬化した微細凹凸層が形成された凹凸インサートシートが提案されている。
しかしながら、これらのシートを用いてインサート成形すると真空成形時又は射出成形時に、あるいはサーモジェクト成形すると射出成形時に、加飾シートの伸びによって、該シート表面の凸部に割れや白化が発生するという問題があった。
そこで、成形用加飾フィルム表面の凹凸模様を形成する盛上部の配置と大きさを、基材シート全面に対する総面積が45%以下であり、且つ1つの盛上部の面積が2mm2以下と規定することにより、インサート成形の真空成形時又は射出成形時、あるいはサーモジェクト成形の射出成形時に、加飾フィルム表面の凸部に割れが発生しない成形用加飾フィルムが提案されている(例えば、特許文献5)。
この成形用加飾フィルムにより、加飾フィルム表面の凹凸模様の割れの発生を抑制することは可能となったが、一方で、要望される凹凸模様を有する意匠の多様化に十分対応できない場合があった。また、より厳しい使用環境下においても、基材シートと盛上部との優れた密着性を有する加飾シートが求められているが、十分に検討されない状況にある。
特公平8−2550号公報 特開2002−240078号公報 特開2004−42409号公報 特開2004−276416号公報 特開2009−234159号公報
本発明は、このような状況下で、多様な凹凸模様を有する意匠を表現し、インサート成形の真空成形時又は射出成形時、あるいはサーモジェクト成形の射出成形時に、加飾シートの伸びによって表面の凸部に割れや白化が発生しにくく、基材シートと盛上部の密着性に優れた三次元成形用加飾シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により解決できることを見出した。すなわち本発明は、下記の加飾シート及び加飾成形品を提供するものである。
1.基材シート上の一部に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部を複数個有し、該盛上部の一つの面積が3mm2以下であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂成分として単官能モノマー及び二官能モノマーを含有し、かつアミド結合を有する感光性化合物、ならびに該電離放射線硬化性樹脂組成物に対して1質量%以上の体質顔料を含有する三次元成形用加飾シート。
2.基材シートの盛上部を設ける面とは反対側の面に、支持体層を有する上記1に記載の三次元成形用加飾シート。
3.基材シート上の少なくとも一部に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部を複数個有し、該盛上部の一つの面積が3mm2以下であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物がアミド結合を有する感光性化合物、該電離放射線硬化性樹脂組成物に対して1質量%以上の体質顔料、ならびに単官能モノマー及び二官能モノマーを電離放射線硬化性樹脂成分として含有する三次元成形用加飾シートと射出樹脂層とを、盛上部、基材シート、及び射出樹脂層を順に有する加飾成形品。
4.三次元成形用加飾シートが、基材シートの盛上部を設ける面とは反対側の面に支持体層を有し、盛上部、基材シート、支持体層、及び射出樹脂層を順に有する上記3に記載の加飾成形品。
本発明によれば、多様な凹凸模様を有する意匠を表現し、インサート成形の真空成形時又は射出成形時、或いはサーモジェクト成形の射出成形時に、加飾シートの伸びによって表面の凸部に割れや白化が発生しにくく、基材シートと盛上部の密着性に優れた三次元成形用加飾シート、及び該加飾シートを用いた加飾成形品を提供することができる。
本発明の加飾シートの一つの態様の断面を示す模式図である。 本発明の加飾シートの一つの態様の断面を示す模式図である。 盛上部の一つの態様の断面を示す模式図である。 本発明の加飾成形品の一つの態様の断面を示す模式図である。 本発明の加飾成形品の一つの態様の断面を示す模式図である。
[加飾シート]
本発明の加飾シートは、基材シート上の一部に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部を複数個有し、該盛上部の一つの面積が3mm2以下であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂成分として単官能モノマー及び二官能モノマーを含有し、かつアミド結合を有する感光性化合物、ならびに該電離放射線硬化性樹脂組成物に対して1質量%以上の体質顔料を含有するものである。
以下に、本発明の加飾シートの構成について図1及び2を用いて詳細に説明する。図1は本発明の加飾シートの一つの態様の断面を示す模式図であり、図1に示される加飾シート10は、基材シート11と盛上部12とを有しており、該盛上部12は基材シート11上の一部に存在する。また、図2は本発明の加飾シートの一つの態様の断面を示す模式図であり、図2に示される加飾シート10は、支持体層15上に、接着剤層14を介して、着色層13、基材シート11、及び盛上部12を順に有しており、該盛上部12は該基材シート11上の一部に存在する。なお、本発明の加飾シートは図1及び2に記載の様態に限定されるわけではない。
<基材シート>
基材シートは、本発明の加飾シートの製造時は、着色層などの他の層を形成する支持シートとしての機能を有する層である。
基材シートを構成する材料としては、熱可塑性樹脂が好適に使用される。加飾シートを成形して使用する際に、成形性が得られやすいからである。
このような熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体)、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、又はポリエチレンテレフタレート、成形性ポリエステル樹脂などのポリエステル樹脂、又はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどのポリオレフィン系樹脂などが好ましく挙げられる。
なかでも、アクリル樹脂、成形性ポリエステル樹脂などが好ましい。
基材シートとしては、例えば上記のような樹脂からなる単層又は多層構成の樹脂シートを使用する。また、基材シートには、必要に応じて適宜、安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤などの各種添加剤を、物性調整のために添加してもよい。
基材シートとしては、加飾シートに通常用いられるものであれば特に制限なく用いることができ、透明であることが好ましい。加飾シートを用いた加飾成形品は、基材フィルム側から観察されるためである。なお、ここでいう透明には、後述する着色層が視認される程度の半透明、例えば、艶消し調の乳白色透明も含むものである。また、基材シートは着色されていてもよいが、後述する着色層が視認される程度以上の透明であることが好ましい。
基材シートの厚さは、コスト面、加飾成形品に対する要求性能、成形用加飾シートの成形適性などの観点から、通常30〜300μm程度(多層の場合は総厚)が好ましい。
また、基材シートの表面、裏面、又は表裏両面には、基材シートに接する他層との密着性向上のために、必要に応じ適宜、コロナ放電処理、プラズマ処理などの公知の易接着処理を施してもよい。
<盛上部>
盛上部は、多様な凹凸模様を有する意匠を表現するものであり、基材シート上の一部に複数個設けられ、その盛上部の一つの面積が3mm2以下であり、かつ電離放射線硬化性樹脂成分として単官能モノマー及び二官能モノマーを含有し、かつアミド結合を有する感光性化合物、ならびに該電離放射線硬化性樹脂組成物に対して1質量%以上の体質顔料を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるものである。
本発明において、盛上部は基材シート上の一部に存在することを要する。基材シートの全面に存在すると、多様な凹凸模様を有する意匠を表現するという本発明の効果が得られないからである。また、盛上部は基材シート上に複数個設けられることを要する。盛上部が一つしか存在しないと、多様な凹凸模様を有する意匠を表現するという本発明の効果が得られないからである。
本発明において、盛上部の一つの面積は3mm2以下であることを要する。盛上部の一つの面積は3mm2超えると、盛上部に応力が集中し、加飾シートの伸びによって表面の凸部に割れや白化が発生しやすくなり、さらに基材シートと盛上部の密着性が低下するからである。一方、視覚的な凹凸模様がより認識しやすくなり、多様な凹凸模様を有する意匠を表現しうる観点から、盛上部の一つの面積は0.01mm2以上であることが好ましく、2mm2を超えることがより好ましい。
基材シート全面に対する盛上部の合計面積は、60%未満であることが好ましく、より好ましくは55%以下である。この範囲内であると、盛上部が相互に近づきすぎることがなく、視覚的な凹凸模様がより認識しやすくなり、多様な凹凸模様を有する意匠を表現することができる。同様の観点から、盛上部の合計面積は1%以上であることが好ましく、45%を超えることがより好ましく、50%を超えることがさらに好ましい。
盛上部間の距離は、0.03mm以上であることが好ましく、0.05mmとすることがより好ましく、0.2mm以上とすることがさらに好ましい。盛上部間の距離を上記範囲内とすることで、加飾シートの表面の凸部に割れや白化が発生することをさらに好適に防止することができるからである。また、盛上部間の距離の上限は、所定の盛上部の総面積の範囲内で盛上部を設ければよいので特に制限はなく、所望の柄に応じて適宜設定すればよいが、優れた凹凸模様が得られるため、多様な凹凸模様を有する意匠を表現することができる観点から、3mm以下が好ましく、より好ましくは2mm以下であり、さらに好ましくは1mm以下である。
また、盛上部の厚さ(高さ)は、1〜200μmであることが好ましく、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜80μmである。盛上部12の厚さが上記範囲内であると、優れた視覚的な凹凸感や立体感が得られ、また盛上部を安定的に形成しやすいからである。
本発明においては、盛上部を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物を特定のものとすることによって、基材シートに対する盛上部の総面積と一つの盛上部の面積、あるいは盛上部間の距離や盛上部の厚さ上記のように大きくすることができるので、多様な凹凸模様を有する意匠を表現することが可能となる。さらに、インサート成形の真空成形時又は射出成形時、あるいはサーモジェクト成形の射出成形時に、加飾シートの伸びによって表面の凸部に割れや白化の発生を防止し、かつ基材シートと盛上部との密着性を向上させることも可能となる。
本発明において、盛上部の一つの面積、基材シート全面に対する盛上部の合計面積、盛上部間の距離、及び盛上部の厚さは、以下のようにして測定した値である。盛上部の断面の形状としては、例えば、電離放射線硬化性樹脂組成物を基材シート上に塗布して、該組成物がだれることで呈する図3(a)のような形状、また意図的に形成する図3(b)のような形状などが挙げられる。本発明においては、いずれの場合においても、盛上部の一つの面積及び総面積は、各々該盛上部と下層(基材シート、あるいは所望により設けられる着色層や保護層)とが接する面積(Wで囲まれた部分の面積)、及びその合計面積である。盛上部間の距離は、該盛上部と下層(基材シート、あるいは所望により設けられる着色層や保護層)とが接する面積の外縁を端部としたときの端部間の距離(Lの部分)である。また、盛上部の厚さ(盛上部の高さ)は、盛上部の最も高い部分の高さ(Hの部分)、すなわち、盛上部12と該盛上部12とが接する下層(基材シート11、あるいは所望により設けられる着色層13や保護層)との高低差である。
盛上部の形状は、特に限定されず、円形、楕円形、三角形、四角形、5〜10角形などの形状が好ましく挙げられる。各盛上部は同一形状の集合であってもよいし、異なる形状の集合であっても良い。また、各盛上部が規則的に並んだような定形のパターン形状でも良いし、不定型な絵柄であっても良い。不定型な絵柄であると触感、マット感、光沢感及び意匠性に優れることから好ましく、規則的に並んだような定形のパターン形状であると、加飾成形時の応力が特定部分に集中し難く、表面の凹凸模様の割れがより発生し難くなる点で好ましい。
また、盛上部の一つの形状の最長部分の長さが1.95mm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mm以下である。また、盛上部の一つの形状の最短部分の長さが0.1mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5mm以上である。盛上部の一つの形状の最長部分及び最短部分の長さが上記の範囲内であると、多様な凹凸模様を有する意匠を表現し、インサート成形の真空成形時又は射出成形時、或いはサーモジェクト成形の射出成形時に、加飾シートの伸びによって表面の凸部に割れや白化が発生しにくく、また基材シートと盛上部との優れた密着性が得られる。
盛上部が全体で形成する絵柄としては、円形、楕円形、多角形、線画、水玉、縞、格子などの幾何学模様、文字、木目柄、竹目柄、石目柄、タイル貼柄、煉瓦積層柄、布目柄、皮絞柄などが好ましく挙げられ、これらを単独で又は2種以上を用途に合わせて用いれば良い。
盛上部は、電離放射線硬化性樹脂成分として単官能モノマー及び二官能モノマーを含有し、かつアミド結合を有する感光性化合物、ならびに該電離放射線硬化性樹脂組成物に対して1質量%以上の体質顔料を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるものである。本発明において、盛上部を上記の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて形成することで、電離放射線硬化性樹脂成分本来の機能、すなわち耐摩耗性などの耐久性向上、特に、摩耗によって容易に消失したり傷付いたりすることを防止することができるだけでなく、基材シートに対する盛上部の総面積と一つの盛上部の面積、あるいは盛上部間の距離や盛上部の厚さを上記のように大きくすることができるので、多様な凹凸模様を有する意匠を表現することが可能となる。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂成分として電離放射線硬化性樹脂を含有する組成物のことであり、本発明においては、電離放射線硬化性樹脂成分として単官能性モノマー及び二官能性モノマーを含有する樹脂組成物である。電離放射線硬化性樹脂成分は、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂成分である。ここで、電離放射線は、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含むものである。
単官能性モノマー及び二官能性モノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などのラジカル重合性不飽和基、エポキシ基などのカチオン重合性官能基などを有するモノマーなどが好ましく挙げられる。
単官能性モノマーとしては、上記の重合性不飽和基あるいはカチオン重合性官能基を一つ有するモノマーが好ましく、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適である。電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度を低下することができるので優れた印刷適性が得られ、また基材シートと盛上部との優れた密着性や、加飾シートの優れた成形性が得られるからである。
単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
二官能性モノマーとしては、上記の重合性不飽和基あるいはカチオン重合性官能基を二つ有するモノマーが好ましく、分子中にラジカル重合性不飽和基を二つ持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適である。上記の単官能性モノマーとの併用により、優れた印刷適性が得られ、また基材シートと盛上部との優れた密着性が得られ、また耐摩耗性などの耐久性向上、特に、摩耗によって容易に消失したり傷付いたりすることを防止することもできる。
二官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられる。これらの二官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明においては、耐摩耗性などの耐久性向上、特に、摩耗によって容易に消失したり傷付いたりすることを防止する観点から、電離放射線硬化性樹脂成分として、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などのラジカル重合性不飽和基、エポキシ基などのカチオン重合性官能基などを三つ以上有する多官能性モノマーを用いることもできる。多官能性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を三つ以上持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適である。そのような多官能性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどの3官能性(メタ)アクリレートモノマー;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの4官能性以上の(メタ)アクリレートモノマーが好ましく挙げられ、これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
電離放射線硬化性樹脂組成物中の単官能モノマーの含有量は、1〜60質量%が好ましく、より好ましくは10〜55質量%、さらに好ましくは20〜50質量%である。また、電離放射線硬化性樹脂組成物中の二官能性モノマーの含有量は、1〜60質量%が好ましく、より好ましくは3〜50質量%、さらに好ましくは10〜40質量%である。さらに、単官能性モノマーと二官能性モノマーとの配合比は質量比で1/3〜3/1が好ましく、より好ましくは2/5〜5/2である。含有量及び配合比が上記範囲内であると、多様な凹凸模様を有する意匠を表現することができ、凸部に割れや白化が発生しにくく、基材シートと盛上部との優れた密着性が得られ、さらに耐摩耗性などの耐久性向上、特に、摩耗によって容易に消失したり傷付いたりすることを防止することができる。また、該樹脂組成物のチクソトロピック性を適度に調整することができるので、良好な印刷適性が得られる。
本発明においては、耐摩耗性などの耐久性向上、特に、摩耗によって容易に消失したり傷付いたりすることを防止する観点から、電離放射線硬化性樹脂成分として、分子中にラジカル重合性不飽和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポリマー(いわゆるオリゴマーも包含する)も好ましく用いることができる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましく用いられる。なかでも、ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーが好ましく、例えばポリエステル(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート系、シリコーン(メタ)アクリレート系などのプレポリマーが好ましく挙げられる。プレポリマーの重量平均分子量は、1000〜100000であることが好ましく、より好ましくは1000〜20000、より好ましくは1000〜10000である。
ここで、ポリエステル(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルプレポリマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるプレポリマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンプレポリマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシ(メタ)アクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートプレポリマーも用いることができる。
また、ポリエーテル(メタ)アクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性プレポリマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系プレポリマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系プレポリマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系プレポリマー、或いはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテルなどの分子中にカチオン重合性官能基を有するプレポリマーなどがある。
電離放射線硬化性樹脂組成物中の重合性プレポリマー(オリゴマー)の含有量は、0.1〜75質量%が好ましく、より好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは3〜30質量%である。含有量が上記範囲内であると、多様な凹凸模様を有する意匠を表現することができ、凸部に割れや白化が発生しにくく、基材シートと盛上部との優れた密着性が得られ、さらに耐摩耗性などの耐久性向上、特に、摩耗によって容易に消失したり傷付いたりすることを防止することができる。
アミド結合を有する感光性化合物は、分子中にアミド結合を有し、かつ光の照射により硬化性を示す化合物のことである。本発明においては、より強い硬化性を有することで盛上部の形状をより明確にし、多様な凹凸模様を有する意匠を表現する観点から、エチレン性不飽結合を有することが好ましい。本発明で用いられるアミド結合を有する感光性化合物としては、下記の化学式(1)で示される化合物であることがより好ましい。
Figure 2013220549
式(1)中、R1は炭素数2〜8のアルケニル基を示す。R1のアルケニル基としては、炭素数2〜4のものがより好ましく、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、例えばビニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1−メチルビニル基、スチリル基、1−メチルアリル基、2−メチルアリル基などが好ましく挙げられる。
2は単結合又は−NR6−を示し、R6は水素又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。アルキル基としては、炭素数1〜4のものがより好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などが好ましく挙げられる。
3は単結合又は炭素数1〜8のアルカンジイル基を示し、アルカンジイル基としては、炭素数1〜4のものがより好ましく、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、例えばメチレン基、エチレン基、1,2−プロパンジイル基、1,3−プロパンジイル基、各種ブタンジイル基などを好ましく挙げることができる。また、R2はR3が単結合のときは単結合であり、R3はR2が単結合のときは単結合である。
4及びR5は水素、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を示す。アルキル基は、上記のR6のアルキル基と同じである。ヒドロキシアルキル基は、炭素数1〜4のものがより好ましく、例えばヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基などが好ましく挙げられる。
上記のようなアミド結合を有する感光性化合物としては、より具体的には、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミドなどのN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドなどが好ましく挙げられる。これらの中でも、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドが好ましく、これらを単独で、又は複数を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性樹脂組成物中のアミド結合を有する感光性化合物の含有量は、0.1〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜12質量%であり、さらに好ましくは3〜10質量%である。感光性化合物の含有量が上記範囲内であると、盛上部の形状がシャープになり、多様な凹凸模様を有する意匠を表現することが可能となる。
本発明において、電離放射線硬化性樹脂組成物は、1質量%以上の体質顔料を含有することを要する。1質量%以上の体質顔料を含有しないと、該樹脂組成物のチクソトロピック性や粘度を適度に調整することができず、印刷適性が得られず、また盛上部の適正な流展性を得ることができないからである。また、適度な光沢の外観も得られず、結果として多様な凹凸模様を有する意匠を表現することができないからである。同様の観点から、体質顔料の含有量は2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、また上限としては20質量%未満であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下である。
本発明で用いられる体質顔料としては、例えば、シリカ、疎水性シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、アルミノシリケート、硫酸バリウムなどの無機物、ポリエチレン、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン)などの有機高分子などを素材とする粒子が好ましく挙げられる。
体質顔料の形状としては、特に制限はないが、多面体、球形、鱗片状などが好ましい。また、体質顔料の平均粒径は、通常1〜10μm程度であり、好ましくは1〜5μmである。ここで、体質顔料の形状が球形ではない場合、平均粒径は該体質顔料の外接円のものとする。
紫外線又は可視光線を用いて電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させる場合には、上記の電離放射線硬化性樹脂組成物中に、硬化不良の改善や硬化性の促進を目的として光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アルキルフェノン類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることができる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物中の光重合開始剤の含有量は、好ましくは1〜10質量%である。
その他の各種添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。これらの各種添加剤は、その性能を阻害しない範囲で含有することができる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物は樹脂成分として熱可塑性樹脂を含むこともできる。熱可塑性樹脂を含むことで、凸部に割れや白化が発生しにくくなる。熱可塑性樹脂を含むことで、含まない場合と比べて盛上部のパターン形成状態が若干悪くなり、外観の点で若干劣ることがあるが、凸部に割れや白化が発生しにくくなる。よって、所望の凹凸模様や許容される凸部の割れや白化を考慮の上、熱可塑性樹脂を用いるか否かを適宜選択すればよい。
このような熱可塑性樹脂としては、上記の基材シートを構成する材料として例示した樹脂が好ましく挙げられ、なかでもアクリル樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の含有量は、電離放射線硬化性樹脂成分100質量部に対して、3〜30質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。熱可塑性樹脂の含有量が上記範囲内であると、優れた凹凸模様が得られ、かつ凸部に割れや白化が発生しにくくなる。
盛上部の形成に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物のチキソトロピー・インデックス(以下、TI値と称する。)は、好ましくは1〜6であり、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜5である。TI値が上記範囲内であると、良好な印刷適性が得られる。なお、本発明においてTI値は、B型粘度計を用いて、23℃にて測定した回転速度6rpm及び60rpmにおける粘度の比(η6rpm/η60rpm)と定義した。
盛上部は、上記の電離放射線硬化性樹脂組成物を、シルクスクリーン印刷、グラビア盛上印刷、ロータリースクリーン印刷、又は特許文献2に記載された成形版胴法などの印刷、あるいは塗布法などの公知の方法により塗布し、未硬化樹脂層を形成する。次いで、電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて盛上部を形成する。本発明においては、優れた凹凸感を得る観点から、シルクスクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷による形成が好ましく、連続印刷可能である点で、ロータリースクリーン印刷による形成がより好ましい。
本発明において、電離放射線として通常好ましく用いられるものは、紫外線又は電子線である。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプなどの光源が使用される。紫外線の波長としては通常190〜380nmの波長域が主として用いられる。
電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜200kGy(1〜20Mrad)の範囲で選定される。
<保護層>
本発明の加飾シートは、基材シートの保護、表面の艶の調整(視覚的な凹凸感の調整)の観点から、基材シートと盛上部との間に保護層を有することができる。保護層を形成する材料としては、特に制限はなく、所望の性能に応じて、熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂などの硬化性樹脂、あるいは熱可塑性樹脂を適宜採用しうる。
熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂としては、盛上部を形成する上記の電離放射線硬化性樹脂組成物に用い得る樹脂が好ましく挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく挙げられ、ポリオールとイソシアネートとの2液硬化性の樹脂も好ましく用いられる。
<着色層>
着色層は、基材シートと盛上部との間、あるいは基材シートの盛上部を形成する側とは反対側、すなわち加飾シートの裏面に、所望により設けられる層であり、本発明の加飾シートに装飾を付与する層である。着色層としては、絵柄層及び/又は隠蔽層からなることが好ましい。
絵柄層の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、皮絞模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、幾何学模様、文字、記号、全面ベタなどが、用途に合わせて、1種又は2種以上組み合わせて使用される。隠蔽層は通常全面ベタ層である。
着色層形成用のインキ組成物は、バインダーなどからなるビヒクル、顔料や染料などの着色剤、有機溶媒、及びこれに適宜加える各種添加剤を含む組成物である。
バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などから選択される1種単独の樹脂、又は2種以上の混合樹脂が用いられる。
着色剤としては、例えば、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、クロムバーミリオン、カドミウムレッド、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエローなどの無機顔料;フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、ペリレンレッドなどの有機顔料(あるいは染料も含む);アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔粉からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料などが好ましく挙げられる。
着色剤の含有量は、上記バインダー樹脂100質量部に対して、2〜150質量部が好ましく、より好ましくは5〜120質量部、さらに好ましくは10〜90質量部である。含有量が上記範囲内であると、繊細な意匠感が得られる。
有機溶媒としては、上記の着色剤やバインダー樹脂を均一に分散、あるいは溶解分散できる酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノンなどのケトン類などが挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。
その他の各種添加剤としては、インキに通常用いられる各種添加剤、例えば、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが好ましく挙げられ、これらを本発明の効果が阻害されない範囲で使用することができる。
着色層は、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷などの印刷法、又はロールコートなどの公知の塗付法などの従来公知の形成方法で形成すれば良い。
着色層の厚さは、特に制限は無いが、通常0.5〜20μm程度である。
<接着剤層>
基材シート又は着色層の裏面側に、必要に応じて、基材シート又は着色層と、支持体層又は射出樹脂との接着性を向上させるために接着剤層を設けることができる。
接着剤層を形成する材料は、基材シート又は着色層との密着性、印刷適性、成形適性を持つ樹脂の中から、広範囲に選択される。具体的には、ブロックイソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化ポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、及び(メタ)アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物から選ばれることが好ましい。支持体層又は射出樹脂がABS樹脂又はポリオレフィン樹脂の場合は、ブロックイソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化ポリオレフィンなどにより接着剤層を形成することが好ましい。
なお、接着剤層には、副成分としての範囲で、上記以外の樹脂を併用しても良い。併用する樹脂は、主に射出樹脂との密着性を考慮して選ばれる。さらに、印刷(又は塗布)適性などの諸物性を調整、あるいは向上させるために、必要に応じて適宜、体質顔料、保存安定剤などの公知の各種添加剤を添加しても良い。
また、接着剤層は、上記樹脂などからなる接着剤を、グラビア印刷、ロールコートなどの公知の印刷又は塗付法により形成する。
接着剤層の厚さは特に制限は無いが、通常は1〜50μm程度である。
<支持体層>
本発明の加飾シートは、所望により支持体層を有してもよい。支持体層を有することにより、本発明の加飾シートはサーモジェクト成形だけでなく、インサート成形にも好適に用いることができる。支持体層は、図2に示されるように、加飾シートが基材シート、着色層、及び支持体層の順に有するように設けられる。
支持体層の材料としては、ABS樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂が好ましい。これらの樹脂のうち、ABS樹脂及びポリプロピレン樹脂が特に好ましい。また、射出樹脂がABS樹脂である場合はABS樹脂が好ましく、射出樹脂がポリプロピレン樹脂である場合はポリプロピレン樹脂が好ましい。
支持体層は、加飾シートを補強し、一体化物の形態を保持するために用いられるため、0.1〜1.0mm程度の厚さが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5mmである。
本発明の加飾シートを製造する方法としては、例えば、基材シートに必要に応じて設けられる着色層や接着剤層を順次グラビア印刷、ロールコートなどの公知の印刷又は塗布手段により設け、該基材の着色層などを設ける面とは反対側の面に盛上部を上記の方法により形成すればよい。また、支持体層を設ける場合は、例えば盛上部を設ける前に、着色層や接着剤層を設けた基材シートの、該着色層などを設ける面とは反対側の面に、支持体層をドライラミネーションして設ければ良い。
また、着色層が複数層の場合は、例えば、絵柄層を積層した後、乾燥し、その後隠蔽層などを積層して設けることができる。
[加飾成形品]
本発明の加飾成形品は、本発明の三次元成形用加飾シートを用いてなり、盛上部、基材シート、及び射出樹脂層を順に有する加飾成形品、あるいは、本発明の三次元成形用加飾シートが支持体層を有する場合は、盛上部、基材シート、支持体層、及び射出樹脂層を順に有する加飾成形品である。図4及び5は本発明の加飾成形品の一態様の断面を示す模式図であり、図4の加飾成形品は、本発明の加飾シートと射出樹脂層とを、盛上部12、基材シート11、及び射出樹脂層21を順に有する加飾成形品であり、図5に示される加飾成形品は、加飾シートが支持体層を有しており、加飾シートと射出樹脂層とを、盛上部12、基材シート11、支持体層15、及び射出樹脂層21を順に有している。なお、図5に示される加飾成形品20は、好ましく設けられる着色層13、接着剤層14を有している。
本発明の加飾成形品は、好ましくは、本発明の加飾シートを用いて、インサート成形法、サーモジェクト成形法(射出成形同時加飾法)、インジェクションブロー成形法、ガスインジェクション成形法などの各種射出成形法により作製され、より好ましくはインサート成形法及びサーモジェクト成形法により作製されるものである。
本発明の加飾シートが上記の各種成形法による加飾成形品の作製に用いられると、該加飾シートは樹脂成形品の形状に応じて延伸するため、盛上部の形状、すなわち該盛上部の一つの面積、総面積、及び盛上部間の距離は該加飾シートの延伸に応じて変化する。しかし、該加飾シートが上記所定の面積や距離を有していれば、優れた凹凸感が得られ、また多様な凹凸模様を有する意匠を表現することが可能であり、さらに、表面の凸部に割れや白化が発生しにくく、基材シートと盛上部の密着性に優れるという性能を発揮することができる。なお、上記のように、加飾シートの盛上部と、これに対応する加飾成形品における盛上部とは、厳密には形状は同一とはならない。しかし、例えば、該加飾成形品の盛上部における加飾シートの延伸度から、これに対応する加飾シートの盛上部の形状、一つの面積や盛上部間の距離は算出可能であるため、加飾成形品を作製するにあたり使用した加飾シートの特定は可能である。
また、本発明の加飾シートは、最大延伸部の延伸倍率として4倍以下程度、好ましくは3倍以下、より好ましくは2倍以下の、いわゆる深絞り度の高い三次元曲面を有する加飾成形品においても、優れた性能を発揮する。
加飾成形品の作製に用いられる射出樹脂は、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂が代表的である。また、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂なども用途に応じ用いることができる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂、とりわけポリプロピレン樹脂、あるいはABS樹脂が好ましい。
インサート成形法では、真空成形工程において、本発明の加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させ、加飾成形品を製造する。射出成形は、射出する樹脂の熔融温度以上の温度で行えばよく、例えば射出樹脂がポリプロピレン樹脂であれば180〜210℃程度、ABS樹脂の場合は220〜260℃程度で行われる。
サーモジェクト成形法(射出成形同時加飾法)においては、本発明の加飾シートを射出成形の吸引孔が設けられた真空成形型との兼用雌型に配置し、この雌型で予備成形(インライン予備成形)を行った後、射出成形型を型締めして、流動状態の樹脂を型内に射出充填し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させ、加飾成形品を製造する。
なお、サーモジェクト成形法では、射出樹脂による熱圧を加飾シートが受けるため、平板に近く、加飾シートの絞りが小さい場合には、加飾シートは予熱してもしなくてもよい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)基材シート全面に対する盛上部の総面積、盛上部の一つの面積、盛上部間距離、及び盛上部の厚さの測定方法
基材シート全面に対する盛上部の総面積、盛上部の一つの面積、及び盛上部間距離は、非接触表面粗さ計「3次元測定顕微鏡」(「STM6ZP(商品名)」,オリンパス光学工業株式会社製)を用い、倍率50倍、測定ピッチ0.1010mm、駆動スピードは高速の条件で測定した。また、盛上部の厚さは厚み計を用いて測定した。
(2)成形性の評価
実施例及び比較例で得られた加飾シートを用いて加飾成形品を作製した際の、表面の割れや白化の発生について目視にて観察し、以下の基準で判断し、成形性の評価とした。
6:塗膜割れや白化が全く見られず、良好に型の形状に追従した。
5:塗膜割れや白化がほとんど見られず、良好に型の形状に追従した。
4:三次元形状部又は最大延伸部の一部にわずかに塗膜割れ又は白化が認められたが、実用上問題なかった。
3:三次元形状部又は最大延伸部の一部に塗膜割れ又は白化が発生したものの、実用上問題はなかった。
2:型の形状に追従できずに表面保護層又は盛上部に塗膜割れや白化が見られた。
1:型の形状に追従できずに表面保護層又は盛上部に著しい塗膜割れや白化がみられた。
(3)基材シートと盛上部との密着性の評価
実施例及び比較例で得られた加飾シートの基材シート表面の盛上部にカッターで縦、横の傷を直交させて付け、基盤目状の桝目を設けた。その上からセロハンテープ(「CT24(商品名)」,ニチバン(株)製)を用い、指の腹でシートに密着させた後剥離した。判定は目視にて行い、以下の基準で判断した。
5:盛上部の塗膜の剥離は全くなく、密着性は非常に高かった。
4:盛上部の塗膜の剥離がわずかにあったが、密着性は高かった。
3:盛上部の塗膜の剥離があるものの、密着性は良好であり、実用上問題なかった。
2:盛上部の塗膜に剥離があり、密着性が十分ではなかった。
1:盛上部の塗膜の剥離が著しく、密着性に問題があった。
(4)印刷適性
実施例及び比較例における盛上部のパターンの形成状態を目視にて観察し、以下の基準で判断した。
4:盛上部のパターン形成の状態が優れていた。
3:盛上部のパターン形成の状態が良好であった。
2:盛上部のパターン形成状態が若干悪いものの、実用上問題がなかった。
1:盛上部のパターン形成状態が悪かった。
(5)加飾シート及び加飾成形品の外観評価
実施例及び比較例で得られた加飾シート及び加飾成形品の表面外観を目視にて観察し、以下の基準で判断した。
4:凹凸感に優れていた。
3:凹凸感が良好だった。
2:実用上問題がない程度に凹凸感があった。
1:凹凸感がなかった。
実施例1
(加飾シートの製造)
ポリメタクリル酸メチルを主成分とする厚さ75μmの無着色透明なアクリル樹脂シートからなる基材シート裏面に、ポリブチルメタクリレート/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(質量比:2/1)からなる絵柄層(厚さ1μm)、ポリメチルメタクリレート及びポリブチルメタクリレートの混合物及び無機顔料からなる隠蔽層(厚さ2μm)、及び2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤からなる接着剤層(厚さ10μm)を順次積層した後、ABS樹脂からなる支持体層(厚さ400μm)をドライラミネーションにより積層した。次いで、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物を、円形状の盛上部を多数配列した平面視パターンに印刷するとともに、紫外線を160W/cmの条件で照射して印刷版の版形状を保ったまま硬化させて、厚さ30μmの基材シート上に突出した盛上部を形成して、三次元成形用加飾シートを得た。1つの盛上部は、直径1mmの円形であり、基材全面に対する盛上部の総面積は55%、1つの盛上部の最も大きい面積は2mm2であり、最も小さい盛上部間の距離は0.05mmであった。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
単官能性モノマー(フェノキシエチルアクリレート):40質量%
2官能性モノマー(1,4−ブタンジオールジアクリレート):20質量%
ポリエステル系アクリレートオリゴマー(5官能,重量平均分子量:2000):10質量%
熱可塑性樹脂(アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル),重量平均分子量:50000):10質量%
感光性化合物(N,N−ジメチルアクリルアミド):5質量%
体質顔料(シリカ粒子,平均粒径:1μm):5質量%
光重合開始剤:5質量%
紫外線吸収剤:3質量%
フィラー及び顔料:2質量%
(加飾成形品の製造)
上記のようにして得られた三次元成形用加飾シートを固定枠に固定し、該加飾シートの温度が約160℃になるまで約300℃のヒーターで加熱した。加熱され軟化した加飾シートを、上述のように、真空成形工程、トリミング工程及び温度約240℃でABS樹脂を射出樹脂とする射出成形工程を経て、加飾シートと射出樹脂層とを有するインサート成形品を得た。なお、最大延伸部の延伸倍率は、1.5倍であった。
加飾シート、及び該加飾シートを用いて得られた加飾成形品について、上記の評価方法により基材シートと盛上部との密着性の評価、ならびに加飾シート及び加飾成形品の外観評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例2〜13
実施例1において、盛上部の形成に用いる電離放射線硬化性樹脂組成物の組成、盛上部の総面積、一つの面積、距離、及び厚さを第1表に示されるものとした以外は、実施例1と同様にして加飾シート、及び加飾成形品を作製した。得られた加飾シートと加飾成形品について、上記の評価方法により基材シートと盛上部との密着性の評価、ならびに加飾シート及び加飾成形品の外観評価を行った。その結果を第1表に示す。
Figure 2013220549
比較例1
実施例1において、盛上部の形成に用いる電離放射線硬化性樹脂組成物に感光性化合物を用いなかった以外は、実施例1と同様にして加飾シート、及び加飾成形品を作製した。得られた加飾シートと加飾成形品について、上記の評価方法により基材シートと盛上部との密着性の評価、ならびに加飾シート及び加飾成形品の外観評価を行った。その結果を第2表に示す。
比較例2〜6
実施例1において、盛上部の形成に用いる電離放射線硬化性樹脂組成物中の樹脂成分を第2表に記載のものとするか、盛上部の総面積、一つの面積、距離を第2表に記載のものとした以外は、実施例1と同様にして加飾シート、及び加飾成形品を作製した。得られた加飾シートと加飾成形品について、上記の評価方法により基材シートと盛上部との密着性の評価、ならびに加飾シート及び加飾成形品の外観評価を行った。その結果を第2表に示す。
Figure 2013220549
本発明の加飾シート及び加飾成形品は、成形性、密着性、印刷適性、及び外観の全ての評価において優れていることが確認された。電離放射線硬化性樹脂組成物中にオリゴマーを含まない実施例6は、他の実施例と比べて全体的に性能は若干劣るものの、実用上問題はなかった。また、熱可塑性樹脂を用いなかった実施例13は、他の実施例と比べて盛上部のパターン形成状態が若干悪くなり、外観の点で若干劣るものの、実用上問題はなかった。
一方、感光性化合物を用いない比較例1の加飾シートは、真空成形後の三次元成形用加飾シート及び射出成形後の成形品表面に目立つ割れや白化の発生が見られ、密着性も悪く、成形品の商品価値が低下した。また、単官能性モノマーを含まない電離放射線硬化性樹脂組成物を用いた比較例1では表面に白化が認められ、二官能性モノマーを含まない電離放射線硬化性樹脂組成物を用いた比較例4では盛上部の形状がだれてしまい、円形状の盛上部を多数配列した平面視パターンを形成することができなかった。単官能性モノマーを含まず、TI値が7の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いた比較例5及び6では、チクソトロピック性が高すぎて基材シート上に盛上部のパターンを形成することが困難であり、成形性や密着性の評価ができなかった。盛上部の基材全体に対する総面積、1つの盛上部の面積、及び盛上部間距離が規定範囲を超える比較例7では、著しい割れや白化の発生が見られた。また、体質顔料を含まない電離放射線硬化性樹脂組成物を用いた比較例8では、成形性、密着性の点で十分な性能を示すことはできなかった。
本発明の加飾シートは、多様な凹凸模様を有する意匠を表現し、インサート成形の真空成形時又は射出成形時、或いはサーモジェクト成形の射出成形時に、加飾シートの伸びによって表面の凸部に割れや白化が発生しにくく、基材シートと盛上部の密着性に優れるものであるため、該加飾シートを用いた加飾成形品は、建築内外装材、建具、家具、携帯電話部品、車両内外装部品等の各種用途に好適に用いることができる。
10 加飾シート
11 基材シート
12 盛上部
13 着色層
14 接着剤層
15 支持体層
20 加飾成形品
21 射出樹脂層

Claims (12)

  1. 基材シート上の一部に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる盛上部を複数個有し、該盛上部の一つの面積が3mm2以下であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂成分として単官能モノマー及び二官能モノマーを含有し、かつアミド結合を有する感光性化合物、ならびに該電離放射線硬化性樹脂組成物に対して1質量%以上の体質顔料を含有する三次元成形用加飾シート。
  2. アミド結合を有する感光性化合物が、さらにエチレン性不飽和結合を有する請求項1に記載の三次元成形用加飾シート。
  3. アミド結合を有する感光性化合物が、下記の化学式(1)で示される請求項1又は2に記載の三次元成形用加飾シート。
    Figure 2013220549
    (式(1)中、R1は炭素数2〜8のアルケニル基を示し、R2は単結合又は−NR6−を示し、R3は単結合又は炭素数1〜8のアルカンジイル基を示し、R4及びR5は各々独立に水素、炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基を示し、R6は水素又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。また、R2はR3が単結合のときは単結合であり、R3はR2が単結合のときは単結合である。)
  4. 1が炭素数2〜4のアルケニル基であり、R2及びR3が単結合であり、かつR4及びR5が炭素数1〜3のアルキル基である請求項3に記載の三次元成形用加飾シート。
  5. アミド結合を有する感光性化合物が、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
  6. 電離放射線硬化性樹脂組成物中のアミド結合を有する感光性化合物の含有量が、1〜15質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
  7. 電離放射線硬化性樹脂組成物が、熱可塑性樹脂を含む請求項1〜6のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
  8. 電離放射線硬化性樹脂組成物が、該樹脂組成物に対して20質量%未満の体質顔料を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
  9. 全面に対する盛上部の総面積が55%以下であり、かつ該盛上部間の距離が0.03mm以上である請求項1〜8のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
  10. 基材シートの盛上部を設ける面とは反対側の面に、支持体層を有する請求項1〜9のいずれかに記載の三次元成形用加飾シート。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の三次元成形用加飾シートを用いてなり、盛上部、基材シート、及び射出樹脂層を順に有する加飾成形品。
  12. 請求項10に記載の三次元成形用加飾シートを用いてなり、盛上部、基材シート、支持体層、及び射出樹脂層を順に有する加飾成形品。
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