JP2013217256A - 流体ブレーキ装置 - Google Patents

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修平 大江
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Abstract

【課題】ブレーキ特性の変動抑制。
【解決手段】シール構造160は、ブレーキ回転体130の回転方向に辿った場合に筐体内部側から外部側へ向かって遠ざかる雄螺子状の磁性螺子部182と、流体室114に連通するギャップ191を磁性螺子部182との間に形成し、ギャップ191を通じて磁性螺子部182に磁束を案内する磁束ガイド部174と、ブレーキ回転体130との間をシールする液体シール部176と、磁束ガイド部174より筐体外部側且つ液体シール部176より筐体内部側にて、シールギャップ191に連通するギャップ192,193を磁性螺子部182との間に形成する磁束ガイド部175及び仕切部164を有し、ギャップ192,193の幅Gmは、流体室114に封入の磁気粘性流体140のうちギャップ192,193を流通する非磁性液のレイノルズ数を臨界レイノルズ数未満に抑える幅とされる。
【選択図】図5

Description

本発明は、流体ブレーキ装置に関し、特にバルブタイミング調整装置に好適な流体ブレーキ装置に関する。
従来、筐体内部の流体室に封入されてブレーキ回転体と接触する磁気粘性流体に磁束を通過させることで、磁気粘性流体の粘度を可変制御する流体ブレーキ装置が、知られている。この種の流体ブレーキ装置は、比較的小電力にてブレーキ回転体にブレーキトルクを与え得るので、例えば内燃機関においてバルブタイミングを決めるクランク軸及びカム軸間の相対位相(以下、「機関位相」という)を、当該ブレーキトルクに応じて調整するバルブタイミング調整装置等に、好適である(特許文献1,2参照)。
さて、特許文献2に開示される流体ブレーキ装置では、筐体を内外に貫通するブレーキ回転体と当該筐体との間が、シール構造によりシールされている。具体的に、特許文献2のシール構造は、ブレーキ回転体において外周側へ突出する雄螺子状の磁性螺子部と、筐体においてブレーキ回転体の外周側を囲む磁束ガイド部との間に、シールギャップを形成している。ここで、流体室と連通するシールギャップを通じて、磁束が磁束ガイド部と磁性螺子部との間を案内されるので、流体室からシールギャップに磁気吸引される磁気粘性流体が粘度上昇することで、シール膜が形成される。かかるシール膜によれば、磁気粘性流体の筐体外部側への漏出を流体自身により規制する自己シール機能を、発揮し得る。
また、特許文献2のシール構造では、ブレーキ回転体の回転方向に辿った場合に軸方向の筐体内部側から筐体外部側へ向かって遠ざかる雄螺子状に、磁性螺子部が設けられることで、筐体内部側へ向かうモーメントが磁気粘性流体に与えられる。これは、圧縮と膨張との繰り返しにより磁気粘性流体を汲み上げるハイドロダイナミック効果に、粘度上昇に応じた粘性効果が相俟った、ビスコシール機能(螺子型回転ラビリンスシール機能)の発揮による。かかるビスコシール機能によれば、非磁性液に磁性粒子が分散されてなる磁気粘性流体中、磁気吸引によりシールギャップに捕捉される磁性粒子から分離して筐体外部側に流出することになった非磁性液であっても、筐体内部側へ押し戻し得る。
以上、自己シール機能及びビスコシール機能を発揮する特許文献2のシール構造では、磁気粘性流体の漏出に起因したブレーキ特性の変動について、抑制可能となるのである。
特開2010−121614号公報 特開2011−256838号公報
しかし、特許文献2のシール構造では、ブレーキ回転体の回転中には、ビスコシール機能により磁気粘性流体中の非磁性液を筐体内部側に押し戻せるが、ブレーキ回転体の停止中には、当該ビスコシール機能のうちハイドロダイナミック効果を発揮できない。そのため、ブレーキ回転体の停止中にシールギャップの磁気粘性流体中から非磁性液が分離すると、分離した非磁性液が筐体外部側へ漏出してブレーキ特性の変動を招くおそれがあった。
本発明は、以上説明した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ブレーキ特性の変動を抑制する流体ブレーキ装置を、提供することにある。
本発明は、流体室(114)を内部に形成する筐体(110)と、非磁性液に磁性粒子が分散されてなり、流体室に封入されて通過磁束に応じて粘度が変化する磁気粘性流体(140)と、流体室の磁気粘性流体に磁束を通過させることにより、磁気粘性流体の粘度を可変制御する粘度制御手段(150,200)と、軸方向において筐体を内外に貫通して一定方向に回転し、流体室において磁気粘性流体と接触することにより、磁気粘性流体の粘度に応じたブレーキトルクが入力されるブレーキ回転体(130)と、筐体及びブレーキ回転体の間をシールするシール構造(160,2160,3160,4160)とを、備える流体ブレーキ装置であって、シール構造は、ブレーキ回転体に設けられ、ブレーキ回転体の回転方向に辿った場合に軸方向の筐体内部側から筐体外部側へ向かって遠ざかる雄螺子状に、外周側に突出する磁性螺子部(182)と、ブレーキ回転体の外周側を囲む姿勢で筐体に設けられ、流体室に連通するシールギャップ(191,192)を径方向において磁性螺子部との間に形成し、シールギャップを通じて磁性螺子部に磁束を案内する磁束ガイド部(174,175)と、ブレーキ回転体に外周側から接触する姿勢で筐体に設けられ、ブレーキ回転体との間を液密にシールする液体シール部(176,3176,4176)と、磁束ガイド部よりも軸方向の筐体外部側且つ液体シール部よりも軸方向の筐体内部側において、磁性螺子部の外周側を囲む姿勢で筐体に設けられ、シールギャップに連通する貯留ギャップ(192,193,2194)を径方向において磁性螺子部との間に形成する絞り部(175,164,2178)とを、有し、貯留ギャップの径方向幅は、貯留ギャップを流通する非磁性液のレイノルズ数を臨界レイノルズ数未満に抑える幅に、設定されることを特徴とする。
このような特徴の本発明では、ブレーキ回転体のうち磁性螺子部の外周側を囲む姿勢で筐体に設けられる絞り部と、当該磁性螺子部との間には、シールギャップに連通する貯留ギャップが径方向において形成される。ここで絞り部は、磁束ガイド部よりも軸方向の筐体外部側に設けられるので、当該磁束ガイド部と磁性螺子部との間にて磁束が通過するシールギャップの磁気粘性流体中からは、ブレーキ回転体の停止中に非磁性液が分離して筐体外部側の貯留ギャップに流出する事態が想定され得る。
しかし、こうした想定事態を受けて本発明の絞り部は、ブレーキ回転体に外周側から接触して液密のシール機能を発揮する液体シール部よりも、軸方向の筐体内部側に設けられる。これにより貯留ギャップには、液体シール部により筐体外部側への漏出を規制された非磁性液が、貯留されることになる。故に、かかる貯留後に停止中のブレーキ回転体が回転するときには、回転方向に辿った場合に軸方向の筐体内部側から筐体外部側へ向かって遠ざかる雄螺子状の磁性螺子部によって、ビスコシール機能が貯留ギャップの非磁性液に対して発揮され得る。しかも、このとき貯留ギャップを流通する非磁性液のレイノルズ数は、当該貯留ギャップの径方向幅設定により臨界レイノルズ数未満に抑えられることから、筐体外部側への非磁性液の漏出を招くような乱流が生じ難い。故に非磁性液は、層流状態にて貯留ギャップから筐体内部側へ押し戻され得る。したがって、以上の如き本発明によれば、磁気粘性流体中の非磁性液が筐体外部側へと漏出することに起因したブレーキ特性の変動を、抑制可能となる。
また、本発明のさらなる特徴として、シールギャップの径方向幅は、シールギャップを流通する非磁性液のレイノルズ数を臨界レイノルズ数未満に抑える幅に、設定される。こうした特徴によると、シールギャップを流通する非磁性液のレイノルズ数も、当該シールギャップの径方向幅設定により臨界レイノルズ数未満に抑えられることから、貯留ギャップからシールギャップに押し戻された非磁性液の乱流についても、生じ難くなる。これによれば、非磁性液が筐体外部側へ漏出することに起因したブレーキ特性の変動を抑制する効果が、向上する。
第一実施形態によるバルブタイミング調整装置を示す図であって、図2のI−I線断面図である。 図1のII−II線断面図である。 図1のIII−III線断面図である。 図1の磁気粘性流体の特性について説明するための特性図である。 図1のブレーキ装置の要部を拡大して示す断面図である。 図5のVI−VI線断面図である。 図5のシール構造の特性を説明するための特性図である。 第二実施形態によるブレーキ装置の要部を拡大して示す断面図である。 第三実施形態によるブレーキ装置の要部を拡大して示す断面図である。 第四実施形態によるブレーキ装置の要部を拡大して示す断面図である。 図6の変形例を示す断面図である。 図6の変形例を示す断面図である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態による流体ブレーキ装置100を備えたバルブタイミング調整装置1を、示している。車両に搭載されるバルブタイミング調整装置1は、内燃機関のクランク軸(図示しない)からカム軸2へ機関トルクを伝達する伝達系に、設けられている。ここでカム軸2は、内燃機関の「動弁」のうち吸気弁(図示しない)を機関トルクの伝達により開閉するものであり、バルブタイミング調整装置1は、当該吸気弁のバルブタイミングを調整する。
図1〜3に示すようにバルブタイミング調整装置1は、流体ブレーキ装置100に加えて、制御回路200及び位相調整機構300等を組み合わせてなり、クランク軸に対するカム軸2の相対位相である機関位相を調整することで、所望のバルブタイミングを実現する。
(流体ブレーキ装置)
図1に示す電動式の流体ブレーキ装置100は、筐体110、ブレーキ回転体130、磁気粘性流体140、コイル150及びシール構造160を備えている。
全体として中空形状の筐体110は、固定部材111及びカバー部材112を有している。磁性材により段付円筒状に形成される固定部材111は、内燃機関のチェーンケース等の固定節(図示しない)に固定される。磁性材により円形皿状に形成されるカバー部材112は、軸方向に固定部材111を挟んで位相調整機構300とは反対側に、配置されている。固定部材111に液密に嵌入固定されるカバー部材112は、固定部材111との間に挟む空間を、筐体110内部の流体室114として形成している。
ブレーキ回転体130は、ブレーキ軸131及びブレーキロータ132を有している。磁性材により形成される円柱状のブレーキ軸131は、筐体110の各構成要素111,112と同軸上に配置されている。ブレーキ軸131は、筐体110のうち位相調整機構300側の固定部材111を軸方向において内外に貫通することで、筐体110外部の位相調整機構300と連繋している。ブレーキ軸131の軸方向中間部は、筐体110のうち固定部材111に設けられた軸受116により、回転可能に支持されている。これらの構成によりブレーキ回転体130は、内燃機関の運転中にクランク軸から出力される機関トルクが位相調整機構300から伝達されることで、一定方向(図2,3の反時計方向)に回転する。
図1に示すように、磁性材により円環板状に形成されるブレーキロータ132は、ブレーキ軸131のうち位相調整機構300とは反対側の軸方向端部から外周側へ突出することで、筐体110内部の流体室114に収容されている。かかる収容形態によりブレーキロータ132は、流体室114の一部を構成する円環形の磁気ギャップ114a,114bを、それぞれ筐体110の構成要素111,112との間に形成している。
こうした磁気ギャップ114a,114bを含んでなる流体室114には、磁気粘性流体140が予め封入されている。機能性流体の一種である磁気粘性流体140は、非磁性液に粉状の磁性粒子を懸濁状に分散させてなる。磁気粘性流体140中の非磁性液は、例えば内燃機関の潤滑オイルと同種のオイル等を主成分とする液状の非磁性材である。一方、磁気粘性流体140中の磁性粒子は、例えばカルボニル鉄等といった粉状の磁性材である。こうした成分構成の磁気粘性流体140は、通過する磁束の密度に追従して見かけ上の粘度が図4の如く上昇変化することで、当該粘度に比例して降伏応力が増大する特性を、有している。
図1に示すようにコイル150は、樹脂ボビン151に金属線材を巻回してなり、ブレーキロータ132の外周側に同軸上に配置されている。コイル150は、固定部材111及びカバー部材112に挟まれた状態で、筐体110に保持されている。かかる保持形態のコイル150が通電されると、固定部材111から磁気ギャップ114a、ブレーキロータ132、磁気ギャップ114b及びカバー部材112を順次通過する磁束が、発生する。したがって、ブレーキ回転体130の回転中には、コイル150の発生磁束が各磁気ギャップ114a,114bの磁気粘性流体140を通過することで、回転方向と逆方向(図2,3の時計方向)のブレーキトルクが、当該流体140の粘度に応じた大きさにてブレーキロータ132に入力される。
図1に示すようにシール構造160は、筐体110において軸方向の流体室114及び軸受116間に設けられている。シール構造160は、筐体110のうち固定部材111と、ブレーキ回転体130のうちブレーキ軸131との間をシールすることで、磁気粘性流体140が筐体110の外部へ漏出するのを規制する。
(制御回路)
図1に示す制御回路200は、マイクロコンピュータを主体に構成され、流体ブレーキ装置100の外部に配置されている。制御回路200は、流体ブレーキ装置100のコイル150と電気接続されている。内燃機関の運転中において制御回路200は、コイル150への通電電流を制御することで、磁気粘性流体140の粘度を可変制御する。かかる可変制御の結果、ブレーキ回転体130へ入力されるブレーキトルクは、コイル150への通電電流に追従して増減することになる。以上、制御回路200及びコイル150が共同して「粘度制御手段」を構成している。
(位相調整機構)
図1〜3に示すように位相調整機構300は、駆動回転体10、従動回転体20、アシスト部材30、遊星キャリア40及び遊星歯車50を備えている。
図1,2に示すように駆動回転体10は、金属により円筒状に形成されている。駆動回転体10の周壁部は、歯底円よりも小径の歯先円を有する駆動側内歯車部14と、外周側へ突出する複数のスプロケット歯16とを、形成している。駆動回転体10は、スプロケット歯16とクランク軸の歯との間にてタイミングチェーン(図示なし)を掛け渡されることで、クランク軸と連繋する。かかる連繋形態により内燃機関の運転中は、クランク軸から出力される機関トルクが伝達されることで、駆動回転体10がクランク軸と連動して一定方向(図2,3の反時計方向)に回転する。
図1,3に示すように従動回転体20は、金属により有底円筒状に形成され、駆動回転体10の内周側に同軸上に配置されている。従動回転体20の周壁部は、歯底円よりも小径の歯先円を有する従動側内歯車部22を、形成している。従動回転体20の底壁部は、カム軸2と同軸上に連繋している。かかる連繋形態により内燃機関運転中の従動回転体20は、カム軸2と連動して一定方向(図2,3の反時計方向)に回転しつつ、駆動回転体10に対して相対回転可能となっている。
図1に示すように、金属製のねじりコイルばねからなるアシスト部材30は、駆動回転体10の内周側に同軸上に配置されている。アシスト部材30は、回転体10,20にそれぞれ係止される両端部31,32の間にてねじれ変形することで、駆動回転体10に対する遅角側へと従動回転体20を付勢する。
図1〜3に示すように遊星キャリア40は、金属により円筒状に形成され、継手43を介してブレーキ軸131と同軸上に連繋している。かかる連繋形態により内燃機関運転中の遊星キャリア40は、ブレーキ回転体130と一体に一定方向(図2,3の反時計方向)へと回転しつつ、駆動回転体10に対して相対回転可能となっている。遊星キャリア40の周壁部は、円筒面状の軸受部46を形成している。回転体10,20及びブレーキ軸131に対して偏心配置される軸受部46は、遊星ベアリング48を介して遊星歯車50の中心孔51に同軸上に嵌入されている。かかる嵌入形態により遊星歯車50は、軸受部46により軸受されることで、遊星運動可能となっている。
遊星歯車50は、金属により段付円筒状に形成されている。遊星歯車50の周壁部は、歯底円よりも大径の歯先円を有する外歯車部52,54を、形成している。駆動側外歯車部52は、駆動側内歯車部14の径方向内周側に配置され、当該内歯車部14と噛合している。従動側外歯車部54は、従動側内歯車部22の径方向内周側に配置され、当該内歯車部22と噛合している。
以上の構成により位相調整機構300は、ブレーキ回転体130へ入力されるブレーキトルクと、当該ブレーキトルクとは逆方向へブレーキ回転体130に作用するアシスト部材30のアシストトルクに応じて、機関位相を調整する。具体的には、ブレーキトルクの保持等によりブレーキ回転体130が駆動回転体10と同速の回転を実現するときには、遊星キャリア40が当該回転体10に対して相対回転しない。その結果、遊星歯車50が遊星運動せずに回転体10,20と連れ回りするので、機関位相が保持される。一方、ブレーキトルクの増大等により、ブレーキ回転体130がアシストトルクに抗して駆動回転体10よりも低速の回転を実現するときには、遊星キャリア40が当該回転体10に対する遅角側へ相対回転する。その結果、遊星歯車50が遊星運動して従動回転体20が駆動回転体10に対する進角側へ相対回転するので、機関位相が進角する。また一方、ブレーキトルクの減少等により、ブレーキ回転体130がアシストトルクを受けて駆動回転体10よりも高速の回転を実現するときには、遊星キャリア40が当該回転体10に対する進角側へ相対回転する。その結果、遊星歯車50が遊星運動して従動回転体20が駆動回転体10に対する遅角側へ相対回転するので、機関位相が遅角するのである。
(シール構造)
以下、シール構造160の詳細を、説明する。尚、以下の説明では、筐体110の内部を単に「筐体内部」と表記し、筐体110の外部を単に「筐体外部」と表記する。また、ブレーキ回転体130の軸方向、径方向及び回転方向を、それぞれ単に「軸方向」、「径方向」及び「回転方向」と表記する。
図1,5に示すようにシール構造160は、筐体110のうち固定部材111に設けられる一対の磁気シールド161,162及び磁気シールスリーブ170と、ブレーキ回転体130のうちブレーキ軸131に設けられる磁気シール軸180とから、構成されている。
図5に示すように第一磁気シールド161は、例えばオーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性材により、円筒状に形成されている。第一磁気シールド161は、固定部材111の内周部に同軸上に嵌合固定されることで、磁気シール軸180の外周側を回転方向に沿って囲んでいる。第一磁気シールド161は、仕切部164、スリーブ固定部165及びシール固定部166を有している。仕切部164は、第一磁気シールド161の軸方向中間部に設けられ、内周側へ突出する円環板状を呈している。スリーブ固定部165は、軸方向において仕切部164よりも筐体内部側に設けられ、当該仕切部164を底壁とする有底円筒孔状を呈している。シール固定部166は、軸方向において仕切部164よりも筐体外部側に設けられ、当該仕切部164を底壁とする有底円筒孔状を呈している。
第二磁気シールド162は、例えばオーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性材により、円環板状に形成されている。第二磁気シールド162は、固定部材111の内周部に同軸上に嵌合固定されることで、磁気シール軸180の外周側を回転方向に沿って囲んでいる。本実施形態の第二磁気シールド162は、スリーブ固定部165とは軸方向の筐体内部側に隣接し且つ仕切部164からは軸方向の筐体内部側に離間する姿勢に、配置されている。
磁気シールスリーブ170は、永久磁石部172、一対の磁束ガイド部174,175及び液体シール部176を有している。
永久磁石部172は、例えばフェライト磁石等により、円筒状に形成されている。永久磁石部172は、スリーブ固定部165に同軸上に嵌合固定されることで、磁気シール軸180の外周側を回転方向に沿って囲んでいる。永久磁石部172は、軸方向の両端部にそれぞれ相反極性の磁極N,Sを形成しており、図5に模式的に示す如く磁束Mを、それら磁極N,S間に定常的に発生させる。
図5に示す各磁束ガイド部174,175は、例えば炭素鋼等の磁性材により、円環板状に形成されている。各磁束ガイド部174,175は、スリーブ固定部165に同軸上に嵌合固定されることで、磁気シール軸180の外周側を回転方向に沿って囲んでいる(磁束ガイド部175については、図6も参照)。第一磁束ガイド部174に対して第二磁束ガイド部175が軸方向の筐体外部側に離間して配置されることで、軸方向においては、それら磁束ガイド部174,175の間に永久磁石部172が挟持されている。本実施形態では、第一磁束ガイド部174が第二磁気シールド162に対して軸方向の筐体外部側に隣接している一方、第二磁束ガイド部175が仕切部164に対して軸方向の筐体内部側に隣接している。また、本実施形態の各磁束ガイド部174,175は、相互間の永久磁石部172よりも内周側へ突出している。
液体シール部176は、例えば合成ゴム等よりなるシールリップ177を主体としたオイルシールである。液体シール部176は、シール固定部166に同軸上に嵌合固定されることで、軸方向の磁束ガイド部174,175よりも筐体外部側において磁気シール軸180の外周側を回転方向に沿って囲んでいる。本実施形態の液体シール部176は、仕切部164に対して軸方向の筐体外部側に隣接し且つ軸受116に対して軸方向の筐体内部側に隣接する姿勢に、配置されている。こうした液体シール部176のシールリップ177は、磁気シール軸180のうち円筒面状の接触部181に対して外周側から摺動可能に接触することで、当該軸180との間を液密にシールしている。
磁気シール軸180は、上述の接触部181に加えて、当該接触部181よりも軸方向の筐体内部側に磁性螺子部182を有している。
磁性螺子部182は、ブレーキ軸131の一部として、例えばクロムモリブデン鋼等の磁性材により、形成されている。磁性螺子部182は、第二磁気シールド162の内周側から仕切部164の内周側に到る軸方向範囲Sに配置されることで、当該範囲Sの外周側の要素162,174,172,175,164により同軸上に囲まれている。図5,6に示すように磁性螺子部182は、回転方向(図5,6では、白抜矢印の方向)に辿った場合に筐体内部側から筐体外部側へ向かって遠ざかる雄螺子状に、外周側へ突出している。磁性螺子部182において軸方向に沿った山及び谷の断面形状は、本実施形態では矩形状であるが、それ以外の例えば三角形状等であってもよい。また、本実施形態の磁性螺子部182は、軸方向範囲Sの全域にて山頂外径(即ち、磁性螺子部182の直径)が実質一定の平行螺子状となるように、例えばブレーキ軸131に対する切削加工によって形成されている。
こうした磁性螺子部182の山頂外径は、軸方向範囲Sの外周側要素162,174,172,175,164の内径のいずれよりも、小さく設定されている。ここで、軸方向範囲Sの外周側要素162,174,172,175,164のうち、第二磁気シールド162及び永久磁石部172を除くものの内径は互いに実質同一に設定され、当該設定内径よりも大きくなるように第二磁気シールド162及び永久磁石部172の内径が設定されている。これらの設定により磁性螺子部182は、第一磁束ガイド部174との間に第一シールギャップ191を、また第二磁束ガイド部175との間に第二シールギャップ192を、さらに仕切部164との間にシールドギャップ193を、それぞれ径方向において形成している。そして特に本実施形態では、第一シールギャップ191が永久磁石部172の内周側を介して第二シールギャップ192と軸方向に連通し、さらに第二シールギャップ192がシールドギャップ193と直接的に軸方向に連通している。
このように形成される各ギャップ191,192,193は、それぞれ外周側の要素174,175,164と磁性螺子部182の山頂との間にて、最小の径方向幅(半径隙間サイズ)Gmとなる。ここで各ギャップ191,192,193の最小径方向幅Gmは、各ギャップ191,192,193を磁気粘性流体140中の非磁性液が流通するときに例えば図7の如く当該非磁性液のレイノルズ数Reを臨界レイノルズ数Rcr未満に抑えるように、実質同一幅に予設定されている。
具体的には、例えば断面矩形の磁性螺子部182に関して山幅をAr、谷幅をAg、谷底に対する山頂高さをHと定義したとき、最小径方向幅Gmは、各ギャップ191,192,193の平均の径方向幅Gavとの間に下記数式1の関係を満たす。また、各ギャップ191,192,193を流通する非磁性液に関して流速をF、使用環境下での最低粘度をνと定義したとき、当該非磁性液のレイノルズ数Reは、各ギャップ191,192,193の平均径方向幅Gavとの間に下記数式2の関係を満たす。さらに、磁性螺子部182の山頂外径をDと定義したとき、各ギャップ191,192,193において非磁性液の流れが図7の如く層流から乱流へ遷移するときのレイノルズ数Reである臨界レイノルズ数Rcrは、平均径方向幅Gavとの間に下記数式3の関係を満たす。
Figure 2013217256
Figure 2013217256
Figure 2013217256
上記数式1,2,3が成立する本実施形態において、流速Fを決める磁性螺子部182の回転速度に図7の如く比例するレイノルズ数Reは、最小径方向幅Gmの予設定により下記数式4の関係を、当該回転速度の可変範囲全域にて満たすのである。尚、磁性螺子部182の回転速度について本実施形態では、当該磁性螺子部182を有したブレーキ軸131と一体回転するカム軸2の回転速度に実質等しい速度となる。
Figure 2013217256
以上の構成によりシール構造160では、図5に示すように、流体室114と連通することになる各シールギャップ191,192を通じて、永久磁石部172の発生磁束Mが各磁束ガイド部174,175と磁性螺子部182との間を案内される。その結果、流体室114から各シールギャップ191,192に磁気吸引される磁気粘性流体140が粘度上昇することで、シール膜が形成される。かかるシール膜によりシール構造160では、磁気粘性流体140の筐体外部側への漏出を流体自身により規制する自己シール機能が、発揮されることになる。
また、シール構造160では、回転方向に辿った場合に筐体内部側から筐体外部側へ向かって遠ざかる雄螺子状の磁性螺子部182は、シールギャップ191,192及びシールドギャップ193の各々にて筐体内部側に向かうモーメントを磁気粘性流体140に与える。これは、圧縮と膨張との繰り返しにより磁気粘性流体140を汲み上げるハイドロダイナミック効果に、粘度上昇に応じた粘性効果が相俟った、ビスコシール機能の発揮による。かかるビスコシール機能を発揮するシール構造160では、磁気粘性流体140中、磁気吸引により各シールギャップ191,192に捕捉される磁性粒子から分離して筐体外部側に流出することになった非磁性液であっても、筐体内部側へと押し戻されるのである。
(作用効果)
ここまで説明した第一実施形態の作用効果を、以下に説明する。
第一実施形態では、磁性螺子部182の外周側を囲む第二磁束ガイド部175と、当該磁性螺子部182との間には、第一シールギャップ191に連通する第二シールギャップ192が径方向において形成されている。ここで、かかる第二磁束ガイド部175は、第一磁束ガイド部174よりも軸方向の筐体外部側に設けられている。故に、第一磁束ガイド部174と磁性螺子部182との間にて磁束Mが通過する第一シールギャップ191の磁気粘性流体140中からは、ブレーキ回転体130の停止中に非磁性液が分離して筐体外部側の第二シールギャップ192に流出する事態が想定され得る。
それと共に第一実施形態では、磁性螺子部182の外周側を囲む仕切部164と、当該磁性螺子部182との間には、第二シールギャップ192に連通するシールドギャップ193が径方向において形成されている。ここで、かかる仕切部164は、第二磁束ガイド部175よりも軸方向の筐体外部側に設けられている。故に、第二磁束ガイド部175と磁性螺子部182との間にて磁束Mが通過する第二シールギャップ192の磁気粘性流体140中からは、ブレーキ回転体130の停止中に非磁性液が分離して筐体外部側のシールドギャップ193に流出する事態が想定され得る。
こうした想定事態を受けて、第一実施形態の第二磁束ガイド部175及び仕切部164は、ブレーキ回転体130の接触部181に外周側から接触して液密のシール機能を発揮する液体シール部176よりも、軸方向の筐体内部側に設けられている。これにより、第二磁束ガイド部175及び仕切部164と磁性螺子部182との間に形成される各ギャップ192,193では、液体シール部176により筐体外部側への漏出を規制された非磁性液が、貯留されることになる。故に、かかる貯留後に停止中のブレーキ回転体130が回転するときには、回転方向に辿った場合に軸方向の筐体内部側から筐体外部側へ向かって遠ざかる雄螺子状の磁性螺子部182によって、ビスコシール機能が各ギャップ192,193の非磁性液に対して発揮され得る。しかも、このとき各ギャップ192,193を流通する非磁性液のレイノルズ数Reは、それら各ギャップ192,193の最小径方向幅Gmの設定により臨界レイノルズ数Rcr未満に抑えられているので、筐体外部側への非磁性液の漏出を招くような乱流が生じ難い。故に非磁性液は、層流状態にて各ギャップ192,193から筐体内部側に押し戻され得る。したがって、このような第一実施形態によれば、磁気粘性流体140中の非磁性液が筐体外部側へと漏出することに起因したブレーキ特性の変動を、抑制可能となる。
また、第一実施形態では、第二シールギャップ192の場合と同様に、第一シールギャップ191を流通する非磁性液のレイノルズ数Reについても、当該ギャップ191の最小径方向幅Gmの設定により臨界レイノルズ数Rcr未満に抑えられている。これによれば、第二シールギャップ192から永久磁石部172の内周側を通じて第一シールギャップ191に押し戻された非磁性液の乱流も、生じ難くなるので、非磁性液の筐体外部側への漏出に起因したブレーキ特性の変動に対して、抑制効果が向上する。尚、シールドギャップ193から第二シールギャップ192に押し戻された非磁性液の乱流についても、同様の原理により生じ難くなって、ブレーキ特性の変動抑制効果の向上をもたらすことは、言うまでもない。
さらに第一実施形態では、筐体内部側の第一シールギャップ191だけでなく、筐体外部側の第二シールギャップ192にも磁束Mが通過している。故に、第一シールギャップ191の磁気粘性流体140中から磁性粒子が、非磁性液に巻き込まれる等して筐体外部側の第二シールギャップ192に向かって流出したとしても、当該第二シールギャップ192での磁気吸引によって補助的に捕捉され得る。これによれば、磁気粘性流体140中の磁性粒子が筐体外部側へ漏出することに起因したブレーキ特性の変動についても、抑制可能となる。
そして、このようにしてブレーキ特性の変動を抑制可能な第一実施形態によれば、バルブタイミング調整装置1において当該変動に左右される機関位相の調整精度を、高精度に維持することが可能となる。また、第一実施形態において磁気粘性流体140のシール膜を形成する各シールギャップ191,192では、磁性粒子を巻き込むような非磁性液の筐体外部側への流出が規制されるので、磁性粒子の捕捉に必要な磁束Mの通過密度を可及的に小さくし得る。これによれば、シール膜がブレーキ回転体130の磁性螺子部182に与える摩擦抵抗を低減できるので、耐久性の向上のみならず、当該摩擦抵抗に起因して内燃機関の燃費低下を招くトルクロスの回避についても、可能となるのである。
尚、以上の作用効果の説明からも明らかなように第一実施形態では、「磁束ガイド部」としての第一磁束ガイド部174が「シールギャップ」として形成する第一シールギャップ191に対し、第二磁束ガイド部175及び仕切部164の少なくとも一方が「絞り部」を構成することで、第二シールギャップ192及びシールドギャップ193の少なくとも一方が「貯留ギャップ」として機能する。また、第一実施形態では、「磁束ガイド部」としての第二磁束ガイド部175が「シールギャップ」として形成する第二シールギャップ192に対し、仕切部164が「絞り部」を構成することで、シールドギャップ193が「貯留ギャップ」として機能する。
(第二実施形態)
図8に示すように本発明の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態においてシール構造2160の磁気シールスリーブ2170には、磁束ストッパ部2178がさらに追加されている。
磁束ストッパ部2178は、例えばオーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性材により円筒状に形成されている。磁束ストッパ部2178は、永久磁石部172の内周部に同軸上に嵌合固定されることで、磁気シール軸180のうち磁性螺子部182の外周側を回転方向に沿って囲んでいる。本実施形態の磁束ストッパ部2178は、第一磁束ガイド部174に対しては軸方向の筐体外部側に隣接し且つ第二磁束ガイド部175に対しては軸方向の筐体内部側に隣接する姿勢に、配置されている。かかる配置形態により磁束ストッパ部2178は、永久磁石部172から磁性螺子部182への磁束Mの短絡を規制している。
磁性螺子部182が配置される軸方向範囲Sの外周側において磁束ストッパ部2178の内径は、当該範囲Sの外周側要素162,174,172,175,164のうち第二磁気シールド162及び永久磁石部172を除くものの内径と、実質同一に設定されている。かかる設定により、磁束ストッパ部2178の内径が磁性螺子部182の山頂外径よりも大きくなる本実施形態では、各シールギャップ191,192と直接的に軸方向に連通するストッパギャップ2194が、それら要素2178,182間にて径方向に形成されている。
このように形成されるストッパギャップ2194は、磁束ストッパ部2178と磁性螺子部182の山頂との間にて、他のギャップ191,192,193と実質同一の最小径方向幅Gmとなる。故に、ストッパギャップ2194についても、当該ギャップ2194を磁気粘性流体140中の非磁性液が流通するときの当該非磁性液のレイノルズ数Reを臨界レイノルズ数Rcr未満に抑えるように、最小径方向幅Gmが予設定されている。即ち、数式1,2,3の成立下、磁性螺子部182の回転速度の可変範囲全域にてレイノルズ数Reが数式4の関係を満たしているのである。
以上の如き第二実施形態では、第一実施形態と同様な作用効果が奏され得る。それと共に第二実施形態では、永久磁石部172から磁性螺子部182への磁束Mの短絡が規制されることで、各シールギャップ191,192を通過する磁束Mの密度が高められるので、それらギャップでは、磁気粘性流体140中の磁性粒子が強固に捕捉され得る。
さらに、第二実施形態の第一シールギャップ191において磁性粒子が強固に捕捉された磁気粘性流体140中から分離した非磁性液は、磁束ストッパ部2178と磁性螺子部182との間にて第一シールギャップ191と連通するストッパギャップ2194への流出が、想定され得る。しかし、非磁性液は、ブレーキ回転体130の停止中にストッパギャップ2194に貯留されることで、ブレーキ回転体130の回転時には、層流状態にて第一シールギャップ191に押し戻され得る。
こうした第二実施形態によれば、磁気粘性流体140中の非磁性液及び磁性粒子が筐体外部側へ漏出することに起因したブレーキ特性の変動に対して、抑制効果が向上するのである。尚、第二実施形態では、「磁束ガイド部」としての第一磁束ガイド部174が「シールギャップ」として形成する第一シールギャップ191に対し、第二磁束ガイド部175及び仕切部164の少なくとも一方と磁束ストッパ部2178とが「絞り部」を構成することで、第二シールギャップ192及びシールドギャップ193の少なくとも一方とストッパギャップ2194とが「貯留ギャップ」として機能する。
(第三及び第四実施形態)
図9,10に示すように本発明の第三及び第四実施形態は、それぞれ第一及び第二実施形態の変形例である。第三及び第四実施形態においてシール構造3160,4160の磁気シールスリーブ3170,4170は、オイルシールの代わりに、例えば合成ゴム等よりなるOリングを、液体シール部3176,4176として有している。かかるOリング製の液体シール部3176,4176は、磁気シール軸180の接触部181に外周側から摺動可能に接触して、当該軸180との間を液密にシールしている。したがって、第三及び第四実施形態によっても、それぞれ変形元の第一及び第二実施形態と同様の作用効果が奏され得る。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
具体的に第一〜第四実施形態では、図11に変形例(同図は第一実施形態の変形例)を示すように、磁性螺子部182との間にシールドギャップ193を形成する仕切部164を、第一磁気シールド161に設けなくてもよい。尚、第一及び第三実施形態において仕切部164を設けない場合には、「磁束ガイド部」としての第一磁束ガイド部174が「シールギャップ」として形成する第一シールギャップ191に対し、第二磁束ガイド部175が「絞り部」を構成することで、第二シールギャップ192が「貯留ギャップ」として機能する。一方、第二及び第四実施形態において仕切部164を設けない場合には、「磁束ガイド部」としての第一磁束ガイド部174が「シールギャップ」として形成する第一シールギャップ191に対し、第二磁束ガイド部175と磁束ストッパ部2178とが「絞り部」を構成することで、第二シールギャップ192とストッパギャップ2194とが「貯留ギャップ」として機能する。
また、第一〜第四実施形態では、図12に変形例(同図は第一実施形態の変形例)を示すように、磁性螺子部182との間に第二シールギャップ192を形成する第二磁束ガイド部175を、磁気シールスリーブ170,2170,3170,4170に設けなくてもよい。尚、第一及び第三実施形態において第二磁束ガイド部175を設けない場合には、「磁束ガイド部」としての第一磁束ガイド部174が「シールギャップ」として形成する第一シールギャップ191に対し、仕切部164が「絞り部」を構成することで、シールドギャップ193が「貯留ギャップ」として機能する。一方、第二及び第四実施形態において第二磁束ガイド部175を設けない場合には、「磁束ガイド部」としての第一磁束ガイド部174が「シールギャップ」として形成する第一シールギャップ191に対し、仕切部164と磁束ストッパ部2178とが「絞り部」を構成することで、シールドギャップ193とストッパギャップ2194とが「貯留ギャップ」として機能する。
さらに、第一及び第三実施形態では、各シールギャップ191,192とシールドギャップ193の最小径方向幅Gmを、数式4の成立する範囲で相異なる幅に設定してもよい。あるいは第一及び第三実施形態では、各シールギャップ191,192の少なくとも一方の最小径方向幅Gmを、数式4の成立・不成立に拘らず適宜の幅に設定してもよい。尚、例えば第二シールギャップ192の最小径方向幅Gmを、数式4が不成立となる範囲に設定する場合には、「磁束ガイド部」としての第一磁束ガイド部174が「シールギャップ」として形成する第一シールギャップ191に対し、仕切部164が「絞り部」を構成することで、シールドギャップ193が「貯留ギャップ」として機能する。
またさらに、第二及び第四実施形態では、各シールギャップ191,192とシールドギャップ193とストッパギャップ2194の最小径方向幅Gmを、数式4の成立する範囲で相異なる幅に設定してもよい。あるいは第二及び第四実施形態では、各シールギャップ191,192とストッパギャップ2194とのうち少なくとも一つの最小径方向幅Gmを、数式4の成立・不成立に拘らず適宜の幅に設定してもよい。尚、例えば第二シールギャップ192とストッパギャップ2194とのうち少なくとも一方の最小径方向幅Gmを、数式4が不成立となる範囲に設定する場合には、「磁束ガイド部」としての第一磁束ガイド部174が「シールギャップ」として形成する第一シールギャップ191に対し、少なくとも仕切部164が「絞り部」を構成することで、少なくともシールドギャップ193が「貯留ギャップ」として機能する。
加えて、第一〜第四実施形態では、軸方向において筐体内部側及び筐体外部側の一方から他方に向かうほど山頂外径が縮小する形状、例えば円錐螺子状等に磁性螺子部182を形成してもよい。この場合、各ギャップ191,192,193,2194において磁性螺子部182の山頂が外周側の要素174,175,164,2178との間に形成する部分の最大の径方向幅を、Gmとして設定することになる。
また加えて、第一〜第四実施形態では、第一及び第二磁気シールド161,162のうち少なくとも一方を、例えば筐体110との一体形成等により、磁性材からなる要素として構成してもよい。
さらに加えて、本発明は、「動弁」としての吸気弁のバルブタイミングを調整する装置以外にも、「動弁」としての排気弁のバルブタイミングを調整する装置や、それら吸気弁及び排気弁の双方のバルブタイミングを調整する装置の他、ブレーキトルクを利用する各種の装置に適用することが、可能である。
1 バルブタイミング調整装置、2 カム軸、100 流体ブレーキ装置、110 筐体、111 固定部材、114 流体室、130 ブレーキ回転体、131 ブレーキ軸、140 磁気粘性流体、150 コイル、160,2160,3160,4160 シール構造、161 第一磁気シールド、162 第二磁気シールド、164 仕切部、170,2170,3170,4170 磁気シールスリーブ、172 永久磁石部、174 第一磁束ガイド部、175 第二磁束ガイド部、176,3176,4176 液体シール部、180 磁気シール軸、182 磁性螺子部、191 第一シールギャップ、192 第二シールギャップ、193 シールドギャップ、200 制御回路、300 位相調整機構、2178 磁束ストッパ部、2194 ストッパギャップ、Gm 最小径方向幅、M 磁束、Rcr 臨界レイノルズ数、Re レイノルズ数

Claims (5)

  1. 流体室(114)を内部に形成する筐体(110)と、
    非磁性液に磁性粒子が分散されてなり、前記流体室に封入されて通過磁束に応じて粘度が変化する磁気粘性流体(140)と、
    前記流体室の前記磁気粘性流体に磁束を通過させることにより、前記磁気粘性流体の粘度を可変制御する粘度制御手段(150,200)と、
    軸方向において前記筐体を内外に貫通して一定方向に回転し、前記流体室において前記磁気粘性流体と接触することにより、前記磁気粘性流体の粘度に応じたブレーキトルクが入力されるブレーキ回転体(130)と、
    前記筐体及び前記ブレーキ回転体の間をシールするシール構造(160,2160,3160,4160)とを、
    備える流体ブレーキ装置であって、
    前記シール構造は、
    前記ブレーキ回転体に設けられ、前記ブレーキ回転体の回転方向に辿った場合に軸方向の前記筐体内部側から前記筐体外部側へ向かって遠ざかる雄螺子状に、外周側に突出する磁性螺子部(182)と、
    前記ブレーキ回転体の外周側を囲む姿勢で前記筐体に設けられ、前記流体室に連通するシールギャップ(191,192)を径方向において前記磁性螺子部との間に形成し、前記シールギャップを通じて前記磁性螺子部に磁束を案内する磁束ガイド部(174,175)と、
    前記ブレーキ回転体に外周側から接触する姿勢で前記筐体に設けられ、前記ブレーキ回転体との間を液密にシールする液体シール部(176,3176,4176)と、
    前記磁束ガイド部よりも軸方向の前記筐体外部側且つ前記液体シール部よりも軸方向の前記筐体内部側において、前記磁性螺子部の外周側を囲む姿勢で前記筐体に設けられ、前記シールギャップに連通する貯留ギャップ(192,193,2194)を径方向において前記磁性螺子部との間に形成する絞り部(175,164,2178)とを、
    有し、
    前記貯留ギャップの径方向幅は、前記貯留ギャップを流通する前記非磁性液のレイノルズ数を臨界レイノルズ数未満に抑える幅に、設定されることを特徴とする流体ブレーキ装置。
  2. 前記シールギャップの径方向幅は、前記シールギャップを流通する前記非磁性液のレイノルズ数を前記臨界レイノルズ数未満に抑える幅に、設定されることを特徴とする請求項1に記載の流体ブレーキ装置。
  3. 前記シール構造は、
    前記シールギャップとしての第一シールギャップ(191)を通じて前記磁性螺子部に磁束を案内する第一磁束ガイド部(174)と、
    前記第一磁束ガイド部よりも軸方向の前記筐体外部側において、前記磁性螺子部の外周側を囲む姿勢で前記筐体に設けられることにより、前記絞り部の少なくとも一部を構成し、前記第一シールギャップに連通する前記貯留ギャップとしての第二シールギャップ(192)を径方向において前記磁性螺子部との間に形成し、前記第二シールギャップを通じて前記磁性螺子部に磁束を案内する第二磁束ガイド部(175)とを、
    有することを特徴とする請求項1又は2に記載の流体ブレーキ装置。
  4. 前記シール構造は、
    軸方向の前記第一磁束ガイド部と前記第二磁束ガイド部との間において、前記ブレーキ回転体の外周側を囲む姿勢で前記筐体に設けられ、前記第一磁束ガイド部及び前記第二磁束ガイド部から前記磁性螺子部に案内される磁束を発生する永久磁石部(172)と、
    前記永久磁石部の内周側において、前記ブレーキ回転体の外周側を囲む姿勢で前記筐体に設けられることにより、前記第二磁束ガイド部と共に前記絞り部の少なくとも一部を構成し、前記第一シールギャップ及び前記第二シールギャップに連通する前記貯留ギャップとしてのストッパギャップ(2194)を径方向において前記磁性螺子部との間に形成し、前記永久磁石部から前記磁性螺子部への磁束の短絡を規制する磁束ストッパ部(2178)を、
    有することを特徴とする請求項3に記載の流体ブレーキ装置。
  5. 内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸(2)が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の流体ブレーキ装置(100)と、
    前記流体ブレーキ装置の前記筐体外部において前記ブレーキ回転体と連繋し、前記ブレーキ回転体へ入力される前記ブレーキトルクに応じて前記クランク軸及び前記カム軸の間の相対位相を調整する位相調整機構(300)とを、備えることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
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