JP5397411B2 - 流体ブレーキ装置及びバルブタイミング調整装置 - Google Patents

流体ブレーキ装置及びバルブタイミング調整装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5397411B2
JP5397411B2 JP2011110614A JP2011110614A JP5397411B2 JP 5397411 B2 JP5397411 B2 JP 5397411B2 JP 2011110614 A JP2011110614 A JP 2011110614A JP 2011110614 A JP2011110614 A JP 2011110614A JP 5397411 B2 JP5397411 B2 JP 5397411B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluid
brake
chamber
fluid chamber
brake device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011110614A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012241563A (ja
Inventor
修平 大江
邦晃 岡
誠 大坪
潤 山田
健一 奈良
誠一郎 鷲野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Soken Inc
Original Assignee
Denso Corp
Nippon Soken Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp, Nippon Soken Inc filed Critical Denso Corp
Priority to JP2011110614A priority Critical patent/JP5397411B2/ja
Priority to US13/472,838 priority patent/US8627794B2/en
Publication of JP2012241563A publication Critical patent/JP2012241563A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5397411B2 publication Critical patent/JP5397411B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01LCYCLICALLY OPERATING VALVES FOR MACHINES OR ENGINES
    • F01L1/00Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear
    • F01L1/34Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift
    • F01L1/344Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift changing the angular relationship between crankshaft and camshaft, e.g. using helicoidal gear
    • F01L1/352Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift changing the angular relationship between crankshaft and camshaft, e.g. using helicoidal gear using bevel or epicyclic gear
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60TVEHICLE BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF; BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF, IN GENERAL; ARRANGEMENT OF BRAKING ELEMENTS ON VEHICLES IN GENERAL; PORTABLE DEVICES FOR PREVENTING UNWANTED MOVEMENT OF VEHICLES; VEHICLE MODIFICATIONS TO FACILITATE COOLING OF BRAKES
    • B60T10/00Control or regulation for continuous braking making use of fluid or powdered medium, e.g. for use when descending a long slope
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D57/00Liquid-resistance brakes; Brakes using the internal friction of fluids or fluid-like media, e.g. powders
    • F16D57/002Liquid-resistance brakes; Brakes using the internal friction of fluids or fluid-like media, e.g. powders comprising a medium with electrically or magnetically controlled internal friction, e.g. electrorheological fluid, magnetic powder
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01LCYCLICALLY OPERATING VALVES FOR MACHINES OR ENGINES
    • F01L1/00Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear
    • F01L1/34Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift
    • F01L1/344Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift changing the angular relationship between crankshaft and camshaft, e.g. using helicoidal gear
    • F01L1/3442Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift changing the angular relationship between crankshaft and camshaft, e.g. using helicoidal gear using hydraulic chambers with variable volume to transmit the rotating force
    • F01L2001/3445Details relating to the hydraulic means for changing the angular relationship
    • F01L2001/34483Phaser return springs

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Transportation (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Description

本発明は、流体ブレーキ装置及びそれを備えたバルブタイミング調整装置に関する。
従来、筐体内部の流体室に封入されてブレーキ回転体と接触する磁気粘性流体に磁束を通過させることで、当該磁気粘性流体の粘度を可変制御する流体ブレーキ装置が、知られている。この種の流体ブレーキ装置は、比較的小電力にてブレーキ回転体にブレーキトルクを与え得るので、例えば内燃機関にてバルブタイミングを決めるクランク軸及びカム軸間の相対位相(以下、「機関位相」という)を、当該ブレーキトルクに応じて調整するバルブタイミング調整装置等に、好適である。
さて、こうした流体ブレーキ装置の一種として特許文献1には、ブレーキ回転体にて筐体を内外に貫通するブレーキ軸及び筐体間をシールするシール構造と、筐体によって運動可能に支持されて、流体室の内圧の増減に従って流体室の容積を増減させる可動体と、を備えた装置が、開示されている。この特許文献1のような流体ブレーキ装置では、磁気粘性流体及びブレーキ回転体間の摩擦等によって生じる熱量が、流体室の温度を上昇させる。すると、温度上昇に起因する流体室の圧力増加によって、可動体は、流体室の容積を増加させるように運動する。これにより、流体室の容積増加による内圧の低減作用が発揮されるので、流体室の圧力の増加は、緩和される。
特開2010−121613号公報
さて、特許文献1の流体ブレーキ装置のように、流体室の圧力増加によって受動的に可動体を運動させる構成では、温度上昇に起因する圧力増加が解消される容積となるまで、流体室の容積を増加させる可動体の運動を継続させることは、難しい。詳しく説明すると、可動体の運動によって流体室の容積が増加するに従い、可動体を運動させるための流体室の内圧による力は、漸減する。故に、例えば特許文献1に開示のダイヤフラムを可動体として用いる形態(特許文献1 図2等参照)では、ダイヤフラムの運動としての変位は、温度上昇に起因する圧力増加が解消される前に、ダイヤフラムの復元力と流体室の内圧による力とが釣り合う位置にて、停止してしまう。また、特許文献1に開示のようなブレーキ軸内を運動可能なピストンを可動体として用いる形態(特許文献1 図12等参照)では、ピストンの運動としての変位は、温度上昇に起因する圧力増加が解消される前に、ピストン及びブレーキ軸間の摩擦力に妨げられて、停止してしまう。
これらの場合、可動体の運動による容積増加がなされた状態の流体室において、温度上昇に起因して増加した圧力は、解消されずに残留してしまう。故に、例えばブレーキ特性の変化の要因となる、筐体とブレーキ軸との間をシールするシール構造を越えた磁気粘性流体の漏出が、懸念されてしまうのである。
本願発明は、以上説明した問題に鑑みてなされたものであって、流体室からの磁気粘性流体の漏出に起因するブレーキ特性の変化を抑制する流体ブレーキ装置、及びそれを備えたバルブタイミング調整装置を、提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、流体室を内部に形成する筐体と、流体室に封入され、通過する磁束に応じて粘度が変化する磁気粘性流体と、流体室の磁気粘性流体に磁束を通過させることにより、磁気粘性流体の粘度を可変制御する粘度制御手段と、筐体を内外に貫通するブレーキ軸を有し、流体室の磁気粘性流体と接触することにより、磁気粘性流体の粘度に応じたブレーキトルクが入力されるブレーキ回転体と、筐体及びブレーキ軸間をシールするシール構造と、筐体及びブレーキ回転体の一方である支持体において流体室との間で伝熱可能に形成される伝熱室と、伝熱室に収容される収容部を有し、支持体に運動可能に支持されて流体室に露出する可動体と、伝熱室に封入され、流体室の温度の上昇に従う膨張により収容部を押圧することで、流体室の容積を増加させるように可動体を運動させる膨張体と、を備える流体ブレーキ装置とする。
この発明において、磁気粘性流体及びブレーキ回転体間の摩擦等によって流体室内にて生じる熱量は、磁気粘性流体及び流体室の温度を上昇させる。この熱量は、筐体及びブレーキ回転体の一方である支持体において流体室との間で伝熱可能に形成される伝熱室に伝達され、当該伝熱室に封入された膨張体を膨張させる。このような流体室の温度の上昇に従う膨張により、膨張体は、伝熱室に収容された可動体の収容部を押圧することで、流体室の容積を増加させるように当該可動体を運動させる。
以上のように、流体室とは別の伝熱室に封入された膨張体が可動体を能動的に運動させることにより、流体室の容積を増加させる可動体の運動は、温度上昇に起因する圧力増加が解消される容積となるまで、継続され得る。故に、可動体の運動による容積増加がなされた状態の流体室には、温度上昇に起因して増加した圧力が、残留し難くなる。このような残留圧力を低減する作用の発揮によれば、筐体とブレーキ軸との間をシールするシール構造を越えて、流体室からの磁気粘性流体の漏出する事態を、回避可能となる。したがって、磁気粘性流体の漏出に起因するブレーキ特性の変化は、抑制される。
請求項2に記載の発明では、ブレーキ回転体は、流体室に収容される円盤状のブレーキロータを、有し、粘度制御手段は、ブレーキロータを軸方向に通過する磁束を形成し、伝熱室は、支持体としての筐体においてブレーキロータと軸方向に対向する位置にて流体室を区画する対向壁部に、形成されることを特徴とする。
この発明において、粘度制御手段によって形成される磁束は、円盤状のブレーキロータ及び流体室を区画する壁部のうちブレーキロータと軸方向に対向する対向壁部を、軸方向に通過する。このような形態では、ブレーキ回転体へのブレーキトルクの入力に伴って生じる熱量は、対向壁部及びブレーキロータ間にて磁束に補足された磁気粘性流体と、当該ブレーキロータとの間の摩擦によって、主に生じる。
以上の構成において、熱源となる磁気粘性流体と接触する対向壁部に伝熱室を形成することによれば、流体室から伝熱室への伝熱が、円滑となる。故に、流体室の温度上昇に対する膨張体の膨張の応答性が向上するので、流体室の圧力変動は、流体室の容積増加によって的確に打ち消され得る。したがって、流体室の増加した内圧による磁気粘性流体の漏出が生じ難くなるので、磁気粘性流体の漏出に起因するブレーキ特性の変化は、さらに抑制される。
請求項3に記載の発明では、伝熱室は、支持体としての筐体に形成され、収容部を収容する部分から流体室に向かって延伸することを特徴とする。
この発明では、伝熱室の延伸方向の先端部分は、流体室に近接し得ることにより、当該流体室にて生じた多くの熱量を受け取れる。以上により、伝熱室に封入された膨張体の膨張の応答性を向上させられるので、流体室の圧力変動は、流体室の容積増加によって的確に打ち消され得る。したがって、流体室の増加した内圧による磁気粘性流体の漏出が生じ難くなるので、磁気粘性流体の漏出に起因するブレーキ特性の変化は、さらに抑制される。
請求項4に記載の発明では、膨張体は、流体室の温度上昇によって融解することを特徴とする。
一般に、固体から液体への融解のように、相転移を伴う温度変化により生じる膨張は、相転移を伴わない温度変化により生じる膨張よりも、大きくなる。故に、この発明のように、膨張体として温度上昇により融解するものを用いることによれば、可動体の運動方向における行程量の伸長が、実現できる。以上により、温度上昇に伴った流体室の容積増加量が拡大可能となるので、流体室の内圧増加の大きい流体ブレーキ装置においても、膨張体及び可動体の協働による流体室の内圧の低減作用は、大きな内圧増加を打ち消すように発揮され得る。したがって、流体室の増加した内圧による磁気粘性流体の漏出が生じ難くなるので、磁気粘性流体の漏出に起因するブレーキ特性の変化は、さらに抑制される。
請求項5に記載の発明では、伝熱室は、収容部を収容し、可動体の運動する運動方向に延伸する第一伝熱室部と、運動方向と交差する方向に第一伝熱室部から延伸する第二伝熱室部とを、形成することを特徴とする。
この発明のように、温度上昇によって融解する膨張体を用いる形態では、第一伝熱室部から延伸する第二伝熱室部に収容される膨張体は、流体室の温度上昇によって膨張し、第一伝熱室部に進入する。すると、第一伝熱室部に収容されていた膨張体の少なくとも一部は、第二伝熱室部から進入した膨張体によって押し出される。以上により、第一伝熱室部に収容されていた膨張体は、当該第一伝熱室部に収容された収容部を押圧するように移動したうえで、流体室の温度上昇によって膨張する。このようにして、膨張体から収容部への押圧力の印加可能な領域を可動体の運動方向に拡大することにより、当該運動方向における可動体の行程量は、伸長される。以上により、温度上昇に伴う流体室の容積増加量の拡大が可能となるので、流体室の内圧増加の大きい流体ブレーキ装置においても、膨張体及び可動体の協働による内圧の低減作用は、大きな内圧増加を打ち消すように発揮され得る。したがって、流体室の内圧増加に起因する磁気粘性流体の漏出は、さらに生じ難くなる。
請求項6に記載の発明では、使用される最高の雰囲気温度が最高使用温度として想定されると共に、使用される最低の雰囲気温度が最低使用温度として想定される流体ブレーキ装置であって、最低使用温度から最高使用温度への温度上昇により増加する流体室の容積増加量は、この容積の増加によって生じる流体室の内圧の低減分が当該温度上昇によって生じる流体室の内圧の増加分を打ち消すように、規定されることを特徴とする。
この発明では、流体ブレーキ装置の使用が想定される最低使用温度から最高使用温度までの温度上昇によって生じる流体室の内圧の増加分は、当該温度上昇に伴う容積増加によって生じる内圧の低減分によって、打ち消され得る。このように流体ブレーキ装置の使用される温度範囲が予め想定されることで、膨張体及び可動体の協働により発揮される圧力低減量は、流体室に生じる内圧の増加量と一致するように、的確に調整され得る。以上により、流体室の内圧増加に起因する磁気粘性流体の漏出をさらに確実に回避できるので、磁気粘性流体の漏出に起因するブレーキ特性の変化は、さらに抑制される。
請求項7に記載の発明では、支持体は、当該支持体からの離脱方向へ運動する可動体を係止する係止部を、有することを特徴とする。
この発明のように、流体室に露出する可動体を備える形態では、仮に支持体から可動体が離脱した場合、流体室の磁気粘性流体は、可動体を流体室に露出させていた箇所を通じて、外部に漏出し得る。しかし、この発明によれば、支持体の係止部が、支持体からの離脱方向へ運動する可動体を係止することにより、支持体からの可動体の離脱を抑制する。以上により、シール構造からの磁気粘性流体の漏出に加えて、シール構造ではない箇所からの磁気粘性流体の漏出も、回避可能となる。したがって、磁気粘性流体の漏出に起因するブレーキ特性の変化は、抑制される。
請求項8に記載の発明では、流体ブレーキ装置は、流体室の容積を減少させるように可動体を運動させる復元力を当該可動体に加える復元部材、をさらに備えることを特徴とする。
この発明では、流体室の温度の下降に従って伝熱室に封入された膨張体が収縮したとき、当該流体室の圧力減少を緩和するために、可動体は、流体室の容積を減少させるように運動することが望ましい。そこで、流体ブレーキ装置は、復元部材を備える。復元部材によって復元力を加えられる可動体は、膨張体の収縮と共に流体室の容積を減少させるように確実に運動し得る。以上のようにして、流体室の温度の増減に伴う可動体の円滑な運動が維持されることにより、磁気粘性流体の漏出に起因するブレーキ特性の変化を抑制する効果は、確実に発揮可能となる。
請求項9に記載の発明では、復元部材は、可動体及び支持体間に位置し、収縮することによって復元力を可動体に加えることを特徴とする。この発明のように、復元部材を可動体及び支持体間に位置させることにより、当該復元部材を備える形態であっても、流体ブレーキ装置の体格は、大型化し難くなる。
請求項10に記載の発明では、復元部材は、伝熱室に収容されて、収容部に復元力を加えることを特徴とする。
この発明では、膨張体によって加えられる押圧する力と、復元部材によって加えられる復元力とが、共に可動体の収容部に作用する。故に、膨張体による押圧力と復元部材による復元力とによって可動体に生じるモーメントの低減が可能となる。以上により、可動体は、支持体に対して傾きを生じ難くなり、流体室の容積を増減させる運動を円滑に実施し得る。したがって、可動体の運動によってもたらされるブレーキ特性の変化を抑制する効果は、確実に発揮可能となる。
請求項11に記載の発明では、ブレーキ回転体は、流体室に収容される円盤状のブレーキロータを、有し、粘度制御手段は、ブレーキロータの外周側に位置し、伝熱室は、ブレーキ回転体の軸方向において、ブレーキロータの径方向の中央部分と並んで位置することを特徴とする。
この発明のように、粘度制御手段は、一般に、円盤状のブレーキロータの外周側に位置して、当該ブレーキロータを収容している流体室の磁気粘性流体に磁束を通過させる。このような形態においては、ブレーキ回転体の軸方向において、ブレーキロータの径方向の中央部分と伝熱室とを並んで位置させることにより、当該伝熱室と粘度制御手段との間の距離が確保される。故に、粘度制御手段による磁束は、伝熱室によって遮られること無く、磁気粘性流体及びブレーキロータを通過し得る。以上により、伝熱室及び可動体を備える形態の流体ブレーキ装置であっても、ブレーキ回転体に入力されるブレーキトルクを低下が、回避可能となる。
請求項12に記載の発明では、内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、請求項1〜11のいずれか一項に記載の流体ブレーキ装置と、流体ブレーキ装置の筐体外部においてブレーキ軸と連繋し、当該流体ブレーキ装置のブレーキ回転体へ入力されたブレーキトルクに応じてクランク軸及びカム軸の間の相対位相を調整する位相調整機構と、を備えることを特徴とする。
この発明の流体ブレーキ装置では、膨張体及び可動体の協働によって発揮される磁気粘性流体の漏出を回避する作用により、磁気粘性流体の漏出に起因したブレーキ特性の変化は、抑制され得る。以上により、ブレーキ特性に左右される機関位相の調整精度を高精度に維持可能となる。さらに、流体室の内圧増加が抑制されることで、シール構造による緊迫力は、低減され得る。故に、ブレーキ軸へ与える摩擦抵抗を低減し得るので、当該摩擦抵抗に起因して内燃機関の燃費低下を招くトルクロスについても、回避可能となるのである。
第一実施形態による流体ブレーキ装置を備えたバルブタイミング調整装置を示す図であって、図2のI−I線断面図である。 図1のII−II線断面図である。 図1のIII−III線断面図である。 図1の磁気粘性流体の特性について説明するための特性図である。 図1に示す流体ブレーキ装置の要部を拡大して示す断面図である。 第二実施形態による流体ブレーキ装置の要部を拡大して示す断面図である。 第三実施形態による流体ブレーキ装置の要部を拡大して示す断面図である。 第四実施形態による流体ブレーキ装置の要部を拡大して示す断面図である。 第五実施形態による流体ブレーキ装置の要部を拡大して示す断面図である。 第六実施形態による流体ブレーキ装置の要部を拡大して示す断面図である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態による流体ブレーキ装置100を備えたバルブタイミング調整装置1を、示している。バルブタイミング調整装置1は車両に搭載され、内燃機関のクランク軸(図示しない)からカム軸2へ機関トルクを伝達する伝達系に設けられている。ここでカム軸2は、内燃機関の「動弁」のうち吸気弁(図示しない)を機関トルクの伝達によって開閉するものであり、バルブタイミング調整装置1は、当該吸気弁のバルブタイミングを調整する。
図1〜3に示すようにバルブタイミング調整装置1は、流体ブレーキ装置100に加えて、通電制御回路200及び位相調整機構300等を組み合わせてなり、クランク軸に対するカム軸2の相対位相である機関位相を調整することで、所望のバルブタイミングを実現する。
(流体ブレーキ装置)
図1に示す電動式の流体ブレーキ装置100は、筐体110、ブレーキ回転体130、磁気粘性流体140、シール構造160及びソレノイドコイル150を備えている。
全体として中空形状の筐体110は、固定部材111及びカバー部材112を有している。段付円筒状の固定部材111は磁性材により形成され、内燃機関の固定節であるチェーンケース(図示しない)に固定される。円形皿状のカバー部材112は、固定部材111と同質又は異質の磁性材により形成され、軸方向に固定部材111を挟んで位相調整機構300と反対側に配置されている。固定部材111に同軸上に且つ液密に嵌入固定されるカバー部材112は、固定部材111との間の空間部114を、筐体110内部の流体室114として形成している。
ブレーキ回転体130は磁性材により形成され、ブレーキ軸131及びブレーキロータ132を有している。シャフト状のブレーキ軸131は、筐体110のうち位相調整機構300側の固定部材111を内外に貫通し、当該筐体110の外部側の軸方向端部にて位相調整機構300と連繋している。ブレーキ軸131の軸方向中間部は、筐体110のうち固定部材111に設けられた軸受116により、回転可能に支持されている。これらの構成によりブレーキ回転体130は、内燃機関の運転中にクランク軸から出力される機関トルクが位相調整機構300から伝達されることで、図2,3の反時計方向となる一定方向に回転する。
図1に示すように有孔円盤状のブレーキロータ132は、ブレーキ軸131のうち位相調整機構300とは反対側の軸方向端部から外周側へ突出し、筐体110内部の流体室114に収容されている。かかる収容により流体室114は、ブレーキロータ132と固定部材111とに軸方向に挟まれる部分を磁気ギャップ114aとして有し、またブレーキロータ132とカバー部材112とに軸方向に挟まれる部分を磁気ギャップ114bとして有している。
このような磁気ギャップ114a,114bを有してなる流体室114には、磁気粘性流体140が封入されている。ここで、機能性流体の一種である磁気粘性流体140は、非磁性のベース液に磁性粒子を懸濁状に分散させてなる流体である。磁気粘性流体140のベース液としては、例えばオイル等といった液状の非磁性材であり且つ疎水性の溶剤が用いられ、より好ましくは内燃機関の潤滑オイルと同種のオイルが用いられる。磁気粘性流体140の磁性粒子としては、例えばカルボニル鉄等といった粉状の磁性材が用いられる。こうした成分構成の磁気粘性流体140は、磁束の通過により当該通過磁束の密度に追従して見かけ上の粘度が図4の如く上昇変化し、当該粘度に比例して降伏応力が増大する特性を、有している。
図1,図5に示すようにシール構造160は、筐体110において軸方向の流体室114及び軸受116間となる箇所に、設けられている。シール構造160は、ブレーキ回転体130のブレーキ軸131に設けられた磁性材によりなる軸磁束ガイド134と、軸磁束ガイド134の外周側を回転方向に囲む磁気シールスリーブ170とを有している。磁気シールスリーブ170は、永久磁石171と、磁性材により形成された一対のスリーブ磁束ガイド174,175とを組み合わせたものである。スリーブ磁束ガイド174と軸磁束ガイド134との間には、シールギャップ180が、形成されている。また、スリーブ磁束ガイド175と軸磁束ガイド134との間には、シールギャップ181が、形成されている。
以上の構成を備えた磁気シールスリーブ170によると、永久磁石171の発生磁束は、各スリーブ磁束ガイド174,175から各シールギャップ180,181を通じて軸磁束ガイド134に、案内される。これにより、磁束密度が最高密度となるシールギャップ180,181には、磁気粘性流体140が流入し、それらギャップ180,181の通過磁束を受けて粘度上昇することで、膜状に捕捉される。こうして形成されるシール膜によれば、筐体内部側から筐体外部側へ向かう磁気粘性流体140の流動を当該流体140自身により抑制する自己シール機能が発揮され得る。このようにしてシール構造160は、筐体110のうち固定部材111と、ブレーキ回転体130のうちブレーキ軸131との間をシールすることにより、磁気粘性流体140が筐体110の外部へ漏出するのを規制する。
ソレノイドコイル150は、樹脂ボビン151に金属線材を巻回してなり、ブレーキロータ132の外周側において、当該ブレーキロータ132と同心上に配置されている。ソレノイドコイル150は、固定部材111及びカバー部材112の間に軸方向に挟まれた状態で、筐体110に保持されている。かかる保持形態のソレノイドコイル150は通電されると、ブレーキロータ132の軸方向に沿って、固定部材111、磁気ギャップ114a、ブレーキロータ132、磁気ギャップ114b、及びカバー部材112を順次通過するような磁束を発生する。
したがって、図2,3の反時計方向へブレーキ回転体130が回転する内燃機関の運転中に、通電によりソレノイドコイル150が磁束を発生するときには、流体室114のうち磁気ギャップ114a,114b内の磁気粘性流体140に対して当該発生磁束が通過する。その結果、粘度変化した磁気粘性流体140に接触する要素110,130間では、粘性抵抗の作用によりブレーキ回転体130(ブレーキロータ132)を制動するブレーキトルクが、図2,3の時計方向に発生する。このように第一実施形態では、通電を受けるソレノイドコイル150が流体室114の磁気粘性流体140に磁束を通過させることにより、当該流体140の粘度に応じたブレーキトルクがブレーキ回転体130へと入力されることになる。
(通電制御回路)
マイクロコンピュータを主体に構成される図1の通電制御回路200は、流体ブレーキ装置100の外部に配置されてソレノイドコイル150及び車両のバッテリ4と電気接続されている。内燃機関の停止中において通電制御回路200は、バッテリ4からの電力供給の遮断により、ソレノイドコイル150への通電をカットした状態とする。したがって、このときには、ソレノイドコイル150により磁束が発生せず、ブレーキ回転体130へ入力されるブレーキトルクが消失した状態となる。
一方、内燃機関の運転中において通電制御回路200は、バッテリ4からの電力供給下、ソレノイドコイル150への通電電流を制御することにより、磁気粘性流体140に通過させる磁束を発生する。したがって、このときには、磁気粘性流体140の粘度が可変制御され、ブレーキ回転体130へ入力されるブレーキトルクが、ソレノイドコイル150への通電電流に追従して増減されることになる。
(位相調整機構)
図1〜3に示すように位相調整機構300は、駆動回転体10、従動回転体20、アシスト部材30、遊星キャリア40及び遊星歯車50を備えている。
全体として円筒状を呈する駆動回転体10は、歯車部材12及びスプロケット部材13を同軸上に螺子留めしてなる。図1,2に示すように円環板状の歯車部材12は、歯底円よりも小径の歯先円を有する駆動側内歯車部14を、周壁部に形成している。図1に示すように円筒状のスプロケット部材13は、周壁部から外周側へ突出する歯16を、回転方向に複数有している。スプロケット部材13は、それら歯16とクランク軸の複数の歯との間にタイミングチェーン(図示しない)を掛け渡されることにより、クランク軸と連繋する。かかる連繋により、クランク軸から出力される機関トルクがタイミングチェーンを通じてスプロケット部材13へと伝達されるときには、駆動回転体10がクランク軸と連動して回転する。このとき駆動回転体10の回転方向は、図2,3の反時計方向となる。
図1,3に示すように有底円筒状の従動回転体20は、駆動回転体10のうちスプロケット部材13の内周側に同軸上に配置されている。従動回転体20は、カム軸2に同軸上に外嵌されて螺子留めにより固定される固定部21を、底壁部に形成している。かかる固定により従動回転体20は、カム軸2と連動して回転可能且つ駆動回転体10に対して相対回転可能となっている。ここで従動回転体20の回転方向は、駆動回転体10と同様、図2,3の反時計方向に設定されている。
図1に示すように従動回転体20は、歯底円よりも小径の歯先円を有する従動側内歯車部22を、周壁部に形成している。従動側内歯車部22の内径は駆動側内歯車部14の内径よりも大きく設定され、また従動側内歯車部22の歯数は駆動側内歯車部14の歯数よりも多く設定されている。従動側内歯車部22は、軸方向に駆動側内歯車部14を挟んで流体ブレーキ装置100と反対側に、配置されている。
アシスト部材30はねじりコイルばねからなり、スプロケット部材13の内周側に同軸上に配置されている。アシスト部材30の一端部31はスプロケット部材13に係止され、アシスト部材30の他端部32は固定部21に係止されている。アシスト部材30は回転体10,20間にてねじり変形することによりアシストトルクを発生して、駆動回転体10に対する遅角側へ従動回転体20を付勢する。
図1〜3に示すように、全体として円筒状を呈する遊星キャリア40は、ブレーキ回転体130からブレーキトルクが伝達される伝達部41を、周壁部に形成している。回転体10,20及びブレーキ回転体130のブレーキ軸131に対して同軸上に配置される円筒孔状の伝達部41には、一対の溝部42が開口しており、それら溝部42に嵌合する継手43を介して伝達部41とブレーキ軸131とが連繋している。かかる連繋により遊星キャリア40は、ブレーキ回転体130と一体に回転可能且つ駆動回転体10に対して相対回転可能となっている。ここで、内燃機関の運転中における遊星キャリア40の回転方向は、ブレーキ回転体130と同様、図2,3の反時計方向となる。
図1〜3に示すように遊星キャリア40は、遊星歯車50を軸受する軸受部46を、周壁部に形成している。回転体10,20及びブレーキ回転体130のブレーキ軸131に対して偏心配置される円筒面状の軸受部46は、遊星ベアリング48を介して遊星歯車50の中心孔51に同軸上に嵌入されている。かかる嵌入により遊星歯車50は、遊星運動可能に軸受部46に支持されている。ここで遊星運動とは、遊星歯車50がブレーキ軸131に対する軸受部46の偏心中心線周りに自転しつつ、遊星キャリア40の回転方向へ公転する運動をいう。したがって、遊星キャリア40が駆動回転体10に対して遊星歯車50の公転方向に相対回転するときには、当該歯車50が遊星運動することになる。
全体として段付円筒状を呈する遊星歯車50は、歯底円よりも大径の歯先円を有する外歯車部52,54を、周壁部に形成している。駆動側内歯車部14の内周側に配置されている駆動側外歯車部52は、ブレーキ軸131に対する軸受部46の偏心側において当該内歯車部14と噛合している。駆動側外歯車部52から流体ブレーキ装置100とは反対側へ同軸上にずれて従動側内歯車部22の内周側に配置されている従動側外歯車部54は、ブレーキ軸131に対する軸受部46の偏心側において当該内歯車部22と噛合している。従動側外歯車部54の外径は駆動側外歯車部52の外径よりも大きく設定され、またそれら従動側外歯車部54及び駆動側外歯車部52の歯数は、それぞれ従動側内歯車部22及び駆動側内歯車部14の歯数よりも同数ずつ少なく設定されている。
以上の構成の位相調整機構300は、ブレーキ回転体130へ入力されるブレーキトルクと、当該ブレーキトルクとは反対向きにブレーキ回転体130へ作用することになるアシスト部材30のアシストトルクと、カム軸2からブレーキ回転体130へ伝達される変動トルクとの釣り合いに応じて、機関位相を調整する。
具体的には、ブレーキトルクの保持等によりブレーキ回転体130が駆動回転体10との同速回転を実現するときには、遊星キャリア40が当該回転体10に対して相対回転しない。その結果、遊星歯車50が遊星運動することなく回転体10,20と連れ回りするので、機関位相が保持されることになる。一方、ブレーキトルクの増大等により、ブレーキ回転体130がアシストトルクに抗して駆動回転体10よりも低速の回転を実現するときには、遊星キャリア40が当該回転体10に対する遅角側へと相対回転する。その結果、遊星歯車50が遊星運動して従動回転体20が駆動回転体10に対する進角側へ相対回転するので、機関位相が進角することになる。また一方、ブレーキトルクの減少等により、ブレーキ回転体130がアシストトルクを受けて駆動回転体10よりも高速の回転を実現するときには、遊星キャリア40が当該回転体10に対する進角側へと相対回転する。その結果、遊星歯車50が遊星運動して従動回転体20が駆動回転体10に対する遅角側へ相対回転するので、機関位相が遅角することになる。
次に、第一実施形態の特徴部分について詳細に説明する。図1、図5に示す第一実施形態の流体ブレーキ装置100には、ワックス室190、可動部材120、及びワックス145が設けられている。
ワックス室190は、可動部材120を支持する筐体110のカバー部材112に形成されている。カバー部材112には、径方向の中央部分に中央孔119bを有する円盤状の係止部材119が、ボルト等によって固定されている。中央孔119bには、円筒面状を呈する内周壁面から、内周側に鍔状に突出する係止部119aが全周に亘って形成されている。ワックス145室は、カバー部材112、係止部材119、及び可動部材120によって、筐体110の外部及び流体室114と区画されている。ワックス室190は、流体室114との間で伝熱可能なように、ブレーキロータ132と軸方向に対向する位置にて流体室114を区画するカバー部材112の対向壁部118に、形成されている。これにより、ワックス室190には、流体室114にて生じた熱量が、効率的に伝達される。
ワックス室190は、第一室部191及び第二室部192等によって構成されている。第一室部191は、可動部材120の後述する押圧部124を収容している。第一室部191は、可動部材120の運動する運動方向(図1及び図5 矢印参照)に沿い、押圧部124を収容する部分から流体室114に向かって延伸する円筒状の空間である。第二室部192は、第一室部191の軸方向の両端部のうち流体室側の端部191aから、可動部材120の運動方向と直交する方向に延伸している。第二室部192は、第一室部191の端部191aの外周側に位置し、円環状の空間を形成している。以上の形態により、第二室部192及び第一室部191の延伸方向の先端である端部191aは、流体室114で生じた熱量を受け取り易いように、流体室114の近傍に位置することとなる。
可動部材120は、金属により有底円筒状に形成され、底壁121及び周壁122を有している。周壁122の軸方向の両端部のうち底壁121とは反対側の端部には、押圧部124が形成されている。さらに、押圧部124には、周壁122から外周側に鍔状に突出するフランジ部125が形成されている。押圧部124は、フランジ部125と共にワックス室190に収容されており、ワックス室190を区画している壁面に対して摺動可能である。このようにして可動部材120は、筐体110のカバー部材112により運動可能に支持されている。
可動部材120は、カバー部材112に形成された中央孔112aと同軸上に配置されており、ブレーキ回転体130の軸方向においてブレーキロータ132の径方向の中央部分133と並んで位置している。可動部材120は、磁気粘性流体140の封入された筐体110内部の流体室114に、中央孔112aを通じて底壁121を露出させている。故に、可動部材120がブレーキ回転体130の軸方向に沿って運動することによれば、流体室114の容積は、増減する。また、可動部材120は、筐体110から離脱する離脱方向に運動することにより、係止部材119に設けられた係止部119aに、フランジ部125を接触させる。このような係止部119aによるフランジ部125の係止によって、可動部材120は、筐体110からの離脱を抑制される。
ワックス145は、例えばパラフィンワックスである。ワックス145は、可動部材120の押圧部124と共にワックス室190に封入されている。ワックス145は、常温において固体であって、例えば40〜100℃の範囲において融解することにより、液体に変化する。ワックス145は、温度の上昇によって熱膨張することにより、その体積を増加させる。
以上の構成では、ブレーキ回転体130へのブレーキトルクの入力に伴う磁気粘性流体140及びブレーキ回転体130間の摩擦等によって、流体室114内にて熱量が生じる。そしてこの熱量は、磁気粘性流体140及び流体室114の温度を上昇させると共に、対向壁部118を通じてワックス室190に伝達される。これにより、ワックス室190に封入されたワックス145は、固体から液体への相転移を伴いつつ、膨張する。すると、ワックス145は、可動部材120の押圧部124を押圧することにより、流体室114の容積を増加させるように当該可動部材120を運動させる。また、流体室114の温度が下降すると、ワックス室190に封入されたワックス145は、収縮する。これによりワックス145は、押圧部124への押圧力の印加を停止する。さらに流体室114の内圧も低下するので、筐体110の外部と流体室114との圧力差によって、可動部材120は、流体室114の容積を低減させるように運動する(図5 二点鎖線参照)。
次に、流体室114の温度上昇と、当該温度上昇によって増加する流体室114の容積との相関について、さらに詳しく説明する。
第一実施形態の流体ブレーキ装置100は、使用される最高の雰囲気温度を最高使用温度(例えば130℃程度)として想定されると共に、使用される最低の雰囲気温度を最低使用温度(例えば−30℃程度)として想定されている。流体室114の温度は、磁気粘性流体140及びブレーキロータ132間の摩擦によって生じる熱量により、一時的には雰囲気温度よりも高くなる。しかし、継続した流体ブレーキ装置100の使用によれば、流体室114の温度と雰囲気温度との差は、次第に解消されていく。故に、最高使用温度及び最低使用温度は、流体ブレーキ装置100の使用時において想定される流体室114の最高温度及び最低温度とみなし得る。
流体ブレーキ装置100の雰囲気温度が、最低使用温度から最高使用温度に温度上昇したとする。これにより、流体室114内の磁気粘性流体140及び流体室114内の空気のそれぞれの蒸気圧が、上昇する。加えて、磁気粘性流体140及び空気のそれぞれの体積が膨張する。これらの蒸気圧の上昇及び体積膨張によって、流体室114の内圧は増加する。一方で、最低使用温度から最高使用温度への温度上昇により、可動部材120は、流体室114の容積を増加させる。この容積の増加によって生じる流体室114の内圧の低減分が、温度上昇によって生じる上述した流体室114の内圧の増加分を打ち消すように、最低使用温度から最高使用温度への温度上昇に伴う流体室114の容積増加量は、規定されている。
ここまで説明した第一実施形態では、流体室114とは別のワックス室190に封入されたワックス145が、可動部材120を能動的に運動させる。故に、温度上昇に起因する流体室114の圧力増加が解消される容積となるまで、流体室114の容積を増加させる可動部材120の運動は、継続され得る。以上により、可動部材120の運動による容積増加がなされた状態の流体室114には、温度上昇に起因して増加した圧力が、残留し難くなる。このような残留圧力を低減する作用の発揮によれば、シール構造160を越えて流体室114からの磁気粘性流体140の漏出する事態が、回避可能となる。したがって、磁気粘性流体140の漏出に起因するブレーキ特性の変化は、抑制される。
加えて第一実施形態では、熱源となる磁気粘性流体140と接触する対向壁部118にワックス室190が形成されることにより、流体室114からワックス室190への伝熱は、円滑となる。さらに、第一室部191の端部191a及び第二室部192が流体室114の近傍に位置するワックス室190は、流体室114にて生じた多くの熱量を受け取れる。これらにより、流体室114の温度上昇に対するワックス145の膨張の応答性を向上させられるので、流体室114の圧力変動は、当該流体室114の容積増加によって的確に打ち消され得る。したがって、流体室114の増加した内圧による磁気粘性流体140の漏出が生じ難くなるので、磁気粘性流体140の漏出に起因するブレーキ特性の変化は、さらに抑制される。
また第一実施形態におけるワックス145の固体から液体への融解のように、相転移を伴う温度変化により生じる膨張は、相転移を伴わない温度変化により生じる膨張よりも、大きくなる。故に、ワックス145を用いることによれば、可動部材120の運動方向における行程量の伸長が、実現できる。
加えて、流動可能なワックス145を用いる形態では、第一室部191と繋がる第二室部192内に封入されたワックス145を、膨張によって第一室部191に進入させることができる。これにより、第一室部191に収容されていたワックス145は、第二室部192から進入したワックス145によって押し出される。故に、流体室114の温度が低い状態で第一室部191に収容されていたワックス145は、当該第一室部191に収容された押圧部124を押圧するように移動したうえで、温度上昇によって膨張する。以上のようにして、ワックス145から押圧部124への押圧力の印加が可能な領域を可動部材120の運動方向に拡大することにより、当該運動方向における可動部材120の行程量は、伸長される。
これらにより、温度上昇に伴う流体室114の容積増加量を拡大することが可能となる。故に、流体室114の内圧増加の大きい流体ブレーキ装置100においても、ワックス145及び可動部材120の協働による内圧の低減作用は、大きな内圧増加を打ち消すように発揮され得る。したがって、流体室114の内圧増加に起因する磁気粘性流体140の漏出は、さらに生じ難くなる。
さらに第一実施形態では、流体ブレーキ装置100の使用される雰囲気の温度範囲が予め想定されることで、ワックス145及び可動部材120の協働により発揮される圧力の低減量は、流体室114の内圧の増加量と一致するように、的確に調整され得る。以上により、流体室114の内圧増加に起因する磁気粘性流体140の漏出をさらに確実に回避できるので、磁気粘性流体140の漏出に起因するブレーキ特性の変化は、さらに抑制される。
また加えて第一実施形態では、筐体110の係止部119aが、筐体110からの離脱方向へ運動する可動部材120を係止することにより、筐体110からの可動部材120の離脱を抑制する。故に、シール構造160からの磁気粘性流体140の漏出に加えて、カバー部材112に形成された中央孔112aを通じた磁気粘性流体140の漏出も、回避可能となる。
さらに加えて第一実施形態では、ワックス室190をブレーキロータ132の中央部分133と並べて位置させることにより、ブレーキロータ132の外周側に位置するソレノイドコイル150とワックス室190との距離が、確保される。故に、ソレノイドコイル150による磁束は、ワックス室190によって遮られること無く、筐体110、磁気粘性流体140、及びブレーキロータ132を通過し得る。以上により、ワックス室190及び可動部材120を備える形態の流体ブレーキ装置100であっても、ブレーキ回転体130に入力されるブレーキトルクの低下が、回避可能となる。
こうした第一実施形態による流体ブレーキ装置100では、ワックス145及び可動部材120の協働によって磁気粘性流体140の漏出が回避されることにより、磁気粘性流体140の漏出に起因したブレーキ特性の変化は、抑制され得る。故に、ブレーキ特性に左右される機関位相の調整精度を高精度に維持可能となる。さらに、流体室114の内圧の増加が抑制されることにより、シール構造160の各シールギャップ180,181に捕捉された磁気粘性流体140は、自己シール作用を確実に発揮し得る。このようなシール構造160を用いることにより、ブレーキ軸131へ与える摩擦抵抗を低減し得るので、当該摩擦抵抗に起因して内燃機関の燃費低下を招くトルクロスについても、回避可能となるのである。
尚、第一実施形態において、筐体110が特許請求の範囲の「支持体」に相当し、押圧部124が特許請求の範囲の「収容部」に相当し、ソレノイドコイル150が特許請求の範囲の「粘度制御手段」に相当し、ワックス室190が特許請求の範囲の「伝熱室」に相当し、第一室部191が特許請求の範囲の「第一伝熱室部」に相当し、第二室部192が特許請求の範囲の「第二伝熱室部」に相当し、可動部材120が特許請求の範囲の「可動体」に相当し、ワックス145が特許請求の範囲の「膨張体」に相当する。
(第二実施形態)
図6に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例である。第二実施形態では、カバー部材112及び係止部材119の形状を第一実施形態のものから変更することにより、第一実施形態の第二室部192(図5参照)に相当する空間がワックス室190から省略されている。これにより、ワックス室190は、全体として円筒状の空間を形成している。また、第二実施形態のシール構造160は、磁気シールスリーブ170等に替えて、オイルシール270を有している。オイルシール270は、筐体110に保持されており、ブレーキ軸131の外周側を回転方向に囲んでいる。オイルシール270は、ブレーキ軸131の外周壁面に接触することにより、筐体110のうち固定部材111と、ブレーキ回転体130のうちブレーキ軸131との間をシールしている。以上により、オイルシール270は、磁気粘性流体140が筐体110の外部へ漏出するのを規制する。
このような第二実施形態でも、温度上昇に起因する流体室114の圧力増加が解消される容積となるまで、可動部材120の運動は、ワックス室190に封入されたワックス145によって、継続可能である。以上により、可動部材120の運動による容積増加がなされた状態の流体室114には、温度上昇に起因して増加した圧力が、残留し難くなる。このような残留圧力を低減する作用の発揮によれば、シール構造160を越えて流体室114からの磁気粘性流体140の漏出する事態が、回避可能となる。したがって、磁気粘性流体140の漏出に起因するブレーキ特性の変化は、抑制される。
加えて、シール構造160にオイルシール270の用いられる第二実施形態では、流体室114の内圧増加が抑制されることで、オイルシール270による緊迫力は、低減され得る。故に、ブレーキ軸131へ与える摩擦抵抗を低減し得るので、当該摩擦抵抗に起因して内燃機関の燃費低下を招くトルクロスについても、回避可能となるのである。
(第三実施形態)
図7に示すように、本発明の第三実施形態は第二実施形態の変形例である。第三実施形態の可動部材120は、ブレーキ回転体130の径方向の中央部分133に形成された円筒穴133a内に収容されており、ブレーキ回転体130と同心上に配置されている。可動部材120の押圧部124は、周壁122の外周側において当該周壁122と同心上に位置し、この周壁122を周方向に囲むように円筒状に形成されている。押圧部124は、周壁122から外周側に鍔状に突出するフランジ部125によって、当該周壁122と繋げられている。押圧部124がワックス室190を区画している壁面に対して摺動可能であることにより、可動部材120は、ブレーキロータ132により運動可能に支持されている。
可動部材120は、底壁121を流体室114に露出させている。故に、可動部材120がブレーキ回転体130の軸方向に沿って運動することによれば、流体室114の容積は、増減する(図7 二点鎖線参照)。ブレーキ回転体130のブレーキ軸131は、少なくとも二つのブレーキ軸部材によって構成されている。ワックス室190の形成された一方のブレーキ軸部材131aは、可動部材120及びワックス145が配設された後、他方のブレーキ軸部材131bと接合される。ブレーキ軸131に設けられた円筒穴133aにおいて、可動部材120の底壁121を挟んでカバー部材112とは反対側となる空間133bには、他方のブレーキ軸部材131bに形成された通気孔(図示しない)を通じて、筐体外部の空気の圧力が供給されている。可動部材120は、流体室114の容積を拡大する方向に運動することにより、フランジ部125をブレーキ軸部材131bの軸方向の端面131cに接触させて、運動を停止する。このような端面131cによるフランジ部125の係止によって、可動部材120の押圧部124のワックス145室からの離脱は、抑制される。
このように可動部材120がブレーキ回転体130に支持される第三実施形態でも、温度上昇に起因する流体室114の圧力増加が解消される容積となるまで、可動部材120の運動は、ワックス室190に封入されたワックス145によって継続可能である。以上により、可動部材120の運動による容積増加がなされた状態の流体室114には、温度上昇に起因して増加した圧力が、残留し難くなる。このような残留圧力を低減する作用の発揮によれば、シール構造160を越えて流体室114からの磁気粘性流体140の漏出する事態が、回避可能となる。したがって、磁気粘性流体140の漏出に起因するブレーキ特性の変化は、抑制される。
尚、第三実施形態において、ブレーキ回転体130が特許請求の範囲の「支持体」に相当する。
(第四実施形態)
図8に示すように、本発明の第四実施形態は第一実施形態の別の変形例である。第四実施形態では、コイルばね127が、ワックス145と共にワックス室190に収容されている。コイルばね127は、金属材料等による線材を螺旋状に巻設することによって形成されている。コイルばね127は、ワックス室190内にて、可動部材120と同軸上に配置されている。コイルばね127の一端部は、可動部材120の押圧部124に係止されている。また、コイルばね127の他端部は、筐体110においてワックス室190を形成する複数の壁部のうち、押圧部124と対向する壁部190aに、係止されている。以上のように可動部材120及び筐体110間に位置するコイルばね127は、流体室114の容積を減少させるように可動部材120を運動させる復元力を、可動部材120の押圧部124に加える。具体的には、コイルばね127は、壁部190aに近接するように押圧部124を引き戻す方向の復元力を、収縮することによって当該押圧部124に作用させる。このコイルばね127による復元力とワックス145による押圧力とが釣り合う位置において、可動部材120は運動を停止する。この可動部材120が運動を停止した位置において、流体室114の圧力増加が解消されるように、コイルばね127のばね定数は設定されている。
以上の構成では、流体室114の温度の下降に従ってワックス室190に封入されたワックス145が収縮すると、可動部材120は、ワックス145室と外部との圧力差によって、流体室114の容積を減少させるように運動する。このとき、可動部材120がコイルばね127によって復元力を加えられることにより、流体室114の容積を減少させる可動部材120の運動は、確実に実施可能となる。以上のようにして、流体室114の温度の増減に伴う可動部材120の円滑な運動が維持されることにより、磁気粘性流体140の漏出に起因するブレーキ特性の変化を抑制する効果は、確実に発揮可能となる。
加えて第四実施形態では、コイルばね127は、可動部材120及び筐体110間に位置するようにワックス室190内に配置されているので、流体ブレーキ装置100(図1参照)及びバルブタイミング調整装置1(図1参照)の体格は、大型化し難くなる。
また第四実施形態では、ワックス145によって加えられる押圧力とコイルばね127によって加えられる復元力とが共に押圧部124に作用するので、押圧力と復元力とによって可動部材120に生じるモーメントは、低減され得る。以上により、可動部材120は、筐体110に対して傾きを生じ難くなり、流体室114の容積を増減させる運動を円滑に実施し得る。したがって、可動部材120の運動によってもたらされるブレーキ特性の変化を抑制する効果は、確実に発揮可能となるのである。
尚、第四実施形態において、コイルばね127が特許請求の範囲の「復元部材」に相当する。
(第五,第六実施形態)
図9に示すように、本発明の第五実施形態は第四実施形態の変形例である。第五実施形態のコイルばね127は、可動部材120の底壁121と、筐体110を形成するカバー部材112の軸方向の端面112bとの間において、可動部材120と同軸上に配置されている。コイルばね127の一端部は可動部材120の底壁121に係止され、コイルばね127の他端部はカバー部材112の端面112bに係止されている。以上のようなコイルばね127は、端面112bに近接するように底壁121を引き戻す方向の復元力を、収縮することによって可動部材120に加える。
図10に示すように、本発明の第六実施形態は第四実施形態の別の変形例である。第六実施形態では、コイルばね127を保持するための保持部113が、筐体110の係止部材119に設けられている。保持部113は、円筒状の周壁113bと円盤状の底壁113aとによって、可動部材120を覆っている。加えて、保持部113の底壁113aには、当該底壁113a及び可動部材120間の圧力上昇を抑えるための通気穴113cが形成されている。
コイルばね127は、可動部材120の底壁121と、保持部113の底壁113aとの間において、可動部材120と同軸上に配置されている。コイルばね127は、可動部材120の底壁121が保持部113の底壁113aから離間する方向の復元力を、可動部材120に加える。
ここまで説明した第五及び第六実施形態の構成でも、コイルばね127によって復元力を加えられることにより、流体室114の容積を減少させる可動部材120の運動は、確実に実施可能となる。以上のようにして、流体室114の温度の増減に伴う可動部材120の円滑な運動が維持されることにより、磁気粘性流体140の漏出に起因するブレーキ特性の変化を抑制する効果は、確実に発揮可能となる。
(他の実施形態)
以上、本発明による複数の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記第一及び第二実施形態では、可動部材120は、ブレーキ回転体130の軸方向において、ブレーキロータ132の中央部分133と並ぶように配置されていた。また、上記第二実施形態では、可動部材120は、ブレーキロータ132の中央部分133に配置されていた。しかし、可動部材の配置される位置は、当該可動部材の運動によって流体室の容積を増減が可能であれば、適宜変更されてよい。
上記第一実施形態の第一室部191及び上記第二,第三実施形態のワックス室190は、ブレーキ回転体130の軸方向に沿って、流体室に向かって延伸する形状を呈していた。しかし、ワックス室の形状は、流体室からの伝熱が行われ易いように、適宜変更されてよい。例えば、ワックス室は、複数に分割されていてもよい。
上記実施形態では、特許請求の範囲に記載の「膨張体」として、ワックス145が用いられていた。そして、ワックス145は、最低使用温度から最高使用温度までの温度上昇によって融解することにより、体積を顕著に膨張することが可能であった。しかし、最低使用温度から最高使用温度までの温度上昇によっても融解しない特性のワックスが、「膨張体」として用いられてもよい。又は、ワックス以外の材料が、「膨張体」として用いられていてもよい。
上記第一,第二実施形態では、筐体110に設けられた係止部119aが、可動部材120を係止することにより、当該可動部材120の筐体110からの離脱を抑制していた。この係止部の形状は、上記実施形態の形状に限定されず、適宜変更されてよい。また、上記第三実施形態のように、可動部材の離脱が生じ難い形態では、離脱を抑制する係止部は、省略されてよい。
上記第四〜第六実施形態では、コイルばね127が、特許請求の範囲に記載の「復元部材」として、可動部材120に復元力を加えていた。しかし、可動部材に復元力を作用させることが可能であれば、「復元部材」は、コイルばねに限定されない。例えば、金属製の皿ばねが「復元部材」として用いられてもよい。又は、ゴム又はシリコン等によって形成された伸縮可能な部材が「復元部材」として用いられてもよい。
以上の他、上記実施形態では、ブレーキ軸131との連繋によりブレーキ回転体130への入力ブレーキトルクに応じて機関位相を調整可能な任意の構造を、位相調整機構300の構造として採用することができる。また、本発明としては、「動弁」としての吸気弁のバルブタイミングを調整する装置以外にも、「動弁」としての排気弁のバルブタイミングを調整する装置や、それら吸気弁及び排気弁の双方のバルブタイミングを調整する装置の他、ブレーキトルクを利用する各種の装置に適用することができるのである。
1 バルブタイミング調整装置、2 カム軸、4 バッテリ、10 駆動回転体、12 歯車部材、13 スプロケット部材、14 駆動側内歯車部、16 歯、20 従動回転体、21 固定部、22 従動側内歯車部、30 アシスト部材、31 一端部、32 他端部、40 遊星キャリア、41 伝達部、42 溝部、43 継手、46 軸受部、48 遊星ベアリング、50 遊星歯車(粘度制御手段)、51 中心孔、52 駆動側外歯車部、54 従動側外歯車部、100 流体ブレーキ装置、110 筐体(支持体)、111 固定部材、112 カバー部材、112a 中央孔、112b 端面、113 保持部、113a 底壁、113b 周壁、113c 通気穴、114 流体室、114a,114b 磁気ギャップ、116 軸受、118 対向壁部、119 係止部材、119a 係止部、119b 中央孔、120 可動部材(可動体)、121 底壁、122 周壁、124 押圧部(収容部)、125 フランジ部、127 コイルばね(復元部材)、130 ブレーキ回転体(支持体)、131 ブレーキ軸、131a,131b ブレーキ軸部材、131c 端面、132 ブレーキロータ、133 中央部分、133a 円筒穴、134 軸磁束ガイド、140 磁気粘性流体、145 ワックス(膨張体)、150 ソレノイドコイル(粘度制御手段)、151 樹脂ボビン、160 シール構造、170 磁気シールスリーブ、171 永久磁石、174,175 磁束ガイド、180,181 シールギャップ、190 ワックス室(伝熱室)、190a 壁部、191 第一室部(第一伝熱室部)、191a 端部、192 第二室部(第二伝熱室部)、200 通電制御回路、270 オイルシール、300 位相調整機構

Claims (12)

  1. 流体室を内部に形成する筐体と、
    前記流体室に封入され、通過する磁束に応じて粘度が変化する磁気粘性流体と、
    前記流体室の前記磁気粘性流体に磁束を通過させることにより、前記磁気粘性流体の粘度を可変制御する粘度制御手段と、
    前記筐体を内外に貫通するブレーキ軸を有し、前記流体室の前記磁気粘性流体と接触することにより、前記磁気粘性流体の粘度に応じたブレーキトルクが入力されるブレーキ回転体と、
    前記筐体及び前記ブレーキ軸間をシールするシール構造と、
    前記筐体及び前記ブレーキ回転体の一方である支持体において前記流体室との間で伝熱可能に形成される伝熱室と、
    前記伝熱室に収容される収容部を有し、前記支持体に運動可能に支持されて前記流体室に露出する可動体と、
    前記伝熱室に封入され、前記流体室の温度の上昇に従う膨張により前記収容部を押圧することで、前記流体室の容積を増加させるように前記可動体を運動させる膨張体と、
    を備えることを特徴とする流体ブレーキ装置。
  2. 前記ブレーキ回転体は、前記流体室に収容される円盤状のブレーキロータを、有し、
    前記粘度制御手段は、前記ブレーキロータを軸方向に通過する磁束を形成し、
    前記伝熱室は、前記支持体としての前記筐体において前記ブレーキロータと軸方向に対向する位置にて前記流体室を区画する対向壁部に、形成されることを特徴とする請求項1に記載の流体ブレーキ装置。
  3. 前記伝熱室は、前記支持体としての筐体に形成され、前記収容部を収容する部分から前記流体室に向かって延伸することを特徴とする請求項1又は2に記載の流体ブレーキ装置。
  4. 前記膨張体は、前記流体室の温度上昇によって融解することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体ブレーキ装置。
  5. 前記伝熱室は、
    前記収容部を収容し、前記可動体の運動する運動方向に延伸する第一伝熱室部と、
    前記運動方向と交差する方向に前記第一伝熱室部から延伸する第二伝熱室部とを、
    形成することを特徴とする請求項4に記載の流体ブレーキ装置。
  6. 使用される最高の雰囲気温度が最高使用温度として想定されると共に、使用される最低の雰囲気温度が最低使用温度として想定される流体ブレーキ装置であって、
    前記最低使用温度から前記最高使用温度への温度上昇により増加する前記流体室の容積増加量は、この容積の増加によって生じる前記流体室の内圧の低減分が当該温度上昇によって生じる前記流体室の内圧の増加分を打ち消すように、規定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の流体ブレーキ装置。
  7. 前記支持体は、当該支持体からの離脱方向へ運動する前記可動体を係止する係止部を、有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の流体ブレーキ装置。
  8. 前記流体室の容積を減少させるように前記可動体を運動させる復元力を当該可動体に加える復元部材、をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の流体ブレーキ装置。
  9. 前記復元部材は、前記可動体及び前記支持体間に位置し、収縮することによって前記復元力を前記可動体に加えることを特徴とする請求項8に記載の流体ブレーキ装置。
  10. 前記復元部材は、前記伝熱室に収容されて、前記収容部に前記復元力を加えることを特徴とする請求項8又は9に記載の流体ブレーキ装置。
  11. 前記ブレーキ回転体は、前記流体室に収容される円盤状のブレーキロータを、有し、
    前記粘度制御手段は、前記ブレーキロータの外周側に位置し、
    前記伝熱室は、前記ブレーキ回転体の軸方向において、前記ブレーキロータの径方向の中央部分と並んで位置することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の流体ブレーキ装置。
  12. 内燃機関においてクランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する動弁のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の流体ブレーキ装置と、
    前記流体ブレーキ装置の前記筐体外部において前記ブレーキ軸と連繋し、当該流体ブレーキ装置の前記ブレーキ回転体へ入力された前記ブレーキトルクに応じて前記クランク軸及び前記カム軸の間の相対位相を調整する位相調整機構と、
    を備えることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
JP2011110614A 2011-05-17 2011-05-17 流体ブレーキ装置及びバルブタイミング調整装置 Expired - Fee Related JP5397411B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011110614A JP5397411B2 (ja) 2011-05-17 2011-05-17 流体ブレーキ装置及びバルブタイミング調整装置
US13/472,838 US8627794B2 (en) 2011-05-17 2012-05-16 Fluid brake device and variable valve timing apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011110614A JP5397411B2 (ja) 2011-05-17 2011-05-17 流体ブレーキ装置及びバルブタイミング調整装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012241563A JP2012241563A (ja) 2012-12-10
JP5397411B2 true JP5397411B2 (ja) 2014-01-22

Family

ID=47173986

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011110614A Expired - Fee Related JP5397411B2 (ja) 2011-05-17 2011-05-17 流体ブレーキ装置及びバルブタイミング調整装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US8627794B2 (ja)
JP (1) JP5397411B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6237273B2 (ja) * 2014-01-30 2017-11-29 株式会社ジェイテクト 風力発電装置用継手部材及び風力発電装置
JP7387220B2 (ja) 2020-03-25 2023-11-28 株式会社栗本鐵工所 磁気粘性流体装置
US11788561B2 (en) 2020-04-15 2023-10-17 Goodrich Corporation Hydraulic fluid flow control
US11920615B2 (en) * 2022-04-19 2024-03-05 Goodrich Corporation Hydraulic fluid flow control

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000179585A (ja) * 1998-12-18 2000-06-27 Viscodrive Japan Kk 開閉扉用制御装置
JP2000230581A (ja) * 1999-02-15 2000-08-22 Viscodrive Japan Kk 動力伝達装置
JP2002147620A (ja) * 2000-11-10 2002-05-22 Nok Corp 密封構造及び密封容器
JP4888267B2 (ja) * 2006-07-27 2012-02-29 株式会社デンソー バルブタイミング調整装置
JP4605292B2 (ja) * 2008-10-22 2011-01-05 株式会社デンソー バルブタイミング調整装置
US8245679B2 (en) 2008-10-22 2012-08-21 Denso Corporation Variable valve timing apparatus
JP2011052615A (ja) * 2009-09-02 2011-03-17 Isuzu Motors Ltd 可変動弁機構

Also Published As

Publication number Publication date
US8627794B2 (en) 2014-01-14
JP2012241563A (ja) 2012-12-10
US20120291732A1 (en) 2012-11-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4600379B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP5397411B2 (ja) 流体ブレーキ装置及びバルブタイミング調整装置
JP4535040B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP2008095549A (ja) バルブタイミング調整装置
JP5907131B2 (ja) トルク調整装置及びバルブタイミング調整装置
JP4605292B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP2013024172A (ja) 流体ブレーキ装置及びバルブタイミング調整装置
US20130213756A1 (en) Fluid brake device and valve timing control apparatus having the same
JP5083377B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP5083376B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP2015045282A (ja) 弁開閉時期制御装置
US20080047512A1 (en) Brake-actuated vane-type camshaft phaser
JP5192454B2 (ja) バルブタイミング調整装置
CN109209547B (zh) 单向离合器型可变气门正时设备及其发动机系统
JP5287933B2 (ja) 流体ブレーキ装置及びバルブタイミング調整装置
JP2010285939A (ja) バルブタイミング調整装置
JP2013002281A (ja) バルブタイミング調整装置
JP5397349B2 (ja) 流体ブレーキ装置及びバルブタイミング調整装置
JP5831389B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP2012219663A (ja) 流体ブレーキ装置及びバルブタイミング調整装置
JP5500219B2 (ja) 流体ブレーキ装置及びバルブタイミング調整装置
JP2008025408A (ja) バルブタイミング調整装置
JP2012172533A (ja) 流体ブレーキ装置及びバルブタイミング調整装置
JP6079448B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JP2013217256A (ja) 流体ブレーキ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121101

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130912

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130924

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131007

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees