JP2013216065A - 凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法、及び熱転写用フィルムの製造方法 - Google Patents

凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法、及び熱転写用フィルムの製造方法 Download PDF

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悠城 鏑木
Hirotomo Nagata
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Abstract

【課題】目的とする意匠を忠実に再現した凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法、及び凹凸状の模様を有するフィルムを用いた熱転写用フィルムの製造方法の提供。
【解決手段】凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法であって、凹凸状の模様を有する基準となるフィルム(A)を作成し、該基準フィルム(A)の凹凸状模様が施された表面の光沢を、該表面の垂直方向に対して2以上の異なる角度で測定し、該測定により得られた測定値を基に、前記基準となるフィルム(A)と略同一模様を有するフィルム(B)を製造する工程を有することを特徴とする凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法に関し、より詳しくは、模様を形成した基準フィルムの光沢度を測定し、その測定値を基に基準フィルムに形成された模様と一致した模様を有するフィルムを製造する方法、及びその方法により製造されたフィルムを用いた熱転写用フィルムの製造方法に関する。
加飾成形品は、家庭用電化製品、自動車内装品などの様々な分野で用いられているが、消費者の嗜好の多様性から、表面に筋上、点状、幾何学的形状の各種模様、美術的デザインを施した凹凸状の模様の意匠を有することが望まれている。
このような模様を有する加飾成形品を工業的に量産するには、目的とする意匠を繰り返し再現できる製造方法、品質管理方法が必要である。模様の品質管理方法としては種々の方法が用いられているが、見本と製品とを目視により比較して判定しているケースが多い。このような場合、判定には熟練を要し、また、測定環境や測定者の主観の違いにより結果が異なることによるトラブルが起きやすい。そのため、このトラブルを解決し模様の安定化を計るための方法、及び客観的な評価方法が必要となっている。
模様の客観的な評価方法として、例えば、光沢度測定方法として特許文献1が知られている。この方法は、試料表面上の測定点における試料表面の法線を含む面内で該法線に対して一方向に第1の角度だけ傾斜する方向からスポット光を測定点に照射し、その反射光を法線を含む面内で法線に対して反対の方向に第2の角度だけ傾斜する方向に光軸を有する受光レンズによって集光して表面の光沢度を求めるものである。
ところで、従来、物品の装飾方法として、合成樹脂系基材、木質系基材、無機質系基材、金属系基材、等の各種の被転写基材の表面に簡便に保護層等を形成可能な、転写フィルムを用いた転写法が利用されている(例えば、特許文献2)。この転写法とは、紙や熱可塑性樹脂フィルム等からなる基材フィルム上に、硬度や耐溶剤性等の表面物性に優れた樹脂組成物からなる保護層を剥離可能な状態に設け、更に必要に応じて絵柄層、接着層等(以後これらを前記保護層と合わせて転写層という)を設けて転写フィルムを作製し、この転写フィルムの転写層面を、基材(被転写基材)の表面に圧着し、あるいは、射出成形金型内に予め転写フィルムを設置し、射出樹脂を充填することで、転写フィルムの転写層を被転写基材あるいは射出樹脂と接着させた後、転写層と基材フィルムとの界面で剥離して基材フィルムを除去することにより、被転写基材上に転写層が転写形成された目的の加飾品等を製造する方法である。近年では、自動車内装部材、家電部材、電子機器筐体等への加飾法として盛んに検討がなされている。
上記の転写フィルムを熱転写用フィルムとして用いる場合、保護層に凹凸状の模様を形成したり、保護層に絵柄層を積層したりする。このような絵柄や凹凸状の模様を有する熱転写用フィルムをロットブレなく、安定して生産する場合においても上記の課題に直面することになる。
例えば、加飾表面に凹凸状のヘアライン模様が形成された意匠があるが、ヘアライン模様の意匠を客観的な手段により定量化する方法はこれまで確立されていない。カタログ等に、光沢値(60°)、表面粗度等が記載されている例もあるが、表面粗度はケガキの粗密など意匠の微細な表現を充分に反映できておらず、実際の生産現場では、光沢値(60°)及びヘイズで管理していることが多い。しかしながら、多様なデザインのヘアライン意匠を有する熱転写用フィルムを、デザイナーの描いた意匠に限りなく忠実に、且つ安定した品質で商業化することが求められている現在、新たな管理手法を構築しない限り、職人による目視観察による判定に頼らざるを得ない状況である。これでは量産ライン上での意匠の自動管理を行うことができず、目的とする意匠を一定品質で大量生産することは困難であった。上記の特許文献1に記載された方法を用いても、目的とする意匠に忠実に、安定した品質で連続生産、大量生産することは困難である。
特開平7−12725 特開2010−228315
本発明が解決しようとする課題は、目的とする意匠を忠実に再現した凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法を提供することである。また、本発明の他の課題は、上記の課題を解決し、且つ安定した品質で連続生産及び大量生産することが可能な凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法を提供することである。更に、本発明の他の課題は、上記課題を解決した凹凸状の模様を有するフィルムを用いた熱転写用フィルムの製造方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明者らは、凹凸状の模様が形成された基準フィルムの意匠を何らかの測定手段により定量化し、そのデータを基に基準フィルムの意匠と一致した意匠を有するフィルムを量産する方法を検討した。
その結果、例えば、スクラッチヘアライン意匠の視覚的効果を考慮した結果、見る角度によって、光の反射が異なり、色が変化(暗(黒っぽい)〜明(白っぽい))して見えることに着目し、基準フィルムの加飾面に対して垂直方向及び他の1以上の異なる角度、又は垂直方向に対して2以上の異なる角度で光沢を測定することにより、形成された模様の微細且つ微妙なデザインが数値化でき、客観化できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法であって、
凹凸状の模様を有する基準となるフィルム(A)を作成し、
該基準フィルム(A)の凹凸状模様が施された表面の光沢を、
該表面の垂直方向に対して2以上の異なる角度で測定し、
該測定により得られた測定値を基に、
前記基準となるフィルム(A)と略同一模様を有するフィルム(B)を製造する工程を有する
ことを特徴とする凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記基準となるフィルム(A)と略同一模様を有するフィルム(B)を製造する工程が、
前記基準となるフィルム(A)と略同一模様を有するフィルム(B)のテスト製造を行い、該テスト製造品の凹凸状の模様が形成された面の光沢を、基準となるフィルム(A)と同一方法で測定し、
前記基準となるフィルム(A)の測定値と照合することにより、
フィルム(B)上に凹凸状の模様を形成する工程の製造条件を調整し、
基準となるフィルム(A)の模様とフィルム(B)の模様を略一致させる工程である、
上記の凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、表面に凹凸を有する基材フィルムの該表面上に、ラジカル重合性樹脂組成物層を積層した転写層を有する熱転写用フィルムであって、
該基材フィルムは、上記のいずれかに記載の方法により製造されたフィルム(B)であり、
該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂を含有する
ことを特徴とする熱転写用フィルムの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の熱転写用フィルムの製造方法により製造された熱転写用フィルムを提供するものである。
また、本発明は、上記の熱転写用フィルムを用いた加飾成形品を提供するものである。
本発明によれば、目的とする意匠を忠実に再現した凹凸状の模様を有するフィルムを製造することが可能となる。また、安定した品質で連続生産及び大量生産することが可能となる。さらに、目的とする意匠を忠実に再現した熱転写用フィルムを製造することができる。
実施例1で製造した基準フィルム(A)、及びフィルム(B)の光沢値を示すレーダーチャートである。 実施例1で製造した基準フィルム(A)、及びフィルム(B)を用いた成形品の光沢値を示すレーダーチャートである。 実施例2で製造した基準フィルム(A)、及びフィルム(B)の光沢値を示すレーダーチャートである。 実施例2で製造した基準フィルム(A)、及びフィルム(B)を用いた成形品の光沢値を示すレーダーチャートである。 比較例3で製造した基準フィルム(A)、及びフィルム(B)を用いた成形品の光沢値を示すレーダーチャートである。
(フィルム(A)、(B))
本発明でフィルム(A)及びフィルム(B)として使用するフィルムは、特に限定なく公知のフィルムを使用できる(以下、両者を総称して「基材フィルム」という)。具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド6、66(PA6,PA66)、ポリイミド(PI)、ポリビニルアルコール(PVA)等の耐熱樹脂製フィルムが好適に用いられる。中でもPET樹脂製フィルムがコスト、美麗性に優れるので最も好適に用いられる。基材フィルムの厚さは20〜125μmが好ましいが、立体形状への追従性を考慮すると35〜75μmが好ましい。
(基材フィルムの絵柄、凹凸模様)
本発明で使用する基材フィルムは、その表面の少なくとも一方に凹凸模様が形成されているフィルムである。凹凸模様としては、特に制限がなく、筋上、点状、幾何学的形状の各種模様、美術的デザイン等の模様であって良く、ヘアライン、エンボス、マット、木目、万線、梨地、砂目、砂紋、地紋、布目、文字等の模様があげられる。
凹凸の深さには、特に制限はないが、大きな凹凸差は成形時に薄い部分に力が掛かり、フィルムが破れ易くなるので、基材フィルムの厚みの1/2までに留めるのが好ましい。
上記の模様の中では、本発明では、ヘアライン模様であることが好ましい。ヘアライン模様とは、単一方向に髪の毛ほどの細かい傷をバフ、ブラシ、砥石、ピン等でつける加工法により形成される模様である。ヘアラインは曲線や、曲線や直線が入り混じった複雑な線状模様でもよいが、細かい傷が略同一方向を向いた略直線状の模様であることが好ましい。
(凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法)
凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法を詳細に説明する。
本発明の製造方法は以下の順に行う。
(1)凹凸状の模様を有する基準となるフィルム(A)を作成する。
(2)基準フィルム(A)の模様が施された表面の光沢を、該表面の垂直方向に対して2以上の異なる角度で測定する。
(3)該測定により得られた測定値を基に、前記基準となるフィルム(A)と略同一模様を有するフィルム(B)を製造する。
上記(2)において、該表面の垂直方向に対して2以上の異なる角度で測定する場合、垂直方向に対して10〜30°、垂直方向に対して50〜70°の2点であることが好ましい。より好ましくは、垂直方向に対して3つの異なる角度での測定であり、垂直方向に対して10〜30°、垂直方向に対して50〜70°、垂直方向に対して75〜88°の3点であることが特に好ましい。本発明では、垂直方向に対して3つの異なる角度で光沢を測定することが好ましい。
なお、模様が略同一方向を向いた凹凸状の線状模様である、所謂ヘアライン模様である場合には、ヘアライン模様(凹凸状の線状模様)の延長方向に対して略同一方向(以下、平行方向ということがある)、及び略垂直方向(以下、垂直方向ということがある)から測定することが好ましい。
したがって、本発明では、模様がこのようなヘアライン模様である場合には、ヘアライン模様(凹凸状の線状模様)の延長方向に対して略同一方向、及び略垂直方向から、それぞれ、垂直方向に対して10〜30°、垂直方向に対して50〜70°、垂直方向に対して75〜88°の各3点を測定することが、特に好ましい。
なお、この測定方法、つまり、基準フィルムの加飾面に対する1本の垂線を含み、互いに直行する面内において、それぞれ垂直方向に対して10〜30°、50〜70°、75〜88°の各3点で光沢を測定する方法は、ヘアライン模様以外の模様であっても採用することが好ましい。
上記(3)の工程は、具体的には以下の工程であることが好ましい。
(3-1)前記基準となるフィルム(A)と略同一の凹凸状の模様を有するフィルム(B)のテスト製造を行う。
(3-2)該テスト製造品の模様が形成された面の光沢を、基準となるフィルム(A)と同一方法で測定する。
(3-3)前記基準となるフィルム(A)の測定値と、フィルム(B)の測定値を照合し、フィルム(B)上に凹凸状の模様を形成する工程の製造条件を調整する。
(3-4)調整後の条件でフィルム(B)の連続生産(量産)を行う。
上記の工程においては、同一の製造ライン上で、(3-2)の測定結果を自動的にフィードバックして(3-3)の工程を自動制御できるシステムになっていれば好ましい。
自動制御方式でない場合は、例えば、ヘアライン加工(スクラッチ加工)されたPET表面のヘアライン方向に対して平行、垂直にそれぞれ20°、60°、85°の光沢値を測定し、六角形のレーダーチャート(測定データ数6)を作成し、ヘアライン意匠を管理する方法がある。この場合、フィルム(A)とフィルム(B)のそれぞれのレーダーチャートを比較して、チャート上の図形を一致させるようにフィルム(B)の凹凸状のヘアライン模様を調整することにより、目的とする模様をフィルム(B)上に形成させることができる。
上記の通り、本発明では(3-2)の測定結果をフィードバックして(3-3)の工程を行うことが重要であるが、この場合、フィルム(B)の光沢値と、同一条件で測定したフィルム(A)の光沢値とは、±20以内であることが好ましく、±15以内であることがより好ましく、±10以内であることが特に好ましい。
なお、本発明で使用する光沢計としては、特に限定されるものではないが、BYK−Gardner GmbH社製micro−TRI−glossを使用することが好ましい。測定条件は測定角度が20°/60°/85°設定である。光沢値は該測定機内で自動的に計算され、モニターに表示される。
(熱転写用フィルム)
本発明では、上記の工程により製造されたフィルム(B)を用いて熱転写用フィルムを製造する方法を提供する。
熱転写用フィルムは、基材フィルム(「剥離フィルム」ともいう)と、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層(転写層)とを、この順に積層したフィルムであり、基材フィルムとして上記の工程により製造されたフィルム(B)を用いたフィルムである。
そして、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂を含有する組成物である。
本発明の熱転写用フィルムにおいては、前記基材フィルム(剥離フィルム)の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層側の面には凹凸状の線状模様(ヘアライン)が形成されていることが好ましい。
そうすることにより、本発明の熱転写フィルムを被転写基材に転写後に基材フィルムを剥離することにより、基材フィルムが有する凹凸状の模様の逆パターンの模様が、ラジカル重合性樹脂組成物層の表面に形成され、加飾模様となる。
(離型層)
前記基材フィルムと転写層との間には、離型層を設けても良い。離型層は、被転写基材あるいは射出樹脂の成形物である射出成形体に転写される転写層と基材フィルムを離型する層として機能する。離型層には転写層との離型性が要求されるが、ハンドリングの際、基材フィルムと転写層が離型しない程度の転写層との接着性も要求される。
離型層としては、通常用いられているもので良く、シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系、セルロース誘導体樹脂系、尿素樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、メラミン樹脂系等の離型剤を用いることができる。例えば、基材フィルムとしてPET樹脂製フィルムを用いた場合には適度な離型性を有するシリコーン樹脂系離型剤が好適に用いられる。離型層はロールコーター等を用いて塗布することができるが、基材フィルムに設けた凹凸の凹部に溜まり易く、均一の厚さに制御することは困難であるが、その単位面積あたりの塗布重量から算出した平均厚さは0.01μm〜5μmが好ましい。また、基材フィルムに設けた凹凸を必要以上に埋めてしまうと、意匠性が変化してしまうので、離型層の平均厚さは0.01μm〜2μmであることが、より好ましい。
(転写層)
本発明の熱転写用フィルムにおいて、転写層とは、少なくとも、被転写基材に転写して得られる転写体の、最表層となるラジカル重合性樹脂組成物層を有する層である。なお、転写層は、前記ラジカル重合性樹脂組成物層と被転写基材との間に位置するように加飾層を有していてもよい。この場合、層構成は、基材フィルム/ラジカル重合性樹脂組成物層/加飾層の順になる。基材フィルムは剥離層であり、ラジカル重合性樹脂組成物層及び加飾層は転写層である。また、ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層の他に、接着層や被転写基材表面の凹凸を隠蔽する中間層等の層を設けてもよい。
(転写層 ラジカル重合性樹脂組成物層)
本発明で使用するラジカル重合性樹脂組成物層は、ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂を含有することが好ましい。また、必要に応じて、ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物又はエポキシ化植物油(メタ)アクリレートとを含有することが好ましい。
(ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂)
本発明で使用するラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂は、特に限定はなく、公知の方法で得た(メタ)アクリル樹脂を使用することができる。具体的には例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸、アクリル酸、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等の(メタ)アクリル系モノマーを単独もしくは共重合して得た(メタ)アクリル樹脂、あるいは前記(メタ)アクリレート類を主成分とし、必要に応じてこれらと共重合可能な重合性二重結合を有するモノマー、例えばエチレン、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が共重合成分として添加された(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
前記(メタ)アクリル樹脂は前記(メタ)アクリル系モノマーあるいは共重合可能な重合性二重結合を有するモノマーを常法により重合することで得られる。
前記(メタ)アクリル樹脂へ、重合性不飽和基を導入する方法としては、例えば、予め前記共重合成分としてアクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有重合性単量体や、ジメチルアミノエチルメタクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有重合性単量体を配合し共重合させ、カルボキシル基やアミノ基を有する前記共重合体を得、次に該カルボキシル基やアミノ基と、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基及び重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
予め前記共重合成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有単量体を配合し共重合させ、水酸基を有する前記共重合体を得、次に該水酸基と、イソシアネートエチルメタクリレートの等のイソシアネート基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
予め前記共重合成分としてグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有重合性単量体を配合し共重合させ、グリシジル基を有する前記共重合体を得、次にグリシジル基と、アクリル酸やメタクリル酸のカルボキシル基含有重合性単量体を反応させる方法、
重合の際にチオグリコール酸を連鎖移動剤として使用して共重合体末端にカルボキシル基を導入し、該カルボキシル基に、グリシジルメタクリレートの等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、
重合開始剤として、アゾビスシアノペンタン酸等のカルボキシル基含有アゾ開始剤を使用して共重合体にカルボキシル基を導入し、該カルボキシル基にグリシジルメタクリレート等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法等が挙げられる。
中でも、アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体あるいはジメチルアミノエチルメタクリレートやジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ基含有単量体を共重合しておき、そのカルボキシル基あるいはアミノ基とグリシジルメタクリレート等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、あるいは、予め前記共重合成分としてグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有重合性単量体を配合し共重合させ、グリシジル基を有する前記共重合体を得、次にグリシジル基と、アクリル酸やメタクリル酸のカルボキシル基含有重合性単量体を反応させる方法が最も簡便であり好ましい。
前記ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂は、ラジカル重合性樹脂組成物の全固形分量の10〜99.9重量%含有することが好ましく、40〜99.9重量%の範囲が最も好ましい。10%未満では常温で液状であるポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの添加により、表面にタック残存のおそれがある。
(耐指紋剤)
熱転写用フィルムを家電部材や電子機器筐体等への加飾として使用する場合には、熱転写フィルムとしての諸物性に加え、手あか、皮脂等の油汚れから保護する機能(耐指紋性と称されている)を有することが好ましい。
本発明の熱転写フィルムにおいては、耐指紋性付与剤として、ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物又はエポキシ化植物油(メタ)アクリレートとを含有させることが好ましい。
加飾成形品の表面に耐指紋性を付与する場合、
・付着した指紋を見え難くする
・付着した指紋を拭き取り易くする
等の手法が有効である。
前者は、指の油脂分に対する加飾成形品の表面の親和性を極力低くして、油脂分を弾いたり、反発させたりする方法ではなく、適度な親和性を持たせて、表面に油脂分が広がり易くすることにより、逆に油脂分の付着箇所を目立たなくなるようにする方法である。
また、後者は油脂分に対する表面の親和力をあまり強くせず、適度に保つことにより布等で表面を拭くことにより除去され易くする方法である。
本発明で使用するポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物及びエポキシ化植物油(メタ)アクリレートは、加飾成形品の表面に対して両方の機能を付与するものである。
ラジカル重合性樹脂組成物層に上記の耐指紋剤を含有させた場合、耐指紋剤は層中に均一分散せず、ラジカル重合性樹脂組成物層と基材フィルム(離型フィルム)の接触面近傍に偏析し、その結果、基材フィルムの凹凸表面を被覆するように耐指紋剤が存在し、油脂の付着による光沢変化を最小限に留め、油脂を拭取り易くしていると推察する。
本発明で使用する耐指紋剤は、特に、本発明で使用する基材フィルムの如く、表面に凹凸がある場合に有効に機能し、優れた耐指紋性を発現する。特に、微細な凹凸を有する基材フィルムを使用して、加飾成形品表面に微細な模様を形成した場合、指紋の油脂分は凹凸模様の谷部に溜まり易い。谷部に油脂分が溜まると凸部と凹部の区別がなくなり、折角形成した微細模様が視認出来なくなってしまう。これを防ぐためには耐指紋添加剤の含有量を少なくすることが必要であり、本発明で使用する耐指紋剤の場合、使用量を少なくしても優れた耐指紋性を発揮することができる。
(ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物)
ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とは、同一分子中に1以上のポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの水酸基にポリアルキレングリコールが結合し、ポリアルキレングリコールの他の末端の水酸基に脱水エステル化反応等により(メタ)アクリレート化した化合物、末端に水酸基を有するポリアルキレングリコールが、脱水エステル化反応等により(メタ)アクリルレート化した化合物等があげられる。
本発明においてポリアルキレングリコールとは、例えばモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール、例えばモノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、パラキシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
本発明では、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレートがより好ましく、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。
ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の重量平均分子量(Mw)は、100〜2000であることが好ましく、200〜1600であることがより好ましい。また、-(RO)n-(Rはアルキレン基)で表されるポリアルキレングリコール鎖の平均繰り返し単位数nは1〜45が好ましく、2〜45がより好ましい。なお、本発明では、アルキレングリコールの繰り返し数がn=1である場合も含めて「ポリアルキレングリコール」と表現することもある。
ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとして、具体的には、ブレンマーPDE−400(ポリエチレングリコール−ジメタクリレート、n=9)、ブレンマーPDP−400N(ポリプロピレングリコール−ジメタクリレート、n=7)、ブレンマーPDT−650(ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、n=9)(いずれも日油株式会社製)、等が挙げられる。
前記ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、ラジカル重合性樹脂組成物の全固形分量に対して0.1〜10重量%添加することが好ましく、0.5〜7重量%の範囲がより好ましく、0.5〜5重量%の範囲が最も好ましい。ラジカル重合性樹脂組成物の組成にも因るが、0.1%未満では耐指紋性が能力不足のおそれがあり、使用量が多くなると指紋の油脂分が凹凸模様の谷部に溜まり易くなり、折角形成した微細模様が視認出来なくなりやすく、また、ラジカル重合性樹脂組成物が可塑化され、塗膜硬度低下のおそれがある。
(エポキシ化植物油(メタ)アクリレート)
エポキシ化植物油(メタ)アクリレートとは、不飽和植物油の二重結合に過酢酸、過安息香酸でエポキシ化したエポキシ化植物油のエポキシ基に、(メタ)アクリル酸を開環付加重合させた化合物である。
本発明において植物油とは、グリセリンと脂肪酸とのトリグリセライドにおいて、少なくとも1つの脂肪酸が炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する脂肪酸であるトリグリセライドのことであり、その様な植物油として代表的な化合物は、アサ実油、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、キリ油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油などが挙げられる。
エポキシ化植物油(メタ)アクリレートとして、具体的には、エポキシ化大豆油アクリレート(化薬サートマー社製CN111、UCB社製EBECRYL860、コグニス(cognis)社製フォトマー3005F)、エポキシ化アマニ油アクリレート(コグニス社製フォトマー3082)等が挙げられる。
前記エポキシ化植物油(メタ)アクリレートは、ラジカル重合性樹脂組成物の全固形分量に対して0.1〜10重量%添加することが好ましく、1〜7重量%の範囲がより好ましく、0.5〜5重量%の範囲が最も好ましい。ラジカル重合性樹脂組成物の組成にも因るが、0.1%未満では耐指紋性能力不足のおそれがあり、使用量が多くなると指紋の油脂分が凹凸模様の谷部に溜まり易くなり、折角形成した微細模様が視認出来なくなりやすく、また、ラジカル重合性樹脂組成物が可塑化され、塗膜硬度低下のおそれがある。
(その他の成分 光重合開始剤)
本発明の熱転写用フィルムを活性エネルギー線で硬化させる場合は、前記ラジカル重合性樹脂組成物層に光重合開始剤を使用することが好ましい。光重合開始剤の例としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2,4−ジメチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;ポリエーテル系マレイミドカルボン酸エステル化合物などが挙げられ、これらは併用して使用することもできる。光重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性樹脂組成物の全固形分量に対して、0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%である。光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル等のアミン類が挙げられる。さらに、ベンジルスルホニウム塩やベンジルピリジニウム塩、アリールスルホニウム塩などのオニウム塩は、光カチオン開始剤として知られており、これらの開始剤を用いることも可能であり、上記の光重合開始剤と併用することもできる。
(熱重合開始剤)
また、本発明の熱転写用フィルムを熱硬化させる場合は、前記ラジカル重合性樹脂組成物層に熱重合開始剤を使用してもよく好ましい。熱重合開始剤の例としては、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の各種のパーオキサイド;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムまたは過硫酸アンモニウム等の各種の過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]の2塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]またはその2塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]の2塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−アミノフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]の2塩酸塩または2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)の2塩酸塩などのような、種々のアゾ系開始剤が挙げられる。特に、真空成形法の場合、フィルムに充分な熱を与え、瞬間的に成形するため、熱重合開始剤も好適に用いることができる。
(イソシアネート化合物)
また、本発明の熱転写用フィルムを熱硬化させる場合は、前記ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂として水酸基を有する樹脂を選択し、且つ二価以上のイソシアネート化合物を添加することで、ラジカル重合性不飽和基由来の架橋構造とは異なるウレタン架橋構造を導入することができ好ましい。
前記ラジカル重合性不飽和基を含有し、且つ水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体を共重合しておき、そのカルボキシル基とグリシジルメタクリレート等のグリシジル基と重合性不飽和基を有する単量体を反応させる方法、あるいは、予め前記共重合成分としてグリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有重合性単量体を配合し共重合させ、グリシジル基を有する前記共重合体を得、次にグリシジル基と、アクリル酸やメタクリル酸のカルボキシル基含有重合性単量体を反応させる方法により得た(メタ)アクリル樹脂、あるいは、アクリル酸ヒドロキシエチル等の水酸基を有する(メタ)アクリレートを共重合させた(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。
二価以上のイソシアネート化合物をラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂が有するヒドロキシ基と反応させる場合、該樹脂が有するヒドロキシ基の一部と反応させることが好ましい。この場合、該樹脂が有するヒドロキシ基の5〜50%を反応させることが好ましく、10〜40%であることがより好ましく、15〜30%であることが特に好ましい。
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、メタ−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−メタ−キシリレンジイソシアネート等のアラルキルジイソシアネート類を主原料とするポリイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−(又は、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソイシアネート、リジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1,3−ビス(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートから得られる脂肪族ポリイソシアネートであるアロファネート型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート、アダクト型ポリイソシアネート及びイソシアヌレート型ポリイソシアネートが挙げられ、いずれも好適に使用することができる。
なお、前記したポリイソシアネートとしては、種々のブロック剤でブロック化された、いわゆるブロックポリイソシアネート化合物を使用することもできる。ブロック剤としては、例えばメタノール、エタノール、乳酸エステル等のアルコール類;フェノール、サリチル酸エステル等のフェノール性水酸基含有化合物類;ε−カプロラクタム、2−ピロリドン等のアマイド類;アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム等のオキシム類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物類等を使用することができる。ブロックポリイソシアネート化合物を使用することにより、後述するラジカル重合性樹脂組成物層を形成する際の塗料に対して、アルコールのような水酸基含有の溶剤を使用することも可能になる。
(その他の成分)
また、ラジカル重合性樹脂組成物層は、無機あるいは金属化合物、有機微粒子等を添加することもできる。無機あるいは金属化合物としては、シリカ、シリガゲル、シリカゾル、シリコーン、モンモリロナイト、マイカ、アルミナ、酸化チタン、タルク、硫酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ等があげられる。また該無機あるいは金属化合物を有機処理した、オルガノシリカゾル、アクリル変性シリカ、クロイサイト等を使用してもよい。有機微粒子としては、例えば、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂およびフェノール樹脂等の微粒子があげられる。これらは、単独で使用しても、複数を併用してもよい。その他本発明の効果を損なわない範囲において、汎用の添加剤、例えば紫外線吸収剤、レベリング剤、アンチブロッキング剤等を添加することもできる。
本発明で使用するラジカル重合性樹脂組成物層の厚みとしては、被転写基材あるいは射出成形体の表面保護および塗工性の観点から、1〜50μmが好ましく、3〜40μmがより好ましい。
(加飾層)
加飾層には、汎用の印刷インキまたは塗料を使用することができ、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷などを用いて形成することができる。加飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmであることが好ましく、更に好ましくは、1〜7μmである。また絵柄のない着色層や、無色のワニス樹脂層についても塗工によって形成することができる。
また、印刷の場合の印刷柄は、版を起こせる、あるいは印字できる模様や文字であればどのような印刷柄も可能である。またベタ版であってもよい。
印刷インキまたは塗料に使用する着色材としては、公知の有機顔料あるいは無機顔料を使用して印刷することができ好ましい。
前記有機顔料としては、たとえば、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、フタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アゾレーキ顔料系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料等が挙げられる。
また、無機顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄系、酸化チタン系等の無機顔料、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料、酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料等が挙げられる。
前記インキに含有されるワニス用樹脂は、特に限定はないが、例えば、アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ビニル樹脂系(塩ビ、酢ビ、塩ビ−酢ビ共重合樹脂)、塩素化オレフィン樹脂系、エチレン−アクリル樹脂系、石油系樹脂系、セルロース誘導体樹脂系などの公知のインキを用いることができる。
また、インキに含有される有機溶剤としては、硬化性樹脂層あるいは後述の剥離性フィルムを侵すものでなければ特に制限なく使用でき、具体例として、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンもしくはミネラルスピリット等の炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートもしくは酢酸アミル等のエステル系有機溶剤、n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルもしくはジエチレングリコール等のエーテル系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミノケトン、ジイソブチルケトンもしくはシクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤、N−メチルピロリドン等の含窒素系、「スワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500」〔コスモ石油(株)製〕等の芳香族石油溶剤系を挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独使用でも2種以上の併用でもよい。
印刷インキ又は塗料には、基材樹脂と着色剤のほか、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、艶消し剤、溶媒などを含有させてよい。
(熱転写用フィルムの製造方法)
前記基材フィルム上に前記ラジカル重合性樹脂組成物層を設ける方法、あるいは前記加飾層を設ける方法としては特に限定はなく、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の各種印刷方法や、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ロッドコート法、キスコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法、フローコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の各種公知の塗工方法を適宜用いることができる。特に加飾層の形成は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などにより行うことができ、高画質画像を得やすいため、グラビア印刷が好ましい。加飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmであることが好ましく、更に好ましくは、1〜7μmである。
またドライラミネーション(乾式積層法)により、前記ラジカル重合性樹脂組成物層を設けた基材フィルムと、前記加飾層を設けた任意の剥離性フィルムとを、前記重合性樹脂層と前記装飾層とが相対するように重ねてドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせ、転写する方法にて製造することもできる。
乾燥、加熱加圧による貼り合わせ温度は特に限定はなく、使用する基材フィルムの耐熱温度等を加味しながら行えばよい。製造した熱転写用フィルムは、層間密着性の向上等、必要に応じて、エージングをしてもよい。
(熱転写用フィルム 膜厚)
本願の熱転写用フィルムの全体の膜厚は、熱転写方法によるため特に制限されないが、被転写基材への形状追随性の観点から21.5〜200μmが好ましく、30〜150μmがより好ましい。
(接着剤層)
その他、本発明の効果を損なわない範囲において、任意の層を更に積層させることもできる。例えば本発明の熱転写フィルムを被転写基材と貼り付ける場合は、加飾層の、被転写基材と接する面に、接着層や粘着層を設けることは好ましい。接着層や粘着層は、被着体と接着力を高める目的で付与する層であり、接着剤でも粘着剤でも構わなく、樹脂フィルムと被着体とに接着する材質のものを適宜選択することが可能である。
例えば接着剤としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、天然ゴム、SBR、NBR、シリコーンゴム等の合成ゴムなどがあげられ、溶剤型又は無溶剤型のものが使用出来る。
また、粘着剤としては、熱成形する温度でタック性を有するものであれば良く、例えば、アクリル樹脂、イソブチレンゴム樹脂、スチレン−ブタジエンゴム樹脂、イソプレンゴム樹脂、天然ゴム樹脂、シリコーン樹脂などの溶剤型粘着剤や、アクリルエマルジョン樹脂、スチレンブタジエンラテックス樹脂、天然ゴムラテックス樹脂、スチレン−イソプレン共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテルなどの無溶剤型粘着剤などがあげられる。
本発明の熱転写用フィルムに前記接着層や粘着層を設ける場合は、前記ラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層を設けたフィルムに直接印刷あるいは塗工したり、前記ラジカル重合性樹脂組成物層と前記加飾層とが相対するように重ねてドライラミネーションにより転写する方法等で得ることができる。後者の場合、接着層を有する加飾層を転写することが好ましいが、加飾層を転写した後、接着層を設けてもよい。
(熱転写方法)
本発明の熱転写用フィルムは、公知の転写方法に使用することができる。具体的には、必要に応じ予備成形した熱転写フィルムを、雌型の表面に設置し、両型を閉じ、射出孔から両型間のキャビティ(成形窩洞)内に熔融樹脂を射出し、射出樹脂を冷却固化させた後、両型を開き、成形品とこれに密着した転写フィルムとを型から取出し、基材フィルム(剥離フィルム:フィルム(B)に相当)のみを剥離して、被転写基材上に転写層が転写形成された加飾品を得る、射出成形同時転写法や、成形された被転写基材の上方に熱転写用フィルムを、転写層が被転写基材側に向くよう載置しフィルムを軟化温度以上に加熱した後、真空下で、金型を用いずに被転写基材を用いて成形すると同時に、直接被転写基材に貼り付ける、真空成形同時貼り付け法等や、ラッピング同時転写法等の、熱転写時に転写フィルムに伸び、変形が加わる立体形状への成形転写方法に特に好適に使用することができる。ホットスタンプ等、転写フィルムに伸び、変形の加わらない転写法に本発明の転写フィルムを用いてもよい。
いずれの場合においても、成形後に基材フィルムを剥離するが、その際に、基材フィルムが有する凹凸状の模様の逆パターンの模様が、被転写基材上に積層された転写層である、ラジカル重合性樹脂組成物層の表面に形成される。
(活性エネルギー線照射)
本発明の熱転写用フィルムを転写した加飾品のラジカル重合性樹脂組成物層を、活性エネルギー線等で硬化させる。活性エネルギー線は、通常は可視光や紫外線を使用するのが好ましい。特に紫外線が好適である。紫外線源としては、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が用いられる。また、熱を併用する場合の加熱源としては、熱風、近赤外線など公知の熱源が適用可能である。
この時の照射量としては、硬化性樹脂層が完全に硬化するような照射量であることが好ましく、具体的には250mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲が好ましい。特に、加飾層との界面に移動したラジカル反応性希釈剤やラジカル重合性オリゴマーなどを充分に硬化させ、被転写基材との密着性を向上させるために、1000mJ/cm〜3000mJ/cmの範囲がより好ましい。前記基材フィルムを剥離するタイミングは、前記活性エネルギー線を照射する前でも後でもよい。
(被転写基材)
本発明の熱転写用フィルムが転写できる被転写基材は特に限定されず、樹脂、金属、ガラス、木、紙などの各種形状物を用いることができ、前記形状物は、塗装、メッキ、スクラッチ等の常用加飾法により加飾されていてもよい。
また、被転写基材の被着面の材質と、本発明の熱転写用フィルムに使用する熱可塑性樹脂やインキバインダーとの材質とが熱接着あるいは熱融着可能な材質同士であると、より密着性に優れ好ましい。例えば被転写基材の被着面の材質がアクリル系樹脂やスチレン系の樹脂である場合には、熱転写用フィルムに使用する熱可塑性樹脂の材質はアクリル系樹脂が好ましい。
以下、本発明を実施例により説明する。特に断わりのない限り「部」、「%」は重量基準である。
(ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂の製造方法)
<参考例1>
温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、酢酸ブチル950部を仕込んで80℃に昇温し、同温度に達したところで、アクリル酸ブチル970部、メタクリル酸30部、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)7部からなる混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後90℃に昇温し、10時間保持して反応を続行した。
反応液の温度を50℃に下げ、t−ブチルピロカテコール0.2部を酢酸ブチル20部に溶解した溶液を加え、さらにグリシジルメタクリレート20部、ジメチルアミノエタノール3部を加えた後に、80℃まで昇温し、同温度で10時間反応を行う事で、ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂(A1)の溶液を得た。
(成形方法)
<射出成形方法>
後述の方法で得た熱転写用フィルムを、東芝機械社製の射出成形機「EC75N−1.5Y」に設置した後、金型を閉めた。金型は、射出成形体の形状が、100(L)×100(W)×9(H)mm、コーナーR=10mm、立ち上がり部のR=5R、抜き勾配18.5°のトレー状となるものを使用した。
ヒーターで金型を50℃に温調し、帝人化成社製の射出樹脂「マルチロンTN−3715B」を、射出樹脂温265℃で射出した。金型内から射出成形体を取り外し、剥離性フィルムは剥離し、熱転写用フィルムのラジカル重合性樹脂組成物層と加飾層とが転写された射出成形体を得た。その後総照射量1000mJ/cm(ピーク強度180mW/cm2)の紫外線照射を行なうことにより、加飾成形体を得た。
(実施例1)
<基準フィルム(A)の製造>
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)フィルム(東洋紡社製:品番E5101)の片方の表面にヘアライン加工(スクラッチ加工)を行い、基準フィルム(A)を製造した。
この基準フィルム(A)のヘアラインを施した表面を光沢計(BYK−Gardner GmbH社製micro−TRI−gloss)を用いて、ヘアラインに対して略同一方向、及び略垂直方向から、該表面の垂直方向に対して20°、60°、85°の角度で光沢を測定し、基準となるレーダーチャートを作成した(図1)。
<フィルム(B)の製造>
上記基準フィルム(A)と同様な方法でフィルム(B)を製造した。なお、フィルム(B)の製造にあたっては、ヘアライン加工のテスト製造を行い、該テスト製造品のヘアラインが形成された面の光沢を基準となるフィルム(A)と同一方法で測定し、基準となるフィルム(A)の測定値(レーダーチャート)と照合することにより、フィルム(B)の光沢値のレーダーチャートが基準となるレーダーチャートとほぼ一致するように、ヘアラインの製造条件を適宜調整した。具体的には、フィルム(A)のヘアラインが施された表面の光沢に対し、±20に収まるように製造条件を調整した(図1)。
<熱転写用フィルムの製造>
参考例1で得たラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂の溶液の不揮発分に対して、表1に示すポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(日油株式会社製)を5重量%、及び光重合開始剤イルガキュア184(BASF製)1重量%を添加し、ラジカル重合性樹脂組成物を調製した。
ラジカル重合性樹脂組成物をロッドグラビアコーターを用い、基準フィルム(A)及び上記フィルム(B)のヘアライン加工が施された面に塗布し、100℃、1分間乾燥させることにより、乾燥後膜厚5μmのラジカル重合性樹脂組成物層を有するフィルムを得た。
フィルムに対し、DIC製XS−756IM系インキを用いグラビア印刷機にてラジカル重合性樹脂組成物層に直接アルミ調ベタ印刷を付与することにより、熱転写用フィルムを得た。
<熱転写用フィルムを用いた射出成形体の製造>
基準フィルム(A)及び上記フィルム(B)を用いて上記の方法により製造された熱転写用フィルムを、前記射出成形方法に従いヘアラインを有する射出成形体を製造した。基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢値をヘアラインに対して略同一方向、及び略垂直方向から、該表面の垂直方向に対して20°、60°、85°の角度で測定した(図2)。
基準フィルム(A)及びフィルム(B)の光沢の測定値、基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢の測定値を表4に示した。
基準フィルム(A)の表面光沢に対し、フィルム(B)の表面光沢は±20に収まり、且つレーダーチャート形状がほぼ一致しており、外観状も両者はほぼ一致している(表1での評価:○)。
また、基準フィルム(A)を用いた射出成形体(基準値)の表面光沢に対し、フィルム(B)を用いた射出成形体の表面光沢は±20に収まり、且つレーダーチャート形状が基準フィルム(A)を用いた射出成形体のレーダーチャート形状とほぼ一致しており、外観状も両者は一致している(表1での評価:◎)。
(実施例2)
光沢値の測定をヘアラインに対して略垂直方向から、表面の垂直方向に対して20°、60°、85°の角度で測定する以外は実施例1と同様な方法で基準フィルム(A)、フィルム(B)、熱転写用フィルム、及び射出成形体を製造した(射出成形体の光沢値は実施例1と同様にヘアラインに対して略同一方向、及び略垂直方向から、該表面の垂直方向に対して20°、60°、85°の角度で測定した。以下、実施例3〜8、比較例1〜4も同様。)。
基準フィルム(A)及びフィルム(B)の光沢の測定値、基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢の測定値を表4に示した。
基準フィルム(A)及びフィルム(B)の光沢の測定値をレーダーチャートに表した(図3)。また、基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢の測定値をレーダーチャートに表した(図4)。
基準フィルム(A)の表面光沢に対し、フィルム(B)の表面光沢は±20に収まり、且つレーダーチャート形状がほぼ一致しており、外観状も両者はほぼ一致している(表1での評価:○)。
また、基準フィルム(A)を用いた射出成形体(基準値)の表面光沢に対し、フィルム(B)を用いた射出成形体の表面光沢は±20に収まり、且つレーダーチャート形状が基準フィルム(A)を用いた射出成形体のレーダーチャート形状とほぼ一致しており、外観状も両者はほぼ一致している(表1での評価:○)。
(実施例3)
基準フィルム(A)とフィルム(B)の光沢値の測定をヘアラインに対して略垂直方向から、表面の垂直方向に対して60°、85°の角度で測定する以外は実施例1と同様な方法で基準フィルム(A)、フィルム(B)、熱転写用フィルム、及び射出成形体を製造した。
基準フィルム(A)及びフィルム(B)の光沢の測定値、基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢の測定値を表4に示した。
基準フィルム(A)の表面光沢に対し、フィルム(B)の表面光沢は±20に収まり、且つレーダーチャート形状がほぼ一致しており、外観状も両者はほぼ一致している(表1での評価:○)。
また、基準フィルム(A)を用いた射出成形体(基準値)の表面光沢に対し、フィルム(B)を用いた射出成形体の表面光沢は±20に収まり、且つレーダーチャート形状が基準フィルム(A)を用いた射出成形体のレーダーチャート形状とほぼ一致しており、外観状も両者はほぼ一致している(表1での評価:○)。
(実施例4)
基準フィルム(A)とフィルム(B)の光沢値の測定をヘアラインに対して略垂直方向から、表面の垂直方向に対して20°、60°の角度で測定すること、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートに替えてエポキシ化大豆油(メタ)アクリレートを用いる以外は実施例1と同様な方法で基準フィルム(A)、フィルム(B)、熱転写用フィルム、及び射出成形体を製造した。
基準フィルム(A)及びフィルム(B)の光沢の測定値、基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢の測定値を表4に示した。
基準フィルム(A)の表面光沢に対し、フィルム(B)の表面光沢は±20に収まり、且つ外観状も両者はほぼ一致している(表1での評価:○)。
また、基準フィルム(A)を用いた射出成形体(基準値)の表面光沢に対し、フィルム(B)を用いた射出成形体の表面光沢は±20に収まり、且つ外観状も両者はほぼ一致している(表1での評価:○)。
(実施例5)
基準フィルム(A)とフィルム(B)の光沢値の測定をヘアラインに対して略同一方向から、表面の垂直方向に対して20°、60°、85°の角度で測定する以外は実施例1と同様な方法で基準フィルム(A)、フィルム(B)、熱転写用フィルム、及び射出成形体を製造した。
基準フィルム(A)及びフィルム(B)の光沢の測定値、基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢の測定値を表4に示した。
基準フィルム(A)の表面光沢に対し、フィルム(B)の表面光沢は±20に収まり、且つレーダーチャート形状がほぼ一致しており、外観状も両者はほぼ一致している(表2での評価:○)。
また、基準フィルム(A)を用いた射出成形体(基準値)の表面光沢に対し、フィルム(B)を用いた射出成形体の表面光沢は±20に収まり、且つレーダーチャート形状が基準フィルム(A)を用いた射出成形体のレーダーチャート形状とほぼ一致しており、外観状も両者はほぼ一致している(表2での評価:○)。
(実施例6)
基準フィルム(A)とフィルム(B)の光沢値の測定をヘアラインに対して略同一方向から、表面の垂直方向に対して60°、85°の角度で測定する以外は実施例1と同様な方法で基準フィルム(A)、フィルム(B)、熱転写用フィルム、及び射出成形体を製造した。
基準フィルム(A)及びフィルム(B)の光沢の測定値、基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢の測定値を表4に示した。
基準フィルム(A)の表面光沢に対し、フィルム(B)の表面光沢は±20に収まり、且つ外観状も両者はほぼ一致している(表2での評価:○)。
また、基準フィルム(A)を用いた射出成形体(基準値)の表面光沢に対し、フィルム(B)を用いた射出成形体の表面光沢は±20に収まり、且つ外観状も両者はほぼ一致している(表2での評価:○)。
(実施例7)
基準フィルム(A)とフィルム(B)の光沢値の測定をヘアラインに対して略同一方向から、表面の垂直方向に対して20°、60°の角度で測定すること、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートに替えてエポキシ化大豆油(メタ)アクリレートを用いる以外は実施例1と同様な方法で基準フィルム(A)、フィルム(B)、熱転写用フィルム、及び射出成形体を製造した。
基準フィルム(A)及びフィルム(B)の光沢の測定値、基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢の測定値を表4に示した。
基準フィルム(A)の表面光沢に対し、フィルム(B)の表面光沢は±20に収まり、且つ外観状も両者はほぼ一致している(表2での評価:○)。
また、基準フィルム(A)を用いた射出成形体(基準値)の表面光沢に対し、フィルム(B)を用いた射出成形体の表面光沢は±20に収まり、且つ外観状も両者はほぼ一致している(表2での評価:○)。
(実施例8)
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)フィルム(東洋紡社製:品番E5101)の片方の表面にマット調ヘアライン加工(スクラッチ加工及びマット加工)を行う以外は、実施例1と同様な方法で基準フィルム(A)、フィルム(B)、熱転写用フィルム、及び射出成形体を製造した。
基準フィルム(A)及びフィルム(B)の光沢の測定値、基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢の測定値を表4に示した。
基準フィルム(A)の表面光沢に対し、フィルム(B)の表面光沢は±20に収まり、且つレーダーチャート形状がほぼ一致しており、外観状も両者はほぼ一致している(表2での評価:○)。
また、基準フィルム(A)を用いた射出成形体(基準値)の表面光沢に対し、フィルム(B)を用いた射出成形体の表面光沢は±20に収まり、且つレーダーチャート形状が基準フィルム(A)を用いた射出成形体のレーダーチャート形状とほとんど一致しており、外観状も両者は一致している(表2での評価:◎)。
(比較例1)
基準フィルム(A)とフィルム(B)の光沢値の測定をヘアラインに対して略同一方向、及び略垂直方向から、表面の垂直方向に対して60°の角度で測定する以外は実施例1と同様な方法で基準フィルム(A)、フィルム(B)、熱転写用フィルム、及び射出成形体を製造した。
基準フィルム(A)及びフィルム(B)の光沢の測定値、基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢の測定値を表5に示した。
基準フィルム(A)の表面光沢に対し、フィルム(B)の表面光沢は±20に収まり、且つ外観状も両者はほぼ一致している(表3での評価:○)。
しかしながら、基準フィルム(A)を用いた射出成形体(基準値)の表面光沢に対し、フィルム(B)を用いた射出成形体の表面光沢は±20に収まらず、両者の外観は一致せず、比較例1で製造したフィルム(B)を用いた射出成形体は目的とするヘアライン模様は得られなかった。(表3での評価:×)。
(比較例2)
基準フィルム(A)とフィルム(B)の光沢値の測定をヘアラインに対して略垂直方向から、表面の垂直方向に対して60°の角度で測定する以外は実施例1と同様な方法で基準フィルム(A)、フィルム(B)、熱転写用フィルム、及び射出成形体を製造した。
基準フィルム(A)及びフィルム(B)の光沢の測定値、基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢の測定値を表5に示した。
基準フィルム(A)の表面光沢に対し、フィルム(B)の表面光沢は±20に収まり、且つ外観状も両者はほぼ一致している(表3での評価:○)。
しかしながら、基準フィルム(A)を用いた射出成形体(基準値)の表面光沢に対し、フィルム(B)を用いた射出成形体の表面光沢は±20に収まらず、両者の外観は一致せず、比較例1で製造したフィルム(B)を用いた射出成形体は目的とするヘアライン模様は得られなかった。(表3での評価:×)。
(比較例3)
基準フィルム(A)とフィルム(B)の光沢値の測定をヘアラインに対して略同一方向から、表面の垂直方向に対して60°の角度で測定する以外は実施例1と同様な方法で基準フィルム(A)、フィルム(B)、熱転写用フィルム、及び射出成形体を製造した。
基準フィルム(A)及びフィルム(B)の光沢の測定値、基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢の測定値を表5に示した。
また、基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢の測定値をレーダーチャートに表した(図5)。
基準フィルム(A)の表面光沢に対し、フィルム(B)の表面光沢は±20に収まり、且つ外観状も両者はほぼ一致している(表3での評価:○)。
しかしながら、基準フィルム(A)を用いた射出成形体(基準値)の表面光沢に対し、フィルム(B)を用いた射出成形体の表面光沢は±20に収まらず、両者の外観は一致せず、比較例1で製造したフィルム(B)を用いた射出成形体は目的とするヘアライン模様は得られなかった。(表3での評価:×)。
(比較例4)
基準フィルム(A)とフィルム(B)の光沢値の測定をヘアラインに対して略垂直方向から、表面の垂直方向に対して60°の角度とし、且つヘイズ値を測定する以外は実施例1と同様な方法で基準フィルム(A)、フィルム(B)、熱転写用フィルム、及び射出成形体を製造した。
基準フィルム(A)及びフィルム(B)の光沢の測定値、基準フィルム(A)を用いた射出成形体、及びフィルム(B)を用いた射出成形体の光沢の測定値、及びヘイズ値を表5に示した。
基準フィルム(A)の表面光沢に対し、フィルム(B)の表面光沢は±20に収まり、ヘイズ値が±10に収まり、且つ外観状も両者はほぼ一致している(表3での評価:○)。
しかしながら、基準フィルム(A)を用いた射出成形体(基準値)の表面光沢に対し、フィルム(B)を用いた射出成形体の表面光沢は±20にが収まらず、両者の外観は一致せず、比較例1で製造したフィルム(B)を用いた射出成形体は目的とするヘアライン模様は得られなかった。(表3での評価:×)。
以上の実施例、比較例の構成、光沢の測定方法、光沢値を下記の表に示す。
Figure 2013216065
Figure 2013216065
Figure 2013216065
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Figure 2013216065

Claims (11)

  1. 凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法であって、
    凹凸状の模様を有する基準となるフィルム(A)を作成し、
    該基準フィルム(A)の凹凸状模様が施された表面の光沢を、
    該表面の垂直方向に対して2以上の異なる角度で測定し、
    該測定により得られた測定値を基に、
    前記基準となるフィルム(A)と略同一模様を有するフィルム(B)を製造する工程を有する
    ことを特徴とする凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法。
  2. 前記基準となるフィルム(A)と略同一模様を有するフィルム(B)を製造する工程が、
    前記基準となるフィルム(A)と略同一模様を有するフィルム(B)のテスト製造を行い、該テスト製造品の凹凸状の模様が形成された面の光沢を、基準となるフィルム(A)と同一方法で測定し、
    前記基準となるフィルム(A)の測定値と照合することにより、
    フィルム(B)上に凹凸状の模様を形成する工程の製造条件を調整し、
    基準となるフィルム(A)の模様とフィルム(B)の模様を略一致させる工程である、
    請求項1記載の凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法。
  3. 前記フィルム(B)が、略同一方向を向いた凹凸状の線状模様を有するフィルムである請求項1又は2記載の凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法。
  4. 前記表面の光沢を測定する方法が、前記凹凸状の線状模様の延長方向に対して略同一方向、及び略垂直方向から測定する方法である請求項3記載の凹凸状の模様を有するフィルムの製造方法。
  5. 表面に凹凸を有する基材フィルムの該表面上に、ラジカル重合性樹脂組成物層を積層した転写層を有する熱転写用フィルムであって、
    該基材フィルムは、請求項1〜4のいずれかに記載の方法により製造されたフィルム(B)であり、
    該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性不飽和基を含有する(メタ)アクリル樹脂を含有する
    ことを特徴とする熱転写用フィルムの製造方法。
  6. 前記基材フィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層側の面には凹凸状の線状模様が形成されている請求項5記載の熱転写用フィルムの製造方法。
  7. 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層が、ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物又はエポキシ化植物油(メタ)アクリレートとを含有する請求項5又は6記載の熱転写用フィルムの製造方法。
  8. 前記ポリアルキレングリコール鎖と、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート又はポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートである請求項7記載の熱転写用フィルムの製造方法。
  9. 前記エポキシ化植物油(メタ)アクリレートが、エポキシ化大豆油(メタ)アクリレートである請求項7記載の熱転写用フィルムの製造方法。
  10. 請求項5〜9のいずれかに記載の熱転写用フィルムの製造方法により製造された熱転写用フィルム。
  11. 請求項10記載の熱転写用フィルムを用いた加飾成形品。
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JP2016203531A (ja) * 2015-04-24 2016-12-08 本田技研工業株式会社 ウレタン発泡成形体製造装置
JP2019145769A (ja) * 2018-02-20 2019-08-29 タツタ電線株式会社 電磁波シールドフィルム
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