JP2013216047A - 射出成形装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形品を得るまでのサイクルタイムを短くし得、又は型開き時に成形品が脱落することを回避し得る射出成形装置を提供する。
【解決手段】溶融樹脂の昇温部42の上流側流動通路である連通路40、又は下流側流動通路であるスプルー50を開放又は閉塞するための通路開閉手段を設ける。通路開閉手段は、例えば、油圧シリンダ54と、該油圧シリンダ54の作用下に、例えば、スプルー50を開放又は閉塞する弁棒60とを有する。射出成形を行う際には、弁棒60はスプルー50を開放する。溶融樹脂が射出されてから所定時間が経過した後、油圧シリンダ54が付勢されて弁棒60がスプルー50を閉塞する。これにより、昇温部42に存在する溶融樹脂と、キャビティに導入された溶融樹脂とが互いに遮断される。
【選択図】図1

Description

本発明は、射出機から射出された溶融樹脂を、型内に形成されたキャビティに供給する射出成形装置に関する。
射出成形は、射出機から射出された溶融樹脂を、型内に形成されたキャビティに供給し、その後、該溶融樹脂を冷却硬化して成形品を得る一手法として周知である。
射出成形においては、射出機にて樹脂が溶融され、これにより得られた溶融樹脂が前記射出機から射出された後、ホットランナを流通する。溶融樹脂は、さらに、型に形成されるスプルーやゲート等を経由して、キャビティの一部をなす製品部に導入される。キャビティの直前(上流側)には、例えば、特許文献1に記載されるようにノズルが配設され、溶融樹脂は、ノズルから導出されてキャビティに供給されることもある。
ホットランナの温度は、例えば、200℃〜220℃程度に保持され、一方、型の温度は略常温である。従って、キャビティに射出された溶融樹脂は該キャビティの形状に沿って変形し(すなわち、成形され)、さらに、熱が奪取されることに伴って降温することによって硬化して成形品となる。
このような射出成形において、製品コストの低廉化を図るべく樹脂の使用量を低減することや、CO発生量の低減のために軽量な成形品を得ることを目的とし、厚み方向寸法(肉厚)が小さい薄肉物を作製することが試みられる。しかしながら、この場合、肉厚が大きな厚肉物を成形するときと射出条件を同一とすると、溶融樹脂の流動距離が短くなることがある。
このような事態が生じると、例えば、製品部の端部に溶融樹脂が到達しなくなる。すなわち、充填不良が起こり、このため、当該部位が欠落したり、いわゆるデフォームが発生したりした不良成形品が作製されてしまう。
この不具合を回避するべく、溶融樹脂の射出圧力を大きくすることが想起される。この場合、溶融樹脂に対する押圧力が大きくなるので、該溶融樹脂の流動距離が大きくなると期待されるからである。しかしながら、溶融樹脂の射出圧力を大きくすると、パーティング面、特にゲート近傍でバリが発生し易くなる。そこで、型締め圧力を大きくし、バリが発生するような間隙を可及的に低減することも考えられるが、大きな型締め圧力を得るためには、可動型を変位させて型締め・型開きを行う変位機構として大型のものや高出力のものが必要である。このため、射出成形装置が大型化するとともに、重量も大となってしまう。また、そのような変位機構は概して高価であるため、設備投資が高騰する。
以上の観点から、特許文献2では、薄肉部を有する樹脂成形品を安価な設備コストで成形するべく、型内に第1及び第2の樹脂通路を形成し、第1の樹脂通路から製品部に導入される溶融樹脂が薄肉部を形成する部位を通過した後、第2の樹脂通路に設けた弁を開き、該第2の樹脂通路から、製品部中の未充填部位に対して溶融樹脂を供給することが提案されている。
特開平11−105079号公報 特開2003−154562号公報
特許文献1記載の従来技術では、弁を開くタイミング、換言すれば、第2の樹脂通路から溶融樹脂を供給するタイミングを制御装置に記憶させるべく、溶融樹脂の射出を開始してからの経過時間と、製品部内における溶融樹脂の到達位置との関係を、試験を繰り返すことで予め求めておく必要がある。従って、煩雑であり、また、試験の実施のために長時間を要する。
特許文献2の段落[0027]に記載されるように、製品部に検出手段を設け、この検出手段で溶融樹脂が所定の位置を通過したことを検出することも考えられるが、この場合、検出手段の位置に応じて溶融樹脂の射出圧力を変更しなければならない。
そこで、射出機での樹脂の溶融温度を高温に設定することで溶融樹脂の温度を上昇させるとともに粘度を低下させ、ホットランナで高温・低粘度状態を維持した後、該溶融樹脂をキャビティに導入することも考えられる。しかしながら、本発明者の鋭意検討によれば、この場合、溶融樹脂が物性変化を起こすことに起因して、強度が十分ではない成形品が得られることが多々ある。
しかも、特許文献2に開示された射出成形装置は、製品部に溶融樹脂を導入するゲートが複数個存在する、いわゆる多点ゲートのものであるが、このためにウェルドラインが形成されるので、成形品の外観品質が低下する。加えて、バルブゲートを複数個設置しなければならないので、金型費が増大する。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、キャビティをなす製品部の全体にわたって溶融樹脂を充填させることや、十分な強度を示す成形品を得ることが可能であり、しかも、成形品を得るためのサイクルタイムを短くし得、又は、型開きを行う際に成形品が脱落することを回避し得る射出成形装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、射出機から射出された溶融樹脂を、型内に形成されたキャビティに供給する射出成形装置において、
前記溶融樹脂の流動通路であるホットランナが形成されるとともに、前記ホットランナの一部に設けられ、前記溶融樹脂を、前記射出機内での溶融時の温度よりも高温とするための昇温部を備え、
前記昇温部の上流側流動通路又は下流側流動通路を開放又は閉塞する通路開閉手段を有することを特徴とする。
以上のように、本発明では、昇温部の上流側流動通路又は下流側流動通路を、通路開閉手段によって開閉するようにしている。例えば、昇温部の下流側流動通路を閉塞する場合、射出成形の際、この閉塞によって、昇温部に残留した溶融樹脂と、キャビティに充填された溶融樹脂とが遮断される。従って、昇温部に残留した溶融樹脂から、キャビティに充填された溶融樹脂に熱が伝達することが阻害される。このためにキャビティに充填された溶融樹脂が効率よく冷却されるので、成形品を得るまでのサイクルタイムが短くなる。
また、ホットランナを流動する溶融樹脂を昇温部に通過させて温度上昇させ、射出機内での溶融時の温度よりも高温とするとともに粘度を低下させるようにしているので、溶融樹脂の流動距離を大きくすることができる。
すなわち、例えば、製品部に薄肉部を形成する部位が存在する場合であっても、溶融樹脂の温度が高いので、金型によって熱が奪取されてもなお、該溶融樹脂の温度が降下し難い。従って、溶融樹脂が比較的低粘度のまま該部位を容易に通過し、該製品部の端部まで到達する。このため、欠陥が発生することが回避された成形品を得ることができる。
しかも、成形機での樹脂の溶融温度を高く設定した場合に比べて溶融樹脂が高温に保持される時間が短いので、溶融樹脂が物性変化を起こすことに起因して成形品が脆化することや、ガスの発生によって成形品の外観に不具合を生じさせることも回避される。すなわち、得られた成形品は、十分な強度を示す。
その上、本発明では、成形品の強度を確保するには昇温部の温度と高温に保持される時間を制御すれば十分であり、多点ゲートのように試験を繰り返して射出条件を最適化する必要もない。加えて、多点ゲートを採用する必要が特にないので、ウェルドラインが発生する懸念が払拭される。しかも、金型費が増大することもない。
また、この場合、溶融樹脂の流動距離を大きくするべく溶融樹脂の射出圧力を大きくする必要がない。このため、射出圧力を大きくすることに伴ってバリが発生することを回避するべく型締め圧力を大きくする必要がないと期待される。
以上のような理由から、射出成形装置が大型化することや、大重量化することを回避することが図れる。また、小型の変位機構は、大型のものに比して概して安価であるため、設備投資が高騰することも回避される。
通路開閉手段は、例えば、いわゆるバルブゲートとして構成することができる。すなわち、この場合、通路開閉手段は、上流側流動通路又は下流側流動通路を開放又は閉塞する弁部材と、前記弁部材を変位させる変位機構とを有する。
なお、昇温部を流動する溶融樹脂を撹拌するための撹拌手段を設けることが好ましい。この撹拌により、溶融樹脂に温度ムラが生じることが回避される。従って、溶融樹脂の温度、ひいては粘度が略一様となる。これにより、溶融樹脂に高粘度な部位が形成されることが回避されるので、該溶融樹脂の流動距離を大きくすることが容易となる。
この場合において、弁部材を撹拌手段に干渉しないように設けるには、前記撹拌手段の長手方向に対して平行方向に延在させるとともに、前記撹拌手段の入口又は出口と、前記上流側流動通路又は前記下流側流動通路とを連通し且つ前記撹拌手段の長手方向に対して傾斜した連通路を設ければよい。
又は、弁部材を、撹拌手段の長手方向に対して傾斜する方向に延在させるようにしてもよい。
さらに、弁部材を撹拌手段に通すようにしてもよい。すなわち、撹拌手段を構成する撹拌翼に挿通孔を形成し、この挿通孔に弁部材を通せばよい。
撹拌翼は、複数個が互いに接合されることが一般的であるが、接合部に前記挿通孔を形成すると、接合強度が低下する。この場合、射出圧力が過度に大きいと、撹拌翼が変形する懸念がある。そこで、挿通孔を、撹拌翼同士の接合部以外の部位に形成することが好ましい。この場合、撹拌手段を、その中心軸が上流側流動通路又は下流側流動通路の中心軸に対してオフセットされた位置に設けるようにしてもよい。
又は、挿通孔に管部材を挿入し、前記弁部材を、管部材の貫通孔を介して挿通孔に通すようにしてもよい。この場合においても、撹拌翼が変形することを回避することができる。
変位機構を固定型に設置し、且つ弁部材によって下流側流動通路を開放又は閉塞するようにすると、昇温部の溶融樹脂と、キャビティの溶融樹脂とが遮断されるようになるので、キャビティの溶融樹脂を効率よく冷却して成形品を得るサイクルタイムを短縮することが容易となる。
また、変位機構を可動型に設置し、且つ弁部材によって下流側流動通路を開放又は閉塞するようにすると、型開きを行った際に成形品が弁部材によって支持される。従って、成形品が脱落することが回避される。
前記昇温部及び前記通路開閉手段を複数個設けるようにしてもよい。これにより、ホットランナが分岐する場合であっても、上記した効果が得られる。
前記昇温部及び前記通路開閉手段を複数個設ける場合には、複数個の通路開閉手段を個別に動作させ、複数個の昇温部の各々から、溶融樹脂を個別に前記キャビティに供給するようにしてもよい。この場合、例えば、キャビティに幅広の部位があるとき、複数個の通路開閉手段を、各々の充填量を補い合うように設置することによって、該部位に溶融樹脂を密充填させることができる。
本発明によれば、昇温部の上流側流動通路又は下流側流動通路を、通路開閉手段によって開閉するようにしているので、例えば、昇温部ないしその上流側に残留した溶融樹脂と、キャビティに充填された溶融樹脂とを遮断し、これにより、昇温部ないしその上流側に残留した溶融樹脂から、キャビティに充填された溶融樹脂に熱が伝達することを防止することができる。このため、キャビティに充填された溶融樹脂が効率よく冷却される。その結果、成形品を得るまでのサイクルタイムを短くすることができる。
また、変位機構を可動型に設置し、且つ弁部材によって昇温部の下流側流動通路を開放又は閉塞するようにしたときには、型開きを行った際に成形品を弁部材によって支持することができる。このため、成形品が脱落することを回避することができる。
本発明の実施の形態に係る射出成形装置の要部概略縦断面図である。 図1に示す通路開閉手段が、スプルーの入口側の開口を開放した状態を示す要部概略縦断面図である。 通路開閉手段を構成する弁部材を、撹拌手段に挿通することなく設けた射出成形装置の要部概略縦断面図である。 通路開閉手段を構成する弁部材を、撹拌手段の長手方向に対して傾斜するように設けた射出成形装置の要部概略縦断面図である。 図4に示す射出成形装置が開状態にあるときの弁部材の先端近傍を示す要部拡大図である。 図4に示す射出成形装置が閉状態にあるときの弁部材の先端近傍を示す要部拡大図である。 弁部材の先端が図5及び図6とは別形状であるときの開状態を示す要部拡大図である。 弁部材の先端が図5及び図6とは別形状であるときの閉状態を示す要部拡大図である。 撹拌手段の撹拌翼の接合部位を避けるようにして弁部材を通した射出成形装置の要部概略縦断面図である。 撹拌手段の撹拌翼の接合部位を避けるようにして弁部材を通した、図9とは別の構成の射出成形装置の要部概略縦断面図である。 通路開閉手段を可動型に設けた射出成形装置の要部概略縦断面図である。 図11に示す通路開閉手段が、スプルーの入口側の開口を開放した状態を示す要部概略縦断面図である。 図11とは別の構成の通路開閉手段を可動型に設けた射出成形装置の要部概略縦断面図である。 図13に示す通路開閉手段が、スプルーの入口側の開口を開放した状態を示す要部概略縦断面図である。 昇温部の下流側流動通路を開放・閉塞可能な射出成形装置の要部概略縦断面図である。 昇温部及び通路開閉手段を複数個設けた射出成形装置の要部概略縦断面図である。 弁棒(弁部材)を管部材に挿入して撹拌手段の挿通孔に通した射出成形装置の要部概略縦断面図である。
以下、本発明に係る射出成形装置につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る射出成形装置10の要部概略縦断面図である。この射出成形装置10は、固定型12と、図示しない変位機構の作用下に固定型12に対して接近又は離間する可動型14とを備える。固定型12と可動型14とにより、ランナ16を含むキャビティが形成される。
固定型12には、第1ホットランナ18が形成されたホットランナブロック20が付設される。なお、ホットランナブロック20の下流側には、第2ホットランナ22が形成されたホットランナマニホールド24が設けられる。
ホットランナブロック20には、タッチピース26が設けられている。このタッチピース26には導入孔28が貫通形成され、この導入孔28の開口には、射出機30の射出ノズル32が着座する。
前記第1ホットランナ18は、前記導入孔28に連通する。また、第2ホットランナ22は、第1ホットランナ18に連通する案内路34と、該案内路34から放射状に分岐した複数個の分岐路36とを含む。なお、図1においては、複数個の分岐路36中、互いに略180°離間した2個を示している。
第2ホットランナ22は、さらに、ホットノズル38に設けられた連通路40と、末端部としての昇温部42とを有する。すなわち、分岐路36は、連通路40を介して昇温部42に連通する。換言すれば、連通路40は昇温部42の上流側流動通路である。
第1ホットランナ18、分岐路36及び連通路40の近傍には、図示しないヒータ等の加熱手段が設けられている。このため、第1ホットランナ18、分岐路36及び連通路40を流動する溶融樹脂は、例えば、200℃〜220℃の間の所定温度に保たれる。
本実施の形態において、昇温部42は、スタティックミキサ44の外周壁にバンドヒータ46が巻回されることで構成されている。スタティックミキサ44のホットノズル38に臨む側の端部の内壁はネジ部であり、このネジ部は、前記ホットノズル38のスタティックミキサ44を臨む端部の外壁に設けられたネジ部に螺合されている。
スタティックミキサ44は、周知の通り、内部にミキシングブレード48が設けられた管部材である。スタティックミキサ44内を流通する溶融樹脂は、ミキシングブレード48を通過する際、該ミキシングブレード48の形状に沿って移動する。この移動により、溶融樹脂が撹拌される。このことから諒解されるように、スタティックミキサ44は、動力が不要な撹拌手段である。
スタティックミキサ44の外周壁に巻回されたバンドヒータ46は、該外周壁を介してミキシングブレード48に熱を伝達する。従って、ミキシングブレード48を通過する溶融樹脂にも熱が伝達される。また、ミキシングブレード48の形状によっては剪断発熱が生じる。従って、溶融樹脂の温度が上昇する。すなわち、昇温部42は、該昇温部42を流通する溶融樹脂の温度を上昇させるためのものである。なお、バンドヒータ46の温度、ひいては昇温部42の温度は、図示しない熱電対を介して測定された値に応じて制御される。
スタティックミキサ44の下流側には、スプルー50が形成されたノズルチップ52が配設される。昇温部42を通過した溶融樹脂は、スプルー50を経由して、キャビティの一部である前記ランナ16に導入される。すなわち、スプルー50は、昇温部42の下流側流動通路である。なお、スプルー50は、昇温部42に近接する側(上流側)の端部から可動型14に近接する側(下流側)の端部に向かってテーパー状に拡径している。
以上の構成において、ホットランナブロック20又はホットランナマニホールド24には、通路開閉手段を構成する油圧シリンダ54(変位機構)が設けられる。すなわち、該油圧シリンダ54は、ホットランナブロック20又はホットランナマニホールド24を介して固定型12に支持される。又は、固定型12に油圧シリンダ54を直接設けるようにしてもよい。
油圧シリンダ54のピストンロッド56の先端には、カップリング58を介して、該油圧シリンダ54とともに通路開閉手段を構成する弁棒60(弁部材)が連結される。この弁棒60は、ホットランナマニホールド24に設けられた軸受62によって支持され、且つ分岐路36内に挿入されている。弁棒60は、さらに、ホットノズル38の連通路40及び昇温部42を超えるように延在している。
その一方で、ミキシングブレード48には、スタティックミキサ44の中心軸に沿って複数個の挿通孔が形成されており、弁棒60は、全ての挿通孔に通されてノズルチップ52の内部に進入している。
スプルー50において、昇温部42に臨む側の開口の寸法は、弁棒60の先端部の寸法に略等しい。このため、弁棒60の先端は、前記開口を閉塞することが可能である。勿論、弁棒60が図1における右方に後退動作したときには、開口が開放される(図2参照)。すなわち、開口近傍の内壁は弁座として機能する。
可動型14には、前記キャビティの一部をなすランナ16及び図示しないゲートが形成される。製品を得るための製品部は、該ゲートの下流に設けられる。すなわち、スプルー50は、ランナ16及び前記ゲートを介して前記製品部に連通する。
ここで、ランナ16の軸線方向は、スプルー50の軸線方向に対して略直交している。このため、スプルー50から導出された溶融樹脂の流動方向は、ランナ16によって変換される。
図1及び図2においては、理解を容易にするために昇温部42やスプルー50、ランナ16等を拡大して示しているが、図1及び図2の縮尺は実際の寸法に対応するものではない。例えば、スタティックミキサ44の軸線方向寸法(長さ)は、実際には、第1ホットランナ18及び分岐路36等に比して著しく小さく設定される。勿論、弁棒60の長さ方向寸法も同様である。すなわち、スタティックミキサ44における溶融樹脂の流動距離は、第1ホットランナ18及び分岐路36における溶融樹脂の流動距離に比して小さい。従って、昇温部42の内部に滞留する溶融樹脂の量は少ない。
本実施の形態に係る射出成形装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果につき、該射出成形装置10にて実施される射出成形方法との関係で説明する。
射出成形を行うに際しては、先ず、図示しない前記変位機構の作用下に可動型14を固定型12に向けて変位させ、型締めを行う。その前又は後に、射出機30内にて所定の温度で樹脂を溶融し、溶融樹脂を得る。
次に、油圧シリンダ54を付勢してピストンロッド56を後退させることにより、図2に示すように、弁部材を右方に後退動作させて弁棒60を開口近傍の内壁(弁座)から離間させる。これによりスプルー50が開放され、導入孔28が、第1ホットランナ18、第2ホットランナ22(案内路34、分岐路36及び昇温部42)、スプルー50、ランナ16を介して前記キャビティに連通する。
このようにして導入孔28からキャビティまでを連通させるとともに、射出機30の射出ノズル32から溶融樹脂を射出する。射出された溶融樹脂は、タッチピース26に形成された導入孔28を経由して第1ホットランナ18に到達し、その後、第2ホットランナ22の案内路34を経て分岐路36に至る。溶融樹脂は、複数個の分岐路36の各々に沿ってさらに流動する。
上記したように第1ホットランナ18及び第2ホットランナ22は、図示しない加熱手段(ヒータ等)によって加熱されており、このため、溶融樹脂は、溶融時の温度に略保持された状態で、第1ホットランナ18及び第2ホットランナ22を流動する。勿論、この温度は、溶融樹脂が冷却硬化して成形品となったときに十分な強度を確保し得る温度である。
溶融温度ないし保持温度は、溶融樹脂の種類に応じて設定されるが、概ね200℃〜220℃の間、一層好適には205℃〜215℃の間である。
第2ホットランナ22の分岐路36を流動した溶融樹脂は、ホットノズル38の連通路40から、昇温部42を構成するスタティックミキサ44の内部に導出される。ここで、スタティックミキサ44には、該スタティックミキサ44内が射出機30における溶融時の温度に比して高温となるように、バンドヒータ46からの熱が伝達される。また、溶融樹脂がミキシングブレード48を通過する際には剪断発熱が発生する。このような熱が、ミキシングブレード48を通過する溶融樹脂に伝達される。その結果、溶融樹脂は、射出機30内で溶融したとき、ないし分岐路36を流動したときの温度に比して高温となり、これに伴って粘度が低下する。
なお、スタティックミキサ44の設定温度は、射出機30内の溶融温度に比して10℃〜150℃程度高温が好適であり、20℃〜100℃程度高温が一層好適である。この程度の温度であれば、強度が不十分な成形品が作製されることが回避される。
溶融樹脂は、ミキシングブレード48を通過する際に剪断力を受けることに伴って熱を帯びる。すなわち、ミキシングブレード48を通過することのみでも溶融樹脂の温度が上昇する。この温度上昇幅が十分であれば、スタティックミキサ44の設定温度を、射出機30内の溶融温度と同一にしてもよい。
射出機30内での溶融温度を、樹脂の溶融に必要最低限に設定するとともに、昇温部42の温度を、溶融樹脂が製品部の全体に充填されるに必要な粘度にし得る必要最低限に設定することにより、射出成形装置10の電力消費量を抑制することができる。
スタティックミキサ44を設けた本実施の形態においては、溶融樹脂がミキシングブレード48を通過することに伴って、内周壁に近い溶融樹脂が直径中心に向かって移動するとともに、直径中心に近い溶融樹脂が内周壁に向かって移動する。このため、熱源であるバンドヒータ46に近接して比較的高温となった溶融樹脂と、バンドヒータ46から離間して比較的低温である溶融樹脂とが連続的に混じり合いながらスタティックミキサ44を流動していくことになる。従って、溶融樹脂に温度ムラが生じることが回避され、その結果、部位に関わらず温度が略均等な、換言すれば、粘度が略一様な溶融樹脂が得られる。
しかも、溶融樹脂を得るための材料が、例えば、マスターバッチ材料やメタリック原着材料であっても、スタティックミキサ44の撹拌によって十分に分散されるので、外観品質に優れた成形品を得ることができる。また、初回の射出成形を行った後、色や材料の種類を変更して第2回の射出成形を行う際、初回の射出成形時に射出された溶融樹脂が残留して新たに射出された溶融樹脂に混入したとしても、両溶融樹脂がスタティックミキサ44によって十分に撹拌されるため、例えば、残留した溶融樹脂に起因する筋状の外観不良等が成形品に発生し難い。このため、不良品の発生数を低減することができる。
加えて、スタティックミキサ44を採用する場合、撹拌を行うための動力を設ける必要がない。このため、射出成形装置10の構成が複雑となることが回避されるとともに、金型投資が高騰することが回避される。また、消費電力が多くなることもない。
昇温部42を通過した溶融樹脂は、スプルー50を通過した後、ランナ16及び図示しないゲートを経て製品部に導入される。ランナ16に導入された溶融樹脂は、上記したように昇温部42によって昇温されることで粘度が十分に低下している。また、昇温によって溶融樹脂の温度が比較的高温となっているので、該溶融樹脂の熱が可動型14によって奪取されたとしてもなお、その温度が降下し難い。従って、溶融樹脂の流動距離が大きくなり、このため、製品部に薄肉部を形成する部位が存在する場合であっても、溶融樹脂は、該部位を容易に通過して製品部の端部まで到達する。すなわち、溶融樹脂がキャビティ全体に密充填される。
溶融樹脂が射出されて所定の時間が経過すると、油圧シリンダ54が付勢されてピストンロッド56が右方に前進動作する。これに追従して弁棒60も右方に前進動作し、その先端が開口近傍の内壁(弁座)に着座する。すなわち、スプルー50が閉塞された状態となる。
製品部は、通常、略常温となるように温度調整されている。従って、製品部に導入された溶融樹脂の熱が奪取される。また、スプルー50が閉塞されているので、キャビティに充填された溶融樹脂と、昇温部42に存在する溶融樹脂とが互いに遮断されている。このため、昇温部42に存在する溶融樹脂の熱が、キャビティに充填された溶融樹脂に伝達されることが防止される。
以上のような理由から、キャビティに充填された溶融樹脂が効率よく冷却硬化して成形品となる。すなわち、本実施の形態によれば、溶融樹脂の射出を開始してから成形品を得るまでのサイクルタイムを短くすることができる。
溶融樹脂は、昇温部42に導入される前、冷却硬化して成形品となったときに十分な強度を確保し得る温度に保持されて第1ホットランナ18、案内路34及び分岐路36を流動する。その後、昇温部42を通過するが、この際の流通時間は短い。換言すれば、溶融樹脂が、射出機30内での溶融時よりも高温となっている時間は短い。このため、溶融樹脂が物性変化を起こすことが回避されるので、十分な強度を示す成形品を得ることができる。しかも、溶融樹脂が製品部の端部まで到達して冷却硬化しているので、該成形品に欠陥が発生することが回避される。
また、溶融樹脂の射出圧力を大きくする必要がないので、バリが発生することを回避するべく型締め圧力を大きくする必要もない。従って、型締め・型開きを行う変位機構(油圧シリンダ等)は小型のもので十分である。このため、射出成形装置10が大型化することや、大重量化することが回避される。また、高価な変位機構が不要であるので、設備投資が高騰することも回避される。
しかも、本実施の形態では、多点ゲートを採用していないので、ウェルドラインが形成される懸念が払拭される。加えて、昇温部42の温度を制御すればよいので、射出条件を設定するための試験を繰り返し行う必要がないという利点も得られる。
前記変位機構の作用下に可動型14を固定型12から離間させて型開きを行えば、成形品を露呈させることができる。成形品は、例えば、ノックアウトピン(図示せず)によって押し出され、射出成形装置10から離間する。
成形品は、スプルー50、ランナ16及びゲートに残留して冷却硬化した樹脂が製品部位に一体的に連結したものとして得られる。このような部位は成形品の製品部位から切断され、例えば、次回の射出成形の出発原料とするべく粉砕される。
昇温部42に残留した溶融樹脂は、バンドヒータ46によって保温される。しかも、キャビティに充填された溶融樹脂と遮断されているので、該溶融樹脂によって熱が奪取されることが防止される。従って、昇温部42に残留した溶融樹脂は溶融状態を維持し、次回の射出成形が行われる際に上記と同様にしてキャビティに充填される。
従って、次回の射出成形において、昇温部42に残留した溶融樹脂の硬化片が異物となって成形品に混入することが回避される。このため、欠陥が発生することが抑制された美観に優れる成形品が得られる。勿論、上記と同様にバリが発生することも回避される。すなわち、弁棒60によってスプルー50を開放・閉塞するようにしたことに伴って、成形品の品質に影響が及ぶことはない。
ところで、ミキシングブレード48は、周知の通り、複数個の撹拌翼70同士がロウ付けによって接合されたものである。互いの接合部位は、直径方向中心である。すなわち、上記した実施の形態では、弁棒60を通すための挿通孔が接合部位に形成されている。このような場合、溶融樹脂の射出圧力が著しく大きいときには、ミキシングブレード48が変形する懸念がある。
このような懸念がある場合には、例えば、図3に示すように、昇温部42とノズルチップ52との間に迂回ブロック72を設ければよい。該迂回ブロック72は、位置決めピン74を介して固定型12に支持すればよい。なお、図3中の参照符号76、78、80は、それぞれ、位置決めリング、位置決めピン及びサポートブロックを示す。この場合、軸受62は迂回ブロック72に設けられる。
迂回ブロック72には、連通路としての連絡通路82が形成される。この連絡通路82の長手方向は、スタティックミキサ44の長手方向に対し、所定の角度で傾斜するようにして交わる。一方、弁棒60は、スタティックミキサ44の長手方向に対して平行に延在する。換言すれば、弁棒60とスタティックミキサ44は、互いに平行の位置関係にある。
この場合、昇温部42とスプルー50が互いに離間しているものの、両者の間に連絡通路82が存在するので、該連絡通路82を介して昇温部42とスプルー50が連通される。これにより、上記と同様にして溶融樹脂をキャビティに充填することができる。
又は、図4に示すように、弁棒60を、スタティックミキサ44の長手方向に対して傾斜する方向に延在するようにしてもよい。この場合、軸受62は、例えば、スタティックミキサ44の外壁に設けることができる。この場合、図5及び図6に示すように、スプルー50の入口側の開口の内壁を、傾斜して延在する弁棒60の先端が着座及び離間可能な形状とすればよい。
ここで、図5及び図6は、弁棒60の先端が略半球面であるときを示しているが、図7及び図8に示すように円錐台形状であるときも同様に、スプルー50の入口側の開口の内壁の形状を、弁棒60の先端の形状に合わせればよい。
さらに、図9に示すように、撹拌翼70同士の接合部位(直径方向中心)を避けるようにして挿通孔を形成するようにしてもよい。この場合、ホットノズル38の連通路40をクランク状又はレデューサ状として傾斜させ、該連通路40の出口の軸中心(直径方向中心)と、スタティックミキサ44の軸中心(直径方向中心)とを合致させるとともに、スプルー50の軸中心を、スタティックミキサ44の軸中心からオフセットした位置に設ければよい。又は、図10に示すように、ホットノズル38の連通路40を、該ホットノズル38の軸中心からオフセットした位置に設けるようにしてもよい。
このようにして、該連通路40の出口の軸中心と、昇温部42の軸中心とを合致させることにより、連通路40から昇温部42に至るまでの間で溶融樹脂が滞留することを回避することができる。
以上の実施の形態は、固定型12に通路開閉手段を設ける場合を例示して説明したが、通路開閉手段を可動型14に設けるようにしてもよい。
例えば、図11に示す実施の形態では、モータ90、回転軸92、ピニオンギア94、ラック96を有する変位機構が可動型14に設けられている。なお、回転軸92と可動型14の間にはベアリング98が介装される。
ラック96の先端には、カップリング58を介して弁棒60が連結される。この弁棒60の先端は、スプルー50の入口側の開口近傍の内壁に対して着座又は離間する。すなわち、射出成形が行われるときには、前記モータ90が付勢され、これにより回転軸92が回転動作を開始する。これに追従して該回転軸92に設けられたピニオンギア94が回転すると、ピニオンギア94に噛合したラック96が後退動作する。その結果、図12に示すように、弁棒60が左方に変位してその先端がスプルー50の入口側の開口の内壁から離間する。従って、上記と同様に、導入孔28からキャビティに至るまでが連通する。
この状態で、溶融樹脂が供給される。溶融樹脂は、昇温部42を通過し、ランナ16を介して製品部に充填される。この充填が終了すると、前記モータ90が再付勢されてラック96が前進動作する。これに追従して弁棒60が右方に変位し、その先端が、図11と同様にスプルー50の入口側の開口を閉塞する。その後、溶融樹脂が冷却硬化し、弁棒60が進入した状態の成形品が得られる。
このようにして成形品が得られた後、型開きが行われる。この際、後退した弁棒60によって成形品が支持される。従って、成形品が型から脱落する懸念が払拭される。この時点では、成形品は、可動型14に固着している。
型開きの後、図示しないエジェクタピンが動作し、成形品を押し出して可動型14から離間させる。また、必要に応じて前記モータ90が再付勢され、弁棒60が右方に変位する。すなわち、成形品が弁棒60に支持された状態が保たれ、成形品が脱落することが回避される。
成形品が弁棒60から取り外された後、エジェクタピン及び弁棒60が左方に変位し、元の位置に戻る。成形品において、弁棒60が通っていた箇所は貫通孔となっているが、この箇所は、近傍を含めて切断し、再使用するようにしてもよい。
なお、成形品が脱落する懸念がない場合には、弁棒60を右方に変位させることなく、エジェクタピンのみを動作させて成形品を可動型14から離間させればよい。弁棒60は、この時点で左方に変位させ、元の位置に戻るようにしてもよい。
図13に示すように、変位機構を、油圧シリンダ100のピストンロッド102に設けられた第1カム部材104と、第2カム部材106とを含むようにして構成するようにしてもよい。すなわち、第1カム部材104には、ピストンロッド102の長手方向に対して傾斜する方向に延在する凸状カム部108が設けられ、一方、第2カム部材106には、前記凸状カム部108が係合する凹状カム部110が設けられる。勿論、凸状カム部108は、凹状カム部110に対して摺動自在に係合する。
この場合、弁棒60は、第2カム部材106の先端に設けられたカップリング58を介して該第2カム部材106に連結される。該弁棒60の先端は、上記と同様に、スプルー50の入口側の開口近傍の内壁に対して着座又は離間する。すなわち、射出成形が行われるときには、前記油圧シリンダ100が付勢され、これによりピストンロッド102が下降する。この際、凸状カム部108が凹状カム部110に対して摺動自在に係合しているため、第2カム部材106が左方に変位する。その結果、図14に示すように、弁棒60が左方に変位してその先端がスプルー50の入口側の開口近傍の内壁から離間する。従って、上記と同様に、導入孔28からキャビティに至るまでが連通する。
この状態で、溶融樹脂が供給される。溶融樹脂は、昇温部42を通過し、ランナ16を介して製品部に充填される。この充填が終了すると、油圧シリンダ100が再付勢される。これによりピストンロッド102が上昇すると、凸状カム部108と凹状カム部110の相互作用下に、第2カム部材106が右方に変位する。これに追従して弁棒60が右方に変位し、その先端が、図13と同様にスプルー50の入口側の開口を閉塞する。その後、溶融樹脂が冷却硬化し、弁棒60が進入した状態の成形品が得られる。
以下、図11及び図12に示す実施の形態と同様の動作が営まれる。すなわち、型開きが行われた後、エジェクタピンの作用下に成形品を押し出して可動型14から離間させる。この際、必要に応じて前記油圧シリンダ100が再付勢され、弁棒60が右方に変位する。勿論、成形品が脱落する懸念がない場合には、弁棒60を右方に変位させることなく、エジェクタピンのみを動作させて成形品を可動型14から離間させればよい。弁棒60は、この時点で左方に変位させ、元の位置に戻るようにしてもよい。
成形品が弁棒60から取り外された後、エジェクタピン及び弁棒60が左方に変位し、元の位置に戻る。弁棒60が通っていた箇所は有底穴又は貫通孔となっているが、この箇所は、近傍を含めて切断するようにしてもよい。
以上とは別に、図15に示すように、昇温部42の下流側流動通路である連通路40を開放・閉塞するようにしてもよい。この場合、ホットノズル38の連通路40は、分岐路36に臨む入口(上流側)の開口がレデューサ状に絞られている。弁棒60は、この絞られた開口近傍の内壁に対して着座・離間する。
さらに、図16に示すように、昇温部42及び通路開閉手段を複数個設けるようにしてもよい。この場合において、例えば、ランナ16及び製品部が下方の製品部に向かうにつれて拡開しているとき等には、油圧シリンダ54を、上方に位置するものから下方に位置するものの順序で逐次的に付勢するようにシーケンス制御を行えばよい。
すなわち、この場合、最上の油圧シリンダ54が付勢されて弁棒60がスプルー50の入口側の開口を開放し、これにより最上のスプルー50からのみ溶融樹脂がランナ16に導入される。次に、中央の油圧シリンダ54が付勢されて弁棒60がスプルー50の入口側の開口を開放し、これにより、最上及び中央の各スプルー50の双方から溶融樹脂がランナ16に導入される。
最後に、最下の油圧シリンダ54が付勢されて弁棒60がスプルー50の入口側の開口を開放する。これにより、最上、中央及び最下のスプルー50の全てから溶融樹脂がランナ16に導入される。
このように、昇温部42及び通路開閉手段を複数個、各々の充填量を補い合うように設置することにより、ランナ16及び製品部が幅広である場合であっても、射出圧力や型締め力を過度に大きくすることなく溶融樹脂をキャビティに供給することができるという利点や、ウェルドのない外観品質に優れた成形品が得られるという利点がある。
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは勿論である。
例えば、この実施の形態では、スタティックミキサ44にバンドヒータ46を巻回することで昇温部42を構成するようにしているが、スタティックミキサ44にコイル型ヒータやカートリッジヒータを埋設して昇温部42を構成するようにしてもよい。
また、撹拌手段はスタティックミキサ44に特に限定されるものではなく、例えば、動力によって回転動作するスクリュであってもよい。
撹拌手段は必須ではなく、例えば、直径が小さいために温度ムラ幅が小さい直管を昇温部42に用いる場合等では、撹拌手段を省略するようにしてもよい。
さらに、油圧シリンダ54、100に代替してエアシリンダを採用し得ることはいうまでもない。
さらにまた、図17に示すように、ミキシングブレード48に形成した挿通孔に対し、パイプ120(管部材)を通すようにしてもよい。この場合、該パイプ120の貫通孔に弁棒60を通すようにすればよい。すなわち、弁棒60は、パイプ120の貫通孔を介して挿通孔に通される。
この場合においても、ミキシングブレード48が変形することを回避することができる。
10…射出成形装置 12…固定型
14…可動型 16…ランナ
18…第1ホットランナ 22…第2ホットランナ
30…射出機 32…射出ノズル
34…案内路 36…分岐路
38…ホットノズル 40…連通路
42…昇温部 44…スタティックミキサ
46…バンドヒータ 48…ミキシングブレード
50…スプルー 52…ノズルチップ
54、100…油圧シリンダ 56、102…ピストンロッド
60…弁棒 70…撹拌翼
72…迂回ブロック 82…連絡通路
90…モータ 92…回転軸
94…ピニオンギア 96…ラック
104…第1カム部材 106…第2カム部材
108…凸状カム部 110…凹状カム部
120…パイプ

Claims (12)

  1. 射出機から射出された溶融樹脂を、型内に形成されたキャビティに供給する射出成形装置において、
    前記溶融樹脂の流動通路であるホットランナが形成されるとともに、前記ホットランナの一部に設けられ、前記溶融樹脂を、前記射出機内での溶融時の温度よりも高温とするための昇温部を備え、
    前記昇温部の上流側流動通路又は下流側流動通路を開放又は閉塞する通路開閉手段を有することを特徴とする射出成形装置。
  2. 請求項1記載の成形装置において、前記通路開閉手段は、前記上流側流動通路又は前記下流側流動通路を開放又は閉塞する弁部材と、前記弁部材を変位させる変位機構とを有することを特徴とする射出成形装置。
  3. 請求項2記載の成形装置において、前記昇温部を流動する前記溶融樹脂を撹拌する撹拌手段をさらに有し、前記弁部材が前記撹拌手段の長手方向に対して平行方向に延在するとともに、前記撹拌手段の入口又は出口と、前記上流側流動通路又は前記下流側流動通路とを連通し且つ前記撹拌手段の長手方向に対して傾斜した連通路が設けられることを特徴とする射出成形装置。
  4. 請求項2記載の成形装置において、前記昇温部を流動する前記溶融樹脂を撹拌する撹拌手段をさらに有し、前記弁部材が、前記撹拌手段の長手方向に対して傾斜する方向に延在することを特徴とする射出成形装置。
  5. 請求項2記載の成形装置において、前記昇温部を流動する前記溶融樹脂を撹拌する撹拌翼を具備する撹拌手段をさらに有し、前記撹拌翼に挿通孔が形成されるとともに、前記弁部材が前記挿通孔に通されていることを特徴とする射出成形装置。
  6. 請求項5記載の成形装置において、前記挿通孔が、前記撹拌翼同士の接合部以外の部位に形成されていることを特徴とする射出成形装置。
  7. 請求項6記載の成形装置において、前記撹拌手段が、その中心軸が前記上流側流動通路又は前記下流側流動通路の中心軸に対してオフセットした位置に設けられることを特徴とする射出成形装置。
  8. 請求項5記載の成形装置において、前記挿通孔に管部材が挿入されるとともに、前記弁部材が前記管部材の貫通孔を介して前記挿通孔に通されていることを特徴とする射出成形装置。
  9. 請求項2〜8のいずれか1項に記載の成形装置において、前記変位機構が固定型に設置されるとともに、前記弁部材が前記下流側流動通路を開放又は閉塞することを特徴とする射出成形装置。
  10. 請求項2〜8のいずれか1項に記載の成形装置において、前記変位機構が可動型に設置されるとともに、前記弁部材が前記下流側流動通路を開放又は閉塞することを特徴とする射出成形装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の成形装置において、前記昇温部及び前記通路開閉手段を複数個有することを特徴とする射出成形装置。
  12. 請求項11記載の成形装置において、前記複数個の通路開閉手段を個別に動作させ、前記複数個の昇温部の各々から、前記溶融樹脂を個別に前記キャビティに供給することを特徴とする射出成形装置。
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