JP2013215928A - 既設管更生用ライニング材及びその製造方法、並びにそれを用いた既設管更生工法 - Google Patents

既設管更生用ライニング材及びその製造方法、並びにそれを用いた既設管更生工法 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化後の寸法変化が小さい石油系由来合成樹脂の代替熱硬化性樹脂からなる既設管更生用ライニング材を提供すること、また、高い強度特性を有する既設管更生用ライニング材を提供すること、更に、含浸性が良好である既設管更生用ライニング材を提供することであり、加えて、かかるライニング材を用いてなる既設管更生工法を提供することである。
【解決手段】少なくとも片表面に被覆層が設けられている樹脂吸収基材層と、フラン系樹脂(A)と硬化剤(B)と塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム及び臭化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも1つの添加剤(C)とを含む硬化性フラン樹脂組成物(D)とを含有し、硬化性フラン樹脂組成物(D)が樹脂吸収基材層に含浸されている既設管更生用ライニング材、及びこれを用いた既設管更生工法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、既設管更生用ライニング材、特に老朽化した既設管、中でも埋設管の内面にライニングを施して管路を補修するための既設管更生用ライニング材及びその製造方法、並びにそれを用いた既設管更生工法に関する。
既設管、例えば地中に埋設された下水道管、上水道管、農水管等の埋設管などが老朽化した場合に、管路の内面にライニングを施して管路を補修する既設管更生工法が種々提案されており、実用化されている。
かかる更生工法の一つとして、未硬化の硬化性樹脂を外表面が樹脂フィルムで被覆された管状樹脂吸収基材に含浸させた管状ライニング材を事前に形成し、この管状ライニング材を用いて、流体圧によって管路内に反転(裏返し)挿入した後、この管状ライニング材を管路の内壁に押圧し、その状態で含浸されている硬化性樹脂を硬化させて固定する更生工法がある(例えば、特許文献1参照。)。
この種の工法は、管状ライニング材を平坦状として密閉容器内に折り畳んで積み重ねた状態で配備し、その一端を外側に折り曲げてこれを密閉容器に接続された反転ノズルの開口端外周に取り付け、密閉容器内に流体圧(水圧、エア圧)を作用させて、ライニング材を管路内に反転挿入するように構成されている。そして、ライニング材を管路の内面に押圧しながら蒸気あるいは温水により加熱し、硬化させたライニング材によって管路の内面がライニングされる。
前記従来の更生工法に用いられる硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステルやエポキシ樹脂が一般的である。しかしながら不飽和ポリエステルやエポキシ樹脂は石油を主原料とする合成樹脂であり、石油資源の枯渇が問題視される昨今、このような石油由来合成樹脂が老朽化した既設管を補修・更生する材料として適切とは言えない。
一方、非石油系硬化性樹脂としては、フルフリルアルコールの単独あるいは共縮合物からなる、いわゆるフラン系樹脂がよく知られている。フラン系樹脂と硬化剤を含む硬化性フラン樹脂組成物は、その硬化物が耐熱性・耐溶剤性・耐薬品性に優れていることから、メジセメント、FRP等の積層体及び複合材のマトリックス樹脂として各種産業分野において使用されている。
しかしながら、従来の熱硬化性フラン樹脂組成物は、フラン樹脂合成時の縮合反応に由来する含有水分と硬化反応に由来する発生水分が放散し、積層体のマトリックス樹脂として使用した際、水分放散による寸法変化が大きな問題となった。
これを踏まえ、フラン系樹脂の縮合水を合成終了後留去することで水分含有率を低下させる方法(特許文献2参照)が提案されている。
しかしながら、この方法では、水分の減少に伴いフラン系樹脂の粘度が指数的に増加し、積層体のマトリックス樹脂として必要不可欠である含浸性を十分に確保することが困難であった。
特開2003−165158号公報 特許3219769号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、硬化後の寸法変化が小さい石油系由来合成樹脂の代替熱硬化性樹脂からなる既設管更生用ライニング材を提供すること、また、高い強度特性を有する既設管更生用ライニング材を提供すること、更に、含浸性が良好である既設管更生用ライニング材を提供することであり、加えて、それらのライニング材の製造方法とかかるライニング材を用いてなる既設管更生工法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、既設管更生用ライニング材について、その所定樹脂吸収基材に含浸させる硬化性フラン樹脂組成物をフラン系樹脂と硬化剤と特定の添加剤を含むものとするのが、課題解決に資することを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、少なくとも片表面に被覆層が設けられている樹脂吸収基材層と、フラン系樹脂(A)と硬化剤(B)と塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム及び臭化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも1つの添加剤(C)とを含む硬化性フラン樹脂組成物(D)とを含有し、該硬化性フラン樹脂組成物(D)が該樹脂吸収基材層に含浸されている、既設管更生用ライニング材が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、基材層と、フラン系樹脂(A)と硬化剤(B)と塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム及び臭化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも1つの添加剤(C)とを含む硬化性フラン樹脂組成物(D)とを含有し、上記基材層が片表面のみに被覆層が設けられている樹脂吸収基材層と、第2樹脂吸収基材層と、前記樹脂吸収基材層と該第2樹脂吸収基材層との間に設けられた強化繊維基材層とを含んでおり、この基材層に上記硬化性フラン樹脂組成物(D)が含浸されている、既設管更生用ライニング材が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、前記添加剤(C)が水溶液の状態で存在している、既設管更生用ライニング材が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜第3の何れかの発明において、前記硬化性フラン樹脂組成物(D)が無機系充填剤を含有している、既設管更生用ライニング材が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜第4の何れかの発明において、前記硬化性フラン樹脂組成物(D)の粘度が50〜10000mPa・sである、既設管更生用ライニング材が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1又は第3〜5の何れかの発明の既設管更生用ライニング材を製造する方法であって、片表面又は両表面が液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材に、前記硬化性フラン樹脂組成物(D)を含浸させる含浸工程を有する、既設管更生用ライニング材の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第2〜5の何れかの発明の既設管更生用ライニング材を製造する方法であって、片表面のみが液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収
基材と、第2樹脂吸収基材と、これらの間に介装された強化繊維基材とを有する基材に、前記硬化性フラン樹脂組成物(D)を含浸させる含浸工程を有する、既設管更生用ライニング材の製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1又は第3〜5の何れかの発明の既設管更生用ライニング材を既設管内に挿入し、既設管の内壁を更生する既設管更生工法であって、片表面のみが液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材に、或いは、片表面のみが液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材と表面がフィルムコーティングされていない第2樹脂吸収基材とこれらの間に介装された強化繊維基材に、前記硬化性樹脂組成物(D)を注入し含浸させる管状ライニング材含浸工程(Ib)と;該管状ライニング材含浸工程(Ib)で得られた管状ライニング材を、流体圧によって既設管内に反転させつつ挿入する反転工程(Ic)と;該反転工程(Ic)で挿入した管状ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された硬化性樹脂組成物(D)を硬化させて既設管の内壁を被覆する硬化工程(Id)とを含む、既設管更生工法が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第2〜5の何れかの発明の既設管更生用ライニング材を既設管内に挿入し、既設管の内壁を更生する既設管更生工法であって、両表面が液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材に、或いは、片表面のみが液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材と第2樹脂吸収基材とこれらの間に介装された強化繊維基材を有し、該第2樹脂吸収基材の該強化繊維基材と接していない側の表面が液密にフィルムコーティングされた基材に、前記硬化性樹脂組成物(D)を注入し含浸させる管状ライニング材含浸工程(IIb)と;該管状ライニング材含浸工程(IIb)で得られた管状ライニング材を、既設管内に引き込み挿入する引込工程(IIc)と;該引込工程(IIc)で挿入した管状ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された該硬化性樹脂組成物(D)を硬化させて既設管の内壁を被覆する硬化工程(IId)とを含む、既設管更生工法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、既設管と、該既設管内に挿入された、第1〜5の何れかの発明の既設管更生用ライニング材であって、前記硬化性フラン樹脂組成物(D)が加熱硬化されている硬化物とを含有する更生管が提供される。
本発明の既設管更生用ライニング材(以下、本ライニング材ともいう)やそれを用いた本発明の既設管更生工法(以下、本更生工法ともいう)によれば、硬化性樹脂がトウモロコシ穂軸・サトウキビバガス・麦わら等のバイオマス資源を主原料とするフラン系樹脂となるため、石油資源の枯渇に対応しうると共に、植物が吸収する二酸化炭素を比較的長期間使用されるライフラインとして固定化し、また廃棄・焼却の際にも植物が吸収した二酸化炭素を大気開放しているに留まる、いわゆるカーボンニュートラルな状態となりうる。
また、本ライニング材では硬化性フラン樹脂組成物において、寸法変化が小さく、高強度特性の付与と高い含浸性も実現されていることから、高い強度を保持しながら薄肉で硬化収縮の小さなライニング材を、作業効率よく簡便に与える事ができ、品質が良好で低コストの更生工法を提供することが出来る。
本ライニング材の一例の部分断面図である。 未含浸の管状のライニング材の一例の断面図である。 図2のライニング材が含浸された本ライニング材を反転させて既設管内に配設させた実施態様の一例の断面図である。 既設管内で拡径されて既設管内壁に一体化させた状態の本ライニング材の一例の断面図である。 既設管の更生工法の一工程を示す説明図である。 既設管の更生工法の一工程を示す説明図である。
(1)既設管更生用ライニング材
本発明の既設管更生用ライニング材(以下、本ライニング材ともいう)は、少なくとも片表面が液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材にフラン系樹脂(A)と硬化剤(B)と塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化リチウムから選ばれる1つあるいはその混合物である添加剤(C)を含むフラン樹脂組成物(D)を含浸させてなるか、片表面が液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材と、別の片表面がフィルムコーティングされた樹脂吸収基材或いはフィルムコーティングされていない樹脂吸収基材と、これらの間に介装された強化繊維基材に、フラン系樹脂(A)と硬化剤(B)と塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化リチウムから選ばれる1つあるいはその混合物である添加剤(C)を含む硬化性フラン樹脂組成物(D)を含浸させてなるものである。
本ライニング材は、片表面または両表面に被覆層が設けられている樹脂吸収基材層(R1)を有している。樹脂吸収基材層(R1)は、硬化性フラン樹脂組成物(D)を含有している。硬化性フラン樹脂組成物(D)は、フラン系樹脂(A)と硬化剤(B)と塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム及び臭化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも1つの添加剤(C)とを含んでいる。
また、本ライニング材は、片表面のみに被覆層が設けられている樹脂吸収基材層(R1)と、第2樹脂吸収基材層(R2)と、前記樹脂吸収基材層(R1)と該第2樹脂吸収基材層(R2)との間に設けられた強化繊維基材層(F)とを有している。第2樹脂吸収基材層(R2)は、強化繊維基材層(F)と接していない側の表面に第2被覆層が設けられていてもよいし、第2被覆層は設けられていなくてもよい。
(1−1)樹脂吸収基材層
樹脂吸収基材層(R1)を形成する樹脂吸収基材としては、少なくとも片表面が液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材(r1)が使用でき、第2樹脂吸収基材層(R2)を形成する樹脂吸収基材としては、片表面がフィルムコーティングされていてもよい第2樹脂吸収基材(r2)が使用できる。上記樹脂吸収基材層(R1)、第2樹脂吸収基材層(R2)を形成しうる樹脂吸収基材としては、空隙率が90%以下、好ましくは10〜90%であるのが硬化性フラン樹脂を確実に含浸させることができ、その結果、硬化後の樹脂吸収基材にボイド等が形成される不具合を最小限に抑えうるので好ましく、また、肉厚が3mm以上、好ましくは4mm以上であるのが十分な保護特性を発現させうるので好ましい。
また、樹脂吸収基材は、単層又は異なる材料から成る複層の構造形態とすることができる。樹脂吸収基材は、硬化性フラン樹脂を含浸させる基材であり、樹脂吸収基材には、例えば不織布やチョップドストランドマット等が用いられる。単層の場合、不織布やチョップドストランドマットからなるシート状基材を筒状にするのが好ましく、また、複層の場合、後述の図1に示されるように、二層に重ねた不織布間に、強化繊維基材層が介装されて形成されているのが好ましい。
不織布の材料としては、例えばポリエステル、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン等の高強度で高弾性のもの、中でも樹脂が好ましく、また、可撓性を有し多孔質である、連続フィラメント又はステープルファイバーを備えたフェルト、マット、スパ
ンボンド、ウェブなども使用可能である。
チョップドストランドマットとしては、例えばガラス繊維等のストランドを一定長さに切断し、マット状に分散させた後、熱可塑性樹脂等の粘接着剤を均一に付与して熱溶融し、ストランド同士を接着させてマットとしたものなどが好ましい。チョップドストランドマットの方が、樹脂不織布を用いた場合よりも高い強度の樹脂吸収基材層を得ることができる。
樹脂吸収基材として天然繊維を用いる事は、既設管更生用ライニング材全体が非石油系材料となるため好ましい。樹脂吸収基材に用いられる天然繊維としては木綿・苧麻・亜麻黄麻・ケナフ等から作られる繊維が上げられ、樹脂含浸性や加工性・供給安定性の点から苧麻・亜麻が特に好ましい。
樹脂吸収基材は、単層の場合少なくともその片表面が、複層の場合少なくともその一方の片表面が、液密にフィルムコーティングされており、具体的には片表面が不透水性フィルム(被覆層)で被着され、片表面に不透水性層(第2被覆層)の形成されているのが好ましい。この不透水層は、例えば、0.2〜2.0mm程度の厚さのフィルム材やシート材の形態としえ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、或いはエラストマーや合成ゴム等の合成樹脂系材料を樹脂吸収基材にコーティングすることにより形成することができる。
(1−2)強化繊維基材層(F)
強化繊維基材層(F)を形成する強化繊維基材(f)の材料としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、無機繊維、有機繊維、ウィスカー等が好ましく、中でもガラス繊維が、得られる繊維強化樹脂層の強度と価格のバランスからして好ましい。また、強化繊維は繊維径が3〜25μmの範囲のものであることが好ましく、強度及び価格の観点から5〜20μmの繊維径のものがより好ましい。
(1−3)硬化性フラン樹脂組成物(D)
本ライニング材において、樹脂吸収基材に含浸された硬化性フラン樹脂組成物(D)は、フラン系樹脂(A)と硬化剤(B)と添加剤(C)とを含んでなり、該樹脂組成物の含浸、本ライニング材の反転工程若しくは引込工程の作業時間確保のため、通常2時間以上、好ましくは5時間以上、さらに好ましくは12時間以上のポットライフを有せしめるのがよい。
硬化性フラン樹脂組成物の粘度は、小さいと内壁に押圧した際に樹脂不足となり易く、大きいと樹脂吸収基材に含浸しにくいため、25℃での粘度が通常50mPa・s以上、10000mPa・s以下、好ましくは100mPa・s以上、5000mPa・s以下、より好ましくは200mPa・s以上、3000mPa・s以下であるのがよい。
(1−3−1)フラン系樹脂(A)
フラン系樹脂(A)としては、フラン樹脂、変性フラン樹脂が好ましい。
フラン樹脂は、フルフラールやフルフリルアルコールを出発物質とする重合物あるいはその前駆体(オリゴマー)であり、フルフリルアルコール型、フルフリルアルコール・フルフラール共縮合型、フルフリルアルコール・アルデヒド共縮合型、フルフラール・ケトン共縮合型、フルフラール・フェノール共縮合型、フルフリルアルコール・尿素共縮合型、フルフリルアルコール・フェノール共縮合型等が挙げられる。
フラン樹脂の前駆体は、フルフリルアルコール型、フルフリルアルコール・フルフラール共縮合型、フルフリルアルコール・アルデヒド共縮合型、フルフラール・ケトン共縮合型、フルフラール・フェノール共縮合型、フルフリルアルコール・尿素共縮合型、フルフ
リルアルコール・フェノール共縮合型等が挙げられる。
フラン系樹脂(A)としていずれの種類のものも使用可能であるが、ライニング材に要求される特性として、強度や耐湿性以外にも可撓性や表面硬度等が挙げられることや、工業的に安定に供給されていることから、フルフリルアルコール型やフルフリルアルコール・ホルムアルデヒド共縮合型が好ましい。
変性フラン樹脂としては、例えばエポキシ変性、フェノール変性、アルデヒド変性、尿素変性、メラミン変性等のものが挙げられる。
フラン系樹脂(A)の水分含有率は大きすぎると硬化時の水分放散による寸法収縮が大きくなる為、10%以下が好ましく、特に好ましくは9%以下である。
(1−3−2)硬化剤(B)
硬化剤(B)はフラン系樹脂(A)を硬化しうるものであれば特に限定されず、例えば有機スルホン酸、有機カルボン酸等の有機酸並びにその水溶液、塩酸、硫酸等の有機酸並びにその水溶液が挙げられる。
有機スルホン酸としては、例えばパラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸、クエン酸等が挙げられる。
硬化時間の短縮とポットライフの両立を狙いとして、硬化剤(B)として、熱反応型潜在性酸硬化剤を単独あるいは他の硬化剤と併用使用する事も好ましく、熱反応型潜在性酸硬化剤としては、フラン系樹脂(A)に含有する成分と常温では反応しにくく硬化時の加熱ですばやく反応し酸を発生させるものであれば特に限定されないが、常温時の安定性と硬化時の加熱による反応速度の点から、無機アンモニウム塩、1級アミン塩、2級アミン塩・3級アミン塩の少なくともいずれかを含有することが好ましく、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、メチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩の少なくともいずれかを含有することが特に好ましい。
硬化剤(B)の添加量は、フラン系樹脂および硬化触媒の種類や希釈濃度、目的とする硬化温度・硬化時間により調整されるため特に限定されないが、フラン系樹脂100重量部に対し、0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部とするのが特に好ましい。0.5重量部より少ないと、硬化不良の問題となるおそれがある。一方、10重量部より多いと、ポットライフが短くなるおそれがある。
(1−3−3)添加剤(C)
添加剤(C)は、塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化リチウムから選ばれる1つあるいはその混合物と限定され、その種類・比率はフラン系樹脂および硬化触媒の種類や含有水分量、目的とする寸法精度等により選定されるが、寸法変化防止効果、常温における溶解度の高さから塩化リチウムが最も好ましい。
添加剤(C)の添加量は、フラン系樹脂(A)および硬化触媒の種類や含有水分量、目的とする寸法精度等により調整されるため特に限定されないが、フラン系樹脂(A)100重量部に対し、0.2〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部が更に好ましく、1〜3重量部が最も好ましい。0.2重量部より少ないと、十分な寸法変化防止効果が得られないおそれがあり、10重量部より多いとフラン系樹脂(A)との混合時粘度が高くなりすぎるおそれがある。
添加剤(C)を水溶液にして添加する事はフラン系樹脂(A)への分散を容易にするため特に好ましい。添加剤水溶液の濃度は、添加剤の種類、添加温度、目的とする寸法精度等により調整されるため特に限定されないが、濃度が低いと添加する水分が多くなり寸法変化が大きくなるので、使用温度における溶解度付近で調整されることが好ましい。添加剤(C)は、硬化性フラン樹脂組成物(D)中において、水溶液の状態で存在していることが好ましい。水溶液の状態とは、塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化リチウムが、それぞれ、イオンに解離した状態を指す。硬化性フラン樹脂組成物(D)は、フラン系樹脂(A)100重量部に対し、0.5〜10重量部の水を含んでいてもよい。
(1−3−4)その他の添加物
粘度調整や反応性調整を狙いとして、フラン系樹脂(A)に反応性希釈剤を添加する事も好ましい。反応性希釈剤としては、粘度が低く、フラン樹脂成分と相溶性があり、フラン樹脂組成物が硬化する際に反応・固化するものであれば特に限定されないが、フラン樹脂成分との相溶性の点や天然物由来である点から、フルフリルアルコール単独、フルフラール単独、あるいはフルフリルアルコールとフルフラールの混合物が特に好ましい。
反応性希釈剤の添加量は、反応性希釈剤の種類、フラン樹脂成分の粘度により異なるが、少なすぎると基材への含浸性が低下するおそれがあり、一方、多すぎると積層体成形時タレが発生するおそれがあることから、フラン樹脂成分100重量部に対して、10〜100重量部であることが好ましく、10〜90重量部が更に好ましく、20〜80重量部が最も好ましい。
強度特性の向上を狙いとして、硬化性フラン樹脂組成物に無機系充填材を添加する事も好ましい。無機系充填材としては、弾性率が高く、高充填が可能であれば特に限定されないが、硬化阻害を防止する観点から、pHが10以下の無機系フィラーが好ましく、具体的には、ガラスパウダー・シリカ・タルク・カオリン・マイカ等が好ましく、コストの点からカオリン・タルク・シリカが最も好ましい。
フラン系樹脂との界面接着力向上を狙いとして、無機系充填材に表面処理を施すことは好ましい。表面処理剤としては、無機系充填材やフラン系樹脂と反応、あるいは結合が可能であれば特に限定さないが、結合が形成しやすい、有機シラン系表面処理が好ましく、具体的には、アミノシラン系表面処理剤、エポキシシラン系表面処理剤、アクリルシラン系表面処理剤が最も好ましい。
無機系充填材の添加量は、フラン系樹脂の粘度により異なるが、少なすぎると強度特性向上の効果が得られず、一方、多すぎると増粘による基材への含浸性低下が発生するおそれがあることから、フラン系樹脂100重量部に対して、10〜200重量部であることが好ましく、20〜150重量部が更に好ましく、30〜100重量部が最も好ましい。
(2)既設管更生用ライニング材の製造方法
本発明の既設管更生用ライニング材の製造方法は、フラン系樹脂(A)に、硬化触媒(B)と、塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、及び臭化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも1つの添加剤(C)とを添加して硬化性フラン樹脂組成物(D)を製造する硬化性フラン樹脂組成物製造工程と、基材に上記硬化性フラン樹脂組成物(D)を含浸させる含浸工程とを有している。
(2−1)硬化性フラン樹脂組成物製造工程
硬化性フラン樹脂組成物製造工程において、添加剤(C)は、粉体として添加してもよいし、溶液または液体に分散させた分散液として添加してもよい。添加剤(C)を溶液ま
たは分散液にして添加する事はフラン系樹脂(A)への分散を容易にするため特に好ましい。添加後、公知の攪拌方法で混合する。溶媒または液体としては、水、メタノール、エタノールこれらの混合液などが挙げられる。中でも塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化リチウムを均一に添加する観点、施工・環境的観点から、水を溶媒とする水溶液が好ましい。
溶液または分散液における添加剤(C)の濃度は、添加剤(C)の種類、溶媒、添加温度、目的とする寸法精度等により調整されるため特に限定されない。水溶液として添加する場合、水溶液の濃度が低いと添加する水分が多くなり寸法変化が大きくなるので、使用温度における溶解度付近で調整されることが好ましい。水溶液の濃度としては、例えば、塩化ナトリウムの場合には10〜25重量%程度、塩化リチウムの場合には、30〜45重量%程度とすることができる。フラン系樹脂(A)へ添加剤(C)を添加した後に硬化剤(B)を添加することが、ポットライフの観点から好ましい。
(2−2)含浸工程
上記硬化性フラン樹脂組成物(D)を含浸させる基材としては、以下の基材が例示できる。
(i)片表面のみが液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材(r11)、
(ii) 両表面が液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材(r12)、
(iii)片表面のみが液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材(r11)と、表面
がフィルムコーティングされていない第2樹脂吸収基材(r21)と、これらの間に介装された強化繊維基材(f)とからなる基材、又は
(iv)片表面のみが液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材(r11)と、第2樹脂吸収基材(r22)と、これらの間に介装された強化繊維基材(f)とを有し、第2樹脂吸収基材(r22)の強化繊維基材(f)と接していない側の表面が液密にフィルムコーティングされた基材など。
硬化性フラン樹脂組成物(D)を含浸させる方法は特に限定されず、例えば、硬化性フラン樹脂組成物(D)を基材に含浸ロールにて含浸させる方法等が挙げられる。
(3)既設管更生工法
本発明の既設管更生工法は、管状ライニング材を既設管内に挿入し、既設管の内壁を更生する既設管更生工法である。本発明の既設管更生工法は、以下の工程を含んでいる。
Ia:フラン系樹脂(A)に、硬化剤(B)と、塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、及び臭化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも1つの添加剤(C)とを添加して硬化性フラン樹脂組成物(D)を製造する硬化性フラン樹脂組成物製造工程、
Ib:管状ライニング材における、上記基材(i)或いは上記基材(iii)に、硬化性フラン樹脂組成物製造工程(Ia)で得られた硬化性樹脂組成物(D)を注入し含浸させる管状ライニング材含浸工程、
Ic:硬化性フラン樹脂組成物製造工程(Ia)で得られた管状ライニング材を、流体圧によって既設管内に反転させつつ挿入する反転工程、
Id:反転工程(Ic)で挿入した管状ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された硬化性樹脂組成物(D)を硬化させて既設管の内壁を被覆する硬化工程。
上記硬化性フラン樹脂組成物製造工程(Ia)では、上記硬化性フラン樹脂組成物製造工程と同様にして、硬化性樹脂組成物(D)を製造する。管状ライニング材含浸工程(I
b)では、上記含浸工程と同様にして、片表面のみが液密にフィルムコーティングされた
基材(i)或いは基材(iii)に硬化性樹脂組成物(D)を注入し含浸させる。基材(i)及び基
材(iii)は樹脂組成物を未含浸であることが好ましい。挿入工程(Ic)では、片表面のみ
が液密にフィルムコーティングされ硬化性樹脂組成物(D)が含浸された基材を、流体圧によって既設管内に反転させつつ挿入する。続いて、硬化工程(Id)において、反転工程
(Ic)で挿入した管状ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された硬化性樹脂組成物(D)を硬化させて既設管の内壁を被覆する。硬化は、上記と同様に行うことができる。
本発明の既設管更生工法は、また、以下の工程を含んでいる。
IIa:フラン系樹脂(A)に、硬化剤(B)と、塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、及び臭化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも1つの添加剤(C)とを添加して硬化性フラン樹脂組成物(D)を製造する硬化性フラン樹脂組成物製造工程、
IIb:管状ライニング材における、上記基材(ii)或いは上記基材(iv)に、硬化性フラン樹脂組成物製造工程(IIa)で得られた硬化性樹脂組成物(D)を注入し含浸させる管状ライニング材含浸工程、
IIc:管状ライニング材含浸工程(IIb)で得られた管状ライニング材を、既設管内に引き込み挿入する引込工程、
IId:引込工程(IIc)で挿入した管状ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された該硬化性樹脂組成物(D)を硬化させて既設管の内壁を被覆する硬化工程。
上記硬化性フラン樹脂組成物製造工程(IIa)では、上記硬化性フラン樹脂組成物製造工程と同様にして、硬化性樹脂組成物(D)を製造する。管状ライニング材含浸工程(II
b)では、上記含浸工程と同様にして、両表面が液密にフィルムコーティングされた上記
基材(ii)或いは上記基材(iv)に硬化性樹脂組成物(D)を注入し含浸させる。基材(ii)或いは上記基材(iv)は樹脂組成物を未含浸であることが好ましい。引込工程(IIc)では、両表面が液密にフィルムコーティングされ硬化性樹脂組成物(D)が含浸された基材を、既設管内に引き込み挿入する。続いて、硬化工程(IId)において、引込工程(IIc)で挿入した管状ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された硬化性樹脂組成物(D)を硬化させて既設管の内壁を被覆する。硬化は、上記と同様に行うことができる。
(4)更生された管
上記既設管更生工法により更生された管では、上記硬化性樹脂組成物(D)の硬化物と上記基材とを含む積層体で既設管の内壁がライニングされている。このため、寸法変化が小さく、高強度特性が付与される。
以下、本ライニング材の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るライニング材の部分断面図であり、図2は、あらかじめ管状に形成された、未含浸のライニング材の一例を示す断面図である。また、図3は、既設管内に配設された本ライニング材の一例を示す断面図、図4は、既設管内で拡径されて内壁に一体化させた状態の本ライニング材の一例を示す断面図である。
図1に示すように、ライニング材1は、不透過性材料からなる被覆層11と、被覆層11の内側に設けられ、硬化性樹脂の含浸された樹脂吸収基材層12,12と、それらの間に介装させた、硬化性樹脂の含浸された強化繊維基材層13(2)とを有する。
この被覆層11は、最外層に不透水性を有する液密性の高い樹脂フィルム材により被覆した不透水層として設けられ、既設管の屈曲部等の配管形状に追従しうる弾性、可撓性、又は柔軟性を有するように形成されているのが好ましい。
以下の説明では、図2に示すように、あらかじめ既設管9(図3参照)の円形断面に対応しうる筒状形態として管状に形成した、未含浸状態のライニング材1を用い、これに硬化性フラン樹脂組成物を以下のように含浸させたライニング材1の場合について行う。
図2に示すように、外表面に被覆層11を配置した状態で、その内部に硬化性樹脂を注入する。次いで、管状ライニング材1の内部を減圧して樹脂吸着基材層12、強化繊維基
材層13内のエアを効率よく脱気し、硬化性樹脂を樹脂吸着基材層12、強化繊維基材層13に含浸させる。樹脂吸着基材層12、強化繊維基材層13の繊維間の隙間が脱気経路として作用し、真空吸引時に硬化性樹脂が流動して樹脂吸着基材層12、強化繊維基材層13に円滑に含浸される。
このようにして硬化性フラン樹脂組成物の含浸されたライニング材1は、図3に示すように既設管9内に引き込まれ又は挿入されて、内側から圧力を加えることによって内壁に密着するように拡径される。そして図4に示すように、既設管9の内壁に密着させライニングされる。
このライニング材1は、図4に示すように補修対象の既設管9の内面をライニングしたときに、内周面を形成する側から順に被覆層11、硬化性樹脂の含浸された樹脂吸収基材層12、硬化性樹脂の含浸された強化繊維基材層13、硬化性樹脂の含浸された樹脂吸収基材層12となるように、4層構造で筒状に形成されている。また、ライニング材1は、既設管9の内壁をライニングする前工程では、最外層が被覆層11であり、その内側に順に硬化性樹脂の含浸された樹脂吸収基材層12、硬化性樹脂の含浸された強化繊維基材層13及び硬化性樹脂の含浸された樹脂吸収基材層12が設けられた形態とされている。
上記強化繊維基材層13は、図2におけるように、複数枚のシート状基材2、2を互いにオーバーラップさせるように配設して形成されている。また、強化繊維基材層13のオーバーラップ部分は、互いに対向して配置され、管軸方向に沿って二重の強化繊維基材層を形成している。このように強化繊維基材層13を分割形成し、互いにオーバーラップさせていることにより、図3に示されるように、管状ライニング材1の外径を既設管9の管径よりも小径にて形成し、既設管9内で拡径させることが可能となり、既設管9の内壁の凹凸や段差、隙間等に対応させることができ、また拡径後の強化繊維の配置を均等にすることができて、高い耐圧性能と適切な強度確保が可能となる。なお、図3及び図4において、ダブルハッチングにより示された箇所は、シート状基材2同士によるオーバーラップ部20を示している。
このように形成される管状ライニング材1は、既設管9の更生に際し、平坦状に交互に折り畳まれて順次積み重ねられた状態で補修対象箇所に搬入することができる。
以下、本発明の既設管更生工法の実施形態について図5、6を元に説明する。
作業時間短縮、作業環境維持、硬化性材料効率の点から次のような方法が好ましい。
既設管更生作業に先立ち、既設管9に下水等の流体がある場合には、管路からいったん除去することが好ましい。図5に示すように、既設管9の管路には、適当な間隔でマンホールM1、M2が設けられており、近傍のマンホールの上流側に堰き止め部材3を設ける。堰き止めた流体は、マンホールM1、M2を通して地上を迂回させ、下流側の既設管9へ排出する。さらに、既設管9内に存在する堆積物や木片等の異物を除去し、高圧水洗浄を行ってから、管内の更生作業に入る。
図5に示すように、管状ライニング材1を地上の反転装置4に装着し、管状ライニング材1を反転させつつ、既設管内へ挿入する(反転工程)。反転装置には公知の装置を用いることができ、反転装置により加圧流体が供給されて管状ライニング材1の先端側から反転させ、内圧により十分に拡径させて既設管の内壁に密着させながら進行させる。すなわち、反転装置の加圧によって、図3に示すように、既設管9内では、広範囲で均一な力が付与されて、管状ライニング材1における、硬化性樹脂の含浸された樹脂吸着基材層12が内壁に接着する。また、管状ライニング材1は、被覆層11が既設管9の内面となって配置されている。
なお、既設管9内へ管状ライニング材1を挿入する工程は、このように流体圧によって反転させつつ挿入するのに限らず、最内層に被覆層11を設けた管状ライニング材を用いて、反転させることなく既設管9内へ引き込むことにより挿入してもよい。すなわち、この場合には、管状ライニング材1は最外層に樹脂吸着基材層12が設けられている。
続いて、図6に示すように、既設管9内に反転挿入した管状ライニング材1を、既設管9の内壁に押圧した状態で流体を加熱し、樹脂吸着基材層12、強化繊維基材層13に含浸された硬化性樹脂を硬化させ、既設管9の内壁をライニングする(硬化工程)。こうして硬化した管状ライニング材1は、既設管9の更生区間に合わせて配備され、既設管9が管状ライニング材1により修復される。前記のような硬化性樹脂を用いることにより、これの十分に含浸された樹脂吸着基材層12、強化繊維基材層13を備える管状ライニング材1の適正な柔軟性を維持しつつ反転作業をスムーズに行うことができ、作業効率を高めることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
<実施例1〜2>
フルフリルアルコールとホルムアルデヒド共縮合物(粘度2700mPa・s、水分含有率7.4重量%)からなるフラン系樹脂100重量部に対し、添加剤を添加し、ホモディスパーを用い1000rpmで5分間攪拌した。更に硬化剤(パラトルエンスルホン酸50%水溶液)4.0重量部を添加した後、1000rpm5分間攪拌し、硬化性フラン樹脂組成物を調製した。
この硬化性フラン樹脂組成物を、外表面に不透水層がコートされた樹脂不織布(ポリエステル不織布、空隙率85%、460g/m2)および樹脂不織布(ポリエステル不織布
、空隙率85%、600g/m2)の管状積層体からなる管状ライニング用基材の内部に
7500g/m2注入し、次いで該基材の内部を減圧して基材内のエアを脱気し、硬化性
フラン樹脂組成物を基材内に含浸させ、厚さ6mmの管状ライニング材を得た。
得られた管状ライニング材を地上の反転装置に装着し、圧縮空気にて管状ライニング材1を反転させつつ内径200mmの埋設管に挿入した。続いて、埋設管内に反転挿入した管状ライニング材を、埋設管の内壁に押圧した状態で、内部から90℃の温水にて4時間
加熱し、硬化性フラン樹脂組成物を硬化させ、更生埋設管を得た。
<実施例3>
フルフリルアルコールとホルムアルデヒドとの共縮合物(粘度2700mPa・s、水分含有量7.4重量%)からなるフラン系樹脂100重量部に対し、添加剤として40wt%の塩化リチウム水溶液を添加し、ホモディスパーを用い1000rpmで5分間攪拌した。更に硬化剤(パラトルエンスルホン酸50%水溶液)4.0重量部を添加した後、1000rpm5分間攪拌し、硬化性フラン樹脂組成物を調製した。以下実施例1と同様の方法で更生埋設管を得た。
<実施例4>
フルフリルアルコールとホルムアルデヒドとの共縮合物(粘度2700mPa・s、水分含有量7.4重量%)からなるフラン系樹脂100重量部に対し、添加剤として40wt%の塩化リチウム水溶液5重量部、無機充填材カオリン(焼成カオリン、平均粒径1.4、pH9.0、アミノシラン系表面処理)40重量部を添加し、ホモディスパーを用い1000rpmで5分間攪拌した。更に硬化剤(パラトルエンスルホン酸50%水溶液)4.0重量部を添加した後、1000rpm5分間攪拌し、硬化性フラン樹脂組成物を調
製した。以下実施例1と同様の方法で更生埋設管を得た。
<実施例5>
フラン樹脂成分(フルフリルアルコールとホルムアルデヒド共縮合物、粘度1050mPa・s、水分含有率7.2重量%)に変えた以外は、実施例4と同様の方法で更生埋設管を得た。
<比較例1>
フルフリルアルコールとホルムアルデヒド共縮合物(粘度2700mPa・s、水分含有率7.4重量%)からなるフラン系樹脂100重量部に対し、硬化剤(パラトルエンスルホン酸50%水溶液)4.0重量部を添加した後、1000rpm5分間攪拌し、硬化性フラン樹脂組成物を調製した。以下実施例1と同様の方法で更生埋設管を得た。
上記実施例及び比較例において、管状ライニング材に用いられるフラン系樹脂・硬化性フラン樹脂組成物並びに修復された更生埋設管に対し、以下の評価を行い、評価結果を表1に示した。
(粘度)
JIS K7117−1『ブルックフィールド形回転粘度計による見かけ粘度の測定方法』におけるB型粘度計法に準拠して硬化性フラン樹脂組成物の粘度を測定した。
(含浸性)
硬化性フラン樹脂組成物を基材内に含浸する際の含浸度合いを目視にて観察した。
(曲げ弾性率)
JIS K7171『曲げ特性の求め方』に準拠して修復された更生埋設管から切り出したサンプルの曲げ弾性率を測定した
(寸法保持率)
更生埋設管から切り出した管状サンプルの外径寸法4か所を測定し、25℃の恒温室で100時間養生した後、以下の式を元に比較、寸法保持率を求めた。
寸法保持率(%)=100時間後の最小外径寸法(mm)/カット後最小外径寸法(mm)×100
Figure 2013215928
表1から明らかなように、実施例1〜5と比較例とを対比すると、本発明の特定事項である「添加剤の添加」の要件を満たさない比較例で得られたものは、寸法保持率が不良であったのに対して、本願発明の実施例1〜5においては、寸法保持率が良好であり、硬化後の寸法変化が既設管更生用ライニング材、既設管更生工法であることが明らかになった。
また、実施例3〜5においては、添加剤が水溶液として添加されていることにより、寸法保持率を維持しつつ、含浸性が向上しえたことが分かる。
更に、実施例4〜5においては、無機系充填材を高充填することで強度特性を向上させても、含浸性の確保しつつ、高い寸法保持率を達成しえたことが分かる。
本発明は、既設管、例えば地中に埋設された下水道管、上水道管、農業用水管、ガス管等の埋設管などの種々の既設管の内周面を更生するための既設管更生用ライニング材及びそれを用いた既設管更生工法として産業上大いに有用である。
1 ライニング材
11 被覆層
12 樹脂吸収基材層
13 強化繊維基材層
4 反転装置
9 既設管

Claims (10)

  1. 少なくとも片表面に被覆層が設けられている樹脂吸収基材層と、
    フラン系樹脂(A)と硬化剤(B)と塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム及び臭化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも1つの添加剤(C)とを含む硬化性フラン樹脂組成物(D)とを含有し、
    該硬化性フラン樹脂組成物(D)が該樹脂吸収基材層に含浸されている、既設管更生用ライニング材。
  2. 片表面のみに被覆層が設けられている樹脂吸収基材層と、第2樹脂吸収基材層と、前記樹脂吸収基材層と該第2樹脂吸収基材層との間に設けられた強化繊維基材層とを含む基材層と、
    フラン系樹脂(A)と硬化剤(B)と塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム及び臭化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも1つの添加剤(C)とを含む硬化性フラン樹脂組成物(D)と
    を含有し、
    該硬化性フラン樹脂組成物(D)が該基材層に含浸されている、既設管更生用ライニング材。
  3. 前記添加剤(C)が水溶液の状態で存在している、請求項1又は2に記載の既設管更生用ライニング材。
  4. 前記硬化性フラン樹脂組成物(D)が無機系充填剤を含有している、請求項1〜3の何れか1項に記載の既設管更生用ライニング材。
  5. 前記硬化性フラン樹脂組成物(D)の粘度が50〜10000mPa・sである、請求項1〜4の何れか1項に記載の既設管更生用ライニング材。
  6. 請求項1又は請求項3〜5の何れか1項に記載された既設管更生用ライニング材の製造方法であって、片表面又は両表面が液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材に、前記硬化性フラン樹脂組成物(D)を含浸させる含浸工程を有する、既設管更生用ライニング材の製造方法。
  7. 請求項2〜5の何れか1項に記載された既設管更生用ライニング材の製造方法であって、
    片表面のみが液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材と、第2樹脂吸収基材と、これらの間に介装された強化繊維基材とを有する基材に、前記硬化性フラン樹脂組成物(D)を含浸させる含浸工程を有する、既設管更生用ライニング材の製造方法。
  8. 請求項1又は請求項3〜5の何れか1項に記載された既設管更生用ライニング材を既設管内に挿入し、既設管の内壁を更生する既設管更生工法であって、
    片表面のみが液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材に、或いは
    片表面のみが液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材と表面がフィルムコーティングされていない第2樹脂吸収基材とこれらの間に介装された強化繊維基材に、
    前記硬化性樹脂組成物(D)を注入し含浸させる管状ライニング材含浸工程(Ib)と;
    該管状ライニング材含浸工程(Ib)で得られた管状ライニング材を、流体圧によって既設管内に反転させつつ挿入する反転工程(Ic)と;
    該反転工程(Ic)で挿入した管状ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された硬化性樹脂組成物(D)を硬化させて既設管の内壁を被覆する硬化工程(Id)と
    を含む、既設管更生工法。
  9. 請求項2〜5の何れか1項に記載された既設管更生用ライニング材を既設管内に挿入し、既設管の内壁を更生する既設管更生工法であって、
    両表面が液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材に、或いは
    片表面のみが液密にフィルムコーティングされた樹脂吸収基材と第2樹脂吸収基材とこれらの間に介装された強化繊維基材を有し、該第2樹脂吸収基材の該強化繊維基材と接していない側の表面が液密にフィルムコーティングされた基材に、
    前記硬化性樹脂組成物(D)を注入し含浸させる管状ライニング材含浸工程(IIb)と;
    該管状ライニング材含浸工程(IIb)で得られた管状ライニング材を、既設管内に引き込み挿入する引込工程(IIc)と;
    該引込工程(IIc)で挿入した管状ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された該硬化性樹脂組成物(D)を硬化させて既設管の内壁を被覆する硬化工程(IId)と
    を含む、既設管更生工法。
  10. 既設管と、
    該既設管内に挿入された、請求項1〜5の何れか1項に記載された既設管更生用ライニング材であって、前記硬化性フラン樹脂組成物(D)が加熱硬化されている硬化物と
    を含有する更生管。
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