JP6043450B1 - トンネル内消火配管の更生方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】品質安定性および施工性が良好な配管改修技術を提供する。【解決手段】 本発明のトンネル内消火配管の更生方法は、導入工程(b)と、硬化工程(c)とを含む。導入工程(b)では、トンネル内の既設の金属製消火配管900の内部に、管状ライニング材100を導入する。管状ライニング材100は、硬化性樹脂組成物が含浸された強化繊維基材を含む補強層を含む。硬化工程(c)では、導入された管状ライニング材100を、金属製消火配管900の内壁に押圧した状態で硬化性樹脂組成物を硬化して更生管800を形成する。【選択図】図17

Description

本発明は、トンネル内に布設される消火配管、特に老朽化したトンネル消火配管を更生する技術に関する。
トンネル内部における火災に備え、トンネル内部には初期消火用の消火栓が設置されている。このようなトンネル内の消火設備は、トンネルの長手方向に所定間隔で設置された消火栓装置が送水配管で接続されて構成されている。トンネル内火災の際、火災の発見者が即座に近傍の消火栓より火災現場に散水して初期消火を行うことができる(例えば特許文献1)。このような消火に用いられるトンネル消火送水配管には、火災時の熱に対する耐熱性が要求されるため、主にダクタイル鋳鉄管等の金属製の管が用いられている。
近年、この金属製消火配管の老朽化が問題となっている。特に、道路の凍結を防止する為に凍結防止剤が散布される北国地域で布設されたトンネル消火配管は、凍結防止剤による錆が発生しやすく、錆による配管減肉等の老朽化の問題が大きい。
一方、金属管を用いた際に問題となる継手部での水漏れの恐れおよび腐食の恐れがない消火用トンネル送水配管として、樹脂製配管で構成されるトンネル消火配管が知られている。例えば特許文献2には、樹脂管体と、当該樹脂管体の外周に設けられ、補強帯状体が巻きつけられて形成される補強層と、当該補強層の外周に設けられる保護層とを具備した樹脂製配管であって、樹脂管体は架橋ポリエチレン製であり、補強帯状体はポリアリレート繊維で形成され、保護層は難燃性ポリオレフィン樹脂製である樹脂製配管でトンネル消火配管を構成することが開示されている。
特開2001−571号公報 特開2011−239851号公報
金属製消火配管が既に布設されているトンネルにおいて老朽化対策の施工を行う場合、既設の金属製配管を上述の樹脂製配管で置き換えることが考えられる。
しかしながら、消火配管は通常コンクリートで覆われた監視員通路等に埋設された状態で設置されている為、樹脂製の消火配管へ更新するためには、コンクリートの解体、埋設土の除去、配管交換、埋戻し、コンクリートの打設といった多工程の工事となる。したがって、樹脂製の消火配管への更新には、更新費用が増大する点、工期が長くなるため長期期間の車線規制などの交通規制が必要になり交通渋滞が発生する点など、施工上のさまざまな問題が生じる。
以上の問題に鑑み、本発明の目的は、品質安定性および施工性が良好な配管改修技術を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は以下のトンネル内消火配管の更生方法に関する発明を含む。
(1)
本発明のトンネル内消火配管の更生方法は、導入工程と、硬化工程とを含む。
導入工程では、トンネル内の既設の金属製消火配管の内部に、管状ライニング材を導入する。管状ライニング材は、硬化性樹脂組成物が含浸された強化繊維基材を含む補強層を含む。
硬化工程では、導入された管状ライニング材を、金属製消火配管の内壁に押圧した状態で硬化性樹脂組成物を硬化して更生管を形成する。
このように、トンネル内消火配管の改修手段として管状ライニング材を用いた更生管の構成をとることにより、施工性が良好となる。また、管状ライニング材を硬化性樹脂組成物が含浸された強化繊維基材とすることで、更生後の更生管の防錆性が良好となる共に、消火用水の内水圧に耐えうる良好な品質安定性を与えることができる。
(2)
上記(1)のトンネル内消火配管の更生方法は、導入工程において、トンネルの長手方向に所定間隔で配置されたハンドホールから管状ライニング材の導入を行ってよい。
このように管状ライニング材の導入口としてハンドホールを利用することによって、開削を一切行うことなく施工することができる。
(3)
上記(1)または(2)のトンネル内消火配管の更生方法は、導入工程の前に除去工程と、硬化工程の後に取り付け工程とを含んでよい。
除去工程では、少なくとも、一のハンドホール内の制水弁または分岐管の除去と、他のハンドホール内の制水弁または分岐管の除去と、を行うことにより、一のハンドホール内および他のハンドホール内で金属製消火配管の端部を露出させる。
この場合、導入工程において、一のハンドホール内で露出させられた端部から他のハンドホール内で露出させられた端部へ向かって、金属製消火配管の内部に管状ライニング材を導入する。
さらに、取り付け工程では、一のハンドホール内および他のハンドホール内のそれぞれの端部に制水弁または分岐管を取り付ける。
このように、更生区間の両端で既設管の端部を露出させておくことで、更生管の端部処理を簡略化することができる。
(4)
上記(3)のトンネル内消火配管の更生方法は、硬化工程の後、取り付け工程の前に、管端形成工程を含んでよい。
この場合、除去工程において、一のハンドホールおよび他のハンドホールは、互いに隣り合う前記制水弁がそれぞれ配設されているハンドホールである。
導入工程においては、一のハンドホール内で露出させられた金属製消火配管の端部から他のハンドホール内で露出させられた金属製消火配管の端部へ向かって、金属製消火配管の内部に一本の管状ライニング材を導入する。
管端形成工程では、一のハンドホールおよび他のハンドホールの間に配設されているさらなる他のハンドホール内において、更生管を切断する。
これによって、制水弁の間のトンネル内消火配管を一度に更生することができ、施工時間が大幅に短縮される。
(5)
上記(4)のトンネル内消火配管の更生方法は、除去工程において、さらなる他のハンドホール内の分岐管も除去することで、当該さらなる他のハンドホール内の金属製消火配管の端部も露出させてよい。
このように、通常、直線管路よりも腐食の程度が大きいことで内部が狭いまたは閉塞される傾向にある分岐管を除去しておくことで、事前の内部洗浄の手間が低減され、かつ、管状ライニング材の導入を容易に行うことができる。
(6)
上記(4)のトンネル内消火配管の更生方法は、除去工程において、さらなる他のハンドホール内の分岐管は除去せず、管端形成工程において、当該さらなる他のハンドホール内の分岐管を除去するとともに更生管を切断してよい。
この場合、硬化工程で管状ライニング材が拡径される時、管状ライニング材は、さらなる他のハンドホール内で拡径しても既存の分岐管の内壁に押圧されるため、拡径時の内圧によって破壊されるおそれがない。
(7)
上記(4)のトンネル内消火配管の更生方法は、除去工程の後、導入工程の前に、ダミー管連結工程を含んでよい。
この場合、除去工程では、さらなる他のハンドホール内の分岐管も除去することで、さらなる他のハンドホール内の金属製消火配管の端部も露出させる。
ダミー管連結工程では、当該さらなる他のハンドホール内において露出させられた端部をダミー管で連結する。
管形成工程では、当該さらなる他のハンドホール内のダミー管を除去するとともに更生管を切断する。
この場合、直線管路よりも腐食の程度が大きいことで内部が狭いまたは閉塞される傾向にある分岐管を除去しておくことで、事前の内部洗浄の手間が低減され、かつ、管状ライニング材の導入を容易に行うことができるうえに、硬化工程で管状ライニング材が拡径される時、管状ライニング材は、さらなる他のハンドホール内で拡径してもダミー管の内壁に押圧されるため、拡径時の内圧によって破壊されるおそれがない。
(8)
上記(1)から(7)のトンネル内消火配管の更生方法は、導入工程を引き込み工法により行ってよい。
これによって、施工が容易となる。また、反転機車などの大型基材が不要となる。
(9)
上記(1)から(8)のトンネル内消火配管の更生方法は、硬化工程を、熱媒体を管状ライニング材に接触させることによって行ってよい。
これによって、施工を短時間で行うことができる。
(10)
上記(9)のトンネル内消火配管の更生方法は、熱媒体の温度が80℃以下であってよい。
これによって、既設管の線膨張を抑制し、更生管の熱破壊を防止することができる。
(11)
上記(9)または(10)のトンネル内消火配管の更生方法は、熱媒体が蒸気であり、硬化工程において金属製消火配管から排出される蒸気の温度が70℃以下であってよい。
これによって、排出蒸気の結露を低減できるため、トンネル内の視界を結露により損なうことなく、トンネル内への蒸気排気が可能となる。
(12)
上記(1)から(8)のトンネル内消火配管の更生方法は、硬化工程を、活性エネルギー線を管状ライニング材に照射することによって行ってよい。
これによって、施工を短時間で行うことができる。
本発明のトンネル内消火配管の更生方法に用いられる更生用ライニング材の一例の模式的断面図である。 図1の四角囲み部分の拡大図(a)および当該ライニング材から得られる更生管の模式的断面図の部分拡大図(b)を示す。 図1のライニング材を用いて本発明のトンネル内消火配管の更生方法によって改修された(つまりライニング材が更生管として形成された)、トンネル内消火配管の補強構造の模式的断面図を示す。 トンネル内消火配管更生用ライニング材の第1変形例の模式的断面図の部分拡大図(a)および当該ライニング材から得られる更生管の模式的断面図の部分拡大図(b)である。 トンネル内消火配管更生ライニング材の第2変形例の模式的断面図である。 図5の四角囲み部分の拡大図(a)および当該ライニング材から得られる更生管の模式的断面図の部分拡大図(b)である。 トンネル内消火配管更生用ライニング材の第3変形例の模式的断面図の部分拡大図(a)および当該ライニング材から得られる更生管の模式的断面図の部分拡大図(b)である。 トンネル内消火配管更生用ライニング材の第4変形例の模式的断面図の部分拡大図(a)および当該ライニング材から得られる更生管の模式的断面図の部分拡大図(b)である。 トンネル内消火配管更生用ライニング材の第5変形例の模式的断面図の部分拡大図(a)および当該ライニング材から得られる更生管の模式的断面図の部分拡大図(b)である。 トンネル内消火配管更生用ライニング材の第6変形例の模式的断面図の部分拡大図(a)および当該ライニング材から得られる更生管の模式的断面図の部分拡大図(b)である。 トンネル内消火配管更生用ライニング材の第7変形例の模式的断面図の部分拡大図(a)および当該ライニング材から得られる更生管の模式的断面図の部分拡大図(b)である。 図1のライニング材に硬化性樹脂が含浸される前の積層管状体を模式的に示す。 図12の積層管状体を得る方法の一例を模式的に示す。 図13における管状の繊維基材を得る方法の一例を模式的に示す。 図4(a)のライニング材を得るための積層管状体を得る方法の一例を模式的に示す。 図5(a)および図6(a)のライニング材を得るための積層管状体を得る方法の一例を模式的に示す。 本発明のトンネル内消火配管の更生方法を説明する模式的一部断面図である。 図5(a)および図6(a)のライニング材を用いて本発明のトンネル内消火配管を更生する方法の第1実施形態を説明する模式的断面図である。 図18の続きを示す模式的断面図である。 本発明のトンネル内消火配管の更生方法の第2実施形態を説明する模式的一部断面図である。 図20の続きである。 本発明のトンネル内消火配管の更生方法の第3実施形態を説明する模式的一部断面図である。 本発明のトンネル内消火配管の更生方法の第4実施形態を説明する模式的一部断面図である。
[1.ライニング材]
図1に、本発明のトンネル内消火配管の補強構造を形成するための更生用ライニング材の一例の模式的断面図を示す。図2(a)に図1の四角囲み部分の拡大図を示す。図3に、図1のライニング材によって改修された(つまりライニング材が更生管として形成された)、本発明のトンネル内消火配管の補強構造の模式的断面図を示す。図1および図3においては、説明の便宜のため、各層の厚みを極端に強調して示している。さらに、図4(a)に、ライニング材の第1変形例の模式的断面図の部分拡大図を示す。図5に、ライニング材の第2変形例の模式的断面図を示し、図6(a)に、図5の四角囲み部分の拡大図を示す。図7(a)および図8(a)に、ライニング材の第3変形例および第4変形例の模式的断面図の部分拡大図をそれぞれ示す。
以下、基本的に図1から図3に示したライニング材100および更生管800を挙げて説明する。図4(a)、図5および図6(a)、図7(a)、ならびに図8(a)にそれぞれ示す第1変形例から第4変形例のライニング材100a,100b,100c,100dについては、ライニング材100と異なる部分について説明し、その他のライニング材100と同じ部分については説明を省略する。
[1−1.基本構成]
図1に示すライニング材100は閉断面を有する管状である。図1では、説明の便宜上断面円状で示しているが、ライニング材100は、構成要素である硬化性樹脂組成物(後述)が未硬化の状態で、可撓性を有しており、保存時またはトンネル内消火配管に導入される時には、通常、嵩が小さくなるように押しつぶされている。
本実施形態のライニング材100は、図1に示すように、補強層210と、その両面に積層された止水層220および外層230とを含む。このうち、止水層220および外層230は必須の構成ではない。
[1−2.補強層]
補強層210は、少なくとも強化繊維基材を含む繊維基材と、それに含浸された硬化性樹脂組成物とを含んで構成される。
[1−2−1.繊維基材]
補強層210は、少なくとも強化繊維基材を含む繊維強化樹脂層である。本実施形態の補強層210は、図2に示すように、強化繊維基材を含む繊維強化樹脂層211と、それを挟んで積層された2つの樹脂吸収基材を含む樹脂吸収層212とを含む。樹脂吸収層212は必須の構成ではない。
繊維強化樹脂層211における強化繊維基材は、高強度の繊維基材である。具体的には、強化繊維基材を構成する繊維が有する強度は、JIS R3420に準拠した引張強さで2000MPa以上、好ましくは2500MPa、より好ましくは3000MPa以上であってよい。当該引張強さの値は大きいほど内圧耐性が大きくなるためその範囲内の上限は特に限定されないが、トンネル内消火配管として必要な程度の内圧耐性を満たせばよいため、たとえば10000MPa、好ましくは7500MPaであってよい。
強化繊維基材は高強度であれば、それを構成する繊維は配向性を有していてもよいし、無配向であってもよい。強化繊維基材が配向性を有することは、補強層210の強度を増し、薄膜化する点で好ましい。
繊維強化樹脂層211における強化繊維基材を構成する繊維が配向性を有する場合、その配向性の方向は、管状のライニング材100周面に沿う方向であればよい。これによって、ライニング材100が更生管800(図3参照)として形成された場合に、強化繊維基材を構成する繊維が、更生管800の周面に沿う方向へ配向する。周面に沿う方向の成分に周方向を含む場合は、消火配管内の高圧水による周方向の応力に対する耐圧性を得ることができ、周面に沿う方向の成分に軸方向を含む場合は、消火配管内の高圧水による軸方向の応力に対する耐圧性を得ることができる。
より具体的には、繊維強化樹脂層211における強化繊維基材は、少なくとも周方向に配向した繊維を含んでいてよい。これによって、消火配管内の高圧水による周方向の応力に対する耐圧性を効率よく得る。強化繊維基材は、周方向に配向した繊維に加えて軸方向に配向した繊維も含んでいてよい。これによって、消火配管内の高圧水による軸方向の応力に対する耐圧性を効率よく得る。
繊維強化樹脂層211における強化繊維基材は、周方向に配向した繊維の重量が、軸方向に配向した繊維の重量の1倍以上5倍以下、好ましくは1.5倍以上4.5倍以下、最も好ましくは2倍であってよい。周方向に配向した繊維の重量の倍率が上記範囲内となることによって、消火配管内の高圧水による周方向の応力および軸方向の応力に対する耐圧性がバランス良く備わる。
繊維強化樹脂層211における強化繊維基材が配向性を有する繊維を含む場合、配向性を有する繊維の具体的な形態としては特に限定されない。たとえば、連続繊維を一方向に引き揃え横糸補助糸で保持した形態(ユニダイレクション)、連続繊維を経緯にして織物とした形態(クロス)、繊維の方向を一方向に引き揃えた複数の繊維シートをそれぞれ繊維の方向が異なるように重ね補助糸でステッチして留めた形態(ノンクリップファブリック)などが挙げられる。
また、繊維強化樹脂層211における強化繊維基材が無配向の繊維を含む場合、無配向の繊維の具体的な形態としては、チョップドファイバー、および後述の樹脂吸収基材で挙げられるものと同様のものが挙げられる。
繊維強化樹脂層211における強化繊維基材の繊維の目付は、たとえば500g/m以上3000g/m以下、好ましくは1000g/m以上2500g/m以下であってよい。目付が上記下限値以上であることは、内圧耐性を良好に得る点で好ましく、上記上限値以下であることは、総厚の肥大化を防止する点で好ましい。
繊維強化樹脂層211における強化繊維基材の材料としては、PAN (ポリアクリロニトリル) 系炭素繊維およびピッチ系炭素繊維などの炭素繊維、金属繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、ボロン繊維などの無機繊維が挙げられる。これらの繊維は、単独で、または複数種が組み合わされて使用されてよい。これら繊維の中でも、得られる繊維強化樹脂成形品の強度およびコストなどを考慮すると、ガラス繊維が好ましい。母材樹脂との接着性を高めるため、繊維は、アミノシラン系表面処理剤、エポキシシラン系表面処理剤、アクリルシラン系表面処理剤などのシランカップリング剤で処理されていることが好ましい。
強化繊維基材を構成する繊維の平均繊維径は、たとえば、10μm以上40μm、好ましくは15μm以上30μm以下であってよい。平均繊維径が上記下限値以上であることは、弾性の観点から好ましく、上記上限値以下であることは、引張強さの点で好ましい。なお、平均繊維径は、複数の繊維それぞれの最大径の平均値である。
樹脂吸収層212における樹脂吸収基材は、最低限の外圧強度を具える程度に肉厚を確保する観点、および/または、繊維強化樹脂層211よりも樹脂リッチな層を確保する観点から設けられるため、柔軟であればよく、樹脂吸収層212における樹脂吸収基材は、繊維強化樹脂層211における強化繊維基材のような強度は不要である。つまり、樹脂吸収層212における樹脂吸収基材は、繊維強化樹脂層211における強化繊維基材より強度が弱くてよい。
不織布は、無配向(ランダム配向)繊維で構成される繊維基材であればよい。具体的な形態としては、可撓性を有し比表面積が大きい多孔質体であればよく、連続フィラメントまたはステープルファイバーを含むフェルト、マット、スパンボンド、またはウェブで構成されてよい。また、ストランドを一定長さに切断し、マット状に分散させた後、熱可塑性樹脂等の粘接着剤を均一に付与して熱溶融し、ストランド同士を接着させてマットとして形成したチョップドストランドマットであることが好ましい。
樹脂吸収層212における樹脂吸収基材の材料としては、ガラス繊維、金属繊維、ポリエステル(たとえばポリエチレンテレフタレート)、ポリオレフィン(たとえばポリエチレン、高強度ポリプロピレン)、ポリアミド(たとえばナイロン、アラミド)、ビニロン、ポリアセタール、ポリパラフェニレンベンズオキサゾールなどの合成有機繊維;ケナフ、麻などの天然繊維などが挙げられる。これらの繊維は、単独で、または複数が組み合わされて使用されてよい。
樹脂吸収層212における樹脂吸収基材は無配向の繊維で構成されるため、樹脂吸収層212における樹脂吸収基材の繊維は、繊維強化樹脂層211における強化繊維基材の繊維と絡ませられていることで、繊維強化樹脂層211と一体化させることができる。さらに、繊維強化樹脂層211における強化繊維基材が配向性を有する場合は、このように一体化させることで、当該配向性を保持し、当該配向性の乱れを防止することができる。
樹脂吸収層212における樹脂吸収基材の目付は繊維強化樹脂層211における強化繊維基材の目付より小さくすることで、樹脂吸収層212を、繊維強化樹脂層211より樹脂リッチとなるように構成してよい。
[1−2−2.硬化性樹脂組成物]
補強層210の母材である硬化性樹脂組成物は、未硬化樹脂および硬化剤を含む。硬化性樹脂組成物は、未硬化樹脂が熱硬化性樹脂である熱硬化性樹脂組成物であってよく、未硬化樹脂が活性エネルギー線硬化性樹脂である活性エネルギー線硬化樹脂組成物であってもよい。
熱硬化性樹脂としては特に限定されないが、たとえば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シアン酸エステル樹脂、フェノキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、フラン系樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂の予備重合樹脂、ビスマレイミド樹脂、アセチレン末端を有するポリイミド樹脂及びポリイソイミド樹脂、ナジック酸末端を有するポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または複数種が組み合わされて使用されてよい。
上述の熱硬化性樹脂の中でも、ビカット軟化温度が高くトンネル内火災に対する耐熱性が良好である点で、エポキシ樹脂およびフラン系樹脂が好ましく、より薄い層厚で内圧耐性を発揮することができる点で、エポキシ樹脂がより好ましい。
エポキシ樹脂は、エポキシ基を1官能以上、好ましくは2官能以上有するエポキシプレポリマー化合物である。具体的には、エポキシ基を有するモノマー、エポキシ基を有するオリゴマーおよびエポキシ基を有するポリマーの少なくともいずれかをいう。エポキシプレポリマー化合物は、モノマーまたはオリゴマーを少なくとも含むことが好ましく、モノマーまたはオリゴマーのみであってもよい。
さらに、エポキシプレポリマー化合物は、グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型、および脂環式のエポキシ化合物が挙げられる。
グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型およびグリシジルエステル型のエポキシ化合物は、グリシジルアルキル基を有するハロゲン化物と活性水素化合物(それぞれ、アルコール、アミン、カルボン酸)とから得ることができる。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物の臭化物、ビスフェノールA型エポキシ化合物の水素添加物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物の臭化物、ビスフェノールF型エポキシ化合物の水素添加物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、o−,m−,p−クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン環含有エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ジヒドロキシペンタジエン型エポキシ化合物、およびトリフェニルメタン型エポキシ化合物など、および、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ化合物としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルキシレンジアミン、グリシジルアニリン、グリシジルo−トルイジンなどが挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、などが挙げられる。
脂環式エポキシ化合物は、脂肪族環とエポキシ基を有する化合物であり、より具体的には、脂環エポキシ基(脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基)を有する化合物、および脂肪族環に直接的または間接的に単結合したエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
脂環エポキシ基を有する化合物しては、2個の脂環エポキシ基が単結合または2価の連結基によって連結された化合物であることが好ましい。脂環エポキシ基としては、シクロヘキセンオキシド基が挙げられる。2価の連結基としては、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、及びこれらが複数個連結した基が挙げられる。たとえば、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(たとえば(株)ダイセル製セロキサイド2021P)、ε−カプロラクトン変性3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(たとえば(株)ダイセル製セロキサイド2081)が好ましい。その他、脂環エポキシ基を有する化合物しては、1個の脂環エポキシ基を有する、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(たとえば(株)ダイセル製セロキサイド2000)、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイドが挙げられる。
フラン系樹脂としては、フラン樹脂および変性フラン樹脂が挙げられる。
フラン樹脂は、フラン環に1或いは複数の反応性置換基を有するフランもしくはフラン誘導体を出発物質の一つとする重合物あるいはその前駆体(オリゴマー)であり、フルフリルアルコール型、フルフリルアルコール・フルフラール共縮合型、フルフリルアルコール・アルデヒド共縮合型、フルフラール・ケトン共縮合型、フルフラール・フェノール共縮合型、フルフリルアルコール・尿素共縮合型、フルフリルアルコール・フェノール共縮合型等のフラン樹脂が挙げられる。
変性フラン樹脂としては、例えばエポキシ変性、フェノール変性、アルデヒド変性、尿素変性、メラミン変性等の変性が施されたフラン樹脂が挙げられる。
上述のフラン系樹脂の中でも、工業的に安定に供給されていることから、フルフリルアルコール型およびフルフリルアルコール・ホルムアルデヒド共縮合型のフラン樹脂が好ましい。
活性エネルギー線硬化樹脂としては特に限定されず、ラジカル重合性官能基を有し、活性エネルギー線(紫外線など)を照射することにより重合して硬化するものであればよい。ラジカル重合性官能基とは、活性エネルギー線によって重合し得る官能基であり、例えば、(メタ)アクリル基、アリル基等が挙げられる。ラジカル重合性官能基を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述の希釈剤は、単独で、または複数種の組み合わせで用いることができる。
硬化剤としては、いわゆる潜在性硬化剤が用いられる。潜在性硬化剤とは、加熱および/または活性エネルギー線照射を契機として溶解、分解、転移反応等により活性化し、熱硬化性または活性エネルギー線硬化性樹脂に対して硬化促進剤として機能する化合物である。このため、既設管900内で硬化条件に供されるまでは、ライニング材100中で硬化剤として不活性の状態で含まれる。
硬化剤は、未硬化樹脂の種類に基づいて当業者が適宜決定することができる。したがって、未硬化樹脂を硬化させることができるものである限り、熱の作用によって活性化される化合物であってもよいし、光(特に紫外線)、電磁波(特にX線)および電子線などの活性エネルギー線の作用によって活性化される化合物であってもよいし、両者が組み合わされてもよい。
たとえば未硬化樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤は、未硬化樹脂の粘度を低下させ、適切な硬化速度を確保し、かつ硬化後に溶出しないものが好ましい。このような観点から、具体的には、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、及び脂環族ポリアミシ等のアミン系硬化剤が挙げられる。 硬化剤の中でも、非常に低粘度で、硬化後の物性に優れ、しかも安価な脂肪族ポリアミンがより好ましい。脂肪族ポリアミンの具体例としては、ポリオキシプロピレンジアミン、トリメチロールプロパンポリ(オキシプロピレン)トリアミン、メタキシレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、およびこれらの変性品などが挙げられる。
上述の硬化剤は、単独で、または複数種が組み合わされて使用されてよい。
たとえば未硬化樹脂がフラン系樹脂である場合、硬化剤は、例えば有機スルホン酸、有機カルボン酸等の有機酸並びにその水溶液、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸並びにその水溶液が挙げられる。
有機スルホン酸としては、例えばパラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸、クエン酸等が挙げられる。上記例示の硬化剤は、単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
さらに未硬化樹脂がフラン系樹脂である場合、硬化剤として、硬化時間の短縮とポットライフの両立を狙いとして、熱反応型潜在性酸硬化剤を単独で、あるいは顕在性硬化剤と併用して使用してもよい。
顕在性硬化剤としては、有機スルホン酸、有機カルボン酸等の有機酸並びにその水溶液、塩酸、硫酸等の無機酸並びにその水溶液が挙げられる。
熱反応型潜在性酸硬化剤としては、フラン系樹脂に含有される成分と常温では反応しにくく硬化時の加熱ですばやく反応し酸を発生させるものであれば特に限定されない。熱反応型潜在性酸硬化剤としては、常温時の安定性と硬化時の加熱による反応速度の点から、無機アンモニウム塩、1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩の少なくともいずれかを含有することが好ましい。
熱反応型潜在性酸硬化剤としては、具体的には、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、ハロゲン化メチルアンモニウム、ハロゲン化ジメチルアンモニウム、ハロゲン化エチルアンモニウム、ハロゲン化ジエチルアンモニウムの少なくともいずれかを含有することがより好ましい。ハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。中でも、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化メチルアンモニウム、塩化ジメチルアンモニウム、塩化エチルアンモニウム、塩化ジエチルアンモニウムの少なくともいずれかを含有することが好ましく、塩化アンモニウムおよび臭化アンモニウムの少なくともいずれかを含有することがより好ましい。
硬化性樹脂組成物には、上記以外の添加物を含んでもよい。
たとえば、寸法変化を防止する観点から、硬化性樹脂組成物には、強酸と共塩基からなる正塩が含まれてよい。たとえば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸リチウムなどが挙げられる。これら正塩は、フラン樹脂合成時の縮合反応に由来する含有水分および硬化反応に由来する発生水分の放散により寸法変化が起きやすいフラン系樹脂である場合に特に有用である。
低粘度化または反応性調整の観点から、硬化性樹脂組成物には、希釈剤が含まれてよい。希釈剤としては、非反応性希釈剤および反応性希釈剤を問わない。
非反応性希釈剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート及びベンジルアルコール等が挙げられる。
反応性希釈剤としては、反応性モノマーおよびその誘導体(重合性基を有する誘導体)が挙げられる。たとえば未硬化樹脂がエポキシ樹脂である場合は、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、p−第三ブチルフェノール、p−第三アミルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、オクタデシルフェノール及びテルペンフェノール等のフェノール類のモノグリシジルエーテルなどの、末端にグリシジルエーテル基を持つもの等が挙げられ、たとえば未硬化樹脂がフラン系樹脂である場合は、フルフリルアルコールおよびフルフラールが挙げられる。
強度特性を向上させる観点から、硬化性樹脂組成物には、ガラスパウダー・シリカ・タルク・カオリン・マイカ・水酸化アルミニウムなどのpH10以下の無機系充填材が含まれてよい。(無機系充填材のpHは、無機充填剤0.5gを、100mlの共栓付三角フラスコに入れた後蒸留水100mlを加え、密栓する。温度23±5℃の環境においてスターラーを用い600rpmの回転数で24hr攪拌・抽出し、静置後の上澄み液をJISZ8802『pHの測定方法』に準拠してpHを測定。)無機系充填材には、上述したシランカップリング剤で表面処理されていてよい。
硬化性組成物の混合時の消泡の観点から、硬化性樹脂組成物には、消泡剤が含まれてよい。消泡剤の種類としては、オイル型シリコーン消泡剤、エマルジョン型シリコーン消泡剤などのシリコーン消泡剤;非イオン系ポリエーテルなどの破泡性ポリマー型消泡剤;特殊非イオン界面活性剤;ポリエーテル変成メチルアルキルポリシロキサン共重合体;ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤;ならびに植物油系消泡剤などが挙げられる。
硬化性樹脂組成物を構成する成分は、1気圧における沸点が150℃超、好ましくは160℃超、さらに好ましくは170℃超であることが好ましい。これによって、施工時にトンネル内での揮発成分の充満を防ぐことができる。
上述の硬化性樹脂組成物を構成する成分は、1気圧における引火点が50℃超、好ましくは160℃超、さらに好ましくは170℃超であることが好ましい。これによって、施工時にトンネル内での揮発成分充満による火災を防ぐことができる。
硬化性樹脂組成物には、1気圧における沸点が170℃以下、好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下の成分を全く含んでいない(0重量%)か、または、含んでいる場合であっても、合計で0重量%超1重量%以下、好ましくは0重量%超0.5重量%以下であることが好ましい。これによって、施工時にトンネル内での揮発成分充満を防ぐことができる。
硬化性樹脂組成物には、1気圧における引火点が70℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下の成分を全く含んでいない(0重量%)か、または、含んでいる場合であっても、合計0重量%超1重量%以下、好ましくは0重量%超0.5重量%以下であることが好ましい。これによって、施工時にトンネル内での揮発成分充満による火災を防ぐことができる。
上述の1気圧における沸点が170℃以下、好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下の成分および/または引火点が70℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下の成分に該当するものとしては、種々の溶剤(特に有機溶剤)が挙げられる。ほかにも、低沸点のモノマー、硬化剤および希釈剤などの成分が挙げられる。
本発明では、特に、沸点が170℃以下、好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下の成分および/または引火点が70℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下の溶剤の量を全く含んでいない(0重量%)か、または、含んでいる場合であっても、合計で0重量%超1重量%以下、好ましくは0重量%超0.5重量%以下である硬化性樹脂組成物が好ましい。
[1−2−3.物性]
硬化性樹脂組成物は、成形物(硬化後)となった場合に、既設管900の金属製配管910(図3参照)よりも防錆性を有する。
さらに、硬化性樹脂組成物は、成形物となった場合に、ビカット軟化温度がたとえば85℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは200℃以上であることが好ましい。これによって、トンネル内火災時における耐熱性が良好となる。特に、硬化性樹脂組成物の未硬化樹脂がフラン樹脂である場合は、ビカット軟化温度は100℃以上であってよい。なお、ビカット軟化温度は、JIS K7260に準拠して測定することができる。
補強層210の硬化後の周方向の引張強さは250MPa以上、好ましくは400MPa以上、さらに好ましくは500MPa以上であってよい。これによって、消火配管内の高圧水に対する耐圧性が良好となるため、消火設備として十分な水圧を負荷することができる。
なお、引張強さは、JIS K7164に準拠して測定することができる。
[1−2−4.厚み]
補強層210の厚みは、管状ライニング材100の総厚の10%以上100%以下、好ましくは20%以上100%以下であってよい。ライニング材100のように止水層220を含む場合、補強層210の厚みは、止水層220の厚みの0.2倍以上6倍以下、好ましくは0.5倍以上4倍以下、より好ましくは0.5倍以上2倍以下であってよい。より具体的には、補強層210の厚みは、たとえば6.0mm以下、好ましくは1.0mm以上6.0mm以下、より好ましくは2.0mm以上5.0mm以下であってよい。補強層210の厚みが上記下限値以上であることは、繊維による補強効果をより良好に得る点で好ましく、上記上限値以下であることは、総厚の肥大化を防止する点で好ましい。
補強層210において、繊維強化基材を含む繊維強化樹脂層211の厚みの比率は、補強層210の50%以上、好ましくは70%以上であってよい。これによって、内圧耐性を良好に得ることができる。補強層210は樹脂吸収層212を含まず繊維強化樹脂層211のみで構成されてもよいため、繊維強化樹脂層211の厚みの比率は100%であってもよい。補強層210が樹脂吸収層を含む場合、繊維強化樹脂層211の厚みの比率範囲内の上限値は、たとえば95%、好ましくは90%であってよい。これによって、トンネル内消火配管として最低限の外圧耐性を得ることができる。
[1−3.止水層]
止水層220は、更生管800(図3参照)の内部に相当する側に積層される。これによって、更生管800の液密性を確保する。止水層220は、周方向につなぎ目のない連続管状であることが、高圧水に対する更生管800の液密性をさらに良好に得る点で好ましい。
さらに、止水層220は、更生管800の最も内部に相当する側に平滑な樹脂の内周面221を有することが好ましい。これによって、更生後の消火配管内の高圧水に対する流速抵抗を低下させて良好な流速で通液することができ、流量を増大させることができる。
止水層220の厚みは、たとえば0.5mm以上1.5mm以下、好ましくは1mm以上2.5mm以下、より好ましくは1.5mm以上2mm以下であってよい。当該厚みが上記下限値以上であることは、止水性を良好に得る点で好ましく、上記上限値以下であることは、総厚の肥大化を防止する点で好ましい。
ライニング材100における止水層220は、図2に示すように樹脂のみで構成されている。止水層220を構成する樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、およびフッ素樹脂など、熱可塑性樹脂であってよい。
なお、後述するように、ライニング材の止水層は、さらに繊維基材を含んでもよい(図4および図6参照)。止水層220が繊維基材を含む場合、繊維基材は、織布であってもよいし、不織布であってもよい。繊維基材は、周方向に連続した管状であることが、高圧水に対する更生管の液密性をさらに良好に得る点で好ましい。
図4に示すライニング材100aは、止水層が繊維基材を含む場合の例であり、それ以外の点についてはライニング材100と同様である。ライニング材100aの止水層220aでは、繊維含有樹脂層226aの表面に樹脂層225aが被覆されている。繊維含有樹脂層226aには、後述の繊維基材226a’(後述図15参照)に硬化性樹脂組成物が含浸されている。繊維含有樹脂層226aと樹脂層225aとの境界は、当該繊維基材226a’の表面形状の凹凸のために平坦ではなく、樹脂層225aを構成する樹脂が当該凹凸に入り込んでいる。これによってアンカー効果が得られ、樹脂層225aが繊維含有樹脂層226aから剥がれにくくなる。さらに、繊維含有樹脂層226aに含浸されている硬化性樹脂組成物は、上述の補強層210に含まれる硬化性樹脂組成物と一体化しているため、止水層220aと補強層210との間の剥がれを防止する。
樹脂層225aは更生管の最も内部に相当する側に設けられるため、内周面221aを構成する。樹脂層225aは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、およびフッ素樹脂など、熱可塑性樹脂で構成されてよい。
図5および図6に示すライニング材100bは、止水層が繊維基材を含む場合の他の例であり、それ以外の点についてはライニング材100と同様である。ライニング材100bの止水層220bでは、繊維基材(たとえば不織布)に硬化性樹脂組成物が含浸されている。この場合、硬化性樹脂組成物としては、上述の補強層210に含まれる硬化性樹脂組成物として挙げたものと同様である。止水層220b中の繊維基材の目付は、補強層210中の繊維の目付よりも小さくし、補強層210より樹脂リッチとなるように構成することが好ましい。これによって、より良好な止水性を得ることができる。
施工後に止水層220bの内周面221bを平滑な硬化面(内周面821b)として得るために、図5に示すように、ライニング材100bの内部に管状離型フィルム300が配置されていてよい。管状離型フィルム300は連続管状であり、内周面221b全体を滑らかに被覆できるよう、その外周長が内周面221bの周長と同じになるように構成されている。管状離型フィルム300は、図5に示すように折り畳まれて配置されている。管状離型フィルム300は、ライニング材100bの施工時かつ硬化前において内周面221bに押圧され(後述)、硬化後に取り除かれることで、内周面221bから得られた平滑な硬化面が露出する。これによって、更生後の消火配管内の高圧水に対する流速抵抗を低下させて良好な流速で通液することができ、流量を増大させることができる。
なおこの管状離型フィルム300は、施工時にトンネル内に揮発成分の充満を防ぐために気密性(ガスバリア性)フィルムであることが好ましい。具体的には、後述する外層230を構成する樹脂として挙げるポリアミド系樹脂を少なくとも含んでよい。具体的には、後述の外層230cと同様に、ポリアミド系樹脂層を内層として、その両面にポリオレフィン系樹脂層が積層された複層構造を有してよい。
図8に示すライニング材100dは、止水層を有さない場合の例であり、それ以外の点についてはライニング材100bと同様である。ライニング材100dでは、補強層210の表面が内周面221dを構成する。この例のように止水層を有さない場合には、補強層210が、繊維強化樹脂層211と、繊維強化樹脂層よりも樹脂リッチな樹脂吸収層212とを含むことが好ましい。これによって、より良好な止水性を得ることができる。
さらにこの場合、補強層210の樹脂吸収層212の内周面221dを平滑な硬化面(内周面821d)として得るために、ライニング材100dの内部に管状離型フィルム300が配置されていてよい。この管状離型フィルム300は、上述のライニング材100bと同様、施工時に内周面221dに押圧視、施工後(硬化後)に取り除かれることで、内周面221dから得られた平滑な硬化面が露出する。これによって、更生後の消火配管内の高圧水に対する流速抵抗を低下させて良好な流速で通液することができ、流量を増大させることができる。この管状離型フィルム300は、上述のライニング材100bで述べたものと同じである。
[1−4.外層]
外層230は、ライニング材100から形成される更生管800(図3参照)と既設管900との接着を防止する。具体的には、既設管900を構成する金属製配管910の内周層であるモルタルライニング920との接着を防止する。これによって、更生管800が既設管900に追随せず、両者が対向する表面の間で滑りを可能にする。この場合、地震動などによって生じる既設管900の局所歪みを、更生管800の全体歪みとして緩和することができる。
また、外層230は、ライニング材100の施工時において、地下水などの浸入水を遮水することができる。
さらに、外層230は、特に硬化性樹脂組成物が揮発成分(たとえば、1気圧における沸点が170℃以下、好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下の成分、および1気圧における引火点が70℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下である成分が挙げられる)を含む場合において、当該揮発成分の透過を防ぐガスバリア性を発揮することができる。
外層230を構成する樹脂は、外層230に具えさせる上記の特性に応じて選択される。たとえば、少なくともポリアミド系樹脂を含むことが好ましい。ポリアミド系樹脂としては、たとえば、ポリカプラミド(ナイロン-6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン-7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン-9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン-11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン-12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン-2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン-4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン-6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン-6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン-6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン-8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン-10,8)、共重合樹脂であるカプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン-6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン-6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン-6/6,6)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン-12/6,6)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン-2,6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン-6/6,6/6,12)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン-6/6,6/6,10)などが挙げられる。これらの樹脂は、単独でまたは複数が併用されて用いられてよい。
外層230は、図2、図4、図6および図8に示すように単層であってよいが、図7に例示するように、ポリアミド系樹脂の層と他の層とを含む複層であってもよい。
図7に示すライニング材100cは、外層が複層であることを除いてライニング材100と同様である。ライニング材100cにおける外層230cは、ポリアミド系樹脂層232cを内層として、その両面にポリオレフィン系樹脂層234cが積層された複層構造を有する。これによって、ライニング材100cの施工時における破れを防止するとともに、揮発成分(たとえば、1気圧における沸点が170℃以下、好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下の成分、および1気圧における引火点が70℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下である成分が挙げられる)の放散も防止することができる。
外層230の厚みは、たとえば0.1mm以上0.2mm以下、好ましくは0.1mm以上0.3mm以下、より好ましくは0.1mm以上0.2mm以下であってよい。当該厚みが上記下限値以上であることは、外層230による上述の特性を発揮させやすい点で好ましく、上記上限値以下であることは、総厚の肥大化を防止する点で好ましい。
[1−5.その他の例]
本発明のトンネル内消火配管更生用ライニング材の構成は、上述したライニング材100,100a,100b,100c,100dに限定されず、各層は任意に組み合わされてよい。さらに、すでに述べたように補強層は樹脂吸収層212を含まず強化樹脂層211だけで構成されていてもよい。その他の変形例を、図9(a)、図10(a)、および図11(a)に示す。
図9(a)に示すライニング材100eは、樹脂吸収層を含まず強化樹脂層211だけで構成された補強層210eと、複層構造の外層230cとを含み、管状離型フィルム300が内部に配置されている。
図10(a)に示すライニング材100fは、複層構造の補強層210と複層構造の外層230cとを含み、管状離型フィルム300が内部に配置されている。
図11(a)に示すライニング材100gは、複層構造の止水層220aと複層構造の補強層210と複層構造の外層230cとを含む。
[1−6.総厚]
総厚は、更生管を構成すべき部分の厚みであり、ライニング材100b,100d,100e,100fのように管状離型フィルム300が積層されている場合、総厚には管状離型フィルム300の厚みは含まれない。
より具体的には、ライニング材100の総厚は、たとえば8.5mm以下、好ましくは6mm以下、さらに好ましくは5mm以下であってよい。これによって、仕上がり内径の大きい更生管800を形成するため、更生後でも消火配管内で十分な流量を確保することができる。さらに、ライニング材100が軽量となるため、特に引き込み工法によって既設管900内に導入する時に、引き込み荷重を低減することができる。ライニング材100の総厚範囲の下限値は特に限定されないが、強度を確保する観点からたとえば1mm、好ましくは2mmであってよい。
[1−7.積層順]
図示したライニング材100,100a,100b,100c,100d,100e,100f,100gは、一例として引込工法用として示している。しかしながら、本発明のライニング材は、引込工法用および反転工法用を問わない。したがって、図示したライニング材100,100a,100b,100c,100d,100e,100f,100gは、反転工法用として用いられる場合には、図示されたものと積層順が内外逆となってもよい。
[2.製造方法]
ライニング材の製造方法は特に限定されず、層構成および管状体の周方向連続性などを考慮して、適宜決定することができる。以下、図12から図16を用いて、本発明のライニング材の製造方法について説明する。
図12は、ライニング材100に硬化性樹脂が含浸される前の積層管状体100’を模式的に示す。なお、図12以降の図においては、各層の厚みをさらに極端に強調して示している。図12に示す積層管状体100’は、補強層210を構成する繊維基材210’(具体的には、強化繊維基材、または強化繊維基材および樹脂吸収基材)に、たとえば後述のようにして止水層220および/または外層230などを積層して(内部に管状離型フィルム300が配置されていてもよい)得られる。この積層管状体100’を得た後に、積層管状体100’の繊維基材に硬化性樹脂組成物を含浸させることで、補強層210とともにライニング材100を得ることができる。含浸の方法としては、真空吸引などにより減圧することで積層管状体100’の繊維基材の空隙を脱気しながら硬化性樹脂組成物を含浸させる方法が挙げられる。この方法においては、未含浸の繊維基材中の空隙が脱気経路として作用し、減圧時に硬化性樹脂組成物が流動して繊維基材の空隙を効率よく置換するため、円滑に含浸させることができる。
積層管状体100’は、補強層210を構成する繊維基材210’に止水層220を形成し、さらに外層230で被覆する(管状化した外層230の中に挿入してもよい)ことによって得てよい。図13に、積層管状体100’を得る方法の一例を模式的に示す。図13では、管状の繊維基材210’の外周表面に内周面221(図中、網掛けした面)を有する止水層220を形成し、その後、内外を反転させることで内周面221を内側に向け、外側を外層230用のフィルムで包み込むことによって、積層管状体100’を得ることができる。止水層220は、熱可塑性樹脂(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂)を含む止水層用樹脂組成物を繊維基材210’上に押出塗布により被覆することで形成することができる。このように止水層220を形成することは、止水層樹脂組成物が繊維基材210’表面の凹凸に入り込み、固化後にアンカー効果により剥がれにくくなる点で好ましい。
なお、管状の繊維基材210’は、連続管状の繊維基材として製造されたものであってもよいし、図14に示すように、シート状の繊維基材を管状化してつなぎ合わせることで製造されたものであってもよい。シート状の繊維基材の管状化は、つなぎ合わされる一方の端部と他方の端部とをオーバーラップさせ、そのオーバーラップさせた部分でそれぞれの端部を互いにつなぎ留めることにより行ってよい(以下、管状化されるシート状の繊維基材全てにおいて同様)。
さらに、繊維基材210’が、配向性を有する強化繊維基材と、その両面に積層された無配向の樹脂吸収基材とから構成される場合、シート状の無配向の樹脂吸収基材、シート状の配向性を有する強化繊維基材、およびシート状の無配向の樹脂吸収基材をこの順に重ね、ニードルパンチ加工などで、隣接する基材の繊維を互いに絡ませることによって一体化させ、その後、管状化することで管状の繊維基材210’を製造することができる。
図15に、ライニング材100aを得るための積層管状体100a’を得る方法の一例を模式的に示す。図15では、止水層220aを構成する管状の繊維基材226a’の外周表面に、熱可塑性樹脂(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂)を含む止水層用樹脂組成物を押出塗布などにより被覆し、内周面221a(図中、網掛けした面)を有する樹脂層225aを形成する。管状の繊維基材226a’としては、織布であってもよいし、不織布であってもよい。特に管状の繊維基材226a’が織布である場合、繊維が周方向に連続した構成により当該管状の繊維基材226a’の厚みが均一であると共に、止水層用樹脂組成物が基材表面の凹凸に入り込むことによるアンカー効果によって良好な止水性が確保できる。
樹脂層225aを形成した後、内周面221aが内側に向くように内外を反転させることで止水層コアチューブを得る。止水層コアチューブを、管状の繊維基材210’の内部に引き込み、外側を外層230用のフィルムで包み込むことによって、積層管状体100a’を得ることができる。
この積層管状体100a’を得た後に、積層管状体100a’の繊維基材に硬化性樹脂組成物を含浸させる。硬化性樹脂組成物は、繊維基材210’と繊維基材226a’とに含浸する。これによって、止水層220aの繊維含有樹脂層226aおよび補強層210とともにライニング材100aを得ることができる。
図16に、ライニング材100bを得るための積層管状体100b’を得る方法の一例を模式的に示す。止水層220bを構成する繊維基材220b’管状化した止水層コアを得る。止水層コアを、管状の繊維基材210’の内部に引き込み、外側を外層230用のフィルムで包み込み、止水層コアチューブの内部に折りたたんだ管状離型フィルム300を収容することによって、積層管状体100b’を得ることができる。
この積層管状体100b’を得た後に、積層管状体100b’の繊維基材に硬化性樹脂組成物を含浸させる。硬化性樹脂組成物は、繊維基材210’と繊維基材220b’とに含浸する。これによって、止水層220bおよび補強層210とともにライニング材100bを得ることができる。
ライニング材100dを得るための積層管状体は、繊維基材220b’を用いないことを除いて積層管状体100b’と同様に得ることができる。具体的には、繊維基材210’(図14参照)の管状体を得た後、外側を外層230用のフィルムで包むとともに、内部に折りたたんだ管状離型フィルム300を収容することによって得ることができる。得られた積層管状体の繊維基材に硬化性樹脂組成物を含浸させる。硬化性樹脂組成物は、繊維基材210’に含浸する。これによって、補強層210とともにライニング材100bを得ることができる。
ライニング材100cを得るための積層管を得るためには、ポリアミド系樹脂層232cを内層として、その両面にポリオレフィン系樹脂層234cが積層された複層構造を有する外層230c用フィルムを共押出しなどにより予め製造しておけば、その他の点は上記と同様の操作を行えばよい。
[3.トンネル内消火配管の更生方法]
[3−1.第1実施形態]
以下、図17を参照し本発明のライニング材100を挙げてトンネル内消火配管の更生方法の第1実施形態を説明する。ライニング材100a,100c,100gのような本発明の他のライニング材を用いる場合も同様である(他の実施形態においても同様)。
ライニング材100による施工対象となる既設管900は、トンネル内消化配管である。既設管900(トンネル内消火配管)は、車両などが通行する車道の外側に設けられた監視員通路などの通路の下部に設けられている。既設管900は河砂などの土砂に埋設されるとともに、上方(通路部分)がコンクリートで覆われている。既設管900は、トンネル内の長手方向に所定間隔で配置されたハンドホールH内に露出している。
この既設管900(トンネル内消火配管)は、金属製配管910の内面がモルタルライニング920で被覆されている。既設管900の呼び径は、たとえば150mm以上250mm以下である。トンネル内消化配管内の非破壊検査によって、金属製配管910の劣化および/またはモルタルライニング920の劣化、あるいは漏水が検知された場合に、本発明のライニング材で既設管900の内周面を被覆する施工を行うことができる。管状ライニング材100を硬化性樹脂組成物が含浸された強化繊維基材とすることで、更生後の更生管800の防錆性が良好となると共に、消火用水の内水圧に耐えうる良好な品質安定性を与えることができる。
ライニング材100による施工方法は、導入工程と、硬化工程とを含む。さらに、導入工程に先だって、既設管900内の洗浄、管内カメラによる既設管900内の状況の確認が行われてよい。
導入工程では、ライニング材100を既設管900内へ導入する。本実施形態では、ライニング材100はトンネル内のハンドホールHから導入する。ライニング材100の導入は、引き込み工法により行ってもよいし、反転工法により行ってもよい。
引き込み工法の場合、図17(i)に示すように予めリードロープをハンドホールH(後述)から既設管900内への引き込んだ後、図17(ii)に示すようにウインチを用いてライニング材100をハンドホールHから既設管900内へ引き込むことができる。この時、スリップシート700(図3参照)もハンドホールHから既設管900内へ引き込んでおくことで、ライニング材100の引き込み荷重を低減するとともに、引き込み時の摩擦からライニング材100を保護することができる。
反転工法の場合、反転機などを用いて、ライニング材100(但し図示されたライニング材100を内外反転させたもの)の中に流体を封入し、流体圧によってライニング材100を反転させつつハンドホールHから既設管900内へ導入する。
硬化工程では、ライニング材100を既設管900の内壁に押圧した状態で硬化する。具体的には、図17(iii)に示すように、まず、ライニング材100の両端を管端栓で閉塞し、管端栓の一方から、通気配管または通液配管を介して圧縮気体または高圧液体をライニング材100内に送り込んで加圧することでライニング材100を拡径する。加圧された状態つまりライニング材100が既設管900の内壁に押圧された状態で、硬化を行う。
ライニング材100中の硬化性樹脂組成物が熱硬化性タイプのものであれば、通気配管または通液配管を介して温水、蒸気などの熱媒体を高圧でライニング材100内に送り込むことで硬化することができる。熱媒体の温度は、樹脂を硬化できる温度であれば特に限定されないが、既設管900の線膨張を抑制し、更生管800の熱破壊を防止する観点から80℃以下が好ましく、70℃以下が特に好ましい。なお、収縮は既設管900の継手接合応法により決まるため、本発明において、熱媒体の温度を80℃超(たとえば120℃程度)にすることを特別除外するものではない。
また、熱媒体の排出蒸気は、70℃以下となるようにすることが好ましい。トンネルはその構造上内部に気体が充満するため、トンネル内に70℃以下の低温の蒸気を排出することで、蒸気結露を低減し、蒸気結露による湯気に起因するトンネル内の視界悪化を防ぎ、交通上の安全を確保することができる。熱媒体の排出蒸気を70℃以下にする具体的な方法としては、熱媒体を消火用水などを冷却水として利用して熱交換し、冷却した後に排出する方法が挙げられる。
熱硬化後は、図17(iv)に示すように、押圧状態を維持しながら更生管800を冷却する。
ライニング材100中の硬化性樹脂組成物が活性エネルギー線硬化性タイプのものであれば、押圧状態を維持しながら紫外線などの活性エネルギ―線を照射することで硬化することができる。これによって、既設管900内でライニング材100から更生管800を形成することができる。
硬化工程後は、図17(v)に示すように、後処理として、更生管800の管端をカットし、カットした管端を止水処理してよい。このようにして得られる更生後の配管補強構造は、更生管800が既設管900と相まって、耐火性、強度、内圧耐性、耐水性および防錆性に優れる。
ここで、図18および図19に、管状離型フィルム300が内部に配置されているライニング材100bを用いてトンネル内消火配管を更生する方法を説明する方法を示す。
ライニング材100bは、上述と同様に既設管900内に導入された後、ライニング材100bの管状離型フィルム300の両端を管端栓で閉塞し、管端栓の一方から、通気配管または通液配管を介して圧縮気体または高圧液体を管状離型フィルム300内に送り込んで加圧することで管状離型フィルム300を加圧する。これによって、図18に示すように管状離型フィルム300が拡径する。さらに加圧を続けるにつれ、管状離型フィルム300がライニング材100bの内周面221bと接触する面積が増え、ライニング材100bも拡径される。これによって、ライニング材100bが既設管900の内壁に押圧されるとともに、管状離型フィルム300が内周面221bの全体に密着する。このような押圧状態で硬化を行う。
硬化工程が完了すると、図19に示すように、更生管800bが、その内周に管状離型フィルム300が密着した状態で得られる。硬化工程後は、後処理として、更生管800bから管状離型フィルム300を剥離し、更生管800bの管端をカットし、カットした管端を止水処理してよい。
なお、管状離型フィルム300が内部に配置されている点で同様のライニング材100d,100e,100fも、ライニング材100bと同様に施工することができる。
[3−2.第2実施形態]
図20および図21を参照して、トンネル内消火配管の更生方法の第2実施形態を説明する。第2実施形態は、除去工程(図20(B))、導入工程(図20(C))、硬化工程(図21(D))、管端形成工程(図21(E))および取り付け工程(図21(F))をこの順で含む。
図20(A)に、第2実施形態の更生方法を行うトンネル内消火配管を示す。トンネル内消火配管は、長手方向に所定間隔(たとえば180m以上200m以下)で制水弁が配設されており、図20(A)では、更生区間として、互いに隣り合う制水弁VI,VIIの範囲を示している。制水弁VI,VIIは、それぞれ、一のハンドホールHおよび他のハンドホールHの中に、消火管に接続される分岐管T,Tとともに配設されている。制水弁VI,VIIの間には、所定間隔(たとえば45m以上50m以下)で複数のさらなる他のハンドホールH,H,Hが配置されている。ハンドホールH,H,Hそれぞれの中には、消火栓に接続される分岐管T,T,Tが配設されている。分岐管T,T,T,T,Tそれぞれの間に、更生されるべき既設管900,900,900,900が接続されている。
図20(B)に示すように、一のハンドホールHの中の分岐管Tと、他のハンドホールHの中の制水弁VIIと、さらなる他のハンドホールH,H,Hの中の分岐管T,T,Tとを除去する(除去工程)。これによって、一のハンドホールH、他のハンドホールH、およびさらなる他のハンドホールH,H,H内で、複数の既設管900,900,900,900の端部E11,E12,E21,E22,E31,E32,E41,E42を露出させる。
直線管路である既設管900,900,900,900よりも腐食の程度が大きいことで内部が狭いまたは閉塞される傾向にある分岐管T,T,T,Tを除去しておくことで、事前の内部洗浄の手間が低減され、かつ、後述の導入工程でライニング材100の導入を容易に行うことができる。
なお、図20(B)においては、一のハンドホールHの中の分岐管Tと、他のハンドホールHの中の制水弁VIIとを除去しているが、一のハンドホールHの中では分岐管Tおよび制水弁VIのいずれを除去してもよく、他のハンドホールHの中では分岐管Tおよび制水弁VIIのいずれを除去してもよい。
次に、図20(C)に示すように、露出させられた複数の端部E11,E12,E21,E22,E31,E32,E41,E42のうち、一のハンドホールHの中で露出させられた端部E11から他のハンドホールHの中で露出させられた端部E42へ向かって、既設管900,900,900,900の内部にリードロープを引き込んだ後、ウインチを用い、一本のライニング材100を、端部E11から端部E42へ向かって既設管900,900,900,900の内部へ引き込む(導入工程)。
なお、図20(C)においては端部E11から端部E42へ向かってライニング材100を導入しているが、端部E42から端部E11へ向かってライニング材100を導入してもかまわない。
続いて、図21(D)に示すように、一本のライニング材100の両端を管端栓で閉塞し、管端栓の一方から、通気配管または通液配管を介して圧縮気体または高圧液体をライニング材100内に送り込んで加圧することでライニング材100を拡径する。加圧された状態つまりライニング材100が既設管900,900,900,900の内壁に押圧された状態で、硬化を行い、更生管800を得る(硬化工程)。
さらに、図21(E)に示すように、さらなる他のハンドホールH,H,Hの中で更生管800を2箇所ずつ切断することによって、更生管800,800,800,800の管端を形成する(管端形成工程)。
最後に、図21(F)に示すように、図一のハンドホールHの中に新規の分岐管Tと、他のハンドホールHの中に新規の制水弁VIIと、さらなる他のハンドホールH,H,H,Hの中に新規の分岐管T,T,Tと、を取り付ける(取り付け工程)。
以上のように施工することで、制水弁VI,VIIの間の既設管900,900,900,900を一度に更生してトンネル内消火配管の補強構造950,950,950,950を得ることができ、施工時間が大幅に短縮される。
[3−3.第3実施形態]
図22を参照して、トンネル内消火配管の更生方法の第3実施形態を説明する。第3実施形態は、除去工程(図22(B’))、導入工程(図22(C’))および硬化工程(図22(D’))と、第2実施形態と同様の管端形成工程(図21(E))および取り付け工程(図21(F))とをこの順で含む。
図22(B’)に示すように、一のハンドホールHの中の分岐管Tと、他のハンドホールHの中の制水弁VIIと除去する(除去工程)。本実施形態においては、さらなる他のハンドホールH,H,Hの中の分岐管T,T,Tは除去しない。これによって、一のハンドホールH、他のハンドホールH内で、複数の既設管900,900の端部E11,E42を露出させる。
なお、図22(B’)においては、一のハンドホールHの中の分岐管Tと、他のハンドホールHの中の制水弁VIIとを除去しているが、一のハンドホールHの中では分岐管Tおよび制水弁VIのいずれを除去してもよく、他のハンドホールHの中では分岐管Tおよび制水弁VIIのいずれを除去してもよい。
次に、図22(C’)に示すように、露出させられた一のハンドホールH内の端部E11から他のハンドホールH内の端部E42へ向かって、既設管900,900,900,900の内部にリードロープを引き込んだ後、ウインチを用い、一本のライニング材100を、端部E11から端部E42へ向かって既設管900,900,900,900の内部へ引き込む(導入工程)。
なお、図22(C’)においては端部E11から端部E42へ向かってライニング材100を導入しているが、端部E42から端部E11へ向かってライニング材100を導入してもかまわない。
続いて、図22(D’)に示すように、一本のライニング材100の両端を管端栓で閉塞し、管端栓の一方から、通気配管または通液配管を介して圧縮気体または高圧液体をライニング材100内に送り込んで加圧することでライニング材100を拡径する。加圧された状態つまりライニング材100が既設管900,900,900,900の内壁に押圧された状態で、硬化を行い、更生管800を得る(硬化工程)。
この時、ライニング材100は、さらなる他のハンドホールH,H,H内で拡径しても既存の分岐管T,T,Tの内壁に押圧されるため、拡径時の内圧によって破壊されるおそれがない。
以上のように施工することで、制水弁VI,VIIの間の既設管900,900,900,900を一度に更生してトンネル内消火配管の補強構造950,950,950,950を得ることができ、施工時間が大幅に短縮される。
[3−4.第4実施形態]
図23を参照して、トンネル内消火配管の更生方法の第4実施形態を説明する。第4実施形態は、第2実施形態と同様の除去工程(図20(B))と、ダミー管連結工程(図23(BC’’))、導入工程(図23(C’’))および硬化工程(図23(D’’))と、第2実施形態と同様の管端形成工程(図21(E))および取り付け工程(図21(F))とをこの順で含む。
図23(BC’’)に示すように、露出させられた複数の端部E11,E12,E21,E22,E31,E32,E41,E42のうち、さらなる他のハンドホールH,H,Hで露出指させられた端部E12,E21,E22,E31,E32,E41を、ダミー管Dで連結する。ダミー管は、一時的に連結される管であり、ライニング材の拡径時の圧力に耐えるものであればよい。たとえば、鋼管などの金属管、合成樹脂管、ボイド管などの紙管などが挙げられる。
図23(C’’)に示すように、残された一のハンドホールH内の端部E11から他のハンドホールH内の端部E42へ向かって、既設管900,900,900,900の内部にリードロープを引き込んだ後、ウインチを用い、一本のライニング材100を、端部E11から端部E42へ向かって既設管900,900,900,900の内部へ引き込む(導入工程)。
なお、図23(C’’)においては端部E11から端部E42へ向かってライニング材100を導入しているが、端部E42から端部E11へ向かってライニング材100を導入してもかまわない。
続いて、図23(D’’)に示すように、一本のライニング材100の両端を管端栓で閉塞し、管端栓の一方から、通気配管または通液配管を介して圧縮気体または高圧液体をライニング材100内に送り込んで加圧することでライニング材100を拡径する。加圧された状態つまりライニング材100が既設管900,900,900,900の内壁に押圧された状態で、硬化を行い、更生管800を得る(硬化工程)。
この時、ライニング材100は、さらなる他のハンドホールH,H,H内で拡径してもダミー管D内壁に押圧されるため、内圧によって破壊されるおそれがない。
以上のように施工することで、制水弁VI,VIIの間の既設管900,900,900,900を一度に更生してトンネル内消火配管の補強構造950,950,950,950を得ることができ、施工時間が大幅に短縮される。
[4.トンネル内消火配管の補強構造]
図2(b)に、図2(a)のライニング材から得られる更生管の部分拡大図を示す。同様に、図4(b)、図5(b)、図6(b)、図7(b)、図8(b)、図9(b)、図10(b)および図11(b)に、それぞれ、図4(a)、図5(a)、図6(a)および図7(a)、図8(a)、図9(a)、図10(a)および図11(a)それぞれのライニング材から得られる更生管の部分拡大図を示す。
本発明の環状ライニング材が施工されたトンネル内消火配管の補強構造は、その一例として図3のトンネル内消火配管の補強構造950に示すように、既設管900と、既設管900内に形成された更生管800とを含む。更生管800は、補強成形体層810と、その内周側に積層された止水成形体層820および外周側に積層された外層230とを含む。
更生管800は、上述の環状ライニング材100の硬化成形体であり、上述の施工法により得ることができる。
したがって、補強成形体層810は上述の補強層210中の硬化性樹脂組成物が硬化した成形体である。さらに、補強層210は、強化繊維基材を含む繊維強化樹脂層211と、それを挟んで積層された樹脂吸収基材を含む樹脂吸収層212とを含むため、補強成形体層810は、図2(b)に示すように、当該強化繊維基材を含む繊維強化樹脂成形体層811と、それを挟んで積層された当該樹脂吸収基材を含む樹脂吸収成形体層812とを含む。
止水成形体層820は、本発明のトンネル内消火配管の補強構造における必須の構成ではないが、ライニング材100から形成される更生管800においては、上述の止水層220と同じである。環状ライニング材100では、止水層220が樹脂(熱可塑性樹脂)のみで構成されているため、止水成形体層820は、既設管900の内周の形状に対応するように成形された樹脂成形体である。更生管800の最内周面は、ライニング材100における内周面221と同じ内周面821である。
なお、ライニング材100a,100g(図4(a)、図11(a)参照)のように、止水層220aが、樹脂(熱可塑性樹脂)のみで構成された樹脂層225aとともに繊維含有樹脂層226aを含む場合、図4(b)、図11(b)に示すように、ライニング材100a,100gから形成された更生管800a,800gでは、止水成形体層820aは、樹脂層225aが既設管900の内周の形状に対応するように成形された樹脂成形体層825aとともに、繊維含有樹脂層226aに含まれる硬化性樹脂が硬化した繊維含有樹脂成形体層826aを含む。
また、ライニング材100b(図5(a)参照)のように、止水層220bが繊維含有樹脂層である場合、図5(b)に示すように、ライニング材100bから形成された更生管800bでは、止水成形体層820bは、止水層220b中の硬化性樹脂組成物が硬化した繊維含有樹脂成形体である。更生管800bでは、ライニング材100bに積層されていた管状離型フィルム300が剥離除去され、最内周面として止水成形体層820bの平滑な内周面821bが形成されている。
さらに、ライニング材100d,100e,100f(図7(a)、図9(a)、図10(a)参照)のように止水層がない場合、図7(b)、図9(b)、図10(b)に示すように、ライニング材100d,100e,100fから形成された更生管800d,800e,800fでは、ライニング材100d,100e,100fに積層されていた管状離型フィルム300が剥離除去され、最内周面として補強成形体層810,810eの平滑な内周面821d,821f,821eが形成されている。
外層230(図2(b)、図4(b)、図5(b)、図7(b)参照)および外層230c(図6(b)、図9(b)、図10(b)および図11(b)参照)は、本発明のトンネル内消火配管の補強構造における必須の構成ではないが、ライニング材100,100a,100b,100dから形成される更生管800,800a,800b,800dにおいては、ライニング材100,100a,100b,100dにおける外層230と同じであり、ライニング材100c,100e,100f,100gから形成される更生管800c,800e,800f,800gにおいては、ライニング材100c,100e,100f,100gにおける外層230cと同じである。
なお、更生管の総厚は、ライニング材の総厚と同じであり、更生管を構成する各層の厚みは、ライニング材を構成する各層の厚みと同じである。したがって、たとえば更生管800の総厚は、ライニング材100の総厚と同様に、たとえば8.5mm以下、好ましくは6mm以下、さらに好ましくは5mm以下であってよい。更生管800の総厚範囲の下限値は特に限定されないが、たとえば1mm、好ましくは2mmであってよい。また、たとえば補強成形体層810の厚みは、補強層210の厚みと同様に、更生管800の総厚の10%以上100%以下、好ましくは20%以上100%以下であってよい。更生管800のように止水成形体層820を含む場合、補強成形体層810の厚みは、止水成形体層820の厚みの0.2倍以上6倍以下、好ましくは0.5倍以上4倍以下、より好ましくは0.5倍以上2倍以下であってよい。より具体的には、補強成形体層810の厚みは、たとえば6.0mm以下、好ましくは1.0mm以上6.0mm以下、より好ましくは2.0mm以上5.0mm以下であってよい。他の更生管800a,800b,800c,800d,800e,800fについても同様である。
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらのみに限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。
[実施形態における各部と請求項の各構成要素との対応関係]
本明細書において、ライニング材100,100a,100b,100c,100d,100e,100f,100gが請求項の「管状ライニング材」に相当し、更生管800,800a,800b,800c,800d,800e,800f,800g,800,800,800,800が「更生管」に相当し、既設管900,900,900,900,900が「トンネル内の既設の金属製消火配管」に相当し、ハンドホールH,H,H,H,H,Hが「ハンドホール」に相当し、Hが「一のハンドホール」に相当し、Hが「他のハンドホール」に相当し、H,H,Hが「さらなる他のハンドホール」に相当し、制水弁VI,VIIが「制水弁」に相当し、分岐管T,T,T,T,Tが「分岐管」に相当し、端部E11,E12,E21,E22,E31,E32,E41,E42が「金属製消火配管の端部」に相当し、端部E11が「一のハンドホール内で露出させられた端部」に相当し、端部E42が「他のハンドホール内で露出させられた端部」に相当し、ダミー管Dが「ダミー管」に相当し、(B)工程,(B’)工程が「除去工程」に相当し、(BC’’)工程が「ダミー管連結工程」に相当し、(ii)工程,(C)工程,(C’)工程,(C’’)工程が「導入工程」に相当し、(iii)工程,(D)工程,(D’)工程,(D’’)工程が「硬化工程」に相当し、(E)工程が「管端形成工程」に相当し、(F)工程が「取り付け工程」に相当する。
100,100a,100b,100c,100d,100e,100f,100g ライニング材(管状ライニング材)
800,800a,800b,800c,800d,800e,800f,800g,800,800,800,800 更生管
900,900,900,900,900 既設管(トンネル内の既設の金属製消火配管)
H,H,H,H,H,H ハンドホール
一のハンドホール
他のハンドホール
,H,H さらなる他のハンドホール
I,VII 制水弁
,T,T,T,T 分岐管
11,E12,E21,E22,E31,E32,E41,E42 端部(金属製消火配管の端部)
11 一のハンドホール内で露出させられた端部
42 他のハンドホール内で露出させられた端部
D ダミー管
(B)工程,(B’)工程 除去工程
(BC’’)工程 ダミー管連結工程
(ii)工程,(C)工程,(C’)工程,(C’’)工程 導入工程
(iii)工程,(D)工程,(D’)工程,(D’’)工程 硬化工程
(E)工程 管端形成工程
(F)工程 取り付け工程

Claims (11)

  1. トンネルの長手方向に所定間隔で配置されたハンドホールにおいて、少なくとも、一のハンドホール内の制水弁または分岐管の除去と他のハンドホール内の制水弁または分岐管の除去とを行う除去工程と
    前記制御弁または前記分岐管が除去されたハンドホールから前記トンネル内の既設の金属製消火配管の内部に、硬化性樹脂組成物が含浸された強化繊維基材を含む補強層を含む管状ライニング材を導入する導入工程と、
    導入された前記管状ライニング材を、前記金属製消火配管の内壁に押圧した状態で前記硬化性樹脂組成物を硬化して更生管を形成する硬化工程と、
    を含む、トンネル内消火配管の更生方法。
  2. 記硬化工程の後に、前記一のハンドホール内および前記他のハンドホール内のそれぞれの前記管状ライニング材の端部に制水弁または分岐管を取り付ける取り付け工程を含む、請求項1に記載のトンネル内消火配管の更生方法。
  3. 前記一のハンドホールと前記他のハンドホールとは隣接していない、請求項1または2に記載のトンネル内消火配管の更生方法。
  4. 前記一のハンドホールと前記他のハンドホールとの間に配置される、さらなるハンドホール内において、制御弁および分岐管は除去されない、請求項に記載のトンネル内消火配管の更生方法。
  5. 前記一のハンドホールと前記他のハンドホールとの間に配置される、さらなるハンドホール内において、制御弁および分岐管を除去する、請求項に記載のトンネル内消火配管の更生方法。
  6. 前記制御弁および前記分岐管を除去した場所にダミー管を配置する、請求項に記載のトンネル内消火配管の更生方法。
  7. 前記導入工程を引き込み工法により行う、請求項1からのいずれか1項に記載のトンネル内消火配管の更生方法。
  8. 前記硬化工程を、熱媒体を前記管状ライニング材に接触させることによって行う、請求項1からのいずれか1項に記載のトンネル内消火配管の更生方法。
  9. 前記熱媒体の温度が80℃以下である、請求項に記載のトンネル内消火配管の更生方法。
  10. 前記熱媒体が蒸気であり、前記硬化工程において前記金属製消火配管から排出される前記蒸気の温度が70℃以下である、請求項またはに記載のトンネル内消火配管の更生方法。
  11. 前記硬化工程を、活性エネルギー線を前記管状ライニング材に照射することによって行う、請求項1からのいずれか1項に記載のトンネル内消火配管の更生方法。

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