JP2017080972A - 既設管更生用ライニング材及びそれを用いた既設管更生工法 - Google Patents

既設管更生用ライニング材及びそれを用いた既設管更生工法 Download PDF

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智行 小林
Satoyuki Kobayashi
智行 小林
黒田 健夫
Takeo Kuroda
健夫 黒田
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Abstract

【課題】高い品質安定性、生産性及び施工性を有する既設管更生用ライニング材及び既設管の更生工法を提供することを目的とする。
【解決手段】外表面が液密であり、硬化性樹脂組成物が含浸させてなる管状樹脂吸収基材と、該管状樹脂吸収基材の内側に折り畳まれて配置され、前記管状樹脂吸収基材の内面を被覆可能な周長を有する管状シートとを備えることを特徴とする既設管更生用ライニング材。この既設管更生用ライニング材で既設管の内壁を被覆する既設管の更生方法であって、前記ライニング材を、既設管内に挿入する工程と、挿入した前記ライニング材の折り畳まれた管状シート内に流体を導入し、その流体圧によって管状シートを拡径し、かつ前記ライニング材を既設管の内壁に押圧する工程と、前記ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された硬化性樹脂組成物を硬化させて既設管の内壁を被覆する工程とを含む既設管更生工法。
【選択図】図1

Description

本発明は、既設管更生用ライニング材、特に老朽化した既設管、中でも埋設管の内面にライニングを施して管路を補修するための既設管更生用ライニング材及びそれを用いた既設管更生工法に関する。
既設管、例えば地中に埋設された下水道管、上水道管、農水管等の埋設管などが老朽化した場合に、管路の内面にライニングを施して管路を補修する既設管更生工法が種々提案されており、実用化されている。
そのような更生工法の一つとして、未硬化の硬化性樹脂を外表面が樹脂フィルムで被覆された管状樹脂吸収基材に含浸させたライニング材を用いる方法がある。このライニング材を用いて、流体圧によって管路内に反転(裏返し)挿入して、このライニング材を管路の内壁に押圧し、その状態で含浸されている硬化性樹脂を蒸気又は温水等の熱を用いてあるいはUV等の光を用いて硬化させて固定する更生工法である(例えば、特許文献1)。
この種の工法は、ライニング材を平坦状として密閉容器内に折り畳んで積み重ねた状態で配備し、その一端を外側に折り曲げてこれを密閉容器に接続された反転ノズルの開口端外周に取り付け、密閉容器内に流体圧(水圧、エア圧)を作用させて、ライニング材を管路内に反転挿入するように構成されている。従って、この種の工法では施工可能口径及び/又は距離が密閉容器の容量で制約を受けるとともに、密閉容器が必要となることから、大口径、長距離施工、狭小地施工に向かない工法であった。
一方、硬化性樹脂組成物を含浸させた樹脂吸収基材からなるライニング材を既設管路内に引き込み挿入し、既設管内壁に押圧した状態で、含浸された硬化性樹脂組成物を硬化させる既設管更生工法も近年実用化されている。この工法は、ウインチ等の引き込み装置のみで、ライニング材を既設管路内に挿入できることから密閉容器が不要であり、口径、施工距離、狭小地等の施工制約を受け難い。
しかし、この工法に使用されるライニング材では、未硬化の硬化性樹脂組成物を含浸させた樹脂吸収基材を保護するためにライニング材外面をコーティング又はフィルムで覆う必要がある。また、蒸気又は温水等の熱を用いて、あるいはUV等の光を用いて硬化性樹脂組成物を硬化させる際に、樹脂吸収基材を保護するために内面にもコーティング又はフィルムで覆う必要がある。
内外面をコーティング又はフィルムで覆った管状の樹脂吸収基材を形成し、その後に、硬化性樹脂をその端面から均一に含浸させることは非常に困難であり、ライニング材の生産性が低くなる。また、施工後の更生材の品質安定性及び施工性が低下する恐れがある。
これらの問題を解消するため、外表面が樹脂フィルムで被覆された管状樹脂吸収基材に硬化性樹脂を含浸させた第1の管状ライニング材及び第2の管状ライニング材を準備し、工場にて、第1の管状ライニング材を流体圧によって第2の管状ライニング材の内部に反転挿入し、これを施工現場にて既設管路内に引き込み挿入し、既設管内壁にこれら管状ライニング材を押圧した状態で、硬化性樹脂を硬化させる工程を含む既設管更生工法が提案されている(例えば、特許文献2)。
しかし、この方法では、2種のライニング材を含浸させる必要があり、反転装置も必要となることから、生産性が著しく低下する。
一方、予め均一に含浸させた管状樹脂吸収基材の内面及び外面をフィルム等で覆うことも考えられるが、含浸後の管状樹脂吸収基材の内部に内面フィルムを通すことは極めて困難である。また、外面フィルムには接合部が必要となり、施工時既設管に押圧する際に接合部が破損する恐れもある。さらに、含浸させた管状樹脂吸収基材の内外面にフィルムを覆う工程は、揮発性化学物質の大気放散が起こりやすく、大規模なドラフト設備及び/又は防爆設備等、非常に高価な生産設備も必要となる。
特開2003−165158号公報 第3281940号
本願は上記課題に鑑みなされたものであり、高い品質安定性、生産性及び施工性を有する既設管更生用ライニング材及び既設管の更生工法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、硬化性樹脂組成物を含浸させた管状樹脂吸収基材の内側に、その内面を被覆可能な周長を有する管状シートを折り畳んで配置するという極簡便な構成の既設管更生用ライニング材を用いることにより、ライナー生産時、大規模なドラフト設備及び/又は防爆設備、反転装置等を必要とすることなく、また施工時に、密閉容器が不要であり、口径、施工距離、狭小地等の施工制約を受けることなく、簡便に既設管を更生させることができる方法を見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本願は以下の発明を含む。
〔1〕外表面が液密であり、硬化性樹脂組成物が含浸させてなる管状樹脂吸収基材と、
該管状樹脂吸収基材の内側に折り畳まれて配置され、前記管状樹脂吸収基材の内面を被覆可能な周長を有する管状シートとを備えることを特徴とする既設管更生用ライニング材。
〔2〕前記管状シートが、前記管状樹脂吸収基材の内径の1/5以下の幅に折り畳まれて配置されている〔1〕に記載の既設管更生用ライニング材。
〔3〕前記管状シートが、樹脂フィルム及び薄肉樹脂吸収基材からなる〔1〕又は〔2〕に記載の既設管更生用ライニング材。
〔4〕前記管状シートが、ポリアミドとポリオレフィンとの複合樹脂フィルムを前記樹脂フィルムとして含む〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の既設管更生用ライニング材。
〔5〕前記管状樹脂吸収基材が、樹脂吸収基材と、強化繊維材とを含んでなる〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の既設管更生用ライニング材。
〔6〕前記管状樹脂吸収基材が、第1の樹脂吸収基材、強化繊維材及び第2の樹脂吸収基材がこの順に積層された単位構造を1単位以上備える〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の既設管更生用ライニング材。
〔7〕〔1〕、〔2〕、〔4〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の既設管更生用ライニング材で既設管の内壁を被覆する既設管の更生方法であって、
前記ライニング材を、既設管内に挿入する工程と、
挿入した前記ライニング材の折り畳まれた管状シート内に流体を導入し、その流体圧によって管状シートを拡径し、かつ前記ライニング材を既設管の内壁に押圧する工程と、
前記ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された硬化性樹脂組成物を硬化させて既設管の内壁を被覆する工程と、
拡径された前記管状シートを反転しつつ引き剥がす工程とを含むことを特徴とする既設管更生工法。
〔8〕〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の既設管更生用ライニング材で既設管の内壁を被覆する既設管の更生方法であって、
前記ライニング材を、既設管内に挿入する工程と、
挿入した前記ライニング材の折り畳まれた管状シート内に流体を導入し、その流体圧によって管状シートを拡径し、かつ前記ライニング材を既設管の内壁に押圧する工程と、
前記ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された硬化性樹脂組成物を硬化させて既設管の内壁を被覆する工程とを含むことを特徴とする既設管更生工法。
本発明によれば、高い品質安定性、生産性及び施工性を有する既設管更生用ライニング材を提供することができる。また、この既設管更生用ライニング材を用いることにより、簡便かつ容易な既設管の更生工法を提供することができる。
本発明の既設管更生用ライニング材の一実施形態を示す断面図である。 管状樹脂吸収基材の一実施形態を示す部分断面図である。 管状樹脂吸収基材の別の実施形態を示す部分断面図である。 管状樹脂吸収基材のさらに別の実施形態を示す部分断面図である。 折り畳まれた管状シートの一実施形態を示す断面図である。 折り畳まれた管状シートの別の実施形態を示す断面図である。 図1の既設管更生用ライニング材を既設管内に配設し、既設管内で拡径されて既設管内壁に一体化させる状態を説明するための概略工程断面図である。 図1の既設管更生用ライニング材を既設管内に配設し、既設管内で拡径されて既設管内壁に一体化させる状態を説明するための概略工程断面図である。 本発明の既設管更生用ライニング材によって更生された既設管を示す概略断面図である。 本発明の別の既設管更生用ライニング材によって更生された既設管を示す概略断面図である。 本発明の既設管更生工法を説明するための既設管を示す概略断面図である。
〔既設管更生用ライニング材〕
図1に示すように、本開示の既設管更生用ライニング材1(以下「ライニング材」ということがある)は、主に、管状樹脂吸収基材12と、管状シート13とを備える。また、ライニング材1は、管状樹脂吸収基材12に硬化性樹脂組成物が含浸されている。さらに、ライニング材1は、管状樹脂吸収基材12の外表面が液密である。そのために、例えば、管状樹脂フィルム11内に管状樹脂吸収基材12を挿入しているか、樹脂コーティング11を、管状樹脂吸収基材12の外表面に備えることが好ましい。このような構成のライニング材1は、既設管の屈曲部等の配管形状に追従することができる弾性、可撓性及び/又は柔軟性を有するように形成されていることが好ましい。
(管状樹脂吸収基材12)
管状樹脂吸収基材12は、少なくとも硬化性樹脂組成物を含浸又は吸収し得る基材を含む。管状樹脂吸収基材12は、管状の樹脂吸収基材の単層でもよいし、複数の積層構造でもよい。特に、管状樹脂吸収基材12は、樹脂吸収基材を強化するための強化繊維材を1層以上含むことが好ましい。例えば、図2Aに示すように、管状樹脂吸収基材12は、樹脂吸収基材21と強化繊維材22とが1層ずつ積層されたものでもよい。このような構成によって、既設管の屈曲部等の配管形状に追従することができる弾性、可撓性及び/又は柔軟性を有することができる。
また、図2Bに示すように、管状樹脂吸収基材12Bは、第1の樹脂吸収基材21a、強化繊維材22及び第2の樹脂吸収基材21bがこの順に積層された単位構造を1単位備えていてもよい。さらに、図2Cに示すように、管状樹脂吸収基材12Cは、第1の樹脂吸収基材21a、強化繊維材22及び第2の樹脂吸収基材21bがこの順に積層された単位構造を2単位以上備えていてもよい。つまり、管状樹脂吸収基材12Cは、第1の樹脂吸収基材21a、強化繊維材22、第2の樹脂吸収基材21b、強化繊維材22及び第1の樹脂吸収基材21aがこの順に積層され、上述した単位構造を2単位備えている。このような構成によって、硬化性樹脂組成物の硬化後の強度を向上させることができる。樹脂吸収基材21及び強化繊維材22を複数用いる場合は、それぞれ、同じ材料によるもの、一部又は全部が異なる材料によるものであってもよい。
管状樹脂吸収基材12が樹脂吸収基材21と強化繊維材22との積層構造である場合、いずれが外側に配置されていてもよい。例えば、図2Aに示すように、外側から順に樹脂吸収基材21、強化繊維材22であり、後述する管状樹脂フィルム又は樹脂コーティング11側に樹脂吸収基材21が配置されていることが好ましい。また、図2B及び2Cに示すように、内側から順に、第1の樹脂吸収基材21a、強化繊維材22、第2の樹脂吸収基材21bが配置されている場合には、管状樹脂フィルム又は樹脂コーティング11側に樹脂吸収基材が配置されていてもよい。
樹脂吸収基材は、硬化性樹脂組成物の十分量を含浸して保持させるために、肉厚が0.1mm以上であるものが好ましく、0.5mm以上がより好ましい。これによって、十分な強度及び保護特性をも発現させることができる。強化繊維材が介装される場合には、強化繊維材は、肉厚が0.1mm以上であるものが好ましく、0.5mm以上がより好ましい。管状樹脂吸収基材12、つまり、樹脂吸収基材及び強化繊維材の積層構造の総肉厚は、2mm以上が挙げられ、3mm以上であることが好ましく、強度に加え、作業性等を考慮すると、20mm以下が好ましい。
樹脂吸収基材及び強化繊維材は、空隙率が90%以下のものが挙げられ、10〜90%であるものが好ましい。硬化性樹脂組成物を確実に含浸させることができる。空隙率をこの範囲とすることにより、硬化性樹脂生物の硬化後の樹脂吸収基材及び/又は強化繊維材内にボイド等が形成される不具合を最小限に抑えることができる。
樹脂吸収基材を構成する材料としては、不織布、チョップドストランドマット等が挙げられる。
不織布としては、例えば、ポリエステル、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン等の樹脂、木綿、苧麻、亜麻黄麻、ケナフ等の天然素材が挙げられ、樹脂吸収できる素材が好ましい。天然繊維を用いる場合、既設管更生用ライニング材の全体が非石油系材料から構成されるため、好ましい。天然繊維としては、樹脂含浸性、加工性、供給安定性等の観点から、苧麻、亜麻が特に好ましい。
また、可撓性を有し、多孔質であり、連続フィラメント又はステープルファイバーを備えたフェルト、マット、スパンボンド、ウェブ等も使用することができる。
チョップドストランドマットとしては、例えば、ガラス繊維等のストランドを一定長さに切断し、マット状に分散させた後、熱可塑性樹脂等の粘接着剤を均一に付与して熱溶融し、ストランド同士を接着させてマットとしたもの等が挙げられる。
なかでも、チョップドストランドマットは、樹脂不織布よりも高い強度を得ることができる。
強化繊維材を構成する材料としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、無機繊維、有機繊維、ウィスカー等又はこれらを組み合わせたもの等が好ましく、中でもガラス繊維が、得られる繊維強化樹脂層の強度と価格のバランスからより好ましい。また、強化繊維は繊維径が3〜30μmのものが好ましく、強度及び価格の観点から、5〜25μmの繊維径のものがより好ましい。強化繊維材は、クロス加工、ステッチ加工等によってシート状にすることが好ましい。
強化繊維材は、部分的に積層構造又は肉厚構造として配置してもよい。例えば、図6に示すように、ライニング材1が、外側から、管状樹脂フィルム又は樹脂コーティング11、第2の樹脂吸収基材21b、強化繊維材22及び第1の樹脂吸収基材21aがこの順に積層された構造を有する場合、強化繊維材22は、部分的にオーバーラップさせてオーバーラップ部22aを配置するように積層してもよい。このように強化繊維材22にオーバーラップ部22aを設けることにより、ライニング材1の外径を既設管9の内径よりも小径にて形成して既設管9内で拡径させた場合においても、強化繊維材22を途切れることなく、ライニング材1中に配置することができる。また、強化繊維材22を連続的に配置させた状態で、既設管9の内壁の凹凸、段差、隙間等に対応させることが容易となる。その結果、既設管に対して、高い耐圧性能及び適切な強度を確保させることができる。
(管状樹脂フィルム又は樹脂コーティング11)
管状樹脂吸収基材12は、外表面が液密である。そのために、図1に示すように、管状樹脂吸収基材12の外表面が管状樹脂フィルム11で被覆されているか又は管状樹脂吸収基材12の外表面に樹脂コーティング11が施されていることが好ましい。管状樹脂フィルムは、その管内に管状樹脂吸収基材を挿入し、被覆することができる。また、樹脂コーティングは、樹脂材料を、管状樹脂吸収基材の外面にコーティングすることにより形成することができる。
これら管状樹脂フィルム又は樹脂コーティング11の材料としては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、エラストマー及び合成ゴム等の合成樹脂系材料が挙げられる。これらの材料は、単層及び積層構造のいずれでもよい。管状樹脂フィルムは、例えば、0.2〜2.0mm厚のフィルムの形態であるものが好ましい。樹脂コーティング層は、例えば、0.05〜2.0mm厚の形態であることが好ましい。
管状樹脂フィルム又は樹脂コーティング11を配置することにより、硬化性樹脂組成物を容易に管状樹脂吸収基材に含浸させることができるとともに、ライニング材の施工を容易にすることができる。
(硬化性樹脂組成物)
硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂と硬化開始剤とを含むものが好ましい。この樹脂組成物は、ライニング材の既設管への挿入等の作業時間を確保するため、常温で、例えば、2時間以上、好ましくは5時間以上、さらに好ましくは12時間以上のポットライフを有するものが好ましい。
硬化性樹脂組成物は、ライニング材への含浸を容易に行い、かつ既設管の内壁に押圧した際においても樹脂組成物の十分量をその部位の管状樹脂吸収基材に保持させるために、適度な粘度を有するものが好ましい。例えば、25℃での粘度が通常100〜5000mPa・sが挙げられ、200〜4000mPa・sが好ましく、500mPa・s〜3000mPa・sがより好ましい。
硬化性樹脂組成物は、例えば、熱又は光によって硬化させることができる樹脂を含むものが好ましい。例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フラン樹脂等が挙げられる。なかでも不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂等が好ましい。
硬化開始剤は、樹脂の種類、硬化方法、硬化条件等によって適宜選択することができる。例えば、ラジカル重合性の不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂を用いて熱硬化性樹脂組成物とする場合は、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、例えば、ハイドロパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、アルキルパーエステル系、パーカーバネート系、ジアルキルパーオキサイド系の有機過酸化物の単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。光硬化性樹脂組成物とする場合は、αヒドロキシアルキルフェノン系、αアミノアルキルフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、オキシムエステル系の光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、ヒドロキシアルキルフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系の単独又は2種以上の組み合わせが好ましい。硬化開始剤の含有量は、樹脂の種類、硬化方法、硬化条件等によって適宜調整することができる。例えば、硬化性樹脂100重量部に対し、10重量部以下が挙げられ、5重量部以下が好ましい。
特に、硬化性樹脂組成物を、光硬化性樹脂組成物と熱硬化性樹脂組成物との混合物とすることが、光照射により発生する熱で硬化がさらに進み、硬化速度が向上又は厚肉硬化を可能とするために好ましい。
硬化性樹脂組成物は、強度特性の向上及びコスト低減を図るために、無機系充填材等を添加することが好ましい。無機系充填材としては、弾性率が高く、高充填が可能なものであればよく、例えば、ガラスパウダー、シリカ、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。なかでも、コストの低減を図るために、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化性樹脂組成物は、上述した材料を順次又は同時に添加し、混合することにより、全成分を均一に分散させることにより調製することができる。
このような硬化性樹脂組成物を、未含浸のライニング材に、含浸ロールにて減圧下で含浸させる方法等によって、含浸させることが好ましい。
(管状シート13)
管状シート13は、ライニング材1において、管状樹脂吸収基材12の内側に配置されている。
管状シート13は、管状樹脂吸収基材の内面を被覆可能な周長を有することが好ましい。管状樹脂吸収基材の内面の周長より小さいと、後述するように、既設管の内壁へのライニング材の均一かつ完全な被覆が著しく困難となる。
また、管状シート13は、管状樹脂吸収基材12の内側に、折り畳まれて配置されている。管状シート13の折り畳みは、長手方向にそって1回以上折り畳まれている。つまり、管状シートの幅は、管状樹脂吸収基材の直径よりも小さく折り畳まれていることが好ましく、管状樹脂吸収基材の内径の1/5以下であることがより好ましく、1/8以下であることがさらに好ましい。このような幅に折り畳むことにより、管状樹脂吸収基材12の内側に容易かつ簡便に配置することができる。また、含浸速度の低下、生産性の低減を回避することができ、既設管への施工後のライニング材の品質安定性、施工性が向上させることができる。
管状シートの折り畳み方法は、例えば、押しつぶした管状シートを1回以上、例えば、複数回折り畳む方法が挙げられる。具体的には、図3Aに示すように、幅方向において両端をその中央に合わせて折り畳む方法、図3Bに示すように、幅方向において両端をその中央に合わせて折り畳み、さらにその両端が重なるように中央で折り畳む方法などが挙げられる。
管状シートは、例えば、0.2〜2.0mmの厚さとすることができる。
管状シートは、例えば、樹脂フィルム及び薄肉樹脂吸収基材を含んで形成することができる。なかでも、樹脂フィルムの単層構造又は樹脂フィルムと薄肉樹脂吸収基材との積層構造であることが好ましい。このような構成によって、硬化性樹脂組成物を、更生する既設管以外の部位に付着することを防止することができ、作業性を向上させることができる。特に積層構造の場合には、薄肉樹脂吸収基材を、樹脂フィルムで液密にコーティングすることができる。また、管状シートが樹脂フィルム及び薄肉樹脂吸収基材からなる場合には、後述するような既設管の更生方法において、既設管の内壁で拡径された管状シートを反転しつつ引き剥がす工程を省略することができる。
樹脂フィルム及び薄肉樹脂吸収基材は、いずれも単層であってもよいし、積層構造でもよい。また、管状シートの内側に樹脂フィルム、外側に薄肉樹脂吸収基材が配置されているものが好ましい。これによって、管状樹脂吸収基材に含浸した硬化性樹脂組成物が、後述する拡径時の圧力で薄肉樹脂吸収基材に吸収され、管状シートを、樹脂吸収基材に強固に接着させることができる。これによって、管状シートの引き剥がし工程を省略することができる。また、ライニング材として、管状樹脂吸収基材に加えて、管状シートがその内側に配置/固定され、高い水密性を確保することができる。
樹脂フィルム及び薄肉樹脂吸収基材は、それぞれ、上述した管状樹脂吸収基材12を構成する樹脂吸収基材21及び管状樹脂フィルム又は樹脂コーティング11の材料と同様のものを用いることができる。なかでも、樹脂フィルムとしては、ポリアミドとポリオレフィンとの複合樹脂フィルムを用いることが好ましい。硬化性樹脂組成物に含まれるモノマーの漏洩を防止するため、蒸気及び/又は温水を使用して熱硬化する場合の水分浸透を防止するため及び/又は管状シートを管状樹脂吸収基材から引き剥がす場合の引き剥がし性を良好なものとして、施工時間を短縮するためである。特に、ポリオレフィン/ポリアミド/ポリオレフィンの複合樹脂フィルムを用いることがより好ましい。これによって、管状シートの端部のカールを防止することができる。
(既設管更生用ライニング材の製造方法)
上述したライニング材の製造方法は、外表面が液密であり、硬化性樹脂組成物が含浸させてなる管状樹脂吸収基材の内側に折り畳まれた管状シートを配置できれば特に限定されるものではない。例えば、外表面が液密である管状樹脂吸収基材の内側に、折り畳まれた管状シートを挿入して、硬化性樹脂組成物が含浸されていないライニング材を形成した後、管状樹脂吸収基材の内部を端部から減圧脱気し、反対側端部の管状樹脂吸収基材と折り畳まれた管状シートの間に硬化性樹脂組成物を投入し、減圧しながらローラーを用いて含浸させる方法が挙げられる。
より具体的には、図1に示すように、管状樹脂フィルム11内に挿入された管状樹脂吸収基材12の内側に折り畳まれた管状シート13が配置された状態で、管状樹脂吸収基材12の内部と管状シート13との間に硬化性樹脂組成物を注入する。次いで、ライニング材1の内部を減圧して管状樹脂吸着基材層12内のエアを脱気し、硬化性樹脂組成物を管状樹脂吸着基材層12に含浸させる。この際、未含浸の樹脂吸着基材層12の隙間が脱気経路として作用するために、硬化性樹脂組成物が、真空吸引時に流動し、管状樹脂吸着基材層12に円滑に含浸される。
〔既設管の更生方法〕
既設管の更生方法は、上述した既設管更生用ライニング材を用いて既設管の内壁を被覆する方法であり、主として、
このライニング材を、既設管内に挿入する工程と、
挿入したライニング材の折り畳まれた管状シート内に流体を導入し、その流体圧によって管状シートを拡径し、かつライニング材を既設管の内壁に押圧する工程と、
ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された硬化性樹脂組成物を硬化させて既設管の内壁を被覆する工程とを含む。
(ライニング材の既設管内への挿入)
ライニング材の既設管内への挿入は、ライニング材を既設管内に引き込み挿入することが好ましい。
(既設管の内壁への押圧)
ライニング材を既設管内に挿入した後、挿入したライニング材の折り畳まれた管状シート内に流体を導入し、その流体圧によって管状シートを拡径する。これによって、ライニング材を既設管の内壁に押圧して密着させることができる。
ここで、管状シート内に導入する流体としては、液体(例えば、水)でもよいし、気体(例えば、空気)でもよい。流体は、加圧流体であることが好ましい。これによって、ライニング材の広範囲に均一な力を付与することができ、ライニング材を十分に拡径させて、ライニング材を既設管の内壁に押圧することができる。
(既設管の内壁の被覆)
ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された硬化性樹脂組成物を硬化させて既設管の内壁を被覆する。
硬化方法は、硬化性樹脂組成物により適宜選択することができる。例えば熱硬化性樹脂組成物を用いた場合の加熱方法としては、管状シートに流入する流体を温水又は蒸気等とすることなどが挙げられる。熱硬化時の加熱温度は、例えば50〜120℃が好ましい。
また光硬化性樹脂組成物を用いた場合は、UVランプを直列に連結させたUVトレインを管状シート内に設置し、これを移動させながらUV光を照射する方法があげられる。UVランプとしては400〜450nmの波長に最大照度を示すランプが好ましく、連結数はランプ出力、移動速度によるが4〜12台が好ましい。
このように、硬化性樹脂組成物の硬化によって、ライニング材が既設管内に強固に密着しながら、それ自体が強固に硬化して、既設管と同等の管を生成することとなり、既設管が更生される。
(管状シートの引き剥がし)
上述した既設管更生工法は、任意に、拡径された管状シートを反転しつつ引き剥がす工程を含んでもよい。この工程は、例えば、管状シートが樹脂フィルムの単層又は樹脂フィルムが管状樹脂吸収基材側に配置された積層構造によって形成されている場合に、行うことが好ましい。
一方、管状シートが、内側に樹脂フィルム、外側に薄肉樹脂吸収基材の積層構造で形成されている場合には、管状樹脂吸収基材に含浸した硬化性樹脂組成物が、管状シートの拡径時の圧力で薄肉樹脂吸収基材にも含浸され、管状シートを、管状樹脂吸収基材に強固に接着させることができるため、引き剥がす工程を省略することができる。
このような既設管更生用ライニング材及びそれを用いた既設管更生工法によれば、ライニング材を構成する管状樹脂吸収基材の内部に、少なくとも管状基材の内面を被覆可能な周長を有する管状シートを折り畳み配置することにより、内面から管状樹脂吸収基材に硬化性樹脂を簡便な設備で容易に含浸させることが可能となる。その結果、品質安定性及び生産性に優れたライニング材を形成することができる。
また、口径、施工距離、狭小地等の施工制約を受け難い引き込み挿入の後、管状樹脂シート内に流体を導入し、その流体圧によって管状シートを拡径するとともにライニング材を既設管の内壁に押圧することが可能である。よって、円滑な修復作業が実現できる。
一実施形態では、作業時間短縮、作業環境維持、硬化性材料効率の点から以下の方法が好ましい。
既設管更生作業に先立ち、図7Aに示すように、既設管9内に、管内カメラ10を配置して管内の状況を確認する。既設管9に下水等の流体がある場合には、既設管の管路から流体を除去してから、管状ライニング材を挿入することが好ましい。流体の除去方法は、例えば、既設管の管路に、適当な間隔で設けられたマンホールM1、M2の上流側に堰き止め部材を設けて、流体を下流側に流して除去する方法が挙げられる。既設管内に、堆積物や木片等の異物が存在する場合には、既設管内を高圧水洗浄することが好ましい。
次に、図7Bに示すように、硬化性樹脂組成物が含浸されたライニング材1を地上の引張装置4を用いて既設管内へ引き込み挿入する(引き込み工程)。引張装置にはウインチ等の公知の装置を用いることができる。この状態では、管状シート13は、図4Aに示すように、折りたたまれた状態である。
続いて、図7Cに示すように、既設管9内に引き込み挿入したライニング材1端部の管状シート13を開き、管端栓5を取り付ける。その後、コンプレッサー7等を利用して圧縮空気、水等の流体を供給して加圧し、ライニング材1を流体圧により十分に拡径させて既設管の内壁に密着させる(拡径工程)。つまり、流体の加圧によって、図4Bに示すように、既設管9内では、広範囲で均一な力が付与されて、ライニング材1における管状シート13を拡径させ、図5に示すように、硬化性樹脂組成物の含浸された管状樹脂吸着基材12及び管状シート13が内壁に接着する。
その後、図7Dに示すように、既設管9内に引き込み挿入したライニング材1を、既設管9の内壁に押圧した状態で、ボイラー6等を利用して、加熱し、管状樹脂吸着基材12に含浸された硬化性樹脂を硬化させ、既設管9の内壁をライニングする(硬化工程)。
任意に、硬化後、管状シートの端部をウインチ等の引張装置4で反転しながら引き剥がす(引き剥がし工程)。こうして硬化したライニング材1は、既設管9の更生区間に合わせて配備され、既設管9がライニング材1により修復される。
このような既設管の更生方法により更生された管は、硬化性樹脂組成物の硬化物、管状樹脂吸収基材等を含む積層体によって、内壁がライニングされている。このため高い剛性を有する管路となり、耐震性を高めることが出来る。特に、硬化性樹脂組成物が十分に含浸された樹脂吸着基材12を備えるライニング材1は、反転作業が不要となり、口径、施工距離、狭小地等の施工制約を受けることなく、簡便に既設管を更生させることができる。
以下、本開示の既設管更生用のライニング材及び既設管の更生方法の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
実施例1
不飽和ポリエステル系樹脂(DHマテリアル製)100重量部に硬化剤としてパーカーバネート系有機過酸化物(化薬アクゾ製)0.4重量部、アルキルパーエステル系有機過酸化物(化薬アクゾ製)2.0重量部を添加し、攪拌機により1000rpmで10分間攪拌して、硬化性樹脂組成物を調製した。
また、外表面に不透水性の樹脂(ポリエチレン、厚さ700μm)がコーティングされた樹脂不織布(ポリエステル不織布、厚さ5mm、空隙率85%、重量1050g/m2)からなる管状樹脂吸収基材(外径300mm)を準備した。
図1に示すように、外表面に樹脂コーティング11が施された管状樹脂吸収基材12の内部に既設管内周の1/4の幅に折り畳んだ管状シート13(ポリエチレン、厚さ90μm、周長907mm)が配置された既設管内径300m用のライニング材1を作成した。
次に、管状樹脂吸収基材の内部と管状シートの間に、硬化性樹脂組成物を4.7kg/m注入した。その後、管状樹脂吸収基材の内部を減圧して基材内のエアを脱気し、硬化性樹脂組成物を基材内に含浸させ、厚さ5.7mmのライニング材を得た。
得られたライニング材を、上述した図7A〜図7Dの更生方法に用いた。
まず、埋設管内部を確認し、洗浄した後、地上のウインチで内径300の埋設管に引き込み挿入した(図4A参照)。続いて、ライニング材の端部の管状シート内部に管端栓を取り付け、圧縮空気にて管状シートを拡径し(図4B参照)、埋設管の内壁に管状シートを押圧した。その状態で、管状シート内部に蒸気を導入することによって、硬化性樹脂組成物を90℃で加熱し、硬化させた(図5参照)。
その後、管状シートを引き剥がして埋設管の更生を完了した。
実施例2
樹脂不織布(ポリエステル不織布、厚さ5mm、空隙率85%、重量1050g/m2)からなる管状樹脂吸収基材を、管状樹脂フィルム(ポリエチレン厚さ30μm/ポリアミド厚さ30μm/ポリエチレン厚さ30μ)内に挿入したものに変えた以外は実施例1と同様にしてライニング材を作成し、これを用いて、埋設管を修復し、更生埋設管を得た。
実施例3
管既設管内周の1/8の幅に折り畳んだ管状シートに変えた以外は実施例2と同様にしてライニング材を作成し、これを用いて、埋設管を修復し、更生埋設管を得た。
実施例4
管状シート(ポリエチレン厚さ30μm/ポリアミド厚さ30μm/ポリエチレン厚さ30μ、周長915mm)に変えた以外は実施例3と同様にしてライニング材を作成し、これを用いて、埋設管を修復し、更生埋設管を得た。
実施例5
管状シートを液密にコーティングされた樹脂フィルム(ポリエチレン厚さ30μm/ポリアミド厚さ30μm/ポリエチレン厚さ30μ、)と薄肉樹脂吸収基材(ポリエステル不織布、厚さ0.2mm、空隙率85%、重量50g/m2)に変えた以外は実施例4と同様にしてライニング材を作成し、これを用いて、埋設管を修復し、更生埋設管を得た(図5参照)。ただし、引き剥がしは実施しなかった。
実施例6
管状樹脂吸収基材の外面を樹脂吸収基材(ポリエステル不織布、厚さ3.5mm、空隙率85%、重量735g/m2)、内面を繊維強化材(ガラス繊維ステッチ、厚さ1.5mm、重量1500g/m2)に変えた以外は実施例4と同様にしてライニング材を作成し、これを用いて、埋設管を修復し、更生埋設管を得た。
実施例7
管状樹脂吸収基材を、外面から樹脂吸収基材(ポリエステル不織布、厚さ0.2mm、空隙率85%、重量50g/m2)、繊維強化材(ガラス繊維ステッチ、厚さ0.8mm、重量800g/m2)、樹脂吸収基材(ポリエステル不織布、厚さ3mm、空隙率85%、重量630g/m2)、繊維強化材(ガラス繊維ステッチ、厚さ0.8mm、重量800g/m2)、樹脂吸収基材(ポリエステル不織布、厚さ0.2mm、空隙率85%、重量50g/m2)の5層構造に変えた以外は実施例4と同様にしてライニング材を作成し、これを用いて、埋設管を修復し、更生埋設管を得た。
比較例1
外表面に不透水性の樹脂(ポリエチレン、厚さ700μm)がコーティングされた樹脂不織布(ポリエステル不織布、厚さ5mm、空隙率85%、重量1050g/m2)からなる管状樹脂吸収基材で既設管内径300m用のライニング材を作成した。
実施例1と同様の方法で調製された熱硬化性樹脂組成物を4.7kg/m注入し、次いで基材の内部を減圧して基材内のエアを脱気し、硬化性樹脂組成物を基材内に含浸させ、厚さ5mmのライニング材を得た。
得られたライニング材を地上の反転装置に装着し、圧縮空気にてライニング材1を反転させつつ内径300mmの埋設管に挿入した。続いて、埋設管内に反転挿入したライニング材を、埋設管の内壁に押圧した状態で、内部から蒸気にて90℃に加熱し、硬化性樹脂組成物を硬化させ、更生埋設管を得た。
比較例2
管状シートを折り畳まずに配置した以外は実施例1と同様にしてライニング材を作成し、これを用いて、埋設管を修復し、更生埋設管を得た。
実施例及び比較例において、ライニング材に用いられる硬化性樹脂組成物及び修復された更生埋設管につき、以下の評価を行い、評価結果を表1に示した。表1における評価は以下の方法で行った。
(含浸速度)
硬化性樹脂組成物が含浸する際の速度を測定した。
(最大引き剥がし力)
硬化後の管状シートの引き剥がし可能最大力をテンションメーターで測定した。
(管の初期剛性)
JISK7032『ガラス強化熱硬化性プラスチック管 管の初期剛性の求め方』に従い初期剛性を測定した。
(総合評価)
含浸速度が良好で、最大引き剥がし力がより大きく、初期剛性が良好なものを優及び良と評価し、これらのうち1以上を満たさないものを不可と評価した。
表1から、本実施例においては、比較例1の反転工法に比べ、狭小地での施工が容易であることがわかった。また、管状シートを折り畳むことにより含浸速度を向上させた。特に、比較例2と実施例2、3との比較において、管状シートの折り畳み幅の減少に伴い、含浸速度が向上することがわかる。
また、実施例4では最大引き剥がし力が大きく向上することから、施工速度が短縮することが確認された。実施例5では引き剥がし工程を省略することができるため、非常に簡便に更生埋設管を得ることが可能となる。さらに、実施例6、7では管状樹脂吸収基材を樹脂吸収基材と強化繊維材とすることにより、初期剛性が非常に高い更生埋設管が得られる。
本発明は、既設管、例えば地中に埋設された下水道管、上水道管、農業用水管、ガス管等の埋設管などの種々の既設管の内周面を更生するための既設管更生用ライニング材及びそれを用いた既設管更生工法として産業上大いに有用である。
1 ライニング材
4 引張装置
5 管端栓
6 ボイラー
7 コンプレッサー
9 既設管
10 管内カメラ
11 管状樹脂フィルム又は樹脂コーティング
12、12B、12C 管状樹脂吸収基材
13 管状シート
21、21a、21b 樹脂吸収基材
22 強化繊維材
22a オーバーラップ部

Claims (8)

  1. 外表面が液密であり、硬化性樹脂組成物が含浸させてなる管状樹脂吸収基材と、
    該管状樹脂吸収基材の内側に折り畳まれて配置され、前記管状樹脂吸収基材の内面を被覆可能な周長を有する管状シートとを備えることを特徴とする既設管更生用ライニング材。
  2. 前記管状シートが、前記管状樹脂吸収基材の内径の1/5以下の幅に折り畳まれて配置されている請求項1に記載の既設管更生用ライニング材。
  3. 前記管状シートが、樹脂フィルム及び薄肉樹脂吸収基材からなる請求項1又は2に記載の既設管更生用ライニング材。
  4. 前記管状シートが、ポリアミドとポリオレフィンとの複合樹脂フィルムを前記樹脂フィルムとして含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の既設管更生用ライニング材。
  5. 前記管状樹脂吸収基材が、樹脂吸収基材と、強化繊維材とを含んでなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の既設管更生用ライニング材。
  6. 前記管状樹脂吸収基材が、第1の樹脂吸収基材、強化繊維材及び第2の樹脂吸収基材がこの順に積層された単位構造を1単位以上備える請求項1〜5のいずれか1つに記載の既設管更生用ライニング材。
  7. 請求項1、2、4〜6のいずれか1つに記載の既設管更生用ライニング材で既設管の内壁を被覆する既設管の更生方法であって、
    前記ライニング材を、既設管内に挿入する工程と、
    挿入した前記ライニング材の折り畳まれた管状シート内に流体を導入し、その流体圧によって管状シートを拡径し、かつ前記ライニング材を既設管の内壁に押圧する工程と、
    前記ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された硬化性樹脂組成物を硬化させて既設管の内壁を被覆する工程と、
    拡径された前記管状シートを反転しつつ引き剥がす工程とを含むことを特徴とする既設管更生工法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の既設管更生用ライニング材で既設管の内壁を被覆する既設管の更生方法であって、
    前記ライニング材を、既設管内に挿入する工程と、
    挿入した前記ライニング材の折り畳まれた管状シート内に流体を導入し、その流体圧によって管状シートを拡径し、かつ前記ライニング材を既設管の内壁に押圧する工程と、
    前記ライニング材を既設管の内壁に押圧した状態で、含浸された硬化性樹脂組成物を硬化させて既設管の内壁を被覆する工程とを含むことを特徴とする既設管更生工法。
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