JP2012121264A - ライニング材 - Google Patents

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Abstract

【課題】強化繊維を含有させて引張力や圧縮力に対する高い強度を確保するとともに、既設管の内壁に密着させるのに十分な拡径性をも確保したライニング材を提供する。
【解決手段】一実施形態としてのライニング材1は、不透過性材料からなる被覆層2と、シート状の強化繊維材321からなる強化繊維層32と、母材樹脂を含浸する第1基材層31とが、外周側から内周側へ順に積層して形成される。強化繊維層32には、オーバーラップ部Wが設けられる。ライニング材1は、被覆層2の周長をL1、強化繊維層32の周長をL2、オーバーラップ部Wの周方向の重なり幅の総和をL3、第1基材層31の周長をL4としたとき、次式:(L2+L3)>L1>L4の関係を満たすものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、既設管の内周面に施して管路を更生するためのライニング材に関する。
地中に埋設された下水道管、上水道管、農水管などの既設管が老朽化した場合に、その管路を掘削することなく、管路の内周面にライニングを施して管路を補修する既設管の更生工法が種々提案されており、広く実用化されている。
その更生工法の一つとして、管状のライニング材の内側に流体圧を作用させ、もしくは流体圧により加圧ホースを反転挿入することによって、ライニング材を管路の内周面に押圧し、硬化させて一体化することでライニング層を形成する方法がある。また、ライニング材そのものを反転させながら管路内に挿入し、流体圧により管路の内周面に押圧し、硬化させて一体化する方法もある。このようなライニング材による更生工法は、管路が埋設された地中を掘削することなく補修作業を行うことができる。
この種の更生工法に用いられるライニング材として、例えば、特許文献1には、外表面が樹脂フィルムで被覆された管状樹脂吸着材に、液状硬化性樹脂を含浸させたライニング材を用いることが記載されている。ライニング材は、補修すべき下水管の内径よりも小径に形成され、内側に加えられる圧力によって膨張又は拡径して下水管の内周面に押し付けられる。その後、ライニング材は、管路の内周面に押圧された状態で含浸樹脂が硬化し、管路の内周面に固定される。
また、この工法では、ライニング材が平坦状に折り畳まれ、密閉容器内に積み重ねられた状態で配備されている。そして、密閉容器に接続された反転ノズルの開口端外周に、ライニング材を取り付け、密閉容器内に水圧を作用させて、ライニング材を管路内に反転挿入する構成とされている。これにより、拡径されたライニング材は、管路内で樹脂吸着材が管路の内周面に密着し、管路をライニングするものとなる。
特開2003−165158号公報
このようなライニング材による更生工法において、更生した管路の強度を上げるには、ライニング材の樹脂吸着材の肉厚を厚くする方法が考えられる。しかし、単に樹脂吸着材の肉厚を厚くすると、液状樹脂が均一に含浸しにくく、未含浸部分(ボイド)ができてしまい、品質が安定しにくいという問題点があった。また、未含浸部分を発生させないように時間をかけて含浸させようとすると、液状樹脂のポットライフが短いために含浸中や反転作業中に増粘してしまい、未含浸部分を生じたり、反転に対応できなくなったりするという不都合があった。
また、強度を上げるために、ライニング材をガラス繊維等の強化繊維材料で補強する方法が考えられる。しかし、ライニング材は、管路に挿入して施工されることから、管路の内径よりも若干小径に形成されており、管路へ挿入後に拡径されて、内周面に圧着される。このとき、ライニング材が強化繊維材料で補強されていると、強化繊維は伸縮性をほとんど有しないので、ライニング材の拡径性を阻害してしまうという問題点があった。
加えて、ライニング材は平坦状に折り畳まれた状態で保管され施工現場に搬送されるので、ライニング作業時には折り目や皺を生じており、その状態のまま含浸樹脂が硬化することによってライニング層に大きな皺やうねりを生じて肉厚が不均一になるという問題点もあった。ライニング層に大きな皺等が生じると、均一な強度が得られず、応力集中を招く要因となってしまう。特に、反転施工されるライニング材においては、反転前の最内層の構成材が反転後には最外層となり、また、反転前の最外層の構成材は反転後には最内層となる。このため、従来のライニング材は、反転後に最外層となる構成材が、他の層よりも大きい外周長を有するように形成されていた。つまり、反転前のライニング材では各層の周長が、最内層において最も大きく、最外層において最も小さいものとなっていた。したがって、反転前のライニング材は、最外層の構成材の内側に、他の層の構成材を折り畳んだり襞を寄せたりして周長を縮めるようにして収められており、反転後に皺やうねりを生じやすく、ライニング材の生産性も悪いという問題点があった。
そこで本発明は、上記のような従来の問題点にかんがみてなされたものであり、強化繊維を含有することで引張力や圧縮力に対する高い強度を確保するとともに、反転させて用いても折り目や皺を生じにくい構成として、既設管の内周面に密着させるのに十分な拡径性を備えさせ、施工後のライニング層に大きな皺やうねりなどの無い、生産性及び施工性の良好なライニング材を提供しようとするものである。
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、既設管の内径より小さい外径の筒状に形成され、既設管内に反転挿入されて、既設管の内周面をライニングする複層構造のライニング材を前提とする。このライニング材に対し、少なくとも、不透過性材料からなる被覆層と、シート状の強化繊維材からなる強化繊維層と、液状の熱硬化性樹脂を主剤とした母材樹脂を含浸する第1基材層とが、外周側から内周側へ順に積層して形成され、前記強化繊維層には、前記強化繊維材が筒状をなすように周方向に連続させて配設されるとともに該強化繊維材の端部同士を重ね合わせてオーバーラップ部が形成されており、前記被覆層の周長をL1、前記強化繊維層の周長をL2、前記オーバーラップ部における強化繊維材同士の周方向の重なり幅の総和をL3、前記第1基材層の周長をL4としたとき、次式:(L2+L3)>L1>L4の関係を満たすように構成している。
このような特定事項により、ライニング材の各層は前記の関係式を満たすものであるので、ライニング材を反転させる前段階では、被覆層の周長が内周側の第1基材層の周長より大きく形成されている。そのため、被覆層の内周側に、第1基材層を折り畳んだり襞を寄せたりして収める必要がなく、第1基材層に折り目や皺等を生じにくくすることができる。また、ライニング材の生産工程では各層を形成しやすく、生産性に優れたものとなる。また、かかるライニング材を反転させると、被覆層が内周側に配され、第1基材層が外周側に配されることとなる。このとき、第1基材層は、折り目や皺などを生じず、均一な厚みで外周側に配設される。したがって、ライニング材の拡径時には、第1基材層が十分に引き伸ばされて皺やうねり等を生じることなく拡径される。また、強化繊維層はオーバーラップ部を有するので、強化繊維材が周方向にずれて拡径に追従するものとなる。その結果、高い耐圧性能及び強度を備えさせて、均一な厚みを有するライニング層を形成することが可能となる。
前記ライニング材のより具体的な構成として次のものが挙げられる。つまり、前記強化繊維層は、幅寸法が既設管の内周長よりも短いシート状の強化繊維材を複数枚用いて形成され、前記オーバーラップ部が複数箇所に形成されるとともに周方向に均等に配置されることが好ましい。
これにより、前記複数枚のシート状の強化繊維材は、ライニング材を拡径させる際に相互にずれて、十分な拡径を許容するものとなる。加えて、かかるシート状の強化繊維材はオーバーラップ部を有するので、相互にずれても強化繊維材同士の重なり幅が小さくなるだけであって、強化繊維層を維持することができ、硬化後のライニング材の強度を十分に確保することができる。
また、前記ライニング材は、液状の熱硬化性樹脂を主剤とした母材樹脂を含浸する第2基材層が、前記被覆層と前記強化繊維層との間に設けた構成であってもよい。
このような構成であることにより、母材樹脂が含浸する基材層の肉厚を容易に増加させることができ、ライニング層の耐圧性能及び強度をより一層高めることができる。
上述のような本発明のライニング材によれば、引張力や圧縮力に対する高い強度を確保するための強化繊維を含有する構成でありながら、ライニング施工に必要な拡径性を損なわず、既設管に密着させて内周面形状に追従させることが可能となる。また、反転後のライニング材には、大きな皺やうねりなどが発生しにくく、均一な強度のライニング層を形成することができるとともに、生産性及び施工性の良好なライニング材とすることができる。
図1は、本発明の実施形態に係るライニング材を示す断面図である。 図2は、図1に示すライニング材を反転させた状態を示す断面図である。 図3は、本発明の他の実施形態に係るライニング材を示す断面図である。 図4は、図3に示すライニング材を反転させた状態を示す断面図である。 図5は、前記ライニング材を用いた既設管の更生工法を示す説明図である。 図6は、比較例としてのライニング材を示す断面図である。 図7は、図6に示すライニング材を反転させた状態を示す断面図である。
以下、本発明に係るライニング材の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態に係るライニング材であって反転前の状態を示す断面図、図2は、図1のライニング材を反転させた状態を示す断面図である。また、図3は、他の実施形態に係るライニング材であって、反転前の状態を示す断面図、図4は図3のライニング材を反転させた状態を示す断面図である。
ライニング材1は、可撓性を有する筒状体であり既設管の内径より小さい外径に形成されている。図1及び図3に示すライニング材1は、ともに、被覆層2と樹脂含浸層3とを備えた複層構造からなる。樹脂含浸層3は、第1基材層31、強化繊維層32、及び第2基材層33が積層されて形成されている。
(既設管の更生工法)
ここで、実施形態に係るライニング材1の説明に先立って、ライニング材1を使用して行う既設管の更生工法の概略について説明する。図5は、前記ライニング材を用いた既設管の更生工法を示す説明図である。
既設管4の更生作業は、既設管4に下水等の流体がある場合には、流体を既設管4内から除去する水抜き作業から行われる。図示するように、既設管4の管路には、適当な間隔でマンホールM1、M2が設けられており、更生対象範囲の上流側及び下流側の管路に堰き止め部材5を設ける。堰き止めた流体は、さらに上流の図示しないマンホールから地上を迂回させ、更生対象範囲の下流側管路へ排出する。また、既設管4内に存在する堆積物や木片等の異物を除去し、高圧水洗浄を行うことが好ましい。
ライニング材1は可撓性を有する筒状体であることから、平坦状に折り畳むことができる。そのため、ライニング材1をコンパクトに折り畳んだ状態で施工現場に搬入する。また、ライニング材1に対し、内部に母材樹脂を注入する。具体的には、図1又は図3に示すライニング材1の内側を減圧及び脱気しつつ、液状の母材樹脂を注入する。これにより、母材樹脂をライニング材1(樹脂含浸層3)に含浸させることができる。ライニング材1の各層間及び構成材の繊維間の隙間は、脱気経路として作用するとともに、未硬化の母材樹脂の流路としても作用する。
次いで、ライニング材1を反転させつつ既設管4内へ挿入する。これは、図5に示すように、地上に設置した反転挿入機6にライニング材1を取り付け、圧縮空気や水蒸気などの流体圧をライニング材1の外周側(被覆層2側)から作用させることにより行う(反転工程)。これにより、ライニング材1は、内周面(第1基材層31)が外周側に裏返り、外周面(被覆層2)が内周側に納められて反転する(図2及び図4参照)。ライニング材1は、マンホールM1を通り、このように反転しながら既設管4内に挿入されていく。
次いで、既設管4内で、ライニング材1に水蒸気等の流体圧を作用させ、加熱及び拡径する(拡径工程)。これにより、ライニング材1が拡径し、既設管4の内周面に密着する。その後、ライニング材1は、含浸している母材樹脂が硬化することで既設管4と一体化し、ライニング層を形成する。これにより、既設管4の内周面がライニング材1で覆われた状態となり、表面平滑性に優れ、耐水性及び耐薬品性の高い保護層を形成するとともに既設管4の強度を高める。
(ライニング材)
次に、実施形態に係るライニング材1について、図1〜図4を参照しつつ説明する。
図1に示すライニング材1は、被覆層2と樹脂含浸層3とを備えた複層構造からなる。反転前の状態では、ライニング材1は最も外側に被覆層2を有している。被覆層2は、加圧流体の不透過性を有する合成樹脂フィルム材により筒状に形成されている。具体的には、被覆層2は、ポリエチレンフィルム、ポリウレタンフィルム、又は軟質塩化ビニル樹脂フィルム等によって形成されている。中でも、被覆層2には、厚さが0.2〜2.0mmのポリエチレンフィルム材が好適である。このほか、被覆層2には、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、もしくはポリ塩化ビニル等の樹脂フィルム材、又はエラストマーや合成ゴム系材料からなるシート材を用いて形成することが可能である。
被覆層2の内側には、樹脂含浸層3が複層構造で形成されている。図1に示す形態では、樹脂含浸層3として、内周側から順に、第1基材層31、強化繊維層32、第2基材層33が積層されている。第1基材層31及び第2基材層33は、ともに樹脂不織布からなり、これら基材層31、33の間に強化繊維層32が介装されている。第1基材層31及び第2基材層33は、液状の熱硬化性樹脂を主剤とした母材樹脂が含浸する基材であって、可撓性を有し樹脂含浸性に優れた材料からなる。
例えば、第1基材層31及び第2基材層33には、ポリエステル製の不織布が好ましくこのほか、高性能ポリエチレン(HPPE)やポリプロピレンなどの高強度で高弾性材料からなる不織布を用いることができる。また、第1基材層31及び第2基材層33は、可撓性を有し多孔質の材料であれば、連続フィラメント又はステープルファイバーを含むフェルト、マット、スパンボンド、又はウェブなどから形成されてもよい。例えば、第1基材層31及び第2基材層33をチョップドストランドマットにより形成する場合、ガラス繊維等のストランドを一定長さに切断し、マット状に分散させた後、熱可塑性樹脂等の粘接着剤を均一に付与して熱溶融し、ストランド同士を接着させてマットとしたものを用いることが好ましい。
強化繊維層32は、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の強化繊維材料からなる。中でも、得られる繊維強化樹脂成形品の強度や価格などを考慮すると、ガラス繊維が好適である。また、強化繊維層32に用いる強化繊維材料は、母材樹脂との接着性を高めるため、シランカップリング剤で前処理されていることが好ましい。
図1に示す形態では、強化繊維層32はライニング材1の一断面において、1枚のシート状の強化繊維材321が筒状をなすように端部同士を重ね合わせて配設されている。強化繊維材321には、幅寸法が既設管4の内周長よりも大きいシート材が用いられている。そして、強化繊維材321は周方向の一方の端部が、他方の端部に対して一定の重なり幅で重ねられ、オーバーラップ部Wを形成している。
ライニング材1は、強化繊維材321のオーバーラップ部Wを有することにより、ライニング材1の外径を既設管4の内径よりも小径にて形成して、既設管4内への挿入作業を容易なものとすることができる。また、拡径工程においては、強化繊維材31の端部が周方向にずれて、強化繊維層32の周長を拡大させ、ライニング材1の拡径に追従することができる。これにより、ライニング材1は強化繊維材31を含有する構成でありながら、要求される拡径性を損なわず、既設管4の内周面の凹凸や段差等にもライニング材1の形状を追従させることができ、既設管4に密着することが可能となる。
かかる樹脂含浸層3には、既設管4の更生工程において、未硬化の状態の母材樹脂が含浸される。母材樹脂は、熱硬化性樹脂が主剤とされており、中でも、比較的粘度が低く、硬化後の物性に優れ、低コストであるエポキシ系樹脂を主剤とするエポキシ系樹脂混合物が好ましい。また、母材樹脂の主剤としては、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いてもよい。
なお、エポキシ系主剤としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、又はビスフェノールF型エポキシ樹脂などを好適に用いることができる。この種のエポキシ系主剤は非常に高粘度であり、通常、10℃以下の低温条件下において、20000mPa・s以上の粘度を有する。そのため、エポキシ系主剤の低粘度化を、希釈剤を添加したり、低粘度の硬化剤を選択的に添加したりすることによって行うことが好ましい。希釈剤としては、エポキシ系主剤の粘度を低下し得るものであれば特に限定されるものではなく、反応性希釈剤であっても非反応性希釈剤であってもよい。また、両者を併用して用いてもよい。
反応性希釈剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、p−第三ブチルフェノール、p−第三アミルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、オクタデシルフェノール及びテルペンフェノール等のモノグリシジルエーテルなどの、末端にグリシジルエーテル基を持つもの等を挙げることができる。また、非反応性希釈剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート及びベンジルアルコール等を挙げることができる。さらに、これらの希釈剤から選ばれた少なくとも一種以上を単独或いは併用して用いることができる。
低粘度の硬化剤としては、特に限定されるものではないが、エポキシ系主剤の粘度を低下させ、適度な硬化速度を確保でき、さらに硬化後に溶出しないものが好ましい。このような性質を具備する硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、及び脂環族ポリアミシ等のアミン系硬化剤を挙げることができる。中でも、非常に低粘度で、硬化後の物性に優れ、しかも安価な脂肪族ポリアミンが好適に用いられる。この脂肪族ポリアミンの具体例としては、ポリオキシプロピレンジアミン、トリメチロールプロパンポリ(オキシプロピレン)トリアミン、メタキシレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及びこれらの変性品等を挙げることができる。また、これらの硬化剤から選ばれた少なくとも一種以上を単独或いは併用して用いることもできる。
また、図3に示すライニング材1も、上記と同様の構成からなる被覆層2と、樹脂含浸層3とを備えている。ただし、図3のライニング材1では、強化繊維層32が複数枚のシート状の強化繊維材321により形成されている。
図3に示すように、強化繊維層32は、ライニング材1の一断面において、2枚の強化繊維材321を、筒状をなすように周方向に連続させて配置するとともに、強化繊維材321の端部同士を重ね合わせるように配置して形成されている。つまり、一方の強化繊維材321の端部は、他方の強化繊維材321の端部に一定の重なり幅で重ねられて、2つのオーバーラップ部Wを形成している。
また、ライニング材1において、これら2つのオーバーラップ部Wは、互いに対向する位置に設けられている。強化繊維層32は、一断面において、3枚以上の強化繊維材321をオーバーラップさせるように配設することにより形成されてもよく、その場合、オーバーラップ部Wは、ライニング材1の周方向に均等に配置されるよう形成することが好ましい。
これにより、ライニング材1は、強化繊維層32の強化繊維材321の配置に偏りを生じることがなく、図4に示すように、反転された後も、強化繊維材321を均等に配置することができる。そのため、ライニング材1の強度を全体として均一に確保することができ、高い耐圧性能と適切な強度確保が可能となる。
ここで、上記の各ライニング材1を構成する被覆層2、及び樹脂含浸層3の特徴的構成について説明する。例示したライニング材1においては、ライニング材1の反転の前後で、各層に皺やうねり等を生じさせないようにするため、また、良好な生産性並びに取扱いの容易性を考慮して、各層の構成材の周方向の長さを設定している。
すなわち、ライニング材1は、被覆層2の周長をL1、強化繊維層32の周長をL2、強化繊維層32におけるオーバーラップ部Wの周方向の重なり幅の総和をL3、及び樹脂含浸層3の第1基材層31の周長をL4としたとき、次式:
(L2+L3)>L1>L4…(A)
の関係を満たすように設定されている。ここで、各層の周長は、ライニング材1の反転前における各層の外周寸法又は内周寸法の一方を基準とする。また、強化繊維層32におけるオーバーラップ部Wの重なり幅の総和(L3)は、図1に示すライニング材1であれば、オーバーラップ部Wが1つ設けられており、その周方向の重なり幅がこれに相当する。また、図3に示すライニング材1であれば、オーバーラップ部Wが2つ設けられており、その周方向の重なり幅の合計寸法がL3に相当する。
ライニング材1は、このような関係式(A)を満たす構成であることにより、反転前において、図1に示すように、被覆層2の内側で第1基材層31が、折り畳まれたり皺を寄せたりすることなく配設され、均一な厚みを有する筒状に形成される。また、強化繊維層32は、その周長(L2)にオーバーラップ部Wの重なり幅(L3)を足した長さ寸法、すなわち、1枚の強化繊維材321の周方向の長さが、いずれの層の周長よりも長くなるように形成されている。
また、ライニング材1は反転されると、図2に示すように、第1基材層31が最外層となり、被覆層2が最内層となる。第1基材層31は、図1に示す反転前において、折り目や皺等を作ることなく配設されていたため、図2に示す反転後においても、折り目や皺等を生じることなく配設される。また、第1基材層31は、反転する際に作用する流体圧によって周方向に僅かに引き伸ばされる。このとき、反転前の第1基材層31に多少の皺等が生じていたとしても、反転して引き伸ばされるので、反転後の第1基材層31には皺やうねり等の無い均一な状態となる。
また、被覆層2は、図1の反転前において、周長(L1)が第1基材層31の周長(L4)よりも大きい筒状体であったが、反転されることによって、図2に示すように、第1基材層31よりも小さい周長を有する筒状体となる。
図3に示すライニング材1においても同様に、関係式(A)を満たす構成であることにより、被覆層2の内周側に配設された第1基材層31が、折り畳まれたり皺を寄せたりすることなく、均一な筒状に形成されている。強化繊維層32は、その周長(L2)にオーバーラップ部Wの重なり幅の総和(L3)を足した長さ寸法、すなわち、2枚の強化繊維材321の周方向の長さの和が、いずれの層の周長よりも長くなるように形成されている。
この場合も、ライニング材1が反転されると、図4に示すように、第1基材層31が最外層となり、被覆層2が最内層となる。第1基材層31は、図3に示す反転前、及び図4に示す反転後においても、折り目や皺等を生じることなく配設される。被覆層2は、図3の反転前において、第1基材層31よりも大きい筒状体であったが、反転されることによって、第1基材層31よりも小さい筒状体となる。また、強化繊維層32では、複数枚の強化繊維材321が相互に周方向にずれて拡径を許容するものとなる。
これに対し、図6及び図7は、上記関係式(A)を満たさない、比較例に係るライニング材10を示している。図6は反転前の状態のライニング材10を示す断面図であり、図7は反転後の状態を示す断面図である。
図6に示すように、比較例に係るライニング材10は、被覆層120の内周側に、2層の基材層131,133を備える。基材層131と基材層133との間には、強化繊維層132が設けられている。
このライニング材10では、反転後に最外層となる基材層131が、あらかじめ、他の層よりも大きい周長で形成されている。よって、被覆層120よりも基材層131の周長が大きく、基材層131が被覆層120の内側で部分的に折り畳まれ、又は襞を寄せるように収縮させて配設されている。このため、ライニング材10は各層の形成に手間を要して生産性に劣るものとなっている。また、このように形成されたライニング材10は、既設管の更生に用いられるまで、平坦状に折り畳み、積み重ねられた状態で保管される。そのため、基材層131の折り目や皺等は、そのまま癖付けされることとなる。
さらに、図7に示すように、比較例に係るライニング材10を反転させると、被覆層120が最内層となり、基材層131が最外層となる。しかし、基材層131は、部分的に折り畳まれた状態で癖付けされているため、反転しても十分に引き伸ばされず、折り目や皺等が残ってしまうこととなる。そのため、基材層131等に含浸した母材樹脂が硬化すると、ライニング材10は図7に示す状態のまま硬化することとなる。よって、ライニング材10は、ライニング層の肉厚に不均一な部分を生じ、その部分において、応力集中を招くおそれがある。
したがって、図1〜図4に示したように、ライニング材1において上記関係式(A)を満たすように構成することにより、ライニング材1の反転の前後で樹脂含浸層3(特に第1基材層31)に折り目、皺、又はうねり等を生じることがなく、均一な厚みを保持することが可能となる。これにより、ライニング材1は、全体として均一な強度のライニング層を形成することが可能となる。
また、上記の構成により、ライニング材1は、既設管4の内周面の形状に追従しうる弾性、可撓性、及び柔軟性を有し、既設管4の内径よりも小径にて形成することができる。そのため、既設管4内への挿入作業が容易となり、良好な施工性を備えたものとすることができる。また、ライニング材1は強化繊維層32を含む構成であり、十分な強度確保しつつ拡径にも対応させることができる。
二層に重ねた筒状の樹脂不織布の間に、ガラス繊維のステッチングシートを介在させ、筒状体の樹脂含浸層を得た。また、樹脂含浸層の外周面に被覆層を設け、図1又は図3に示すライニング材1と同様の構成からなるライニング材を得た。これにより、ライニング材は、内周側から、第1基材層、強化繊維層、第2基材層、及び被覆層が順に積層する構成とされた。さらに、各層の具体的構成は、次のとおりとした。
・第1基材層:ポリエステル樹脂不織布、厚さ3mm
・強化繊維層:Eガラス繊維、目付1500g/m2
・第2基材層:PET樹脂不織布、厚さ1mm
・被覆層:ポリエチレン、厚さ0.7mm
このようなライニング材を用いて、口径が200mmの管路の内周面に対し、上記更生工法によりライニング層を形成した。
ライニング材には、エポキシ樹脂を主剤とする母材樹脂を含浸させた。また、反転挿入機を用い、0.8MPaの圧縮空気によってライニング材の先端側から順に、内周側と外周側とを反転させた。ライニング材を反転後、圧力0.5MPa、約100℃の蒸気によってライニング材に含浸している母材樹脂を硬化させ、硬化後に圧縮空気により冷却して、ライニング層を形成した。
(評価)
関係式(A)を満たす実施例1,2に係るライニング材と、関係式(A)を満たさない比較例1に係るライニング材を用いて管路にライニング層を形成し、ライニング後の管路に対し内圧試験を行った。試験は、ライニングした管路の両端部に止水栓を取り付け、管路内部に加圧流体を充填し、ライニング層が破断する際の圧力を測定した。なお、各ライニング材の第2基材層の周長は、被覆層の周長(L1)に等しいものとされる。
(L2+L3)>L1>L4…(A)
L1:被覆層の周長
L2:強化繊維層の周長
L3:オーバーラップ部における強化繊維材同士の周方向の重なり幅の総和
L4:第1基材層の周長
Figure 2012121264
表1に示すライニング材のうち、実施例1及び実施例2では、6.0MPaの内圧でライニング層の破断が確認された。これに対し、比較例1では、3.5MPaの水圧でライニング層の破断が確認された。よって、上記関係式(A)を満たすライニング材により、極めて高い耐圧性能及び強度を有するライニング層の形成が可能であることが確認された。
本発明は、老朽化したり補修が必要となったりした既設管の更生に用いるライニング材に好適に利用することができる。
1 ライニング材
2 被覆層
3 樹脂含浸層
31 第1基材層布
32 強化繊維層
321 強化繊維材
33 第2基材層
W オーバーラップ部
4 既設管
5 堰き止め部材
6 反転挿入機

Claims (3)

  1. 既設管の内径より小さい外径の筒状に形成され、既設管内に反転挿入されて、既設管の内周面をライニングする複層構造のライニング材であって、
    少なくとも、不透過性材料からなる被覆層と、シート状の強化繊維材からなる強化繊維層と、液状の熱硬化性樹脂を主剤とした母材樹脂を含浸する第1基材層とが、外周側から内周側へ順に積層して形成され、前記強化繊維層には、前記強化繊維材が筒状をなすように周方向に連続させて配設されるとともに該強化繊維材の端部同士を重ね合わせてオーバーラップ部が形成されており、
    前記被覆層の周長をL1、
    前記強化繊維層の周長をL2、
    前記オーバーラップ部における強化繊維材同士の周方向の重なり幅の総和をL3、
    前記第1基材層の周長をL4としたとき、次式:
    (L2+L3)>L1>L4
    の関係を満たすことを特徴とするライニング材。
  2. 請求項1記載のライニング材において、
    前記強化繊維層は、幅寸法が既設管の内周長よりも短いシート状の強化繊維材を複数枚用いて形成され、前記オーバーラップ部が複数箇所に形成されるとともに周方向に均等に配置されたことを特徴とするライニング材。
  3. 請求項1又は2に記載のライニング材において、
    液状の熱硬化性樹脂を主剤とした母材樹脂を含浸する第2基材層が、前記被覆層と前記強化繊維層との間に設けられたことを特徴とするライニング材。
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