JP6484120B2 - ライニング材およびライニング材の製造方法 - Google Patents

ライニング材およびライニング材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、既設管の内面に施して更生するためのライニング材およびその製造方法に関する。
地中に埋設された配管が老朽化した場合に、その管路を掘削することなく、管路の内面にライニング材を施して管路を補修する既設管の更生工法が種々提案されている。
この種の更生工法の一つとして、管状のライニング材の内側に、流体圧を作用させ、または流体圧により加圧ホースを反転挿入することによって、既設管内に配置したライニング材を管路の内周面に押圧し、一体化させてライニング層を形成する方法がある。また、ライニング材そのものを反転させながら管路内に挿入し、流体圧により管路の内周面に押圧し、硬化させて一体化する方法もある。
例えば、特許文献1に記載の更生工法では、密閉容器に接続された反転ノズルの開口端外周に管状ライニング材を取り付け、密閉容器内に水圧を作用させて、管状ライニング材を管路内に反転挿入する。ライニング材は、外表面がフィルム層で被覆された管状の樹脂吸収基材に、液状の熱硬化性樹脂を含浸させる構成とされている。
特開2003−165158号公報
前記従来のライニング材は、樹脂吸収基材として不織布が用いられ、更生後の管路の強度を上げるために、不織布を重ね合わせて樹脂吸収基材の肉厚を増加させたり、ガラス繊維等の強化繊維材料で補強したりものであった。しかし、樹脂吸収基材の肉厚が増加すると反転施工性が低下し、強化繊維材料による補強にも限界があった。そこで、複層構造のライニング材に、さらに繊維材料からなる筒状織物を介装して、ライニング材としての強度を向上させることが求められた。
筒状織物は、たて糸を中央主軸の周りに放射状に配列し、対応する綜絖の開口中によこ糸を螺旋状に織り込んで筒状に組織されている。これによって、筒状織物は、内部圧力に耐え、ライニング材を管状に保持する。ところが、筒状織物を構成するよこ糸またはたて糸の繊維が外表面に突出して、筒状織物の外側を被覆しているフィルム層に作用し、ピンホールが発生してしまいやすいという問題点があった。
本発明は、上記のような従来の問題点にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、複層構造のライニング材において、最外層の被膜部にピンホール等の不良を生じることなく筒状織布を備えさせて、更生後の管路に要求される高い強度を確保し、信頼性が高く施工性の良好なライニング材とその製造方法とを提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明は、反転されて既設管の内面を被覆する筒状のライニング材を対象とし、このライニング材として、液状の母材樹脂を含浸する樹脂含浸部と、この樹脂含浸部の外側に積層され、たて糸とよこ糸とが筒状に織成された筒状織布と、不透過性材料からなり前記筒状織布を被覆する被膜部とを備えさせる。また、前記被膜部に、前記筒状織布の外面を周方向に不連続に被覆して設けられた一次被覆部と、前記筒状織布の外面における一次被覆部の不連続部を被覆して設けられた二次被覆部とを備えさせる。そして、前記二次被覆部を、前記一次被覆部よりも厚みを有するものとし、前記筒状織布のよこ糸のつなぎ目を前記二次被覆部に配設するように構成している。
筒状織布は、たて糸に織り込まれたよこ糸が織布の内外面に現れており、特に、よこ糸のつなぎ目の部分では、よこ糸の端部が外面側に突出している場合がある。このような部分では、筒状織布の外面を被覆する不透過性材料の厚みが、他の部分よりも相対的に薄くなり、または不透過性材料をよこ糸の端部が貫通し、被膜部にピンホールを形成する要因となりやすい。被膜部にピンホールが形成されると、ライニング材としての気密性が低下するうえ、ライニング材を反転施工する際には円滑に反転できない、という不都合を生じかねない。
これに対して、本発明では、前記特定事項を有することにより、筒状織布がライニング材の耐圧性能を高めるとともに、筒状織布のよこ糸のつなぎ目を被膜部の二次被覆部に配置してよこ糸の端部が不透過性材料によって確実に覆われるように構成している。このため、筒状織布の外面を被覆する被膜部にピンホール等の不良が発生するのを効果的に抑制することができ、ライニング材に十分な可撓性と良好な施工性とを備えさせ、更生管路の信頼性を高めることが可能となる。
前記ライニング材において、前記不透過性材料を、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂とすることが好ましい。
これにより、被膜部はライニング材の施工前の段階では内部を気密に被覆するものとなり、ライニング材の施工後には、耐久性、耐水性、および耐薬品性に優れたライニング層の表面を形成することができる。
また、前記課題を解決するための手段として、反転させて既設管の内面を被覆する筒状のライニング材の製造方法も本発明の技術的思想の範疇である。このライニング材の製造方法として、繊維材料からなる筒状織布の外面を不透過性材料で被覆する被膜部形成工程と、補強材層を有する不織布基材を筒状に成形してなる樹脂含浸部の外側に、前記筒状織布を設ける工程とを具備している。前記筒状織布は、放射状に配列したたて糸に対してよこ糸を螺旋状に織り込んで組織されている。前記被膜部形成工程では、断面形状が略偏平状となるように畳んだ状態の前記筒状織布の両面に、該筒状織布の幅よりも狭い範囲に不透過性材料を被覆して一次被覆部を形成した後、前記一次被覆部が幅方向の側部を含むとともに未被覆部分が側部とならない略偏平状に前記筒状織布を畳み直した状態で、前記未被覆部分を不透過性材料で被覆して二次被覆部を形成し、前記二次被覆部の厚みを一次被覆部の厚みよりも厚く形成するとともに、前記筒状織布のよこ糸のつなぎ目を前記二次被覆部に配置する構成としている。
この特定事項により、筒状織布によりライニング材の耐圧性能を高め、筒状織布のよこ糸のつなぎ目を被膜部の二次被覆部に配置して不透過性材料によって確実に覆うように形成することができる。このため、筒状織布の外面を被覆する被膜部にピンホール等の不良が発生するのを抑制することができ、強度、可撓性、施工性、および信頼性のいずれにも優れたライニング材を形成することができる。
前記ライニング材の製造方法において、前記被膜部形成工程では、一次被覆部を形成した後、前記未被覆部分の位置が、略偏平状の筒状織布の一面側と他面側とで幅方向にずれるように当該筒状織布を畳み直し、前記二次被覆部を一面側と他面側とで重なり合わないように形成することが好ましい。
これにより、一次被覆部に対して二次被覆部を好適な厚みにより形成することができ、筒状織布のよこ糸のつなぎ目を確実に被覆して、凹凸部やピンホール等の不良を発生させることなく被膜部を形成することができる。
本発明によれば、複層構造のライニング材において、外層の被膜部にピンホールを形成することなく筒状織布を備えさせて、更生後の管路に要求される高い強度と信頼性とを確保し得るライニング材を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るライニング材の概要を示す断面図である。 図2は、既設管内に反転挿入された状態のライニング材を示す断面図である。 図3は、既設管の内面を被覆した状態のライニング材を示す断面図である。 図4は、本発明に係るライニング材の施工工程を示す説明図である。 図5は、実施形態に係るライニング材を模式的に示す断面図である。 図6(a)および図6(b)は、ライニング材の筒状織布および被膜部を模式的に示しており、図6(a)は断面図、図6(b)はよこ糸のつなぎ目部分の拡大断面図である。 図7(a)および図7(b)は、ライニング材における被膜部形成工程を示しており、図7(a)は平面図、図7(b)は断面図である。 図8(a)〜図8(d)は、前記被膜部形成工程を順に示す説明図である。 図9(a)〜図9(d)は、比較例としての被膜部の形成過程を順に示す説明図である。 図10(a)および図10(b)は、比較例1に係るライニング材の筒状織布および被膜部を模式的に示し、図10(a)は断面図、図10(b)はよこ糸のつなぎ目部分の拡大断面図である。 図11(a)および図11(b)は、比較例2に係るライニング材の筒状織布および被膜部を模式的に示し、図11(a)は断面図、図11(b)はよこ糸のつなぎ目部分の拡大断面図である。 図12(a)および図12(b)は、比較例3に係るライニング材の筒状織布および被膜部を模式的に示し、図12(a)は断面図、図12(b)はよこ糸のつなぎ目部分の拡大断面図である。
以下、実施形態に係るライニング材およびこのライニング材の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。
(ライニング材)
図1〜図3に示すライニング材1は、補修対象の既設管8の内周面にライニング層を形成するものであり、あらかじめ既設管8の内径より小さい外径の略筒状に形成されている。図1に示されるように、ライニング材1は、外周側から順に、被膜部2、筒状織布3、および樹脂含浸部4を備えた複層構造を有している。
ライニング材1を構成する各層のうち、最も内側に配設される樹脂含浸部4は、不織布41と補強材42とを含む複合材料からなり、複層構造とされている。例えば、樹脂含浸部4は、不織布41、41と、これら不織布41の間に介装された補強材42とにより3層構造で形成されている。
不織布41は、ライニング材1を施工する際に、液状の熱硬化性樹脂を主剤とする母材樹脂を含浸する繊維基材であり、可撓性を有して樹脂含浸性に優れる。不織布41としては、ポリエステル繊維製の不織布、あるいは高性能ポリエチレン(HPPE)やポリプロピレンなどの高強度で高弾性を有する繊維からなる不織布が好ましい。不織布41の形態は、可撓性を有して多孔質であれば、連続フィラメント又はステープルファイバーを含むフェルト、マット、又はウェブ等のどのような形態であってもよい。
この場合、樹脂含浸部4の不織布41は、複数枚のシート状の不織布が重ね合わせて接合され、略筒状に形成されている。接合された複数枚の不織布の総幅寸法は、既設管8の内周長よりも長いものとされる。
補強材42は、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の強化繊維材料からなるシート状基材である。中でも、得られる繊維強化樹脂成形品の強度や価格などを考慮すると、ガラス繊維からなることが好ましい。
樹脂含浸部4は、機械的な交絡加工により、不織布41及び補強材42の繊維同士が絡合されて、不織布41と補強材42とが一体化されている。樹脂含浸部4の交絡方法としては、特殊形状の針を用いて繊維を交絡させるニードルパンチ法、スパンレース法、ステッチボンド法等の機械的方法が挙げられる。樹脂含浸部4は、これらの繊維基材が既設管8の内周長よりも長い総幅寸法を有して、幅方向の端部同士を重ね合わせて略筒状とされている。
樹脂含浸部4の外側には、被膜部2で被覆された筒状織布3が設けられている。筒状織布3は、放射状に配列したたて糸の開口中によこ糸を螺旋状に織り込んだ、筒状の織物である。筒状織布3は、例えば、環状織機を用いて形成される。環状織機は、たて糸を中央主軸の周りに放射状に配列し、8〜12本ビームごとに対応する綜絖の開口中によこ糸を螺旋状に織り込み、たて糸とよこ糸とを筒状に組織する構造を有している。
この種の環状織機では、筒状織布3の製造途中でよこ糸が消耗すると、新たなよこ糸ボビンを補充し、織り口のよこ糸同士をつなげる必要性がある。よこ糸のつなぎ目では、よこ糸の端部が互いに重合した状態でたて糸に織り込まれ、よこ糸の端部を拘束しない。そのため、前述したように、筒状織布3の表面に、よこ糸同士の重なりによる凸状部ができたり、よこ糸の端部が筒状織布3の表面側に突出したりすることがある。
筒状織布3を組織する繊維には、例えば、ポリエステル繊維やケブラー繊維の撚糸が用いられることが好ましい。繊度は、1,000〜15,000dtexが好ましく、これよりも細いとライニング材1に必要とされる強度を得にくく、これよりも太いとライニング材1の厚みが厚くなり、反転施工性が悪くなる。より好ましくは、繊度が2,000〜10,000dtexの繊維により筒状織布3が組織されることである。
被膜部2は、かかる筒状織布3の外面に付着され、筒状織布3の外面全体を被覆している。被膜部2は、加圧流体の不透過性を有する合成樹脂系材料からなる。被膜部2に好適な不透過性材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、または軟質塩化ビニル樹脂等が挙げられる。中でも、被膜部2には、0.2〜2.0mm程度の厚さのポリプロピレンフィルム材が好適である。被膜部2は、これらのほか、ナイロン、ポリエステル、もしくはポリ塩化ビニル等の樹脂フィルム材、又はエラストマーや合成ゴム系材料からなるシート材等からなる構成であってもよい。
図5は、略偏平状に折り畳まれたライニング材1を模式的に示す断面図である。なお、図5では、説明の便宜上、複層構造の樹脂含浸部4を一体として描いている。
ライニング材1は最外層を構成する被膜部2として、一次被覆部21と二次被覆部22とを有している。一次被覆部21は、筒状織布3の外面を周方向に不連続に被覆しており、略偏平状に畳まれた筒状織布3の少なくとも側部を覆って、図中上面側から下面側には連続して設けられている。筒状織布3の上面側と下面側とに、それぞれ一次被覆部21の不連続部が設けられている。
一次被覆部21の不連続部には、一次被覆部21の相互間を接合するように二次被覆部22が設けられている。二次被覆部22は、筒状織布3の外面を被覆し、部分的に一次被覆部21に覆い被せて設けられている。また、二次被覆部22は一次被覆部21よりも厚みを有している。
図6の各図は筒状織布3と被膜部2とを模式的に示す断面図である。図6(b)に拡大して示すように、筒状織布3はたて糸31によこ糸32が織り込まれ、筒状に組織されている。一次被覆部21の不連続部には、筒状織布3のよこ糸32のつなぎ目33が配置されている。前記のとおり、筒状織布3は外面に、よこ糸32の端部が重なり合ったつなぎ目33が現れることがある。このような場合のよこ糸32のつなぎ目33は、二次被覆部22に配設され、一次被覆部21よりも厚みを有する二次被覆部22の不透過性材料に覆われている。ライニング材1は、二次被覆部22によって、筒状織布3のよこ糸32の端部が表面に突出しないよう被覆されている。
既設管8の更生過程において、ライニング材1の樹脂含浸部4は、未硬化の母材樹脂が含浸される。そして、図2に示すようにライニング材1は反転された状態で既設管8内に配置される。被膜部2は、ライニング材1の外面側を覆った状態から、反転施工されて、ライニング材1の内面側を覆った状態となって、既設管8内に配置される。
例えば、図4に示すように、既設管8の管路には、適当な間隔でマンホールM1、M2が設けられており、更生対象範囲のマンホールM1、M2の上流側及び下流側に堰き止め部材81を設ける。堰き止めた下水等の流体は、さらに上流の図示しないマンホールから地上を迂回し、更生対象範囲の下流側管路へ排出される。
ライニング材1は可撓性を有する筒状体であることから、既設管8を更生するに際し、平坦状に折り畳んだ状態で搬入される。ライニング材1は、樹脂含浸部4に母材樹脂が含浸される。具体的には、図1に示すライニング材1の被膜部2の内部を減圧するとともに樹脂含浸部4の内部を脱気しつつ、被膜部2の内側に未硬化の母材樹脂を注入する。被膜部2はライニング材1の内部を気密に保ち、円滑な樹脂含浸を可能にする。これによって、母材樹脂を樹脂含浸部4に含浸させる。不織布41及び補強材42の繊維間の隙間は、脱気経路として作用するとともに、未硬化の母材樹脂の流路としても作用する。
なお、ライニング材1の母材樹脂は熱硬化性樹脂が主剤とされることが好ましく、例えば、比較的粘度が低く、硬化後の物性に優れ、低コストであるエポキシ系樹脂を主剤としたエポキシ系樹脂混合物であることが好ましい。母材樹脂の主剤としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、またはメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられてもよい。
ライニング材1を反転させつつ既設管8内へ挿入し後、図2に示すように既設管8内に配置する。圧縮空気や加熱水などの流体圧をライニング材1の外周側(被膜部2側)から作用させることにより、ライニング材1の内面側と外面側とを反転させる(反転工法)。
図4に示すように、反転したライニング材1の両端部に閉塞部材71を取り付け、地上のボイラーユニット7から、ライニング材1に蒸気等の流体圧を供給する。これにより、ライニング材1を既設管8内で拡径させる。このとき、ライニング材1の被膜部2は、ライニング材の内外を気密に保持するので、流体圧の作用を効率よく利用することができる。図3に示すように、ライニング材1の樹脂含浸部4は既設管8の内壁に密着する。樹脂含浸部4に含浸している母材樹脂が硬化することで、ライニング材1は既設管8と一体化し、既設管8の内面を更生するものとなる。更生された既設管8は最内面が被膜部2で覆われた状態となり、表面平滑性に優れて、耐水性及び耐薬品性の高いライニング層が形成される。
(製造方法)
次に、前記ライニング材1の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。
ライニング材1を構成する樹脂含浸部4を、図1に示したように複層構造にて形成し、既設管8の内径よりも小さい外径の筒状に成形する。また、環状織機を用いて筒状織布3を形成する。次いで、筒状に織成した筒状織布3を、偏平な断面形状に畳み、略帯状に変形させる。予め筒状織布3の外面を、ブラシや圧縮エアー等によって毛羽立ち加工しておき、被膜部2との密着性を高めることが好ましい。
図7および図8の各図は、筒状織布3の外面に不透過性材料を被覆する被膜部形成工程を示す説明図である。この工程では、畳んだ状態の筒状織布3の外面に対して、不透過性材料を被覆し、被膜部2を形成する。
図7(a)に示すように、筒状織布3を略偏平状に畳む際、筒状織布3を構成するよこ糸32のつなぎ目33を、幅方向の側部に配置して折り畳む。被膜部形成工程では、断面形状が略偏平状となるように畳んだ状態の筒状織布3の両面に、筒状織布3の畳み幅よりも狭い範囲で不透過性材料(図中の一次被覆部21に相当)を被覆する。すなわち、略偏平状の筒状織布3において、よこ糸32のつなぎ目33が存在する側部を残して、不透過性材料を被覆する。これにより、筒状織布3の外面に対して、周方向には不連続とした一次被覆部21を形成する。
筒状織布3に不透過性材料を被覆する方法としては、押出機に取り付けた金型から溶融樹脂を押出し、筒状織布3の長さ方向に順に被覆する押出ラミネート法またはカレンダロール法が好ましい。また、筒状織布3に、不透過性樹脂フィルム材を加熱して熱ラミネート法や、不透過性樹脂の粉状体を筒状織布3に散布し、これを加熱して溶融させ、カレンダロールにより被覆する熱ラミネート法であってもよい。
一次被覆部21は、0.2〜2.0mm程度の厚さで形成することが好ましい。一次被覆部21は、これよりも薄いとピンホールを生じやすく、これよりも厚いとライニング材1の反転施工性が悪化してしまう。より好ましい一次被覆部21の厚さは、0.5〜1.5mmである。
次いで、一次被覆部21によって被覆されていない、未被覆部分34に二次被覆部22を形成する。これは、まず、図8(a)に示すように、筒状織布3を略偏平状に畳み直す。すなわち、形成した一次被覆部21を幅方向の側部に配置するとともに、未被覆部分34が側部とはならないように、筒状織布3を畳み直す。このように畳み直した状態で、未被覆部分34は、筒状織布3の上面と下面とにそれぞれ位置している。また、未被覆部分34は、畳んだ筒状織布3の上面と下面とで、幅方向に異なる位置となるように、筒状織布3を畳み直している。これにより、前述した筒状織布3のよこ糸32のつなぎ目33は、畳んだ筒状織布3の上面または下面に配置され、かつ互いに重なり合わない位置に配置される。
次いで、畳み直した筒状織布3に一次被覆部21と同様の不透過性材料を被覆し、冷却ロール5により挟圧する。図8(b)に示すように、畳んだ筒状織布3の一方の面の未被覆部分34に不透過性材料(図中の二次被覆部22に相当)を押し出し、未被覆部分34を被覆する。さらに、冷却ロール5にて挟圧し、二次被覆部22の外面形状を成形する。このとき、二次被覆部22の厚みを、一次被覆部21の厚みよりも厚く形成する。
次いで、図8(c)に示すように、筒状織布3を上下反転させ、他方の面の未被覆部分34に不透過性材料を被覆する。図8(d)に示すように、不透過性材料で被覆した筒状織布3を冷却ロール5にて挟圧し、一次被覆部21よりも厚みを有する二次被覆部22を形成する。
このように、一次被覆部21を形成する際には、筒状織布3のよこ糸32のつなぎ目33を、畳んだ状態の筒状織布3の側部に配置して不透過性材料を被覆する。これにより、よこ糸32のつなぎ目33や凸状部は、一次被覆部21には含まれず、未被覆部分34に位置することとなる。次いで、未被覆部分34が、幅方向の側部とならないように筒状織布3を畳み直した後、未被覆部分34を不透過性材料で被覆している。これにより、図6(a)および図6(b)に示したように、よこ糸32のつなぎ目33を二次被覆部22に含めて形成することができる。
例示の形態では、二次被覆部22を、一次被覆部21の厚みよりも厚く形成しているので、よこ糸32のつなぎ目33を不透過性材料で十分に覆い、被膜部2の外面によこ糸32が露出するのを防いで、筒状織布3の外面を滑らかに形成することができる。
一次被覆部21と二次被覆部22との厚みの差は、0.1〜1.0mmの範囲であることが好ましい。これらの厚みの差が0.1mmよりも小さいと、二次被覆部22によこ糸32のつなぎ目33が作用して、被膜部2にピンホール等を形成してしまうおそれがある。また、厚みの差が1.0mmより大きいと、ライニング材1としての反転施工性が悪化するおそれがある。さらに好ましくは、一次被覆部21と二次被覆部22との厚みの差が、0.3〜0.7mmの範囲で形成されることである。
加えて、被膜部形成工程では、一次被覆部21を形成した後、未被覆部分34の位置が、略偏平状の筒状織布3の一面側と他面側とで幅方向にずれるように筒状織布3を畳み直し、二次被覆部22を一面側と他面側とで互いに重なり合わないように形成している。
ここで、未被覆部分34を互いに重なり合う配置として、二次被覆部22を形成した場合の比較例を、図9各図を参照しつつ説明する。図9(a)に示すように、筒状織布30に一次被覆部201を形成した後、上面と下面とで、未被覆部分304が互いに重なり合う配置となるように筒状織布30を畳み直す。すなわち、略偏平状に畳んだ状態の筒状織布30の幅方向の中央部に未被覆部分304を配置する。
この状態で、一方の面の未被覆部分304に不透過性材料を押し出し、図9(b)に示すように、冷却ロール5にて二次被覆部202を成形する。被覆した不透過性材料は、筒状織布30の未被覆部分304を押圧し、筒状織布30を下面側へ押し下げてしまう。一方の面の二次被覆部202は、この状態で冷却ロール5にて挟圧されて、所要の厚みよりも厚く形成されることとなる。
次いで、図9(c)に示すように、筒状織布30を上下反転させると、他方の面の未被覆部分304は上方へ凸状に変形している。また、先に形成した二次被覆部202の厚みが作用して、未被覆部分304およびその周辺が押し上げられる。この状態で、未被覆部分304に不透過性材料を被覆することになるので、図9(d)に示すように、他方の面に形成される二次被覆部(図中上方の二次被覆部)202は厚みが十分でなく、所要の厚さよりも薄くなってしまう。
このように、薄く形成された二次被覆部202に筒状織布30のよこ糸のつなぎ目が配置されていると、よこ糸が被膜部20の外面に露出したり、被膜部20を貫通してしまったりするおそれがある。このため、被膜部20にピンホールが形成されやすくなり、良好なライニング層を形成することが困難となる。
これに対し、本実施形態に係る被膜部形成工程においては、一次被覆部21を形成した後、未被覆部分34の位置が、略偏平状の筒状織布3の一面側と他面側とで幅方向にずれるように筒状織布3を畳み直し、二次被覆部22を上下に重なり合わない配置で形成している。その結果、ライニング材1の筒状織布3に、図9(d)に示したような問題が発生せず、良好に被膜部2を設けることができる。
次いで、被膜部形成工程を経た筒状織布3を、筒状の樹脂含浸部4の外側に配置する。これにより、図5に示したように、樹脂含浸部4、筒状織布3、および被膜部2を備えたライニング材1を形成することができる。
ライニング材1の実施例として、筒状織布3を、繊度2500dtexのポリエステル繊維撚糸を用いて形成した。また、筒状織布3の外面の被膜部2を、一次被覆部21の厚さを0.7mmとし、二次被覆部22の厚さを1.2mmとして、これらの厚みに0.5mmの差を設けて形成し、二次被覆部22によこ糸32のつなぎ目33を配置した(図6(b)参照)。
実施例に係るライニング材1は、被膜部2にピンホール等の不良を生じることがなく、筒状織布3の外面が滑らかに覆われて形成された。これにより、ライニング材1を、被膜部2による高い気密性を有し、柔軟でかつ十分な強度を有し、反転施工性にも優れたものとすることができた。
図10〜図12には、実施例に係るライニング材1に対する比較例1〜3を示す。これらの比較例1〜3では、いずれも、筒状織布30を、繊度2500dtexのポリエステル繊維撚糸からなるたて糸301とよこ糸302とを用いて形成した。
図10(a)および図10(b)に示す比較例1では、被膜部20の一次被覆部201、二次被覆部202をともに約0.7mmの厚さとし、これらの厚みの差を0.1未満として形成した。二次被覆部202には、よこ糸302のつなぎ目303を配置したが、筒状織布30の上下両面で、幅方向の中央部に重なり合う位置に二次被覆部202を形成した。
この場合、図10(b)に示すように、二次被覆部202は、筒状織布30のよこ糸302のつなぎ目303を十分に覆うことができないものとなった。その結果、二次被覆部202の外面によこ糸302が露出してしまい、ピンホールの発生に繋がった。
図11(a)および図11(b)に示す比較例2では、一次被覆部201の形成後、図9にて説明したように、未被覆部分304を筒状織布30の上下両面で重なり合う配置として二次被覆部202を形成した。二次被覆部202には、よこ糸302のつなぎ目303を配置した。
この場合、一次被覆部201を0.7mmの厚さで形成したものの、二次被覆部202の所要の厚さとは異なるものとなった。すなわち、二次被覆部202は、一方の面では厚さが十分であったが、他方の面では厚さが0.15mmとなって形成された。図11(b)に示すように、二次被覆部202は、筒状織布30のよこ糸302のつなぎ目303を十分に覆うことができず、二次被覆部202の外面によこ糸302が露出し、ピンホールの発生に繋がった。
図12(a)および図12(b)に示す比較例3では、二次被覆部202を、筒状織布30の上下両面で重なり合わない位置に形成したが、筒状織布30のよこ糸302のつなぎ目303を一次被覆部201に配置した。
この場合、一次被覆部201と二次被覆部202との厚みの差は0.5mmと好適な範囲にあったが、一次被覆部201に配置されたよこ糸302のつなぎ目303が、一次被覆部201の外面に露出した。その結果、被膜部20の一次被覆部201に、ピンホール等の不良が発生した。
比較例1〜3は、いずれも筒状織布30を覆う被膜部20に問題点を有したものとなり、反転施工性に劣り、更生後の管路に要求されるような高い強度を確保し得るライニング材を形成することはできなかった。
以上のとおり、本発明により、筒状織布3が耐圧性能を高め、十分な強度と耐久性とをもたらし、筒状織布3のよこ糸32のつなぎ目33が被膜部2で覆われて、表面平滑性に優れて、ピンホール等の不良の発生を防いだライニング材1を形成することができる。このため、既設管の更生に好適なライニング材1とすることができ、更生された管路の信頼性と耐久性とを高めることが可能となる。
なお、筒状織布3のよこ糸32のつなぎ目33が、畳んだ筒状織布3の側部に配置されない場合や、よこ糸32やたて糸31の織成に乱れた箇所がある場合には、二次被覆部22を形成する前または後、その箇所を不透過性材料製のフィルム材やシート材で部分的に被覆して対応することができる。
本発明は、既設管を更生するライニング材に対して好適に利用することができる。
1 ライニング材
2 被膜部
21 一次被覆部
22 二次被覆部
3 筒状織布
31 たて糸
32 よこ糸
33 つなぎ目
34 未被覆部分
4 樹脂含浸部
41 不織布
42 補強材
5 冷却ロール
7 ボイラーユニット
71 閉塞部材
8 既設管
81 堰き止め部材

Claims (4)

  1. 反転されて既設管の内面を被覆する筒状のライニング材であって、
    液状の母材樹脂を含浸する樹脂含浸部と、この樹脂含浸部の外側に積層され、たて糸とよこ糸とが筒状に織成された筒状織布と、不透過性材料からなり前記筒状織布を被覆する被膜部とを備え、
    前記被膜部は、前記筒状織布の外面を周方向に不連続に被覆して設けられた一次被覆部と、前記筒状織布の外面における一次被覆部の不連続部を被覆して設けられた二次被覆部とを備え、
    前記二次被覆部は前記一次被覆部よりも厚みを有するとともに、前記筒状織布のよこ糸のつなぎ目が前記二次被覆部に配設されたことを特徴とするライニング材。
  2. 請求項1記載のライニング材であって、
    前記不透過性材料は、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂であることを特徴とするライニング材。
  3. 反転させて既設管の内面を被覆する筒状のライニング材の製造方法であって、
    繊維材料からなる筒状織布の外面を不透過性材料で被覆する被膜部形成工程と、
    補強材層を有する不織布基材を筒状に成形してなる樹脂含浸部の外側に、前記筒状織布を設ける工程とを含み、
    前記筒状織布は、放射状に配列したたて糸に対してよこ糸を螺旋状に織り込んで組織されており、
    前記被膜部形成工程では、断面形状が略偏平状となるように畳んだ状態の前記筒状織布の両面に、該筒状織布の幅よりも狭い範囲に不透過性材料を被覆して一次被覆部を形成した後、前記一次被覆部が幅方向の側部を含むとともに未被覆部分が側部とならない略偏平状に前記筒状織布を畳み直した状態で、前記未被覆部分を不透過性材料で被覆して二次被覆部を形成し、
    前記二次被覆部の厚みを一次被覆部の厚みよりも厚く形成するとともに、前記筒状織布のよこ糸のつなぎ目を前記二次被覆部に配置することを特徴とするライニング材の製造方法。
  4. 請求項3に記載のライニング材の製造方法において、
    前記被膜部形成工程では、前記一次被覆部を形成した後、前記未被覆部分の位置が、略偏平状の筒状織布の一面側と他面側とで幅方向にずれるように当該筒状織布を畳み直し、前記二次被部を一面側と他面側とで重なり合わないように形成することを特徴とするライニング材の製造方法。
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