JP5947660B2 - ライニング材 - Google Patents

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Description

本発明は、既設管の内面に施して更生するためのライニング材に関する。
地中に埋設された下水道管、上水道管、農水管などの既設管が老朽化した場合、その管路を掘削することなく、管路の内面にライニング材を施して管路を補修する既設管の更生工法が種々提案されている。
その更生工法の一つとして、管状のライニング材の内側に流体圧を作用させ、もしくは流体圧により加圧ホースを反転挿入することによって、ライニング材を管路の内周面に押圧し、硬化させて一体化することでライニング層を形成する方法がある。また、ライニング材そのものを反転させながら管路内に挿入し、流体圧により管路の内周面に押圧し、硬化させて一体化する方法もある。このようなライニング材による更生工法は、地中を掘削せずとも、埋設されている管路の補修作業を行うことができる。
例えば特許文献1に記載の更生工法では、管状のライニング材が平坦状に折り畳まれ、密閉容器内に積み重ねられた状態で配備されている。そして、密閉容器に接続された反転ノズルの開口端外周に、前記ライニング材を取り付け、密閉容器内に水圧を作用させて、管状ライニング材を管路内に反転挿入する構成とされている。これにより、拡径されたライニング材は、管路内で樹脂吸収基材が管路の内周面に密着し、ライニング層を形成する。
また、特許文献2には、管路の内張り材として、不織布/ガラスロービングクロス/不織布/ガラスロービングクロス/不織布/ガラスロービングクロス/不織布と、交互に積層され、この積層部材がニードルパンチにより接合された構成が開示されている。この内張り材は、前記積層部材が筒状に丸められ、両端部が接着されて管状に形成されている。
特開2003−165158号公報 特開2012−86386号公報
前記従来のライニング材又は内張り材の構成では、更生後の管路に要求される高い強度を確保し、かつ、平滑な内周面のライニング層を形成するには種々の問題点があり、未だ改良の余地があった。
すなわち、前記内張り材のように、不織布とガラス繊維とを何層にも積層して一体化した構造では、積層部材の曲げ特性は高められるものの、積層部材を筒状に賦形する際に、各層ごとに異なる内径となることから、丸められた各層の周長に差を生じる。しかし、積層部材はニードルパンチにより一体化されているので、内側に配置された層に、皺や襞を生じることとなり、平滑な内周面を形成することが困難になるという問題点があった。
また、ニードルの打ち込み本数が少ないと層間の絡合が弱くなり、賦形加工時に層間剥離を生じ、いずれの層にも皺や襞が発生する要因となるとともに樹脂含浸性にムラを生じる要因となる。これに対し、ニードルの打ち込み本数が多いと、不織布の間のガラス繊維が損傷したり切れたりしやすくなり、必要強度を十分に確保できなくなるおそれがあった。
また、前記構成の積層部材では、曲げ特性が高いことから、剛直なシート状に形成されてしまい、かえって賦形性や柔軟性に乏しくなり、筒状に丸める作業や、反転挿入する作業が困難になると考えられた。
本発明は、上記のような従来の問題点にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、更生後の管路に要求される高い強度を確保するとともに、不要な皺や襞を生じさせない効果的な構成の複層構造とすることにより、取り扱い性及び賦形性に優れ、製品コストを抑えて、管路に平滑な内周面を形成し得る信頼性の高いライニング材を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、既設管の内径より小さい外径の筒状に形成され、既設管の内周面をライニングする複層構造のライニング材を前提とし、液状の熱硬化性樹脂を主剤とする母材樹脂を含浸する樹脂含浸層と、不透過性材料からなる被覆層とを備えさせている。そして、前記樹脂含浸層は、不織布/強化繊維材料からなる補強材/不織布の順に重ねられた積層体を機械的な交絡加工により絡合させたシート状基材を複数枚含み、前記複数枚のシート状基材は、厚み方向に複数枚を重ねるようにして配設され、前記樹脂含浸層における補強材同士の間に位置する不織布の厚み合計が、前記樹脂含浸層における最も内周側に位置する不織布と最も外周側に位置する不織布との厚み合計より厚くなるように形成された構成としている。また、前記複数枚のシート状基材は、幅方向の端部同士が重なり合うように配設されており、前記幅方向の重なりは、前記樹脂含浸層の外周側と内周側とで周方向に位置をずらして設けられてなる構成としている。
これにより、樹脂含浸層を構成するシート状基材は、強化繊維を含む複層構造とされて高い強度を確保することができる。しかも、不織布/補強材/不織布の積層体が交絡加工された構成であることから、略筒状に賦形しても、また、反転挿入しても、層間にずれや縒れを生じにくく、内周側での皺や襞の発生を抑えることができる。また、前記積層体を交絡させたことにより、補強材を挟んだ両側の不織布が補強材を保護するとともに、これらの不織布の繊維同士の絡合を高めて、良好に結合させることができる。したがって、樹脂含浸層に含まれるシート状基材を、一体性及び表面平滑性に優れたものとすることができる。その結果、ライニング材は、製造から搬入作業時、既設管内への挿入作業時、反転時、及び加熱拡径時に到るまで、複層構造の配置形態を維持して不要な皺や襞を生じることがなく、均一な厚みを有する高い強度のライニング層を形成するものとなる。
前記ライニング材のより具体的な構成として、次のものが挙げられる。すなわち、前記シート状基材は、不織布Aと、前記不織布Aよりも薄い厚みの不織布Bとの間に前記補強材が介装されて絡合されており、前記樹脂含浸層の内周側に配設されるシート状基材は不織布Aの面を外周側に向け、外周側に配設されるシート状基材は不織布Aの面を内周側に向けて配設されて、前記シート状基材の不織布A同士が面するように配置されて構成されることが好ましい。
これにより、樹脂含浸層における補強材同士の間に位置する不織布の厚み合計が、前記樹脂含浸層における最も内周側に位置する不織布と最も外周側に位置する不織布との厚み合計より厚くなるように好適に形成することができる。
また、前記ライニング材として、前記シート状基材は、不織布Aと、前記不織布Aよりも薄い厚みの不織布Bとの間に前記補強材が介装されて絡合されており、前記樹脂含浸層の内周側に配設されるシート状基材は不織布Bの面を外周側に向け、外周側に配設されるシート状基材は不織布Bの面を内周側に向けて配設され、これらのシート状基材の不織布B同士の間に不織布層が設けられた構成であってもよい。
あるいは、前記シート状基材は、不織布Aと、前記不織布Aと略同等の厚みの不織布Bとの間に前記補強材が介装されて絡合されており、前記樹脂含浸層の内周側に配設されるシート状基材と外周側に配設されるシート状基材との間に不織布層が設けられた構成であってもよい。
これらの構成によっても、樹脂含浸層における補強材同士の間に位置する不織布の厚み合計が、前記樹脂含浸層における最も内周側に位置する不織布と最も外周側に位置する不織布との厚み合計より厚くなるように好適に形成することができる。
したがって、前記いずれの構成にあっても、ライニング材における所望の肉厚を確保することができるとともに補強材による強度を確保することができる。そのうえ、補強材がその外側の不織布により保護されているので、配向した補強材のずれを防ぐとともに、強化繊維を露出させず、強化繊維が作業者に突き刺さる等の不都合を解消し、取り扱い性を高めることができる。
また、前記ライニング材として、前記シート状基材は、他のシート状基材に対して向かい合う不織布側から、前記積層体の積層方向にニードルを貫通させてニードルパンチ加工がなされていることが好ましい。
これにより、複層構造のシート状基材の各層を、機械的に絡合させて一体的に結合することができ、各層の界面にずれや縒れを生じにくくすることができる。また、母材樹脂の含浸性を阻害することなく繊維密度を高く形成することができる。しかも、前記不織布同士の繊維の絡合を高めることができるので、ニードルの打ち込み本数を低減することが可能となり、補強材の損傷を招くおそれを低下させ、十分な強度を確保することが可能となる。
また、前記構成のライニング材において、複数枚のシート状基材の幅方向の重なりは、外周側と内周側とで周方向の対向する位置に設けられてもよい。
かかる構成により、樹脂含浸層の厚みを均一に形成することができ、シート状基材の重なりによって、ライニング材の運搬時や管路内への挿入及び引込み時に略筒状の形状を容易に保持することができる。また、ライニング材の加熱時や拡径時には、シート状基材の重なりが相互に離間して、ライニング材の拡径に追従させることができる。したがって、ライニング材は十分に拡径されて、既設管の内周面に密着するものとなる。
上述のような本発明のライニング材によれば、取り扱い性及び賦形性に優れ、製品コストを抑えつつ、ライニング材に要求される高い強度を確保し、略筒状とされた内周面に不要な皺や襞を生じさせないように構成することが可能となる。また、前記構成のシート状基材を樹脂含浸層に含むことにより、液状の母材樹脂を均一に含浸させることが可能となり、拡径に十分対応させて、ライニング後の管路に平滑な内周面を形成し得るので、高い耐圧性能と強度を有するライニング層を形成することが可能となる。
本発明の参考形態1に係るライニング材を示す断面図である。 前記ライニング材におけるシート状基材を模式的に示す断面図である。 前記シート状基材のニードルパンチ加工を示す説明図である。 前記ニードルパンチ加工に用いるニードルの一例を示す説明図である。 前記ライニング材が既設管内に反転挿入された状態を示す断面図である。 前記ライニング材により既設管の内面を被覆した状態を模式的に示す断面図である。 参考形態1に係るライニング材の変形例を示す断面図である。 図7に示すライニング材における樹脂含浸層の構成を模式的に示す断面図である。 図7に示すライニング材が既設管内に反転挿入された状態を示す断面図である。 図7に示すライニング材により既設管の内面を被覆した状態を模式的に示す断面図である。 前記ライニング材を用いた既設管の更生工法を示す説明図である。 本発明の実施形態に係るライニング材を示す断面図である。 実施形態に係るライニング材の変形例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係るライニング材の樹脂含浸層の構成を模式的に示す断面図である。 実施形態に係るライニング材の樹脂含浸層の変形例を示す断面図である。 実施形態におけるシート状基材のニードルパンチ加工を示す説明図 前記ニードルパンチ加工に用いるニードルの一例を示す説明図である。 本発明の実施形態に係るライニング材を示す断面図である。 実施形態に係るライニング材の変形例を示す断面図である。 比較例としてのライニング材の樹脂含浸層を示す断面図である。 比較例としてのライニング材を示す断面図である。
以下、本発明に係るライニング材の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
ライニング材は、補修対象の既設管の内周面にライニング層を形成するものであり、あらかじめ既設管の内径より小さい外径の略筒状に形成されている。本発明に係るライニング材は、被覆層と樹脂含浸層とを備えており、樹脂含浸層の構成には多様な形態が含まれる。以下では、本発明に係るライニング材について、いくつかの実施形態を例に挙げて説明する。
参考形態1)
図1は参考形態1に係るライニング材を示す断面図、図2は前記ライニング材におけるシート状基材を模式的に示す断面図ある。図3は前記シート状基材のニードルパンチ加工を示す説明図、図4は前記ニードルパンチ加工に用いるニードルの一例を示す説明図である。また、図5は既設管内に反転挿入された状態の前記ライニング材を示す断面図、図6は前記ライニング材により更生された既設管を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、ライニング材1は、最も外側に被覆層2を有する。被覆層2は、加圧流体の不透過性を有する合成樹脂製フィルム材により筒状に形成されている。具体的には、被覆層2は、ポリエチレンフィルム、ポリウレタンフィルム、又は軟質塩化ビニル樹脂フィルム等によって形成されている。中でも、被覆層2には、0.2〜2.0mm程度の厚さを有するポリエチレンフィルム材が好適である。被覆層2には、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、もしくはポリ塩化ビニル等の樹脂フィルム材、又はエラストマーや合成ゴム系材料からなるシート材を用いて形成することも可能である。
ライニング材1の被覆層2の内側には、樹脂含浸層3が設けられている。樹脂含浸層3は、不織布A、Bと補強材Cとを含む複合材料であって、あらかじめ複層構造とされたシート状基材31からなる。
図2に示すように、1枚のシート状基材31は、不織布Aと、不織布Aよりも薄い厚みの不織布Bとの間に、強化繊維材料からなる補強材Cが介装され、これら不織布A、補強材C、及び不織布Bの積層体が絡合されて一体化されている。
不織布A及び不織布Bは、液状の熱硬化性樹脂を主剤とする母材樹脂を含浸する基材であり、可撓性を有し樹脂含浸性に優れた材料からなる。不織布A及び不織布Bの繊維としては、ポリエステル、高性能ポリエチレン(HPPE)、又はポリプロピレンなどの高強度で高弾性材料からなる繊維が好ましい。不織布A及び不織布Bの繊維形態は、可撓性を有し多孔質の材料であれば、連続フィラメント又はステープルファイバーを含むフェルト、マット、又はウェブ等のどのような形態からなるものであってもよい。
また、不織布A及び不織布Bには、紡糸直結で自己接着により結合されたスパンボンド不織布、高圧水流で繊維を交絡させたスパンレース不織布などの長繊維不織布、又は特殊形状のニードル(パンチ針)により繊維を交絡させたニードルパンチ不織布などの短繊維不織布が好適である。特に、不織布Aとしては、ニードルパンチによる不織布が好ましく、十分な厚みを確保することが容易となる。
例えば、不織布A及び不織布Bの厚みは、0.1〜20.0mmとされることが好ましい。厚みが0.1mm未満であると、薄すぎて繊維同士の絡合力が得られず、20.0mmを超えると機械的に絡合することが困難になるからである。より好ましくは、不織布A及び不織布Bの厚みは、0.2〜10.0mmとされることである。
なお、不織布Bの厚みは、不織布Aよりも薄い厚みとされる場合、不織布Aの厚みに対して2%以上の厚みで形成されることが好ましい。また、不織布Bの厚みは、不織布Aの厚みと同等の厚みで形成されてもよい。これらの不織布Aと不織布Bとの他の厚み構成については後述する。
補強材Cは、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の強化繊維材料からなるシート状材である。中でも、得られる繊維強化樹脂成形品の強度や価格などを考慮すると、ガラス繊維からなることが好ましい。補強材Cを構成する強化繊維材料は、母材樹脂との接着性を高めるため、シランカップリング剤で前処理されていることが好ましい。補強材Cの形態としては、例えば、チョップドストランドマット、ロービングクロス、又はステッチ基材等を好適に用いることができる。
参考形態1に係るライニング材1では、樹脂含浸層3のシート状基材31は、不織布Aとして、厚み2.0mm、目付400g/m2のニードルパンチ不織布が用いられ、不織布Bとして、厚み0.3mm、目付70g/m2のスパンボンド不織布が用いられる。また補強材Cとして、厚み0.4mm、目付600g/m2のガラスチョップドストランドマットが用いられる。シート状基材31を被覆する被覆層2としては、筒状織布にポリエチレン製フィルム材がラミネートされた厚み1.2mmのシート材を用いることができる。
シート状基材31は、これらの不織布A、補強材C、及び不織布Bが順に積層された積層体が、機械的な交絡加工により繊維同士が絡合されて一体化され、シート状に圧縮されている。シート状基材31を交絡する方法としては、種々挙げられるが、ニードルパンチ法が最も好ましい。
シート状基材31は、重なり合う他のシート状基材31に対して向かい合うようにして配置される不織布側から、積層方向にニードルを貫通させてニードルパンチ加工がなされている。この場合、図3に示すように、シート状基材31は、不織布A側から、積層体の積層方向に複数本のニードル8を貫通させてニードルパンチ加工がなされる。ニードルパンチ加工は、高速で上下する複数本のニードル8で、平坦に均した前記積層体を繰り返し突き刺し、繊維を絡めさせるものである。
ニードル8としては、例えば図4に示すように、針先部81が尖鋭に形成され、ブレード部82に断面三角形状の複数のバーブ83が形成されたものが好ましい。バーブ83は、アンダーカットの開口が複数方向に向けて形成され、繊維を引っ掛ける。また、バーブ83は、開口が針先部81の先端側に傾斜面を有し、基部84側に前記積層体と略平行となる平行面を有する断面三角形状に形成されている。これにより、厚手の不織布A側の繊維を薄手の不織布B側の繊維に対して好適に絡めることが可能となり、層間を良好に一体化することができる。
なお、ニードル8の構成としては、図4に例示するものに限られず、積層体における厚手の不織布側から薄手の不織布側への繊維交絡が可能な形状であれば、どのような構成であってもよい。すなわち、バーブ83の断面形状は矩形等の他の形状であっても突起であってもよく、また、バーブ83は一方向又は多方向の向きに形成された構成であってもよい。
かかるニードルパンチ加工により、シート状基材31はバルク性に富み、繊維間の剥離が抑えられる。すなわち、シート状基材31は、ニードルパンチのニードル8が不織布A側から不織布Bへ貫通し、ニードル8の往復により孔が形成される。この孔の内周面では、不織布Aと不織布Bとの各繊維が絡まり合い、補強材Cを挟持して互いに連結される。これにより、不織布Aと不織布Bの両側からニードル8を打ち込む必要がなく、不織布A側の一方からのニードルパンチ加工で足りるものとなる。この場合、ニードルパンチの針打数は、例えば、30本/cm2程度の比較的少ない本数で抑えることができる。
このように、シート状基材31は、厚手の不織布Aと薄手の不織布Bとで補強材Cを挟み込み、不織布A側からニードルパンチで交絡させた構成であることから、不織布Aと不織布Bの繊維の交絡が極めて良好となり、層間の剥離なく一体化させることができる。また、不織布Aと不織布Bの一体性を高められることから、ニードル8の打ち込み本数を少なくすることが可能であり、その結果、補強材Cの強化繊維の損傷を減少させることができ、補強材Cの強度特性を十分に発揮させることができる。
ライニング材1の樹脂含浸層3には、複数枚のシート状基材31が配設されている。この形態では、図1に示すように、樹脂含浸層3に2枚のシート状基材31が配設されている。樹脂含浸層3は、内周側のシート状基材31が不織布Aの面を外周側に向けて丸められ、幅方向の端部同士を重ね合わせてオーバーラップ部32を構成し、略筒状とされている。これに対し、外周側のシート状基材31は、不織布Aの面を内周側に向けて丸められ、幅方向の端部同士を重ね合わせてオーバーラップ部32を構成し、略筒状とされている。各シート状基材31の幅寸法は、既設管4の内周長よりも長いものとされている。これにより、樹脂含浸層3を構成する2枚のシート状基材31は、不織布Aの表面が相互に向き合う方向に配設されて略筒状に積層されている。
ライニング材1は、樹脂含浸層3においてシート状基材31が厚み方向に2枚重なり合い、補強材C同士の間に位置する不織布A、Aの厚み合計が、樹脂含浸層3における最も内周側に位置する不織布Bと最も外周側に位置する不織布Bとの厚み合計より厚くなるように構成されている。
シート状基材31は、重ねられたオーバーラップ部32において、相互に接合されている。樹脂含浸層3は、オーバーラップ部32が、例えば熱可塑性樹脂材料を主成分とするホットメルト接着剤により接合されている。ホットメルト接着剤の一例としては、柔軟性、接着性、及び熱安定性等のいずれにも優れたエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)を主成分とする接着剤が好ましい。このほか、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系、オレフィン系、合成ゴム系等のホットメルト接着剤も好適に用いることができる。
ライニング材1は、既設管の更生工程において、樹脂含浸層3に未硬化の状態の母材樹脂を含浸し、図5に示すように反転させた状態で既設管4内に配置される。その後、ライニング材1は、図6に示すように、既設管4内で拡径されて、ライニング層を形成する。
母材樹脂は、熱硬化性樹脂が主剤とされ、中でも、比較的粘度が低く、硬化後の物性に優れ、低コストであるエポキシ系樹脂を主剤とするエポキシ系樹脂混合物であることが好ましい。また、母材樹脂の主剤としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いてもよい。
なお、エポキシ系主剤としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、又はビスフェノールF型エポキシ樹脂などを好適に用いることができる。この種のエポキシ系主剤は非常に高粘度であり、通常、10℃以下の低温条件下において、20000mPa・s以上の粘度を有する。そのため、エポキシ系主剤の低粘度化を、希釈剤を添加したり、低粘度の硬化剤を選択的に添加したりすることによって行うことが好ましい。希釈剤としては、エポキシ系主剤の粘度を低下し得るものであれば特に限定されるものではなく、反応性希釈剤であっても非反応性希釈剤であってもよい。また、両者を併用して用いてもよい。
反応性希釈剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、p−第三ブチルフェノール、p−第三アミルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、オクタデシルフェノール及びテルペンフェノール等のモノグリシジルエーテルなどの、末端にグリシジルエーテル基を持つもの等を挙げることができる。また、非反応性希釈剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート及びベンジルアルコール等を挙げることができる。さらに、これらの希釈剤から選ばれた1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
低粘度の硬化剤としては、特に限定されるものではないが、エポキシ系主剤の粘度を低下させ、適度な硬化速度を確保でき、さらに硬化後に溶出しないものが好ましい。このような性質を具備する硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、及び脂環族ポリアミシ等のアミン系硬化剤を挙げることができる。中でも、非常に低粘度で、硬化後の物性に優れ、しかも安価な脂肪族ポリアミンが好適に用いられる。この脂肪族ポリアミンの具体例としては、ポリオキシプロピレンジアミン、トリメチロールプロパンポリ(オキシプロピレン)トリアミン、メタキシレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及びこれらの変性品等を挙げることができる。また、これらの硬化剤から選ばれた1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
なお、参考形態1に係るライニング材1としては、上記構成のものに限定されない。すなわち、樹脂含浸層3の複数枚のシート状基材31は、幅方向の端部同士を重ね合わせて略筒状に配設され、内周側に配設されるシート状基材31が不織布Aの面を外周側に向けられ、外周側に配設されるシート状基材31が不織布Aの面を内周側に向けられて、不織布A同士が面するように配置された構成であれば、他のどのような形態であってもよい。
図7は参考形態1に係るライニング材1の変形例を示す断面図、図8は前記ライニング材における樹脂含浸層の構成を模式的に示す断面図、図9は既設管内に反転挿入された状態の前記ライニング材を示す断面図、図10は前記ライニング材により更生された既設管を模式的に示す断面図である。
例えば、ライニング材1は、図7に示すように、樹脂含浸層3が2枚のシート状基材31を互いに重ね合わせて配設されていてもよい。すなわち、図8に示すように、2枚のシート状基材31を、不織布Aの面同士が相互に向かい合うように重ね合わせた状態で、略筒状に丸めて樹脂含浸層3が構成されてもよい。
ライニング材1の樹脂含浸層3は、2枚のシート状基材31が、内周側に配設されるシート状基材31については不織布Aの面を外周側に向け、外周側に配設されるシート状基材31については不織布Aの面を内周側に向けた状態で重ね合わされて、略筒状に賦形されている。また、2枚のシート状基材31は、重ね合わせた状態で、幅方向の一方の端部を他方の端部にオーバーラップさせて配置され、オーバーラップ部32が設けられている。
この場合、ライニング材1は、既設管4の更生工程において、樹脂含浸層3に未硬化の状態の母材樹脂を含浸し、図9に示すように反転させた状態で既設管4内に配置される。また、図10に示すように、既設管4内で拡径されて、ライニング層を形成する。
さらに、ライニング材1の変形例として、シート状基材31は、不織布A、補強材C、及び不織布Bが順に積層されて、スパンレース法、ステッチボンド法等の他の機械的結合方法で繊維同士が絡合されて一体化された構成であってもよい。
(既設管の更生工法)
次に、前記ライニング材1を用いた既設管4の更生工法について、図11を参照しつつ説明する。図11は、ライニング材1を用いた既設管4の更生工法を示す説明図である。
既設管4の更生作業に先立ち、既設管4に下水等の流体がある場合には、既設管4内からいったん除去する水抜き作業を行う。図11に示すように、既設管4の管路には、適当な間隔でマンホールM1、M2が設けられており、更生対象範囲のマンホールM1、M2の上流側及び下流側に堰き止め部材5を設ける。堰き止めた下水等の流体は、さらに上流の図示しないマンホールから地上を迂回させ、更生対象範囲の下流側管路へ排出する。また、既設管4内に存在する堆積物や木片等の異物を除去し、高圧水洗浄を行う。
ライニング材1は可撓性を有する筒状体であることから、既設管4を更生するに際し、平坦状に折り畳んだコンパクトな状態で施工現場に搬入することができる。また、ライニング材1には、予め樹脂含浸層3に対して母材樹脂を含浸させる。
具体的に、図1に示すライニング材1又は図7に示すライニング材1において、被覆層2の内部を減圧するとともに樹脂含浸層3の内部を脱気しつつ、被覆層2の内側に未硬化の母材樹脂を注入する。これにより、母材樹脂を樹脂含浸層3に含浸させることができる。シート状基材31における不織布A、B及び補強材Cの繊維間の隙間は、脱気経路として作用するとともに、未硬化の母材樹脂の流路としても作用する。
次いで、ライニング材1を反転させつつ既設管4内へ挿入する。図11に示すように、地上に設置した反転挿入機6にライニング材1を取り付け、圧縮空気や加熱水などの流体圧をライニング材1の外周側(被覆層2側)から作用させる。ライニング材1は、マンホールM1を通り、反転しながら既設管4内に進行する(反転工法)。これにより、ライニング材1は被覆層2が内側となるように裏返りつつ、順次、既設管4内へ挿入され、図5又は図9に示す状態となる。
反転したライニング材1には、両端部に閉塞部材を取り付け、ライニング材1に蒸気等の流体圧を供給して、既設管4内で拡径させる。これにより、樹脂含浸層3が既設管4の内壁に密着し、図6又は図10に示す状態となる。
ライニング材1が加熱及び拡径されると、ライニング材1に付与された熱と、母材樹脂の硬化反応による発熱とにより、シート状基材31における繊維間の絡合が緩められ、もしくは解除される。これにより、シート状基材31は、皺や襞を生じることなく拡径する。拡径作用の度合いによっては、シート状基材31の各層間にずれを生じさせて、拡径を許容するものとなる。したがって、シート状基材31は、管路の内面に接する外周側ほど大きく引き伸ばされて、ライニング材1の拡径に追従する。
また、加熱及び拡径により、オーバーラップ部32の接合は緩められる。つまり、シート状基材31を接合している接着剤が軟化することにより、シート状基材31を接合したまま、オーバーラップ部32の変形が許容される。
その結果、ライニング材1は十分に拡径され、加熱及び拡径後には、図6又は図10に示したように、シート状基材31に皺や縒れを生じることなく硬化する。これにより、ライニング材1は、管路の内周面に沿った平滑な形状に硬化し、高い耐圧性能と適切な強度確保が可能なものとなる。
ライニング材1は、樹脂含浸層3に含浸している母材樹脂が硬化することで、既設管4と一体化し、ライニング層を形成する。このライニング層は、被覆層2で覆われた状態となり、既設管4内に平滑な内周面を形成する。ライニング材1は、樹脂含浸層3がシート状基材31の端部を重ね合わせて略筒状に形成されているので、ライニング材1の外径を既設管4の内径よりも小径にて形成し、既設管4内への挿入作業を容易にするとともに、既設管4の内部で拡径させることが可能となる。
既設管4を更生するライニング材1としては、図1及び図7に例示した、外層に被覆層2を有し、内層に樹脂含浸層3を有する層構成のものに限定されない。例えば、ライニング材1は、初めから被覆層2が内層として形成され、この被覆層2の外側に樹脂含浸層3を備えた層構成であってもよい。この場合、ライニング材1は、図1及び図7とは、内周側と外周側とが逆順の積層形態を有する。このようなライニング材1であれば、反転させずに既設管4に挿入し、拡径する手順となる(形成工法)。
ライニング材1は、反転工法又は形成工法のいずれの工法で施工された場合も、ライニング層の内周面(すなわち、更生された既設管4の内表面)が被覆層2で覆われた状態となり、表面平滑性に優れ、耐水性及び耐薬品性の高い保護層となる。
すなわち、樹脂含浸層3を構成するシート状基材31は、強化繊維を含む複層構造とされて高い強度を確保することができる。しかも、不織布A/補強材C/不織布Bの積層体が交絡加工された構成であることから、略筒状に賦形しても、また、反転挿入しても、層間にずれや縒れを生じにくく、内周側での皺や襞の発生を抑えることができる。また、シート状基材31は前記積層体を交絡させたことにより、補強材Cを挟んだ両側の不織布A、Bが補強材Cを保護するとともに、これらの不織布A、Bの繊維同士の絡合を高めて、良好に結合させることができる。
したがって、ライニング材1では、樹脂含浸層3に含まれるシート状基材31を、一体性及び表面平滑性に優れたものとすることができる。その結果、ライニング材1は、製造から搬入作業時、既設管4内への挿入作業時、反転時、及び加熱拡径時に到るまで、複層構造の配置形態を維持して不要な皺や襞を生じることがなく、均一な厚みを有する高い強度のライニング層を形成するものとなる。
図20は、比較例としてのライニング材100の樹脂含浸層9を示す断面図であり、図21は、比較例としてのライニング材100を示す断面図である。
この比較例では、図20に示すように、上から不織布X/補強材Y/不織布Z/不織布Z/補強材Y/不織布Xの順に重ねられている。ライニング材100は、不織布X/補強材Y/不織布Z/不織布Z/補強材Y/不織布Xで構成される積層体の全体を、ニードルパンチにより絡合させてなるシート状基材90により、樹脂含浸層9が形成されている。
このように、樹脂含浸層9のシート状基材90が、不織布X、補強材Y、及び不織布Zの積層構成であったとしても、図20に示すように、これらの全体を一体的にニードルパンチで絡合させたシート状基材90により形成される場合には、図1〜図10に示した参考形態1に係るライニング材1と同様の好ましい結果を得ることはできない。
すなわち、図20に示す例では、樹脂含浸層9において、不織布Xと不織布Zとの繊維同士の絡み合いや、一方の不織布Xと他方の不織布Xとの繊維同士の絡み合いが非常に弱いものとなってしまう。その結果、上記反転工程や拡径工程において、樹脂含浸層9における繊維層間の剥離を抑えることができない。
その上、ライニング材100では、略筒状としたとき、樹脂含浸層9において、内周側の配置となる一方の補強材Yと、外周側の配置となる他方の補強材Yとで、周長に差を生じる。そのため、補強材Yと、不織布X及びZとの間に層間剥離を生じやすくなり、また補強材Yに縒れや皺が発生しやすくなる。その結果、図21に示すように、ライニング材100を図示しない既設管に施した後には、樹脂含浸層9に縒れや皺が生じ、ライニング材100の内面側を平滑に形成することができないものとなる。
したがって、参考形態1に係るライニング材1の構成によって、十分な拡径性が確保され、かつ、加熱及び拡径後には、図6又は図10に示したように、シート状基材31に皺や縒れを生じることなくライニング層を形成することができる。これにより、ライニング材1は、管路の内周面に沿った平滑な形状に硬化し得て、高い耐圧性能と適切な強度確保が可能なものとなる。
(実施形態
次に、実施形態に係るライニング材について、図12及び図13を参照しつつ説明する。図12は実施形態に係るライニング材を示す断面図であり、図13は実施形態に係るライニング材の変形例を示す断面図である。これらの図12及び図13は、既設管に配設される状態、すなわち、内周側に被覆層2、外周側に樹脂含浸層3が配設された状態のライニング材1を示している。
なお、以下で説明する実施形態に係るライニング材1は、樹脂含浸層3及びシート状基材31の形態に特徴を有し、ライニング材1のその他の基本構成については前記参考形態1に係るライニング材1の構成と共通である。そこで、以下の説明では樹脂含浸層3及びシート状基材31の特徴的構成について詳述し、前記参考形態1と共通する他の構成については共通符号を用いて重複する説明を省略する。
この形態に係るライニング材1は、樹脂含浸層3の複数枚のシート状基材31のオーバーラップ部32が、内周側と外周側とで周方向に位置をずらして設けられている。図12に示す形態では、内周側のシート状基材31が不織布Aの面を外周側に向けて丸められ、幅方向の端部同士を重ね合わせてオーバーラップ部32を構成し、略筒状とされている。また、外周側のシート状基材31は、不織布Aの面を内周側に向けて丸められ、幅方向の端部同士を重ね合わせてオーバーラップ部32を構成し、略筒状とされている。そして、これらのオーバーラップ部32は、内周側と外周側とで、周方向の対向する位置に設けられている。各シート状基材31の幅寸法は、既設管4の内周長よりも長いものとされている。
図13に示す形態では、樹脂含浸層3は、2枚重ね合わせたシート状基材31を、複数組用いて略筒状に配設して構成されている。すなわち、樹脂含浸層3は、不織布Aの面同士が相互に向かい合うように重ね合わせた状態の2枚のシート状基材31が、半周分ずつ周方向に配設されて略筒状に形成されている。これにより、樹脂含浸層3は、2枚重ね合わせたシート状基材31を二組、周方向に配設した構成とされている。
一組のシート状基材31、31は、幅方向の端部において、隣り合う他の一組のシート状基材31、31に一定幅だけ重ね合わせて配設され、周方向にオーバーラップさせて略筒状に形成されている。
図13に示すように、周方向の2箇所のオーバーラップ部32は、互いに対向するように設けられる。これにより、ライニング材1の上部側と下部側とに補強材Cが均等に配設され、また左右の側部で補強材Cが均等に配置されて、既設管4に作用する垂直荷重に十分な耐力を発揮させることが可能となる。なお、シート状基材31のオーバーラップ部32は、既設管4の断面に対し左右の側部に配置されてもよい。
かかる構成により、樹脂含浸層3の厚みをより均一に形成することができる。また、シート状基材31の重なり合いによって、ライニング材1の運搬時や管路内への挿入及び引込み時に略筒状の形状を容易に保持することができる。ライニング材1の加熱時や拡径時には、シート状基材31のオーバーラップ部32が相互に離間して、ライニング材1の拡径に追従するものとなる。したがって、ライニング材1は十分に拡径されて、既設管4の内周面に密着するものとなる。
(実施形態
次に、実施形態に係るライニング材について、図14〜図17を参照しつつ説明する。図14は実施形態に係るライニング材の樹脂含浸層の構成を模式的に示す断面図であり、図15は前記樹脂含浸層の変形例を示す断面図である。図16は、シート状基材のニードルパンチ加工を示す説明図であり、図17は前記ニードルパンチ加工に用いるニードルの一例を示す説明図である。
図14に示すように、ライニング材1における樹脂含浸層3は、複数枚のシート状基材31の間に、不織布30からなる層が介装された構成とされてもよい。すなわち、この場合、樹脂含浸層3の内周側に配設されるシート状基材31は不織布Bの面を外周側に向け、外周側に配設されるシート状基材31は不織布Bの面を内周側に向けて配設され、これらのシート状基材31の不織布B同士の間に所定の厚みの不織布30が配設されている。
不織布30は、一枚であっても、また、複数枚が積層されたものであってもよい。また、不織布30は、複数枚積層して構成される場合、単に複数枚の不織布を積層させるだけであっても、また複数枚の不織布が機械的に絡合されたものであってもよい。
また、図15に示すように、シート状基材31は、不織布Aと、不織布Aと略同等の厚みの不織布Bとの間に補強材Cが介装されて絡合一体化された構成であってもよい。この場合、樹脂含浸層3の内周側に配設されるシート状基材31と外周側に配設されるシート状基材31との間に不織布30が配設されている。
いずれの形態に係る樹脂含浸層3にあっても、2つの補強材Cの間に位置する不織布B、不織布30、及び不織布Bの厚み合計は、最も内周側に位置する不織布Aと最も外周側に位置する不織布Aとの厚み合計よりも、厚くなるように形成されている。これにより、ライニング材1における所望の肉厚を確保することができるとともに補強材Cによる強度を確保することができる。また、補強材Cは、不織布Aと不織布Bにより被覆されて保護されているので、配向した補強材Cのずれを防ぐとともに、強化繊維を露出させず、取り扱い性を高めることができる。
図14及び図15において、各シート状基材31は、不織布A、補強材C、及び不織布Bの積層体がニードルパンチにより絡合されて一体化されている。
図14に示す形態では、シート状基材31は、不織布Bの面が他のシート状基材31の不織布Bの面に向かい合うように樹脂含浸層3に配設される。この場合、図16に示すように、各シート状基材31は、不織布B側から、前記積層体の積層方向に複数本のニードル8を貫通させてニードルパンチ加工がなされている。
ニードル8としては、図17に示すように、先鋭な針先部81と、断面三角形状の複数のバーブ85が形成されたブレード部82と、基部84とを有するものが好ましい。繊維を引っ掛けるためのバーブ83は、アンダーカットの開口が複数方向に向けて形成されている。バーブ83の開口は、針先部81寄りの先端側に積層体と略平行となる平行面を有し、基部84側に傾斜面を有する断面三角形状に形成されている。これにより、不織布B側からのニードルパンチ加工にあっても、厚手の不織布A側の繊維を薄手の不織布B側の繊維に対して好適に絡めることが可能となり、層間を良好に一体化することができる。
なお、ニードル8の構成としては、図17に例示するものに限られず、厚手の不織布Aから薄手の不織布Bへの繊維交絡が可能な形状であれば、どのような構成であってもよい。
かかる構成により、シート状基材31の各層を、良好に絡合させて一体的に結合することができ、各層の界面にずれや縒れを生じにくくすることができる。また、母材樹脂の含浸性を阻害することなく繊維密度を高く形成することができる。しかも、不織布Aと不織布Bとの繊維同士の絡合を高めることができるので、ニードルの打ち込み本数を低減することが可能となる。
なお、図15の形態にあっては、シート状基材31は、不織布A、不織布Bのどちらの不織布側からニードルパンチ加工がなされてもよい。
(実施形態
次に、実施形態に係るライニング材について、図18及び図19を参照しつつ説明する。図18は、本発明の実施形態3に係るライニング材を示す断面図であり、図19は、 実施形態3に係るライニング材の変形例を示す断面図である。これらの図18及び図19は、既設管に配設された状態、すなわち、内周側に被覆層2、外周側に樹脂含浸層3が配設された状態のライニング材1を示している。
図18及び図19に示すように、ライニング材1の樹脂含浸層3は、内周側に2枚のシート状基材31が、幅方向の端部同士を重ね合わせて略筒状に配設されている。すなわち、内周側の2枚のシート状基材31は、半周分ずつ周方向に配設され、双方の端部同士をオーバーラップさせて略筒状に形成されている。さらに、その外周側には、2枚のシート状基材31が不織布Aの面を内周側に向け、かつ幅方向の端部同士が重なり合うように略筒状に配設されている。外周側の2枚のシート状基材31も、半周分ずつ周方向に配設され、双方の端部同士をオーバーラップさせて略筒状とされている。
これにより、内周側に配設されるシート状基材31は不織布Aの面が外周側に向けられ、外周側に配設されるシート状基材31は不織布Aの面が内周側に向けられて、配設されたシート状基材31の不織布A同士が内外で対面するように配置されている。
図18に示す形態では、シート状基材31のオーバーラップ部32は、外周側と内周側とで周方向に位置をずらして配設されている。また、図19に示す形態では、内周側に配設したシート状基材31のオーバーラップ部32に対して、外周側に配設したシート状基材31のオーバーラップ部32が、周方向の対向する位置に配設されている。
かかる構成のライニング材1は、参考形態1の構成に比べ、オーバーラップ部32の厚みを抑えることができ、樹脂含浸層3の厚みをさらに均一に形成することができる。これにより、より一層、表面平滑性に優れ、所望の厚みを有する高い強度のライニング層を形成することが可能となる。
なお、実施形態に係るライニング材1において、内周側及び外周側に配設されるシート状基材31の枚数は、それぞれ2枚であるに限らず、3枚以上の複数枚が配設される構成であってもよい。
以上のように構成されるライニング材1は、上記いずれの実施形態にあっても、既設管4の内周面の形状に追従しうる弾性、可撓性、及び柔軟性を有するものとなる。さらに、ライニング材1の外径を既設管4の内径よりも小径にて形成することができるので、既設管4内への挿入が容易なものとなる。また、ライニング材1は補強材Cを含む複層構造であり、十分な強度の確保と拡径性とを兼ね備えたものとすることができる。
特に、ライニング材1の樹脂含浸層3を構成するシート状基材31は、機械的な交絡加工により不織布Aと不織布Bとの繊維が良好に絡合されているので、複層構造であるにも関わらず、反転の前後で層間にずれや縒れを生じにくく、均一な積層形態を保持して、十分に母材樹脂を含浸することができる。これにより、既設管4内にライニング材1を配置したとき、内周側に不要な皺や襞を生じることが防がれる。したがって、既設管4の内周面の凹凸や段差等にライニング材1の形状を追従させることができるとともに、母材樹脂の未含浸部分を生じることなく、高い耐圧性能と強度を有するライニング層を形成することが可能となる。
なお、オーバーラップ部32の接合手段としては、上記の熱可塑性樹脂材料を含むものに限定されず、熱可塑性樹脂材料を含まない接合手段であってもよい。例えば、オーバーラップ部32を生糸等の一般的な縫合糸により縫製加工して接合したり、面ファスナ、両面テープ、粘着テープ、熱溶着その他の接合手段により接合したりして、仮止めする構成であってもよい。
本発明は、既設管を更生するライニング材に好適に利用することができる。
1 ライニング材
2 被覆層
3 樹脂含浸層
30 不織布
31 シート状基材
32 オーバーラップ部
A 不織布
B 不織布
C 補強材
4 既設管
5 堰き止め部材
6 反転挿入機
7 ボイラーユニット
8 ニードル
81 針先部
82 ブレード部
83 バーブ

Claims (6)

  1. 既設管の内径より小さい外径の筒状に形成され、既設管の内周面をライニングする複層構造のライニング材であって、
    液状の熱硬化性樹脂を主剤とする母材樹脂を含浸する樹脂含浸層と、不透過性材料からなる被覆層とを備え、
    前記樹脂含浸層は、不織布/強化繊維材料からなる補強材/不織布の順に重ねられた積層体を機械的な交絡加工により絡合させたシート状基材を複数枚含み、
    前記複数枚のシート状基材は、
    厚み方向に複数枚を重ねるようにして配設されており、前記樹脂含浸層における補強材同士の間に位置する不織布の厚み合計が、前記樹脂含浸層における最も内周側に位置する不織布と最も外周側に位置する不織布との厚み合計より厚くなるように形成されるとともに、
    幅方向の端部同士が重なり合うように配設されており、前記幅方向の重なりは、前記樹脂含浸層の外周側と内周側とで周方向に位置をずらして設けられてなることを特徴とするライニング材。
  2. 請求項1に記載のライニング材において、
    前記シート状基材は、不織布Aと、前記不織布Aよりも薄い厚みの不織布Bとの間に前記補強材が介装されて絡合されており、
    前記樹脂含浸層の内周側に配設されるシート状基材は不織布Aの面を外周側に向け、外周側に配設されるシート状基材は不織布Aの面を内周側に向けて配設されて、前記シート状基材の不織布A同士が面するように配置されてなることを特徴とするライニング材。
  3. 請求項1に記載のライニング材において、
    前記シート状基材は、不織布Aと、前記不織布Aよりも薄い厚みの不織布Bとの間に前記補強材が介装されて絡合されており、
    前記樹脂含浸層の内周側に配設されるシート状基材は不織布Bの面を外周側に向け、外周側に配設されるシート状基材は不織布Bの面を内周側に向けて配設され、これらのシート状基材の不織布B同士の間に不織布層が設けられてなることを特徴とするライニング材。
  4. 請求項1に記載のライニング材において、
    前記シート状基材は、不織布Aと、前記不織布Aと略同等の厚みの不織布Bとの間に前記補強材が介装されて絡合されており、
    前記樹脂含浸層の内周側に配設されるシート状基材と外周側に配設されるシート状基材との間に不織布層が設けられてなることを特徴とするライニング材。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載のライニング材において、
    前記シート状基材は、他のシート状基材に対して向かい合う不織布側から、前記積層体の積層方向にニードルを貫通させてニードルパンチ加工がなされてなることを特徴とするライニング材。
  6. 請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載のライニング材において、
    前記複数枚のシート状基材の幅方向の重なりは、前記樹脂含浸層の外周側と内周側とで周方向の対向する位置に設けられてなることを特徴とするライニング材。
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